(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】消費者電力回路用電力の統合および制御の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20240116BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240116BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240116BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 120
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/32
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J13/00 311
(21)【出願番号】P 2022535200
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 US2020066719
(87)【国際公開番号】W WO2021146039
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508041127
【氏名又は名称】シスコ テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】ゲルゲン,ジョエル,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,チャド,エム.
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-525057(JP,A)
【文献】特開平11-285163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0342011(US,A1)
【文献】特開2007-066724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/46
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 13/00
H02J 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電システムであって、
再生可能エネルギー源からDC電力を受信するための直流(DC)電力入力と、
AC電力を受信するための交流(AC)電力入力と、
多相パルス電力を送信するための多相パルス電力出力と、
AC電力を送信するためのAC電力出力と、
電力を、前記多相パルス電力出力および前記AC電力出力に割り当てるためのコントローラと、を備える、配電システム。
【請求項2】
前記多相パルス電力および前記AC電力はエンドデバイスに給電するための建物内の電力回路に供給され、データは前記多相パルス電力とともに前記エンドデバイスの1つ以上に供給される、請求項1に記載の配電システム。
【請求項3】
前記多相パルス電力は、前記多相パルス電力またはPoE(パワーオーバーイーサネット)を供給するように動作可能なコンセントに供給される、請求項1または2に記載の配電システム。
【請求項4】
前記再生可能エネルギー源から、および前記AC電力入力でAC-DCコンバータから前記DC電力を受信するDCバスと通信するイーサネット電力コントローラをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の配電システム。
【請求項5】
エンドデバイスの負荷要件に基づいて、前記DC電力の出力を前記多相パルス電力出力に割り当てるように動作可能なコントローラをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の配電システム。
【請求項6】
電力使用量を監視し、電力負荷が利用可能な電力を超えるときに1つ以上の優先度の低い電力回路をオフにするように動作可能なコントローラをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の配電システム。
【請求項7】
前記電力負荷が前記再生可能エネルギー源から利用可能な電力を超える場合、前記コントローラは、前記1つ以上の優先度の低い電力回路をオフにするように動作可能である、請求項6に記載の配電システム。
【請求項8】
前記DC電力は380VDCバスに統合されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の配電システム。
【請求項9】
前記多相パルス電力は、56ボルトDCを超える電圧での3相パルス電力を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の配電システム。
【請求項10】
前記再生可能エネルギー源は、太陽光パネル、風力タービン、および充電式バッテリのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の配電システム。
【請求項11】
装置であって、
交流(AC)回路遮断器と、
再生可能エネルギー回路遮断器と、
多相パルス電力回路遮断器と、
前記多相パルス電力回路遮断器に結合され、回路遮断器制御を提供するように動作可能なスイッチと、を備える、装置。
【請求項12】
パルス電力回路遮断器およびAC電力遮断器をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
組み合わせたACおよび多相パルス電力回路遮断器をさらに備える、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記スイッチは、電力コントローラと通信するPoE(パワーオーバーイーサネット)スイッチを含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記PoEスイッチは、多相パルス電力回路およびAC電力回路の電圧および電流情報を受信するように動作可能である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
方法であって、
交流(AC)電力を受信することと、
再生可能エネルギー源から直流(DC)電力を受信し、配電システムで前記AC電力と前記DC電力を統合し、利用可能な電力および電力負荷を監視することと、
前記AC電力を送信することと、
パルス電力の複数の相を含む多相パルス電力を送信することであって、前記パルス電力は、連続電力を提供するために相間でオフセットされたDC電圧パルスを有する複数の前記DC電圧パルスを含むことと、を含む、方法。
【請求項17】
前記再生可能エネルギー源からのDC電力と統合するために、前記受信したAC電力を前記DC電力に変換することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記DC電圧パルスは56ボルト以上の電圧である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記多相パルス電力は380VDCパルス電力の3つ以上の相を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記AC電力または前記多相
パルス電力の、1つ以上の電力回路への供給を優先することをさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記多相パルス電力の前記DC電圧パルス間で故障検出を実行することをさらに含む、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
装置であって、
再生可能エネルギー源から直流(DC)電力を受信するための入力と、
多相パルス電力およびPoE(パワーオーバーイーサネット)を送信するための出力と
利用可能な電力を監視し、1つ以上の優先度の低い電力回路を識別し、電力負荷が前記利用可能な電力を超えるときに前記1つ以上の優先度の低い電力回路を無効にするためのコントローラと、を備える、装置。
【請求項23】
交流(AC)電力を受信するための入力および前記AC電力を送信するための出力をさらに備え、前記1つ以上の優先度の低い回路は、前記多相パルス電力、前記PoE、または前記AC電力を受信するために構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記多相パルス電力は複数の相のパルス電力を含み、前記パルス電力は複数の高電圧パルスを含み、前記高電圧パルスは連続電力を提供するために相間でオフセットし、低電圧故障検出は、前記高電圧パルス間で実行される、請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
装置であって、
交流(AC)電力を受信するための手段と、
再生可能エネルギー源から直流(DC)電力を受信するための手段と、
配電システムで前記AC電力と前記DC電力とを統合するための手段と、
利用可能な電力とおよび電力負荷を監視するための手段と、
前記AC電力を送信するための手段と、
パルス電力の複数の相を含む多相パルス電力を送信するための手段であって、前記パルス電力は複数のDC電圧パルスを含み、前記DC電圧パルスは連続電力を提供するために相間でオフセットされる手段と、を含む、装置。
【請求項26】
請求項17から21のいずれか一項に記載の方法を実施するための手段をさらに含む、請求項25に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電力システム、より具体的には、消費者電力回路のための電力回路の統合および制御に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や企業の従来の電力システムを更新する需要が高まっている。従来のAC電力の安全性の問題は継続して存在する。カリフォルニアの新しい家はまもなく太陽光電力システムを含める必要があるが、住宅や建物の回路に再生可能エネルギーシステムを効率的に実装する上での重要な課題は残っている。再生可能エネルギーおよび新しいより安全な電力システムの統合および割り当て、ならびに従来のAC電力は、多くの課題を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】一実施形態による、消費者電力パネルにおける再生可能エネルギー、AC電力、およびDC電力の統合を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による、消費者電力システムの詳細を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による、消費者電力システム用の回路遮断器パネルを示すブロック図である。
【
図4】一実施形態による、4相パルス電力回路遮断器を示す図である。
【
図5】一実施形態による、回路間の優先順位付けを伴う配電の監視および制御を示すプロセスフローチャートである。
【
図6A】一実施形態による、2相パルス電力システムの電圧および電流の簡略化された例を示す図である。
【
図6B】一実施形態による、3相パルス電力システムの電圧および電流の簡略化された例を示す図である。
【
図7】一実施形態による、電源を統合し、配電を制御するためのプロセスの概要を示すフローチャートである。 対応する参照文字は、図面のいくつかの図にわたって対応する部分を示す。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、独立請求項で提示され、好ましい特徴は、従属請求項で提示される。一態様の特徴は、単独で、または他の態様と組み合わせて、任意の態様に適用され得る。
【0005】
一実施形態では、配電システムは、再生可能エネルギー源からDC電力を受信するためのDC電力入力と、AC電力を受信するためのAC電力入力と、多相パルス電力を送信するための多相パルス電力出力と、AC電力を送信するためのAC電力出力と、多相パルス電力出力およびAC電力出力に電力を割り当てるためのコントローラとを一般に備える。
【0006】
1つ以上の実施形態では、多相パルス電力およびAC電力はエンドデバイスに給電するための建物内の電力回路に供給され、データは多相パルス電力とともにエンドデバイスの1つ以上に供給される。
【0007】
1つ以上の実施形態では、前記多相パルス電力は、前記多相パルス電力またはPoE(パワーオーバーイーサネット)を供給するように動作可能なコンセントに供給される。
【0008】
1つ以上の実施形態では、システムは、前記再生可能エネルギー源から、および前記AC電力入力でAC-DCコンバータから前記DC電力を受信するDCバスと通信するイーサネット電力コントローラをさらに備える。
【0009】
1つ以上の実施形態では、システムは、エンドデバイスの負荷要件に基づいて、前記DC電力の出力を前記多相パルス電力出力に割り当てるように動作可能なコントローラをさらに備える。
【0010】
1つ以上の実施形態では、システムは、電力使用量を監視し、電力負荷が利用可能な電力を超えるときに1つ以上の優先度の低い電力回路をオフにするように動作可能なコントローラをさらに備える。
【0011】
1つ以上の実施形態では、前記電力負荷が前記再生可能エネルギー源から利用可能な電力を超える場合、前記コントローラは、前記優先度の低い電力回路をオフにするように動作可能である。
【0012】
1つ以上の実施形態では、DC電力は380VDCバスに統合されている。
【0013】
1つ以上の実施形態では、多相パルス電力は、56ボルトDCを超える電圧での3相パルス電力を含む。
【0014】
1つ以上の実施形態では、前記再生可能エネルギー源は、太陽光パネル、風力タービン、および充電式バッテリのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
別の実施形態では、装置は、一般に、AC回路遮断器と、再生可能エネルギー回路遮断器と、多相パルス電力回路遮断器と、多相パルス電力回路遮断器に結合され、回路遮断器制御を提供するように動作可能なスイッチと、を含む。
【0016】
別の実施形態では、方法は、一般に、AC電力を受信することと、再生可能エネルギー源から直流(DC)電力を受信し、配電システムで前記AC電力と前記DC電力を統合することと、利用可能な電力および電力負荷を監視することと、AC電力を送信することと、パルス電力の複数の相を含む多相パルス電力を送信することであって、前記パルス電力は、連続電力を提供するために相間でオフセットされたDC電圧パルスを有する複数の前記DC電圧パルスを含む、ことと、を含む。
【0017】
さらに別の実施形態では、装置は、一般に、再生可能エネルギー源からDC電力を受信するための入力と、多相パルス電力およびPoEを送信するための出力と、利用可能な電力を監視し、優先度の低い電力回路を識別し、電力負荷が前記利用可能な電力を超えるときに前記1つ以上の優先度の低い電力回路を無効にするためのコントローラと、を備える。
【0018】
本明細書に記載の実施形態の特徴および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および添付の図面を参照することによって実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明は、当業者が実施形態を作成および使用することを可能にするために提示される。特定の実施形態および用途の説明は、例としてのみ提供されており、様々な変更形態が当業者には容易に明らかになるであろう。本明細書に記載の一般原理は、実施形態の範囲から逸脱することなく、他の用途に適用することができる。したがって、実施形態は、示されているものに限定されるべきではなく、本明細書に記載されている原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。明確にするために、実施形態に関連する技術分野で知られている技術資料に関連する詳細は、詳細には説明されていない。
【0020】
従来の消費者向け送電は、AC(交流)送電が主流であった。しかし、環境および保全の懸念とともにエネルギーの生および消費の要件は、電力供給および消費者電力の制御に変化をもたらしている。例えば、電力を生産するための再生可能エネルギー源を地元に追加する消費者が増えている。カリフォルニア州では、まもなく新しい家に太陽光電力システムを設置する必要があり、他の州もまもなく続く可能性がある。太陽光電力システムは、最大出力容量で電気グリッドに直接電力を供給する。電気グリッドが「オフ」状態になると、太陽光システムからの電力が失われる。場合によっては、バッテリのバックアップがあり、太陽光電力を使用してバッテリを充電することもあるが、このタイプのシステムは通常、非効率的であり、配置されることはめったにない。
【0021】
住宅用のほとんどの風力、太陽光、およびバッテリシステムは、380VDC(直流ボルト)ベースのシステムで構成されている。家庭内の多くの電気デバイスは、240VAC(交流ボルト)または380VDCで、最小限の労力で、または効率の変化をほとんど伴わずに実行できる。再生可能エネルギー技術は、適切な最終負荷に直接接続できる場合、ACへの変換による損失を直接打ち消すDC出力を生成するため、変換損失を削減する可能性がある。しかしながら、住宅に再生可能エネルギーソリューションを物理的に実装し、電力回路を構築する際の重要な課題は残っている。再生可能エネルギーシステムへの継続的な焦点は、電力割り当てとともに統合された有線データを備えた管理された主回路パネルの必要性を推進しており、その結果、優先回路は、風力、太陽光、およびバッテリの電力が24時間にわたって減少または増加しても動作し続けることができ、供給された電力の不足のためにシステムをシャットダウンすることはない。
【0022】
再生可能エネルギー源の統合の必要性に加えて、従来のAC電力システムは安全性の問題を引き起こし続けている。何年にもわたってAC電力の供給をより安全にする改善がなされてきたが、住宅の従来のAC電力には依然として安全上の懸念がある。
【0023】
本明細書に記載の実施形態は、再生可能エネルギー源および安全な高電力DCシステムを従来のAC電力と統合する消費者向け電力システムを、電力監視およびデータ制御を行って、再生可能エネルギー入力源とより安全で相互運用可能なシステムとともに提供する。1つ以上の実施形態では、電源は、電力割り当てとともに主電力パネルに統合され、その結果、電力需要が利用可能な電力を超える場合、電力が優先回路に提供され得る。電源には、例えば、再生可能エネルギー電源(例えば、太陽光パネル、風力タービン、充電式バッテリ)およびユーティリティグリッドからのAC電力が含まれ得る。電力システムは、AC電力、PoE(パワーオーバーイーサネット)、およびESP(拡張安全電力)を分配する場合がある。PoEおよびESPは、イーサネットケーブルを介して電力およびデータを供給するために使用できる。電力は、データを伝送するのと同じ導体で伝送されてもよいか、または、電力は、同じケーブルまたは別のケーブル内の専用導体で伝送されることがある。PoEは一般に低電力用途(例えば、100ワット(W)以下)に制限されているが、ESPは安全に構築されたより高い電力を提供する。
【0024】
本明細書で使用される「拡張安全電力」(「ESP」)という用語は、ケーブル(例えば、イーサネットケーブル)内の1つ以上のワイヤまたはワイヤ対に供給されるパルス電力による高電力(例えば、100ワット(W)超)、高電圧(例えば、56ボルト(V)以上)動作を指す。1つ以上の実施形態では、ESPは、故障検出(例えば、初期化時および高電圧パルス間の故障検出)、およびパルス同期を含む。電力は、給電装置(PSE)(例えば、消費者施設(例えば、住宅、ビジネス、またはその他の建物)の主電力パネルの電源)から受電デバイス(PD)(エンドデバイス、電気デバイス(例えば、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、電話、セキュリティシステム、カメラ、消費者デバイス、携帯用電子機器、照明、照明システムなど))に供給され、建物内の消費者電力回路に電力が分配される。電力は、通信あり(例えば、双方向通信)または通信なしで送信することができる。
【0025】
本明細書で使用される用語「パルス電力」は、パルスオフ間隔中の非常に小さい電圧(例えば、0Vに近い、3VDC)と、パルスオン間隔中のより大きな電圧(例えば、12VDC以上、24VDC以上)との間で変化する(低直流電圧状態と高直流電圧状態を交互に)一連のパルスで供給される電力を指す。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年11月1日に出願された米国特許出願第16/671,508(「Initialization and Synchronization for Pulse Power in a Network System」)に記載されているように、高電圧パルス電力(例えば、56VDC以上、60VDC以上、300VDC以上、約108VDC、約380VDC)は、受電デバイスに電力を供給する際に使用するために、給電装置から受電デバイスに送信され得る。パルス電力送信は、例えば、ケーブル、送信線、バスバー、および配電システムを介して行うことができる。
【0026】
1つ以上の実施形態では、ESPは、
図6Aおよび6Bに関して以下に説明するように、ワイヤまたはワイヤ対間でパルスが互いにオフセットされて連続電力を提供する多相パルス電力システムにおいて複数相で送信されるパルス電力を含み得る。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年4月10日に出願された米国特許出願第16/380,954号(「Multiple Phase Pulse Power in a Network Communications System」)に記載されるように、1つ以上の実施形態は、受電デバイスへの相パルスのオーバーラップを伴う連続的な途切れのない電力で、より少ない損失を達成するための多相パルス電力を使用し得る。
【0027】
ここで図面を参照し、最初に
図1を参照すると、一実施形態による、消費者電力回路の主電力パネルに統合された再生可能エネルギーを示す概略図が示されている。本明細書に記載の消費者電力システムは、任意のタイプの建物10(例えば、住宅、ビジネス、工業、ホテル、アパート、学校など)に実装することができる。
図1に示される単純化された例では、建物10は、太陽光パネル11、風力タービン12、および充電式バッテリ15を含む再生可能エネルギー源で構成されている。太陽光システム11および風力システム12は、インタフェース(例えば、再生可能エネルギー源電力コントローラ)13を介して電力回路に結合されている。配電システム(電力インバータ/コンバータ)14は、電力インタフェース13から入力を受け取り、また、充電式バッテリ(または他のエネルギー貯蔵デバイス)15に結合される。以下で詳細に説明するように、電力インバータ/コンバータ14はまた、ユーティリティグリッドからAC電力を受信する。配電システム14は、AC電力および多相パルス電力を、AC電力遮断器17およびパルス電力回路遮断器18を含む主電力パネル16に提供する。以下に説明するように、回路遮断器は、物理的に切断することも、電子的に制御することもできる。電力コントローラ19は、配電システムに統合された有線データを用いて配電を監視および制御する。主電力パネル16は、建物内の任意の適切な場所(例えば、ガレージ、地下室、電力入力の近くの外壁に隣接して)に配置することができる。主電力パネル16は、建物全体の電力を、電力を消費する任意の数のコンセントまたはエンドポイントデバイス(負荷)(図示せず)に分配し、これらは、電力を消費する(例えば、照明、コンピュータ機器、娯楽デバイス、HVAC(暖房、換気、および空調)機器、家庭用および台所用電化製品、電気自動車充電器、または動作するために電気を必要とするその他のデバイス)。
【0028】
図1に示される消費者電力システムは単なる一例であり、システムは、実施形態の範囲から逸脱することなく、追加の構成要素、より少ない構成要素、または異なる構成要素を含み得ることが理解されるべきである。例えば、建物10は、示されている再生可能エネルギー源のうちの1つのみで構成され得る。
【0029】
図2は、一実施形態による、
図1に示される消費者電力システムの詳細を示す。
図2に示される電力システム20は、太陽光パネル21、風力システム22、およびバッテリシステム25を含む再生可能エネルギー源を含む。1つ以上の実施形態では、配電システム24は、1つ以上の再生可能エネルギー源(例えば、太陽光パネル21、風力システム22、バッテリシステム25)からDC電力を受信するための1つ以上のDC電力入力24aと、AC電力を受信するためのAC電力入力24bと、多相パルス電力(または多相パルス電力およびPoE)を送信するための多相パルス電力出力24c、AC電力を送信するためのAC電力出力24d、および多相パルス電力出力およびAC電力出力に電力を割り当てるためのコントローラ32とを含む。
【0030】
図2の例に示されるように、システムは、再生可能エネルギー源(太陽光パネル21、風力システム22、充電式バッテリシステム25)およびAC電源(例えば、AC電力モジュール31でのユーティリティグリッド電力入力(ACーDCコンバータ)から入力を受信するためのDC電力モジュール(バス)28と、DCバス28からDC電力を受信し、多相DCパルス電力を供給するための多相パルス電力システム(DCパルス電力位相モジュール)29と、AC電力モジュール30(DC-ACインバータ)(
図2)とを含む。受信したAC電力はモジュール31でDC電力に変換され、再生可能エネルギー源21、22、25からのDC電力と統合され、多相パルス電力として送信に割り当てられる。電気グリッドから受信されたAC電力は24bまた、建物内のACエンドデバイスにAC電力を供給するために、または、電力を電気グリッドに戻すために、変換せずにAC電力出力24dに直接送信することができる(例えば、電力モジュール31から電力モジュール30に直接)。前述のように、多相DCパルス電力およびAC電力は、建物内のエンドデバイス(電気デバイス)に電力を供給するために電力回路に供給される。
【0031】
太陽光パネル21および風力システム22は、DCコントローラ23に結合され、バッテリは、DCコントローラ/充電器26に結合される。バッテリシステム25は、配電システム24からDC電力を受信してバッテリを充電し、必要に応じてDC電力を配電システムに送信することができる。太陽光パネル21、風力システム22、およびバッテリシステム25は、物理的切断(回路遮断器)27を介して配電システム24に結合され、また、データ駆動禁止信号(電気的切断)を含むデータを(DCコントローラ23、26で)送信または受信するように構成され得る。
【0032】
図2に示す例では、バス28は380VDCバスを含み、インバータ30は380VDCを240VACに変換するように構成され、コンバータ31は240VACを380VDCに変換するように構成され、パルス電力は380VDCの高電圧パルスで供給される。AC電力モジュール30、31は、ニュートラル(N)および接地(G)とともに、回路AおよびBで構成される。
図2に示される回路および電圧は例として提供され、実施形態の範囲から逸脱することなく、他の電圧を使用することができることを理解されたい。
【0033】
電力コントローラ32は、電力供給を監視および制御するために、バス28に結合されたイーサネット電力コントローラ、パルス電力位相モジュール29、およびインバータ30を備えることができる。電力コントローラ32は、例えば、システムを制御して、全体的な電流またはエンドデバイスの予想される使用負荷レベルに基づいて、利用可能な給電を動的に統合または変換することができる。以下に説明するように、優先順位付けおよび制御アルゴリズムを使用して、再生可能エネルギー源21、22、25からの低電力入力の時間中に優先順位の低い回路をオフにすることができる。
【0034】
建物は、例えば、エンドデバイスに可変または適切な電圧レベルを提供するように構成され得るDCコンセントとともに、従来のACコンセントを含み得る。例えば、建物には、コンセントに接続されたエンドデバイスの電力要件または機能に基づいて、PoE(例えば、90W)とESP(例えば、100W超)との間で切り替えるためにスマート検出で構成される任意の数のコンセント33(例えば、RJ45または、給電またはデータの送受信に適した他のイーサネットコネクタもしくはレセプタクル)を含み得る。
【0035】
前述のように、再生可能エネルギーシステムは、PoE、パルス電力、および電力制御とともに、消費者向け電力の主回路遮断器に統合されている。回路遮断器 は、特定の回路要件に応じて、パルス電力またはPoEに接続するように構成できる。1つ以上の実施形態では、回路遮断器システムは、AC回路遮断器34と、再生可能エネルギー回路遮断器35と、多相パルス電力回路遮断器36と、多相パルス電力回路遮断器に結合されて回路遮断器制御を提供できるスイッチ41を含む(
図3)。
【0036】
図3の例に示されているシステムには、4つの回路遮断器が含まれており、240VDC HVAC回路遮断器34、再生可能エネルギー回路遮断器35、多相パルス電力回路遮断器36、およびAC/多相パルス電力回路遮断器37である。ACグリッド電力遮断器38は、AC回路AおよびBに結合され、パルス電力回路遮断器39は、相P1、P2、およびP3に結合される(例えば、
図3のバスバーA、P1、P2、P3、Bにおいて)。インテリジェント電力制御40は、PoEスイッチ41への入力を提供し、これは、パルス電力回路遮断器36および37に電気回路遮断器制御を提供する。手動入力(物理的切断)は、回路遮断器34、35、および37に提供され得るが、多相パルス電力回路遮断器36は、電気的に制御された切断のみを有し得る。
【0037】
図3に示す回路遮断器システムは単なる一例であり、実施形態の範囲から逸脱することなく、構成要素、回路、回路遮断器が追加、削除、結合、または再配置され得ることが理解されるべきである。例えば、パルス電力の3つの相が
図3に示されているが、任意の数の相を使用できる。一例では、システムにP4バスを追加して、4相のパルス電力を使用できる(例えば、4対のcat 5/6ケーブル上)。別の例では、120VAC回路遮断器を3相のパルス電力を用いて使用できる。
【0038】
図4は、一実施形態による、電力監視および制御を備えた4相パルス電力回路遮断器の例を示している。
図4に示される例では、電力コントローラ40は、4つの相と通信しているPoEスイッチ41に入力を提供する。AC回路AおよびB(電流i
A、i
B)には手動遮断器が提供されており、AC回路には4つの相(P
1、P
2、P
3、P
4(電流i
1、i
2、i
3、i
4))へのバスバー接続がある。データテレメトリは、PoEスイッチ41で電力コントローラ40に電流および対応する電圧を入力する電力監視および制御を提供する。4相の電力制御遮断器は、電気プルを使用する場合があり、例えば、パルス電力とPoEの間のスイッチを備えたFET(電界効果トランジスタ)制御を備えている場合がある。
【0039】
図5は、一実施形態による、電力監視および制御の例を示している。電力監視および制御50(例えば、
図3および4の電力コントローラ40およびスイッチ41から)は、利用可能なPoE52、パルス電力53、およびACグリッド電力54を決定する。十分な電力が利用できる場合、電力は55a、55b、55cで供給される。十分な電力が利用できない場合(電力<必要な電力)、56a、56b、または56cにおいて優先順位リストでルックアップが実行される。優先順位は、優先順位リスト(ステップ57)に基づいて回路間で決定され、1つ以上の優先順位の低い回路は、必要に応じて、58a、58b、または58cで切断される。ピークエネルギー要件は、例えば、ピーク時の使用のために追加の容量を組み込む必要を防ぐために、優先度が低いとして割り当てられたシステム(例えば、HVAC)をオフにすることによってバランスをとることができる。
【0040】
1つ以上の実施形態では、優先順位付けおよび制御アルゴリズムを実装して、再生可能エネルギー源が減少するにつれて(例えば、24時間で)、選択された回路をアクティブに保ち、他の回路を抑制し得るように適切な優先順位付けを適用することができる。例えば、冷蔵庫および防犯カメラの電源を維持し、キッチンの照明および天井ファンの電源をオフにすることが重要な場合がある。例えば、太陽エネルギーや風力エネルギーの減少傾向の間に、電力の一部が無効になり、他の場所に再割り当てされる可能性があり、これにより、バッテリの寿命が大幅に維持される。
【0041】
前述のように、配電システムによって供給される電力は、高電圧パルス電力または高電圧多相パルス電力(高電圧DC電力)を含み得る。多相パルス電力は、パルス電力の複数の相を含み、パルス電力は、連続電力を提供するために相間でオフセットされたDC電圧パルスを有する複数のDC電圧パルスを含む。
図6Aと6Bは、それぞれ2相および3相パルス電力システムにおける電圧と電流の簡略化された例を概略的に示している。
【0042】
最初に
図6Aを参照すると、A相の電圧は62aで示され、B相の電圧は62bで示されている。連続相電流は64で示されている。各相のパルス電力は、高電圧状態と低電圧状態を交互に定義する複数の電圧パルスで構成される。
図6Aに示すように、電圧はパルスオン時間(例えば、電圧 24VDC超、電圧60VDC以上、電圧380以上)とパルスオフ時間(例えば、電圧12V未満、24V以下)の間で切り替えられる。パルスオン時間中に高電圧電力が供給され、高電圧電力がオフになっているパルスオフ時間中に、低電圧検知で使用するために各相に低電圧を印加して、ワイヤの完全性をチェックし、ケーブルの静電容量をテストするか、またはその他のテストまたは故障検出することができる。電圧パルスは相間でオフセットされ、連続電力を供給する。
【0043】
図6Bの3相システムでは、A相の電圧は65aで示され、B相の電圧は65bで示され、C相の電圧は65cで示されている。連続相電流は66で示されている。
【0044】
図6Aおよび6Bに示される電圧、電流、およびデューティサイクルは、理想化された波形を備えた単純化された例を示していることが理解されるべきである。1つ以上の実施形態では、オフ時間中の電圧は、前述のように、故障検出で使用するためにゼロより大きい。例えば、パルスオフ時間中の電圧は、パルスオフ時間中の故障検知を提供するための低電圧を含み得る。故障検知には、例えば、ケーブルまたは受電デバイスの低電圧検知によるライン間故障検出、および中点接地によるライン-接地間故障検出が含まれ得る。これらの電力安全機能は、安全なシステム動作ならびにデバイスの設置および除去(切断)を提供する。
【0045】
1つ以上の実施形態では、パルスオン時間はパルスオフ時間よりも長い。例えば、高電圧は4msの間パルスオンされ、1msの間パルスオフにされる。別の例では、高電圧は、8msの間パルスオンされ、4msの間パルスオフされ得る。また、
図6Bに示すように、電圧パルスオン時間は相間でオーバーラップする可能性があるため、常に少なくとも1つのワイヤがオンになる。多相システムでの相のオーバーラップ中、ケーブル電流の合計はすべてのONワイヤで共有される。受電デバイスで相が組み合わされると、相電流64および66で示されるように、結果として連続DC電圧が発生する。上記で参照された米国特許出願第16/380,954号に記載されているように、多相システムは、任意の相オフセットもしくはオーバーラップ、またはデューティサイクルを伴う任意の数の相を含むことができる。
【0046】
図7は、一実施形態による、電源を統合し、電力回路を構築する際に配電を制御するためのプロセスの概要を示すフローチャートである。ステップ70で、AC電力がユーティリティグリッドから受信される。再生可能エネルギー源(例えば、太陽光パネル、風力システム、充電式バッテリ)からも電力を受信する(ステップ71)。受信電力は統合される(ステップ72)。例えば、前述のように、AC電力をDC電力に変換し、DCバスで入力することができる。利用可能な電力が監視され、電力が分配される(ステップ73)。配電は、例えば、すべての電力需要を満たすのに十分な電力が利用できない場合に、1つ以上の優先度の低い回路をオフにすることによって制御できる。配電は、例えば、電力回路へのAC電力の送信(ステップ74)および多相DCパルス電力の送信(ステップ75)を含み得る。
図6Aおよび6Bに関して上で説明したように、故障検出は、高電圧パルス間の多相パルス電力に対して実行され得る。
【0047】
図7に示され、上記に記載されたプロセスは単なる一例であり、実施形態の範囲から逸脱することなく、ステップを追加、修正、または組み合わせることができることを理解されたい。
【0048】
要約すると、一実施形態では、配電システムは、再生可能エネルギー源からDC電力を受信するためのDC電力入力と、AC電力を受信するためのAC電力入力と、多相パルス電力を送信するための多相パルス電力出力と、AC電力を送信するためのAC電力出力と、多相パルス電力出力およびAC電力出力に電力を割り当てるためのコントローラとを含む。
【0049】
本装置および方法は、示された実施形態に従って説明されてきたが、当業者であれば、実施形態の範囲から逸脱することなく、実施形態に変更を加えることができることを容易に認識するであろう。したがって、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるものとすることが意図されている。