(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】構造化し且つ任意にコーティングした物品の製造方法及び該方法から得られた物品
(51)【国際特許分類】
B29C 45/00 20060101AFI20240116BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20240116BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20240116BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20240116BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240116BHJP
B32B 37/00 20060101ALI20240116BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B29C45/00
B05D7/00 K
B05D3/02 Z
B05D3/12 E
B05D7/24 302Y
B32B37/00
B29C33/42
(21)【出願番号】P 2022538117
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020083935
(87)【国際公開番号】W WO2021121930
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-22
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ロイター,カリン
(72)【発明者】
【氏名】ブシャー,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンツェン,ジモン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルマー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】クラッベンボルク,スフェン,オレ
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0330356(US,A1)
【文献】特開2004-168064(JP,A)
【文献】特開2004-322592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
B29C 44/00-44/60
B29C 39/00-39/44
B29C 43/00-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの構造化表面を含む成形物品を製造するための方法であって、以下の工程:
(1) 互いに対して移動することができ、且つ型キャビティを形成する少なくとも2つの型部品を有する、閉鎖可能な三次元型(MO)を提供する工程であって、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含む少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層が、型部品のうちの少なくとも1つの型キャビティに面している内面(SU)の少なくとも一部に取り付けられて
おり、前記シリコーン含有層が、基材(S1)と、少なくとも1つのシリコーン化合物及び複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化コーティング層(C1)とを含む少なくとも1つの複合材料(S1C1)である、提供する工程、
(2
)少なくとも1つのバインダー(B)及び任意の少なくとも1つの架橋剤(CL)を含む組成物(C2a)を、閉鎖可能な三次元型(MO)の型キャビティに面している少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部に適用し、そして前記適用した組成物(C2a)をフラッシュオフする工程、
(3) 任意に、少なくとも1つの材料(M1)を型(MO)に挿入し、ここで少なくとも1つの材料(M1)が
、シリコーン含有層を含む型部品の内面(SU)と接触しておらず、そして型(MO)を加熱する工程、
(4) 任意に、型(MO)を閉鎖する工程、
(5) 組成物(C3a)を閉鎖型(MO)に適用するか、又は組成物(C3a)を開放型(MO)に適用して前記型(MO)を閉鎖する工程、
(6) 組成物(C3a)、及
び組成物(C2a)を、少なくとも部分的に硬化させる工程、
(7) 任意に、少なくとも1つのさらなる組成物(C4a)を適用し、前記組成物(C4a)を少なくとも部分的に硬化させる工程、
(8) 型(MO)を開放し、そして少なくとも1つの構造化し且つ任意にコーティングした表面を含む成形物品を取り外す工程、
(9) 任意に、工程(8)の後に得られた物品を後処理する工程
を、記載の順序で含
み、
前記マイクロ構造化及び/又はナノ構造化複合材料(S1C1)が、
(I) 放射線硬化性コーティング組成物(C1a)を、基材(S1)の表面の少なくとも一部に適用して、複合材料(S1C1a)を得る工程、
(II) 前記基材(S1)の表面に少なくとも部分的に適用された前記コーティング組成物(C1a)を、少なくとも1つのエンボス加工型(e1)を含む少なくとも1つのエンボス加工用具(E1)によって、少なくとも部分的にエンボス加工する工程、
(III) 基材(S1)に少なくとも部分的に適用された少なくとも部分的にエンボス加工された前記コーティング組成物(C1a)を少なくとも部分的に硬化させる工程であって、その少なくとも部分的に硬化させる期間を通して、前記基材(S1)と前記エンボス加工用具(E1)の前記少なくとも1つのエンボス加工型(e1)とが接触している、硬化させる工程、
(IV) 前記複合材料(S1C1)を前記エンボス加工用具(E1)の前記エンボス加工型(e1)から(又はその反対で)取り外して、少なくとも部分的にエンボス加工され且つ少なくとも部分的に硬化させた複合材料(S1C1)を提供する工程
によって得られることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法が手動プロセス又は自動プロセスであってよい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記型部品が、金属の型部
品及び/又はポリマーの型部
品から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン含有層の非構造側が、少なくとも1つの型部品の少なくとも1つの内面(SU)上に取り付けられ、前記少なくとも1つの型部品が前記型キャビティに面して
いる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前
記複合材料(S1C1)の前記コーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素が、それぞれ、10nm~1,000μ
mの構造幅を有する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前
記複合材料(S1C1)の前記コーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素が、それぞれ、10nm~1,000μ
mの構造高さを有する、請求項1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバインダー(B)が、(i)ポリ(メタ)アクリレー
ト、(ii)ポリウレタ
ン、(iii)ポリエステ
ル、(v)上記ポリマーのコポリマー、及び(vi)それらの混合物からなる群から選択される、請求項1から
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバインダー(B)が
、前記組成物(C2a)の総質量に基づいて、15~55wt%固
体の総量で存在する、請求項1から
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物(C3a)がポリマーフォーム材料で
ある、請求項1から
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物(C3a)及
び前記組成物(C2a)を、プロセス工程(6)において、45~120
℃の温度で、1~20分の期
間後に硬化させる、請求項1から
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
プロセス工程(9)における後処理が、プロセス工程(8)の後に得られた構造化された成形物品のトリミング及び/又は研磨及び/又はコーティングを含む、請求項1から
10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの構造化表面を含む成形物品を製造するための方法に関し、前記方法は、組成物、好ましくはフォーム材料を、少なくとも1つの構造化された内面(SU1)を有する型内に適用し、前記組成物を硬化させて、成形された構造化物品を提供することを含む。型の内面をコーティング組成物でコーティングして、可撓性があり且つ耐久性のあるコーティング層をさらに含む成形された構造化物品を得ることができる。本発明はまた、本発明の方法により得られた構造化された成形物品、好ましくは靴底に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な層厚の多種多様な種々の構成要素は、射出成形プロセス及びキャストプロセスのような成形プロセスによって主に製造されている。成形プロセスでよく使用されている材料は、ポリマーフォームである。ポリマーフォームは、用途の広い材料である固形フォームの部類に属し、多数の用途、例えば自動車、包装、スポーツ製品、熱及び音響絶縁体、組織工学又は液体吸収剤などに、広く使用されている。それらは連続した固体ネットワークに閉じ込められた気泡で構成され、ポリマーの特性とフォームの特性とを組み合わせて、興味深い複雑な材料を作り出す。ポリマーフォームは、ポリマーが提供する広範囲の興味深い特性の使用を可能にするだけでなく、軽量性、低密度、圧縮性及び高い表面対体積比を含む、フォームの有利な特性から利益を得ることも可能にする。
【0003】
構造フォーム成形熱可塑性プラスチックは、耐久性のある屋外、工業又は工場用途において魅力的となる特徴的な渦巻きパターン又は斑点状の表面を示す。しかし、成形されたままの構造フォームの外観は、すべての製品に適切なわけではない。特に、履物の底の製造の分野、又は家具工業の分野では、成形プロセスにより製造された魅力的な外観を有するフォーム構成要素に対する需要が続いている。そのような魅力的な外観を提供する1つの方法は、成形部品の後処理であり、例えば、研磨、コーティング及びテクスチャー加工によるものである。テクスチャー加工した表面は、美的目的のために、又は最終製品が多くの取り扱いを受ける場合に指紋を低減させるために適用することができる。また、テクスチャー仕上げは、成形プロセス中に生じた表面の傷を隠すのにも役立つ。
【0004】
しかしながら、このようなプロセスは、製造後にさらなるプロセス工程を必要とするので、非効率的である。さらに、例えばベースコートでさらにコーティングする前に、又は他の構成要素に接着結合する前に、構成要素を製造する際に使用される外部離型剤を取り外し、構成要素を成形ツールから損傷なく離型できるようにすることが必要である。このような取り外しは、高価で不便な洗浄プロセスを伴う。さらに、使用する工具も継続的に洗浄しなければならない。
【0005】
よって有利なのは、好ましくはポリマーフォームから作られた構造化された成形物品、特にポリマーフォームを使用する成形プロセスにより作られた構造化された履物の底を製造するための方法であろう。該方法では、ポリマーフォームのテクスチャー加工及び任意のコーティングを成形プロセスの間に得ることができ、これにより前記物品の後処理が不要となる。構造化された型からポリマーフォームへのテクスチャーの転写は、非常に正確でなければならない。さらに、テクスチャー加工された成形物品の後処理工程を低減するために、成形プロセス中にテクスチャー加工されたポリマーフォームのコーティングを行うことができる方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明の目的は、成形プロセス中に成形材料、好ましくはフォーム材料のテクスチャー加工及び任意のコーティングを可能にし、それにより後テクスチャー加工及び後コーティングを不要とする方法を提供することである。内側型表面(複数可)の構造は、型からの成形物品の取り外しに悪影響を及ぼすことなく、高い成形精度で成形材料に転写されるべきである。材料のテクスチャー加工にもかかわらず、コーティングは、高い接着性と十分な柔軟性とを有し、前記コーティング層を剥離することなく成形材料を繰り返し曲げられるようにするべきである。この方法では、成形プロセス中に発生する如何なる欠陥もない複雑な形状の構成要素の製造も、可能とするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、特許請求の範囲に記載された主題によって、及び以下の説明に記載するその主題の好ましい実施形態によって達成される。
【0008】
従って本発明の第1の主題は、少なくとも1つの構造化表面を含む成形物品を製造するための方法であり、前記方法は、以下の工程を記載の順序で含む:
(1) 互いに対して移動することができ、且つ型キャビティを形成する少なくとも2つの型部品を有する、閉鎖可能な三次元型(MO)を提供する工程であって、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含む少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層が、型部品のうちの少なくとも1つの型キャビティに面している内面(SU)の少なくとも一部に取り付けられている、提供する工程、
(2) 任意に、少なくとも1つのバインダー(B)及び任意の少なくとも1つの架橋剤(CL)を含む組成物(C2a)を、閉鎖可能な三次元型(MO)の型キャビティに面している少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部に適用し、そして前記適用した組成物(C2a)をフラッシュオフする工程、
(3) 任意に、少なくとも1つの材料(M1)を型(MO)に挿入し、ここで少なくとも1つの材料(M1)が、好ましくは、シリコーン含有層を含む型部品の内面(SU)と接触しておらず、そして型(MO)を加熱する工程、
(4) 任意に、型(MO)を閉鎖する工程、
(5) 組成物(C3a)を閉鎖型(MO)に適用するか、又は組成物(C3a)を開放型(MO)に適用して前記型(MO)を閉鎖する工程、
(6) 組成物(C3a)、及び任意に組成物(C2a)を、少なくとも部分的に硬化させる工程、
(7) 任意に、少なくとも1つのさらなる組成物(C4a)を適用し、前記組成物(C4a)を少なくとも部分的に硬化させる工程、
(8) 型(MO)を開放し、そして少なくとも1つの構造化し且つ任意にコーティングした表面を含む成形物品を取り外す工程、
(9) 任意に、工程(8)の後に得られた物品を後処理する工程。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記に特定した方法は、以下に本発明の方法とも呼ばれ、よって本発明の主題である。本発明の方法の好ましい実施形態は、以下の記載及び従属クレームから明らかである。
【0010】
先行技術に照らして、本発明の基づく主題が、シリコーン層又は基材と構造化コーティング層とを含む複合材料で構造化された少なくとも1つの内面を有する型部品を用いることによって達成され得ることは、当業者にとって驚くべきことであり、予見不可能であった。前記型を使用することにより、シリコーン層又は複合材料の構造が成形物品へ良好に転写され、適用された組成物の硬化後、物品の優れた離型に悪影響を及ぼさない。さらに、同時コーティングを行うことができ、その結果、テクスチャー加工された及びコーティングされた成形物品が得られる。テクスチャー加工にもかかわらず、コーティングは、テクスチャー加工された成形物品への優れた接着性を有し、物品の屈曲に対して高い耐久性がある。同時のテクスチャー加工及びコーティングにより、その後の、そして労働集約的な後処理工程が不要となり、よって高度に経済的で環境に優しい方法がもたらされる。型部品の構造化は、容易に交換可能な構造化層を用いて行われるので、本発明の方法は、型自体を交換することなく、様々な構造の使用に対して容易に適合させることができ、極めて汎用性が高い。さらに、構造化層は、その層が摩耗した場合に容易に除去することができ、その結果、型洗浄が不要となり、そして型の寿命が延びる。さらに、構造化層は、構造化された金属型よりもはるかに容易で費用効果的に製造することができる。
【0011】
本発明のさらなる主題は、本発明の方法により製造された、構造化された成形物品である。
【0012】
詳細な説明
定義:
まず最初に、本発明の文脈において使用されるいくつかの用語を、より詳細に説明する。
【0013】
「三次元型」という用語は、互いに対して移動して型(mold)を開閉することができる少なくとも2つの型部品によって形成される三次元内部キャビティを有する型を指すものとして理解される。従って型の内部キャビティは、3つの寸法、すなわち長さ、幅及び深さを有する。型は、単一のキャビティ又は複数のキャビティを有することができる。複数キャビティの型においては、各キャビティが同一であって同じ部品を形成することができ、又は特有であって1回のサイクルの間に複数の様々な形状を形成することもできる。
【0014】
「内面(SU)」という用語は、本発明によれば、物品の製造中に、組成物(C2a)と、そして組成物(C3a)と、任意に、プロセスで使用されるさらなる材料及び組成物と接触する型部品の表面を指す。従って内面(SU)は、型部品を閉じるときに形成される型キャビティに面している。
【0015】
本発明の工程(1)において、型部品の少なくとも1つは、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層を用いてその内面(SU)を構造化することができる。「マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層」という用語は、マイクロ構造及び/又はナノ構造、及び少なくとも1つのシリコーン化合物を含む層を指す。そのような層は、例えば、硬化シリコーンエラストマーで作ることができ、又は少なくとも1つのシリコーン化合物を含有する材料で作ることができる。後者の場合、そのような層は、単層又は多層であってよい。多層の場合、少なくとも、型部品によって形成される内部キャビティに隣接している外側の構造化層は、少なくとも1つのシリコーン化合物を含有する。
【0016】
工程(1)で使用されるシリコーン含有層は、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する。ここでマイクロ構造とは、構造幅及び/又は構造高さに関して、マイクロメートル範囲の特性を有する構造である。ここでナノ構造とは、構造幅及び/又は構造高さに関して、ナノメートル範囲の特性を有する構造である。ここでマイクロ構造及びナノ構造とは、ナノメートル範囲の構造幅及びマイクロメートル範囲の構造高さ、又はその逆を有する構造である。「構造高さ」及び「構造深さ」という用語は、ここでは交換可能である。それぞれの表面の構造幅及び構造高さは、好ましくは、表面の断面の生成、及び光学顕微鏡による前記断面の構造高さ及び構造幅の決定により、決定される。
【0017】
本発明の工程(2)において、適用された組成物(C2a)をフラッシュオフする。これは、組成物(C2a)中に存在する溶媒の能動的又は受動的蒸発が、通常は周囲温度よりも高い温度、例えば40~140℃で行われることを意味する。工程(2)におけるフラッシュオフは、組成物(C2a)の適用の前又は後に型を加熱することによって行うことができる。組成物(C2a)は、適用直後及びフラッシュオフの開始時にまだ流動性があり、従って、フラッシュオフ段階の間に均一で滑らかなコーティング膜を形成することができる。しかしながら、フラッシュ後のコーティング組成物(C2a)から得られる層は、まだ使用可能な状態ではない。それは実際には、例えばもはや流体ではないが、まだ軟質であるか又は粘着性であり、そして部分的にのみ乾燥している。特に、コーティング組成物(C2a)から得られた層は、以下に述べるように、まだ架橋されていない。
【0018】
プロセス工程(6)及び任意に(7)において、組成物(C2a)、組成物(C3a)、及び任意のさらなる組成物(C4a)は、少なくとも部分的に架橋される。これは、これらの組成物の硬化、換言すれば、これら組成物のすぐに使用できる状態、すなわち、前記の硬化した組成物を含む物品を意図したとおりに使用できる状態へ変換することを意味する。従って、少なくとも部分的に架橋された組成物は、特に、もはや軟質でも粘着性でもなく、代わりに固体コーティングフィルム又は固体物品にそれぞれ調整されている。後述するような架橋条件にさらに暴露しても、フィルム又は物品は、その特性、例えば硬度又は基材への接着性などの実質的な変化をもはや示さない。
【0019】
本発明の方法で使用される組成物(C2a)、(C3a)及びさらなる組成物(C4a)の少なくとも部分的な硬化は、バインダー及び架橋剤などの含まれる成分に応じて、物理的及び/又は化学的に行うことができる。組成物は特に、少なくとも部分的に化学的硬化させる。化学的硬化は、熱化学的硬化及び光化学的硬化を包含する。熱化学的に硬化可能な組成物は、自己架橋性及び/又は外部架橋性であってよい。関連する機構、及び使用できるバインダー及び架橋剤(フィルム形成成分)については、以下に後述する。本発明の文脈では、用語「熱化学的に硬化可能な」及び「熱化学的硬化」はそれぞれ、熱エネルギーによってこの化学反応をエネルギー活性化する可能性を有する、反応性官能基の化学反応によって開始される組成物の架橋(硬化した組成物の形成)を指す。ここで、互いに相補的である様々な官能基は互いに反応してよく(相補的官能基)、及び/又は硬化した組成物の形成は自己反応性基の反応に基づいており、この自己反応性基は、自身と同種類の基と反応する官能基である。適した相補的反応性官能基及び自己反応性官能基の例は、例えばドイツ特許出願DE19930665A1、第7頁28行目~第9頁24行目より公知である。この架橋は、自己架橋及び/又は外部架橋であってよい。例えば、バインダーとして使用される有機ポリマー中に、例えばポリエステル、ポリウレタン又はポリ(メタ)アクリレート中に、相補的反応性官能基が既に存在する場合、関連する架橋は自己架橋である。外部架橋は、例えば、(第1の)有機ポリマー又は特定の官能基、例えばヒドロキシル基を含有する第1の化合物が、従来の架橋剤、例えばポリイソシアネート及び/又はメラミン樹脂と反応する場合に関連する。従って架橋剤は、バインダーとして使用される(第1の)有機ポリマー中に存在する反応性官能基に対して相補的である反応性官能基を含有する。特に外部架橋の場合、想定される系は、従来の多成分系、特に2成分系である。これらの系では、例えばバインダー及び架橋剤としての有機ポリマーのように、架橋されるべき成分は、少なくとも2つの成分中に互いに別々に存在し、これらは適用の直前まで組み合わされない。この形態は、架橋されるべき成分が、例えば周囲温度又は40~90℃というわずかに上昇した温度においても、互いに効果的に反応する場合に選択される。例として述べ得る組み合わせは、ヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はポリウレタン及び/又はポリ(メタ)アクリレートと、架橋剤としての遊離ポリイソシアネートとのものである。また、バインダーとしての有機ポリマーは、自己架橋性の官能基だけでなく外部架橋性の官能基も有し、そしてさらに架橋剤と組み合わせることも可能である。
【0020】
化学的に硬化可能であると表示された組成物の少なくとも部分的な硬化においては、ポリマー鎖の相互ループに対して、当然、何らかの物理的硬化が常に存在する。物理的硬化が大幅な割合を占めることさえある。それにもかかわらず、この種の組成物は、化学的に硬化可能なフィルム形成成分を少なくとも比例的に含む場合、化学的に硬化可能であると呼ぶ。以上のことから、コーティング組成物及びそれが含む成分の性質に応じて、少なくとも部分的な硬化は様々な機構によってもたらされ、当然ながら様々な硬化条件、特に様々な硬化温度及び硬化時間も必要となる。それは原則として、そして本発明の文脈において、熱化学的に硬化可能な2成分又は3成分系の少なくとも部分的な硬化が、例えば40~90℃の温度、特に例えば、40~90℃の温度で、5~80分、好ましくは4~10分の持続時間で行うことができる場合である。そしてそれは、より低い温度及び/又はより短い時間で予備硬化のフラッシュ段階が存在する場合である。予備硬化のフラッシュ段階は、例えば15~90℃で、例えば0.2~6分間の持続時間で実施してよいが、いずれにしても、その後の硬化よりも短い時間及び/又は低い温度で行う。
【0021】
本発明の文脈において明らかにされたすべての温度は、組成物が存在する成形ツールの温度として理解されるべきである。従ってこれは、組成物自体が対応する温度を有していなければならないという意味ではない。
【0022】
特定の特性変数を決定するために本発明の文脈において使用される測定方法は、実施例のセクションに記載されている。特に明記しない限り、これらの測定方法は、それぞれの特性変数を決定するために使用される。本発明の文脈において、公式の有効期間の表示なく公式の規格への言及がなされる場合、その言及は、暗黙のうちに、出願日に有効である当該規格の版への言及、又は、その時点で有効な版がない場合は、最後の有効な版への言及である。
【0023】
「ポリ(メタ)アクリレート」という用語は、ポリアクリレート及びポリメタクリレートの両方を指す。従ってポリ(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートから構成されていてよく、さらなるエチレン性不飽和モノマー、例えばスチレン又はアクリル酸を含んでよい。
【0024】
本発明の文脈において報告されるあらゆる膜厚は、乾燥膜厚として理解されるべきである。従ってこれは、各場合とも硬化した膜の厚さである。よってコーティング材料が特定の膜厚で適用されることが報告されている場合、これは、硬化後に記載の膜厚になるようにコーティング材料を適用することを意味する。
【0025】
本発明の方法:
本発明の方法は、単一の成形プロセスにおいて、少なくとも1つのコーティング層によって任意にコーティングされる少なくとも1つの構造化表面を含む成形物品を製造するために使用することができる。
【0026】
本発明の方法において、少なくとも1つの構造化表面を含む成形物品、すなわち構造化物品が製造される。本発明の意味における「構造化物品」とは、少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含む物品、好ましくは加工中製品又は組立製品である。構造化物品は、成形プロセス中に、前記物品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、少なくとも1つのコーティングで任意にコーティングすることができる。本発明によれば、物品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部のテクスチャー及び任意のコーティングは、少なくとも1つの構造化された型部品及び任意に少なくとも1つのコーティング組成物を、成形プロセスによる前記物品の製造中に使用することによって、達成される。コーティング組成物(C2a)を工程(2)において、構造化シリコーン含有層を含む少なくとも1つの型部品の少なくとも1つの内面(SU)に適用し、その後に組成物(C3a)を工程(5)において適用することにより、構造化物品のコーティングが提供される。
【0027】
本発明による方法は、手動プロセスか又は自動プロセスのいずれかでよい。本発明の文脈における手動プロセスは、各プロセス工程が厳密なサイクル時間に結びつかないプロセスである。よって手動プロセスでは、プロセスの複数回の繰り返しの間、各プロセス工程のサイクル時間に著しい変動が存在する。しかしながら、本発明の意味における「手動プロセス」という用語は、そのようなプロセスが自動化されたプロセス工程、例えばロボットの使用を含んではならないことを意味するものではない。これとは対照的に、本発明の意味における自動プロセスは、個々のプロセス工程が厳密なサイクル時間に結びついたプロセスであり、言い換えれば、プロセスの複数回の繰り返しにおいて、プロセス工程のサイクル時間が同一であるか、又は大きく変化しないプロセスである。
【0028】
工程(1):
本発明の方法の工程(1)では、互いに対して移動することができ、型キャビティを形成する少なくとも2つの型部品を有する閉鎖可能な三次元型(MO)が提供される。本発明に関連して、型(MO)は、2つを超える型部品、例えば3~10個の型部品で形成されていてもよい。少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層が、型部品のうちの少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部に取り付けられる。これにより、型部品のうちの少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部が、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層で覆われる。
【0029】
少なくとも2つの型部品を有する閉鎖可能な三次元型(MO)は、金属型、ポリマー型、又は金属及びポリマーの型部品を含む型であってよい。この点に関して、型部品は好ましくは、金属の型部品、好ましくは鋼、ニッケル又は銅の型部品、非常に好ましくは鋼の型部品、及び/又はポリマーの型部品、好ましくはポリアミドの型部品から選択される。
【0030】
少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層を、型部品のうちの少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部へ取り付けるのは、シリコーン含有層の非構造化側を、型部品のうちの少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部へ取り付け、シリコーン含有層の構造化側が、閉鎖型部品によって形成される型キャビティに隣接するようにすることによって、容易になる。取り付けられたシリコーン含有層は、それぞれの型部品の内面(SU)の少なくとも一部に任意に固定することができる。用いられるのは、種々の形態の仮接着、例えば、型表面と構造化シリコーン含有層の表面における周囲空気温度との間の表面温度差に起因する圧力差、所定の位置で型部品の内面に設けられた真空、ロボット開口(robotic aperture)、クランプ手段、又は磁力である。接着層を使用してシリコーン含有層を取り付ける場合、前記接着剤層は、例えば熱及び/又は溶媒を適用することによって除去可能であることが好ましい。クランプ手段を使用する場合、型部品は、型を十分に閉じることができるように、前記クランプ手段を取り付けるための適した手段を含んでよい。シリコーン含有層をそれぞれの型部品に固定することにより、前記層及び/又は複合材料を型部品の内面(SU)の少なくとも一部に安定して搭載することができ、後のプロセス工程、例えば組成物(C2a)、(C3a)又は(C4a)の適用中に、前記層がずれるのを回避することができる。
【0031】
少なくとも1つのシリコーン含有層は、好ましくは、
(i) 複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)、及び/又は
(ii) 基材(S1)と、少なくとも1つのシリコーン化合物及び複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化コーティング層(C1)とを含む少なくとも1つの複合材料(S1C1)
から選択される。
【0032】
用語「マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)」は、シリコーン、例えば硬化シリコーンエラストマーで作られた層を指す。このようなマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層は、例えば、液体の架橋可能なシリコーンポリマーを、それぞれのパターンが(例えばレーザーを用いて)形成された型の上に流し込み、前記シリコーンポリマーを硬化させ、そして形成されたマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層を除去することによって、得ることができる。このようにして得られたシリコーン層は、片面に、シリコーン層を調製するために使用される型のポジパターン又はネガパターンを有する。あるいは、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)は、硬化シリコーン層をレーザーによって構造化することにより得ることができる。
【0033】
マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)の調製:
好ましくは、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)は、
(i) 硬化シリコーン層を、任意に担体材料(CM1)上に、提供する工程、及び
(ii) 硬化シリコーン層の表面をレーザーにより構造化して、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)を提供する工程
によって得られる。
【0034】
適した担体材料(CM1)は、織物、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド又はポリカーボネートのフィルム、好ましくはPET又はPENフィルム、ガラス繊維生地、ガラス繊維及び適したポリマー材料、紙、アルミニウム、鋼、磁性鋼又は他の鉄合金でできた複合材料からなる群から選択される。前記担体材料(CM1)を用いることにより、特に厚さがわずかしかない構造化シリコーン層(SiL)を用いる場合に、得られる構造化シリコーン層(SiL)をより良好に取り扱い且つ取り付けることができる。硬化シリコーン層の担体材料(CM1)への取り付けは、担体材料(CM1)上のシリコーンエラストマーを直接硬化させることによって、又は先に硬化させたシリコーン層を担体材料(CM1)に取り付けることによって、容易にすることができる。後者の場合、担体材料及び/又は硬化シリコーン層は、硬化シリコーン層と担体材料(CM1)との間の接着を改善するために、接着層を含んでもよい。
【0035】
硬化シリコーン層は、好ましくは、(i)脂肪族炭素-炭素多重結合を有するラジカルを有する少なくとも1つの化合物と、Si-結合水素原子を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、及び/又は脂肪族炭素-炭素多重結合を有するSiC-結合ラジカル及びSi-結合水素原子を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサンとを、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒の存在下で付加架橋する、又は(ii)縮合可能な末端基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン及び/又はシリコーンに結合している加水分解可能な基を1分子当たり少なくとも3つ任意に有する少なくとも1つのオルガノシリコーン化合物を、少なくとも1つの縮合触媒の存在下で縮合架橋することによって得られる。
【0036】
従って工程(i)において硬化シリコーン層を調製するために使用される付加架橋シリコーン組成物は、
- 脂肪族炭素-炭素多重結合を有するラジカルを有する少なくとも1つの化合物(A)、及びSi-結合水素原子を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサン(B)、
及び/又は
- 脂肪族炭素-炭素多重結合を有するSiC-結合ラジカル及びSi-結合水素原子を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサン(C)
及び
- 少なくとも1つのヒドロシリル化触媒(D)
を含む。
【0037】
付加反応によって架橋する適した架橋シリコーンゴムは、室温で架橋する2成分系であり、付加架橋RTV-2シリコーンゴムとして知られる。付加架橋RTV-2シリコーンゴムは、ポリエチレン不飽和基、好ましくはビニル基によって置換されたオルガノポリシロキサンと、Si-H基で多置換されたオルガノポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒、好ましくは白金触媒の存在下で架橋することによって、得られる。
【0038】
好ましくは、成分の1つは、R3SiO[-SiR2O]n-SiR3構造のジアルキルポリシロキサンからなり、式中、n≧0であり、一般にアルキルラジカル中に1~4個の炭素原子を有し、アルキルラジカルのいくつか又はすべては、フェニルラジカルなどのアリールラジカルによって置換されてよく、そして一方の又は両端の末端Rラジカルの1つは、ビニル基などの重合性基によって置換されてもよい。シロキサン鎖中のいくつかのRラジカルが、末端基のRラジカルと組み合わせて重合性基によって置換されることも、同等に可能である。CH2=CH2-R2SiO[-SiR2O]n-SiR2-CH2=CH2構造の直鎖状ビニルエンドキャップされたポリジメチルシロキサンを、(A)成分として用いることが好ましく、その粘度は、各場合とも25℃で0.01~500,000Pa*s、より好ましくは0.1~100,000Pa*sである。
【0039】
第2の成分はSi-H官能性架橋剤を含み、そして好ましくはオルガノポリシロキサン(B)の総質量に基づいて、0.04~1.7質量パーセント(wt%)の範囲でSi-結合水素を含有する。典型的に使用されるポリアルキルヒドロシロキサンは、ジアルキルポリシロキサンとポリアルキルヒドロシロキサンから形成されるコポリマーで、一般式R’3SiO[-SiR2O]n-[SiHRO]m-SiR’3であり、式中、m≧0、n≧0であるが、少なくとも2つのSiH基が存在しなければならないという条件付きであり、R’はH又はRと定義されてもよい。よってペンダント基及び末端SiH基を有する架橋剤があり、一方で、R’が、末端SiH基のみを有するHであるシロキサンも、鎖延長に使用することができる。特に好ましいのは、低分子量のSiH-官能性化合物、例えばテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン及びテトラメチルシクロテトラシロキサン、及び高分子量のSiH-含有シロキサン、例えばポリ(水素-メチル)シロキサン及びポリ(ジメチル水素メチル)シロキサン(25℃における粘度が10~20,000mPa*s)、又はメチル基の一部が3,3,3-トリフルオロプロピル又はフェニル基によって置換されている同様のSiH-含有化合物の使用である。
【0040】
第3の成分(C)の例として、MP樹脂として知られているSiO4/2、R1
3SiO1/2、R1
2R2SiO1/2、及びR1
2HSiO1/2単位を含むものが挙げられ、これら樹脂は、R1SiO3/2及びR1
2SiO単位、及びまた実質的にR1
2R2SiO1/2、R1
2SiO、及びR1HSiO単位からなる直鎖オルガノポリシロキサンをさらに含有してよく、R1及びR2は前述の定義を満たす。オルガノポリシロキサン(C)は、好ましくは、各場合とも25℃において0.01~500,000Pa*s、より好ましくは0.1~100,000Pa*sの平均粘度を有する。
【0041】
付加架橋性シリコーン組成物は、その全質量に基づいて、30~95wt%、好ましくは30~80wt%、及びより好ましくは40~70wt%の成分(A)、0.1~60wt%、好ましくは0.5~50wt%、及びより好ましくは1~30wt%の成分(B)、及び30~95wt%、好ましくは30~80wt%、より好ましくは40~70wt%の成分(C)を慣例的に含有する。
【0042】
加水分解触媒(D)は、白金族金属、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、又はイリジウム、又はこれらの有機金属化合物、又はこれらの組み合わせであってよい。成分(D)の例は、ヘキサクロロ白金(IV)酸、二塩化白金、アセチルアセトナート白金などの化合物、及びマトリックス又はコア/シェル様構造にカプセル化したこれら化合物の錯体である。低分子量のオルガノポリシロキサンを有する白金錯体には、白金を有する1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体が含まれる。他の例は、白金-ホスファイト錯体又は白金-ホスフィン錯体である。成分(D)の量は、成分の総質量に応じて、0.1~1000百万分率(ppm)、0.5~100ppm、又は1~25ppmの白金族金属でよい。
【0043】
硬化シリコーン層を調製するために工程(i)で使用される縮合架橋シリコーン組成物は、好ましくは、
a) 縮合可能な末端基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン及び/又は
b) シリコーンに結合している加水分解可能な基を1分子当たり少なくとも3つ任意に有する少なくとも1つのオルガノシリコーン化合物、及び
c) 少なくとも1つの縮合触媒
を含有する。
【0044】
縮合反応により架橋する適した架橋シリコーンゴムは、例えば、室温で架橋する1成分系であり、RTV-1シリコーンゴムとしても知られる。RTV-1シリコーンゴムは、触媒の存在下、室温での縮合によって架橋する縮合可能な末端基を有するオルガノポリシロキサンである。最も一般的に使用されるオルガノポリシロキサンは、鎖長n>2のR3SiO[-SiR2O]n-SiR3構造のジアルキルポリシロキサンである。アルキルラジカルRは、同一であっても異なっていてもよく、一般に1~4個の炭素原子を有し、そして任意に置換されていてもよい。アルキルラジカルRのいくつかは、他のラジカル、好ましくは、任意に置換されたアリールラジカルで置き換えてもよく、この場合、アルキル(アリール)基Rのいくつかは、縮合架橋できる基、例えばアルコール、アセテート、アミン又はオキシムラジカルと交換される。
【0045】
縮合反応により架橋するさらに適した架橋シリコーンゴムは、室温で架橋する2成分系であり、RTV-2シリコーンゴムとしても知られている。RTV-2シリコーンゴムは、ケイ酸エステルの存在下、ヒドロキシル基で多置換されたオルガノポリシロキサンの縮合架橋によって得られる。使用される架橋剤は、アルコキシ、オキシム、アミン又はアセテート基を有するアルキルシランであってもよい。
【0046】
RTV-1及びRTV-2シリコーンゴム中に存在するポリジアルキルシロキサンの例は、鎖長n>2の式(OH)R2SiO[-SiR2O]n-SiR2(OH)のものであり、式中、アルキルラジカルRは同一であっても異なっていてもよく、一般に1~4個の炭素原子を含有し、そして任意に置換されてよい。アルキルラジカルRのいくつかは、他のラジカル、好ましくは、任意に置換されたアリールラジカルで置き換えてもよい。ポリジアルキルシロキサンは、好ましくは、ケイ酸エステル又はアルキルシラン/スズ(チタン)触媒系と室温で架橋する末端OH基を含有する。
【0047】
加水分解性基を有し、RTV-1及びRTV-2シリコーンゴム中に存在するアルキルシランの例は、式RaSi(OX)4-aのものであり、式中、a=1~3(好ましくは1)であり、そしてXは、R”(アルコキシ架橋剤)、C(O)R”(アセテート架橋剤)、N=CR”2(オキシム架橋剤)又はNR”2(アミン架橋剤)と定義され、R”は1~6個の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルである。
【0048】
架橋は、適した触媒、例えば、スズ又はチタン触媒、又はアルキルシランとスズ又はチタン触媒との混合物によって触媒される。
【0049】
付加架橋又は縮合架橋シリコーン組成物は、添加剤及び補助剤、例えば、例として、IR吸収体、染料、分散剤、帯電防止剤、可塑剤及び研磨粒子をさらに含んでよい。しかしながら、そのような添加剤の量は、該して、それぞれのシリコーン組成物の全成分の量に基づいて、30質量%を超えてはならない。
【0050】
工程(i)の後に得られた硬化シリコーン層は、複数の個別の層、好ましくは個別のシリコーン層から構成されていてもよい。これらの部分層は、同じ、ほぼ同じ、又は異なる材料組成であってよい。硬化シリコーン層は、任意に、300μm以下の厚さの最上層をさらに有することができる。そのような最上層の組成は、最適な彫刻性及び機械的安定性に関連して選択することができ、一方でその下の層の組成は、最適な硬度又は弾性に関連して選択する。最上層は、それ自体がレーザー彫刻可能でなければならないか、又はレーザー彫刻の過程で下層と共に少なくとも除去可能でなければならない。
【0051】
工程(i)は、付加架橋又は縮合架橋シリコーン組成物の全ての成分を適した溶媒に溶解又は分散させ、前記分散液又は溶液を基材上に流し込むことによって行うことができる。担体材料を用いる場合には、前記分散液又は溶液を前記担体材料(CM1)上に注ぐことが好ましい。多層要素の場合、複数の層は、原則として既知の方法で互いに重ねてキャストすることができる。「ウェットインウェット(wet-in-wet)」法を用いる場合、層は互いによく結合する。最上層を上に注ぐこともできる。最終的に、全ての層を、好ましくは加熱によって硬化させる。あるいは、個々の層を、例えば、一時的な基材上にキャストし、硬化させ、そして得られた層を、その後、積層によって互いに結合させる。キャスト後、出発材料を損傷から保護するためのカバーシートを任意に適用することもできる。
【0052】
工程(ii)では、工程(i)で得られた硬化シリコーン層の表面をレーザーにより構造化する。担体材料(CM)を使用する場合には、担体材料(CM)と接触していない硬化シリコーン層の表面をレーザーにより構造化する。担体材料(CM)を用いない場合には、硬化シリコーン層の1つの表面のみをレーザーにより構造化することが好ましい。レーザー彫刻による構造化のための前提条件は、レーザー放射線が硬化シリコーン層によって吸収されること、及びレーザービームのある閾値エネルギーがポリマー層に導入されることである。選択されたレーザ放射に対する記録層の吸収は、可能な限り高くすべきである(平均出力密度は、典型的には>10kW/cm2、好ましくは>100kW/cm2である)。
【0053】
硬化シリコーン層のレーザー構造化では、大量の硬化シリコーン材料を除去しなければならない。従って強力なレーザーが好ましい。IRレーザーは特にレーザー彫刻に適している。しかし、レーザーが十分な強度であれば、より短い波長のレーザーを使用することも可能である。例えば、周波数2倍(532nm)又は周波数3倍(355nm)のNd-YAGレーザー、又はエキシマレーザー(例えば248nm)を使用することができる。レーザー彫刻操作には、例えば、10,640nmの波長を有するCO2レーザーを利用してよい。600~2,000nmの範囲の波長を有するレーザーを用いることが、特に好ましい。例えば、Nd-YAGレーザー(1,064nm)、IRダイオードレーザー、又は固体レーザー等を用いることができる。Nd/YAGレーザーは、かなり高い分解能が得られ、実質的に微細な構造を硬化シリコーン層の表面に彫刻できるので、特に好ましい。彫刻すべき画像情報は、レイアウトコンピュータシステムからレーザー装置に直接転送される。レーザーは連続的に又はパルスモードで操作することができる。
【0054】
構造を彫刻するために、硬化シリコーン層は、レーザーに対して、又はレーザービーム又はレーザーパルス(以下、略して「レーザー」とも呼ぶ)を放出するレーザー構成要素に対して動かされ、そしてレーザーは、その動きに従って電子的に変調され、その結果、所望のパターンが生成される。
【0055】
例えば、レーザー彫刻可能な層又は適した層複合材料は、例えばプラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、金属又はフォームのシリンダーに、例えば、粘着テープ、減圧、クランプ装置又は磁力によって適用することができる。取り付けられた硬化シリコーン層を含むシリンダーを、その後回転させ、そして任意に軸方向に移動させ、その間、レーザーを、シリンダーの移動に応じて電子制御下で変調させる。しかしながら、硬化シリコーン層を平面状に配置することも可能である。この場合、硬化シリコーン層とレーザーは、硬化シリコーン層の平面内で互いに対して移動し、レーザーは、相対的な移動に応じて電子制御下で変調させる。さらに、硬化シリコーン層は、彫刻プロセスの前に、型部品(複数可)の内面の少なくとも一部に取り付けることもできる。この場合、型部品とレーザーは、互いに対して移動する。彫刻プロセスの後、構造化されたシリコーン層を洗浄剤で洗浄して、工程(ii)の後に表面上に存在する彫刻残留物を除去することができる。
【0056】
方法の工程(ii)後のマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)の総計の厚さは、好ましくは1~10mm、好ましくは0.5~3mm、非常に好ましくは2~3mmである。総計の厚さは、例えば、シリコーン層(SiL)の断面の生成及び光学顕微鏡による前記断面の厚さの決定によって決定することができる。これにより、総厚さは、突出表面要素において測定されたシリコーン層(SiL)の最大厚さに対応する。
【0057】
マイクロ構造化及び/又はナノ構造化複合材料(S1C1)の製造:
前述の構造化シリコーン層(SiL)の代わりに、又はその次に、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化複合材料(S1C1)を本発明の方法内で使用することができる。前記マイクロ構造化及び/又はナノ構造化複合材料(S1C1)は、好ましくは、
(I) 放射線硬化性コーティング組成物(C1a)を、基材(S1)の表面の少なくとも一部に適用して、複合材料(S1C1a)を得る工程、
(II) 基材(S1)の表面に少なくとも部分的に適用されたコーティング組成物(C1a)を、少なくとも1つのエンボス加工型(e1)を含む少なくとも1つのエンボス加工用具(E1)によって、少なくとも部分的にエンボス加工する工程、
(III) 基材(S1)に少なくとも部分的に適用された少なくとも部分的にエンボス加工されたコーティング組成物(C1a)を少なくとも部分的に硬化させる工程であって、少なくとも部分的に硬化させる期間を通して、基材(S1)とエンボス加工用具(E1)の少なくとも1つのエンボス加工型(e1)とが接触している、硬化させる工程、
(IV) 複合材料(S1C1)をエンボス加工用具(E1)のエンボス加工型(e1)から(又はその反対で)取り外して、少なくとも部分的にエンボス加工され且つ少なくとも部分的に硬化させた複合材料(S1C1)を提供する工程
によって得られる。
【0058】
用語「エンボス加工」は、工程(II)後のコーティング組成物(C1a)の表面の少なくとも一部、又は工程(III)後の少なくとも部分的に硬化させたコーティング層(C1)の表面の少なくとも一部が、エンボス加工された構造を示す方法を指す。この場合、コーティング組成物(C1a)又はコーティング層(C1)の少なくとも或る一定の領域にエンボス加工された構造を設ける。好ましくは、コーティング組成物(C1a)又はコーティング層(C1)の全面にエンボス加工された構造を設ける。
【0059】
工程(I)において、放射線硬化性コーティング組成物(C1a)を、基材(S1)の表面の少なくとも一部に適用する。このように基材(S1)は、コーティング組成物(C1a)又は硬化させたコーティング層(C1)それぞれのための担体材料を構成する。さらなる層、例えば、好ましくはUV放射に対して透過性である接着促進層が、複合材料(S1C1)において(S1)と(C1)との間に存在することができる。しかしながら、複合材料(S1C1)において(S1)と(C1)の間にさらなる層が存在しない場合が好ましい。基材(S1)、又はコーティングされた基材を使用する場合、基材(S1)の表面に位置し且つコーティング組成物(C1a)と接触している層は、好ましくは少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、より具体的には、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、ポリエステル(ポリカーボネート及びポリビニルアセテート、好ましくはPBT及びPETなどのポリエステルを含む)、ポリアミド、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレンコポリマー(A-EPDM)、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン(熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む)、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーからなる。特に好ましい基材、又はその表面の層は、ポリオレフィン、例えば、例として、PP(ポリプロピレン)などであり、これは代替として、アイソタクチック、シンジオタクチック又はアタクチックであってもよく、そして代替として、単軸延伸又は二軸延伸により方向性がある又は方向性がない、SAN(スチレン-アクリロニトリルコポリマー)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PBT(ポリ(ブチレンテレフタレート)(複数可))、PA(ポリアミド)、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリルエステルコポリマー)及びABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー)、及びさらにそれらの物理混合物(ブレンド)であってもよい。PP、SAN、ABS、ASA、及びABS又はASAとPA又はPBT又はPCとのブレンドが、特に好ましい。特に好ましくは、PET、PBT、PP、PE及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は耐衝撃性改質PMMAである。基材(S1)の材料として使用するため、ポリエステルが特に好ましく、PETが最も好ましい。代替として、基材(S1)自体(任意に、そこに適用される少なくとも1つの上述のポリマーの層が存在するにもかかわらず)は、ガラス、セラミック、金属、紙及び/又は生地など様々な材料で作られてもよい。その場合、基材(S1)は、好ましくはプレートであり、例えば、ロールツープレート(R2P)エンボス加工装置に使用されてもよい。基材(S1)の放射線に対する透過性は、好ましくは、コーティング組成物(C1a)において使用される少なくとも1つの光開始剤の吸収極大と調和させる。
【0060】
基材(S1)の厚さは、好ましくは2μm~5mm以下である。特に好ましくは、層厚は25~1000μm、より具体的には50~300μmである。
【0061】
基材(S1)は、好ましくはフィルムであり、より好ましくはフィルムウェブであり、非常に好ましくは連続フィルムウェブである。この場合、基材(S1)は、好ましくはロールツーロール(R2R)エンボス加工装置に用いる。本発明の意味において、「連続フィルム」又は「連続フィルムウェブ」という用語は、好ましくは、100m~10kmの長さを有するフィルムを指す。
【0062】
コーティング組成物(C1a)は、好ましくは、
a) 少なくとも1つの架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマー、
b) 少なくとも1つの反応性希釈剤、
c) 少なくとも1つの光開始剤、及び
d) 任意に少なくとも1つの添加剤
を含み、コーティング組成物(C1a)は、好ましくは架橋可能なシリコーン含有ポリマー及び/又はオリゴマーから選択される少なくとも1つのシリコーン化合物を含有する。架橋可能なシリコーン含有ポリマー及び/又はオリゴマーの使用は、シリコーン化合物が少なくとも部分的に硬化させたコーティング(C1)内に化学的に結合されることを確実にし、それ故本発明の方法の間、シリコーン化合物がコーティング(C1)から組成物(C3a)及びさらに任意の組成物及び材料へ移動するのを最小限にするので、前記シリコーン化合物を除去するための後洗浄又は研磨プロセスが不要となる。
【0063】
本発明の意味における「シリコーン化合物又はシリコーン含有化合物」という用語は、少なくとも1つのシリコーン原子を含む化合物を指す。少なくとも1つのシリコーン化合物が架橋可能なシリコーン含有ポリマー及び/又はオリゴマーである場合、少なくとも部分的に硬化させたコーティング(C1)は、重合した形態、すなわち、コーティング組成物(C1a)の少なくとも部分的な硬化の間に、さらなる架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマー及び/又は反応性希釈剤とそれぞれ架橋反応を経た形態のシリコーン化合物を含有する。しかしながら、本発明においては、シリコーン含有反応性希釈剤又はシリコーン含有添加剤から選択されるシリコーン化合物を使用することも可能である。
【0064】
少なくとも1つの架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマーは、好ましくは、(メタ)アクリレート化オリゴマー又はポリマー化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、オレフィン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート化オイル、シリコーン(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物、好ましくはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びシリコーン(メタ)アクリレートから選択される。「オリゴマー」という用語は、少数の、典型的には30未満のモノマー単位からなる比較的低分子量の化合物を指す。モノマー単位は、構造的に同一であるか又は類似していてよく、又はそれらは互いに異なっていてよい。オリゴマー化合物は、典型的には、室温及び大気圧で液体であり、このことにより、動的粘度は、DIN EN ISO2555(Brookfield法)に準拠して測定して、好ましくは、23℃で500Pa*s未満、及びより好ましくは200Pa*s未満である。「架橋可能な」という用語は、架橋反応のためのフリーラジカルを形成することができるぶら下がった(pending)不飽和基を平均で少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個有するポリマー又はオリゴマーを指す。架橋可能なオリゴマー及び/又はポリマー化合物は、好ましくは、1種以上の反応性希釈剤に可溶である。
【0065】
コーティング組成物(C1a)は、好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマー、特に、平均0.5~3個の不飽和基を含むウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。本発明に有用なシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーは、典型的には、(メタ)アクリル酸とヒドロキシ官能性シリコーン(例えばα,ω-ポリジメチルシリコーンジオール)との縮合反応によって、又はエポキシ官能性シリコーン(例えば、ペンダントエポキシ基を含むポリジメチルシリコーン)と(メタ)アクリル酸との反応によって、調製することができる。それらのシリコーン骨格のために、シリコーンアクリレートは、構造化表面の弾性及び伸びを改善するが、それらの引張強度及び堅牢性を損なう傾向がある。高官能シリコーン(メタ)アクリレートは、その低い表面エネルギー特性が理由でしばしば使用される。有用なシリコーン(メタ)アクリレートの例には、Sartomer Co.社から商品名SARTOMER(例:SARTOMER CN9800)で、UCB Radcure Inc.社から商品名EBECRYL(例えばEBECRYL350、EBECRYL1360)で、Shin-Etsu Silicones Europe B.V.社から商品名X-22(例えばX-22-164、X-22-164A)で、及びEvonik Industries社から商品名TEGO RAD(例えばTEGO RAD2500、TEGO RAD2800)で市販されているものが含まれる。
【0066】
コーティング組成物(C1a)の第1の特に好ましい実施形態によれば、前記コーティング組成物は、コーティング組成物(C1a)中に存在する全ての架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマーの総質量に基づいて、少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、非常に好ましくは100質量%の少なくとも1つのシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー、好ましくは平均0.5~3個の不飽和基を含む少なくとも1つのシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
【0067】
コーティング組成物(C1a)の第2の特に好ましい実施形態によれば、前記コーティング組成物は、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートと少なくとも1つのシリコーン(メタ)アクリレートとを含み、シリコーン(メタ)アクリレートは、各場合ともコーティング組成物(C1a)中に存在する全ての架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマーの総量に基づいて、0.1~25質量%、好ましくは0.5~20質量%、非常に好ましくは0.8~12質量%の総量で存在する。好ましいコーティング組成物(C1a)は、少なくとも1つの架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマーを、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、5~45質量%、より好ましくは8~40質量%、非常に好ましくは9~35質量%の総量で含む。
【0068】
適した反応性希釈剤は、オリゴマー及び/又はポリマー化合物と重合可能であり、硬化させたコーティング組成物(C1a)の共重合エラストマーネットワークを含む複合材料(S1C1)を形成する。反応性希釈剤という用語は、重合反応に関与してポリマー材料を形成することができる低質量モノマーを指す。このようなモノマー化合物の質量平均分子量Mwは、好ましくは、GPCにより決定して1,000g/モル未満、及びより好ましくは750g/モル未満である。
【0069】
好ましくは、反応性希釈剤は、フリーラジカル重合可能なモノマーであり、そして例えば、エチレン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルアセテート及びそれらの混合物を含む。好ましいモノマーには、(メタ)アクリロイル官能性モノマー、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-ビニル化合物及びそれらの組み合わせが含まれる。適したモノマーは当業者に知られており、例えばWO2012/006207A1に列挙されている。
【0070】
特に好ましいマスターコーティング(C1a)は、架橋密度を増加させるために、少なくとも1つの多官能性エチレン性不飽和モノマー、すなわち、1分子中に少なくとも2つの重合可能な二重結合を有する化合物を、反応性希釈剤として含む。このような多官能性モノマーの代表例は、例えば、WO2012/006207A1に列挙されている。特に好ましい反応性希釈剤は、ヘキサンジオールジアクリレート、及び/又は互いに異なるか若しくは一般式(I)
【化1】
(式中、
ラジカルR
1は、互いに独立して、C
2~C
8アルキレン基、非常に好ましくはC
2アルキレン基であり、
ラジカルR
2は、互いに独立して、H又はメチルであり、そして
パラメータmは、互いに独立して、1~15の範囲、非常に好ましくは1~4又は2~4の整数であるが、ただし、式(I)の構造単位の少なくとも1つにおいて、パラメータmは少なくとも2、好ましくは正確に2であることを条件とする)
と同一であってよい、少なくとも2つ、好ましくは正確に3つの構造単位を含む化合物から選択される。
【0071】
一般式(I)のあらゆる構造単位は、記号
【化2】
を介して、前記反応性希釈剤の骨格に付着する。この結合は、好ましくは、ラジカル-[O-R
1]
m-の酸素原子と、成分の骨格の炭素原子との結合を介して好ましくは生じる。よって一般式(I)の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの構造単位は、単一成分、すなわち反応性希釈剤b)内に存在する。適した骨格は、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリスリトールから選択される。
【0072】
前記化合物は、好ましくは、一般式「-O-R1-」のエーテル基を、4~18の範囲、より好ましくは5~15の範囲、非常に好ましくは6~12の範囲の総数で含む。前記化合物は、好ましくは、GPCで決定して、300~2,000g/モルの範囲、より好ましくは400~1,000g/モルの分子量(Mn)を有する。
【0073】
一般式(I)の少なくとも2つの構造単位を含む特に好ましい化合物は、総計で4倍~20倍、又は4倍~12倍のアルコキシル化がされている、例えばエトキシル化されている、プロポキシル化されている、又はエトキシル化とプロポキシル化とがされている、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、及びより具体的には、もっぱらエトキシル化されている、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリスリトールである。最も好ましいものは、アルコキシル化トリメチロールプロパンに由来する、対応する(メタ)アクリレートである。
【0074】
コーティング組成物(C1a)は、好ましくは、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、40~95質量%、好ましくは55~80質量%の総量で、少なくとも1種の反応性希釈剤、好ましくは、6倍のエトキシル化がされているトリメチロールプロパンに由来するヘキサンジオールジアクリレート及び/又は(メタ)アクリレートを含む。
【0075】
コーティング組成物(C1a)に含まれる少なくとも1つの光開始剤は、好ましくは、ホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルアリールケトン、チオキサントン、アントラキノン、アセトフェノン、ベンゾイン及びベンゾインエーテル、ケタール、イミダゾール又はフェニルグリオキシル酸及びこれらの混合物から選択される。特に好ましい光開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン及び2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン及びそれらの混合物である。少なくとも1つの光開始剤は、好ましくは、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、0.01~15質量%、好ましくは0.5~10質量%の総量で存在する。
【0076】
コーティング組成物(C1a)は、少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤は、好ましくは、架橋可能なシリコーン含有ポリマー及び/又はオリゴマー、並びにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリマーを含まず、そして好ましくは、流動制御剤、表面活性剤、例えば界面活性剤、湿潤剤及び分散剤、及び増粘剤、チキソトロープ剤、可塑剤、潤滑性及びブロック防止添加剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。市販の添加剤の例は、製品Efka(登録商標)SL3259、Byk(登録商標)377、Byk(登録商標)394、Byk-SILCLEAN3710、Silixan(登録商標)A250、Novec FC4430及びNovec FC4432である。少なくとも1つの添加剤の適した総量は、例えば、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、0.01~5質量%、0.2又は0.5~3質量%である。
【0077】
よって特に好ましいコーティング組成物(C1a)は、(C1a)の総質量に基づいて、次の成分を含む:
- 9~35質量%の、平均で2個の不飽和基を含む厳密に1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、平均で0.5~3個の不飽和基を含む厳密に1つのシリコーン(メタ)アクリレートとの混合物であって、ウレタン(メタ)アクリレートのシリコーン(メタ)アクリレートに対する質量比が10:1~8:1である混合物、
- 55~83質量%の、6倍のエトキシル化トリメチロールプロパン(すなわち、一般式(I)の3つの構造単位を含む化合物)に由来する、ヘキサンジオールジアクリレート及び/又は(メタ)アクリレート、
- 1~10質量%の、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート及び/又は1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、及び
- 0又は0.5~3質量%の潤滑性添加剤及び/又はブロック防止添加剤。
【0078】
よってさらに特に好ましいコーティング組成物(C1a)は、(C1a)の総質量に基づいて、次の成分を含む:
- 9~35質量%の、平均で2個の不飽和基を含む厳密に1つのシリコーン(メタ)アクリレート、
- 55~83質量%の、6倍のエトキシル化トリメチロールプロパン(すなわち、一般式(I)の3つの構造単位を含む化合物)に由来する、ヘキサンジオールジアクリレート及び/又は(メタ)アクリレート、
- 1~10質量%の、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート及び/又は1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、及び
- 0又は0.5~3質量%の潤滑性添加剤及び/又はブロック防止添加剤。
【0079】
(C1a)から得られた少なくとも部分的に硬化させたコーティング層(C1)の二重結合転化率は、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくはなお少なくとも80%、非常に好ましくは少なくとも85%、より具体的には少なくとも90%である。
【0080】
コーティング組成物(C1a)は、成分(a)~(d)とは異なる少なくとも1つのさらなる成分(e)、例えば、例として、充填剤、顔料、熱活性化開始剤、例えば、例として、カリウムペルオキソジスルフェート、ジベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、tert-ブチルペルオクテート又はベンゾピナコール、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエート、シリル化ピナコール、アルコキシアミン、及び有機溶媒、及び安定化剤を含んでよい。しかし、好ましくは、コーティング組成物(C1a)には有機溶媒が含まれない。コーティング組成物(C1a)は、少なくとも1つの成分(e)を、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、0~10質量%、好ましくは0~5質量%、より好ましくは0~1質量%の総量で含んでよい。
【0081】
コーティング組成物(C1a)は、溶媒ベース又は固体のコーティング組成物であってよい。迅速な硬化を容易にし、且つ硬化時に多量の蒸発溶媒の発生を防止するために、コーティング組成物(C1a)は、固体のコーティング組成物であることが好ましい。よってコーティング組成物(C1a)は、好ましくは、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、非常に好ましくは0質量%の総量の溶媒を含み、又は溶媒を含まない。このようにコーティング組成物(C1a)は、好ましくは、DIN EN ISO3251:2008-06に準拠して125℃及び60分で決定して、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて75~100質量%の固形分含量を有する。さらに、この組成物は好ましくは、コーティング組成物(C1a)の総質量に基づいて、90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%の化合物(a)、(b)、(c)及び任意に(d)の総量を含む。最も好ましくは、コーティング組成物(C1a)は、化合物(a)、(b)、(c)、及び任意の(d)からなる。
【0082】
コーティング組成物(C1a)は、好ましくは、チオールを含有せず、そして特にトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)を含有しない。
【0083】
複合材料(S1C1)を調製するための適した装置は、例えば、WO2019/185833A1において複合材料(F1B1)に関連して開示されている。
【0084】
工程(II)において使用されるエンボス加工用具(E1)は、ポリマー材料で作られるか、又は金属のエンボス加工用具であってもよく、そして好ましくは再利用可能である、すなわち、少なくとも1つのエンボス加工構造をコーティング組成物(C1a)に転写するために繰り返し使用することができる。エンボス加工用具(E1)は、「ネガ構造」(「ネガ形態」)、すなわち、本発明の方法の工程(II)においてコーティング組成物(C1a)上に転写され、そして工程(III)の実施後にコーティング層(C1)上に転写される、エンボス加工構造の鏡像を有する。エンボス加工用具(E1)は、少なくとも1つのエンボス加工型(e1)を含む。前記エンボス加工型(e1)は、ポリマーのエンボス加工型(e1)又は金属のエンボス加工型(e1)、好ましくは金属のエンボス加工型(e1)であってよい。このように、工程(II)で使用される少なくとも1つのエンボス加工型(e1)を含むエンボス加工用具(E1)は、好ましくは金属のエンボス加工用具、好ましくはニッケルのエンボス加工用具、より具体的には少量のリンを含有するニッケルのエンボス加工用具から選択される。
【0085】
エンボス加工用具(E1)は、好ましくは、エンボス加工カレンダーでよく、これは、好ましくは、グリッド適用機構、より好ましくはグリッドロール機構を備える。このカレンダーは、或る間隔で高さ方向に互いに上に好ましくは配列された、逆方向回転式ロールを有しており、そしてエンボス加工構造が提供される複合材料(S1C1a)がロールに供給され、導かれて、形成するロールニップを通り、このニップ幅は、可変的に調節可能である。ここでグリッドロール機構は、好ましくは第1のロールを含み、このロールは、エンボス加工用具(E1)として機能し、且つ複合材料(S1C1a)の表面にエンボスされるエンボス加工構造のネガ形態を有するエンボス加工型(e1)を含有する。第2のロールは、インプレッションロール又はプレスロールとして機能する。よって、工程(II)における少なくとも部分的なエンボス加工は、好ましくは、逆方向又は同じ方向に回転する互いに対向する2つのロールによって形成されるロールニップのレベルで行われ、ここで少なくとも1つのエンボス加工用具(E1)の少なくとも1つのエンボス加工型(e1)は、複合材料(S1C1a)のコーティング組成物(C1a)に向いている。
【0086】
工程(IV)において、エンボス加工された複合材料(S1C1)を、エンボス加工用具(E1)のエンボス加工型(e1)から取り外し、これによってマイクロ構造化及び/又はナノ構造化コーティング層(C1)を含む複合材料(S1C1)を得る。エンボス加工用具からの前記取り外しは、例えば、基材(S1)を含む少なくとも部分的にエンボス加工されたコーティング材料をエンボス加工用具(E1)から(又はこの反対で)、剥離することによって行うことができる。剥離は、手で行うことも、周知の機械的分割手段を用いて行うこともできる。
【0087】
あるいは、エンボス加工用具(E1)からの取り外しは、次の工程を含むことができる:
(V) 少なくとも部分的にエンボス加工されたコーティング層(C1)と接触していない基材(S1)の表面に、少なくとも1つの接着層(AL)を適用する工程、及び
(VI) 複合材料(ALS1C1)をエンボス加工用具(E1)から(又はこの反対で)、取り外す、好ましくは剥離する工程。
【0088】
接着層(AL)の適用及び複合材料(ALS1C1)の取り外しは、手動か、又は周知の分割手段を用いて行うことができる。
【0089】
接着層(AL)は、例えば、積層接着剤、例えばポリアクリレート又はポリアクリレートベースの接着剤であってよい。しかし、接着層(AL)は、好ましくは、自己接着層又は多層構造である。このような多層構造は、例えば、インライナー(in-liner)とも呼ばれる中間ポリマー層(PL)を含み、これは両面が接着剤(AH)でコーティングされる。前記接着剤(AH)は、各々ポリアクリレート又はポリアクリレートベースの接着剤であってよい。原則として、任意の種類のポリマーを使用して、中間ポリマー層(PL)を調製することができる。このようなポリマーの例は、ポリ(メタ)アクリレート、PET及び/又はPBTなどのポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド及び/又はポリオレフィンである。特に、PET等のポリエステルを用いることができる。ポリマー層(PL)の層厚は、5~55μm、好ましくは6~50μm、より好ましくは7~40μm、特に8~30μmの範囲でよい。各接着剤(AH)は、より良好な取り扱いのために、シリコーン紙などの剥離ライナーで最初に覆われてもよい。しかし、工程(V)で接着層(AL)として使用する前に、2つの剥離ライナーのうちの1つを取り除く。他の剥離ライナーは、好ましくは、本発明の方法の後の段階で、より好ましくは、複合材料(S1C1)を、型部品の少なくとも1つの内面の少なくとも一部に取り付ける前に取り除かれる。
【0090】
シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び複合材料(S1C1)の特性:
マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン含有層(SiL)及び複合材料(S1C1)は、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含む。特定のマイクロスケール又はナノスケールの表面要素の大きさはそれぞれ、表面に平行な任意の方向におけるその最大の延長として、すなわち、例えば、円筒状表面要素の直径又はピラミッド状表面要素の底面の対角線として、定義される。表面要素が、表面内の1つ以上の方向(又は表面に平行)にマクロスケールの延長と、表面内の1つ以上の他の方向にマイクロスケール又はナノスケールの延長とを有する場合、表面要素の大きさという用語は、そのような表面要素のマイクロスケール及び/又はナノスケールの延長を指す。特定のマイクロスケール又はナノスケールの表面要素の長さは、それぞれ、構造化表面の長さ方向の延長として定義される。同様に、特定のマイクロスケール又はナノスケールの表面要素の幅は、それぞれ、構造化表面の幅方向の延長として定義される。
【0091】
突出(又は上昇した)表面要素の高さは、それぞれの突出表面要素が配置されている隣接した底面から、その底面に垂直の方向に測定した、それぞれの延長によって定義される。同様に、隣接した上部露出面から下方に延びる表面要素の深さは、窪みが延びる隣接する上部表面から、そのような上部表面に垂直の方向に測定した、それぞれの下方への延長によって定義される。
【0092】
2つの隣接する表面要素間の距離は、そのような表面要素間の構造化表面内のある方向における、2つの最大値又は2つの相対最大値それぞれの間の距離として定義される。表面に平行な1つ以上の所与の方向における表面要素の規則的な連続を有する構造化表面は、そのような方向における1つ以上のピッチ長さによって特徴付けることができる。表面に平行な或る特定の方向において、ピッチ長さという用語は、2つの隣接する規則的に反復する表面要素の対応する点間の距離を示す。これは、チャネル型表面要素及びレール型表面要素の交互の連続を含む構造化表面について例示され、この両方の表面要素は、本質的に互いに平行に、第1の長手方向に延び、そしてそれぞれ、前記長手方向に垂直なマイクロスケールの、及び任意にナノスケールの断面を有する。長手方向に垂直なこのような構造化表面のピッチ長さは、チャネル型表面要素の幅とレール型表面要素の幅とのそのような法線方向における和である。
【0093】
シリコーン含有層、特にシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)のコーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素は、好ましくは、構造幅が10nm~1,000μm、好ましくは25nm~400μm、より好ましくは50nm~250μm、非常に好ましくは100nm~100μmである。さらに、シリコーン含有層、特にシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)のコーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素は、好ましくは、構造高さが10nm~1,000μm、好ましくは25nm~400μm、より好ましくは50nm~300μm、非常に好ましくは100nm~200μm又は1μm~200μmである。
【0094】
それぞれの表面要素の構造幅及び構造高さは、好ましくは、シリコーン含有層の断面の生成、及び光学顕微鏡による前記断面の構造高さ及び構造幅の決定により、決定される。
【0095】
シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び複合材料(S1C1)は、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化表面を含む。前記表面は、好ましくは、繰り返し及び/又は規則的に配置されたパターンを含むか、又は完全にランダム化されている。各場合の構造は、連続溝構造などの連続構造であってよく、そうでなければ、複数の好ましくは反復する個々の構造であってもよい。この場合のそれぞれの個々の構造は、好ましくは、構造の高さを規定する程度の強さで突出した突出部を有する溝構造に基づくことができる。好ましくは反復する個々の構造の頂部のそれぞれの幾何学的形状に応じて、平面図は、それぞれが異なる、好ましくは反復する個々の構造の多重度を示し得る。また、少なくとも2つのパターンを互いに重ね合わせることも可能である。個々の構造の突出部は、曲率、すなわち、凸状及び/又は凹状構造体を有してもよい。よって、シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)のコーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素は、蛇紋パターン、鋸歯状パターン、ダイヤモンド状パターン、菱形パターン、平行四辺形パターン、ハニカムパターン、円形パターン、点状パターン、星形状パターン、ロープ形状パターン、網形状パターン、三角形、四角形、長方形、正方形、五角形、六角形、七角形及び八角形パターンなどの多角形パターン、ワイヤー形状パターン、楕円形パターン、卵形及び格子状パターン、QRコード、又は前述のパターンの組み合わせから選択される規則的又は不規則なパターンを形成している。
【0096】
任意の工程(2):
本発明の方法の任意の工程(2)において、少なくとも1つのバインダー(B)及び任意に少なくとも1つの架橋剤(CL)を含む組成物(C2a)を、閉鎖可能な三次元型(MO)の型キャビティに面している少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部に適用し、そして前記適用した組成物(C2a)をフラッシュオフする。従って組成物(C2a)は、適用された場合、本発明の方法の工程(5)で型に適用された組成物(C3a)と接触するようになる型部品の表面の少なくとも一部に存在する。
【0097】
組成物(C2a)は、好ましくは、本発明の工程(8)における構造化された成形物品の離型を容易にするための、及び/又は成形工程中に成形物品のコーティングを実現するための、剥離剤及び/又はコーティング剤として使用される。成形物品のコーティングは、後コーティングプロセスを不要とする。さらに、剥離剤をコーティング組成物に組み込むことにより、コーティング層の物品への接着を妨げ、それ故コーティング層の適用前に追加の洗浄工程を必要とする外部剥離剤の使用を回避することができる。前記物品のあらゆる表面への損傷及び/又はコーティングなしで構造化された成形物品を容易に離型するために、前記組成物(C2a)は、好ましくは、型キャビティに面している型部品のあらゆる表面に適用される。これは、好ましくは、構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)を含む型部品の内面(SU)を含むが、その理由は、前記構造化表面をコーティングすることによって、前記物品の構造化表面上にコーティングを含む構造化された成形物品を得ることができるからである。しかし、同様に、内面の特定領域のみをコーティングするか、又は型部品の複数の内面のうちの1つのみをコーティング組成物(C2a)でコーティングすることも可能である。
【0098】
バインダー(B):
第1の必須成分として、組成物(C2a)は、少なくとも1つのバインダー(B)を含む。このバインダーBを使用することにより、物品の離型性に悪影響を及ぼすことなく、前記物品上に可撓性があり且つ安定したコーティングを展開することができる。
【0099】
驚くべきことに、組成物(C2a)によって達成される優れた離型性は、バインダー(B)の化学的性質とは無関係である。さらに驚くべきことに、バインダー(B)の化学的性質とは無関係に、得られたコーティング層の表面品質及び柔軟性に悪影響を及ぼすことなく、離型剤を前記組成物(C2a)に組み込むことができた。さらに、得られたコーティングは、高価で不便な後処理工程なしで、別の構成要素に接着結合することができ、及び/又はベースコート及び/又はクリアコート材料でコーティングすることができる。従って組成物(C2a)は、コーティング組成物において一般的に使用される任意のバインダー又はバインダーの組み合わせを含んでよい。
【0100】
適したバインダー(B)は、例えば、(i)ポリ(メタ)アクリレート、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性ポリ(メタ)アクリレート、(ii)ポリウレタン、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性ポリウレタン、(iii)ポリエステル、より具体的にはポリエステルポリオール、(iv)ポリエーテル、より具体的にはポリエーテルポリオール、(v)上記ポリマーのコポリマー、及び(vi)それらの混合物である。
【0101】
バインダー(B1)及び/又は(B2):
特に好ましいバインダーは、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート(B1)及び/又はポリエステルポリオール(B2)から選択される。このバインダー、好ましくはバインダー(B1)及び(B2)の混合物の使用は、高い柔軟性及び環境影響に対する高い耐性を有するコーティングをもたらす。さらに、構造化物品を製造するために使用される材料の性質にかかわらず、前記バインダーの組み合わせは、シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)の表面構造の、発明の方法の(5)で使用される材料への転写を否定的に妨げない。
【0102】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート(B1)は、好ましくは、65~100mgKOH/g、より具体的には75~90mgKOH/g又は80~85mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。本発明の文脈におけるヒドロキシル価は、EN ISO4629-2:2016に準拠して決定してよく、そして各場合とも固形分含量に基づく。前記ポリ(メタ)アクリレートバインダー(B1)のヒドロキシル官能価は、好ましくは5~15、より好ましくは8~12である。ポリ(メタ)アクリレートバインダー(B1)はまた、酸官能基を含むこともでき、そして6~14mgKOH/g(DIN EN ISO2114:2002-06に準拠して決定)の間の酸価を有し得る。前記ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、4,000~10,000g/モルの数平均分子量Mn、より具体的には6,000~7,500g/モル(DIN55672-1:2016-03に準拠してPMMA標準を用いてGPCにより決定)を含む。
【0103】
ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート(B1)は、ペルオキシド、例えばジ-tert-ブチルペルオキシドなどの開始剤の存在下における重合反応により、次のモノマーを使用して得られる:
(a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステル、より具体的には、式HC=CRx-COO-Ry-OHの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RxはH又はCH3であり、そしてRyは2~6個、好ましくは2又は3個の炭素原子を有するアルキレンラジカルである)、
(a2)少なくとも1つのカルボキシ官能性エチレン性不飽和モノマー、より具体的には(メタ)アクリル酸、及び
(a3)少なくとも1つのヒドロキシル基を含まない及びカルボキシル基を含まない(メタ)アクリル酸のエステル、及び/又は少なくとも1つのヒドロキシル基を含まない及びカルボキシル基を含まないビニルモノマー、より具体的にはスチレン。
【0104】
ポリエステルポリオール(B2)は、好ましくは、100~200mgKOH/g固体、より好ましくは120~160mgKOH/g固体のヒドロキシル価を有する。前記ポリエステルポリオール(B2)のヒドロキシル官能価は、好ましくは2.2~4、より好ましくは2.7~3.6である。好ましくは、ポリエステルポリオールの酸価はかなり低く、そして一般に0.2~2mgKOH/g固体の範囲にある。数平均分子量Mnは、好ましくは1,000~1,600g/モルであり、そしてバインダー(B1)について前述したように決定することができる。特に好ましいポリエステルポリオール(B2)は、分岐ポリエステルポリオールである。前記ポリエステルポリオールは、当業者に周知の方法を用いて、適したポリオールを二酸又は二酸のそれぞれの無水物と反応させることによって、調製することができる。
【0105】
バインダーB3:
さらに特に好ましいバインダーは、ポリウレタン樹脂(B3)から選択される。ポリウレタン(PU)は一般的に比較的高分子量のポリヒドロキシ化合物の軟質相と低分子量鎖延長剤とジ-又はポリイソシアネートから形成されるウレタン硬質相からなる。ポリウレタンの硬度を増加させるために、鎖延長剤の量を増加させることができる。
【0106】
バインダー(B3)として使用されるポリウレタン樹脂は、
(a1) イソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、
(a2) 典型的には500~10000g/モルの範囲の分子量(Mw)を有するイソシアネート反応性化合物と、
(a3) 分子量が50~499g/モルの範囲にある鎖延長剤と
の、適切な場合は、
(a4) 触媒及び/又は
(a5) 慣例の添加剤材料
の存在下における反応によって、調製することができる。
【0107】
成分(a2)の、全鎖延長剤(a3)に対する適したモル比は、10:1~1:10の範囲、及び特に1:1~1:4の範囲である。
【0108】
特に好ましくは、ショア硬度が60未満の少なくとも1つの軟質ポリウレタン(B3a)と、ショア硬度が60超~90の少なくとも1つの硬質ポリウレタン(B3b)との混合物を、バインダー(B3)として用いる。ショア硬度は、DIN53505:2000-08に従って3秒後に測定することができる。硬質ポリウレタンは、前述のように、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールを使用し、互いに混合するか、又はポリエチレングリコールと混合するかのいずれかによって、成分(a2)として調製することができる。軟質ポリウレタン及び硬質ポリウレタンは、好ましくは、平均粒径D50が120~150nm(DLSにより決定)の粒子の形態で使用する。特に好ましくは、前記ポリウレタン(B3a)及び(B3b)は、固形分含量が25~45質量%であり、軟質ポリウレタン(B3a)10~30質量%及び硬質ポリウレタン(B3b)0~20質量%を含む水性分散体として使用する。軟質ポリウレタン及び硬質ポリウレタンの混合物の適した分散体は、例えば、US2010/0330356A1に記載されている。
【0109】
さらに特に好ましいポリウレタンバインダー(B3)は、少なくとも3つ、好ましくは厳密に3つの異なるポリウレタン樹脂(B3c)、(B3d)及び(B3e)の混合物であり、各ポリウレタン樹脂は、ゲル分率が少なくとも50質量%、ガラス転移温度が-20℃未満、及び溶融転移温度が100℃未満である。
【0110】
ポリウレタン樹脂(B3c)は、好ましくは、ゲル分率が55~80質量%、ガラス転移温度が-90~-40℃、及び溶融転移温度が-15~80℃未満である。前記ポリウレタン(B3a)は、好ましくは、後述する少なくとも1つの架橋剤(CL)と架橋反応を起こすことができる官能基を少量しか含まない。前記少量は、イソシアネート基の総モル量の、イソシアネート基、より具体的にはヒドロキシル基及びアミノ基と架橋反応することができる官能基の総モル量に対する比を、厳密に1.0で選択することによって、達成することができる。ポリウレタン樹脂(B3c)は、好ましくは、水中への前記ポリウレタンの分散を容易にするために、少なくとも1つのアニオン基を含む。架橋ポリウレタン粒子(B3c)の体積平均粒径は、好ましくは1~100マイクロメートル(DLSにより測定)である。
【0111】
ポリウレタン樹脂(B3d)及び(B3e)はそれぞれ、好ましくは、ゲル分率が90~100質量%、ガラス転移温度が-80~-30℃であり、そして溶融転移温度を有しない。架橋ポリウレタン粒子(B3d)及び(B3e)の体積平均粒径は、好ましくは40~300nm(DLSにより測定)である。好ましくは、ポリウレタン樹脂(B3d)及び(B3e)はそれぞれ、20未満のヒドロキシル価及びアミン価を有するので、架橋剤(CL)と反応可能な官能基を少量しか有しない。前記ポリウレタン樹脂は、好ましくは、水中への分散を容易にするために少なくとも1つのイオン基を含む。適したポリウレタン樹脂(B3c)~(B3e)及び前記ポリウレタン樹脂を含有する分散体は、例えば、WO2018/073034A1に記載されている。
【0112】
少なくとも1つのバインダー(B)は、好ましくは、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、15~55wt%、より好ましくは25~40wt%、より具体的には25~35wt%の総量(固形分含量)で存在する。バインダーが分散体又は溶媒中の溶液である場合には、各場合ともバインダーの固形分含量を用いて、上記総量を算出する。バインダー(B)が様々なポリマーの混合物を含む場合、上記の総量は、様々なポリマーの合計を指す。上記の量の範囲で少なくとも1つのバインダー(B)を使用することにより、構造化物品上に可撓性があり且つ安定したコーティングを確実に展開することができるが、物品の離型性に悪影響を及ぼすことはない。
【0113】
架橋剤(CL):
コーティング組成物(C2a)は、少なくとも1つの架橋剤(CL)をさらに含むことができる。少なくとも1つの架橋剤(CL)は、好ましくは、上記の好ましいバインダーB1、B2及びB3a~B3dと組み合わせて使用する。
【0114】
架橋剤(CL)が存在する場合、前記架橋剤(CL)は、好ましくは、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックされたポリイソシアネート、ポリカルボジイミド、光開始剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0115】
架橋剤(CL)としてポリイソシアネートを用いることが特に好ましい。ポリイソシアネートの使用は、特に上記の特に好ましいバインダーB1~B3dを組成物(C2a)中のバインダー(B)として使用する場合に適切であることがわかった。
【0116】
この文脈では、ポリイソシアネートが2.4超~5、好ましくは2.6~4、より好ましくは2.8~3.6のNCO基官能価を有する場合が特に好ましい。
【0117】
本発明の文脈において特に好ましく使用されるのは、少なくとも1つのイソシアヌレート環又は少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン環を含むポリイソシアネートである。ポリイソシアネートは、好ましくはジイソシアネートのオリゴマー、好ましくはトリマー又はテトラマーを含む。特に好ましいのは、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ジイソシアネートのアロファネート及び/又はビウレットを含むことである。特に好ましくは、ポリイソシアネートは、脂肪族及び/又は脂環式、非常に好ましくは脂肪族のポリイソシアネートを含む。前記オリゴマー、より具体的には前記トリマー又はテトラマーのジイソシアネート主成分として役立つのは、非常に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートであり、そして特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートのみである。
【0118】
組成物(C2a)から得られる硬化させたコーティング層の硬度、柔軟性、及び弾性は、架橋剤(CL)の使用及び種類によって影響され得る。例えば、イミノオキサジアジンジオン構造を含有するポリイソシアネートを使用すると、特定の硬度のコーティングが得られるが、イソシアヌレート構造を含有するポリイソシアネートを使用すると、硬質であるがより可撓性のあるコーティング層が得られる。構造化された成形物品は、好ましくは可撓性のある物品であるので、構造化物品の曲げ時のコーティング層(C2)の剥離を防止するために、イソシアヌレート構造を含有するポリイソシアネートの使用が好ましい。
【0119】
組成物(C2a)は、好ましくは、少なくとも1つの架橋剤(CL)を、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、10wt%~40wt%、好ましくは10~30wt%、より具体的には15~25wt%の総量で含む。
【0120】
さらに、組成物(C2a)が、架橋剤(CL)の官能基の、架橋剤(CL)に対して反応性であるバインダー(B)の基に対する特定のモル比を含む場合が、好ましい。これにより、組成物(C2a)の架橋が十分であることが確実となる。従って、架橋剤(CL)の官能基、特にNCO基の、少なくとも1つのバインダー(B)の官能基、特にヒドロキシル基又はアニオン基の合計に対するモル比が、0.4:1~1:1、好ましくは0.65:1~0.85:1、より具体的には0.7:1~0.8:1である場合が有利である。
【0121】
組成物(C2a)のさらなる成分:
先に列挙したバインダー(B)及び任意の架橋剤(CL)とは別に、組成物(C2a)は、さらなる成分を含むことができる。
【0122】
顔料:
適したさらなる成分は、有機又は無機の着色顔料である。組成物(C2a)から製造されたコーティング層(C2)が着色されるか、又は艶消し効果を有していなければならない場合には、有機又は無機の着色顔料が好ましく用いられる。このようなコーティング配合物に使用することができる有機又は無機着色顔料は、例えば、白色顔料、例えば二酸化チタン:黒色顔料、例えばカーボンブラック、鉄マンガンブラック又はスピネルブラック;有彩顔料、例えばウルトラマリングリーン、ウルトラマリンブルー又はマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット又はマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、モリブデートレッド又はウルトラマリンレッド;褐色酸化鉄、混合褐色、スピネル相及びコランダム相;又は黄色酸化鉄又はビスマスバナデート;モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料又はアニリンブラック、血小板形金属効果顔料、例えば血小板形アルミニウム顔料、金ブロンズ、酸化ブロンズ及び/又は酸化鉄アルミニウム顔料、真珠光沢顔料及び/又は金属酸化雲母顔料、及び/又は他の効果顔料、例えば血小板形グラファイト、血小板形酸化鉄、PVDフィルムから構成される多層効果顔料、及び/又は液晶ポリマー顔料である。
【0123】
組成物(C2a)中の顔料の安定した分散性を向上させるために、顔料を好ましくはバインダー中に予備分散させる。前記バインダーは、前記バインダー(B)と同一であっても、異なっていてもよい。顔料(複数可)の予備分散のための適したバインダーは、10~30mgKOH/g固体の酸価を有するアニオン的に安定化されたポリウレタンポリマーであり、例えば、DE19924457A1に記載されている。
【0124】
少なくとも1つの顔料は、組成物(C2a)の総質量に基づいて、0.01~30質量%の総量で存在することが好ましい。
【0125】
シリコーン:
組成物(C2a)は、ポリエーテル変性アルキルポリシロキサン、ヒドロキシ変性アルキルポリシロキサン、少なくとも(at least on)カルボン酸及び/又はアミノ基を含むシロキサン、ポリアルキルシロキサン、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1つのシリコーン化合物をさらに含んでもよい。
【0126】
適したポリエーテル変性アルキルポリシロキサンは、好ましくは、少なくとも1つの構造単位(R4)2(OR3)SiO1/2及び少なくとも1つの構造単位(R4)2SiO2/2を含み、式中、R3はエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド基であり、より具体的にはエチレンオキシド及びプロピレンオキシド及びブチレンオキシド基の混合物であり、そしてR4はC1~C10アルキル基、より具体的にはメチル基である。シロキサン基対エチレンオキシド基対プロピレンオキシド基対ブチレンオキシド基のモル比は、好ましくは、6:21:15:1~67:22:16:1である。さらに、構成単位(R4)2(OR3)SiO1/2の構成単位(R4)2SiO2/2に対するモル比は、好ましくは、1:10~1:15、より具体的には1:10~1:13である。ここでR3及びR4は、上述の定義を有する。ポリエーテル変性アルキルポリシロキサンは、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、wt%又は0.1~6wt%、好ましくは0.5~4wt%、より具体的には0.8~3wt%の総量で好ましくは存在する。このようなポリエーテル変性アルキルポリシロキサンの使用は、成形物品の汚れを減少させるが、成形物品の型からの離型をわずかに減少させる。よって成形物品の汚れが問題でない場合、組成物(C2a)は、好ましくは、ポリエーテル変性アルキルポリシロキサンを含まない。
【0127】
適したヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、好ましくは一般式(II)
R5-Si(R6)2-[O-Si(R6)(R7)]a-[O-Si(R6)2]b-O-Si(R6)2-R5 (II),
を有し、
式中、
R5は、メチル基又は(HO-CH2)2-C(CH2-CH3)-CH2-O-(CH2)3-*ラジカル、好ましくは(HO-CH2)2-C(CH2-CH3)-CH2-O-(CH2)3-*ラジカルであり、
R6は、メチル基又は(HO-CH2)2-C(CH2-CH3)-CH2-O-(CH2)3-*ラジカル、好ましくはメチル基であり、
R7は、メチル基であり、
aは、0又は1~10、好ましくは0であり、そして
bは、3~30、好ましくは7~14である。
【0128】
ここで、(HO-CH2)2-C(CH2-CH3)-CH2-O-(CH2)3-*ラジカルは、*記号を介してそれぞれのシリコーン原子に結合している。好ましくは、一般式(II)のヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、0.1~5wt%、好ましくは0.5~4wt%、より具体的には0.8~2.5wt%の総量で存在する。このようなヒドロキシ官能性ポリシロキサンの使用は、硬化した組成物(C2)の成形された構造化物品への接着に悪影響を及ぼすことなく、離型性を増加させる。
【0129】
少なくとも1つのカルボン酸基及び/又は少なくとも1つのアミノ基を含む適したシロキサンは、好ましくは、平均で1~4個のカルボン酸基及び/又はアミノ基又はアミノアルキルアミノ基を含む。前記少なくとも1つの官能基は、末端又は非末端シリコーン原子において、直接又はスペーサーを介してシリコーン原子に結合されることができる。適したスペーサーは、非置換又は1~4個のC1~C4-アルキル基によって置換されたアリーレン、アルキレン及びシクロアルキレン、例えば、例として、1,4-シクロヘキシレンから選択される。好ましいスペーサーはフェニレン、特にパラ-フェニレン、またトリレン、特にパラ-トリレン、及びC2~C18-アルキレン、例えばエチレン(CH2CH2)、また-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)8-、-(CH2)10-、-(CH2)12-、-(CH2)14-、-(CH2)16-、及び-(CH2)18-である。アミノ基は、NH(イソC3H7)基、NH(n-C4H9)基、NH(シクロ-C6H11)基及びNH(n-C4H9)基又はアミノアルキルアミノ基、例えば例として-NH-CH2-CH2-NH基、-NH-CH2-CH2-CH2-NH2基、-NH-CH-CH NH(C2H5)基、NH-CH2-CH2-CH2-NH(C2H5)基、NH-CH2-CH2-NH(CH3)基、-NH-CH2-CH2-CH2-NH(CH3)基、特にNH2基を含むことができる。前記シロキサンはさらに、非官能性シロキサン基、特にジ-C1C10-アルキル-SiO2基又はフェニル-C1~C10-アルキル-SiO2基、特にジメチル-SiO2基、及び適切な場合には1つ以上のSi(C3H2)-OH基又はSi(CH3)3基を含む。好ましくは、前記シリコーン化合物の数平均分子量Mnは、500~10000g/モル、好ましくは5000g/モル以下である。
【0130】
適したポリジアルキルシロキサンは、例えば、ポリジ-C1~C4-アルキルシロキサンである。ポリジアルキルシロキサン中のC1~C4-アルキルは、異なるか又は好ましくは同じであり、そしてメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルから選択され、これらのうち非分岐のC1~C4-アルキルが好ましく、そしてメチルが特に好ましい。前記シロキサンは、好ましくは、Si-O-Si鎖を有する非分岐ポリシロキサン、又は分子当たり3つ以下、及び好ましくは1つ以下の分岐を有するポリシロキサンを含む。
【0131】
脂肪酸及び/又は脂肪アルコール化合物:
組成物(C2a)は、一般式(III):
R8-(C=O)r-O-(AO)s-R9 (III)
の少なくとも1つの脂肪酸及び/又は脂肪アルコール化合物をさらに含んでよく、
式中、
R8は、6~30個の炭素原子、好ましくは8~26個、より好ましくは10~24個、及び非常に好ましくは12~22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素ラジカルであり、
R9は、H又は1~10個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素ラジカル、好ましくはHであり、
AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドからなる群から選択される1つ以上のアルキレンオキシドラジカルを表し、
rは、0又は1であり、そして
sは、0~30、好ましくは1~25又は2~25、より好ましくは4~22又は6~20、及び非常に好ましくは0又は8~18である。
【0132】
ラジカルAOは同一であっても異なっていてもよく、ラジカル内でランダム、ブロック状又は勾配状の配置を有していてもよい。異なる2種類以上のAOが含まれる場合、エチレンオキシドの割合が、ラジカルAOの総モル量に基づいて50モル%を超え、より好ましくは少なくとも70モル%、及び非常に好ましくは少なくとも90モル%であることが好ましい。上記の場合、エチレンオキシドとは異なるラジカルは、好ましくはプロピレンオキシドラジカルである。
【0133】
r=0及びs>0の場合、式(III)の種はアルコキシル化脂肪アルコールであり、一方でr=1及びs>0の場合、式(III)の種はアルコキシル化脂肪酸である。s=0の場合、式(III)の種は、脂肪アルコール又は脂肪酸のいずれかである。少なくとも1つの種についてsが0であり、且つ少なくともさらなる種についてsが>0、好ましくは8~18である、式(III)の種の混合物を使用する場合が好ましい。s>0である場合、ラジカルAOの総モル量中のエチレンオキシド分率が少なくとも70モル%であることが好ましい。
【0134】
一般式(III)の化合物の特に好ましい混合物は、約650g/モルの数平均分子量を有する一般式(III)で構成され、式中、R8=12~22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和炭化水素ラジカルの混合物、r=0、AO=主にエチレンオキシド単位及び数個のプロピレンオキシド単位の混合物、及びR9=Hであり、そしてR8=21個の炭素原子を有する不飽和炭化水素ラジカル、s=0、及びR9=Hである一般式(III)から構成される。
【0135】
一般式(III)の化合物の総質量は、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、好ましくは0.1~10wt%、より好ましくは0.5~5wt%、より具体的には1.5~4wt%である。
【0136】
一般式(III)の前記化合物の使用は、硬化させたコーティング組成物(C2a)によって形成されるコーティング層の接着性及びさらなる特性に悪影響を及ぼすことなく、成形物品の離型を容易にする。
【0137】
架橋触媒:
組成物(C2a)は、少なくとも1つの架橋触媒をさらに含んでよい。架橋触媒は、主として、架橋剤(CL)の官能基と少なくとも1つのバインダー(B)の反応基との間の反応を触媒するのに役立つ。架橋触媒の使用は、バインダーB1及びB2が先に記載したイソシアネート架橋剤と組み合わせて組成物(C2a)中に含有される場合に特に好ましい。
【0138】
架橋触媒は、好ましくは、ビスマスカルボキシレートの群から選択される。特に好ましいビスマスカルボキシレートは、一般式(IV)
Bi[OOC(CnH2n+1)]3 (IV)
を有し、
式中、n=5~15、好ましくはn=7~13、より具体的にはn=9~11である。
【0139】
カルボキシレートラジカルは好ましくは分岐しており、そして非常に好ましくはカルボキシレート基の炭素原子に対してアルファ位に第3級又は第4級、好ましくは第4級の炭素原子を有する。ビスマスカルボキシレートのうち、特にビスマストリネオデカノエートが特に好適であることが分かった。
【0140】
ビスマスカルボキシレートは、好ましくは、カルボキシレートの親カルボン酸、HOOC(CnH2n+1)と組み合わせて安定化された形態で使用され、ここで、nは上記の定義を有する。ここで遊離カルボン酸は、本発明の目的において、たとえそれが安定化剤効果を有するだけでなく、任意に、触媒促進剤としての役目も果たすとしても、架橋触媒の構成成分と正式にみなされるべきではない。代わりにそれは、以下に説明するように、さらなる添加剤の中に含まれる。
【0141】
組成物(C2a)は、好ましくは、少なくとも1つの架橋触媒を、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、0.01wt%~3.5wt%、好ましくは0.1~2wt%、より具体的には0.4~1.5wt%の総量で含む。
【0142】
添加剤:
組成物(C2a)は、コーティング組成物に慣例的に使用されるさらなる添加剤、例えば、光沢防止剤、光安定剤、帯電防止剤、防汚剤、きしみ防止剤(anticreak agent)、分散剤、流動制御剤、UV吸収体、増粘剤、マイクロバロン(microballons)及びそれらの混合物を含むことができる。添加剤は存在する場合、成形物品の離型を妨げず、又は硬化した組成物(C2a)の接着及びさらなる機械的及び光学的特性を妨げない量で含有される。通常、前記添加剤は、組成物の合計質量(C2a)に基づいて、10質量%以下の総量で使用される。
【0143】
本発明の任意の工程(2)で使用される組成物(C2a)は、溶媒ベースの組成物又は水性組成物であってよい。溶媒ベースの組成物の場合、有機溶媒が主要な構成成分として含まれる。有機溶媒は、組成物の揮発性成分を構成し、乾燥又はフラッシュすることにより、それぞれ完全に又は部分的に気化する。適した有機溶媒は、例えば、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン又はジイソブチルケトン、エステル、例えばエチルアセテート、n-ブチルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2-メトキシプロピルアセテート(MPA)、及びエチルエトキシプロピオネート、アミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びN-エチルピロリドン、メチラール、ブチルラール、1,3-ジオキソラン、グリセロールホルマールである。特に好ましい有機溶媒は、n-ブチルアセテート及び1-メトキシプロピルアセテートである。
【0144】
水性組成物の主要な構成成分は水であり、そして有機溶媒は、好ましくは、組成物(C2a)に基づいて1wt%未満の量で存在する。
【0145】
少なくとも1つの溶媒、好ましくは有機溶媒及び/又は水は、好ましくは、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、40~70wt%、より好ましくは45~65wt%、及び非常に好ましくは50~60wt%、特に52~58wt%の総量で存在する。
【0146】
組成物(C2a)は、好ましくは、組成物の総質量に基づいて、30~60wt%、より好ましくは35~55wt%、非常に好ましくは40~50wt%、より具体的には42~48wt%の固形分含量を有する。固形分含量は、ASTM D2369(2015年)に準拠して、110℃で60分間、組成物(C2a)の試料2グラムについて決定した。
【0147】
組成物(C2a)中に存在する特定のバインダー(B)及び任意の架橋剤(CL)に応じて、前記組成物は、1成分系として構成されるか、又は2つの成分(2成分系)又はそれ以上の成分(多成分系)を混合することによって得ることができる。熱化学的に硬化可能な1成分系では、架橋される成分、言い換えればバインダー及び架橋剤は、互いに共に存在する、言い換えれば1成分中に存在する。このための条件は、架橋されるべき成分が、例えば100℃を超える比較的高い温度でのみ互いに効果的に反応し、早期の少なくとも比例的な熱化学的硬化を防止することである。このような組み合わせは、架橋剤としてメラミン樹脂及び/又はブロックされたポリイソシアネートを有するヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はポリウレタンによって例示される。
【0148】
熱化学的に硬化可能な2成分系又は多成分系では、架橋されるべき成分、言い換えればバインダー及び架橋剤は、少なくとも2つの成分中で互いに別々に存在し、適用の直前まで組み合わされない。この形態は、架橋されるべき成分が、周囲温度又は例えば40~90℃の僅かに上昇した温度においても、互いに効果的に反応する場合に選択される。このような組み合わせは、架橋剤として遊離ポリイソシアネートを有するヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はポリウレタン及び/又はポリ(メタ)アクリレートによって例示される。特に好ましい組成物(C2a)は、型の内面に適用する前に混合する必要があり、且つ好ましくは別々の容器に入ったバインダー(B)及び架橋剤(CL)を含む2成分系組成物である。2種以上の成分の混合により組成物(C2a)を得ることができる場合、バインダー含有成分の架橋剤含有成分に対する質量比は、好ましくは100:10~100:100、より好ましくは100:20~100:80、より具体的には100:50~100:70である。上記のような混合比を用いることにより、確実に組成物(C2a)の架橋が十分に行われ、その結果、成形物品への高い接着性と優れた離型性とが得られる。
【0149】
混合は手動で行ってよく、適量の第1の成分を容器に導入し、対応する量の第2の成分と混合する。しかしながら、2つ以上の成分の混合は、自動混合システムによって自動的に行うこともできる。このような自動混合システムは、混合ユニット、より具体的にはスタティックミキサー、及びバインダーを含有する第1の成分及び架橋剤を含有する第2の成分を供給するための少なくとも2つの装置、より具体的にはギアポンプ及び/又は圧力弁を備えることができる。スタティックミキサーは、市販のらせんミキサーであってもよく、これは、噴霧器の約50~100cm前方の材料供給ライン中に設置される。好ましくは、2つの成分を十分に混合させるために12~18個の混合要素(各要素は長さ1cm、直径6~8mm)を使用する。混合エネルギーに応じて、上記の12~18個の混合要素を使用したときの組成物(C2a)のポットライフ(粘度の2倍;DIN53211に準拠して決定)は、10~20分である。材料供給ラインの詰まりを防止するために、らせんミキサーだけでなく、下流のホースライン及び噴霧器にも、7~17分毎に第1の成分が勢いよく流れるように混合ユニットがプログラムされていると、より好ましい。組成物(C2a)がロボットによって適用される場合、この勢いよく流す操作は、ロボットヘッドが予め規定された静止位置にあるときに行われる。
【0150】
ホースラインの長さに応じて、約50~200mlがキャッチ容器に廃棄される。この手順の好ましい代替案は、混合された離型剤組成物の半連続的な搬送である。組成物(C2a)を定期的に(7~17分毎に、同様にキャッチ容器中に)強制的に出す場合、廃棄物の量を最小(約10~50ml)にすることが可能である。さらに、勢いよく流される、ミキサーから噴霧器までのホースライン及び噴霧器に提供してもよい。この勢いよく流す操作は、特にシステムの長時間のダウンタイム後又はシフトの終了時に行うことが、機器の長寿命化及び組成物(C2a)の継続した品質を確実とするために好ましい。
【0151】
また、原則として、3成分混合系の利用も可能である。これは、既に触媒化された系の安定した貯蔵を簡易にし、プロセス工学の点で、より大きなコストと複雑さを生じない。手動混合の場合、及び自動混合のための成分の供給の場合の両方で、2つの成分は、好ましくはそれぞれ15~70℃、より好ましくは15~40℃、より具体的には20~30℃の温度を有する。
【0152】
組成物(C2a)は、液体コーティング組成物用の周知の適用ギア、例えばスプレーガンを用いて手動で、又は適用ロボットによって、型の少なくとも1つの内面の少なくとも一部に適用することができる。経済性の観点から、適用ロボットの使用が好ましい。このロボットは、型部品の形状に合わせてプログラムされ、組成物(C2a)を型部品の内面に圧縮空気で自律的に適用する。
【0153】
組成物(C2a)が適用ロボットによって適用される場合、本発明によれば、適用ロボットの展開を伴う組成物の適用中に、0.05~1.5mm、好ましくは0.08~1mm、より具体的には0.1~0.8mmの直径を有するノズルが使用される場合が好ましい。上述の直径を有するノズルを使用することにより、型の型部品の内面が十分な量の組成物(C2a)で濡れることが保証されると同時に、過剰な量の前記組成物の適用が防止される。
【0154】
特に好ましい組成物(C2a)は、下記:
- 少なくとも1つのバインダー(B)、
- 少なくとも1つの架橋剤(CL)、
- 一般式R8-(C=O)r-O-(AO)s-R9 (III)(式中、R8は、6~30個の炭素原子を有する飽和又は不飽和炭化水素ラジカルであり、R9は水素であり、AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドからなる群から選択される1つ以上のアルキレンオキシドラジカルを表し、rは0又は1であり、そしてsは0~30である)の少なくとも1つの化合物、
- 任意に少なくとも1つのポリエーテル変性アルキルポリシロキサン、
- 一般式R5-Si(R6)2-[O-Si(R6)(R7)]a-[O-Si(R6)2]b-O-Si(R6)2-R5(式中、R5は(HO-CH2)2-C(CH2-CH3)-CH2-O-(CH2)3-*ラジカルであり、R6はメチル基であり、R7はメチル基であり、aは0であり、そしてbは7~14である)の少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリシロキサン、及び
- 任意に、少なくとも1つの顔料及び/又は少なくとも1つのUV吸収体
を含む溶媒ベースの2成分組成物(以下、(C2a-1)と示す)である。
【0155】
組成物(C2a-1)の特定の実施形態では、組成物(C2a-1)における少なくとも1つのバインダー(B)は、好ましくは75~90mgKOH/g固体のヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート(B1)、及び/又は好ましくは110~180mgKOH/g固体のヒドロキシル価を有するポリエステルポリオール(B2)から選択される。バインダー(B1)のバインダー(B2)に対する質量比は、1:1~1:1.7である。少なくとも1つの架橋剤は、2.6~4のNCO基官能価を有し、そして少なくとも1つのイソシアヌレート環を含有するポリイソシアネートである。一般式(III)の少なくとも1つの化合物は、一般式R8-(C=O)r-O-(AO)s-R9(IIIa)(式中、R8は、12~22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和炭化水素ラジカルの混合物であり、r=0であり、AO=主にエチレンオキシド単位及び数個のプロピレンオキシド単位の混合物であり、そしてR9=Hである)の少なくとも1つの化合物と、一般式R8-(C=O)r-O-(AO)s-R9(IIIb)(式中、R8=21個の炭素原子を有する不飽和炭化水素ラジカルであり、s=0であり、そしてR9=Hである)の少なくとも1つの化合物との混合物である。前記組成物(C2a-1)は、n=9~11である一般式Bi[OOC(CnH2n+1)]3の少なくとも1つの架橋触媒をさらに含む。
【0156】
さらに特に好ましい組成物(C2a)は、下記:
- バインダー(B)として、ショア硬度が60(B3a)未満の少なくとも1つの軟質ポリウレタン(PU1)及び/又はショア硬度が60超~90(B3b)の少なくとも1つの硬質ポリウレタン(PU2)、
- 少なくとも1つの架橋剤(CL)、
- 少なくとも1つのポリジメチルシロキサン、
- 平均で1~4個のアミノアルキルアミノ基を含む少なくとも1つのシロキサン、及び
- 任意に少なくとも1つの顔料及び/又は増粘剤及び/又はマイクロバロン
を含む水性2成分組成物(以下、(C2a-2)と記す)である。
【0157】
組成物(C2a-2)の特定の実施形態では、バインダー(B)は、軟質ポリウレタン(PU1)及び硬質ポリウレタン(PU2)の混合物を含む。ポリウレタン(PU1)の(PU2)に対する質量比は、2:1~1:2である。少なくとも1つの架橋剤は、2.8~3.6のNCO基官能価及び少なくとも1つのイソシアヌレート環を有するポリイソシアネートから選択される。
【0158】
別の特に好ましい組成物(C2a)は、下記:
- 少なくとも50wt%のゲル分率、-20℃未満のガラス転移温度、及び100℃未満の温度の溶融転移を有するポリウレタン樹脂(B3c)を含む少なくとも第1の水性分散体、
- 少なくとも50wt%のゲル分率を有し、そして20~500nmの体積平均粒径を有する分散粒子の形態で存在するポリウレタン樹脂を含む少なくとも第2の水性分散体、
- 8~18%のNCO含有量を有する少なくとも1つの親水性変性ポリイソシアネート、
- 任意に、少なくとも1つの充填剤及び/又は少なくとも1つのUV吸収体
を含む水性2成分組成物(以下、(C2a-3)と記す)である。
【0159】
組成物(C2a-3)の特定の実施形態では、ポリウレタン樹脂(B3c)は、61wt%のゲル分率、-47℃のガラス転移温度、T=50℃の溶融転移、及び1マイクロメートルを超える体積平均粒径を有する。組成物(C2a-3)の第2の水性分散体は、91wt%のゲル分率及び-48℃のガラス転移温度を有する第1のポリウレタン樹脂(B3d)と、95wt%のゲル分率及び-60℃のガラス転移温度を有する第2のポリウレタン樹脂(B3e)との混合物を含む。少なくとも1つの架橋剤は、少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン変性ポリイソシアネートである。少なくとも1つの充填剤は、シリケートから選択される。
【0160】
型キャビティに面している型の内面(SU)の少なくとも一部に組成物(C2a)を適用した後、適用した組成物(C2a)をフラッシュオフする。しかしながら既に上述したように、フラッシュオフの間、この組成物の実質的な架橋又は硬化は存在しない。本発明によれば、プロセス工程(2)における組成物(C2a)のフラッシュは、好ましくは20秒~20分、より好ましくは1~20分、より好ましくは2~10分、非常に好ましくは4~6分の期間行われる。
【0161】
組成物(C2a)のフラッシュを促進するために、型、好ましくは組成物(C2a)と接触する型部品の表面を加熱することが有利である。従ってフラッシュオフは、好ましくは20~190℃の温度、より好ましくは30~150℃の温度、非常に好ましくは40~140℃の温度、より具体的には50~120℃の温度、例えば50~70℃又は120~130℃の温度で実施される。上記のすべての温度は、組成物(C2a)と接触する型部品の表面温度に関連する。型は、熱を供給することによって、又は照射、例えばIR照射によって加熱することができる。好ましくは、型はIR照射によって加熱される。
【0162】
上記の温度によって、組成物(C2a)中に存在する溶媒が急速に蒸発し、また、型キャビティに面している型の表面上にフィルムが形成される。溶媒ベースの組成物(C2a)は、好ましくは、50~70℃の温度でフラッシュオフされ、一方で水性組成物(C2a)は、120~130℃という、より高い温度でフラッシュオフされる。しかしながらこれらの温度では、組成物(C2a)は十分に架橋又は硬化しない。このように、構造化物品を形成する組成物(C2a)及び組成物(C3a)の同時架橋を介して、組成物(C2a)により生成されたコーティング(C2)の高い接着性が構造化物品の表面上に達成されるので、組成物(C2a)及び組成物(C3a、C4a)により生成されたコーティング層、及びさらなるプロセス工程で使用される材料(M1)の間の接着性が劣化しないことが確実となる。
【0163】
工程(2)において、組成物(C2a)は、好ましくは、フラッシュオフ後に所定の乾燥膜厚が得られる量で適用される。従ってプロセス工程(2)におけるフラッシュされた組成物(C2a)の乾燥膜厚は、20~120μm、より具体的には25~100μmであることが好ましい。これにより、構造化物品上の組成物(C2a)から生成されたコーティングが、機械的及び環境的影響に対する効果的な保護を保証することが確実となる。
【0164】
任意の工程(3):
本発明の方法の任意の工程(3)において、材料(M1)を型に挿入する。材料(M1)は、好ましくは、構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)を含む型部品(複数可)の内面(複数可)と前記材料が接触しないように型内に挿入する。その後、型を加熱して、挿入した材料(M1)を活性化する。材料(M1)の挿入後、型を加熱する前に、型を閉じることができる。
【0165】
特に好ましくは、プロセス工程(3)において挿入される材料(M1)は、アウトソール、より具体的には熱可塑性ポリウレタン製のアウトソールである。熱可塑性ポリウレタンは、500~10000g/モルの数平均分子量を有するポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールなどの高分子量ポリオールと、ジイソシアネートと低分子量ジオール(Mn50~499g/モル)との反応によって調製してよい。しかしながら、他の材料、例えば加硫又は未加硫のゴム、及びゴムとプラスチックとの混合物などで作られたアウトソールを使用することも可能である。
【0166】
特に、熱可塑性材料(M1)を使用する場合、材料(M1)を変形可能にし、そのようにして型部品によって形成される内部キャビティに適合させるために、型、好ましくは材料(M1)と接触している型部品の表面を、プロセス工程(3)において加熱すると有利である。従って、型をプロセス工程(4)において20~100℃、より好ましくは30~90℃、非常に好ましくは40~80℃、より具体的には50~70℃の温度まで加熱することが好ましい。型は、プロセス工程(2)において前述したように加熱することができる。
【0167】
任意の工程(4):
任意のプロセス工程(4)で、型を閉じる。型の閉鎖は、手動で、又は自動的に、例えば油圧によって、行うことができる。型は、型部品を閉じた状態で固定する手段、例えばクランプ手段のためのアタッチメントを含むことができる。好ましくは、プロセス工程(5)において、組成物(C3a)を閉鎖型に注入する場合に、型を閉じる。
【0168】
工程(5):
本発明の方法の工程(5)において、工程(3)で挿入した材料(M1)を任意に含有する開放型又は閉鎖型内に、組成物(C3a)を適用する。工程(5)において開放型内に組成物(C3a)を適用する場合、その後、プロセス工程(4)に関連して前述したように、型を閉じる。
【0169】
組成物(C3a)は、架橋可能な組成物である。よって組成物は自己架橋性でなければならないか、又は組成物は対応する架橋剤を含まなければならない。特に好ましくは、プロセス工程(5)で適用される組成物(C3a)は、ポリマーフォーム材料であり、より具体的にはポリウレタンフォーム材料、ポリスチレンフォーム材料、ポリエステルフォーム材料、ブタジエンスチレンブロックコポリマーフォーム材料及びアミノプラストフォーム材料から選択され、非常に好ましくはポリウレタンフォーム材料から選択される。ポリマーフォーム材料は、本発明の文脈において、熱硬化系、熱可塑性プラスチック、エラストマー、又は熱弾性系であり、これらから発泡プロセスによってポリマーフォームを製造することができる。これらの化学的な基礎の観点では、可能性のあるポリマーフォーム材料には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルアミド、又はポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、及びエチレンビニルアセテート、及び記載したポリマーのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。組成物(C3a)から製造されるポリマーフォームには、とりわけ、エラストマーフォーム、より具体的には可撓性フォームが含まれるが、熱硬化性フォーム、より具体的には硬質フォーム、及び一体フォームも含まれる。フォームは、開放セルフォーム、独立気泡フォーム、又は混合セルフォームであってよい。
【0170】
発泡プロセスによるポリマーフォームの製造は、プロセス工程(6)に関連して記載したように、適用したフォーム材料を硬化(すなわち発泡)させることによって達成される。発泡プロセスは既知であり、従って簡単な説明のみとする。各場合とも基本原理は、プラスチック中又は対応するプラスチック溶融物中の溶液状の、及び対応するポリマープラスチックの製造における架橋反応により形成される、発泡剤及び/又は気体が放出され、それによって、これまで比較的高密度のポリマープラスチックの発泡が起こることである。例えば、発泡剤として低沸点の炭化水素が使用される場合、これは高温で蒸発し、発泡に至る。二酸化炭素又は窒素のようなガスもまた、発泡剤として、高圧でポリマー溶融物に導入され、及び/又はその中に溶解することができる。その後の圧力低下の結果として、溶融物は、発泡剤ガスの漏出中に発泡する。
【0171】
特に好ましいポリマーフォーム材料は、ポリウレタンフォーム材料である。これらは、慣用的に、1つ以上のポリオール及び1つ以上のポリイソシアネートから製造される。フォームを形成するためにポリオール成分に添加される発泡剤は、通常、水であり、これがポリイソシアネートの一部と反応して二酸化炭素を形成するので、この反応には発泡が伴う。長鎖ポリオールを用いて、軟質~弾性のフォーム、特に可撓性のあるフォームが得られる。短鎖ポリオールを使用すると、高度に架橋された構造が形成され、一般的に硬質のフォームが形成される。ポリウレタンフォーム材料の製造に用いられるポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリエーテルポリオールを含むことが好ましく、よって前記ポリオールの群から選択されることが好ましい。
【0172】
熱可塑性ポリマー、例えば熱可塑性ポリウレタンのペレットを最初に製造することも可能である。これらのペレットは、すでに発泡剤を含有しており、型の中で発泡させることができ、ペレットはその体積を増加させ、互いに溶融し、そして最終的には溶融膨張フォームビーズ(熱可塑性ビーズフォームとも呼ばれる)からなる物品を形成する。膨張可能なペレットは、例えば、押出機を出るポリマーストランドの押出及びその後のペレット化によって形成してよい。ペレット化は、例えば、膨張が生じないような圧力及び温度条件下で作動する適切なチョッピング装置を介して達成される。
【0173】
また、熱可塑性ビーズフォームを製造する際に、既に予め発泡させておいたプラスチックペレットから出発することも可能である。これらは、その個々のペレット又はポリマービーズが、予め発泡させていないペレットと比較して、密度が対応して低減した、実質的に増加したビーズサイズを既に示すペレットである。制御して予め発泡させたビーズの製造は、例えば、WO2013/153190A1に記載のように、適切なプロセス制御によって実現することができる。それ故、押出機を出るときに、押出されたポリマーストランドを液体の流れでペレット化チャンバに通すことができ、その液体は特定の圧力下にあって、特定の温度を有する。操作パラメータを適合させることによって、特定の膨張した又は予備膨張した熱可塑性ペレットを得ることが可能であり、このペレットは、その後の溶融、及び任意には、特に蒸気によるさらなる膨張によって、熱可塑性ビーズフォーム基材に変換することができる。
【0174】
熱可塑性ビーズフォーム、及びそのようなビーズフォームを製造できる対応する熱可塑性、膨張性及び/又は膨張ペレットは、例えば、WO2007/082838A1、WO2013/153190A1か、又はWO2008/125250A1に記載されている。
【0175】
繊維は、ポリマーフォーム材料に混合されてもよい。このような材料を発泡させると、その製品は繊維強化フォームとして知られる。硬質フォームを製造する際には、繊維が好ましく用いられる。
【0176】
適用は、原則として既知の装置によって行うことができる。特に好ましくは、組成物(C3a)は、プロセス工程(5)において自動的に適用される。プロセス工程(5)における組成物(C3a)の適用は、組成物(C3a)を閉鎖型に注入することによって、又は組成物(C3a)を好ましくは開放型にスプレーすることによって、行ってよい。
【0177】
組成物(C3a)は、1段階又は複数段階で型内に適用することができる。複数の工程における組成物(C3a)の適用は、好ましくは、型が複数の型キャビティを含む場合に行われる。その場合、第1段階において組成物(C3a)を第1の型キャビティ内に注入し、そして第2段階において第2の型キャビティ内に注入する。この技術は、例えば、第1の型キャビティがアウトソールを表し、第2の型キャビティが自給式ソールフレームを表す場合に採用される。
【0178】
工程(6):
本発明の方法の工程(6)によれば、組成物(C3a)及び任意に組成物(C2a)を、少なくとも部分的に硬化させる。組成物(C3a)の少なくとも部分的な硬化は、プロセス工程(5)に関連して前述した発泡プロセスを表す。組成物(C2a)が存在する場合、この工程で形成されたフォーム材料の表面上で前記組成物が少なくとも部分的に架橋する結果、硬化した組成物(C2a)の高い接着性が、組成物(C3a)から製造されたフォームに対して得られ、それ故、得られたコーティング及び構造化物品の機械的及び光学的特性が改善される。
【0179】
十分な架橋及び発泡を達成するためには、プロセス工程(6)において高温が好ましく用いられる。従って、組成物(C3a)及び任意に組成物(C2a)が、プロセス工程(6)において、45~120℃、好ましくは50~100℃、より具体的には52~95℃の温度で、1~20分の期間、好ましくは3~15分後、より具体的には4~10分後に少なくとも部分的に硬化させると有利である。
【0180】
任意の手順(7):
任意の工程(7)において、さらなる組成物(C4a)を型内に適用し、そして少なくとも部分的に硬化させることができる。組成物(C4a)は、閉鎖型に注入することができる。あるいは、工程(6)の後に組成物(C4a)を適用する前に型を開くことができる。その後、型を閉じ、そして組成物(C4a)を硬化させる。
【0181】
プロセス工程(7)で適用される組成物(C4a)は、好ましくは組成物(C3a)とは異なり、そして(i)ポリマーフォーム材料、より具体的にはポリウレタンフォーム材料、ポリスチレンフォーム材料、ポリエステルフォーム材料、ブタジエンスチレンブロックコポリマーフォーム材料及びアミノプラストフォーム材料から、非常に好ましくはポリウレタンフォーム材料から選択されるポリマーフォーム材料、(ii)粉末組成物及び(iv)それらの混合物、から選択される。
【0182】
このプロセス工程は、所望の回数だけ繰り返してよい。よって、好ましくは同様に互いに異なる、さらなる組成物(C5a、C6a)等を適用することも可能である。組成物は、例えば、密度、色、又は使用される材料が異なっていてもよい。このようにして、多層構造化物品を製造することができ、物品の特性は、工程(6)及び(7)で使用される組成物の選択を介して適応される。工程(7)を行う場合には、型部品を好ましくは移動させた後、組成物(C4a)を適用するためのキャビティがさらに形成されるように、組成物(C4a)を適用する。これは、例えば上部で型を閉じるコアプレート又は型部品を移動することによって行ってよい。
【0183】
工程(7)で適用される組成物の硬化又は架橋は、好ましくは、45~120℃、好ましくは50~100℃、より具体的には52~95℃の温度で1~20分の期間、好ましくは3~15分後、より具体的には4~10分後に行う。
【0184】
工程(8):
本発明の方法のプロセス工程(8)では、型を開き、そして構造化し且つ任意にコーティングした物品を取り外す。本発明によれば、型を開く前に、変更されるべき型の少なくとも1つの型部品の位置を、特に液圧によって、提供してよい。型の開放、及び構造化し且つ任意にコーティングした物品の取り外しは、手動又は自動で行うことができる。前記物品の取り外しを容易にするために、型部品の1つを、好ましくは油圧で移動させることができる。
【0185】
任意の工程(9):
構造化し且つ任意にコーティングした物品を工程(8)において取り外した後、前記物品を後処理することができる。工程(9)における後処理は、好ましくは、構造化物品のトリミング及び/又は研磨及び/又はコーティングを含む。所望であれば、物品を直接(中間の研磨手順なしで)、さらなるコーティング材料、例えば、例として、少なくとも1つのベースコート組成物及び/又は少なくとも1つのクリアコート組成物でコーティングして、少なくとも1つの着色ベースコートフィルム及び/又は少なくとも1つのクリアコートフィルムをそれぞれ形成してよい。少なくとも1つのベースコート及び/又はクリアコート組成物の適用に先立ち、工程(8)の後に得られた物品は、好ましくは、サーフェイサー又はプライマー層でコーティングしない。適用したベースコート及び/又はクリアコート組成物は、別々に、又は一緒に硬化させることができる。
【0186】
ベースコート組成物及びクリアコート組成物として、基材をコーティングするために一般的に使用されるすべてのベースコート組成物及びクリアコート組成物を使用することができ、これらは、構造化物品を損傷しない温度で硬化することができる。適したベースコート及びクリアコート組成物は、例えば、BASF Coatings GmbH社から入手可能である。特に適したクリアコート組成物は、EverGloss製品ラインのクリアコート材料である。
【0187】
さらなるプロセス工程:
本発明の方法は、先に挙げた必須及び任意のプロセス工程に加えて、さらなるプロセス工程を含んでよい。例えば、構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)を、工程(8)の後に除去することができ、又は同じ又は異なる構造を含む構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)と交換することができる。或いは、さらなる構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)を、構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)でまだ覆われていない型部品の内面の少なくとも一部に、取り付けることができる。
【0188】
さらに、工程(8)の後、型キャビティを洗浄することができる。洗浄は、サンドブラスト又は有機溶媒を使用して、手動又は自動で行うことができる。この洗浄工程により、型部品及び構造化シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)及び/又は複合材料(S1C1)の表面に、成形物品の離型及び/又は成形物品への構造の転写を低減させる不要な残留物がないことが確実となる。
【0189】
本発明の方法により、少なくとも1つの構造化し且つ任意にコーティングした表面を有する三次元成形物品が得られる。この方法により、型の構造を高い成形精度で物品に転写することができる。さらに、構造化物品は、製造プロセス中に、高弾性である又は可撓性のあるコーティングで、物品への優れた接着として、同時にコーティングすることができる。前記コーティングはまた、型からの物品の離型を改善し、それ故、後処理前の高価で不便な取り外しを必要とする外部離型剤の使用を不要にする。型部品の構造化は、低コストで製造でき、且つ容易に交換できる構造化インレー(inlays)を使用することによって達成されるので、本発明の方法は、成形物品に転写される構造に対して非常に柔軟性がある。さらに、前記インレーは、摩耗又は汚れたときに容易に取り外して交換することができるので、大きな労働力を要する型の洗浄又は型構造の再形成を回避できる。
【0190】
本発明の物品:
本発明の方法の工程(8)又は任意の工程(9)の後に、少なくとも1つの構造化し且つ任意にコーティングした表面を含む成形物品が得られる。
【0191】
構造化された成形物品は、好ましくは靴底である。構造化物品のコーティングは製造プロセス中に行うことができるので、接着性が高く、光学的品質が良好で、且つ機械的耐性及び可撓性が高い、良好な耐汚染性及び優れた耐候安定性を有するコーティング層でコーティングすることができるポリマーフォーム製の靴底を得ることができる。
【0192】
本発明の物品のさらなる好ましい態様に関して、特に物品を製造するために使用される方法に関して、本発明の方法に関連する上記解説は、必要に応じて有効である。
【0193】
本発明を、特に以下の実施形態により記載する。
【0194】
実施形態1: 少なくとも1つの構造化表面を含む成形物品を製造するための方法であって、以下の工程:
(1) 互いに対して移動することができ、且つ型キャビティを形成する少なくとも2つの型部品を有する、閉鎖可能な三次元型(MO)を提供する工程であって、複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含む少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン含有層が、型部品のうちの少なくとも1つの型キャビティに面している内面(SU)の少なくとも一部に取り付けられている、提供する工程、
(2) 任意に、少なくとも1つのバインダー(B)及び任意の少なくとも1つの架橋剤(CL)を含む組成物(C2a)を、閉鎖可能な三次元型(MO)の型キャビティに面している少なくとも1つの内面(SU)の少なくとも一部に適用し、そして前記適用した組成物(C2a)をフラッシュオフする工程、
(3) 任意に、少なくとも1つの材料(M1)を型(MO)に挿入し、ここで少なくとも1つの材料(M1)が、好ましくは、シリコーン含有層を含む型部品の内面(SU)と接触しておらず、そして型(MO)を加熱する工程、
(4) 任意に、型(MO)を閉鎖する工程、
(5) 組成物(C3a)を閉鎖型(MO)に適用するか、又は組成物(C3a)を開放型(MO)に適用して前記型(MO)を閉鎖する工程、
(6) 組成物(C3a)、及び任意に組成物(C2a)を、少なくとも部分的に硬化させる工程、
(7) 任意に、少なくとも1つのさらなる組成物(C4a)を適用し、前記組成物(C4a)を少なくとも部分的に硬化させる工程、
(8) 型(MO)を開放し、そして少なくとも1つの構造化し且つ任意にコーティングした表面を含む成形物品を取り外す工程、
(9) 任意に、工程(8)の後に得られた物品を後処理する工程
を、記載の順序で含む、方法。
【0195】
実施形態2: 前記方法が手動プロセス又は自動プロセスであってよい、実施形態1に記載の方法。
【0196】
実施形態3: 型部品が、金属の型部品、好ましくは鋼、ニッケル又は銅の型部品、非常に好ましくは鋼の型部品、及び/又はポリマーの型部品、好ましくはポリアミドの型部品から選択される、実施形態1又は2に記載の方法。
【0197】
実施形態4:シリコーン含有層の非構造側が、少なくとも1つの型部品の少なくとも1つの内面(SU)上に取り付けられ、前記型部品が型キャビティに面しており、そして前記取り付けられたシリコーン含有層が、任意に、圧力差、真空、接着層、クランプ又は磁力によって、前記内面(SU1)上に固定される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
実施形態5:シリコーン含有層が、
(i) 複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)、及び/又は
(ii) 基材(S1)と、少なくとも1つのシリコーン化合物及び複数のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素を含有する少なくとも1つのマイクロ構造化及び/又はナノ構造化コーティング層(C1)とを含む少なくとも1つの複合材料(S1C1)
から選択される、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態6:マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)が、
(i) 硬化シリコーン層を、任意に担体材料(CM1)上に、提供する工程、及び
(ii) 硬化シリコーン層の表面をレーザーにより構造化して、マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)を提供する工程
によって得られる、実施形態5に記載の方法。
【0200】
実施形態7:担体材料(CM1)が、織物、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド又はポリカーボネートのフィルム、好ましくはPET又はPENフィルム、ガラス繊維生地、ガラス繊維及び適したポリマー材料、紙、アルミニウム、鋼、磁性鋼又は他の鉄合金でできた複合材料からなる群から選択される、実施形態6に記載の方法。
【0201】
実施形態8:硬化シリコーン層が、(i)脂肪族炭素-炭素多重結合を有するラジカルを有する少なくとも1つの化合物と、Si-結合水素原子を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、及び/又は脂肪族炭素-炭素多重結合を有するSiC-結合ラジカル及びSi-結合水素原子を有する少なくとも1つのオルガノポリシロキサンとを、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒の存在下で付加架橋する、又は(ii)縮合可能な末端基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン及びシリコーンに結合している加水分解可能な基を1分子当たり少なくとも3つ任意に有する少なくとも1つのオルガノシリコーン化合物を、少なくとも1つの縮合触媒の存在下で縮合架橋することによって得られる、実施形態6又は7に記載の方法。
【0202】
実施形態9:マイクロ構造化及び/又はナノ構造化シリコーン層(SiL)が、1~10mm、好ましくは2~3mmの総厚さを有する、実施形態6から8のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
実施形態10:マイクロ構造化及び/又はナノ構造化複合材料(S1C1)が、
(I) 放射線硬化性コーティング組成物(C1a)を、基材(S1)の表面の少なくとも一部に適用して、複合材料(S1C1a)を得る工程、
(II) 基材(S1)の表面に少なくとも部分的に適用されたコーティング組成物(C1a)を、少なくとも1つのエンボス加工型(e1)を含む少なくとも1つのエンボス加工用具(E1)によって、少なくとも部分的にエンボス加工する工程、
(III) 基材(S1)に少なくとも部分的に適用された少なくとも部分的にエンボス加工されたコーティング組成物(C1a)を少なくとも部分的に硬化させる工程であって、少なくとも部分的に硬化させる期間を通して、基材(S1)とエンボス加工用具(E1)の少なくとも1つのエンボス加工型(e1)とが接触している、硬化させる工程、
(IV) 複合材料(S1C1)をエンボス加工用具(E1)のエンボス加工型(e1)から(又はその反対で)取り外して、少なくとも部分的にエンボス加工され且つ少なくとも部分的に硬化させた複合材料(S1C1)を提供する工程
によって得られる、実施形態5から9のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
実施形態11:基材(S1)が、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレンコポリマー(A-EPDM)、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又は耐衝撃性改質PMMAからなる群から選択される、実施形態10に記載の方法。
【0205】
実施形態12:基材(S1)の厚さが2μm~5mm、好ましくは25~100μm、非常に好ましく50~300μmである、実施形態10又は11に記載の方法。
【0206】
実施形態13:コーティング組成物(C1a)が、
a) 少なくとも1つの架橋可能なポリマー及び/又はオリゴマー、
b) 少なくとも1つの反応性希釈剤、
c) 少なくとも1つの光開始剤、及び
d) 任意に少なくとも1つの添加剤
を含み、コーティング組成物(C1a)が、好ましくは架橋可能なシリコーン含有ポリマー及び/又はオリゴマーから選択される少なくとも1つのシリコーン化合物を含有する、実施形態10から12のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
実施形態14:コーティング組成物(C1a)が、(C1a)の総質量に基づいて、以下の成分:
(a) 9~35質量%の、平均で2個の不飽和基を含む厳密に1つのシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー、
(b) 55~83質量%の、6倍のエトキシル化トリメチロールプロパンに由来するヘキサンジオールジアクリレート及び/又は(メタ)アクリレート、
(c) 1~10質量%の、エチル2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート及び/又は1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、及び
(d) 0又は0.5~3質量%の潤滑性添加剤及び/又はブロック防止添加剤
を含む、実施形態10から13のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
実施形態15:コーティング組成物(C1a)が、(C1a)の総質量に基づいて、以下の成分:
(a) 9~35質量%の、平均で2個の不飽和基を含む厳密に1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、平均で0.5~3個の不飽和基を含む厳密に1つのシリコーン(メタ)アクリレートとの混合物であって、ウレタン(メタ)アクリレートのシリコーン(メタ)アクリレートに対する質量比が10:1~8:1である混合物、
(b) 55~83質量%の、6倍のエトキシル化トリメチロールプロパンに由来する、ヘキサンジオールジアクリレート及び/又は(メタ)アクリレート、
(c) 1~10質量%の、エチル2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート及び/又は1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、及び
(d) 0又は0.5~3質量%の潤滑性添加剤及び/又はブロック防止添加剤
を含む、実施形態10から16のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
実施形態16:少なくとも1つのエンボス加工型(e1)を含むエンボス加工用具(E1)が、金属のエンボス加工用具、好ましくはニッケルのエンボス加工用具、より具体的には少量のリンを含有するニッケルのエンボス加工用具から選択される、実施形態10から15のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
実施形態17:工程(II)における少なくとも部分的なエンボス加工が、逆方向又は同じ方向に回転する互いに対向する2つのロールによって形成されるロールニップのレベルで行われ、ここで少なくとも1つのエンボス加工用具(E1)の少なくとも1つのエンボス加工型(e1)が、複合材料(S1C1a)のコーティング組成物(C1a)に向いている、実施形態10から16のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態18:シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)のコーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素が、10nm~1,000μm、好ましくは25nm~400μm、より好ましくは50nm~250μm、非常に好ましくは100nm~200μm又は1μm~200μmの構造幅を有する、実施形態1から17のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
実施形態19:シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)のコーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素が、10nm~1,000μm、好ましくは25nm~400μm、より好ましくは50nm~300μm、非常に好ましくは100nm~200μm又は1μm~200μmの構造高さを有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
実施形態20:シリコーン含有層、好ましくはシリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)のコーティング層(C1)のマイクロスケール及び/又はナノスケールの表面要素が、蛇紋パターン、鋸歯状パターン、ダイヤモンド状パターン、菱形パターン、平行四辺形パターン、ハニカムパターン、円形パターン、点状パターン、星形状パターン、ロープ形状パターン、網形状パターン、三角形、四角形、長方形、正方形、五角形、六角形、七角形及び八角形パターンなどの多角形パターン、ワイヤー形状パターン、楕円形パターン、卵形及び格子状パターン、QRコード、又は前述のパターンの組み合わせから選択される規則的又は不規則なパターンを形成している、実施形態1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
実施形態21:少なくとも1つのバインダー(B)が、(i)ポリ(メタ)アクリレート、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性ポリ(メタ)アクリレート、(ii)ポリウレタン、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性ポリウレタン、(iii)ポリエステル、より具体的にはポリエステルポリオール、(iv)ポリエーテル、より具体的にはポリエーテルポリオール、(v)上記ポリマーのコポリマー、及び(vi)それらの混合物からなる群から選択される、実施形態1から20のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
実施形態22:少なくとも1つのバインダー(B)が、各場合とも組成物(C2a)の合計質量に基づいて、15~55wt%固体、好ましくは25~40wt%固体、より具体的には25~35wt%固体の総量で存在する、実施形態1から21のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
実施形態23:少なくとも1つの架橋剤(CL)が、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックされたポリイソシアネート、ポリカルボジイミド、光開始剤及びそれらの混合物、好ましくはポリイソシアネートからなる群から選択される、実施形態1から22のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
実施形態24:少なくとも1つの架橋剤(CL)が、各場合とも組成物(C2a)の総質量に基づいて、10wt%~40wt%、好ましくは10~30wt%、より具体的には15~25wt%の総量で存在する、実施形態1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
実施形態25:組成物(C2a)が、少なくとも1つの有機又は無機の着色顔料をさらに含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
実施形態26:組成物(C2a)が水性又は溶媒ベースのコーティング組成物である、実施形態1から25のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
実施形態27:組成物(C2a)が、ASTM D2369(2015年)に準拠して測定(110℃、60分)して、30~60wt%、好ましくは35~55wt%、より好ましくは40~50wt%、より具体的には42~48wt%の固形分含量を有する、実施形態1から26のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
実施形態28:組成物(C2a)が1成分又は2成分のコーティング組成物、好ましくは2成分のコーティング組成物である、実施形態1から27のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
実施形態29:組成物(C2a)の2つの成分の混合が、好ましくは、混合ユニット、より具体的にはスタティックミキサー、及びさらに少なくとも2つの成分供給装置、より具体的にはギアポンプ及び/又は圧力弁を備える自動混合システムにおいて実施される、実施形態28による方法。
【0223】
実施形態30:組成物(C2a)を工程(2)において手動で又は適用ロボットによって適用する、実施形態1から29のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
実施形態31:適用ロボットが、直径0.05~1.5mm、好ましくは0.08~1mm、より具体的には0.1~0.8mmの直径を有する少なくとも1つのノズルを含む、実施形態30に記載の方法。
【0225】
実施形態32:組成物(C2a)が、プロセス工程(2)において、0.2~20分、好ましくは1~20分、より好ましくは2~10分、非常に好ましくは4~6分の期間フラッシュオフされる、実施形態1から31のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
実施形態33:組成物(C2a)が、プロセス工程(2)において、20~190℃、より好ましくは30~150℃、非常に好ましくは40~140℃、より具体的には50~130℃、例えば50~70℃又は120~130℃の温度でフラッシュオフされる、実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
実施形態34:プロセス工程(2)後のフラッシュされた組成物(C2a)の乾燥膜厚が20~120μm、より具体的には25~100μmである、実施形態1から33のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
実施形態35:プロセス工程(3)で挿入される材料(M1)が、アウトソール、より具体的には熱可塑性ポリウレタン製のアウトソールである、実施形態1から34のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
実施形態36:型(MO)をプロセス工程(3)において20~100℃、より好ましくは30~90℃、非常に好ましくは40~80℃、より具体的には50~70℃の温度に加熱する、実施形態1から35のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
実施形態37:組成物(C3a)がポリマーフォーム材料であり、より具体的にはポリウレタンフォーム材料、ポリスチレンフォーム材料、ポリエステルフォーム材料、ブタジエンスチレンブロックコポリマーフォーム材料及びアミノプラストフォーム材料から選択され、非常に好ましくはポリウレタンフォーム材料から選択される、実施形態1から36のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
実施形態38:プロセス工程(5)において、組成物(C3a)が型(MO)内に自動的に適用される、実施形態1から37のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
実施形態39:プロセス工程(5)における組成物(C3a)の適用が注入又はスプレーによって行われる、実施形態1から38のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
実施形態40:組成物(C3a)及び任意に組成物(C2a)を、プロセス工程(6)において、45~120℃、好ましくは50~100℃、より具体的には52~95℃の温度で、1~20分の期間、好ましくは3~15分後、より具体的には4~10分後に少なくとも部分的に硬化させる、実施形態1から39のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
実施形態41:組成物(C4a)が、好ましくは組成物(C3a)とは異なり、そして(i)ポリマーフォーム材料、より具体的にはポリウレタンフォーム材料、ポリスチレンフォーム材料、ポリエステルフォーム材料、ブタジエンスチレンブロックコポリマーフォーム材料及びアミノプラストフォーム材料から、非常に好ましくはポリウレタンフォーム材料から選択されるポリマーフォーム材料、(ii)粉末組成物及び(iv)それらの混合物、から選択される、実施形態1から40のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
実施形態42:組成物(C4a)を、プロセス工程(7)において、45~120℃、好ましくは50~100℃、より具体的には52~95℃の温度で1~20分の期間、好ましくは3~15分後、より具体的には4~10分後に少なくとも部分的に硬化させる、実施形態1から41のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態43:プロセス工程(9)における後処理が、プロセス工程(8)の後に得られた構造化された成形物品のトリミング及び/又は研磨及び/又はコーティングを含む、実施形態1から42のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
実施形態44:実施形態43による方法であって、少なくとも1つのベースコートフィルム及び/又は少なくとも1つのクリアコートフィルムを適用し、そしてそのベースコート及び/又はクリアコートフィルムを同時に又は別々に硬化させることによって、構造化された成形物品のコーティングを中間研磨なしで行う方法。
【0238】
実施形態45:実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法により製造された、構造化された成形物品。
【0239】
実施形態46:実施形態45に記載の構造化された成形物品であって靴底である、構造化された成形物品。
【実施例】
【0240】
以下に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に決して限定されるものではない。さらに、実施例における「部」、「%」及び「比率」という用語は、特に指示がない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」及び「質量比」を意味する。記載された配合物の構成成分及びその量に関しては、その構成成分について選択された特定の主要な名称にかかわらず、市販製品についての如何なる参照もその市販製品そのものを指すことに留意すべきである。
【0241】
1. 方法の説明:
1.1 固形分含量(固体、不揮発性画分)
不揮発性画分は、ASTM D2369(日付:2015年)に準拠して決定した。この手順において、あらかじめ乾燥させておいたアルミニウム皿に2gの試料を量り取り、その試料を乾燥キャビネット中110℃で60分間乾燥させ、デシケーター内で冷却してから、再秤量した。導入した試料の総量に対する残留物は、不揮発性画分に相当する。
【0242】
1.2 酸価の決定
酸価は、DIN EN ISO2114(日付:2002年6月)に準拠し、「方法A」を用いて決定した。酸価は、DIN EN ISO2114に特定された条件下で、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)に対応する。報告された酸価はここで、DIN規格に規定の合計酸価に相当し、そして固形分含量に基づく。
【0243】
1.3 OH価の決定
OH価は、DIN53240-2に準拠して決定した。OH基を、過剰の無水酢酸を用いるアセチル化によって反応させた。その後過剰の無水酢酸を、水の添加によって分割して酢酸を形成し、そして全酢酸をエタノール性KOHで逆滴定した。OH価は、mgで表すKOHの量を示し、これは試料1gのアセチル化で結合した酢酸の量と同等である。OH価は、試料の固形分含量に基づく。
【0244】
1.4 数平均分子量及び質量平均分子量の決定
数平均分子量(Mn)は、DIN55672-1(2016年3月)に準拠してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。この方法は、数平均分子量の他に、質量平均分子量(Mw)及び多分散性d(質量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比率)の決定にも使用することができる。テトラヒドロフランを溶離剤として使用した。決定は、ポリスチレン標準に対して実施した。カラム材料は、スチレン-ジビニルベンゼンコポリマーからなっていた。
【0245】
1.5. 離型性の決定
三次元型からの構造化物品の離型の成否は、型部品を取り外し、そして得られた構造化物品を視覚的評価することによって決定した。構造化物品が完全に離型することができ、視覚的に損傷が検出されなかった場合、離型性は「可」とした。構造化物品が離型できなかった場合、又は離型中に構造化物品が視覚的に破壊された場合、離型性は「不可」と評価した。
【0246】
1.6. 離型後の物品の構造化表面上の残留物の決定:
離型後に構造化表面に残留する残留物を走査型電子顕微鏡で決定した。離型した物品の構造化表面の画像を、離型後に最大1000倍の倍率で記録した。物品の構造化表面が、1000倍の倍率を用いて視覚的に追加の残留物を示さない場合、評価は「なし」とした。構造化表面が、1000倍の倍率を用いて視覚的に追加の残留物を示した場合、評価は「あり」とした。
【0247】
2) 構造化シリコーン層(SiL)及び複合材料(S1C1)の製造
2.1 構造化シリコーン層(SiL)の製造
構造化シリコーン層(SiL)をEP2057000B1の実施例5に従って調製したが、以下の逸脱があった:
EP2057000B1に開示されているネガパターンの代わりに、ネガハニカムパターンをレーザーによって彫刻した。
【0248】
2.2 複合材料(S1C1)の製造
複数のマイクロスケール表面要素を含有する複合材料(S1C1)を、マイクロ構造A及びコーティング組成物E1aを含むロールツーロール又はロールツープレートエンボス加工用具を用いて、WO2019/185833A1の第58~59頁に従って調製した。
【0249】
3) 使用した組成物C2a
次の組成物C2aを、下記ポイント4)に記載の成形プロセスで使用した(全ての成分を質量%で表す):
【0250】
【0251】
1) ヒドロキシル価82.5mgKOH/g、酸価10mgKOH/g、Mn約6800g/モル、Mw約17000g/モルを有するヒドロキシル官能性ポリ(メタ)アクリレート(BASF SE社)、
2) ヒドロキシル価115mgKOH/g及びヒドロキシル官能価約3.5を有するポリエステルポリオール(Covestro社)、
3) 式R1-(C=O)r-O-(AO)s-R2の化合物の混合物((a)R1=12~22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和炭化水素ラジカルの混合物、r=0、AO=主にエチレンオキシド単位及びいくつかのプロピレンオキシド単位の混合物、及びR2=H(Mn≒650g/モル);及び(b)R1=21個の炭素原子を有する不飽和炭化水素ラジカル、s=0、及びR2=Hで構成される)(Muench Chemie International GmbH社)
4) 上記ラジカルを有する式(III)のヒドロキシ変性ポリシロキサン(Siltec GmbH&Co.KG社)、
5) UV吸収体(BASF Corporation社)
6) Glasuritペースト55-A 353 マゼンタロット
7) Glasuritペースト55-M 011 真珠色
8) Glasuritペースト55-M 025 白
9) ビスマスネオデカノエート(King Industries社)
10) NCO含有量11.0質量%のイソシアヌレート型のヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(Covestro社)
【0252】
組成物C2a-1及びC2a-2を次のように調製した:成分11~13を混合し、そして先に混合した成分1~10に添加した。
【0253】
さらに、組成物C2a-3を、WO2018/073034A1の第38~39頁で組成物kE1について記載されているように調製した。
【0254】
4) 成形プロセスによる構造化し且つ任意にコーティングした物品の製造
構造化し且つ任意にコーティングした履物の底の形態の物品を、次の成形プロセスにより製造した。
【0255】
4.1 構造した型の用意(本発明の工程(1))
各場合とも2個の可動式の型部品を含むプレート形態の型を使用した。シリコーン層(SiL)又は複合材料(S1C1)それぞれを、1つの型部品に挿入し、型部品の表面が完全に覆われるようにした。次の型を用意した。
【0256】
【0257】
4.2 組成物C2aの適用(本発明の方法の工程(2))
組成物C2a-1及びC2a-2それぞれを、圧縮空気(SATA Jet4000B HVLP、ノズル1.0)で型MO2の型キャビティに面している型部品のあらゆる表面に適用した。これらの組成物と接触する型表面の温度は65℃であった。その後、組成物C2a-1~C2a-3を65℃で5分間フラッシュオフした。フラッシュオフ後の乾燥膜厚約50~60 80μm(光学顕微鏡で分析した断面によって決定)を得た。
【0258】
組成物C2a-1及びC2a-2とは別に、バインダーを含まない外部離型剤Super Release S(MARBO ITALIA spa社から市販されている)も、型MO2の型キャビティに面している型部品のあらゆる表面との比較として適用した。
【0259】
型MO1の場合には、下記に記載するように、フォーム材料の注入前に組成物(C2a)を適用しなかった。
【0260】
4.3 フォーム材料(C3a)の射出(工程(4)及び(5))
型部品を閉じ、そしてポリウレタンフォーム材料を閉じた型に射出した。成分A(Elastopan S7859/102-ポリエーテルポリオール、安定剤及びアミン触媒を含有)と成分B(Iso137/53-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)とを100:49の比で混合することにより、ポリウレタンフォーム系を得た(市販のフォーム系Elastopan S7859/102)。フォーム密度は約330g/cm3であった。
【0261】
4.4 組成物(C2a-1)~(C2a-3)及びフォーム材料(C3a)の硬化(工程(4)~(6))
組成物(C2a-1)~(C2a-3)それぞれの硬化、及びフォーム材料(C3a)からのポリウレタンフォームの形成は、閉じた型中65℃で4分間にわたって行った。
【0262】
4.5 構造化し且つ任意にコーティングした物品の開放及び取り外し(工程(8))
硬化時間の経過後、型を開き、構造化し且つ任意にコーティングした物品を型から取り外した。
【0263】
5) 結果
離型性及び表面上の残留物の存在を、ポイント1)で記載したように決定した。結果を次の表にまとめる。
【0264】
【0265】
1) 決定せず
【0266】
全ての構造は、十分な品質で構造化された物体に転写された。
【0267】
この表から分かるように、少なくとも1つのバインダーを含む組成物(C2a)を用いて用意した構造化物品(本発明の方法)は、改善された離型性を示し、構造化表面上に望ましくない残留物を全く有しない。対照的に、バインダーを含まない外部離型剤の使用(本発明によらない方法)は、物品を型から部分的に離型するのみであった。さらに、離型可能な表面は、後処理の前に除去しなければならない外部離型剤の残留物を示した。
【0268】
構造化表面上に設けられたコーティング層は、複製の成功を妨げなかった。これは、コーティングが、型部品からフォーム材料への構造の転写に負の影響を与えることなく、離型性を改善できることを意味する。よって本発明の方法により、三次元フォーム物品のコーティング及び構造化が同時に可能となる。コーティング層は構造化表面に対する高い接着性を示した。さらに、コーティング層は、非常に可撓性があり、そして曲げ又は機械的応力の間にいかなる剥離も示さなかった。また、着色された構造化フォーム物品も本発明の方法で製造することができるので、上記の方法は、時間とコストのかかる後コーティング工程を不要とする。
【0269】
さらに、組成物(C2)を使用せずに構造化されたシリコーン層(型MO1)を使用した場合にも、構造化物品の良好な離型が得られた。このように本発明の方法は非常に汎用性があり、所望の構造化表面を有する三次元物品を提供することができ、そしてこの構造化表面は、可撓性があり且つ耐久性の高いコーティング層で任意にコーティングすることができる。