(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2022561247
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2020042630
(87)【国際公開番号】W WO2022102132
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広康
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6467632(JP,B2)
【文献】特許第6761862(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を保持したキャリアテープを挿入する後側の挿入位置から前記部品を供給する前側の供給位置まで延びるテープ搬送路と、前記挿入位置から挿入された前記キャリアテープを前記供給位置まで搬送するテープ搬送機構と、を備えるテープフィーダであって、
前記キャリアテープは、上向きに開口して前記部品を収納するキャビティ部、および前記キャビティ部の下面よりも高い部位からテープ幅方向外向きに延びる二つの側縁部をもつベーステープ、ならびに、前記キャビティ部を覆うカバーテープを有するエンボスキャリアテープを含み、
前記テープ搬送路は、
二つの前記側縁部の下面に接触する二つの搬送ガイド、および二つの前記搬送ガイドの間に形成されて前記キャビティ部が進入するガイド溝をもつ供給側搬送路、ならびに、
前記供給側搬送路の後側に配置され、前記キャビティ部の前記下面に接触する底部、および前記挿入位置から前方に進むにつれて前記底部から徐々に上方に離隔しつつ前記側縁部の前記下面に接触する傾斜ガイドをもつ挿入側搬送路、を含
み、
前記挿入側搬送路は、
前記底部および前記傾斜ガイドを挟んで配置され、前記キャリアテープのテープ幅方向の揺動を抑制する二つの側壁材、および、
前記底部および前記傾斜ガイドの上方に配置され、前記キャリアテープが前記底部および前記傾斜ガイドから浮揚することを抑制する浮揚抑制材をもつ、
テープフィーダ。
【請求項2】
複数の部品を保持したキャリアテープを挿入する後側の挿入位置から前記部品を供給する前側の供給位置まで延びるテープ搬送路と、前記挿入位置から挿入された前記キャリアテープを前記供給位置まで搬送するテープ搬送機構と、を備えるテープフィーダであって、
前記キャリアテープは、上向きに開口して前記部品を収納するキャビティ部、および前記キャビティ部の下面よりも高い部位からテープ幅方向外向きに延びる二つの側縁部をもつベーステープ、ならびに、前記キャビティ部を覆うカバーテープを有するエンボスキャリアテープを含み、
前記テープ搬送路は、
二つの前記側縁部の下面に接触する二つの搬送ガイド、および二つの前記搬送ガイドの間に形成されて前記キャビティ部が進入するガイド溝をもつ供給側搬送路、ならびに、
前記供給側搬送路の後側に配置され、前記キャビティ部の前記下面に接触する底部、および前記挿入位置から前方に進むにつれて前記底部から徐々に上方に離隔しつつ前記側縁部の前記下面に接触する傾斜ガイドをもつ挿入側搬送路、を含
み、
前記供給側搬送路および前記挿入側搬送路は、相違する部材で形成されて結合される、
テープフィーダ。
【請求項3】
前記傾斜ガイドの前端における前記底部からの高さは、前記エンボスキャリアテープの前記キャビティ部の厚みよりも大きく設定されている、請求項1
または2に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
前記傾斜ガイドは、前記テープ搬送機構を構成するスプロケットが係合する送り穴をもつ一方の前記側縁部の前記下面に接触する、請求項1
~3のいずれか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項5】
前記傾斜ガイドおよび前記搬送ガイドが一つの平面上に配置される、請求項1~
4のいずれか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項6】
前記キャリアテープは、前記キャビティ部をもち厚みが一定のベーステープ、および、前記キャビティ部を覆う前記カバーテープを有する定厚キャリアテープを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項7】
前記テープ搬送機構は、前記供給側搬送路の後端付近に前記キャリアテープを送る送り機構を有し、
前記テープフィーダは、
第一の前記キャリアテープが前記供給位置まで搬送されているときに、第二の前記キャリアテープの先端を前記供給側搬送路内の待機位置に保持する次テーブ保持部と、
第一の前記キャリアテープの後端が前記送り機構を通過した後に、第二の前記キャリアテープの前記先端を前記待機位置から前記供給位置まで自動搬送するように前記送り機構および前記次テーブ保持部を制御する自動装填制御部と、をさらに備える、
請求項1~
6のいずれか一項に記載のテープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、キャリアテープを送って部品を供給するテープフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機の代表例として、部品の装着作業を実施する部品装着機がある。多くの部品装着機は、キャリアテープを送って部品を供給するテープフィーダを備える。テープフィーダは、一般的に、形状や材質が相違する複数種類のキャリアテープの使用が可能となっている。この種のテープフィーダの一技術例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のテープフィーダは、キャリアテープの幅方向の両端部(二つの側縁部)を支持する一対のテープ支持部と、テープ支持部の間に設けられた凹状溝と、凹状溝のテープ挿入側端部に設けられてテープ支持部以上の高さに位置する支持面と、を備える。これによれば、キャリアテープの両端部の一方が凹状溝に落ち込む片落ちの状態を回避し、キャリアテープを安定して挿入することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のテープフィーダにおいて、キャリアテープは、高い位置に設けられた支持面からテープ支持部へ挿入される箇所で屈曲する。このため、オペレータがキャリアテープを挿入するときに、抵抗感が発生して好ましくない。また、テープフィーダは、キャリアテープの種類を問わず、良好な使い勝手が必要とされる。
【0006】
それゆえ、本明細書では、キャリアテープの種類を問わずスムーズな挿入を行うことができるテープフィーダを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、複数の部品を保持したキャリアテープを挿入する後側の挿入位置から前記部品を供給する前側の供給位置まで延びるテープ搬送路と、前記挿入位置から挿入された前記キャリアテープを前記供給位置まで搬送するテープ搬送機構と、を備えるテープフィーダであって、前記キャリアテープは、上向きに開口して前記部品を収納するキャビティ部、および前記キャビティ部の下面よりも高い部位からテープ幅方向外向きに延びる二つの側縁部をもつベーステープ、ならびに、前記キャビティ部を覆うカバーテープを有するエンボスキャリアテープを含み、前記テープ搬送路は、二つの前記側縁部の下面に接触する二つの搬送ガイド、および二つの前記搬送ガイドの間に形成されて前記キャビティ部が進入するガイド溝をもつ供給側搬送路、ならびに、前記供給側搬送路の後側に配置され、前記キャビティ部の前記下面に接触する底部、および前記挿入位置から前方に進むにつれて前記底部から徐々に上方に離隔しつつ前記側縁部の前記下面に接触する傾斜ガイドをもつ挿入側搬送路、を含む、テープフィーダを開示する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示するテープフィーダにおいて、テープ搬送路は、二つの搬送ガイドおよびガイド溝をもつ供給側搬送路、ならびに、底部および傾斜ガイドをもつ挿入側搬送路を含む。このため、エンボスキャリアテープは、挿入側搬送路に挿入されたときに、側縁部が傾斜ガイドに沿って上昇し、供給側搬送路に進むときに、側縁部が傾斜ガイドから搬送ガイドにスムーズに乗り移り、キャビティ部がガイド溝にスムーズに進入する。また、エンボスキャリアテープ以外の別種のキャリアテープは、傾斜ガイドから搬送ガイドにスムーズに乗り移る。したがって、オペレータは、キャリアテープの種類を問わずスムーズな挿入を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】エンボスキャリアテープの構成を示すテープ幅方向の断面図である。
【
図2】定厚キャリアテープの構成を示すテープ幅方向の断面図である。
【
図3】実施形態のテープフィーダの全体構成を示す側面図である。
【
図4】テープフィーダのテープ搬送路の詳細な構成を示す斜視図である。
【
図5】エンボスキャリアテープをテープフィーダに挿入した場合の作用を説明する斜視図である。
【
図6】定厚キャリアテープをテープフィーダに挿入した場合の作用を説明する斜視図である。
【
図7】第一比較例のテープ搬送路の構成を示す斜視図である。
【
図8】第二比較例のテープ搬送路の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.キャリアテープ(91、95)の構成
まず、実施形態のテープフィーダ1に用いられるキャリアテープ(91、95)の構成について、
図1および
図2を参考にして説明する。キャリアテープ(91、95)は、複数のキャビティ部(921、961)にそれぞれ部品Pを収納し、これらの部品Pを順番に供給可能とする。キャリアテープ(91、95)は、リールに巻回された形態で提供され、リールから引き出されて用いられる。キャリアテープ(91、95)は、エンボスキャリアテープ91、および定厚キャリアテープ95に大別される。
【0011】
エンボスキャリアテープ91は、
図1に示されるように、ベーステープ92およびカバーテープ93で構成される。ベーステープ92は、複数のキャビティ部921をもつ。キャビティ部921は、テープ長さ方向に一定のピッチで設けられ、かつ、上向きに開口して部品Pを収納する。ベーステープ92は、また、キャビティ部921の下面よりも高い部位、具体的にはキャビティ部921の上縁部位からテープ幅方向外向きに延びる側縁部922、および側縁部923をもつ。キャビティ部921の厚みTは、収納する部品Pの高さに合わせて適宜変更される。
【0012】
一方の側縁部922は、他方の側縁部923よりもテープ幅方向に広く形成されており、送り穴924が穿孔形成される。送り穴924は、テープ長さ方向に一定のピッチで設けられる。送り穴924のピッチおよびキャビティ部921のピッチは、一方が他方の整数倍であることが好ましく、これに限定されない。ベーステープ92は、例えば、樹脂等の柔軟なテープ形状の材料にエンボス加工が施されて形成される。
【0013】
カバーテープ93は、テープ幅方向の幅寸法がベーステープ92よりも小さい。カバーテープ93は、幅方向両側の側縁がベーステープ92に接着されてキャビティ部921を覆い、部品Pの飛散を防止する。カバーテープ93は、送り穴924を避けて配置される。カバーテープ93は、例えば、薄くて透明な高分子フィルムを用いて形成される。
【0014】
定厚キャリアテープ95は、
図2に示されるように、ベーステープ96、ボトムテープ97、およびカバーテープ98で構成される。ベーステープ96は、紙材や樹脂等の柔軟な材料で形成され、厚みが一定とされている。ベーステープ96は、複数のキャビティ部961をもつ。キャビティ部961は、テープ長さ方向に一定のピッチで穿孔形成され、部品Pを収納する。キャビティ部961のテープ幅方向の位置は、中央から外れている。ベーステープ96の下側に、ボトムテープ97が接着される。ボトムテープ97のテープ幅方向の幅寸法は、ベーステープ96のそれに略一致している。ボトムテープ97は、キャビティ部961の下側を覆い、部品Pの脱落を防止する。ボトムテープ97は、薄い紙材や高分子フィルム等を用いて形成され、透明または半透明になっている。
【0015】
ベーステープ96およびボトムテープ97は、キャビティ部961から外れた両側に、側縁部962、および側縁部963をもつ。一方の側縁部962は、他方の側縁部963よりもテープ幅方向に広く形成されており、送り穴964が穿孔形成される。送り穴964は、テープ長さ方向に一定のピッチで設けられる。ベーステープ96およびボトムテープ97の総称として、ベーステープが用いられる場合がある。カバーテープ98は、エンボスキャリアテープ91のカバーテープ93と同様の形状に形成されてベーステープ96に接着され、部品Pの飛散を防止する。
【0016】
2.実施形態のテープフィーダ1の全体構成
次に、実施形態のテープフィーダ1の全体構成について、
図3を参考にして説明する。
図3の右側は、テープフィーダ1の前側に相当し、
図3の左側は、テープフィーダ1の後側に相当する。テープフィーダ1は、幅方向(
図3の紙面表裏方向)の厚みが小さな扁平形状に形成されている。テープフィーダ1は、オートローディングフィーダと呼ばれる方式のものである。テープフィーダ1は、複数台が部品装着機に配列されて使用される。テープフィーダ1は、フィーダ本体2、挿入案内部材3、テープ搬送路4、テープ搬送機構7、および制御部8などで構成される。
【0017】
フィーダ本体2は、前後方向に長く、上下方向に短く、幅方向の厚みが小さな扁平形状の概ね箱形に形成される。挿入案内部材3は、フィーダ本体2と相違する部材で形成される。挿入案内部材3は、取り付け板31や取り付けねじ32等を用いてフィーダ本体2の後側の中間高さ付近に結合される。挿入案内部材3をフィーダ本体2と一体にせずに、別体として後付けする構成を採用したことにより、部材の加工や組み立ての作業性が向上し、さらには製造コストが低廉化される。
【0018】
テープ搬送路4は、挿入案内部材3からフィーダ本体2の前側上部にわたって設けられる。テープ搬送路4は、エンボスキャリアテープ91や定厚キャリアテープ95の搬送を案内する。テープ搬送路4は、フィーダ本体2側の供給側搬送路5、および挿入案内部材3側の挿入側搬送路6を含んで構成される。供給側搬送路5の前端付近に、部品Pを供給する供給位置51が設けられる。挿入側搬送路6の後端付近に、キャリアテープ(91、95)を挿入する挿入位置61が設けられる。
【0019】
供給側搬送路5は、フィーダ本体2の後部の概ね中間高さからフィーダ本体2の前部の上面近くまで傾斜して延在する。これに限定されず、供給側搬送路5は、水平に延在してもよい。供給位置51は、供給側搬送路5の前端付近の上側に位置する。供給側搬送路5の供給位置51よりも後側に、テープ剥離機構52が設けられる。供給側搬送路5のテープ剥離機構52よりも後側に、浮上防止部材53が設けられる。テープ搬送路4の詳細な構成については、別途後述する。
【0020】
キャリアテープ(91、95)は、テープ搬送機構7によって搬送され、供給側搬送路5の後側から前側の供給位置51に向かって進む。このとき、キャリアテープ(91、95)は、浮上防止部材53によって供給側搬送路5からの浮上が防止される。また、キャリアテープ(91、95)は、テープ剥離機構52によってカバーテープ(93、98)の一方の側縁が剥離される。続いて、カバーテープ(93、98)が他方の側縁の上に折り返され、供給位置51において部品Pの供給が可能となる。
【0021】
テープ搬送機構7は、挿入位置61に挿入されたキャリアテープ(91、95)を供給位置51まで搬送する。テープ搬送機構7は、フィーダ本体2の前寄りの供給側搬送路5の下側に、第一スプロケット71、第二スプロケット72、および前側サーボモータ75を有する。第一スプロケット71は、供給位置51の概ね下側に回転可能に支持される。第二スプロケット72は、テープ剥離機構52の下側に回転可能に支持される。第一スプロケット71および第二スプロケット72は、直径が等しく、外周の全周に係合突起が設けられる。第一スプロケット71および第二スプロケット72の係合突起は、供給側搬送路5に形成された係合溝を突き抜け、キャリアテープ(91、95)の送り穴(924、964)に係合する。
【0022】
前側サーボモータ75は、符号略のギヤ機構を介して、第一スプロケット71および第二スプロケット72を等しい角速度で回転駆動する。これにより、テープ搬送機構7は、キャリアテープ(91、95)を供給位置51まで搬送することができる。供給位置51で部品Pが取り出されたキャリアテープ(91、95)は、前方に排出される。
【0023】
テープ搬送機構7は、また、フィーダ本体2の後寄りの供給側搬送路5の下側に、第三スプロケット73、第四スプロケット74、および後側サーボモータ76を有する。第三スプロケット73および第四スプロケット74は、供給側搬送路5の下側に回転可能に支持される。第四スプロケット74は、第三スプロケット73よりも後側に位置する。第三スプロケット73および第四スプロケット74は、直径が等しい。第三スプロケット73の外周の全周に係合突起が設けられる。第四スプロケット74の外周に、離散的に係合突起が設けられる。例えば、第四スプロケット74の係合突起は、180°離間した2個とされる。したがって、第四スプロケット74の係合突起は、第三スプロケット73のそれよりも少数である。第三スプロケット73および第四スプロケット74の係合突起は、供給側搬送路5に形成された係合溝を突き抜け、キャリアテープ(91、95)の送り穴(924、964)に係合する。
【0024】
後側サーボモータ76は、符号略のギヤ機構を介して、第三スプロケット73および第四スプロケット74を回転駆動する。これにより、テープ搬送機構7は、キャリアテープ(91、95)を供給側搬送路5に沿って前側に搬送することができる。第四スプロケット74および後側サーボモータ76は、供給側搬送路5の後端付近に設けられてキャリアテープ(91、95)を送る送り機構に相当する。
【0025】
さらに、フィーダ本体2の後寄りの供給側搬送路5の上側に、次テープ保持部77が設けられる。次テープ保持部77は、第一のキャリアテープ(91、95)が供給位置51まで搬送されている使用中に、第二のキャリアテープ(91、95)の挿入を許容する。かつ、次テープ保持部77は、第二のキャリアテープ(91、95)の先端を待機位置7B(後述)に保持する。次テープ保持部77は、テープ押さえ部材78、操作レバー79、およびストッパ部材7Aなどで構成される。
【0026】
テープ押さえ部材78は、第四スプロケット74よりも後側の供給側搬送路5の上側に配置される。テープ押さえ部材78は、前後方向に長い部材であり、後側下部がテーパ状に切り欠かれて、キャリアテープ(91、95)の挿入が容易化されている(
図4参照)。テープ押さえ部材78は、供給側搬送路5に接離可能とされ、符号略のスプリングにより通常時には下方に押し付けられる。テープ押さえ部材78は、挿入済みの第一のキャリアテープ(91、95)を供給側搬送路5との間に挟んで保持するとともに、第二のキャリアテープ(91、95)の挿入を規制する。
【0027】
操作レバー79の前端は、フィーダ本体2に揺動可能に支持される。操作レバー79の後端は、フィーダ本体2の後方に突出しており、オペレータによって上昇操作可能とされている。操作レバー79は、後端が上昇操作されたときに、テープ押さえ部材78をスプリングに抗して上昇させる。この上昇操作によれば、オペレータは、第二のキャリアテープ(91、95)の先端をテープ押さえ部材78の下側まで挿入して、使用中の第一のキャリアテープ(91、95)の上側に重ねることができる。
【0028】
ストッパ部材7Aは、テープ押さえ部材78および第四スプロケット74よりも前側の位置に設けられる。ストッパ部材7Aは、挿入された第二のキャリアテープ(91、95)の先端を規制して、供給側搬送路5内の待機位置7Bに待機させる。待機位置7Bは、第四スプロケット74の係合突起が供給側搬送路5を突き抜ける位置よりも前側に設定されている。ストッパ部材7Aは、第一のキャリアテープ(91、95)の後端が第四スプロケット74を通過した後に、第二のキャリアテープ(91、95)の先端の規制を解除する。
【0029】
これにより、第二のキャリアテープ(91、95)は、その先端付近の送り穴(924、964)が第四スプロケット74の少数の係合突起に係合し、低速で前方に搬送される。第二のキャリアテープ(91、95)は、その先端が第三スプロケット73まで到達すると、第三スプロケット73により高速で前方に搬送される。最終的に、第二のキャリアテープ(91、95)は、第三スプロケット73、第二スプロケット72、および第一スプロケット71の協働により、供給位置51まで自動装填される。なお、本件出願人は、テープ搬送機構7の詳細な構成例を国際公開第2016/098235号に開示している。
【0030】
制御部8は、フィーダ本体2の前側サーボモータ75の後側に設けられており、これに限定されず、フィーダ本体2の別の位置に設けられてもよい。制御部8は、部品装着機の上位制御部に通信接続される。制御部8は、上位制御部からの指令にしたがってテープ搬送機構7を制御することにより、供給位置51における部品Pの供給を制御する。
【0031】
また、制御部8は、第一のキャリアテープ(91、95)の使用終了を検出する図略のセンサから検出信号を取得する。この検出信号に基づいて、制御部8は、第一のキャリアテープ(91、95)の後端が第四スプロケット74を通過した後に、第二のキャリアテープ(91、95)の先端を待機位置7Bから供給位置51まで自動搬送するようにテープ搬送機構7を制御する。つまり、制御部8は、自動装填制御部を兼ねる。
【0032】
3.テープ搬送路4の詳細な構成
次に、テープ搬送路4の詳細な構成について、
図4を参考にして説明を続ける。前述したように、テープ搬送路4は、供給側搬送路5および挿入側搬送路6を含んで構成される。
図4において、供給側搬送路5および挿入側搬送路6を形成する手前側の側壁材の一部が省略されている。
【0033】
供給側搬送路5は、二つの搬送ガイド(55、56)およびガイド溝58をもつ。二つの搬送ガイド(55、56)は、離隔しつつ平行して前後方向に延在する部位によって形成され、部位の上面がガイドの役割を果たす。二つの搬送ガイド(55、56)の後端には、テーパ形状の面取り部57が設けられており、キャリアテープ(91、95)の乗り移りが容易化される。二つの搬送ガイド(55、56)の間の空間は、ガイド溝58となる。ガイド溝58の溝幅寸法は、エンボスキャリアテープ91のキャビティ部921の外形よりもわずかに大きく設定される。
【0034】
一方の搬送ガイド55は、挿入されたエンボスキャリアテープ91の送り穴924をもつ広い側縁部922の下面に接触してこれを支持する。他方の搬送ガイド56は、エンボスキャリアテープ91の狭い側の側縁部923の下面に接触してこれを支持する。側縁部922および側縁部923が支持されたとき、キャビティ部921は、自動的にガイド溝58に進入する。一方、定厚キャリアテープ95は、二つの搬送ガイド(55、56)に架け渡されて支持され、ガイド溝58に進入する部位が無い。
【0035】
挿入側搬送路6は、供給側搬送路5の後側に配置される。仮に、挿入側搬送路6が省略された場合、キャリアテープ(91、95)が幅方向に起立した状態でガイド溝58に挿入されるおそれがあって好ましくない。挿入側搬送路6は、底部62および傾斜ガイド63をもつ。底部62は、挿入案内部材3の上面の大部分によって形成される。
【0036】
傾斜ガイド63は、底部62の幅方向の二つの側縁のうち一方の側縁(
図4では奥側の側縁)の上側に形成され、前後方向に延びている。傾斜ガイド63は、その上面がガイドの役割を果たす。傾斜ガイド63は、挿入位置61から前方に進むにつれて底部62から徐々に上方に離隔するように、底部62に対して傾斜している。傾斜ガイド63の前端における底部62からの高さHは、エンボスキャリアテープ91の最も大きなキャビティ部921の厚みTよりも大きく設定される。
【0037】
挿入側搬送路6は、さらに、二つの側壁材64および浮揚抑制材66をもつ。二つの側壁材64は、底部62の幅方向の二つの側縁から起立して設けられる。二つの側壁材64の後端の向かい合う内側には、テーパ形状の面取り部65が設けられており、キャリアテープ(91、95)の挿入が容易化される。
図4において、手前側の側壁材は、図示省略され、奥側の側壁材64は、傾斜ガイド63の外側に接している。浮揚抑制材66は、二つの側壁材64の上縁に架け渡される。浮揚抑制材66の後端の下面には、テーパ形状の面取り部67が設けられており、キャリアテープ(91、95)の挿入が容易化される。底部62、二つの側壁材64、および浮揚抑制材66により、長方形の挿入口が挿入位置61の前方に形成される。
【0038】
キャリアテープ(91、95)は、挿入位置61から挿入口を経由し、前方に向かって挿入される。このとき、二つの側壁材64は、キャリアテープ(91、95)のテープ幅方向の揺動を抑制する。また、浮揚抑制材66は、キャリアテープ(91、95)が底部62および傾斜ガイド63から浮揚することを抑制する。さらに、傾斜ガイド63は、エンボスキャリアテープ91の広い側の側縁部922の下面や、定厚キャリアテープ95の広い側の側縁部962の下面に接触して、これらを前方斜め上方に案内する。
【0039】
したがって、エンボスキャリアテープ91が挿入されたときに、挿入側搬送路6の途中の或る位置までは、底部62がキャビティ部921の下面に接触してこれを支持し、傾斜ガイド63が側縁部922の下面から離隔する。そして、挿入側搬送路6の或る位置を過ぎた前方では、逆に、底部62がキャビティ部921の下面から離隔し、傾斜ガイド63が側縁部922の下面に接触して、エンボスキャリアテープ91の全体を支持する。
【0040】
また、定厚キャリアテープ95が挿入されたときに、挿入位置61の前側の限られた範囲では、底部62が定厚キャリアテープ95の下面に接触してこれを支持する。そして、傾斜ガイド63が存在する範囲では、傾斜ガイド63が側縁部962の下面に接触して、定厚キャリアテープ95の全体を支持する。
【0041】
ここで、挿入側搬送路6の傾斜ガイド63、および供給側搬送路5の二つの搬送ガイド(55、56)が一つの平面上に配置されている。つまり、傾斜ガイド63および搬送ガイド(55、56)は、同一の傾斜角度をもつ。一方、底部62の傾斜角度は、傾斜ガイド63の傾斜角度よりも小さい。
【0042】
4.実施形態のテープフィーダ1の作用
次に、オペレータがキャリアテープ(91、95)をテープフィーダ1に挿入したときの作用について、
図5および
図6を参考にして説明する。加えて、
図7および
図8の比較例の構成と対比して説明する。
【0043】
図5において、挿入位置61から前方に向かってエンボスキャリアテープ91が挿入されている。エンボスキャリアテープ91は、広い側の側縁部922が傾斜ガイド63に接触して支持されつつ前進する。このとき、広い側の側縁部922が支持されるので、エンボスキャリアテープ91は、テープ幅方向に殆ど傾斜することなく進むことができる。これに対比して、傾斜ガイド63が狭い側の側縁部923の下面に接触する構成は、エンボスキャリアテープ91がテープ幅方向に傾きやすいので、採用することができない。
【0044】
エンボスキャリアテープ91は、キャビティ部921が底部62から浮いた状態で、挿入側搬送路6と供給側搬送路5の境界位置に到達する。ここで、傾斜ガイド63および搬送ガイド(55、56)が一つの平面上に配置されているため、側縁部922は、進行方向を変更することなく、傾斜ガイド63から搬送ガイド55へスムーズに乗り移ることができる。また、キャビティ部921は、進行方向を変更することなく、正面に位置するガイド溝58にスムーズに進入することができる。したがって、オペレータは、エンボスキャリアテープ91のスムーズな挿入を行うことができる。
【0045】
また、
図6において、挿入位置61から前方に向かって定厚キャリアテープ95が挿入されている。定厚キャリアテープ95は、広い側の側縁部962が傾斜ガイド63に接触して支持された状態で、挿入側搬送路6と供給側搬送路5の境界位置に到達する。ここで、傾斜ガイド63および搬送ガイド(55、56)が一つの平面上に配置されているので、定厚キャリアテープ95は、進行方向を変更することなく、傾斜ガイド63から搬送ガイド(55、56)へスムーズに乗り移ることができる。したがって、オペレータは、定厚キャリアテープ95のスムーズな挿入を行うことができる。
【0046】
一方、
図7に示される第一比較例において、挿入側搬送路6Xは、傾斜ガイド63を備えない。また、供給側搬送路5の構成は、実施形態と同じである。そして、挿入側搬送路6Xの底部62Xは、搬送ガイド(55、56)と同じ平面上に配置されている。したがって、定厚キャリアテープ95は、底部62Xから搬送ガイド(55、56)へスムーズに乗り移ることができる。
【0047】
しかしながら、エンボスキャリアテープ91は、底部62Xから搬送ガイド(55、56)へ乗り移る際に、キャビティ部921の厚みTの分だけ沈み込んで、側縁部922が搬送ガイド55に接触し、側縁部923が搬送ガイド56に接触し、キャビティ部921がガイド溝58に進入する。このように、エンボスキャリアテープ91の進行方向は、下向きに変化する。かつ、エンボスキャリアテープ91の進行方向の下向きの変化は、テープ押さえ部材78に衝突して強制的に行われる。このため、オペレータがエンボスキャリアテープ91を挿入するときに、抵抗感が発生して好ましくない。
【0048】
また、
図8に示される第二比較例において、挿入側搬送路6Yは、傾斜ガイド63を備えない。また、供給側搬送路5の構成は、実施形態と同じである。そして、挿入側搬送路6Yの底部62Yの前端は、キャビティ部921の厚みTの分だけ搬送ガイド(55、56)よりも低く配置されている。したがって、エンボスキャリアテープ91は、底部62Yよりも高い位置を進む側縁部922および側縁部923が搬送ガイド(55、56)にスムーズに乗り移り、キャビティ部921がガイド溝58にスムーズに進入する。
【0049】
しかしながら、定厚キャリアテープ95は、低く配置された底部62Yに沿って進むため、搬送ガイド(55、56)に対して衝突しながら乗り上げる必要が生じ、進行方向が上向きに変化する。さらに、定厚キャリアテープ95の上向きの進行方向は、テープ押さえ部材78によって強制的に前向きに変更される。このため、オペレータが定厚キャリアテープ95を挿入するときに、抵抗感が発生して好ましくない。なお、キャビティ部921の厚みTが小さめのエンボスキャリアテープ91でも、同様の作用により抵抗感が発生する。
【0050】
第一比較例および第二比較例と異なり、実施形態のテープフィーダ1において、テープ搬送路4は、底部62および傾斜ガイド63をもつ挿入側搬送路6を含む。このため、エンボスキャリアテープ91は、挿入側搬送路6に挿入されたときに、側縁部922が傾斜ガイド63に沿って上昇し、供給側搬送路5に進むときに、側縁部922が傾斜ガイド63から搬送ガイド55にスムーズに乗り移り、キャビティ部921がガイド溝58にスムーズに進入する。また、定厚キャリアテープ95は、傾斜ガイド63から搬送ガイド(55、56)にスムーズに乗り移る。したがって、オペレータは、キャリアテープの種類を問わずスムーズな挿入を行うことができる。
【0051】
5.実施形態の応用および変形
なお、傾斜ガイド63は、実施形態では一つであるが、底部62の幅方向の両方の側縁にそれぞれ設けられて二つとされてもよい。また、実施形態のテープフィーダ1は、オートローディングフィーダであるが、スプライシング作業を行う一般的なテープフィーダであってもよい。ただし、実施形態のテープフィーダ1は、次テープ保持部77を備える構成上の制約から挿入位置61と第四スプロケット74の距離が一般的なテープフィーダよりも大きくなっている。したがって、実施形態のテープフィーダ1において、キャリアテープ(91、95)を挿入する挿入長さが大きくなり、スムーズな挿入を行う効果が顕著となる。本実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:テープフィーダ 2:フィーダ本体 3:挿入案内部材 4:テープ搬送路 5:供給側搬送路 51:供給位置 55:搬送ガイド 56:搬送ガイド 58:ガイド溝 6、6X、6Y:挿入側搬送路 61:挿入位置 62、62X、62Y:底部 63:傾斜ガイド 64:側壁材 66:浮揚抑制材 7:テープ搬送機構 71~74:第一~第四スプロケット 75:前側サーボモータ 76:後側サーボモータ 77:次テープ保持部 78:テープ押さえ部材 7A:ストッパ部材 7B:待機位置 8:制御部 91: エンボスキャリアテープ 92:ベーステープ 921:キャビティ部 922:側縁部 923:側縁部 924:送り穴 93:カバーテープ 95:定厚キャリアテープ 96:ベーステープ 961:キャビティ部 962:側縁部 963:側縁部 964:送り穴 97:ボトムテープ 98:カバーテープ