(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240116BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240116BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03G21/18 121
G03G21/16 120
G03G21/16 165
G03G15/02 103
(21)【出願番号】P 2023001932
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2019028354の分割
【原出願日】2019-02-20
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳本 祐典
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-208077(JP,A)
【文献】特開2001-249604(JP,A)
【文献】特公平07-089262(JP,B2)
【文献】特開平07-319244(JP,A)
【文献】特開平03-103871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームに配置された感光体ドラムと、前記感光体ドラムの軸方向と平行に配置された帯電ローラを有し、前記本体フレームと別体に構成された帯電ローラユニットと、を備えたプロセスカートリッジであって、
前記帯電ローラユニットは、前記帯電ローラを取り外し可能に収容する収容フレームを有し、
前記帯電ローラユニットの前記収容フレームには、突出部が設けられ、
前記本体フレームには、
前記帯電ローラが前記感光体ドラムと離間した状態で前記突出部が挿入され
て係合しながら前記突出部を案内する案内部と、
前記案内部の前記突出部を挿入する側とは反対側の端部の方向に前記案内部に対して連続して形成され、前記帯電ローラを前記感光体ドラムに接する位置に
前記突出部と係合することで位置決めする位置決め部と、が設けられている
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記突出部は、前記帯電ローラユニットにおける前記帯電ローラの軸方向側の両端部の前記収容フレームから突出し、且つ、前記帯電ローラの軸線上の周辺に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記案内部は、前記突出部が前記帯電ローラの軸方向と直交方向の一側から挿入され、該直交方向の他側に向かって延び、
前記位置決め部は、前記感光体ドラムに向かって延びる
ことを特徴とする請求項1記載又は2記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記帯電ローラユニットは、
プロセスカートリッジにおける前記感光体ドラムの軸方向と直交する方向の一側から、前記突出部が前記案内部に挿入される
ことを特徴とする請求項1
~3の何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記帯電ローラは、前記突出部を前記案内部に挿入する方向から見て、前記感光体ドラムの後方側の所期位置に位置決めされる
ことを特徴とする請求項
4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記突出部は、断面円形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1~
5の何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記案内部は、
前記突出部が前記帯電ローラの軸方向と直交方向の一側から挿入され、該直交方向の他側に向かって延び、
前記直交方向の他側に向かって前記帯電ローラと前記感光体ドラムとの離間が小さくなるように傾斜形状に形成されている
ことを特徴とする請求項2~6の何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記本体フレームには、前記帯電ローラユニットの底部の位置を規制する規制部が設けられている
ことを特徴とする請求項
2~
7の何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記案内部は、前記突出部が前記帯電ローラの軸方向と直交方向の一側から挿入され、該直交方向の他側に向かって延び、
前記規制部は、
前記帯電ローラユニットの底部の傾斜形状に一致した形状であって、前記直交方向の他側に向かって上方に傾斜する形状に形成される
ことを特徴とする請求項
8記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記請求項1~
9の何れか1項に記載のプロセスカートリッジを備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電ローラ及び感光体ドラムを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、特に、帯電ローラの交換等のメンテナンス作業性の向上対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に備えるプロセスカートリッジでは、帯電ローラと感光体ドラムを一体化したユニットに構成し、その小型化を図っている。更に、帯電ローラは例えば帯電クリーニングローラ等と一体化されて帯電ローラユニットに構成される場合が多い。
【0003】
このようなプロセスカートリッジでは、帯電ローラの交換等のメンテナンス時には、感光体ドラムの感光体表面を傷付けないように、先ず感光体ドラムを取り外し、その後に帯電ローラユニットを取り外す作業が行われる。更に、交換した帯電ローラユニットの取り付け時には、先に帯電ローラユニットを取り付け、その後に感光体ドラムを取り付ける作業が行われる。
【0004】
その際、帯電ローラユニットの脱着に加えて、感光体ドラムの脱着作業を要するため、メンテナンス作業性の向上のためには、感光体ドラムをプロセスカートリッジに取り付けたままの状態で帯電ローラユニットの脱着作業を行うことが望まれる。
【0005】
しかし、この場合には、帯電ローラユニットの脱着に際して、作業者は、帯電ローラを感光体ドラムに対して常に離間させた状態を保持するように注意深く作業を行う必要があるものの、時として、帯電ローラが感光体ドラムの表面に不用意に接触して傷付けたり、感光体ドラムに塗布した潤滑剤等が帯電ローラの表面に付着して帯電不良が生じてしまうことが想定される。
【0006】
従来、帯電ローラと感光体ドラムとを離間させた構成を用いた技術として、特許文献1及び2の技術がある。特許文献1では、帯電ローラを感光体ドラムの帯電位置よりも軸方向に退避移動(引き出し)可能に構成し、その退避時に限り、帯電ローラを感光体ドラムから離間させた状態で回転させながら、クリーニング手段の清掃部材を帯電ローラに当接させて、帯電ローラを清掃する構成を開示している。また、特許文献2では、帯電ローラを感光体ドラムに対して離間させる離間部材をプロセスカートリッジに着脱自在に配置して、ユーザの使用開始時までの帯電ローラと感光体ドラムとの当接により生じる帯電ローラの変形を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-338578号公報
【文献】特開2006-267399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2の構成は、何れも、帯電ローラと感光体ドラムとを離間させる構成を開示するものの、帯電ローラの交換等のメンテナンス時に感光体ドラムの表面を傷付けないように対策した技術でない。
【0009】
本発明の目的は、プロセスカートリッジにおいて、感光体ドラムを取り付けた状態のまま、帯電ローラユニットを、その感光体ドラムの表面を傷付けることなどがないように脱着可能に構成して、帯電ローラの交換等のメンテナンス作業の容易化、効率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明にかかるプロセスカートリッジは、本体枠(本体フレームともいう)に配置された感光体ドラムと、前記感光体ドラムの軸方向と平行に配置された帯電ローラを有し、前記本体フレームと別体に構成された帯電ローラユニットと、を備えたプロセスカートリッジであって、前記帯電ローラユニットは、前記帯電ローラを取り外し可能に収容する収容フレームを有し、前記帯電ローラユニットの前記収容フレームには、突出部が設けられ、前記本体フレームには、前記帯電ローラが前記感光体ドラムと離間した状態で前記突出部が挿入されて係合しながら前記突出部を案内する案内部と、前記案内部の前記突出部を挿入する側とは反対側の端部の方向に前記案内部に対して連続して形成され、前記帯電ローラを前記感光体ドラムに接する位置に前記突出部と係合することで位置決めする位置決め部と、が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプロセスカートリッジによれば、感光体ドラムを取り付けた状態のまま、帯電ローラユニットを、感光体ドラムの表面を常に傷付けることなどがなく、本体フレームに脱着することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の全体構成を正面から見て示す断面図である。
【
図2】プロセスカートリッジの全体構成を示す斜視図である。
【
図3】同プロセスカートリッジから取り外した帯電ローラユニットの全体構成を示す斜視図である。
【
図4】同プロセスカートリッジにおいて帯電ローラユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】同帯電ローラユニットの右端部の構成を拡大表示した図である。
【
図6】同帯電ローラユニットの右端部の内部構成を示す断面図である。
【
図7】プロセスカートリッジの本体フレームの一端部の要部構成を示す拡大図である。
【
図8】同本体フレームの他端部の要部構成を示す拡大図である。
【
図9】帯電ローラユニットの取り付け過程の様子を示す
図2のA-A線断面図である。
【
図10】帯電ローラユニットの位置決め時での帯電ローラと感光体ドラムの位置関係を示す
図2のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の全体構成を正面から見て示す断面図である。
【0015】
同図において、画像形成装置1は、原稿を読取って記録用紙に印刷する複写機能を有しており、画像読取り装置2、原稿搬送装置(ADF)3、印刷部4、及び給紙カセット5等を備えている。印刷部4及び給紙カセット5は、画像形成装置1の本体6に内蔵され、画像読取り装置2及び原稿搬送装置3は、本体6の上側に搭載されている。
【0016】
この画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、印刷部4においては、LEDヘッド11、現像装置12、感光体ドラム13、感光体クリーニング装置14、及び帯電ローラ15、帯電クリーニングローラ16等が各色に応じた4種類のトナー像を形成するために各々4個ずつ設けられ、その各々がブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0017】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdにおいて、帯電ローラ15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位に一様に帯電させる。帯電クリーニングローラ16は、前記帯電ローラ15の表面上の付着物を除去し、清掃する。
【0018】
LEDヘッド11は、前記帯電ローラ15にて一様に帯電した感光体ドラム13の表面を画像データに応じて露光して、感光体ドラム13の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置12は、現像槽に収容する現像剤を用いてLEDヘッド11にて感光体ドラム13の表面に形成した静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。
【0019】
1次転写装置7は、感光体ドラム13表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次1次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
【0020】
感光体クリーニング装置14は、クリーニングブレード等のクリーニング部材を備え、中間転写ベルト21を矢印方向Dに周回移動させつつ、1次転写装置7にて中間転写ベルト21に転写されずに感光体ドラム13の表面に残った残留トナーをクリーニング部材により廃トナーとして収集し、トナー回収容器(図示せず)に向けて搬送する。
【0021】
前記中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23a間にはニップ域が形成されており、S字状の用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙Pをそのニップ域に挟み込んで搬送する。
【0022】
2次転写装置23は、中間転写ベルト21に1次転写されたトナー像を記録用紙Pに2次転写する。この例では、2次転写装置23は、2次転写ローラ23aを備えている。2次転写ローラ23aは、1次転写装置7にて中間転写ベルト21に転写されたトナー像を記録用紙Pに静電転写して、記録用紙P上に未定着のトナー像を形成する。
【0023】
ベルトクリーニング装置22は、2次転写装置23にて記録用紙Pに転写されずに中間転写ベルト21上に残った残留トナーを廃トナーとして収集し、回収容器に搬送する。
【0024】
定着装置17は、前記未定着のトナー像が転写された記録用紙Pを受け取り、この記録用紙Pを加熱ローラ24と加圧ローラ25間に挟み込んで搬送しながら加熱及び加圧して、記録用紙Pに転写された各色のトナー像を熱定着させて、排紙ローラ32によって排紙トレイ33上に排出する。
【0025】
一方、記録用紙Pは、ピックアップローラ31により給紙カセット5から引出されて、用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置23や定着装置17を経由し、排紙ローラ32を介して排紙トレイ33へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙Pを一旦停止させて、記録用紙Pの先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙Pの搬送を開始するレジストローラ34、記録用紙Pの搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。
【0026】
また、記録用紙Pの表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙Pを各排紙ローラ32から反転経路Rrへと逆方向に搬送して、記録用紙Pの表裏を反転させ、記録用紙Pを各レジストローラ34へと再度導き、記録用紙Pの表面と同様に、記録用紙Pの裏面に画像を記録して定着し、記録用紙Pを排紙トレイ33へと搬出する。
【0027】
<プロセスカートリッジ>
前記感光体ドラム13、帯電ローラ15及び帯電クリーニングローラ16は一体化されて、プロセスカートリッジとして構成されている。このプロセスカートリッジは、
図1に示したように、それらの感光体ドラム13、帯電ローラ15及び帯電クリーニングローラ16の軸方向を画像形成装置1の前後方向(
図1の紙面垂直方向)に配置した状態で、画像形成装置1に装着されている。
図1から判るように、帯電ローラ15は、画像形成装置1の前側から見て、感光体ドラム13の右下側の位置、具体的には時計の約5時の位置にて、その表面が感光体ドラム13の表面に接して配置されていて、この状態で感光体ドラム13の表面を所定電位に帯電させる所期の機能を奏する。また、帯電クリーニングローラ16は、前記帯電ローラ15の直下の位置にて、その表面が帯電ローラ15の表面と接して配置されている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置1の前側から引き出し及び挿入可能である。
【0028】
図2は、前記プロセスカートリッジの全体構成を示す斜視図である。同図において、プロセスカートリッジCは、画像形成装置1への装着に際しては、図中左側部から画像形成装置1に挿入し始め、装着完了時において図中右側部が画像形成装置1の前側に位置する状態となる。尚、以下のプロセスカートリッジC単体の説明については、その正面側を
図2に記載の通り紙面左下側として説明する。従って、画像形成装置1への装着状態では、右側部が画像形成装置1の前側に位置し、正面側が画像形成装置1の左側部側に面することになる。
【0029】
図2において、プロセスカートリッジCは、左右方向に長い本体フレーム40を有し、この本体フレーム40には、軸方向を左右方向に配置した回転軸41が配置され、該回転軸41の右端部が本体フレーム40の右端部から右側方に突出している。該回転軸41は、前記感光体クリーニング装置14により回収された前記感光体ドラム13の表面に残った残留トナー(ここでは廃トナーという)をトナー回収容器に搬送するためのスクリュー(図示せず)を回転駆動する。また、前記本体フレーム40の左右の両端部には、感光体ドラム13挿入用の円形状の開口部42a、42bが形成されている。感光体ドラム13は、その左右両端部を前記開口部42a、42bに挿入して、その軸方向を左右方向に位置させた状態で本体フレーム40に回転自在に取り付けられている。
【0030】
前記プロセスカートリッジCにおいて、帯電ローラ15及び帯電クリーニングローラ16は、その軸方向を左右方向に位置させて、感光体ドラム13と平行に並んだ状態で配置されている。帯電ローラ15は、
図1からも判るように、プロセスカートリッジCの右側方から見て、感光体ドラム13よりもプロセスカートリッジCの正面側(感光体ドラム13や帯電ローラ15の軸方向と直交方向の一側)とは反対側の後面側(前記直交方向の他側)に寄った位置で且つ感光体ドラム13よりも下方の位置、具体的には時計の約5時の位置に配置されていて、その表面が感光体ドラム13の表面と接している。また、帯電クリーニングローラ16は、前記帯電ローラ15の直下の位置に配置されて、その表面が帯電ローラ15の表面と接している。そして、前記帯電ローラ15及び帯電クリーニングローラ16は、一体化されて帯電ローラユニットに構成される。この帯電ローラユニットは、プロセスカートリッジCの本体フレーム40から取り外し可能に別体に構成される。
【0031】
<帯電ローラユニット>
図3は、前記帯電ローラユニットUの全体構成を示す斜視図である。また、
図4は、前記帯電ローラユニットUを取り外した状態のプロセスカートリッジCを示す斜視図である。
図5は、前記帯電ローラユニットUの右端部を拡大した斜視図である。
図4に示したように、本体フレーム40には、前記帯電ローラユニットUを収納可能なように正面側に開いた左右方向に長い収納空間43が形成されている。
また、
図3に示した帯電ローラユニットUは、帯電ローラ15及び帯電クリーニングローラ16を収容する収容フレーム50を有する。該収容フレーム50の左右両端部には、各々、
図5に示したように、上方に開いた軸受け部51が設けられ、この各軸受け部51に前記帯電ローラ15の軸15aの左右両端部が取り外し可能に挿入されている。更に、前記両軸受け部51の下方に形成した他の軸受け部52には、前記帯電クリーニングローラ16の軸16aの左右両端部が取り外し可能に挿入されている。
【0032】
そして、前記帯電ローラユニットUにおいて、収容フレーム50の左右両端部には、各々、左右方向に突出した円筒形状のボス部(突出部)55が形成されている(
図3では左側部のボス部は図示せず)。
【0033】
図5に示したように、ボス部55は、収容フレーム50の左右の端部において、帯電ローラ15の軸線上の位置周辺に形成されており、収容フレーム50の右端部では、該右端部の上端部の位置で且つ帯電ローラ15の軸線よりも若干後面側に配置されている。
【0034】
図6は、前記
図5に示した収容フレーム50の右端部の内部の概略構成を示す。同図において、収容フレーム50の右端部の内部には、内部空間にコイルスプリング58が配置されている。このコイルスプリング58は、帯電ローラ15と感光体ドラム13との両軸心を結ぶ線上に配置されており、感光体ドラム13の表面を帯電ローラ15で帯電させる際には、このコイルスプリング58により帯電ローラ15を感光体ドラム13側に付勢して、帯電ローラ15の表面を感光体ドラム13の表面に圧接するように構成されている。尚、収容フレーム50の左端部の内部の構成も
図6と同様であるので、その説明及び図示は省略する。
【0035】
図7は、プロセスカートリッジCの本体フレーム40において、その右端部を正面よりも若干斜め左方から見た斜視図である。
図8は、同様に、本体フレーム40の左端部を正面よりも若干斜め右方から見た斜視図である。尚、
図7及び
図8では、感光体ドラム13の図示を省略している。
図7において、本体フレーム40の右端部、すなわち、帯電ローラユニットUの収納空間43の右端を仕切る右壁部40aには、前記帯電ローラユニットUの右端部のボス部55が挿入されて係合可能なように、該右壁部40aの内側を右側方に向かって凹設した係合部60が形成されている。
【0036】
前記係合部60は、正面側から後面側に延びるガイド部(案内部)61と、該ガイド部61の後面側端部に連続する位置決め部62とから成っている。前記ガイド部61は、正面側端が開口し、この開口から前記帯電ローラユニットUのボス部55が挿入可能なように構成されている。更に、該ガイド部61は、正面側(感光体ドラム13の軸方向と直交方向の一側)から後面側(該直交方向の他側)に向かうに従って徐々に上昇するように傾斜状に形成されている。このガイド部61は、帯電ローラユニットUのボス部55の直径よりも大きく形成されていて、該ボス部55の挿入時には、ガイド部61の上面61aがボス部55の上端位置を規制する規制面となり、一方、ガイド部61の下面61bは、前記ボス部55の後面側への挿入をガイドするガイド面となる。
一方、前記位置決め部62は、ガイド部61の後面側端部(ボス部55の挿入側とは反対側の端部)に連続して、該後面側端部からその上方に位置する感光体ドラム13(
図7では図示せず)に向かって延びる形状に形成されている。同様に、本体フレーム40の左端部にも、
図8に示したように、前記右端部に形成したガイド部61及び位置決め部62と左右対称形状のガイド部61及び位置決め部62が形成されている。
【0037】
図9は、
図2でのA-A線断面図を示している。同図は、帯電ローラユニットUのボス部55が本体フレーム40のガイド部61や位置決め部62に係合した状態において、感光体ドラム13に対する帯電ローラ15の位置関係を示している。同図において、ボス部55がガイド部61の正面側端の開口に挿入され始めた時点では、同図に一点鎖線で示したように、帯電ローラ15が感光体ドラム13に対して下方に大きく離間した位置(同図では距離tLだけ離間した位置)に位置付けられるように、ガイド部61の前記正面側端の開口位置が設定される。また、ボス部55の位置がガイド部61の前記開口から更に後面側に進んだ同図に二点鎖線で示す状態では、帯電ローラ15が感光体ドラム13に対して前記距離tLよりも短い距離tS(tS<tL)だけ離間した位置に位置付けられるように、ガイド部61の傾斜角度が設定される。
【0038】
一方、ボス部55がガイド部61から位置決め部62に進んだ状態では、同図において破線で示すように、帯電ローラ15は、前記ボス部55をガイド部61に挿入する正面側から後面側に向う方向(
図9の左側から右側に向う方向)から見て、その軸心が感光体ドラム13の軸心よりも後方側の時計の5時の位置、換言すれば、帯電ローラ15が感光体ドラム13の表面を均一に帯電させる所定の位置(所期位置)に位置決めされて、この所期位置にて、帯電ローラ15がコイルスプリング58によって感光体ドラム13の表面に圧接されるように、位置決め部62の位置が設定される。
【0039】
図10は、
図2でのB-B線断面図を示す。同図は、ボス部55が位置決め部62に挿入された状態において、帯電ローラ15の表面が感光体ドラム13の表面に圧接された状態を示している。同図において、本体フレーム40の底部、すなわち収納空間43の下部を形成する下壁部40bは、帯電ローラユニットUの収納空間43への収納に際し、帯電ローラユニットUの底部の位置を規制する規制部44を構成している。具体的に、本体フレーム40の下壁部40bは、後面側に向かうに従って上方に高くなるように傾斜状に形成され、その後端部はほぼ直立する後端縦壁部40cの下端部に繋がっている。一方、帯電ローラユニットUの収容フレーム50の底部50aは、前記本体フレーム40の下壁部40bの形状と一致するように、後面側に向かうに従って上方に高くなるように傾斜状に形成され、その後端部はほぼ直立する後面部50bと繋がっている。
【0040】
従って、帯電ローラユニットUをプロセスカートリッジCに装着する際には、帯電ローラユニットUのボス部55をプロセスカートリッジCのガイド部61に挿入すると共に、帯電ローラユニットUの底部50aを本体フレーム40の下壁部40b(規制部44)に沿わせながら後面側に押し込むことによって、帯電ローラユニットUの底部50aの位置を規制して、帯電ローラユニットUの姿勢を安定化させる。その後、前記ボス部55が本体フレーム40の位置決め部62内に入り込んで、帯電ローラ15が前記所期位置に位置決められた時点では、帯電ローラユニットUの後面部50bが本体フレーム40の後端縦壁部40cに当接した安定状態となり、この安定状態で帯電ローラ15の表面がコイルスプリング58によって感光体ドラム13の表面に圧接されることになる。
【0041】
以上により、本実施形態では、帯電ローラユニットUをプロセスカートリッジCに装着するに際しては、帯電ローラユニットUの後面側をプロセスカートリッジCの正面側(収納空間43側)に対峙させ、この状態にて、帯電ローラユニットUの左右両端部のボス部55をプロセスカートリッジCの左右両端部のガイド部61の正面端側に挿入し始める。そして、ボス部55をガイド部61の後面側に押し込み、更にボス部55をガイド部61の後端部から位置決め部62に進入させて、帯電ローラ15を感光体ドラム13の後面側の所期位置に位置付けて、帯電ローラ15の表面をコイルスプリング58により感光体ドラム13の表面に圧接させた状態とする。
【0042】
その際、帯電ローラユニットUのボス部55がプロセスカートリッジCのガイド部61に位置している状態では、
図9に示したように、帯電ローラ15は感光体ドラム13に対して、挿入当初では距離tLだけ離間し、挿入途中では距離tS(tS<tL)だけ確実に離間している。従って、帯電ローラユニットUをプロセスカートリッジCに正面側から装着するに際して、帯電ローラ15を感光体ドラム13の後面側(後方側)の所期位置に位置決めする場合であっても、帯電ローラ15の表面が不用意に感光体ドラム13の表面に接触して感光体ドラム13の表面を傷付けたり、感光体ドラム13の表面に塗った潤滑剤が帯電ローラ15の表面に付着して帯電不良や、記録用紙Pに形成する画像の画質不良が生ずる不具合を解消することが可能である。
【0043】
また、帯電ローラユニットUをプロセスカートリッジCに装着する際には、プロセスカートリッジCの正面側に帯電ローラユニットUの後面側を対峙させた状態とし、この状態にて、帯電ローラユニットUの左右両側部のボス部55を正面側からプロセスカートリッジCの左右両側部のガイド部61に挿入する構成であるので、帯電ローラ15の姿勢を正面側から見てほぼ水平に保持して、感光体ドラム13の表面に接触することを効果的に防止することが可能である。
【0044】
更に、帯電ローラユニットUのボス部55が断面円形状に形成されているので、該ボス部55をプロセスカートリッジCのガイド部61に挿入する開始時や挿入途中での帯電ローラユニットUの傾きなどの姿勢や挿入方向の自由度を高く確保でき、帯電ローラユニットUをプロセスカートリッジCの収納空間43に収納するに際の操作性を良好にすることが可能である。
【0045】
また、プロセスカートリッジCのガイド部61が後面側に向かって上方に傾斜した形状であるので、帯電ローラ15と感光体ドラム13との離隔を徐々に短縮しながら、最終的に帯電ローラ15を所期位置に位置付けてスムーズに感光体ドラム13に圧接させることができる。
【0046】
加えて、帯電ローラユニットUのボス部55をプロセスカートリッジCのガイド部61に挿入した後は、帯電ローラユニットUの底部50aをプロセスカートリッジCの下壁部40b(規制部44)に沿わせながら、帯電ローラユニットUを後面側に押し込む操作によって、そのボス部55のガイド部61からの脱落を防止できると共に、帯電ローラユニットUがボス部55を支点に上下に揺れ又は傾いたりすることが規制されて、帯電ローラユニットUの姿勢を安定化させることが可能である。特に、プロセスカートリッジCの下壁部40bが後面側に向かって上方に傾斜した形状であるので、帯電ローラユニットUのボス部55をプロセスカートリッジCのガイド部61内で後面側にスライドさせて、位置決め部62に容易に進入させることが可能である。
【0047】
一方、プロセスカートリッジCから帯電ローラユニットUを取り外す際には、帯電ローラユニットUのボス部55をプロセスカートリッジCの位置決め部62内で下方に押し下げた後、そのボス部55をガイド部61に移動させ、更にガイド部61に沿って正面側に引き出して、帯電ローラユニットUを取り外す。
【0048】
その際、帯電ローラ15は、一旦、所期位置から下方に下がった位置に位置付けられ、その後にガイド部61に沿って感光体ドラム13と離間した状態を保持して取付け外されるので、この取り外し時にも帯電ローラ15で感光体ドラム13の表面を傷付けることが確実に防止される。
【0049】
尚、前記実施形態では、帯電ローラユニットUをプロセスカートリッジCに装着するに際し、プロセスカートリッジCの正面側から帯電ローラユニットUを収納空間43に収納する構成を採用したが、本発明はこれに限定されず、要は、帯電ローラユニットUに突出部を設け、一方、プロセスカートリッジCには、帯電ローラ15が感光体ドラム13と離間した状態で前記突出部が挿入される案内部と、この案内部に続いて前記突出部が挿入されて帯電ローラ15を所期位置に位置決めする位置決め部とを設ければ良い。
【0050】
また、前記ボス部55は断面円形状に形成したが、その形状は特に限定されない。更に、ボス部55を収容フレーム50の左右の両端部に設けたが、このボス部55に代えて、帯電ローラ15の軸15aの両端部を収容フレーム50の両端部から突出する配置として、この軸15aの両端部をボス部としても良い。
【0051】
更に、前記実施形態では、
図7及び
図8に示したように、プロセスカートリッジCの本体フレーム40に設けたガイド部61を、正面側から後面側に向かって若干上方に傾斜する形状に形成したが、その他、例えば本体フレーム40の下部から後面側に向って斜め上方に大きく傾斜する形状に形成しても良い。この場合には、ボス部55をガイド部61に挿入する初期ほど、帯電ローラ15を感光体ドラム13から更に大きく離間させた状態を保持できるので、帯電ローラ15で感光体ドラム13の表面を傷付けることを確実に防止することが可能である。
【0052】
加えて、前記実施形態では、帯電ローラユニットUに帯電クリーニングローラ16を配置した構成としたが、この帯電クリーニングローラ16に代えて又は加えて他の部材を配置しても良いのは勿論である。
【0053】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他の種々な形で実施することができる。そのため、上述の実施形態は例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、帯電ローラ及び感光体ドラムを備えたプロセスカートリッジにおいて、帯電ローラと感光体ドラムとが離間した状態で帯電ローラユニットをプロセスカートリッジに装着できるので、帯電ローラの交換等のメンテナンス時に感光体ドラムを傷付けることなどを確実に防止でき、そのようなプロセスカートリッジ及びこれを備えた画像形成装置に適用して、有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
C プロセスカートリッジ
U 帯電ローラユニット
13 感光体ドラム
15 帯電ローラ
16 帯電クリーニングローラ
40 本体フレーム
40b 下壁部
44 規制部
50 収容フレーム
55 ボス部(突出部)
58 コイルスプリング
61 ガイド部(案内部)
62 位置決め部