(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】原料肉振動機
(51)【国際特許分類】
A23B 4/26 20060101AFI20240116BHJP
A23L 5/30 20160101ALI20240116BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240116BHJP
A23L 13/72 20230101ALI20240116BHJP
A23L 13/77 20230101ALI20240116BHJP
【FI】
A23B4/26
A23L5/30
A23L13/00 A
A23L13/00 E
A23L13/72
A23L13/77
(21)【出願番号】P 2023100249
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302061325
【氏名又は名称】米久かがやき株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 修
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 修
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113243500(CN,A)
【文献】特開2005-229890(JP,A)
【文献】特開平06-105645(JP,A)
【文献】特開昭50-155642(JP,A)
【文献】中国実用新案第208434664(CN,U)
【文献】中国実用新案第206182238(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 5/00-29/04
A23B 4/00- 5/22
A23L 5/00- 5/30
A23L 13/00-17/50
A23P 10/00-30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料肉と調味液とを含む容器を積載し且つ移動可能である移動台と、
前記移動台を、第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向とへ移動可能に支持するホイールと、
前記移動台を、
前記第1方向と、
前記第2方向とに往復移動する駆動装置と、
前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、
前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構とを備え、
前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する
原料肉振動機。
【請求項2】
原料肉と調味液とを含む容器を積載し且つ移動可能である移動台と、
前記移動台の上側部分に配置されたローラと、
前記ローラを、第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向とへ移動可能に支持するガイドと、
前記移動台を、前記第1方向と、前記第2方向とに往復移動する駆動装置と、
前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、
前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構とを備え、
前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する
原料肉振動機。
【請求項3】
原料肉と調味液とを含む容器を積載し且つ移動可能である移動台と、
前記移動台を移動可能に支持する第1ホイール及び第2ホイールと、
第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向
とへ移動するように前記第1ホイールを案内する第1
ホイールガイドと、
前記第1方向
と前記第2方向
とへ移動するように前記第2ホイールを案内する第2
ホイールガイドと
、
前記移動台を、前記第1方向と、前記第2方向とに往復移動する駆動装置と、
前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、
前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構とを備え
、
前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する
原料肉振動機。
【請求項4】
原料肉と調味液とを含む容器を積載し且つ移動可能である移動台と、
前記移動台を、第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向とに往復移動する駆動装置と、
前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、
前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構と、
前記容器が載置される前記移動台の載置面と対向するように前記載置面から離れて配置される押さえ部材と、
前記載置面から離れる方向である第3方向と、前記載置面に近づく方向である第4方向とに前記押さえ部材を移動する昇降装置とを備え、
前記昇降装置は、前記押さえ部材を前記第4方向に移動して、前記押さえ部材により前記載置面上の前記容器を前記第4方向へ押さえ付け、
前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する
原料肉振動機。
【請求項5】
前記第1弾性機構は、第1緩衝部材と、前記第1緩衝部材を前記第2方向へ付勢する第1付勢部材とを含み、
前記第2弾性機構は、第2緩衝部材と、前記第2緩衝部材を前記第1方向へ付勢する第2付勢部材とを含む
請求項1
から4のいずれか一項に記載の原料肉振動機。
【請求項6】
前記第1弾性機構は、複数の前記第1付勢部材を含み、
前記第2弾性機構は、複数の前記第2付勢部材と含み、
前記複数の第1付勢部材は、前記第1方向と交差する方向である第
5方向に配列される2つ以上の前記第1付勢部材と、前記第1方向及び前記第
5方向と交差する方向である第
6方向に配列される2つ以上の前記第1付勢部材とを含み、
前記複数の第2付勢部材は、前記第
5方向に配列される2つ以上の前記第2付勢部材と、前記第
6方向に配列される2つ以上の前記第2付勢部材とを含む
請求項
5に記載の原料肉振動機。
【請求項7】
前記移動台に配置され、前記移動台上に積み重ねられた前記容器を前記第1方向及び前記第2方向で支持する支持部材をさらに備える
請求項1
から4のいずれか一項に記載の原料肉振動機。
【請求項8】
前記移動台の上側部分に配置された被ガイド部と、
前記被ガイド部を前記第1方向及び前記第2方向へ移動可能に支持す
るガイドとをさらに備える
請求項1
、3又は4に記載の原料肉振動機。
【請求項9】
前
記ガイドは、前記第1方向及び前記第2方向に延びる第1ガイド面を含み、
前記被ガイド部は、前記第1ガイド面上を前記第1方向及び前記第2方向に転動するローラを含む
請求項
8に記載の原料肉振動機。
【請求項10】
前記駆動装置は、前記移動台と連結されるロッドと、前記ロッドを前記第1方向及び前記第2方向に伸縮動作させる空気圧シリンダとを含み、
前記原料肉振動機は、
前記空気圧シリンダに空気を供給する動力源と、
前記空気圧シリンダと前記動力源との間の配管に配置され、前記空気圧シリンダの動作速度を制御する速度制御弁と、
前記空気圧シリンダの動作速度を変更する入力を受け付け、受け付けた入力に応じて前記速度制御弁の状態を変更する入力部とをさらに備える
請求項1
から4のいずれか一項に記載の原料肉振動機。
【請求項11】
前記移動台に隣り合って配置される出入台をさらに備え、
前記出入台は、
前記移動台に隣り合って前記第1方向に延び、前記移動台の前記第1方向及び前記第2方向の移動を案内する第2ガイド面と、
前記容器が載置される前記移動台の載置面と、前記原料肉振動機の周りの支持面とを繋ぎ、前記容器がその上を通って移動されることが可能である出入面とを含む
請求項1
から4のいずれか一項に記載の原料肉振動機。
【請求項12】
前記第1方向及び前記第2方向は、前記原料肉振動機が配置される面に沿う方向である
請求項1から
4のいずれか一項に記載の原料肉振動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原料肉振動機に関する。
【背景技術】
【0002】
生ハム類等の非加熱食肉製品の製造工程は、保存性を高めるために、ピックル液とも呼ばれる塩漬液により原料肉を塩漬する工程を含む。特許文献1は、インジェクション法を採用する塩漬方法を開示する。特許文献1では、インジェクション法で塩漬液が注入された原料肉は、タンブラのジャケットタンクに投入され、ジャケットタンクの回転によりタンブリングされる。ジャケットタンクが回転していないときに、ジャケットタンクがエアバイブレータで振動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の塩漬方法は、塩漬液の注入後の工程を機械化するが、塩漬液の注入に手作業を要し、当該手作業の熟練も要する。このため、特許文献1の塩漬方法の生産性は、低い。塩漬方法の1つである湿塩漬法は、原料肉を塩漬液に漬け込む方法であり、インジェクション法よりも長い製造期間を要するが、手作業で塩漬液の注入を行う必要がない点が利点である。湿塩漬法は、漬込中に原料肉を手返しする作業を含む。本開示は、塩漬等の原料肉への調味液の浸漬に関わる手作業を低減し、安定した品質を有する浸漬肉を製造可能な原料肉振動機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る原料肉振動機は、原料肉と調味液とを含む容器を積載し且つ移動可能である移動台と、前記移動台を、第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向とに往復移動する駆動装置と、前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構とを備え、前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、例示的な実施の形態に係る原料肉振動機の構成の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の原料肉振動機を、積載台の上方から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図3の原料肉振動機の状態から、第1方向に移動台が移動した状態の原料肉振動機を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図3の原料肉振動機の状態から、第2方向に移動台が移動した状態の原料肉振動機を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、本開示の例示的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。本明細書及び請求項では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置を含むシステムも意味し得る。
【0008】
図1及び
図2を参照しつつ、例示的な実施の形態に係る原料肉振動機1の構成を説明する。
図1は、例示的な実施の形態に係る原料肉振動機1の構成の一例を示す側面図である。
図2は、
図1の原料肉振動機1の背面図である。原料肉振動機1は、塩漬液とも呼ばれるピックル液に浸漬されている原料肉に振動を与え、原料肉全体にピックル液を浸漬させ、原料肉へのピックル液の浸透を促進する。原料肉は限定されないが、本実施の形態では、原料肉は豚肉で、当該豚肉は生ハム用に成形された肉塊(以下「生ハム原木」という。)であり、原料肉振動機1は、生ハムの製造に用いられる。ピックル液は、調味液の一例である。
【0009】
本開示に関する生ハムの製造工程は、原料肉を成形する第1工程、ピックル液に浸漬された生ハム原木に振動を与える第2工程、冷蔵環境で生ハム原木を数十日間寝かせる第3工程、生ハム原木を燻製する第4工程、生ハム原木をケーシングに充填する第5工程、テンパリングした後生ハム原木をスライスする第6工程、及び、スライスされた生ハムを包装する第7工程等を含む。原料肉振動機1は、第2工程に用いられる。
【0010】
原料肉振動機1は、振動機本体100と、振動機本体100の動力源200とを備える。限定されないが、本実施の形態では、動力源200は、振動機本体100に、圧縮空気を動力として供給する。動力源200の例は、コンプレッサ、エアポンプ等を含む。
【0011】
振動機本体100は、移動台10と、外囲い枠20と、駆動装置30と、弾性機構40及び50とを含む。駆動装置30は、移動台10と接続され、移動台10を方向D1及びD2に移動する。第1方向D1は、原料肉振動機1が配置される平坦な床面Fに沿う方向である。限定されないが、本実施の形態では、第1方向D1は、床面Fと平行な方向である。第2方向D2は、第1方向D1の反対方向である。
【0012】
ここで、第3方向D3は、方向D1及びD2と交差し且つ床面Fに沿う方向であり、本実施の形態では、方向D1及びD2と直交し且つ床面Fと平行である方向である。第4方向D4は、第3方向D3の反対方向である。第5方向D5は、方向D1、D2、D3及びD4と交差し且つ床面Fから離れる方向であり、本実施の形態では、第5方向D5は、方向D1、D2、D3及びD4と直交し且つ床面Fと垂直な上向きの方向である。第6方向D6は、第5方向D5の反対方向である。本実施の形態では、床面Fが水平であり、第5方向D5を上方向と呼ぶ場合があり、第6方向D6を下方向と呼ぶことがある。
【0013】
本明細書及び請求項において、「平行」は、「完全な平行」と、平行とみなすことができる「実質的な平行」とを含み得る。「垂直」は、「完全な垂直」と、垂直とみなすことができる「実質的な垂直」とを含み得る。「直交」は、「完全な直交」と、直交とみなすことができる「実質的な直交」とを含み得る。「水平」は、「完全な水平」と、水平とみなすことができる「実質的な水平」とを含み得る。
【0014】
駆動装置30は、移動台10と連結されるロッド31と、ロッド31を方向D1及びD2に伸縮動作させる空気圧シリンダ32とを含む。空気圧シリンダ32は、外囲い枠20に固定される。空気圧シリンダ32は、動力源200と配管を介して接続される。原料肉振動機1は、空気圧シリンダ32と動力源200との間の配管に、空気圧制御弁201及び速度制御弁202を備える。空気圧制御弁201は、配管P1を介して動力源200と接続され、配管P2及びP3を介して空気圧シリンダ32と接続される。速度制御弁202は、配管P2及びP3の途中に介在して配置される。
【0015】
空気圧シリンダ32は、そのケーシングの内部空間に、ロッド31と接続されるピストン32aを含む。ピストン32aは、ケーシングの内部空間を、第1室32bと第2室32cとに区画する。第1室32bは配管P2と接続され、第2室32cは配管P3と接続される。空気圧シリンダ32は、上記のように複動式のシリンダとして例示されるが、単動式のシリンダであってもよい。
【0016】
空気圧制御弁201は、配管P1から供給される空気を、配管P2又は配管P3に選択的に供給する。空気圧制御弁201は、空気圧制御弁201の状態を、配管P2に空気を供給し且つ配管P3から空気を受け取る第1状態と、配管P3に空気を供給し且つ配管P2から空気を受け取る第2状態とに切り替える。
【0017】
第1状態では、空気圧制御弁201は、配管P2に空気を供給し、配管P2の空気は、第1室32bに流入しピストン32aを第1方向D1へスライドさせる。ピストン32aは、第2室32c内の空気を配管P3に送り出す。空気圧制御弁201は、配管P3から空気を受け取り、当該空気を排気する。第2状態では、空気圧制御弁201は、配管P3に空気を供給し、配管P3の空気は、第2室32cに流入しピストン32aを第2方向D2へスライドさせる。ピストン32aは、第1室32b内の空気を配管P2に送り出す。空気圧制御弁201は、配管P2から空気を受け取り、当該空気を排気する。
【0018】
本実施の形態では、空気圧制御弁201は、パイロット操作方式の弁であるが、機械操作方式の弁、ソレノイド操作方式の弁又は他の方式の弁であってもよい。パイロット操作方式の空気圧制御弁201は、配管P1から供給される空気に加えて、他の空気の供給を受ける。空気圧制御弁201は、供給される空気の圧力の作用により、空気圧制御弁201の状態を第1状態と第2状態とに交互に周期的に切り替える。これにより、空気圧シリンダ32は、ロッド31の伸長及び収縮を交互に周期的に繰り返すように動作する。
【0019】
速度制御弁202は、配管P2の空気の流量と、配管P3の空気の流量とを制御する。つまり、速度制御弁202は、空気圧シリンダ32の動作速度を制御する。限定されないが、本実施の形態では、速度制御弁202は、空気圧シリンダ32から空気圧制御弁201に向かう排気の流量を制御するメータアウト方式の構造を有する。速度制御弁202は、配管P2に配置される流量制御弁及び逆止弁と、配管P3に配置される流量制御弁及び逆止弁とを含み得る。速度制御弁202は、空気圧制御弁201から空気圧シリンダ32に向かう給気の流量を制御するメータイン方式の構造を有してもよい。本実施の形態では、速度制御弁202は、電磁弁であるが、機械操作方式の弁又は他の方式の弁であってもよい。
【0020】
速度制御弁202は、配管P2及びP3にではなく、配管P1に配置され、空気圧制御弁201に供給される空気の流量を制御してもよい。これによっても、空気圧シリンダ32の動作速度が制御され得る。
【0021】
原料肉振動機1は、入力部203を備える。入力部203は、空気圧シリンダ32の動作速度を変更する指令の入力を、原料肉振動機1の操作者から受け付ける。入力部203は、受け付けた指令に対応する空気流量に変更するように、速度制御弁202に動作させる。速度制御弁202が電磁弁である場合、入力部203は、空気流量を変更する指令を速度制御弁202に出力してもよい。速度制御弁202が機械操作方式の弁である場合、入力部203は、速度制御弁202を物理的に動かす構造を有し、空気流量を変更するように速度制御弁202を動かしてもよい。入力部203は、流量の変更を指令するための動作可能な入力手段を含んでもよく、このような入力手段の例は、ダイヤル、レバー及びハンドル等を含み得る。
【0022】
移動台10は、積載台11と、支持枠12とを含む。積載台11は、生ハム原木Hとピックル液Lとを含む1つ以上の容器Cをその上に積載し、移動可能である。容器Cは、直方体状の箱形状に形成されている。容器C内では、袋Bに収容された1つ以上の生ハム原木Hがピックル液Lに浸漬されている。図例では、4つの生ハム原木Hが袋Bに収容されている。
【0023】
積載台11は、容器Cが載せられ且つ第5方向D5に向いた載置面11aを含む。限定されないが、本実施の形態では、積載台11は、矩形状の載置面11a上に、第5方向D5に1列に積み重ねられた複数の容器Cを載せることができる。矩形状の載置面11aの4つの縁は、方向D1又はD3に沿う。図例では、積載台11は、9つの容器Cを載せた搬送台車CAを載せる。各容器Cは、1つ以上の生ハム原木Hとピックル液Lと袋Bとを収容する。
【0024】
図3は、
図1の原料肉振動機1を、積載台11の上方から第6方向D6で見た平面図である。
図1から
図3に示すように、積載台11は、積載台11を下方から移動可能に支持し且つ回転可能である第1ホイール11b及び第2ホイール11cを含む。限定されないが、本実施の形態では、2つの第1ホイール11bが、積載台11において第3方向D3へ偏った位置に配置され、互いから間隔をあけて第1方向D1に並ぶ。2つの第2ホイール11cが、積載台11において第4方向D4へ偏った位置に配置され、互いから間隔をあけて第1方向D1に並ぶ。ホイール11b及び11cは、方向D1及びD2に移動するように転動する。各ホイール11b及び11cの回転軸は、第3方向D3に延びる。
【0025】
積載台11は、第1方向D1の端部に取り付けられた補強板11dと、第2方向D2の端部に取り付けられた補強板11eとを含む。補強板11dは、その平坦な主面が第1方向D1に向くように配置される。補強板11eは、その平坦な主面が第2方向D2に向くように配置される。限定されないが、本実施の形態では、2つの補強板11dが、積載台11において第3方向D3へ偏った位置と第4方向D4へ偏った位置とに配置され、2つの補強板11eが、積載台11において第3方向D3へ偏った位置と第4方向D4へ偏った位置とに配置される。駆動装置30のロッド31は、補強板11eに、又は、補強板11eが取り付けられる積載台11の端部に接続される。
【0026】
支持枠12は、積載台11上に配置される。支持枠12は、載置面11a上に積み重ねられた複数の容器Cの全体を外側から囲む本体枠12aを含む。本体枠12aは、矩形状の載置面11aの4つの角又はその近傍から第5方向D5へ延びる4つの支柱12aaを含む。本体枠12aは、4つの支柱12aaの4つの上端部を互いに繋ぐ連結部材12abをさらに含む。上端部は、第5方向D5に位置する端部である。
【0027】
支持枠12は、支柱12aaのそれぞれに配置される補強部材12bを含む。補強部材12bの1つは、積載台11の突出部11faと、突出部11faに第2方向D2で隣り合う支柱12aaの上端部又はその近傍部分とを繋ぐ。補強部材12bの別の1つは、積載台11の突出部11fbと、突出部11fbに第2方向D2で隣り合う支柱12aaの上端部又はその近傍部分とを繋ぐ。補強部材12bの別の1つは、積載台11の突出部11gaと、突出部11gaに第1方向D1で隣り合う支柱12aaの上端部又はその近傍部分とを繋ぐ。補強部材12bの別の1つは、積載台11の突出部11gbと、突出部11gbに第1方向D1で隣り合う支柱12aaの上端部又はその近傍部分とを繋ぐ。
【0028】
突出部11fa及び11fbは、積載台11から第1方向D1に突出する。突出部11ga及び11gbは、積載台11から第2方向D2に突出する。突出部11fa及び11gaは、積載台11における第3方向D3の側部11hに隣り合い且つ側部11hに沿うように延びる。突出部11fb及び11gbは、積載台11における第4方向D4の側部11iに隣り合い且つ側部11iに沿うように延びる。4つの補強部材12bは、連結部材12abが積載台11に対して方向D1及びD2へ変位することを抑制し、それにより本体枠12aの変形を防ぐ。
【0029】
支持枠12は、支持部材12ca、12cb、12cc及び12cdを含む。支持部材12ca及び12cbは、載置面11aに対して第1方向D1に配置され、載置面11aに対して第1方向D1に位置する2つの支柱12aaにわたって延在するように、これらの2つの支柱12aaに取り付けられる。支持部材12cc及び12cdは、載置面11aに対して第2方向D2に配置され、載置面11aに対して第2方向D2に位置する2つの支柱12aaにわたって延在するように、これらの2つの支柱12aaに取り付けられる。支持部材12ca及び12ccは、載置面11a上又は載置面11aの近傍に配置される。支持部材12cb及び12cdは、連結部材12abと載置面11aとの間に配置される。支持部材12ca、12cb、12cc及び12cdは、載置面11a上に積み重ねられた複数の容器Cと、方向D1又はD2で接触するか又は僅かに隙間を形成するように配置される。
【0030】
支持部材12caは、複数の容器Cを載置面11aの近傍で第1方向D1から支持し、複数の容器Cの第1方向D1への変位を抑える。支持部材12cbは、複数の容器Cを載置面11aから離れた位置で第1方向D1から支持し、複数の容器Cの荷崩れを抑える。支持部材12ccは、複数の容器Cを載置面11aの近傍で第2方向D2から支持し、複数の容器Cの第2方向D2への変位を抑える。支持部材12cdは、複数の容器Cを載置面11aから離れた位置で第2方向D2から支持し、複数の容器Cの荷崩れを抑える。
【0031】
支持枠12は、支持枠12の上側部分に配置された被ガイド部12d及び12eを含む。被ガイド部12d及び12eは、後述する外囲い枠20の第3ガイド20d及び20eによって方向D1及びD2へ移動可能に支持される。限定されないが、本実施の形態では、被ガイド部12d及び12eは、連結部材12abに回転可能に取り付けられたローラである。以下において、「被ガイド部12d」を「第1ローラ12d」と称し、「被ガイド部12e」を「第2ローラ12e」と称する場合がある。
【0032】
被ガイド部12d及び12eと第3ガイド20d及び20eとを含む構造は、第3ガイド20d及び20eが、被ガイド部12d及び12eを方向D1及びD2へ移動可能に支持する構造であればよい。例えば、上記構造は、被ガイド部12d及び12eが、第3ガイド20d及び20eに係合又は嵌合しつつ、方向D1及びD2へ移動する構造であってもよい。例えば、2つの要素が係合又は嵌合する構造は、突起と当該突起に係合若しくは嵌合する突起との組み合わせ、突起と当該突起に係合若しくは嵌合する溝若しくは凹部との組み合わせ、穴と穴を通る部材との組み合わせ、又は、これらの組み合わせ等を含んでもよい。
【0033】
さらに、本実施の形態では、2つの第1ローラ12dが、本体枠12aから第3方向D3に突出して配置され、互いから間隔をあけて第1方向D1に並ぶ。2つの第2ローラ12eが、本体枠12aから第4方向D4に突出して配置され、互いから間隔をあけて第1方向D1に並ぶ。各ローラ12d及び12eの回転軸は、第3方向D3に延びる。
【0034】
支持枠12は、連結部材12abに配置される押さえ装置12fを含む。押さえ装置12fは、押さえ部材12faと、昇降装置12fbとを含む。押さえ部材12faは、載置面11aと対向するように載置面11aから第5方向D5へ離れて配置される。押さえ部材12faは、載置面11a上に積み重ねられた複数の容器Cにおける最上段の容器Cの上端部分に接触し、上端部分を第6方向D6へ押圧できる構造を有する。例えば、押さえ部材12faは、最上段の容器Cの上端部分に当接する板状部材、又は、最上段の容器Cの上端部分に被さる蓋状部材であってもよい。押さえ部材12faは、最上段の容器Cの上端部分に係合又は嵌合する構造を有してもよい。
【0035】
昇降装置12fbは、押さえ部材12faと接続され、方向D5及びD6へ押さえ部材12faを移動する。昇降装置12fbは、連結部材12abに取り付けられる。昇降装置12fbは、押さえ部材12faを第6方向D6に移動して、載置面11a上の容器Cに押さえ部材12faを第6方向D6に向かって押し付ける。これにより、積み重ねられた容器Cの荷崩れが抑えられる。
【0036】
昇降装置12fbは、押さえ部材12faを方向D5及びD6へ移動する構造を有すればよい。限定されないが、本実施の形態では、昇降装置12fbは、押さえ部材12faと連結されるロッドと、ロッドを方向D5及びD6に伸縮動作させる空気圧シリンダとを含む。空気圧シリンダは、配管P5及びP6を介して空気圧制御弁204と接続される。空気圧制御弁204は、配管P4を介して動力源200と接続される。昇降装置12fbの空気圧シリンダは、空気圧シリンダ32と同様の構造を有するが、単動式のシリンダであってもよい。空気圧制御弁204は、空気圧制御弁201と同様の構造を有してもよく、機械操作方式の弁又はソレノイド操作方式の弁であってもよい。昇降装置12fbは、空気圧シリンダの代わりに、リニアアクチュエータ等の電動アクチュエータ、又は、油圧シリンダを含んでもよい。
【0037】
外囲い枠20は、空気圧シリンダ32によって方向D1及びD2へ移動される移動台10を外側から囲む。外囲い枠20は、床面Fに固定される。外囲い枠20は、枠本体20aを含む。枠本体20aは、支持板部材20aaと、4つの支柱20abと、連結部材20acとを含む。支持板部材20aaは、矩形板状の形状を有し、床面F上に配置及び固定される。矩形状の支持板部材20aaの4つの縁は、方向D1又はD3に沿う。移動台10は、支持板部材20aa上で移動する。4つの支柱20abは、支持板部材20aaの4つの角から第5方向D5に延びる。連結部材20acは、4つの支柱20abの4つの上端部を互いに繋ぐ。上端部は、第5方向D5に位置する端部である。
【0038】
外囲い枠20は、支持板部材20aa上に、ガイド20b及び20cを含む。第1ガイド20bは、方向D1及びD2へ移動するように2つの第1ホイール11bを案内する。第2ガイド20cは、方向D1及びD2へ移動するように2つの第2ホイール11cを案内する。限定されないが、本実施の形態では、第1ガイド20bは、第1方向D1に延びる第1ホイール11bの走行路を形成する。第2ガイド20cは、第1方向D1に延びる第2ホイール11cの走行路を形成する。ガイド20b及び20cは、走行路として、ホイールを受け入れるU字状断面の溝を形成するが、突起を形成してもよい。
【0039】
ガイド20b及び20cは、方向D3及びD4の両方向への各ホイールの移動を制限するが、これに限定されない。例えば、第1ガイド20bが、第3方向D3への第1ホイール11bの移動を制限し、第2ガイド20cが、第4方向D4への第2ホイール11cの移動を制限してもよい。第1ガイド20bが、第4方向D4への第1ホイール11bの移動を制限し、第2ガイド20cが、第3方向D3への第2ホイール11cの移動を制限してもよい。ガイド20b及び20cは、第1方向D1に連続的に延びるが、間欠的に延びてもよい。
【0040】
外囲い枠20は、第3ガイド20d及び20eを含む。第3ガイド20dは、支持板部材20aaに対して第3方向D3に位置する2つの支柱20abにわたって第1方向D1に延び、これらの2つの支柱20abに固定される。第3ガイド20dは、支持板部材20aaに対して第4方向D4に位置する2つの支柱20abにわたって第1方向D1に延び、これらの2つの支柱20abに固定される。第3ガイド20d及び20eはそれぞれ、第1方向D1に延び且つ第5方向D5に向いたガイド面20da及び20eaを含む。
【0041】
2つの第1ローラ12dは、ガイド面20da上に配置され、ガイド面20da上を方向D1及びD2へ転動する。第3ガイド20dは、2つの第1ローラ12dを方向D1及びD2へ移動可能に支持する。2つの第2ローラ12eは、ガイド面20ea上に配置され、ガイド面20ea上を方向D1及びD2へ転動する。第3ガイド20eは、2つの第2ローラ12eを方向D1及びD2へ移動可能に支持する。第3ガイド20d及び20eは、突起又は凹部等の係合要素を介して、ローラ12d及び12eと係合しつつ、ローラ12d及び12eの移動を案内する構造を有してもよい。
【0042】
外囲い枠20は、積載台11に第3方向D3で隣り合って配置される出入台20fを含む。出入台20fは、ガイド面20faと、出入面20fbとを含む。ガイド面20faは、積載台11の側部11hに隣り合って第1方向D1に延び、側部11hに対向する。ガイド面20faは、積載台11の方向D1及びD2の移動を案内する。出入面20fbは、第5方向D5に向いて配置される。出入面20fbは、積載台11の載置面11aと原料肉振動機1の周りの支持面とを繋ぐ。例えば、支持面は、床面Fであってもよく、容器Cの搬出入路面であってもよい。出入面20fbは、容器Cを載せた搬送台車CAがその上を通って外囲い枠20の外側と積載台11との間を移動することを可能にする。
【0043】
本実施の形態では、振動機本体100は、2つの第1弾性機構40と、2つの第2弾性機構50とを含む。2つの第1弾性機構40は、移動台10に対して第1方向D1に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる。2つの第2弾性機構50は、移動台10に対して第2方向D2に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる。
【0044】
2つの第1弾性機構40及び2つの第2弾性機構50は、支持板部材20aaに配置及び固定される。2つの第1弾性機構40は、支持板部材20aaの第1方向D1の縁の近傍に配置され、当該縁の近傍に配置される2つの支柱20abと第3方向D3で並ぶ。2つの第2弾性機構50は、支持板部材20aaの第2方向D2の縁の近傍に配置され、当該縁の近傍に配置される2つの支柱20abと第3方向D3で並ぶ。
【0045】
第1弾性機構40の一方は、積載台11の2つの補強板11dの一方と第1方向D1で対向する位置に配置され、第1弾性機構40の他方は、2つの補強板11dの他方と第1方向D1で対向する位置に配置される。移動台10が第1方向D1に移動すると、2つの補強板11dは、2つの第1弾性機構40と衝突する。積載台11が、方向D3及びD4の両端付近で2つの第1弾性機構40と衝突するため、衝突中及びその直後において、積載台11の移動方向が方向D3又はD4へずれることが抑えられる。
【0046】
第2弾性機構50の一方は、積載台11の2つの補強板11eの一方と第2方向D2で対向する位置に配置され、第2弾性機構50の他方は、2つの補強板11eの他方と第2方向D2で対向する位置に配置される。移動台10が第2方向D2に移動すると、2つの補強板11eは、2つの第2弾性機構50と衝突する。積載台11が、方向D3及びD4の両端付近で2つの第2弾性機構50と衝突するため、衝突中及びその直後において、積載台11の移動方向が方向D3又はD4へずれることが抑えられる。
【0047】
各第1弾性機構40は、第1緩衝部材40aと、第1緩衝部材40aを第2方向D2へ付勢する1つ以上の第1付勢部材40bとを含む。限定されないが、本実施の形態では、各第1弾性機構40は、第3方向D3に配列される2つ以上の第1付勢部材40bと、第5方向D5に配列される2つ以上の第1付勢部材40bとを含む。図例では、各第1弾性機構40は、2行×2列に配置された4つの第1付勢部材40bを含む。4つの第1付勢部材40bは、第1緩衝部材40aが第1方向D1と斜めに交差する方向の押圧力を受けた場合でも、第1緩衝部材40aの姿勢の変化を抑えることができる。4つの第1付勢部材40bは、第2方向D2に向かう弾性力を安定して生じることができる。
【0048】
各第2弾性機構50は、第2緩衝部材50aと、第2緩衝部材50aを第1方向D1へ付勢する1つ以上の第2付勢部材50bとを含む。限定されないが、本実施の形態では、各第2弾性機構50は、第3方向D3に配列される2つ以上の第2付勢部材50bと、第5方向D5に配列される2つ以上の第2付勢部材50bとを含む。図例では、各第2弾性機構50は、2行×2列に配置された4つの第2付勢部材50bを含む。4つの第2付勢部材50bは、第2緩衝部材50aが第2方向D2と斜めに交差する方向の押圧力を受けた場合でも、第2緩衝部材50aの姿勢の変化を抑えることができる。4つの第2付勢部材50bは、第1方向D1に向かう弾性力を安定して生じることができる。
【0049】
緩衝部材40a及び50aは、補強板11d及び11eとの衝突での衝撃を緩衝し、補強板11d及び11eの損傷を防ぐ。緩衝部材40a及び50aは、補強板11d及び11eより低い硬度及び可撓性を有する材料で形成される。例えば、補強板11d及び11eは金属製であり、緩衝部材40a及び50aの材料の例は、樹脂及びゴム等を含む。限定されないが、本実施の形態では、付勢部材40b及び50bは、バネであり、例えば、コイルバネである。付勢部材40b及び50bは、空気圧シリンダ、液圧シリンダ又はベローズ等の他の部材であってもよい。弾性機構40及び50は、補強板11d及び11eとの衝突での衝撃を緩衝しつつ、補強板11d及び11eから受ける押圧力に対抗する弾性反発力を発生する。
【0050】
実施の形態に係る原料肉振動機1の動作を説明する。例えば、操作者が、
図1及び
図3に示す状態の原料肉振動機1を起動する。操作者は、積み重ねられた複数の容器Cを載せる搬送台車CAを積載台11の載置面11a上に運び入れた後、押さえ装置12fを起動する。押さえ装置12fは、押さえ部材12faを第6方向D6へ下降させ、押さえ部材12faを最上段の容器Cに押し付ける。さらに、操作者は、空気圧シリンダ32の動作速度の指令を入力部203に入力した後、動力源200から配管P1への空気の流通を遮断するバルブを開放して配管P1に空気を供給する。
【0051】
空気圧制御弁201は、その状態を第1状態と第2状態とに交互に周期的に切り替え、空気圧シリンダ32は、ロッド31の伸長とロッド31の収縮とを交互に周期的に繰り返すように動作する。ロッド31の伸長及び収縮により、移動台10が方向D1及びD2に往復移動する。
【0052】
速度制御弁202は、入力部203からの指令に従った動作速度で空気圧シリンダ32が動作するように、配管P2及びP3での空気の流量を制御する。移動台10は、指令に従った速度で往復移動する。操作者は、入力部203をさらに操作することによって、空気圧シリンダ32の動作速度を変更することもできる。
【0053】
空気圧シリンダ32は、移動台10が第1弾性機構40に衝突するまで移動台10を第1方向D1へ移動し、移動台10が第2弾性機構50に衝突するまで移動台10を第2方向D2へ移動する。
【0054】
移動台10は、第1方向D1へ移動すると、
図4及び
図5に示すように、補強板11dを第1弾性機構40に衝突させる。
図4は、
図3の原料肉振動機1の状態から、第1方向D1に移動台10が移動した状態の原料肉振動機1を示す平面図である。
図5は、
図4の原料肉振動機1を
図1と同様に示す側面図である。移動台10は、第1弾性機構40との衝突による衝撃を受け、さらに、第1弾性機構40から、第2方向D2に向かう弾性反発力を受ける。容器C内の生ハム原木H及びピックル液Lは、容器Cの移動と衝突による振動と弾性反発力による振動とにより、容器C内を移動する。さらに、生ハム原木Hは、容器C及び他の生ハム原木Hと衝突して衝撃を受ける。
【0055】
移動台10は、第2方向D2へ移動すると、
図6及び
図7に示すように、補強板11eを第2弾性機構50に衝突させる。
図6は、
図3の原料肉振動機1の状態から、第2方向D2に移動台10が移動した状態の原料肉振動機1を示す平面図である。
図7は、
図6の原料肉振動機1を
図1と同様に示す側面図である。移動台10は、第2弾性機構50との衝突による衝撃を受け、さらに、第2弾性機構50から、第1方向D1に向かう弾性反発力を受ける。容器C内の生ハム原木H及びピックル液Lは、容器Cの移動と衝突による振動と弾性反発力による振動とにより、容器C内を移動する。さらに、生ハム原木Hは、容器C及び他の生ハム原木Hと衝突して衝撃を受ける。
【0056】
上述のように移動台10が方向D1及びD2へ繰り返し移動する過程で、容器C内のピックル液Lは、容器Cの移動と衝突による振動と弾性反発力による振動とにより容器C内を移動しつつ波立ち、部分的に浸漬している生ハム原木Hに上方及び側方から降りかかる。これにより、ピックル液Lは、生ハム原木Hの表面の全体にわたって付着する。容器C内の生ハム原木Hは、容器Cの移動と衝突による振動と弾性反発力による振動とにより容器C内を移動し、容器C及び他の生ハム原木Hと衝突する。これにより、生ハム原木Hは、ピックル液Lをさらに波立たせ、生ハム原木Hの表面全体へのピックル液Lの付着を促進する。生ハム原木Hは、振動及び衝突により衝撃を受けて表面の様々な部分を押圧され、それにより、表面に付着しているピックル液Lの生ハム原木Hへの浸透を促進できる。よって、生ハム原木Hの表面全体でのピックル液Lの浸透度のばらつきが低減する。
【0057】
移動台10と弾性機構40及び50との衝突は、空気圧シリンダ32を所定のストローク量で動作させることによって、実現されてもよい。所定のストローク量の例は、空気圧シリンダ32の最大ストローク量、移動台10と緩衝部材40a又は50aとが当接する場合のストローク量よりも大きい空気圧シリンダ32のストローク量、及び、衝突時に付勢部材40b又は50bを収縮させるような空気圧シリンダ32のストローク量等を含み得る。移動台10と弾性機構40及び50との衝突は、空気圧制御弁201に設定される状態変化の周期と、速度制御弁202に設定される流量に対応する空気圧シリンダ32の動作速度との組み合わせによって、実現されてもよい。この場合、衝突を実現する空気圧シリンダ32のストローク量を確保するように、周期及び流量が設定されてもよい。
【0058】
速度制御弁202での流量は、空気圧シリンダ32の動作速度に対応するため、速度制御弁202での流量の設定は、移動台10と弾性機構40及び50との衝突での衝撃の強さの設定を可能にする。空気圧制御弁201での状態変化の周期の設定は、移動台10と弾性機構40及び50との間の単位時間当たりの衝突回数の設定を可能にする。例えば、1秒毎に、弾性機構40及び50のいずれかに移動台10を衝突させる設定も可能である。
【0059】
[その他の実施の形態]
以上、本開示の例示的な実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0060】
例えば、実施の形態では、駆動装置30は、空気圧シリンダ32を含むが、これに限定されない。駆動装置30は、移動台10を方向D1及びD2に移動できればよい。例えば、駆動装置30は、油圧式などの液圧式シリンダ及び電動リニアアクチュエータのような、直線的な駆動力を発生する装置を含んでもよい。又は、駆動装置30は、電動モータのような回転駆動力を発生する装置と、回転運動を直線運動に変換する機構とを含んでもよい。このような機構の例は、スライダ・クランク機構、スロット・クランク機構、ラックアンドピニオン機構、リンク機構と歯車とによる直線運動機構、及び、板カム機構等を含み得る。
【0061】
実施の形態では、原料肉振動機1は、床面Fに沿う方向に移動台10を往復移動するが、床面Fと交差する方向に移動台10を往復移動してもよい。この場合、支持板部材20aaが床面Fと交差する面に沿うように配置されてもよい。原料肉振動機1は、様々な方向に移動台10を往復移動して、容器C内の生ハム原木Hに様々な方向の振動を与えることができる。
【0062】
本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の第1態様に係る原料肉振動機は、原料肉と調味液とを含む容器を積載する載置面を有し且つ移動可能である移動台と、前記移動台を、第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向とに往復移動する駆動装置と、前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構とを備え、前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する。
【0063】
上記態様によると、容器を積載した移動台は、第1弾性機構及び第2弾性機構と衝突しつつ第1方向及び第2方向に往復移動する。移動台は、衝突の際に、衝突による衝撃の他に、移動方向と反対方向の弾性力を受ける。容器内の調味液は、衝撃による振動と弾性力による振動とを受け、これらの振動と容器の移動とにより、容器内を移動しつつ波立ち、浸漬している原料肉に様々な方向から降りかかる。これにより、調味液は、原料肉の表面の全体にわたって付着し得る。容器内の原料肉は、衝撃による振動と弾性力による振動とを受け、これらの振動と容器の移動とにより、容器内を移動し容器等に衝突する。原料肉は、調味液を波立たせ、原料肉の表面全体への調味液の付着を促進する。原料肉は、振動及び衝突により表面の様々な部分を押圧され、それにより、表面に付着している調味液の原料肉への浸透を促進する。さらに、原料肉は、このような振動を繰り返し安定して受けることができるため、原料肉への調味液の浸透の安定化及び効率化が可能である。
【0064】
例えば、原料肉への調味液の浸透を手作業で行う場合、原料肉が入れられ且つ調味液に浸漬された袋が、人により手返しされる。手返しでは、裏表がひっくり返される。この作業は、人の熟練度に依存し、手返しにより原料肉に与えられる衝撃は、多様である。原料肉振動機は、手返し作業を自動化でき、さらに、原料肉に与える衝撃を一様に保つことができ、衝撃の大きさを手返し作業よりも大きくできる。よって、原料肉振動機は、原料肉へ調味液の浸漬に関わる手作業を効果的に低減し、安定した品質を有する浸漬肉を製造できる。
【0065】
上記第1態様において、本開示の第2態様に係る原料肉振動機では、前記第1弾性機構は、第1緩衝部材と、前記第1緩衝部材を前記第2方向へ付勢する第1付勢部材とを含み、前記第2弾性機構は、第2緩衝部材と、前記第2緩衝部材を前記第1方向へ付勢する第2付勢部材とを含んでもよい。
【0066】
上記態様によると、緩衝部材は、衝突の際の移動台の損傷を低減する。付勢部材は、衝突の際に移動台に弾性力を付与する。弾性機構は、移動台の損傷を防ぎつつ、移動台に弾性力を付与できる。
【0067】
上記第2態様において、本開示の第3態様に係る原料肉振動機では、前記第1弾性機構は、複数の前記第1付勢部材を含み、前記第2弾性機構は、複数の前記第2付勢部材と含み、前記複数の第1付勢部材は、前記第1方向と交差する方向である第3方向に配列される2つ以上の前記第1付勢部材と、前記第1方向及び前記第3方向と交差する方向である第4方向に配列される2つ以上の前記第1付勢部材とを含み、前記複数の第2付勢部材は、前記第3方向に配列される2つ以上の前記第2付勢部材と、前記第4方向に配列される2つ以上の前記第2付勢部材とを含んでもよい。
【0068】
上記態様によると、弾性機構は、第1方向と交差する2つの方向に配列された複数の付勢部材を含む。緩衝部材が、第1方向又は第2方向と斜めに交差する方向の押圧力を受けた場合、複数の付勢部材は、緩衝部材の姿勢の変化を抑えることができる。弾性機構は、第1方向又は第2方向に向かう弾性力を生じることができる。
【0069】
上記の第1態様から第3態様のいずれかにおいて、本開示の第4態様に係る原料肉振動機は、前記移動台を移動可能に支持する第1ホイール及び第2ホイールと、前記第1方向及び前記第2方向へ移動するように前記第1ホイールを案内する第1ガイドと、前記第1方向及び前記第2方向へ移動するように前記第2ホイールを案内する第2ガイドとをさらに備えてもよい。
【0070】
上記態様によると、第1ホイール及び第2ホイールの移動が、第1ガイド及び第2ガイドによって第1方向及び第2方向に案内される。第1方向及び第2方向への移動台の移動が安定化する。
【0071】
上記の第1態様から第4態様のいずれかにおいて、本開示の第5態様に係る原料肉振動機は、前記移動台に配置され、前記移動台上に積み重ねられた前記容器を前記第1方向及び前記第2方向で支持する支持部材をさらに備えてもよい。
【0072】
上記態様によると、支持部材は、移動台が第1方向及び第2方向に移動しても、移動台上に積み重ねられた容器が荷崩れすることを抑えることができる。
【0073】
上記の第1態様から第5態様のいずれかにおいて、本開示の第6態様に係る原料肉振動機は、前記移動台の上側部分に配置された被ガイド部と、前記被ガイド部を前記第1方向及び前記第2方向へ移動可能に支持する第3ガイドとをさらに備えてもよい。
【0074】
上記態様によると、移動台の上側部分の第1方向及び第2方向の移動が、第3ガイドによって案内される。移動台の安定した移動が可能になる。積み重ねられた容器を積載するために移動台の高さが大きい場合でも、移動台は、姿勢変化を抑えた状態で第1方向及び第2方向に移動できる。
【0075】
上記第6態様において、本開示の第7態様に係る原料肉振動機では、前記第3ガイドは、前記第1方向及び前記第2方向に延びる第1ガイド面を含み、前記被ガイド部は、前記第1ガイド面上を前記第1方向及び前記第2方向に転動するローラを含んでもよい。上記態様によると、第3ガイドは、移動台の上側部分の円滑な移動を可能にする。
【0076】
上記の第1態様から第7態様のいずれかにおいて、本開示の第8態様に係る原料肉振動機は、前記容器が載置される前記移動台の載置面と対向するように前記載置面から離れて配置される押さえ部材と、前記載置面から離れる方向である第5方向と、前記載置面に近づく方向である第6方向とに前記押さえ部材を移動する昇降装置とをさらに備え、前記昇降装置は、前記押さえ部材を前記第6方向に移動して、前記押さえ部材により前記載置面上の前記容器を前記第6方向へ押さえ付けてもよい。
【0077】
上記態様によると、載置面上に複数の容器が積み重ねられる場合であっても、複数の容器は、押さえ部材によって載置面に向かって押さえ付けられる。移動台が第1方向及び第2方向に移動しても、積み重ねられた容器が荷崩れすることが抑えられる。
【0078】
上記の第1態様から第8態様のいずれかにおいて、本開示の第9態様に係る原料肉振動機の前記駆動装置は、前記移動台と連結されるロッドと、前記ロッドを前記第1方向及び前記第2方向に伸縮動作させる空気圧シリンダとを含み、前記原料肉振動機は、前記空気圧シリンダに空気を供給する動力源と、前記空気圧シリンダと前記動力源との間の配管に配置され、前記空気圧シリンダの動作速度を制御する速度制御弁と、前記空気圧シリンダの動作速度を変更する入力を受け付け、受け付けた入力に応じて前記速度制御弁の状態を変更する入力部とをさらに備えてもよい。
【0079】
上記態様によると、空気圧シリンダは、高い動作速度での伸縮動作を可能にする。駆動装置は、速度制御弁の制御によって、多様な速度で空気圧シリンダを伸縮させることができる。つまり、多様な速度での移動台の移動が可能である。移動台の速度のコントロールは、移動台と弾性機構との衝突の際の衝撃の大きさのコントロールと、衝突の頻度のコントロールとを可能にする。
【0080】
上記の第1態様から第9態様のいずれかにおいて、本開示の第10態様に係る原料肉振動機は、前記移動台に隣り合って配置される出入台をさらに備え、前記出入台は、前記移動台に隣り合って前記第1方向に延び、前記移動台の前記第1方向及び前記第2方向の移動を案内する第2ガイド面と、前記容器が載置される前記移動台の載置面と、前記原料肉振動機の周りの支持面とを繋ぎ、前記容器がその上を通って移動されることが可能である出入面とを含んでもよい。
【0081】
上記態様によると、出入台は、原料肉振動機の外部と移動台との間での容器の搬出入を容易にし、さらに、第1方向及び第2方向の移動台の移動を案内できる。原料肉振動機を使用する原料肉の処理作業が円滑になる。
【0082】
上記の第1態様から第10態様のいずれかにおいて、本開示の第11態様に係る原料肉振動機の前記第1方向及び前記第2方向は、前記原料肉振動機が配置される面に沿う方向であってもよい。
【0083】
上記態様によると、例えば、原料肉振動機の配置面が水平である場合、原料肉振動機は、移動台を水平方向に往復移動して容器内の原料肉に振動を与えることができる。移動台が配置面によって支持されつつ移動するため、駆動装置に必要とされる駆動力が低く抑えられる。さらに、移動装置を支持するための構造の小型化及び簡略化が可能である。よって、原料肉振動機の小型化が可能である。
【0084】
本明細書で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0085】
本開示は、その本質的な特徴の範囲から逸脱することなく、様々なかたちで実施され得るように、本開示の範囲は、明細書の記載よりも添付の請求項によって定義されるため、例示的な実施の形態及び変形例は、例示的なものであって限定的なものではない。請求項及びその範囲内にあるすべての変更、又は、請求項及びその範囲の均等物は、請求項によって包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0086】
1 原料肉振動機
10 移動台
11a 載置面
11b 第1ホイール
11c 第2ホイール
12ca,12cb,12cc,12cd 支持部材
12d,12e ローラ
12fa 押さえ部材
12fb 昇降装置
20b 第1ガイド
20c 第2ガイド
20d,20e 第3ガイド
20da,20ea ガイド面(第1ガイド面)
20f 出入台
20fa ガイド面(第2ガイド面)
20fb 出入面
30 駆動装置
31 ロッド
32 空気圧シリンダ
40 第1弾性機構
40a 第1緩衝部材
40b 第1付勢部材
50 第2弾性機構
50a 第2緩衝部材
50b 第2付勢部材
202 速度制御弁
203 入力部
【要約】
【課題】原料肉への調味液の浸漬に関わる手作業を低減し、安定した品質を有する浸漬肉を製造可能な原料肉振動機を提供する。
【解決手段】原料肉振動機は、原料肉と調味液とを含む容器を積載し且つ移動可能である移動台と、前記移動台を、第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向とに往復移動する駆動装置と、前記移動台に対して前記第1方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第1弾性機構と、前記移動台に対して前記第2方向に配置され、付与される押圧力に対抗して弾性力を生じる第2弾性機構とを備え、前記駆動装置は、前記移動台が前記第1弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第1方向に移動し、前記移動台が前記第2弾性機構に衝突するまで前記移動台を前記第2方向に移動する。
【選択図】
図1