(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】無人販売システムの決済方法
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20240116BHJP
G07F 7/08 20060101ALI20240116BHJP
G07F 17/42 20060101ALI20240116BHJP
G07B 1/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G07F9/00 D
G07F7/08 Q
G07F17/42
G07B1/00 Z
(21)【出願番号】P 2023179759
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2023107604の分割
【原出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】塩口 直哉
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-298536(JP,A)
【文献】特開2001-307220(JP,A)
【文献】特表2018-532207(JP,A)
【文献】特開2013-45280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0255468(US,A1)
【文献】特開2009-70309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00-19/00
G07B 1/00-17/04
G07G 1/00- 5/00
G06Q 10/00-99/00
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた
自動販売機の決済方法であって、
決済手段として、
自動販売機に投入された硬貨を用いた決済の処理手段、
自動販売機に投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、デビットカードによる決済の処理手段、画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いる
ものであり、
前記自動販売機は、
ユーザーが選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、
複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、
選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための前記決済手段と、
物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、
選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するための印刷手段と、
を
一つの自動販売機に備えるものであり、
前記印刷手段は、自動販売機の筐体に設けた外扉の前面に設けられ、
前記印刷手段の用紙は、前記外扉を閉じたまま補充可能に構成され、
前記印刷手段から印刷された印刷物が、前記決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供及び/又は商品との交換のための証票である、
ことを特徴とする、自動販売機の決済方法。
【請求項2】
前記印刷手段への給電は、
前記自動販売機からの給電である、ことを特徴とする請求項1に記載の
自動販売機の決済方法。
【請求項3】
前記印刷手段は、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有する、ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の
自動販売機の決済方法。
【請求項4】
前記印刷手段に供給する用紙がロール形状である、ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の
自動販売機の決済方法。
【請求項5】
前記自動販売機は屋内に設置される、
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の
自動販売機の決済方法。
【請求項6】
前記印刷手段は、
前記印刷手段のカバーの開閉を規制する施錠機能、及び/又は、カバー内への浸水を防止する防水機能を有する、ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の
自動販売機の決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代金の決済に応じて物品やチケットなどの証票を販売する無人販売システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、飲料などの物品を販売する自動販売機は、屋外、屋内問わずあらゆるところに設置されており、24時間無人で物品を提供することができ、社会的インフラとしての役目を果たしているものと言える。
【0003】
一方、例えば、特許文献2に示すように、飲食店などにおいて食券を販売する券売機も知られており、利用者が店舗の入り口で食券を購入し、食事と交換をするといった店舗でのオペレーションは周知なものである。また、銭湯などの施設においても、入場券を券売機で購入し、入場口にて係員に手渡して入場するといったオペレーションも周知のものである。
【0004】
特許文献1では、自動販売機に操作パネル、ディスプレイ、プリンターを設け、ディスプレイに表示させたチケット、切符等の情報の予約や代金決済の証明をするために必要事項をプリントアウトすることについて開示がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-307220公報
【文献】特開平10-232955公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動販売機や券売機を製造するメーカーは数が少なく、数社によって製造されているものであり、装置構成は規格化がされ、画一的なものであるといった現状がある。また、自動販売機においては、定期的なルート搬送による商品の補充が必要になる一方で、券売機においてはそういたものが無いということから、オペレーションの部分において大きく相違するといった現状がある。
【0007】
したがって、特許文献1に開示されるような自動販売機と券売機を組み合わせたような構成については、実際のところ実施されていないものと言える。仮に、全国的に展開をするのであれば、大手の自動販売機メーカーによる新規開発が必要となり、現実的なものではない。また、既存の自動販売機との置き換えや破棄といった付随的な負担も生じ、更には、既存の自動販売機の台数が膨大であることも考慮すると、特許文献1に開示されるような構成を市場に提供することは現実的には困難であるといえる。
【0008】
他方、券売機を設置せずに店員による会計が行われているところも多く存在するが、券売機を設置しない理由としては、数十万円~数百万円する券売機の導入コストが高いということが大きい。特に、小規模店舗や小規模施設においては、売上と比較すると導入コストの負担が多く、本来は設置したいところであるが躊躇してしまうところとなる。
【0009】
したがって、券売機の導入が進まない事例が多くあり、例えば、店主が一人で切り盛りするラーメン店などの飲食店では、いわゆるワンオペレーションといった状況となり、会計対応の負担も大きなものとなる一方で、客側からしても店主に気を使ってしまうことや、店主からすれば客に気を使わせてしまうということにもなる。
【0010】
また、コロナ禍を経た現状では、現金の手渡が避けられる傾向があり、特に飲食店においてはなおさらである。この点に対し、キャッシュレス決済の装置を導入することも考えられるが、装置の導入コストやランニングコストが発生する点は変わらず、また、店主が代金を入力する手間が生じるなど、逆に作業が増えてしまうことさえ懸念される。
【0011】
また、銭湯などの小規模な施設においても、会計作業の人員を配置する必要があるが、昨今では人手不足がますます深刻な状況であるところ、上記のコストの問題等から券売機の導入を断念せざるを得ない状況が生じる。
【0012】
また、2024年には新規の紙幣が発行されていることが予定されており、新紙幣と旧紙幣が入り交じることに伴う混乱も予想され、上記のような小規模店舗等の負担が増えることが懸念される。
【0013】
また、券売機を設置していない店舗等においては、同時に自動販売機を設置したい場合もある。仮に、両方を設置することになった場合、券売機と自動販売機をそれぞれ設置するスペースが必要となり、いずれか一方の選択が迫られる場合もある。自動販売機を設置することで、飲料などを提供する手間を削減でき、上記の店主の負担も大幅に低減できるが、スペースの問題で設置を断念せざるを得なくなってしまう。
【0014】
また、既に券売機が設置してある店舗等においては、新たに自動販売機を設置するスペースが確保できない場合があり、逆に、既に自動販売機が設置してある店舗等において券売機を設置するスペースが確保できない場合もある。
【0015】
また、自動販売機や券売機のいずれにおいても、上述した新紙幣の発行のタイミングでは、ビルバリデータと呼ばれる紙幣識別機ユニットの交換が必要とされることになるが、この交換に際しさらなるコスト負担が生じることになり、上記のような小規模店舗等にとってはますます導入のハードルが高いものとなる。
【0016】
また、仮に、券売機を設置する場合には、用紙の補充が必要とされるが、用紙切れのタイミングが予測できず、店舗側で対応する必要がある。このため、用紙補充の作業性を良好なものとする必要があり、特に、店主自ら交換しなければならないワンオペレーションの状況においては、一秒を争うことになる。
【0017】
以上の問題に鑑み、本発明の課題の一つは、自動販売機や券売機が設置されていない店舗、或いは、いずれか一方が設置してある店舗などの導入先において、導入の負担の少ない新規な無人販売システムを提案することである。
【0018】
また、本発明の課題の一つは、既に自動販売機が設置してある場合において、既存の自動販売機の機能を維持しつつ、券売機の機能を導入することを可能とし、更には、その導入の負担の少ない新規な無人販売システムを提案することである。
【0019】
また、本発明の課題の一つは、券売機の機能を導入した場合において、導入先の運用の負担の少ない新規な無人販売システムを提案することである。
【0020】
また、本発明の課題の一つは、無人販売システムの導入後において、印刷の用紙補充に際し、設置先の店主等が自ら用紙の交換や補充をできる、新規な無人販売システムを提案することにある。
【0021】
また、本発明の課題の一つは、無人販売システムの決済方法において、顧客の利便性を向上させることができる、新規な無人販売システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0023】
本発明の一形態では、
筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた無人販売システムの決済方法であって、
決済手段として、
無人販売システムに投入された硬貨を用いた決済の処理手段、無人販売システムに投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、デビットカードによる決済の処理手段、画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いる、無人販売システムの決済方法とする。
【0024】
また、本発明の一形態では、
筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた無人販売システムの決済方法であって、
決済手段として、
無人販売システムに投入された硬貨を用いた決済の処理手段、無人販売システムに投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、デビットカードによる決済の処理手段、画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いる、筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた無人販売システムの決済方法であって、
前記無人販売システムは、
ユーザーが選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、
複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、
選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための決済手段と、
物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、
選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するための印刷手段と、
少なくとも用紙に印刷する印刷情報を含む情報を取得する機能を有する情報取得手段と、
選択手段と、決済手段と、払出手段と、情報取得手段とに接続される制御手段と、を有し、
提示手段と、選択手段と、決済手段と、払出手段と、印刷手段と、情報取得手段と、制御手段と、が一つの筐体に備えられるものであり、
印刷手段は、筐体の外装面に設けられ、
印刷手段の用紙は、外扉を閉じたまま補充可能に構成される、
ことを特徴とする、無人販売システムの決済方法とする。
【0025】
また、本発明の一形態では、印刷手段に対する印刷指示は、制御手段から無線及び/又は有線により送信可能とする。
【0026】
また、本発明の一形態では、印刷手段への給電は、無人販売システムからの給電である。
【0027】
また、本発明の一形態では、印刷手段が情報取得手段の機能を備える。
【0028】
また、本発明の一形態では、情報取得手段は、少なくとも、印刷情報を、通信及び/又は記録媒体を介して取得可能とする。
【0029】
また、本発明の一形態では、情報取得手段は、少なくとも、決済情報及び/又は関連付情報を、通信又は記録媒体を介して取得可能とし、
決済情報は、各選択候補の代金であり、
関連付情報は、各選択手段と各選択候補とを関連付けるための情報である。
【0030】
また、本発明の一形態では、情報取得手段は、少なくとも、決済情報及び/又は関連付情報を、通信又は記録媒体を介して取得可能とし、
決済情報は、各選択候補の代金であり、
関連付情報は、各選択手段と各選択候補とを関連付けるための情報である。
【0031】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置され、
かつ、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部での用紙補充を可能とする機能を有する。
【0032】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置され、
かつ、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有する。
【0033】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置され、
かつ、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有し、カバーは用紙補充時に下方向から、上方向に開けられる。
【0034】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置され、
かつ、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有し、カバーは用紙補充時に上方向から、下方向に開けられる。
【0035】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置され、
かつ、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有し、カバーは用紙補充時に水平方向に開けられる。
【0036】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置され、
かつ、印字部と、用紙を収容し供給するための用紙供給部を有し、
印刷手段は、用紙補充時に用紙供給部を開放して用紙補充を可能とするために開閉するカバーを有し、カバーは用紙補充時にスライド方式で開けられる。
【0037】
また、本発明の一形態では、印刷手段の厚みは、所定の厚み以下である。
【0038】
また、本発明の一形態では、印刷手段に供給する用紙がロール形状である。
【0039】
また、本発明の一形態では、無人販売システムは屋内に設置される。
【0040】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、印刷手段のカバーの開閉を規制する施錠機能、及び/又は、カバー内への浸水を防止する防水機能を有する。
【0041】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、用紙補充時に用紙が落下し難いための防止機能を有する。
【0042】
また、本発明の一形態では、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置される外装カバー内に設けられる。
【0043】
また、本発明の一形態では、印刷手段から印刷された印刷物が、決済手段により決済が完了した結果物としての証票である。
【0044】
また、本発明の一形態では、印刷手段から印刷された印刷物が、決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供及び/又は商品との交換のための証票である。
【発明の効果】
【0045】
本発明の一形態によれば、自動販売機や券売機が設置されていない店舗などの導入先において、導入の負担の少ない新規な無人販売システムを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】無人販売システムを構成する自動販売機の一実施形態について示す斜視図。
【
図3】無人販売システムを構成する各種手段について説明する図。
【
図6】ボタンとカラムの紐づけについて説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本願発明にかかる無人販売システムは、例えば、
図1に示す自動販売機1の態様にて実施することができる。自動販売機1は、提示手段61にディスプレイされる選択候補を顧客が選択することで、選択候補に対応する商品が取り出し口7から提供されたり、選択候補に対応するチケットなどの印刷物が印刷手段30から印刷されるように構成される。
【0048】
自動販売機1は、商品の温度制御や、各種駆動部の動作を制御する制御手段100を有し、顧客による代金の支払いや、選択候補の選択によって、商品の販売や、印刷物を無人で自動に提供できるように構成される。
【0049】
自動販売機1は、筐体6と、筐体6に対し開閉可能に設けられた外扉2と、を有して構成される。外扉2において、取り出し口7が設けられ自動販売機1の外装面を構成する側が外側(表側)とされ、筐体6の開口部に対向する側が内側(裏側)とされる。
【0050】
外扉2の外側面には、顧客が選択可能な選択候補を提示する提示手段61が現れており、選択候補を示すものとして、庫内に保管される商品のダミー71や、入場券や物品などの内容を表示した表示札72が提示される。
【0051】
外扉2の外側面には、顧客が選択候補を選択可能とするための選択手段62が現れており、各選択手段62の上に庫内商品のダミー71や印刷物の内容を示す表示札72が配置される。選択手段62は、例えば、顧客が押圧するボタンで構成される。なお、提示手段61をタッチスクリーンディスプレイにて構成し、選択候補やボタンが画像表示される構成としてもよい。
【0052】
外扉2の外側面には、代金の決済をするための決済手段63を構成するためのものとして、カードリーダー63a,紙幣投入部63b,コイン投入部63cが配置されている。また、コイン投入部63cの近傍には、選択された選択候補の代金や投入した金額を表示するための表示部63dが配置されている。また、コイン投入部63cの下方には、硬貨を返却するための返却口63eが配置されている。
【0053】
外扉2の外側面には、外扉2を開閉操作するためのハンドル74が設けられている。ハンドル74にはロック機構が設けられており、図示せぬ鍵を用いてロックを解除することで、ハンドル74の操作を可能として、外扉2を開くことができる。
【0054】
外扉2の外側面には、表示札72に対応する選択手段62が選択された場合に、表示札72に対応する内容を用紙に印刷し、証票として出力するための印刷手段30が設けられている。印刷手段30は、用紙の補充、交換が可能なプリンターにて構成されるものであり、感熱式の用紙に印刷するものや、インクにて用紙に印刷するものなど、印刷の方式については特に限定されるものではない。
【0055】
印刷手段30の位置は、例えば、コイン投入部63cの上方に設けられる。また、カードリーダー63aが設けられない場合において、カードリーダー63aの位置に設けることとしてもよい。また、例えば、自動販売機1から物理的に離れた位置に印刷手段30が設置されることとしてもよい。
【0056】
また、印刷手段30にて用紙に印刷して印刷物として提供することとする他、顧客のスマートフォンなどの情報端末に印刷内容と同等の内容を表示して、当該表示が証票として用いられることとしてもよい。
【0057】
図2に示すように、外扉2は、扉全体の本体部分を構成するメインドア2Aと、メインドア2Aの上部に設けられるディスプレイドア2Bと、ディスプレイドア2Bの内側に配置される上内扉2Cと、上内扉2Cよりも下側であってメインドア2Aに対し回動可能に設けられる下内扉2Dと、を有して構成される。上内扉2Cを開くことで、
図1に示す商品のダミー71や表示札72の設置や交換を行えるように構成される。
【0058】
図2に示すように、ディスプレイドア2Bの下方には、金庫カバー41が回動可能に設けられる。金庫カバー41で閉じられる側の空間にビルバリデータ42が配置される。ビルバリデータ42の近傍にはコインメカニズム43が配置され、コインメカニズム43よりも下側にはキャッシュボックス44が配置される。また、ディスプレイドア2Bの下方には、リモコン45や、コントロールボックス46が設けられる。コントロールボックス46内には、制御手段100(
図1)を構成するための制御基板などが設けられる。
【0059】
国の施策等により新しい紙幣に切り替わった際には、ビバリデータ42を新紙幣に対応できるものに交換することにより、新紙幣による代金の徴収が可能となる。
【0060】
図2に示すように、メインドア2Aの最下部には、メインドア2Aの幅方向に沿って通気口9が設けられ、通気口9を通じて熱交換機55(凝縮器)等が収容される空間内に外気を取り込むことができるようになっている。
【0061】
図2に示すように、筐体6には、払出手段として機能するコラム装置52が複数収容されている。各コラム装置52の商品投入口52Fからは、飲料が充填されたペットボトルなどの商品が投入される。
図2の例では、1つのコラム装置52につき6個のコラムが備えられ、各コラムに通じる6個の商品投入口52Fが設けられている。
【0062】
図2の例では、各コラム装置52が6個のコラムを備えて構成されており、自動販売機全体として合計で36個のコラムが設けられ、36個のコラムが第1コラム~第36コラムまでナンバリングされる。各コラムは外扉2の各選択手段62(
図1)と関連付けられることができ、例えば、上段左側4番目の選択手段62(ボタン)が操作に応じ、第4コラムから商品が送り出される。コラム装置52の下方の空間には商品シュート54が設けられ、各コラムから搬出された商品が商品シュート54と落下し、外扉2に形成された取り出し口7へと投入される。
【0063】
図3は、本発明に係る無人販売システムの一実施形態について示すものである。
図3の例は
図1,
図2に示す自動販売機の構成例に対応するものであり、
顧客が選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、
複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、
選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための決済手段と、
物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、
選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するための印刷手段と、
少なくとも用紙に印刷する印刷情報を含む情報を取得する機能を有する情報取得手段と、
選択手段と、決済手段と、払出手段と、情報取得手段とに接続される制御手段と、を有し、
提示手段と、選択手段と、決済手段と、払出手段と、印刷手段と、情報取得手段と、制御手段と、が一つの筐体に備えられるものであり、
印刷手段は、筐体の外装面に設けられ、
印刷手段の用紙は、外扉を閉じたまま補充可能に構成される、
ことを特徴とする筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた無人販売システムとするものである。
【0064】
提示手段の具体的なものとしては、
図1に示すように、複数の選択候補を提示するためのものである。選択候補は、商品のダミー71に対応する庫内商品や、表示札72に表示された内容に対応する入場券や庫外で提供される物品などである。提示手段61をタッチスクリーンディスプレイにて構成し、選択候補や選択手段となるボタンが画像表示される構成としてもよい。
【0065】
選択手段の具体的なものとしては、
図1に示すように、指で押圧されるボタン(選択手段62)にて構成することができる。ボタンは、当該ボタンに対応する商品や印刷物の金額や、『準備中』や『売切』などを表示するように構成される。なお、『準備中』や「売切」の表示は、例えば、当該ボタンに対応するコラム内の商品を適温にするために加温や冷却している場合や、商品が売切などにより欠品している場合、コラム内に商品が詰まっている場合等、商品が払い出しができない状態であるなどに表示される。
【0066】
決済手段の具体的なものとしては、
図1に示すように、カードリーダー63a,紙幣投入部63b,コイン投入部63c、のいずれか一つ、又は、複数を含んで構成することができる。また、この他、無人販売システムに投入された硬貨を用いた決済の処理手段、無人販売システムに投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、デビットカードによる決済の処理手段、画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段、のいずれか一つ、又は、複数を含んで構成することができる。複数の決済の方法が提供されることで、顧客の利便性を向上させることができ、年々進化するキャッシュレスの潮流にも対応することができる。
【0067】
電子マネーカードとしては、例えば、Suica(登録商標)、PASMO(登録商標)、FeliCa(登録商標)等の機能を利用するものである。
スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段としては、例えば、Google Pay(登録商標)、Apple Pay(登録商標)などのFeliCa(登録商標)による通信機能を利用するものである。
スマートフォンのアプリ決済の処理手段としては、例えば、アプリと関連付けられた電子マネーを利用するものである。
画像コードよる決済の処理手段としては、例えば、二次元コード、QRコード(登録商標)などを利用するものである。
電子的機能を有する決裁手段としては、例えば、電子的伝達手段・電子的通信手段を発信するもの(例:通信機能を有する時計)からの信号を、自動販売機のカードリーダー等が受信して、決済が可能となるものなどが考えらえる。
決済許可カードよる決済手段としては、例えば、決済を許可する特別のカードを紙幣投入口に入れることで、決済が可能となる手段などが考えられる。
決済許可コインによる決済手段としては、例えば、決済を許可する特別のコインを貨幣投入口に入れることで、決済が可能となる手段などが考えられる。
【0068】
払出手段の具体的なものとしては、
図2に示すコラム装置52のように、自動販売機から提供される物品を収容するとともに、物品が選択された場合に物品を払い出すための装置で構成される。コラム装置52に備えられる各コラムはボタン(選択手段)と関連付けられ、選択されたボタンに対応するコラムから、当該ボタンに対応する商品が払い出される。
【0069】
印刷手段の具体的なものとしては、
図1に示す印刷手段30のように、選択候補が印刷物である場合に印刷物を印刷するためのプリンターにて構成できる。印刷手段に対する印刷指示は、制御手段から無線及び/又は有線により送信可能に構成され、印刷手段では受け取った印刷指示に基づいて用紙に印刷を行い印刷物を出力する。印刷手段への給電は、無人販売システムからの給電とされ、例えば、USBケーブルを通じて給電することができる。このUSBケーブルにより印刷手段に対する印刷指示が行わることとしてもよい。
【0070】
情報取得手段は、印刷情報、決済情報、関連付情報の少なくとも一つを取得するためのものであり、通信及び/又は記録媒体を介して各種情報を取得可能とするためのものである。
情報取得手段は、例えば、コントロールボックス46に設けられる制御手段100を構成する制御基板(ICを実装したプリント基板等)に予め搭載されるものや、制御手段100に追加的に接続される箱型のユニット等にて構成することができる。
【0071】
情報取得手段は、例えば、インターネットに接続される通信手段を備えて構成され、例えば、インターネットを介して遠隔にある管理拠点200(
図3)との双方向通信により、情報テーブル56などの各種情報を取得可能に構成される。また、情報取得手段は、管理拠点200に対し、例えば、販売数量や売上金などの各種情報をアップロードする構成としてもよい。
情報取得手段は、例えば、SDカード・USB等の記録媒体を接続するインターフェースとなる読取手段を備えて構成され、これら記録媒体に記録された情報テーブル56などの各種情報を取得可能に構成される。記録媒体を用いて情報テーブル56を取得する形態において、通信による情報の取得を不要とすることによれば、通信の機能を搭載することなく、通信コストも不要になり、インターネットなどのネットワークから切り離したシンプルな構成の無人販売システムを実現することができる。
情報取得手段は、例えば、自動販売機に備えられた設定装置であるリモコン45(
図2)で構成され、リモコンにより情報テーブル56(
図5)に記載される各種情報を取得可能に構成される。
情報取得手段は、例えば、商品を補充する作業者が使用するハンディターミナルや、自動販売機の設置先の店主などが使用するスマートフォンなどの情報端末と有線、又は、無線により接続可能に構成され、これら情報端末により情報テーブル56(
図5)に記載される各種情報を取得可能に構成される。
【0072】
情報取得手段は、例えば、印刷手段に設けられることとしてもよい。これにより、例えば、情報取得手段や印刷手段を備えない既存の自動販売機に対し、印刷手段を後付で設置することで、本願発明の構成とすることもできる。
【0073】
制御手段は、他の手段と物理的に別のものとして構成することとする他、決済手段を構成するための機能や、情報取得手段を構成するための機能(通信手段や読取手段の機能)を有するユニット(例えば制御基板)として構成することとしてもよい。
【0074】
制御手段は、商品の温度制御や、各種駆動部の動作を制御する機能も有するものであり、これら機能を基本機能として、情報取得手段などの他の手段を後付で追加することで、制御手段と協働させる構成とすることとしてもよい。例えば、通信手段を備えていない既存の自動販売機において、通信手段を構成するための箱型のユニットにて構成された通信手段を後付で設置することで、本願発明の構成とすることもできる。
【0075】
印刷情報は、用紙に印刷される内容を定義づける情報であり、通信及び/又は記録媒体を介して情報取得手段によって取得されるものであり、例えば、
図5に示される情報テーブル56に含まれる情報である。
【0076】
印刷される内容は、例えば、無人販売システムが銭湯で設置される場合において、
図4に示す各チケット38a~38cの例のように、『大人利用券』、『子供利用券』、『タオル利用券』といった提供される提供サービス情報や、『500円』、『300円』、『200円』といった価格情報や、QRコード(登録商標)などの画像コードを含む。
【0077】
印刷される内容は、
図5に示すように、例えば、情報テーブル56に登録されるものである。この例の情報テーブル56では、選択手段のID番号(この例では
図1に示す選択手段62のボタンの番号)と、コラム番号と、価格情報と、提供サービス情報と、が紐付けられている。例えば、1番のボタンが選択された場合に、『大人利用券』、『500円』が印刷され、2番のボタンが選択された場合に、『子供利用券』、『300円』が印刷され、3番のボタンが選択された場合に、『タオル利用券』、『200円』が印刷される、ことを定義づける情報である。
【0078】
決済情報は、各選択候補の代金の情報である。
図5の例の情報テーブル56であれば、選択手段のID番号と価格情報とを紐付ける情報であり、1番のボタンが選択された場合の代金が『500円』、2番のボタンが選択された場合の代金が『300円』、3番のボタンが選択された場合の代金が『200円』、ということを定義づける情報である。
【0079】
関連付情報は、各選択手段と各選択候補を関連付ける情報である。
図5の例の情報テーブル56であれば、選択手段のID番号と、コラム番号とを紐付ける情報であり、1番のボタンが『第37コラム』、2番のボタンが『第38コラム』、3番のボタンが『第39コラム』ということを定義づける情報である。更に、4番のボタンが『第1コラム』、5番のボタンが『第2コラム』、ということを定義づける情報である。
【0080】
ここで、コラム番号とは、
図2に示す実際に存在する複数のコラム装置52についてナンバリングされて定義されるものと、実物が存在しない仮想的なコラムについてナンバリングされて定義されるもの、の二種類がある。
【0081】
例えば、
図6の例に示すように、36個のボタンと各ボタンに対応する表示札や商品を提示する提示手段61を備える自動販売機において、実際のコラムが36個存在し、各コラムが第1コラム~第36コラムとしてナンバリングされ、定義される。一方で、実際には存在しないが、印刷手段から印刷される印刷物を仮想的に収容する概念としての「仮想コラム」が、第37コラム~第39コラムとして定義される。事例では、「仮想コラム」を第37~第39としているが、印刷物の数に応じて、増減可能である。
【0082】
例えば、
図6に示す提示手段61においては、選択手段62となるボタンが全部で36個ある。各ボタンは、「物理コラム」又は「仮想コラム」として設定させることができ、第1コラム~第36コラムと紐付けられたボタンは「物理コラム」として設定され、第37コラム~第39コラムと紐付けられたボタンは「仮想コラム」として設定される。
【0083】
図6の事例では、ボタン4~ボタン36の各ボタンが第1コラム~第36コラム(物理コラム)に紐付けられている。ボタン4~ボタン36の上方には庫内から払い出される商品のダミーが配置される。ボタン4~ボタン36が選択されて決済された際には、各コラムから商品が払い出される。
【0084】
図6の事例では、ボタン1~ボタン3の各ボタンが第37コラム~第39コラム(仮想コラム)に紐付けられている。ボタン1の箇所には、『大人』の表示札が配置されており、ボタン2の箇所には、『子供』の表示札が配置されており、ボタン3の箇所には、『タオル』の表示札が配置されている。さらに、
図5の情報テーブルにしたがって、ボタン1が第37コラム(仮想コラム)に関連付けられ、ボタン2が第38コラム(仮想コラム)に関連付けられ、ボタン3が第39コラム(仮想コラム)に関連付けられる。仮想コラムと紐付けられたボタン1~ボタン3が選択されて決済された際には、
図5の情報テーブルにしたがって印刷物が印刷手段により印刷される。
【0085】
例えば、ボタン1が選択され、決済が完了すると、
図5の情報テーブルにしたがって『大人利用券』、『500円』が印刷手段により印刷される。より具体的には、例えば、中学生以上の大人である顧客により『大人』の表示札に対応するボタン1が選択されると、制御手段は決済手段による代金を受付け可能な状態とし、待機する。制御手段は、顧客による電子マネーカードによる代金の支払いが行われたことを判定すると、印刷手段に対し、ボタン1に対応する印刷情報とともに印刷指示を送信する。印刷手段では、印刷情報を印刷することで、
図4に示すチケット38aを発券する。
【0086】
また、他の具体的事例として、制御手段が、顧客による現金投入(500円)による代金の投入が行われたことを判定すると、中学生以上の大人である顧客により『大人』の表示札に対応するボタン1が選択可能な状態とし、待機する。そして、顧客により『大人』の表示札に対応するボタン1が選択されると、印刷手段に対し、ボタン1に対応する印刷情報とともに印刷指示を送信する。印刷手段では、印刷情報を印刷することで、
図4に示すチケット38aを発券する。
【0087】
このようにして印刷手段から発券されたチケット38aは、決済手段により決済が完了した結果物としての証票であり、かつ、役務の提供及び/又は商品との交換のための証票として使用することができる。
【0088】
同様に、ボタン4の箇所には、『商品1』のダミーがディスプレイされており、ボタン5の箇所には、『商品2』のダミーがディスプレイされている。さらに、
図5の情報テーブルにしたがって、ボタン4については第1コラム(物理コラム)に設定され、ボタン5については第2コラム(物理コラム)に設定される。第1コラムには商品1が収容されており、第2コラムには商品2が収容されている。
【0089】
そして、例えば、ボタン4が選択され、決済が完了すると、第1コラムに設けた機構が作動し、第1コラムに保管されている商品1が払い出しされる。
【0090】
ここで、「物理コラム」は、庫内の商品を払い出すものであるが、多くの自動販売機の「物理コラム」には、空売りを防止するための機能が設けられている。空売りとは、決済がされたにも関わらず商品が払い出されない状況のことをいう。例えば、商品が詰まって払い出しされない場合や、売り切れにより商品が存在しない場合に決済が完了すると、空売りの状況が生じてしまうことになる。
【0091】
自動販売機の庫内の商品の空売りを防止するための機能として、例えば、特開2003―217024、特開2014―225053、実用新案公報平4―41416に開示されているように、なんらかの原因(例:商品の在庫切れや商品がコラムの途中で詰まる等)で、商品の払い出しができない場合に、センサーが異常を検知する仕組みが知られている。
【0092】
上記のような庫内の商品の空売りを防止するため、各センサーによる検知情報は制御手段に出力され、制御手段では検知情報に基づいて『異常』と判定し、決済の受付を停止する。決済の受付を停止する方法としては、例えば、選択手段となるボタンに『準備中』や『売切』の文字を点灯させる、ボタンが押されても決済せず代金を徴収しない、といったものである。ここで、「異常」とは、例えば、庫内物品(商品)の欠品、庫内物品が一定の条件(温度等)に達していない場合、庫内物品の詰まり等の少なくとも一以上の理由により、庫内の物品を払い出しできない状態をいう。
【0093】
なお、制御手段では、各物理コラムについてこの異常の判定をするかしないかを設定することができるようにしてもよい。例えば、第1コラム(物理コラム)について、商品の払出がされないことがセンサーにて検知されても『異常』と判定せず、決済を受け付けるといった設定である。
【0094】
一方で「仮想コラム」については、現実のコラムとして存在しないため、コラムに設けたセンサーによる空売りを防止の機能も存在しない。したがって、物理コラムと同じように、庫内の商品の売り切れや、庫内の商品の詰まりによる決済の受付の停止という状況は生じない。
【0095】
代わりに、「仮想コラム」においては、例えば、制御手段により印刷手段の不具合(例:用紙切れ、インク切れ、用紙の詰まり)を検知した場合に、ボタンに『準備中』や『売切』の文字を点灯させることが想定される。また、例えば、子供の入場制限を行うために『子供利用券』の販売を停止することや、タオルの提供ができなくなった場合に『タオル利用券』の販売を停止することが必要になることが想定される。
【0096】
このような場合、例えば、制御手段に対し外部から指令を行うことで、『子供利用券』のボタン2や、『タオル利用券』のボタン3に『準備中』や『売切』の文字を点灯させることが想定される。制御手段に対する指令は、例えば、自動販売機内のリモコンで行う他、店主や施設管理者が操作するスマートフォン(情報端末)や、通信手段を介した外部からの遠隔指示等が想定される。
【0097】
以上のように、本願発明の一実施例として、
前記関連付情報において、
選択候補が庫内の物品と紐付けられる場合に、選択候補が物理コラムと紐付けられ、
選択候補が印刷物と紐付けられる場合に、選択候補が仮想コラムと紐付けられ、
物理コラムと紐付けられた選択候補については、庫内の払出手段で異常が検知された場合に、制御手段は選択候補について決済を受付けないものとする。
【0098】
これにより、庫内の物品について空売りを防止することが可能となる。庫内の物品の空売りの防止は、特に、ワンオペレーションなどのように、人手が足りない状況においては重要である。仮に、空売りを防止できずに代金を徴収してしまった場合には、返金対応に追われるなどして、他の業務ができない状況となり、オペレーションが破綻してしまうことにもなる。また、顧客に迷惑をかけ信頼を損ねてしまう。
【0099】
更に、仮想コラムと紐付けられた選択候補については、印刷手段の不具合が生じた場合、及び/又は、外部からの指令があった場合に、
制御手段は選択候補について決済を受付けないものとする。
【0100】
これにより、印刷物の出力を停止することができ、決済後において印刷物に対応するサービスや物品を提供できないといった状況を回避することができる。このような印刷物の出力の停止は、特に、ワンオペレーションなどのように、人手が足りない状況においては重要である。仮に、サービスや物品を提供できない場合には、返金対応に追われるなどして、他の業務ができない状況となり、オペレーションが破綻してしまうことにもなる。また、顧客に迷惑をかけ信頼を損ねてしまう。
【0101】
次に、印刷手段30の構成例について説明する。
図1に示すように、印刷手段30は、例えば、自動販売機1の外扉2の前面2aにて構成される縦壁面に設けられるほか、筐体6の側面6dにて構成される縦壁面に設けることができる。そして、印刷手段30は、外扉2を開かずに用紙補充を行うことができ、その補充作業が短時間で容易に行うことができる。印刷手段30は、例えば、市販の小型のプリンターを採用することとするほか、市販のプリンターの改良や、設計変更をしたものを採用することができる。
【0102】
図7及び
図8に示すように、印刷手段30は、印字部31と、用紙33を収容し供給するための用紙供給部32と、図示せぬモーターと、図示せぬ制御基板と、これらを収容するカバー34と、制御手段からの印刷指示を受信するための通信部37と、を有して構成される。
【0103】
印刷手段30はユニットとして構成され、印刷手段30を構成する各部は、カバー34内に収められており、外扉2の前面2aに大幅な加工を施すことなく、外扉2の前面2aの空きスペース等に設置することができる。用紙33もカバー34内に収められ、外扉2の内側に配置されることなく、外扉2の外側に配置されるため、詳しくは後述するように、外扉2を開けずに、用紙33の交換などの用紙補充を行うことができる。
【0104】
外扉2の前面2aに印刷手段30を設置する際には、前面2aからの突出寸法が所定の範囲内に収まるように、印刷手段30の厚みは所定の厚み以下に設定されることが好ましい。印刷手段30が外扉2から大きく出っ張るようなことがあると、歩行者が衝突することで破損することなども考えられる。例えば、印刷手段30の厚みは10cm以内、20cm以内、に抑えるなどが考えられる。最小厚みは、用紙33の厚み寸法などによって決まるものであり、例えば、1cm以上、2cm以上、3cm以上になることが想定される。また、好ましくは、20cm以下、15cm以下、13cm以下、12cm以下、10cm以下、8cm以下、6cm以下が好ましい。
【0105】
図9に示すように、印刷手段30は、用紙補充時に用紙供給部32での用紙補充を可能とする機能を有する。例えば、カバー34は、用紙33を交換する際に用紙供給部32を開放し、用紙補充を可能とするために開閉可能とする。カバー34は、筐体6に設けた外扉2を開けずに単独で開閉操作をすることで、用紙補充ができるように構成される。
【0106】
図9の例では、カバー34はその下側に配置された回動軸部を軸として回動するものであり、用紙33を新規に設置する場合や、新しい用紙を補充する際には、上方向から下方向に開けられる、つまりは、手前に倒れるようにして開けられる構成としている。このような開閉の方式によれば、特に、自動販売機の設置地面からの印刷手段30の高さ位置が例えば1m以下など低い位置にある場合において、用紙33の交換作業を上から覗くようにして作業する場合において、カバー34が邪魔にならず、作業性が良好となる。また、カバー34を開けた際にカバー34を取り外さずに用紙33の交換作業を可能とすることで、作業性が良好となる。
【0107】
印刷手段30は、用紙補充時に用紙33が落下し難いための防止機能を有することができる。
図9の例では、カバー34の内側面において、円弧状の支持板34aが設けられ、用紙33がこの支持板34aに載置されることで用紙33のズレが防止され、用紙33の落下を防止することができる。この支持板34aは、用紙33を補充する際に用紙を仮置きするスペースとして利用することもできる。
【0108】
なお、カバー34は、用紙33の補充時において、下方向から上方向に開けられる、つまりは、跳ね上げられるようにして開けられる構成としてもよい。このような開閉の方式によれば、特に、180度跳ね上げられるようにすれば、用紙33の補充作業の際にカバー34が邪魔にならず作業性が良好となる。また、カバー34を開けた際にカバー34を取り外さずに用紙33の補充作業を可能とすることで、作業性が良好となる。
【0109】
また、カバー34は、用紙33の補充時において、水平方向に開けられる、つまりは、扉の右開き、又は、左開き、のように開けられる構成としてもよい。このような開閉の方式によれば、補充作業の際に、カバー34の自重によってカバー34が閉じてしまう、或いは、開いてしまうといったことがなく、作業性が良好となる。また、カバー34を開けた際にカバー34を取り外さずに用紙33の補充作業を可能とすることで、作業性が良好となる。
【0110】
また、カバー34は、用紙33の補充時において、スライド方式に開けられる、つまりは、カバー34が右方向、又は、左方向に移動して開けられる構成としてもよい。このような開閉の方式によれば、回動軸部を設けずにカバー34を開く構成が実現でき、回動軸部を省略した構成が実現できる。また、カバー34を開けた際にカバー34を取り外さずに用紙33の補充作業を可能とすることで、作業性が良好となる。
【0111】
また、
図9に示す例のように、カバー34の全体が回動などして用紙33の補充を可能とする他、
図10の例に示すように、用紙供給部32の一部を開放し、開口部32aを形成可能とするための着脱可能な蓋35を設けることとしてもよい。この場合、蓋35は、自動販売機の筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充をするためのものであり、印刷手段の用紙補充部での用紙補充機能を構成する。
【0112】
図8及び
図9に示すように、用紙33はロール形状のものとすることができ、用紙補充を容易に行うことができる。この場合、用紙補充の内容は、すでに使用済となったロールの芯を取り外し、新規のロール形状の用紙を設置するという内容となる。用紙33は所定の長さが送り出されて印字部31にて印刷された後、カッター36によって切断され、印刷物、紙片、チケット、券といった態様で提供される。
【0113】
次に、無人販売システムの導入や運用の例について説明する。
無人販売システムを構成する自動販売機1は、屋外、屋内のいずれにも設置することができる。例えば、銭湯などの施設において、エントラス外の屋根のない屋外の箇所、エントラス外の屋根の下、エントランスホール、休憩所、サービスカウンターの箇所、などである。
【0114】
無人販売システムを構成する自動販売機1が屋外に設置される場合においては、特に、印刷手段のカバーの開閉を規制する施錠機能、及び/又は、カバー内への浸水を防止する防水機能を設けることが好ましい。例えば、印刷手段は、筐体の縦壁面、又は、外扉の縦壁面に設置される外装カバー内に設けられることとすることができる。外装カバーは、印刷手段全体を外側から覆う透明のボックスで構成することや、印刷手段に雨滴が当たらないようにするための庇によって構成されることとしてもよい。
【0115】
無人販売システムは、
図1に示すような自動販売機1を製造し、新規で設置先に導入することができる。これにより、設置先においては、券売機と自動販売機が一つになった無人販売システムを運用することができる。この場合、自動販売機を設置することで券売機を同時に設置できるということになり、券売機に要するスペースの問題や券売機単体の装置コストの負担もないことから、券売機を設置していない店舗等への導入がし易いものとなる。
【0116】
既に自動販売機を設置してある店舗などにおいては、情報取得手段や印刷手段を既存の自動販売機に追加的に設置することで、本発明の無人販売システムを実施することができる。この場合、既存の自動販売機を活かしつつ、券売機の機能を追加することができ、券売機に要するスペースの問題や券売機単体の装置コストの負担もないことから、券売機を設置していない店舗等への導入がし易いものとなる。
【0117】
既に券売機を設置してある店舗などにおいては、本発明の無人販売システムに置き換えることで、従来行っていた無人の発券を継続しつつ、自動販売機による商品の提供も可能となる。この場合、既存の券売機を撤去することができ、券売機単体のメンテナンスコストや契約を終了し、自動販売機による発券の運用に切り替えることができる。自動販売機を導入することで、例えば、飲食店において顧客に飲料を自動販売機で購入してもらうことにより、店員による飲料の提供の手間を削減することが可能となる。
【0118】
また、自動販売機の庫内の商品の補充については、業者によるルート配送によって行なわれ、設置先においては用紙の補充作業のみが必要とされるため、導入後においては設置先の負担も少ないものとなる。また、用紙の補充作業を外扉を開かずに、印刷手段に設けたカバーを開閉だけで行うことができるため、無人販売システムの導入後において店主等によるオペレーションも容易に行える。
【0119】
また、印刷手段をユニットとして構成し、自動販売機に対して交換可能に構成することで、印刷手段に故障が生じた場合やメンテナンスが必要となった場合には、印刷手段のユニットを交換することで対処することが可能となる。これにより、発券機の機能が長期間使えなくなってしまう状況が生じることを避けることができる。
【0120】
また、印刷手段30は、自動販売機1から物理的に離れた位置に配置されることとしてもよい。例えば、銭湯などの施設の有人カウンターや、飲食店における厨房、カウンターに設けることとしてもよい。これにより、施設や飲食店等のスタッフがチケットを取得することができ、顧客とのチケットの受け渡しの手間が削減されるとともに、チケットを介した間接的な接触によるウィルスの感染も防ぐことができ、衛生的にも良好な環境が得られる。
【0121】
また、上記技術の転用として、印刷物(入浴用チケット等)の代りに、顧客のスマートフォンに画像コード(入浴用・QRコード(登録商標))を、表示させるシステム又は制御方法を構築することができる。この場合、顧客は、スマートフォンの画像コードを入口で提示等して、入浴することとなる。
【0122】
具体的な、事例としては、
顧客が選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、
複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、
選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための決済手段と、
物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、
選択候補が情報端末認識データ(例:スマートフォンに表示する画像データ)である場合に情報端末認識データを情報端末(例:スマートフォン)に送信するための情報端末認識データ送信手段(例:Bluetooth(登録商標)送信、Eメールによる送信、LINE(登録商標)による送信等)と、
少なくとも情報端末に送信する情報端末認識データを含む情報を取得する機能を有する情報取得手段と、
選択手段と、決済手段と、払出手段と、情報取得手段とに接続される制御手段と、を有する無人販売システムの制御方法であって、
制御手段は、
各選択手段と各選択候補とを関連付けるための関連付情報に基づき、
選択された選択候補が物品である場合に、当該物品を払出手段から払い出し、
選択された選択候補が情報端末認識データである場合に、
当該情報端末認識データを情報端末認識データ送信手段にて送信する、無人販売システムの制御方法とする。
【0123】
また、印刷物では、「選択候補が印刷物と紐付けられる場合に、当該選択候補を仮想コラムと紐付け」ることを行っていたが、スマーフォンに画像コードを表示する場合には、「選択候補が情報端末認識データと紐付けられる場合に、当該選択候補を仮想コラムと紐付け」ることで可能となる。
【0124】
情報端末認識データは、例えば、
図1に示す『大人』と書かれた表示札72のように、顧客にわかりやすい形で表示され、顧客がボタンを選択した際には、
図4に示すチケット38aの画像が顧客の情報端末に画像コードとして表示されることとしてもよい。或いは、
図4に示すチケット38aと同じ内容が表示札72に示されることとしてもよい。
【0125】
情報端末認識データを顧客の情報端末(例:スマートフォン)に送信するための情報端末認識データ送信手段は、例えばBluetooth(登録商標)送信、Eメールによる送信、LINE(登録商標)などが考えられるが、無人販売システムと顧客の情報端末において通信を確立することが好ましい。例えば、自動販売機に表示されるQRコード(登録商標)を顧客の情報端末で読取ることにより、顧客の情報端末において当該自動販売機を認識し、当該自動販売機からの情報端末認識データを受信可能とする運用が考えられる。或いは、
図1に示す表示札72に表示されたQRコード(登録商標)を顧客の情報端末で読取ることにより、顧客の情報端末において当該自動販売機を認識し、当該自動販売機からの情報端末認識データを受信可能とする運用が考えられる。或いは、通信手段が発するBluetooth(登録商標)信号を顧客の情報端末が受信することにより、顧客の情報端末において当該自動販売機を認識し、当該自動販売機からの情報端末認識データを受信可能とする運用が考えられる。
制御手段は、自動販売機において決済が完了した後に、情報端末認識データを顧客の情報端末に送信することで、顧客の情報端末において情報端末認識データが表示可能な状態となる。
【0126】
また、別の具体的な事例として、
顧客が選択できる複数の選択候補を提示する提示手段と、
複数の選択候補のうちの一つを選択するための少なくとも一つの選択手段と、
選択手段で選択された選択候補の代金を決済するための決済手段と、
物品を収容するとともに当該物品が選択された場合に物品を払い出すための払出手段と、
選択候補が情報端末認識データである場合に情報端末認識データを情報端末に送信するための情報端末認識データ送信手段と、
少なくとも情報端末に送信する情報端末認識データを含む情報を取得する機能を有する情報取得手段と、
選択手段と、決済手段と、払出手段と、情報取得手段とに接続される制御手段と、を有する無人販売システムの制御方法であって、
制御手段は、
各選択手段と各選択候補とを関連付けるための関連付情報に基づき、
選択された選択候補が物品である場合に、当該物品を払出手段から払い出し、
選択された選択候補が情報端末認識データである場合に、当該情報端末認識データを情報端末認識データ送信手段にて送信する、ものであり、
前記関連付情報において、
選択候補が庫内の物品と紐付けられる場合に、当該選択候補が物理コラムと紐付けられ、
選択候補が情報端末認識データと紐付けられる場合に、当該選択候補が仮想コラムと紐付けられ、
物理コラムと紐付けられた選択候補については、前記払出手段で異常が検知された場合に、制御手段は当該選択候補について決済を受付けないものとする、無人販売システムの制御方法とするものである。
【0127】
なお、顧客のスマートフォンに画像コードを、表示させるシステム又は制御方法を構築する際においては、印刷手段により印刷物を提供する場合と同様のシステム、制御方法を転用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 自動販売機
2 外扉
2A メインドア
2B ディスプレイドア
2C 上内扉
2D 下内扉
2a 前面
3 ボタン
6 筐体
6d 側面
7 口
9 通気口
30 印刷手段
31 印字部
32 用紙供給部
32a 開口部
33 用紙
34 カバー
34a 支持板
35 蓋
36 カッター
38a チケット
41 金庫カバー
42 ビルバリデータ
43 コインメカニズム
44 キャッシュボックス
45 リモコン
46 コントロールボックス
52 コラム装置
52F 商品投入口
54 商品シュート
55 熱交換機
56 情報テーブル
61 提示手段
62 選択手段
63 決済手段
63a カードリーダー
63b 紙幣投入部
63c コイン投入部
63d 表示部
63e 返却口
71 ダミー
72 表示札
74 ハンドル
100 制御手段
200 管理拠点
【要約】
【課題】 自動販売機や券売機が設置されていない店舗、或いは、いずれか一方が設置してある店舗などの導入先において、導入の負担の少ない新規な無人販売システムを提案することである。
【解決手段】筐体に設けた外扉を開けずに、用紙補充が可能な印刷手段を備えた無人販売システムの決済方法であって、決済手段として、無人販売システムに投入された硬貨を用いた決済の処理手段、無人販売システムに投入された紙幣を用いた決済の処理手段、電子マネーカードを用いた決済の処理手段、クレジットカードを用いた決済の処理手段、スマートフォンのアプリ決済の処理手段、スマートフォンとの通信機能を利用した決済手段、デビットカードによる決済の処理手段、画像コードによる決済の処理手段、電子的機能を有する決裁手段、決済許可カードよる決済手段、決済許可コインによる決済手段のいずれか1種又は2種以上の決済手段を用いる、無人販売システムの決済方法とする。
【選択図】
図1