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  • 特許-折り畳み式の刀掛台 図1
  • 特許-折り畳み式の刀掛台 図2
  • 特許-折り畳み式の刀掛台 図3
  • 特許-折り畳み式の刀掛台 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】折り畳み式の刀掛台
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A47F7/00 J
A47F7/00 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023198121
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523442219
【氏名又は名称】阿久澤 和紘
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】阿久澤 和紘
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201752376(CN,U)
【文献】特開2003-125907(JP,A)
【文献】特開2011-245219(JP,A)
【文献】実公昭47-27506(JP,Y1)
【文献】実開昭48-112294(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀を横向きに支持するための溝が少なくとも1つずつ対向するように設けられており開閉自在に連結された左右一対の縦板と、前記縦板をV字状に開いた状態で固定するための横板とからなり、
前記縦板には、V字状に開いた状態で前記横板を取り付けるための取付穴が対向するように設けられており、
前記横板の両端部分には前記縦板の前記取付穴に前記横板を挿入した際に前記縦板に嵌合可能な切り欠きがそれぞれ設けられており、
前記縦板の内側面には前記横板を不使用時に収納するための凹部が設けられていることを特徴とする折り畳み式の刀掛台。
【請求項2】
前記縦板には前記縦板を閉じた際に前記縦板同士を固定するための第1固定手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式の刀掛台。
【請求項3】
前記縦板の前記凹部と前記横板とには、前記横板を前記凹部に収納した際に前記横板を前記凹部に固定するための第2固定手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式の刀掛台。
【請求項4】
前記縦板には前記刀掛台を持ち運ぶ際の取手として貫通穴が少なくとも1つずつ対向するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式の刀掛台。
【請求項5】
前記縦板の内側面には閉じられた前記縦板を開くための指掛け溝として前記縦板の一辺に達するように切り欠かれた小さな凹みが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式の刀掛台。
【請求項6】
前記第1固定手段は、前記縦板に少なくとも1つずつ対向するように設けられた磁石からなることを特徴とする請求項2に記載の折り畳み式の刀掛台。
【請求項7】
前記第2固定手段は、前記横板を前記縦板の前記凹部に収納した際に前記横板と前記凹部に対向するように設けられた磁石からなることを特徴とする請求項3に記載の折り畳み式の刀掛台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本刀を載せ掛けるための折り畳み式の刀掛台に関する。
【背景技術】
【0002】
日本刀(真剣や模擬刀)を用いる武道である居合道の大会が定期的に行われている。居合道の大会において、出場者の日本刀は、通常明確な置き場所が定められないため、会場の壁際の床或いは観覧席の足元等に平置きにされることが殆どである。このため、出場者は、乱雑に平置きにされた日本刀の中から自分の日本刀を取り出す際に周囲の構造物や他人の持ち物にぶつけてしまう、歩行の際に他の出場者の日本刀を誤って蹴ってしまう等のおそれがある。
【0003】
日本刀は、安い物で数十万円、刃の無い模擬刀であっても数万円と高額である。また、日本刀の木製の部分は、傷や凹みができると元に戻らず、補修するために費用が必要となってしまう。したがって、居合道の大会において日本刀は、会場に専用の置き場所を設けて、刀掛台(例えば、特許文献1を参照。)に載置されることが最善であると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実全昭50-72600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の刀掛台は、複数の部品を組み立ててなり分解不能でかさばるものであったため、持ち運びが容易でなく、専門業者による展示販売等の機会を除き外出先で用いられることは稀であった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、持ち運びが容易な折り畳み式の刀掛台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、
刀を横向きに支持するための溝が少なくとも1つずつ対向するように設けられており開閉自在に連結された左右一対の縦板と、前記縦板をV字状に開いた状態で固定するための横板とからなり、
前記縦板には、V字状に開いた状態で前記横板を取り付けるための取付穴が対向するように設けられており、
前記横板の両端部分には前記縦板の前記取付穴に前記横板を挿入した際に前記縦板に嵌合可能な切り欠きがそれぞれ設けられており、
前記縦板の内側面には前記横板を不使用時に収納するための凹部が設けられていることを特徴とする折り畳み式の刀掛台を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、持ち運びが容易な折り畳み式の刀掛台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は本発明の実施形態に係る折り畳み式の刀掛台を組み立てた様子を示す斜視図、図1(b)は刀掛台を折り畳んだ様子を示す正面図である。
図2図2(a)は刀掛台の縦板を開いた様子を示す図、図2(b)は刀掛台の横板の背面図、図2(c)は刀掛台の横板の底面図、図2(d)は横板の変形例の背面図である。
図3図3(a)は刀掛台の正面図、図3(b)は刀掛台の背面図、図3(c)は刀掛台の左側面図、図3(d)は刀掛台の右側面図、図3(e)は刀掛台の平面図、図3(f)は刀掛台の底面図である。
図4図4(a)は変形例に係る折り畳み式の刀掛台を組み立てた様子を示す斜視図、図4(b)は変形例に係る刀掛台を折り畳んだ様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る折り畳み式の刀掛台を添付図面に基づいて説明する。
図1(a)に示す本発明の実施形態に係る折り畳み式の刀掛台1は、複数本の日本刀を横向きで載せ掛けるためのものであり、開閉自在に連結された左右一対の縦板2、3と、縦板2、3をV字状に開いた状態で固定するための横板4とからなる。
【0011】
縦板2は、木製、例えば厚さ15mmのラワンランバーコア材で、図2(a)に示すように鉛直方向へ延びた直角台形状の板状部材からなる。
縦板2の上底付近には、使用者が刀掛台1を持ち運ぶ際の取手として、水平方向へ延びた角丸長方形状の貫通穴である取手穴5が形成されている。縦板2の斜辺に対向する辺(以下「垂直辺」と称する)付近には、上底付近の取手穴5と同様、鉛直方向へ延びた角丸長方形状の貫通穴である取手穴6が形成されている。
【0012】
縦板2の斜辺には、縦板2の厚み方向へ貫通した複数の溝7が等間隔に形成されている。複数の溝7は、複数本の日本刀を支持するためのものであり、互いに同形状かつ同寸法である。詳しくは複数の溝7は、縦板2の斜辺から垂直辺へ向かって延び、さらに下底へ向かって延びた凡そ円形状の切り欠きからなる。なお、本実施形態では刀掛台1に最大9本の日本刀を載置可能とするために、9つの溝7が縦板2に設けられている。
【0013】
縦板2の斜辺付近において複数の溝7よりも垂直辺側には、上方及び下方に矩形の小さな凹みである小凹部8、8が形成されており、該小凹部8、8にはそれぞれ磁石9、9が埋設されている。
縦板2の斜辺の上端付近には、斜辺に達するように切り欠かれた矩形状の小さな凹みである指掛け溝11が形成されている。なお、縦板2における指掛け溝11の位置は、斜辺の上端付近に限られず、例えば斜辺の下端付近等でもよい。
縦板2の下底には、台形状の切り欠き12が形成されている。
【0014】
縦板2の中央位置には、横板4を収納するための鉛直方向へ延びた矩形状の凹部13が形成されている。
縦板2の凹部13の下方斜辺側には、横板4を取り付けるための矩形状の取付穴14が形成されている。
【0015】
縦板3は、上述した縦板2と同じ木製であって、図2(a)に示すように縦板2と同形状かつ同寸法の直角台形状の板状部材からなる。
縦板3には、縦板2と同様の取手穴5、6、複数の溝7、小凹部8、8、指掛け溝11、切り欠き12、凹部13及び取付穴14が、縦板2のそれらと対向するように設けられている。なお、縦板3の小凹部8、8には、縦板2と同様に磁石9、9が埋設されている。
縦板3は、凹部13の底面の中央位置に、矩形の小さな凹みである小凹部15がさらに形成されている。そして、小凹部15には磁石16が埋設されている。
【0016】
縦板2、3の斜辺及び各溝7、7の木口面(縦板2を図2(a)左方から見た面及び縦板3を図2(a)右方から見た面)にはテープ状のフェルト材17、17が貼り付けられている。なお、当該木口面にはフェルト材17に限られず、クッション性のあるその他のテープ状の布やゴム等を貼り付ける構成としてもよい。
以上に述べた縦板2、3は、垂直辺同士を隣り合わせて等間隔に取り付けられた3つの蝶番18、18、18により、開閉自在に連結されている。
【0017】
横板4は、木製(例えば、厚さ15mmのラワンランバーコア材)で、図2(b)に示すように縦板2、3の凹部13、13に収納可能な矩形状の細長い板状部材からなる。
横板4の一方の面の中央位置には、矩形の小さな凹みである小凹部19が形成されており、該小凹部19には磁石21が埋設されている。
【0018】
横板4には、短手方向における中央位置から一方の長辺へ達する矩形状の2つの切り欠き22、22が形成されている。切り欠き22、22は横板4の長手方向における両端部付近、詳しくは長手方向における中央位置から等間隔の位置に設けられている。
なお、切り欠き22、22は、横板4の他方の面(小凹部19を備えた面とは反対側の面)を見たとき、横板4を厚み方向に貫通しており、横板4を貫通する方向が長手方向外側へ所定角だけ傾斜している(図2(c)を参照)。この構成により、後述するように刀掛台1を使用するために横板4の切り欠き22、22に縦板2、3を嵌め込んだ際にこれらの間にガタが生じることがなく、刀掛台1の安定性を向上することができる。
【0019】
以上に述べた構成の刀掛台1を使用する際には、使用者は、縦板2、3を、蝶番18、18、18を中心にV字状に開いた状態で床等に配置する。次いで使用者は、横板4の両端部分を縦板2、3の取付穴14、14に挿入し、横板4の切り欠き22、22に縦板2、3を嵌め込む。このようにして刀掛台1を使用者が簡単に組み立てることにより、刀掛台1は使用可能な状態となる。そして使用者は、縦板2の溝7とこれに対向する縦板3の溝7とに日本刀を横向きに配置することにより、刀掛台1に日本刀を載せ掛けることができる。
【0020】
刀掛台1を使用しない際には、使用者は、横板4を縦板2、3の取付穴14、14から取り外し、横板4の磁石21が縦板3の凹部13の磁石16と向き合うように、横板4を縦板3の凹部13に収納する。これにより、横板4の磁石21と縦板3の凹部13の磁石16が接触して横板4を縦板3の凹部13に固定することができる。したがって、使用者が縦板2、3を開閉する際に、縦板3の凹部13から横板4が不用意に外れ落ちることを防ぐことができる。
【0021】
次いで使用者は、縦板2、3を閉じることにより、縦板2の磁石9、9とこれに対向する縦板3の磁石9、9がそれぞれ接触し、縦板2、3が不用意に開かないように固定することができる。このようにして使用者は、刀掛台1を分解してコンパクトに折り畳むことができ、縦板2、3の取手穴5、5又は取手穴6、6に指を入れて刀掛台1を容易に持ち運ぶことができる。また、前述のように横板4を縦板2、3の凹部13、13に収納できるため、横板4を紛失することなく刀掛台1を保管、持ち運びすることができる。なお、前述のように磁石9、9、9、9で固定された縦板2、3は、使用者が縦板2、3の指掛け溝11、11に指を引っ掛けることにより簡単に開くことができる。
【0022】
上述のように、縦板2、3の斜辺及び各溝7、7の木口面にはフェルト材17が貼り付けられている。これにより、刀掛台1のデザイン性を高めるだけでなく、使用者が日本刀を縦板2、3の溝7、7に挿脱する際に、誤って日本刀を縦板2、3の斜辺や溝7、7の木口面にぶつけて日本刀に傷や凹みができてしまうことを防ぐこともできる。
【0023】
以上、本実施形態によれば、最小限の部品点数からなり容易に組み立て、分解が可能であり、コンパクトに折り畳むことができ、不使用時(運搬時や保管時等)に大きな収納スペースが不要で、持ち運びが容易な折り畳み式の刀掛台1を実現することができる。また、刀掛台1は折り畳んだ際に、縦板2、3が磁石9、9、9、9で固定されることにより、収納時や運搬時の梱包の手間を省略することができ、利便性を向上することができる。
【0024】
なお、本実施形態において、縦板2、3には9つの溝7、7が備えられているが、溝7、7の数はこれに限られない。例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように縦板2、3に5つの溝7、7を備えた刀掛台10としてもよい。また、溝7、7の形状や大きさは上述した凡そ円形状に限られず、例えば溝7、7の少なくとも1つを矩形状や三角形状等としてもよい。
【0025】
また、溝7、7の鉛直方向下側位置に、下方へ延びる小さな矩形状の切り欠き(小溝)をさらに備える構成としてもよい。これにより、当該小溝に日本刀の刀身を配置することができるため、鞘から抜いた日本刀を刀掛台1に安定して載置することができる。なお、当該小溝は矩形状に限られず、円形状や三角形状等としてもよい。
【0026】
また、縦板2、3の形状は上述した直角台形状に限られず、例えば矩形状や直角三角形状等としてもよい。
また、本実施形態は、上述のように刀掛台1を折り畳む際に、横板4を縦板3の凹部13に磁石16、21で固定し、縦板2、3同士を磁石9、9、9、9で固定する構成であるが、これに限られずその他の固定手段、例えば面ファスナーや吸盤等を採用してもよい。また、例えば木製でコ字状の部材を用意し、折り畳んだ縦板2、3の斜辺部分にコ字状の部材を取り付けて固定するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、上述のように横板4の両端部付近に一対の切り欠き22、22が備えられている。しかしこれに限られず、図2(d)に示すように切り欠き22、22から見て横板4の長手方向内側であって、横板4の長手方向における中央位置から等間隔の位置に、少なくとも一対の切り欠きをさらに備える構成としてもよい。この構成により、刀掛台1を使用する際の縦板2、3の開き角度を日本刀の長さに応じて変更することができ、より安定して刀掛台1に日本刀を載置することができる。なお、前記少なくとも一対の切り欠きは、横板4を貫通する方向の傾斜角度が切り欠き22、22に比して小さいことがより好ましい。
【0028】
なお、刀掛台1に載置するものは日本刀に限られず、その他の剣や棒状のものを刀掛台1に載置することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1、10 刀掛台
2、3 縦板
4 横板
5、6 取手穴
7 溝
8、15、19 小凹部
9、16、21 磁石
11 指掛け溝
12 切り欠き
13 凹部
14 取付穴
17 フェルト材
18 蝶番
22 切り欠き
【要約】
【課題】持ち運びが容易な折り畳み式の刀掛台を提供する。
【解決手段】折り畳み式の刀掛台1は、刀を横向きに支持するための溝7が少なくとも1つずつ対向するように設けられており開閉自在に連結された左右一対の縦板2、3と、縦板2、3をV字状に開いた状態で固定するための横板4とからなり、縦板2、3には、V字状に開いた状態で横板4を取り付けるための取付穴14が対向するように設けられており、横板4の両端部分には縦板2、3の取付穴14に横板4を挿入した際に縦板2、3に嵌合可能な切り欠き22がそれぞれ設けられており、縦板2、3の内側面には横板4を不使用時に収納するための凹部13が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4