(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20240117BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2021105767
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2022-10-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和2年12月28日、株式会社サイキンソー、「https://flora-plus.jp/」において、掲載。 (2)令和2年12月28日、アマゾンジャパン合同会社のウェブサイト、「https://www.amazon.co.jp/dp/B08R93XSC5」において、掲載。 (3)令和2年12月28日、株式会社PR TIMESのウェブサイト、「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000015042.html」において、掲載。 (4)令和2年12月28日、株式会社PR TIMESのウェブサイト、「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000015042.html」において、掲載。 (5)令和3年1月28日、株式会社マガジンハウス発行の「Hanako」、令和3年1月28日発売号 「免疫力UPのためのモーニングルーティーン」特集記事において、掲載。 (6)令和3年5月11日、株式会社日刊工業新聞社発行の「日刊工業新聞」、令和3年5月11日号 13ページにおいて、掲載。 (7)令和3年6月1日、株式会社マガジンハウスのウェブサイト、「https://hanako.tokyo/news/lifestyle/231365/」において、掲載。
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515099908
【氏名又は名称】株式会社サイキンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】沢井 悠
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 諭史
(72)【発明者】
【氏名】福島 崇芳
(72)【発明者】
【氏名】松尾 侑相
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-078273(JP,A)
【文献】国際公開第2020/202738(WO,A1)
【文献】特開2016-214111(JP,A)
【文献】特開2021-086556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの腸内細菌データを取得する取得手段と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコアを判定し、そのスコアの判定結果に基づき前記ユーザの腸内の環境の良好度合を予め決められた複数の段階として出力する第1判定手段と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内細菌叢が、
前記ユーザの腸内の環境の良好度合とは別軸で現れる現象に基づいて区分される複数の腸内細菌叢のタイプのうちいずれのタイプにあてはまるのかを、前記スコアとは独立して判定する第2判定手段と、
前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示す前記段階及び前記タイプに基づいて、前記ユーザの健康状態を改善させるための提案を、前記ユーザに報知する報知手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記報知手段は、
前記ユーザの健康状態を改善させるための提案として、サプリメントの摂取の提案を報知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記報知手段は、
前記ユーザの健康状態を改善させるための提案とともに、前記段階及び前記タイプのうち少なくとも一方の特徴を報知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
ユーザの腸内細菌データを取得する取得ステップと、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコアを判定し、そのスコアの判定結果に基づき前記ユーザの腸内の環境の良好度合を予め決められた複数の段階として出力する第1判定ステップと、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内細菌叢が、
前記ユーザの腸内の環境の良好度合とは別軸で現れる現象に基づいて区分される複数の腸内細菌叢のタイプのうちいずれのタイプにあてはまるのかを、前記スコアとは独立して判定する第2判定ステップと、
前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示す前記段階及び前記タイプに基づいて、前記ユーザの健康状態を改善させるための提案を、前記ユーザに報知する報知ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
ユーザの腸内細菌データを取得する取得ステップと、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコアを判定し、そのスコアの判定結果に基づき前記ユーザの腸内の環境の良好度合を予め決められた複数の段階として出力する第1判定ステップと、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内細菌叢が、
前記ユーザの腸内の環境の良好度合とは別軸で現れる現象に基づいて区分される複数の腸内細菌叢のタイプのうちいずれのタイプにあてはまるのかを、前記スコアとは独立して判定する第2判定ステップと、
前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示す前記段階及び前記タイプに基づいて、前記ユーザの健康状態を改善させるための提案を、前記ユーザに報知する報知ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象者の健康状態を把握するため、当該対象者のヒト常在細菌を調べることが行われている(例えば特許文献1参照)。
上述の特許文献1に記載の技術は、例えば、予め設定されたヒト常在細菌と食生活の相関関係に基づいて、好ましいヒト常在細菌を実現するために必要な食生活を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術を含む従来技術よりも、対象者の健康面と美容面とを双方から改善させるための提案を、より的確に行う手法の開発が望まれている状況にあった。
本願発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、対象者の健康面と美容面とを双方から改善させるための提案を、より的確に行うことができる手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
ユーザの腸内細菌データを取得する取得手段と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコアを判定する第1判定手段と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内細菌叢が、複数種類の腸内細菌叢のタイプのうちいずれのタイプにあてはまるのかを判定する第2判定手段と、
前記ユーザの前記スコア及び前記タイプに基づいて、前記ユーザの健康状態を改善させるための提案を、前記ユーザに報知する報知手段と、
を備える。
【0006】
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの健康面と美容面とを双方から改善させるための提案を、より的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【
図2】腸内フローラタイプの具体例を示す図である。
【
図3】対象者のグルーピングの具体例を示す図である。
【
図4】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図4に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図4の情報処理システムを構成する
図5のサーバの機能的構成のうち、グルーピング処理及びレコメンド処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図6の機能的構成を有するサーバによるグルーピング処理及びレコメンド処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】腸内フローラスコアを対象者に報知する際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【
図9】腸内フローラタイプを対象者に報知する際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【
図10】対象者がアンケートに回答する際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【
図11】対象者にサプリメントがレコメンドされる際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、
図1乃至
図3を参照して、本発明の一実施形態に係るサーバ1が適用される情報処理システムにより実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【0012】
本サービスは、サービス提供者(図示せず)により提供されるサービスであり、ユーザの腸内細菌叢のスコア及びタイプに基づいて、そのユーザに合わせた健康及び美容に関する提案を行うサービスである。
具体的には、まず、本サービスでは、n人(nは2以上の整数値)の対象者から提供される、便検体と、健康状態に関するアンケートとを対象とする解析が実施される。そして、その解析の結果に基づいて、腸内環境の状態の良し悪しを示すスコア(以下、「腸内フローラスコア」と呼ぶ)の判定と、腸内細菌叢のタイプ(以下、「腸内フローラタイプ」と呼ぶ)と判定とが行われる。そして、これらの判定結果を組み合わせに基づいて対象者のグルーピングを行い、美容及び健康に関する適切な提案の管理がそのグループ毎に行われる。この提案には、例えば市販されている複数種類のサプリメント(以下、単に「サプリ」と呼ぶ場合もある)のうち、対象者の美容及び健康の改善に効果のあるサプリメントの銘柄についてのレコメンドが含まれる。また、美容及び健康の維持や改善に必要となる、栄養素、食品、医薬品、及び運動に関する提案が行われる。
具体的には、本サービスのユーザの便検体が解析され、当該ユーザが何れのグループに属するかが判定され、当該ユーザが属するグループに対応して管理された提案がなされる。なお、ユーザは、上述のn人の対象者とは異なる者であってもよく、n人の対象者のうちの何れかの対象者であってもよい。
【0013】
本サービスは、
図1に示す流れで提供される。即ち、サービス提供者から対象者に対して、腸内フローラ検査キットが送付される(サービスステップSS11)。「腸内フローラ検査キット」とは、対象者の腸内フローラスコアの判定と、腸内フローラタイプの判定とを行うための検査キットのことをいう。腸内フローラ検査キットには、対象者自らが便検体を採取してサービス提供者宛で送付するための器具と、対象者に回答させる健康状態に関するアンケートとが含まれる。
【0014】
対象者は、健康状態に関するアンケートに回答する。そして、対象者は、自ら採取した自身の便検体とともに、サービス提供者により指定された宛先に送付する(サービスステップSS12)。アンケートには、例えば対象者の健康に関する悩み等を記入できる項目が含まれる。アンケートの態様は特に限定されない。例えば紙ベースに記入する態様のものであってもよい。なお、本実施形態では、サービス提供者により指定される所定のウェブサイトにアクセスして、所定の入力フォームに入力する態様が採用されている。対象者が所定の入力フォームにアンケートへの回答を入力すると、入力された内容が健康状態に関するデータとして登録される。
【0015】
ここで、健康状態に関するデータには、上述のアンケートデータの他、任意の健康に関するデータが含まれ得る。
具体的には例えば、本サービスとは別のサービス(例えば、運動量管理サービスや健康診断結果閲覧サービス、お薬手帳サービス等)との連携により取得可能なデータは、上述の健康状態に関するデータの一例である。
【0016】
対象者から送付された便検体、及び登録された健康状態に関するデータは、サービス提供者により受領されて対象者毎に管理される。そして、これらに対する各種の解析が行われる(サービスステップSS13)。具体的には、対象者の腸内フローラスコアの判定と、腸内フローラタイプの判定とを行うための解析が行われる。なお、腸内フローラタイプの具体例については、
図2を参照して後述する。
【0017】
即ち、サービス提供者は、n人の対象者の夫々の便検体及び健康状態に関するデータを解析した結果に基づいて、n人の対象者の夫々を、複数のグループのうちいずれかに分類するグルーピングを行う。このとき、サプリメントについてのレコメンドをグループ単位で管理する(サービスステップSS14)。ここで、グルーピングをどのように行うかについては特に限定されない。ただし、同一のグループに属する対象者に同一のサプリメントがレコメンドされるので、例えば、腸内フローラスコアが類似するグループや、腸内フローラタイプが同じであるグループや、アンケートに入力された健康に関する悩みが類似するグループ等に分類されることが好ましい。なお、グループの分類の具体例については、
図3を参照して後述する。
【0018】
なお、対象者やユーザの便検体を解析した結果のデータは、「腸内細菌データ」として管理される。
「腸内細菌データ」とは、2種類以上 の腸内細菌に関する情報を少なくとも含むデータである。例えば、検便体から採取された複数種類の腸内細菌種について、夫々の存在する量を示すデータが、腸内細菌データの一例である。
【0019】
上述のように、サービス提供者は、腸内細菌叢のスコア及びタイプに基づいてn人の対象者をグルーピングし、グループの夫々に合わせた健康及び美容に関する提案を管理する。次に、以下に説明するように、サービス提供者は、ユーザの腸内細菌叢のスコア及びタイプに基づいて、そのユーザが属するグループの夫々に合わせた健康及び美容に関する提案を行う。
【0020】
即ち、サービス提供者からユーザに対して、腸内フローラ検査キットが販売される(サービスステップSS21)。腸内フローラ検査キットには、ユーザ自らが便検体を採取してサービス提供者宛で送付するための器具と、ユーザに回答させる健康状態に関するアンケートとが含まれる。ただし、アンケートの内容は、上述のサービスステップSS11のアンケートと同一である必要はない。
【0021】
ユーザは、健康状態に関するアンケートに回答する。そして、ユーザは、自ら採取した自身の便検体とともに、サービス提供者により指定された宛先に送付する(サービスステップSS22)。
【0022】
ユーザから送付された便検体、及び登録された健康状態に関するデータは、サービス提供者により受領されてユーザ毎に管理される。そして、これらに対する各種の解析が行われる(サービスステップSS23)。具体的には、ユーザの腸内フローラスコアの判定と、腸内フローラタイプの判定とを行うための解析が行われる。
【0023】
サービス提供者は、ユーザの便検体及び健康状態に関するデータを解析した結果に基づいて、対象者の夫々に対して検査結果を公開する。また、ユーザを、複数のグループのうちいずれに属するかに基づいて、グループ単位でサプリメントの摂取や購入のレコメンドを行う(サービスステップS23)。
【0024】
サプリメントをレコメンドされた対象者が、対象となるサプリメントの購入を希望する場合、本サービスから直接サプリメントを注文することができる。サービス提供者は、注文を受注して(サービスステップSS24)、サプリメントを発送する(サービスステップSS25)。
このようにして、対象者が健康や美容を改善するために適切となるサプリメントのレコメンド、発注、受注、及び発送の各サービスステップがスムーズに行われる。
【0025】
図2は、腸内フローラタイプの具体例を示す図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態では、特徴菌及び優勢菌に基づいて、腸内フローラタイプをa乃至eの5種類に分類している。即ち、腸内フローラタイプaは、特徴菌及び優勢菌が「B.plebeius優勢型」である腸内細菌叢のタイプである。また、腸内フローラタイプbは、特徴菌及び優勢菌が「B.vulgatus優勢型」である腸内細菌叢のタイプである。また、腸内フローラタイプcは、特徴菌及び優勢菌が「high diversity+Ruminococcus優勢型」である腸内細菌叢のタイプである。また、腸内フローラタイプdは、特徴菌及び優勢菌が「low diversity+Bacteroides.種不明優勢型」である腸内細菌叢のタイプである。また、腸内フローラタイプeは、特徴菌及び優勢菌が「Prevotella優勢型」である腸内細菌叢のタイプである。
【0027】
図3は、対象者のグルーピングの具体例を示す図である。
【0028】
サービス提供者による便検体及び健康状態に関するデータの解析の結果に基づいて、n人の対象者の夫々のグルーピングが行われる。グルーピングに際しては、
図3に示す腸内フローラスコア、腸内フローラタイプ、アンケート回答(お悩み)、推奨される栄養素(ベース栄養素)、推奨される栄養素(悩みケア栄養素)、ベースサプリ(1日摂取目安量)、悩みケアサプリ(1)(1日摂取目安量)、及び悩みケアサプリ(2)(1日摂取目安量)の各項目が考慮される。
具体的には例えば、腸内フローラスコアが「B」、腸内フローラタイプが「a」、アンケート回答(お悩み)が「乾燥肌」、推奨される栄養素(ベース栄養素)が「水溶性食物繊維」、推奨される栄養素(悩みケア栄養素)が「1.ビフィズス菌、2.酪酸菌、3.アミノ酸、4.鉄」、ベースサプリ(1日摂取目安量)が「商品名「Fiber〇〇」1日摂取目安量が1包」、悩みケアサプリ(1)(1日摂取目安量)が「商品名「Bio〇〇」1日摂取目安量が9錠」、及び悩みケアサプリ(2)(1日摂取目安量)が「商品名「Amino〇〇」1日摂取目安量が2錠」といった各項目を考慮したグルーピングが行われる。
即ち、
図3に示したように、腸内フローラスコアと、腸内フローラタイプと、健康に関するデータ(この例では、アンケート回答(お悩み))とに基づいて、グルーピングやレコメンドが行われるのである。
【0029】
次に、
図4を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバ1が適用される情報処理システムの構成について説明する。
図4は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0030】
図4に示す情報処理システムは、サーバ1と、対象者端末2-1乃至2-nと、ユーザ端末3とを含むように構成されている。
サーバ1、対象者端末2-1乃至2-n、及び、ユーザ端末3は、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0031】
サーバ1は、サービス提供者により管理される情報処理装置である。サーバ1は、対象者端末2-1乃至2-nと適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。以下、対象者端末2-1乃至2-nの夫々を区別して説明する必要がない場合には、これらをまとめて「対象者端末2」と呼ぶ。
【0032】
対象者端末2は、対象者が操作する情報処理装置である。対象者端末2は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等で構成される。対象者端末2は、対象者による各種情報の入力操作を受け付けてサーバ1に送信したり、サーバ1から送信されてきた各種情報を受信して表示したりする。
【0033】
ユーザ端末3は、所定ユーザが操作する情報処理装置である。具体的には例えば、ユーザ端末3は、n人の対象者とは異なるユーザや、n人の対象者うちの何れかの対象者により操作される。
ユーザ端末3は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等で構成される。ユーザ端末3は、ユーザによる各種情報の入力操作を受け付けてサーバ1に送信したり、サーバ1から送信されてきた各種情報を受信して表示したりする。
【0034】
対象者端末2及びユーザ端末3には、本サービスを快適に利用可能にする専用のアプリケーションソフトウェアをインストールすることができる。また、専用のアプリケーションソフトウェアをインストールしない場合であっても、本サービスを利用可能にする専用のウェブサイトにアクセスすることでも本サービスを利用することができる。
【0035】
図5は、
図4に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0037】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0038】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0039】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(例えば
図4の対象者端末2)との間で通信を行う。
【0040】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0041】
なお、図示はしないが、
図4の対象者端末2及びユーザ端末3も、
図5に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、対象者端末2のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0042】
このような
図5のサーバ1を含む
図4の情報処理システムを構成する各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、グルーピング処理及びレコメンド処理を含む各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者は、対象者に対して上述の本サービスを提供することができる。
「グルーピング処理」とは、n人の対象者の夫々の腸内細菌データと健康状態に関するデータとに基づき、n人の対象者の夫々を複数のグループに分類する処理である。
また、「レコメンド処理」とは、ユーザの腸内細菌データと健康状態に関するデータとに基づき、ユーザが属するグループに対応するサプリメントをレコメンドする処理のことをいう。
これにより、レコメンド処理の結果、同一のグループに属する複数のユーザには、同一種類のサプリメントがレコメンドされる。
【0043】
また、グルーピング処理及びレコメンド処理においては、上述した腸内細菌データに基づいて腸内フローラスコアと腸内フローラタイプが判定され、その判定結果の組み合わせに基づいた対象者のグループ毎に、美容及び健康に関する適切な提案の管理が行われる。また、この時、健康状態に関するデータは、グルーピング処理及びレコメンド処理、また、レコメンドの内容(提案)の生成も利用される。
【0044】
ここで、グループ単位で同一種類のサプリメントをレコメンドするメリットについて説明する。即ち、同一のグループに属する1以上のユーザは、健康状態、身体的状態、健康に対する考え方、健康に関する悩み等が共通するため、美容及び健康を改善させるために効果的なサプリメントの種類も共通する。サービス提供者は、ユーザに新しいサプリメントをレコメンドする際、その新しいサプリメントをどのような対象者にレコメンドすべきかを個々に検討するよりも、グループ単位で検討した方が効率的である。また、あるユーザにとって美容改善効果の高いことが判明したサプリメントは、そのユーザと同一のグループに属する他のユーザにも同様の効果が期待できる。これにより、ターゲットを絞ったレコメンドが可能となる。
以下、
図6を参照して、
図4の情報処理システムを構成する
図5のサーバ1において実行される、グルーピング処理とレコメンド処理とを実行するための機能的構成について説明する。
【0045】
図6は、
図4の情報処理システムを構成する
図5のサーバの機能的構成のうち、レコメンド処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0046】
図6に示すように、サーバ1がグルーピング処理を実行する場合、CPU11においては、レコメンド部110が機能する。レコメンド部110は、第1取得部111と、スコア判定部112と、タイプ判定部113と、分類部114と、第1管理部115とを有する。
【0047】
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、対象者DB181と、分類DB182と、提案DB183とが設けられている。
対象者DB181には、対象者を一意に特定可能な情報(例えばID)に、腸内細菌データと健康状態に関するデータとが対応付けられて管理されている。
分類DB182には、n人の対象者を分類したグループに関する情報が管理されている。
提案DB183には、n人の対象者を分類したグループ毎に、グループと当該グループに対してレコメンドするサプリメントの情報とが対応付けられて管理されている。
【0048】
第1取得部111は、n人の対象者の夫々の腸内細菌に関する情報を少なくとも含むデータを腸内細菌データとして取得する。また、第1取得部111は、n人の対象者の夫々の健康状態に関する情報を少なくとも含むデータを健康状態に関するデータとして取得する。第1取得部111により取得された腸内細菌データ及び健康状態に関するデータは、対象者DB181に記憶されて管理される。
【0049】
スコア判定部112は、対象者DB181に記憶されている腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内の環境の良好度合を示すスコアとしての腸内フローラスコアを判定する。
【0050】
タイプ判定部113は、対象者DB181に記憶されている腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内細菌叢が、複数種類の腸内フローラタイプのうちどのタイプにあてはまるのかを判定する。
【0051】
分類部114は、n人の対象者の夫々の腸内フローラスコアと、腸内フローラタイプと、健康状態に関するデータとに基づいて、n人の対象者の夫々を、複数のグループうちいずれかに分類する。
【0052】
第1管理部115は、分類部114により分類されたグループ毎に、同一グループに属する者の健康状態を改善させるための提案を夫々管理する。
具体的には例えば、第1管理部115は、分類部114により分類された結果であるn人の対象者を分類したグループに関する情報を、分類DB182に記憶して管理する。例えば、第1管理部115は、グループ毎に、どのような腸内細菌データ及び健康状態に関するデータのユーザが属するかの情報を、分類DB182に記憶して管理する。
また、第1管理部115は、グループと当該グループに対してレコメンドするサプリメントの情報を対応付けて、提案DB183に記憶して管理する。例えば、第1管理部115は、グループ毎に、そのグループに属する者に対してレコメンドするべきサプリメントの情報を分類DB182に記憶して管理する。
【0053】
上述の機能的構成を有するサーバ1により、n人の対象者のグルーピングがなされる。
次に、レコメンド処理を実行するためのサーバ1の機能的構成について説明する。
【0054】
図6に示すように、サーバ1がレコメンド処理を実行する場合、CPU11においては、レコメンド部120が機能する。レコメンド部120は、第2取得部121と、スコア判定部122と、タイプ判定部123と、第2管理部124と、報知部125とを有する。
【0055】
第2取得部121は、レコメンド対象のユーザの腸内細菌に関する情報を少なくとも含むデータを腸内細菌データとして取得する。また、第2取得部121は、ユーザの健康状態に関する情報を少なくとも含むデータを健康状態に関するデータとして取得する。
【0056】
スコア判定部122は、第2取得部121により取得されたレコメンド対象のユーザの腸内細菌データ及びに基づいて、ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコアとしての腸内フローラスコアを判定する。
【0057】
タイプ判定部123は、第2取得部121により取得されたレコメンド対象のユーザの腸内細菌データに基づいて、ユーザの腸内細菌叢が、複数種類の腸内フローラタイプのうちどのタイプにあてはまるのかを判定する。
【0058】
第2管理部124は、スコア判定部122により判定された腸内フローラスコアと、タイプ判定部123により判定された腸内フローラタイプに基づくグループへの提案を管理する。
具体的には、第2管理部124は、ユーザの腸内フローラスコアと腸内フローラタイプに基づいたグループと、分類DB182に格納されたグループに関する情報に基づいて、ユーザの属するグループを管理する。そして、第2管理部124は、ユーザの属するグループと提案DB183に格納されたレコメンドするサプリメントの情報に基づいて、そのユーザに対するレコメンドするサプリメントの情報を取得する。
また、第2管理部124は、更にユーザの健康に関する情報(
図3の例ではアンケート回答(お悩み))にも基づいて、そのユーザに対してレコメンドするサプリメントの情報を取得することができる。
【0059】
報知部125は、グループ毎に予め設定されている健康状態を改善させるための提案のうち、レコメンド対象のユーザが属するグループに予め設定されている提案を、当該ユーザに報知する。
即ち、報知部125は、第2取得部121により取得されたレコメンド対象のユーザの腸内細菌データ及び健康状態に関するデータに基づいて、第2管理部124により管理されているレコメンド対象のユーザが属するグループに予め設定されている提案(提案DB183にグループと対応付けて管理されている提案)を、当該ユーザに報知する。
具体的には例えば、報知部125は、レコメンド対象のユーザの健康状態を改善させるための提案として、同一種類のサプリメントの摂取や購入を提案する。
【0060】
具体的には例えば、第2管理部124は、第2取得部121により取得された腸内細菌データ及び健康状態に関するデータに基づいて、レコメンド対象のユーザが分類DB182を用いて管理されているグループのうちいずれのグループに属するかを判定する。報知部125は、第2管理部124により判定されたレコメンド対象のユーザが属するグループに対応する、グループに予め設定されている提案を、提案DB183から取得して、当該ユーザに報知する。なお、図示はしないが、第1管理部115は、ユーザが属するグループを判定する際に、当該ユーザの腸内フローラスコアの判定結果や当該ユーザの腸内フローラタイプの判定結果を用いてもよい。
【0061】
以上のように、
図5の情報処理装置が、
図6に示す上述の機能的構成を有することにより、対象者の健康面と美容面とを双方から改善させるための提案を、より的確に行うことが可能となる。
【0062】
図7は、
図6の機能的構成を有するサーバによるグルーピング処理及びレコメンド処理の一連の流れを示すフローチャートである。
【0063】
図6の機能的構成を有するサーバ1のCPU11によりグルーピング処理及びレコメンド処理の一連の処理の実行が制御される場合、ステップS1において、スコア判定部112は、腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内フローラスコアを判定する。
次に、ステップS2において、タイプ判定部113は、腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内フローラタイプを判定する。
次に、ステップS3において、分類部114は、n人の対象者の夫々の腸内フローラスコアと、腸内フローラタイプと、健康状態に関するデータとに基づいて、n人の対象者の夫々を、複数のグループうちいずれかのグループに分類するグルーピングを行う。
次に、ステップS4において、第1管理部115は、ステップS3の処理により分類されたグループ毎に、同一グループに属する者の健康状態を改善させるための提案を夫々管理する。
次に、ステップS5において、第2取得部121は、レコメンド対象のユーザの腸内細菌に関する情報を少なくとも含むデータを腸内細菌データとして取得する。また、第2取得部121は、ユーザの健康状態に関する情報を少なくとも含むデータを健康状態に関するデータとして取得する。
次に、ステップS6において、スコア判定部122は、ステップS5の処理の結果取得されたレコメンド対象のユーザの腸内細菌データ及び健康状態に関するデータに基づいて、ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコアとしての腸内フローラスコアを判定する。
次に、ステップS7において、タイプ判定部123は、ステップS5の処理の結果取得されたレコメンド対象のユーザの腸内細菌データに基づいて、ユーザの腸内細菌叢が、複数種類の腸内フローラタイプのうちどのタイプにあてはまるのかを判定する。
次に、ステップS8において、報知部125は、グループ毎に予め設定されている健康状態を改善させるための提案のうち、レコメンド対象のユーザの腸内フローラスコア及び腸内フローラタイプに基づいて、そのユーザが属するグループに予め設定されている提案を、当該ユーザに報知する。
【0064】
次に、
図8乃至
図11を参照して、ユーザ端末3に表示される画面の具体例を説明する。
図8は、腸内フローラスコアをユーザに報知する際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【0065】
図8の画面には、「あなたのお腹健康度(腸内フローラ判定)」という表記とともに、「B判定 やや良好」という表記が表示されている。これは、ユーザの腸内フローラスコアが、A乃至Cのうち「B」であることと、そのスコアが「やや良好」であることを示している。
また、
図8の画面には、「お腹健康度について」という表記とともに、腸内フローラスコアについての説明が表示されている。具体的には例えば、
図8に示すように、「腸内フローラ(細菌叢)を構成する各菌の特徴より関連づけられた4つの指標(多様性、短鎖脂肪酸、腸管免疫、口腔常在菌)から、腸内細菌を構成する菌のバランスを算出し、腸内環境の良し悪しを総合的に判断するものです。ここでは、結果をA,B,Cの3段階で表示します。A判定を良好、B判定をやや良好、C判定を要注意(腸内フローラのバランス崩壊が起きている恐れあり)と判定しています。A判定:良好 B判定:やや良好 C判定:要注意」といった説明が表示されている。
ユーザは、ユーザ端末3に表示された、
図8の画面を視認するだけで、自分の腸内フローラスコアを容易に把握することができる。
【0066】
図9は、腸内フローラタイプをユーザに報知する際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【0067】
図9の画面には、「腸内フローラタイプ」という表記とともに、「a」という表記と、その説明とが表示されている。これは、ユーザの腸内フローラタイプが、a乃至eのうち「a」であることと、腸内フローラタイプaの特徴が、「日本人ではもっとも少ないタイプで、〇〇菌や〇〇菌が比較的多い。緑黄色野菜や魚介類の摂取がおすすめ。」であることを示している。
また、
図9の画面には、「あなたの肌悩み」という表記とともに、その内容が「乾燥肌」であることが表示されている。
ユーザは、ユーザ端末3に表示された、
図9の画面を視認するだけで、自分の腸内フローラタイプや自分の悩みの内容を容易に把握することができる。
【0068】
図10は、ユーザがアンケートに回答する際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【0069】
図10の画面には、複数表示されるアンケートのうちの1つとして、「あなたの肌質/肌の悩みについて、当てはまるものを全てお選びください。」という表記とともに、複数の選択肢がチェック入力可能な態様で表示されている。具体的には、「1.普通肌(特に悩みがない人を含む)」、「2.乾燥肌」、「3.油性肌」、「4.混合肌(カサつく部分とテカる部分が混在する)」、「5.にきび/吹き出物」、「6.ニキビ跡」、「7.毛穴」、「8.クマ」、「9.しわ/たるみ」、「10.しみ/そばかす」、「11.アトピー」、「12.カミソリ負け」、「13.その他」といった選択肢が表示される。
ユーザは、ユーザ端末3に表示された、
図10の画面からアンケートに回答するだけで、自身の情報の一部を本サービに登録することができる。
【0070】
図11は、ユーザにサプリメントがレコメンドされる際、ユーザ端末に表示される画面の具体例を示す図である。
【0071】
図11の画面には、「推奨される栄養素・サプリ」という表記とともに、ベース栄養素(水溶性食物繊維)と、悩みケア栄養素(1.ビフィズス菌 2.酪酸菌 3.カリウム 4.マグネシウム 5.ビタミンA 6.ビタミンB1 7.ビタミンB1 8.ビタミンB1)とが表示されている。
【0072】
また、「ベースサプリについて」という表記とともに、ベースサプリ全般についての簡単な補足説明と、レコメンドされる具体的なサプリの商品名及び商品情報が表示される。具体的には例えば、「Fiber〇〇」、「目安量 20g分包×1/日」、「アレルギー なし」、「説明 「第六の栄養素」として重要視され、水に溶けないタイプ(不溶性食物繊維)と水に溶けるタイプ(水溶性食物繊維)があります。水に溶けるタイプはネバネバ系とサラサラ系に分けられます。」といった内容が表示される。
【0073】
また、「悩みケアサプリについて」という表記とともに、悩みケアサプリ全般についての簡単な補足説明と、レコメンドされる具体的なサプリの商品名及び商品情報が表示される。具体的には例えば、「Bio〇〇」、「目安量 1回3錠/毎食後(計9錠/日)」、「アレルギー 乳成分、大豆」、「説明 ビフィズス菌も乳酸菌も私たちの腸内にいる代表的な善玉菌ですが、ビフィズス菌と乳酸菌は異なる微生物で、すんでいる場所も数も異なります。ビフィズス菌は乳酸菌の100倍以上多く腸内にすんでおり、腸内細菌の約10%を占める腸内善玉菌の代表選手なのです。乳酸菌よりも人の体への影響が大きいと考えられています。」といった内容が表示される。
ユーザは、ユーザ端末3に表示された、
図11の画面を視認するだけで、レコメンドされたサプリメントに関する情報を容易に取得することができる。
【0074】
このように、本サービスでは、ユーザの腸内フローラスコアと、腸内フローラタイプと、健康に関するデータとに基づいて、ユーザに対してリコメンドを行うことができる。これにより、ユーザに対してより適切な提案がなされる。以下、その理由について、説明する。
【0075】
即ち、腸内細菌の測定技術の進歩にともない、個別の菌を1つ1つ測定する手法を超えて、集団全体を網羅的に測定・評価することが可能となってきている。そこで、このような測定・評価のデータを前提として、腸内細菌をあたかも一つの生態系として把握しようという考え方として、腸内フローラ(集団としての腸内細菌)という概念がある。
従来、善玉菌・悪玉菌といった個別菌のキャラクターが存在し、夫々の菌は、個別に良い働き、悪い働きをしていることが把握されている。しかしながら、腸内フローラという集団全体にどのような作用を及ぼしているかについては、また別の話であると考えられる。
【0076】
まず、本サービスでは、腸内フローラスコアとして、腸内フローラスコアが「悪い」状態について判定することができる。具体的には例えば、腸管バリアの破綻、Dysbiosis(ディスバイオーシス)などと呼ばれる、腸内フローラの正常なバランスが崩れ、機能が低下している状態を判定することができる。
ここで、このような腸内フローラの崩壊状態は、色々な疾患で、多数の患者から見つかる。即ち、有用菌が少なくなる、多様性が下がる、特定の菌が異常に増殖する、などの状態が腸内フローラの崩壊状態であると考えられている。
そこで、本サービスでは、このような状態を、便検体や健康状態に関するデータに基づいて、腸内フローラスコアが「悪い」状態として判定する。
【0077】
これに対し、腸内フローラスコアが「良い」状態については、判定が(比較的)難しい。即ち、腸内フローラが崩壊していない範囲で安定していることは判定できるものの、どれだけ「良い」状態であるかは判定が難しい。
具体的には、腸内フローラは、健康的な人の場合、個人差がとても大きく、なかなか共通点を見出すことが難しい。これは、その人の母親のお腹から誕生してから今に至るまで、どのような菌に触れてきたが皆異なっているからだと考えられている。その人が子どもの頃にどのような環境で育ったか、どのようなものを食べてきたかが人それぞれ異なり、それが腸内フローラの個人差に繋がっているのだろうと、されている。
即ち、このような腸内フローラタイプが生まれるのかについては完全には明らかになっていない。しかしながら、いろいろな種類の腸内細菌たちが、それぞれ役割を持って、お互いに共同・競争しながら働いていることが理由の一つだと考えられる。
【0078】
そこで、本サービスでは、腸内フローラスコアが「良い」(悪くない)状態のユーザにおいても、いくつかのパターンに分かれること(多重安定性)に着目し、腸内フローラタイプを用いて、ユーザに提案を行うのである。
本サービスでは、n人の対象者の腸内細菌データを分析した結果、見いだされた腸内フローラタイプをもとに、腸内フローラのタイプ分け(●●●腸タイプ)を行うことができる。そして、ユーザの腸内フローラタイプによって、そのユーザにとっておすすめと考えられる食品や、栄養素などが異なってくることに着目したものであるといえる。
【0079】
本サービスでは、ユーザの腸内フローラを、腸内フローラスコア(良し悪し)と腸内フローラタイプ(どのようなタイプか)から判定、分類の上、提案する。
これにより、腸内フローラスコアが良くない状態に近づいているユーザには、腸内フローラ全体を整えるサプリメントがレコメンドされる。また、腸内フローラタイプについては、そのタイプ別に、おすすめと考えられる栄養素の情報をもとに、サプリメントが構成され、レコメンドに反映することができる。
【0080】
ここで、従来、腸内細菌叢研究の歴史的に、腸内フローラスコアの悪い例として、「多様性の崩壊」やdysbiosisといった概念で説明されることは比較的一般的な考え方である。具体的には、dysbiosisについては、何かの疾患や体の不調に紐づいていることがほぼ確実なので、既に多くの改善ソリューション(例えば、乳酸菌の摂取)が提案されている。
dysbiosisに対する対策(いわゆる乳酸菌類など「整腸」をうたうもの)が産業として成立していると言えるが、dysbiosisに当てはまらないユーザに対してはレコメンドが行われてこなかった。即ち、dysbiosisに対する対策とレコメンドが分断されていたと言える。
【0081】
また、腸内フローラタイプの違いは腸内細菌の悪化とは別軸で現れる現象である。そこで、本サービスでは、更に、腸内フローラタイプの違いについては、腸内フローラスコアが良い者(即ち、腸内細菌叢的な「健常者」)を各タイプに分割できることに着目している。即ち、本サービスでは、腸内フローラスコアの「良し悪し」と腸内フローラタイプとを概念上区別するからこそ、ユーザに対してより適切な提案がなされるのである。
【0082】
このように、本サービスでは、例えば、“特定の「aタイプ」に分類される腸内細菌叢のタイプの場合”であっても、“腸内フローラの「良し悪し」で見た場合に、良い場合もあり、悪い場合もある”ということになり、「良し悪し」と「タイプ」は区別して判定して、その組合せでリコメンドすることができる。これにより、ユーザに対してより適切な提案がなされるといえる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0084】
例えば、上述の実施形態では、腸内フローラスコアの指標として、A,B,Cを用いたスコアリングが行われているが、これは例示に過ぎない。腸内フローラスコアとして、上述のA,B,C以外の指標を用いてスコアリングが行われてもよい。
【0085】
また例えば、上述の実施形態では、腸内フローラタイプとして、a乃至eのタイプが用いられているが、これは例示に過ぎない。腸内フローラタイプとして、上述のa乃至e以外のタイプが用いられてもよい。
【0086】
また例えば、上述の実施形態では、レコメンド処理として、ユーザにサプリメントがレコメンドされているが、これに限定されない。本サービスではサプリメントのレコメンド以外にも、栄養素、食品、医薬品、運動方法についての提案がなされてもよい。
【0087】
また例えば、上述の実施形態では、n人の対象者及びユーザの夫々について、腸内細菌データと健康状態に関するデータが取得されるものとしたが、これに限定されない。即ち、例えば、n人の対象者及びユーザの夫々について、腸内細菌データ及び健康状態に関するデータが取得されれば足りる。この場合、例えば、第1管理部115は、分類部114により分類されたグループ毎に、同一グループに属する者の健康状態を改善させるための提案として、分類結果を閲覧した医師等による提案を、提案DB183に記憶して管理する。これにより、サービス提供者は、上述のサービスを提供することができる。
これに対し、n人の対象者及びユーザの夫々について、腸内細菌データと共に健康状態に関するデータが取得された場合、第1管理部115は、グループ毎に健康状態に関するデータを解析した結果として導かれた同一グループに属する者の健康状態を改善させるための提案を、提案DB183に記憶して管理することができる。
【0088】
また例えば、上述の実施形態では、健康状態に関するデータは、グルーピング処理及びレコメンド処理、また、レコメンドの内容(提案)の生成も利用されるものとしたがこれに限定されない。即ち例えば、グルーピング処理やレコメンド処理には、少なくとも上述の腸内フローラタイプと、腸内フローラスコアが少なくとも用いられれば足りる。
上述したように、グルーピング処理やレコメンド処理において、腸内フローラタイプと腸内フローラスコアとに基づいて行われれば、従来と比較してより的確なグルーピングやレコメンドが可能となる。
なお、グルーピング処理やレコメンド処理においては、腸内フローラタイプと腸内フローラスコアと健康に関する情報等に加え、他の情報も用いられてもよい。
なお、
【0089】
また例えば、
図8乃至
図11のユーザ端末3の画面の構成は例示に過ぎず、
図8乃至
図11に示す画面以外の構成とすることができる。
【0090】
また、
図4に示すシステム構成、及び
図5に示すサーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0091】
また、
図6に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述したレコメンド処理を全体として実行できる機能が
図4の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図6の例に限定されない。
【0092】
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図6に限定されず、任意でよい。
図6の例で、レコメンド処理は、
図4の情報処理システムを構成するサーバ1のCPU11の制御により行われる構成となっているが、これに限定されない。例えばサーバ1側に配置された機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末3側、又は図示せぬ他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0093】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0094】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0095】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0096】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0097】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
ユーザの腸内細菌データを取得する取得手段(例えば、
図6の第2取得部121)と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内の環境の良好度合を示すスコア(例えば明細書中の腸内フローラスコア)を判定する第1判定手段(例えば、
図6のスコア判定部122)と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記ユーザの腸内細菌叢が、複数種類の腸内細菌叢のタイプのうちいずれのタイプ(例えば、明細書中の腸内フローラタイプ)にあてはまるのかを判定する第2判定手段(例えば、
図6のタイプ判定部123)と、
前記ユーザの前記スコア及び前記タイプに基づいて、前記ユーザの健康状態を改善させるための提案を、前記ユーザに報知する報知手段(例えば、
図6の報知部125)と、
を備えれば足りる。
【0098】
これにより、ユーザの腸内の環境の良好度合と、ユーザの腸内細菌叢のタイプに基づいて、ユーザにあった提案を行うことができる。即ち、ユーザの健康面と美容面とを双方から改善させるための提案(例えば、栄養素、食品、医薬品、運動方法や、サプリメントの提案)を、より的確に行うことができる。
【0099】
さらに、前記報知手段は、
前記ユーザの健康状態を改善させるための提案として、サプリメント(例えば
図3のベースサプリ、悩みケアサプリ)の摂取を提案する、ことができる。
【0100】
これにより、ユーザへの提案として、ユーザの腸内の環境の良好度合と、ユーザの腸内細菌叢のタイプにあわせた、適切なサプリメントの提案がなされる。
【0101】
さらに、前記報知手段は、
前記ユーザの健康状態を改善させるための提案とともに、前記スコア及び前記タイプのうち少なくとも一方の特徴を報知する、ことができる。
【0102】
これにより、ユーザは、自身のスコアやタイプを把握し、自身のスコアやタイプを考慮した日常生活(例えば食事や生活習慣の調整を行った日常生活)を送るといったことが可能となる。
【0103】
さらに、n人(nは2以上の整数値)の対象者の夫々の腸内細菌に関する情報を少なくとも含むデータが、腸内細菌データとして予め取得されている状態(例えば
図6の第1取得部111により腸内細菌データが取得された状態)で、
前記腸内細菌データに基づいて、前記n人の対象者の夫々の腸内の環境の良好度合を示すスコアを判定する第1判定手段(例えば、
図6のスコア判定部112)と、
前記腸内細菌データに基づいて、前記n人の対象者の夫々の腸内細菌叢が、複数種類の腸内細菌叢のタイプのうちいずれのタイプにあてはまるのかを判定する第2判定手段(例えば、
図6のタイプ判定部113)と、
前記n人の対象者の夫々の前記スコアと、前記タイプとに基づいて、前記n人の対象者の夫々を、複数のグループうちいずれかのグループに分類する分類手段(例えば
図6の分類部114)と、
前記グループ毎に、同一グループに属する者の健康状態を改善させるための提案を夫々管理する管理手段(例えば
図6の第1管理部115)と、
を備え、
前記報知手段は、前記ユーザの前記スコア及び前記タイプに基づいて、前記ユーザが属するグループに予め設定されている提案を、前記ユーザに報知する、
ことができる。
【0104】
つまり、n人の対象者の夫々の腸内細菌データが取得されている状態で、腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内の環境の良好度合を示すスコアが判定される。また、腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内細菌叢が、複数種類の腸内細菌叢のタイプのうちどのタイプにあてはまるのかが判定される。その後、n人の対象者の夫々の腸内の環境の良好度合を示すスコアと、腸内細菌叢のタイプとに基づいて、n人の対象者の夫々がいずれかのグループに分類される。そして、グループ毎に予め設定されている、そのグループに属するユーザの健康状態を改善させるための提案が、当該ユーザに報知される。
【0105】
具体的には、上述の実施形態では、n人の対象者の夫々の腸内細菌データが予め取得されている状態で、腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内フローラスコアが判定される。また、腸内細菌データに基づいて、n人の対象者の夫々の腸内フローラタイプが判定される。その後、n人の対象者の夫々の腸内フローラスコアと、腸内フローラタイプに基づいて、n人の対象者の夫々がいずれかのグループに分類される。そして、グループ毎に予め設定されている、グループに属するユーザの健康状態を改善させるための提案が、当該ユーザに報知される。
これにより、ユーザの健康面と美容面とを双方から改善させるための提案を、より的確に行うことが可能となる。
【0106】
また、前記報知手段は、
前記同一グループに属する1以上の対象者の健康状態を改善させるための提案として、同一種類のサプリメント(例えば
図3のベースサプリ、悩みケアサプリ)の摂取を提案することができる。
【0107】
つまり、同一グループに属する1以上の対象者の健康状態を改善させるための提案として、同一種類のサプリメントの摂取が提案される。
上述の実施形態では、同一グループに属する1以上の対象者の健康状態を改善させるための提案として、同一種類のベースサプリ又は悩みケアサプリの摂取が提案される。
これにより、対象者の健康面と美容面とを双方から改善させるためのサプリメントに関する提案を、より的確に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0108】
1・・・サーバ、2・・・対象者端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、40・・・リムーバルメディア、110・・・グルーピング部、111・・・第1取得部、112・・・スコア判定部、1133・・・タイプ判定部、114・・・分類部、115・・・第1管理部、120・・・リコメンド部、121・・・第2取得部、121・・・スコア判定部、122・・・タイプ判定部、123・・・第2管理部、124・・・報知部、181・・・対象者DB、182・・・分類DB、183・・・提案DB、NW・・・ネットワーク