IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

特許7421033ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン
<>
  • 特許-ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン 図1
  • 特許-ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン 図2
  • 特許-ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン 図3
  • 特許-ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン 図4
  • 特許-ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン 図5
  • 特許-ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20240117BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
F01M13/00 L
F01M13/00 G
F02M35/10 311C
F02M35/10 311Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020163863
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056070
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】栩本 将行
(72)【発明者】
【氏名】石田 和也
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-097910(JP,A)
【文献】特開2020-112090(JP,A)
【文献】特開平10-121937(JP,A)
【文献】特開2019-183764(JP,A)
【文献】特開昭59-158307(JP,A)
【文献】特開2014-105581(JP,A)
【文献】特開2014-231778(JP,A)
【文献】特開2017-190714(JP,A)
【文献】特開2004-204720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置であって、
新規吸気を導入する主配管と、前記ブローバイガスをオイルとガスとに分離した後の前記ガスを前記主配管へ導入する副配管と、を有する混合継手と、
前記エンジンの冷却水を導き前記副配管を流れる前記ガスに熱を伝える冷却水流路と、
前記エンジンのヘッドカバーの内部に設けられ、前記ブローバイガスを前記オイルと前記ガスとに分離する分離部と、
前記ヘッドカバーの上面部から外部に向かって突出して設けられ、前記分離部から導かれた前記ガスを前記混合継手の前記副配管に供給する出口部と、
前記出口部と前記混合継手の前記副配管とを接続する配管と、
を備え、
前記冷却水流路は、
前記混合継手の前記副配管に接して配置されている熱交換部材と、
前記熱交換部材の上流側に接続された上流側経路と、
前記熱交換部材の下流側に接続された下流側経路と、
を有し、
前記上流側経路は、前記エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置に設けられたウォータジャケットに接続され、前記出口部から前記熱交換部材に至る領域において前記エンジンのファンにより発生する風が直接当たらないように前記出口部と前記配管とに対して前記風の下流側に配置されていることを特徴とするブローバイガス処理装置。
【請求項2】
前記副配管における前記ガスの流れの方向は、前記熱交換部材における前記冷却水の流れの方向と直交することを特徴とする請求項に記載のブローバイガス処理装置。
【請求項3】
前記冷却水流路は、前記冷却水の流れが下り勾配になるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブローバイガス処理装置。
【請求項4】
前記熱交換部材を流れた後の前記冷却水を導く前記下流側経路は、前記エンジンとラジエータとの間における前記冷却水の循環の有無を前記冷却水の温度に応じて切り替えるサーモスタットよりも前記冷却水の流れの下流側の前記ラジエータを迂回する迂回流路に接続されたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のブローバイガス処理装置。
【請求項5】
エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置を備えるエンジンであって、
前記ブローバイガス処理装置は、
新規吸気を導入する主配管と、前記ブローバイガスをオイルとガスとに分離した後の前記ガスを前記主配管へ導入する副配管と、を有する混合継手と、
前記エンジンの冷却水を導き前記副配管を流れる前記ガスに熱を伝える冷却水流路と、
前記エンジンのヘッドカバーの内部に設けられ、前記ブローバイガスを前記オイルと前記ガスとに分離する分離部と、
前記ヘッドカバーの上面部から外部に向かって突出して設けられ、前記分離部から導かれた前記ガスを前記混合継手の前記副配管に供給する出口部と、
前記出口部と前記混合継手の前記副配管とを接続する配管と、
を備え、
前記冷却水流路は、
前記混合継手の前記副配管に接して配置されている熱交換部材と、
前記熱交換部材の上流側に接続された上流側経路と、
前記熱交換部材の下流側に接続された下流側経路と、
を有し、
前記上流側経路は、前記エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置に設けられたウォータジャケットに接続され、前記出口部から前記熱交換部材に至る領域において前記エンジンのファンにより発生する風が直接当たらないように前記出口部と前記配管とに対して前記風の下流側に配置されていることを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関に搭載されて、ブローバイガスをオイルとガスとに分離して、ガスをエンジンの吸気系に供給するブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンに生じるブローバイガスをオイルと未燃焼ガス等のガスとに分離して、ブローバイガスから分離されたガスをエンジンの吸気系に供給するブローバイガス処理装置が、例えばディーゼルエンジンのヘッドカバーに設けられている。ブローバイガスから分離されたガスは、配管を通して混合継手に送られて、混合継手において新規吸気に混合される。その後に、互いに混合されたガスと新規吸気とは、エンジンの吸気系に供給される。
【0003】
この種の混合継手は、エンジンのヘッドカバーの内部ではなくエンジンの外部に露出した状態で設けられている。一方で、ブローバイガスから分離されたガスには、水蒸気が含まれている。そのため、エンジンが低温状態に置かれると、ブローバイガスから分離されたガスに含まれる水蒸気が、混合継手において、凍結したり凝結したりすることがある。
【0004】
そうすると、混合継手からエンジンの吸気系に至るまでのガス経路が、凍結したり凝結したりした水分により閉塞するおそれがある。ガス経路が閉塞すると、エンジンの内圧が上昇し、例えばクランクケースに設けられたオイルゲージガイドなどの部品が破損するおそれがある。また、ガス経路が閉塞すると、エンジンの内圧が上昇し、ターボチャージャがヘッドカバー内からオイルを吸い込むおそれがある。
【0005】
これに対して、特許文献1には、加温機構が装備されたガス還流装置が開示されている。特許文献1に記載された加温機構は、エンジンの冷却水を通す管路を有し、ブローバイガス通路が吸気通路に連通接続される還流通路部の加温が可能である。特許文献1に記載されたブローバイガス還流装置は、極寒時において外部に露出した状態で冷されても、加温機構を通るエンジンの冷却水によって還流通路部を温めることができるので、ブローバイガス中の水分が凍ることを抑えることができる。
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたブローバイガス還流装置の加温機構は、エンジンの上で外部に露出された状態である。加温機構を通過する冷却水は、エンジンの冷却ファンにより発生する冷却風に直接晒されてしまう。このため、冷却水の温度が下がってしまう。従って、特許文献1に記載されたブローバイガス還流装置には、ブローバイガス中の水分が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えるという点においては、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-97910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、ブローバイガスから分離されたガスに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができるブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置であって、新規吸気を導入する主配管と、前記ブローバイガスをオイルとガスとに分離した後の前記ガスを前記主配管へ導入する副配管と、を有する混合継手と、前記エンジンの冷却水を導き前記副配管を流れる前記ガスに熱を伝える冷却水流路と、を備え、前記冷却水流路は、前記エンジンのファンにより発生する風を回避する位置に配置されていることを特徴とする本発明に係るブローバイガス処理装置により解決される。
【0010】
本発明に係るブローバイガス処理装置は、新規吸気を導入する主配管と、ブローバイガスをオイルとガスとに分離した後のガスを主配管へ導入する副配管と、を有する混合継手と、エンジンの冷却水を導き副配管を流れるガスに熱を伝える冷却水流路と、を備える。冷却水流路は、エンジンのファンにより発生する風を回避する位置に配置されている。これにより、冷却水流路を通る冷却水の温度は、ファンにより発生する風によって低下することを抑制されている。このため、冷却水流路を通る冷却水は、ブローバイガスから分離された混合継手の副配管を通るガスに効率的に熱を伝え、混合継手においてガスに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【0011】
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記冷却水流路は、前記混合継手の前記副配管に接して配置されている熱交換部材を有し、前記熱交換部材は、前記副配管に対して前記ファンにより発生する風を回避する位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、冷却水流路の熱交換部材は、副配管に対してエンジンのファンにより発生する風を回避する位置に配置されている。これにより、熱交換部材を通る冷却水の温度は、エンジンのファンにより発生する風によって低下することを抑制されている。このため、冷却水流路を通る冷却水は、ブローバイガスから分離され混合継手の副配管を通るガスに熱交換部材を介して効率的に熱を伝え、混合継手においてガスに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【0013】
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記副配管における前記ガスの流れの方向は、前記熱交換部材における前記冷却水の流れの方向と直交することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、混合継手の副配管におけるガスの流れの方向は、熱交換部材を流れる冷却水の流れの方向と並行しているわけではなく直交している。これにより、本発明に係るブローバイガス処理装置は、混合継手を通るガスを必要以上に加熱することがなく、ブローバイガスから分離されたガスに冷却水を用いて効率的に熱を伝えることができる。
【0015】
本発明に係るブローバイガス処理装置は、好ましくは、前記エンジンのヘッドカバーの内部に設けられ、前記ブローバイガスを前記オイルと前記ガスとに分離する分離部と、前記ヘッドカバーの上面部から外部に向かって突出して設けられ、前記分離部から導かれた前記ガスを前記混合継手の前記副配管に供給する出口部と、前記出口部と前記混合継手の前記副配管とを接続する配管と、をさらに備え、前記冷却水流路は、前記出口部と前記配管との付近において、前記ファンにより発生する風を回避する位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るブローバイガス処理装置は、エンジンのヘッドカバーの内部に設けられ、ブローバイガスをオイルとガスとに分離する分離部と、ヘッドカバーの上面部から外部に向かって突出して設けられ、分離部から導かれたガスを混合継手の副配管に供給する出口部と、出口部と混合継手の副配管とを接続する配管と、をさらに備える。冷却水流路は、出口部と配管との付近において、エンジンのファンにより発生する風を回避する位置に配置されている。これにより、冷却水流路は、出口部と配管との付近においてファンからの風を回避できる。これにより、エンジンのファンにより発生する風によって冷却水の温度が低下することを防ぐことができる。このため、冷却水流路を通る冷却水は、ブローバイガスから分離された混合継手の副配管を通るガスに効率的に熱を伝え、混合継手においてガスに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【0017】
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記冷却水流路は、前記冷却水の流れが下り勾配になるように配置されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、冷却水流路が下り勾配に配置されていることで、冷却水をスムーズに導き、冷却水の滞留を防ぐことができる。これにより、ブローバイガス混合継手は、加温された冷却水を用いて副配管を通るガスを加温することで、低温時においてガスに含まれる水蒸気の凍結や凝結を防ぐことができる。
【0019】
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記冷却水流路は、前記熱交換部材と、前記熱交換部材の上流側に接続された上流側経路と、前記熱交換部材の下流側に接続された下流側経路と、を有し、前記上流側経路は、前記エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置に設けられたウォータジャケットに接続されたことを特徴とする。
【0020】
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、上流側経路が、熱交換部材に接続され、冷却水を熱交換部材に導く。また、上流側経路は、排気ガス再循環装置に設けられたウォータジャケットに接続されている。排気ガス再循環装置は、エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとしてエンジンの吸気系に還流する装置である。そのため、熱交換部材に導かれる冷却水は、熱交換部材よりも上流側における排気ガス再循環装置において排気還流ガスから熱を受け、温められている。そのため、上流側経路が排気ガス再循環装置のウォータジャケットに接続されていない場合と比較して、本発明に係るブローバイガス処理装置は、ブローバイガスから分離されたガスと冷却水との間の温度差を高く維持できるので、冷却水からの伝熱量を高めることができる。これにより、本発明に係るブローバイガス処理装置は、ブローバイガスから分離されて混合継手を通るガスに対して、冷却水を用いて効率的に熱を伝え、ガスに含まれる水蒸気が混合継手において凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【0021】
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記熱交換部材を流れた後の前記冷却水を導く前記下流側経路は、前記エンジンとラジエータとの間における前記冷却水の循環の有無を前記冷却水の温度に応じて切り替えるサーモスタットよりも前記冷却水の流れの下流側の前記ラジエータを迂回する迂回流路に接続されたことを特徴とする。
【0022】
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、下流側経路が、熱交換部材に接続されて熱交換部材を流れた後の冷却水を導く。また、下流側経路は、サーモスタットよりも冷却水の流れの下流側のラジエータを迂回する迂回経路に接続されている。サーモスタットは、エンジンとラジエータとの間における冷却水の循環の有無を冷却水の温度に応じて切り替える部品である。例えば冷却水の温度が所定温度未満である場合には、サーモスタットは、バルブを閉めてエンジンとラジエータとの間における冷却水の循環を止め、ラジエータを迂回する迂回経路を経由してエンジンの内部のウォータジャケットにおいて冷却水を循環させる。一方で、例えば冷却水の温度が所定温度以上になり、エンジンの暖機運転が完了すると、サーモスタットは、バルブを開けて、エンジンとラジエータとの間における冷却水の循環を開始する。ラジエータの流路抵抗により、ラジエータを経由して循環する場合の冷却水の流量は、ラジエータを迂回して循環する場合の冷却水の流量よりも少なくなる。ここで、熱交換部材を流れた後の冷却水を導く下流側経路が、サーモスタットよりも冷却水の流れの上流側に接続されている場合には、サーモスタットがバルブを開けてラジエータへの冷却水の循環を開始すると、ラジエータの流路抵抗により、熱交換部材を流れる冷却水の流量は低下する。これに対して、本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、下流側経路がサーモスタットよりも冷却水の流れの下流側のラジエータを迂回する迂回経路に接続されているため、サーモスタットがバルブを開けても、冷却水がラジエータの流路抵抗を受けないので、冷却水流路を流れる冷却水の流量は低下しない。このため、熱交換部材における冷却水からの伝熱量を常に高く維持することができる。
【0023】
前記課題は、エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置を備えるエンジンであって、前記ブローバイガス処理装置は、新規吸気を導入する主配管と、前記ブローバイガスをオイルとガスとに分離した後の前記ガスを前記主配管へ導入する副配管と、を有する混合継手と、前記エンジンの冷却水を導き前記副配管を流れる前記ガスに熱を伝える冷却水流路と、を備え、前記冷却水流路は、前記エンジンのファンにより発生する風を回避する位置に配置されていることを特徴とする本発明に係るエンジンにより解決される。
【0024】
本発明に係るエンジンによれば、ブローバイガス処理装置は、新規吸気を導入する主配管と、ブローバイガスをオイルとガスとに分離した後のガスを主配管へ導入する副配管と、を有する混合継手と、エンジンの冷却水を導き副配管のガスに熱を伝える冷却水流路と、を備える。冷却水流路は、エンジンのファンにより発生する風を回避する位置に配置されている。これにより、冷却水流路を通る冷却水の温度は、ファンにより発生する風によって低下することを抑制されている。このため、冷却水流路を通る冷却水は、ブローバイガスから分離された混合継手の副配管を通るガスに効率的に熱を伝え、混合継手においてガスに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ブローバイガスから分離されたガスに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができるブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係るブローバイガス処理装置を備えるエンジンを示す断面図である。
図2】本実施形態に係るブローバイガス処理装置の構造例を示すX-Z平面における断面図である。
図3】本実施形態に係るブローバイガス処理装置を備えるエンジンを斜め上方から眺めた斜視図である。
図4】本実施形態のブローバイガス混合継手および熱交換部材の構造例を示す断面図である。
図5】本実施形態のブローバイガス混合継手および熱交換部材の構造例を示す斜視図である。
図6】冷却ファンの形式が異なる例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るブローバイガス処理装置を備えるエンジンを示す断面図である。
図1に示すエンジン1は、内燃機関であって、例えば産業用ディーゼルエンジンである。エンジン1は、例えばターボチャージャ付きの過給式の高出力な3気筒エンジンや4気筒エンジン等の多気筒エンジンである。エンジン1は、例えば建設機械、農業機械、芝刈り機のような車両等に搭載される。また、エンジン1は、駆動用充電電源バッテリと、駆動用電動モータと、を組み合わせることにより、ハイブリッド駆動装置を構成しても良い。
【0029】
エンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダヘッド3と、ヘッドカバー4と、オイルパン7と、ブローバイガス処理装置100と、を備える。シリンダヘッド3は、シリンダブロック2の上に組付けられている。ヘッドカバー4は、シリンダヘッド3の上に組付けられている。シリンダブロック2は、上部のシリンダ5と、下部のクランクケース6と、を有する。オイルパン7は、クランクケース6の下部に配置されている。ピストン8は、シリンダ5内に配置されている。クランク軸9は、クランクケース6内に配置されている。ピストン8は、コンロッド10を介してクランク軸9に連結されている。
【0030】
図1に示すように、シリンダ5は、動弁カム室11を有する。動弁カム室11には、動弁カム軸12が収容されている。タペット13がタペットガイド孔14に沿って上下動可能になっている。タペット13の下部は、動弁カム軸12に載っている。プッシュロッド15は、挿通孔16に通っている。ロッカーアーム17は、ヘッドカバー4内に配置されている。プッシュロッド15の上端部は、ロッカーアーム17に当接している。
【0031】
ロッカーアーム17は、スプリング18によりプッシュロッド15の上端部側に付勢されている。吸気弁19および排気弁20は、動弁カム軸12が回転することで、プッシュロッド15とロッカーアーム17とを介して伝えられた動力により上下動し、吸気口と排気口とをそれぞれ開閉する。
【0032】
図1に示すように、例えばオイル流出孔21が、タペット13に設けられている。オイル落下孔22が、動弁カム室11からクランクケース6まで設けられている。これにより、挿通孔16と、タペット13の内部と、オイル流出孔21と、動弁カム室11と、オイル落下孔22は、オイル戻し経路99を構成している。オイル戻し経路99は、ヘッドカバー4内のオイルを、クランクケース6内を通ってオイルパン7に戻すことができる。シリンダヘッド3の各気筒は、吸気通路30と、排気通路31と、に接続されている。
【0033】
図1に示すように、エンジン1の圧縮行程および燃焼行程の少なくともいずれかにおいて、ブローバイガスBGが発生することがある。ブローバイガスBGは、図1に示すピストン8とシリンダ5との隙間を通ってクランクケース6内に流入するガスであり、未燃焼の燃料成分や燃焼済みのガス成分やオイル等のミストを含んでいる。シリンダ5とピストン8との隙間からクランクケース6に漏れ出したブローバイガスBGは、例えば上述したオイル戻し経路99を通じて、ヘッドカバー4内へ上昇する。すなわち、ブローバイガスBGは、シリンダ5とピストン8との隙間からクランクケース6に漏れ出すと、例えばブローバイガス通過経路としてのオイル戻し経路99のオイル落下孔22と、動弁カム室11と、タペット13のオイル流出孔21と、挿通孔16と、を通じて、ヘッドカバー4内に侵入する。なお、上述したオイル戻し経路99は、ブローバイガス通過経路の一例である。ブローバイガス通過経路は、上述したオイル戻し経路99だけに限定されるわけではない。
【0034】
図1に示すように、ブローバイガス処理装置100が、ヘッドカバー4内に設けられている。ブローバイガス処理装置100は、ブローバイガスBGを、オイルOL(図2参照)と、オイルOLのミストを分離したガス(処理後のガス)G(図2参照)と、に分離する役割を有する。例えばブローバイガスBGに含まれるガスGは、ブローバイガス処理装置100を介して、ヘッドカバー4の外部の吸気系に接続された配管41に送られる。ブローバイガスBGに含まれるガスGは、ブローバイガスBGからオイルOLとオイルOLのミストとを除いた例えば未燃焼ガス成分や燃焼ガス成分である。なお、オイル(潤滑剤成分)OLは、例えばヘッドカバー4とシリンダヘッド3内とオイル戻し経路99とを通じて、オイルパン7に回収される。
【0035】
図1に示す吸気配管50の接続管50Tと配管41とは、ブローバイガス混合継手(混合継手の一例)70により互いに接続されている。新規吸気ARは、吸気配管50に吸入されると、エアクリーナ52と接続管50Tとを通過して、ブローバイガス混合継手70の主配管71に入る。一方、ブローバイガス処理装置100によりオイルOLがブローバイガスBGから分離された後のガスGは、ブローバイガス処理装置100の出口部40から配管41を通じてブローバイガス混合継手70の副配管72に入る。これにより、新規吸気ARとガスGとが、ブローバイガス混合継手70において互いに混合されて、吸入空気Bとなる。
【0036】
一方、排気通路31からの排気は、ターボチャージャ60のタービン62に供給されることで、タービン62とブロア61とを高速回転させる。混合された吸入空気Bは、ターボチャージャ60のブロア61へ供給されて圧縮される。圧縮された吸入空気Cは、吸気系の吸気通路30へ過給される。
【0037】
次に、本実施形態に係るブローバイガス処理装置の構造例を、図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るブローバイガス処理装置の構造例を示すX-Z平面における断面図である。
【0038】
ここで、図1および図2に示すX方向は、図1に示すエンジン1の前後方向、すなわちクランク軸9の軸方向である。Y方向は、エンジン1の左右方向である。Z方向は、エンジン1の上下方向である。X、Y、Z方向は、互いに直交している。
【0039】
図1および図2に示すように、ブローバイガス処理装置100は、ブリーザ装置あるいはブレザともいい、主要構造部101と、出口部40と、ブローバイガス混合継手70と、を有する。主要構造部101は、ヘッドカバー4内に配置されている。出口部40とブローバイガス混合継手70とは、ヘッドカバー4の外部に露出して設けられている。主要構造部101は、ブローバイガスBGを、オイルOLと、ガスGと、に分離して、オイルOLおよびガスGを別々の経路で案内できる。
【0040】
図2に示すように、主要構造部101は、ヘッドカバー4内に設けられている。出口部40は、ヘッドカバー4の上方に突出して設けられている。しかも、図2に示すように、出口部40は、主要構造部101のX方向である前後方向に関して、例えば略中央の位置CPに配置されている。出口部40の詳細な構造例は、主要構造部101の詳細な構造例を説明した後に説明する。
【0041】
まず、ブローバイガス処理装置100の主要構造部101の構造例を、図1および図2を参照して説明する。
図1および図2に示すように、主要構造部101は、ヘッドカバー4内に収容されている。具体的には、ヘッドカバー4は、上面部4Aと、前面部4Bと、後面部4Cと、左右面部4Dと、を有している。主要構造部101は、上面部4Aと、前面部4Bと、後面部4Cと、左右面部4Dと、で囲まれた空間に配置されている。図2に示すように、主要構造部101は、ブローバイガスBGを取り入れて案内し、ブローバイガスBGから、ブローバイガスBGに含まれるオイルOLと、ガスGと、を分離する。そして、主要構造部101は、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLおよびガスGがエンジン1の外部に漏れないように、オイルOLおよびガスGを別々の経路で案内する。そのために、ヘッドカバー4は、ヘッドカバー4の内部がヘッドカバー4の外部に対して気密性を保った状態でシリンダヘッド3に保持されている。これにより、ブローバイガスBGと、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLおよびガスGと、がエンジン1の外部に漏れることが抑えられている。
【0042】
図2に示すように、主要構造部101は、概略的には、第1ブローバイガス取り入れ部111と、第2ブローバイガス取り入れ部112と、分離部330と、第1オイル案内溝部151と、第2オイル案内溝部152と、第1オイルドレン161と、第2オイルドレン162と、を有する。第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152のそれぞれは、本発明の「オイル案内部」の一例である。第1オイルドレン161および第2オイルドレン162は、本発明の「オイルドレン」の一例である。
【0043】
図2に示すように、主要構造部101は、上述した構成要素を構成するために、仕切り壁部200と、案内壁部203と、案内板295と、を有する。仕切り壁部200は、ヘッドカバー4内においてX-Y平面に、すなわち水平に配置されており、ヘッドカバー4の下部領域4Pと、上部領域4Q、4Rと、を仕切っている。従って、下部領域4Pと、上部領域4Q、4Rと、は、互いに独立した空間になっている。
【0044】
図2に示すように、案内壁部203は、処理後のガスG、すなわちブローバイガスBGからオイルOLのミストを分離した後のガスGだけを出口部40へ確実に案内する。案内壁部203は、仕切り壁部200と、ヘッドカバー4の上面部4Aと、の間に配置されており、上部領域4Qと、上部領域4Rと、を仕切っている。従って、上部領域4Qと、上部領域4Rと、は、互いに独立した空間である。
【0045】
次に、第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112について、図2を参照して説明する。
第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112とは、仕切り壁部200と案内板295とにより形成された孔であり、ブローバイガスBGを取り入れる。仕切り壁部200は、分離部330を中心にして、第1案内下面部231側と第2案内下面部232側とに分かれている。第1ブローバイガス取り入れ部111は、前面部4B寄りの位置(すなわちエンジン1の前側)に設けられて前側からブローバイガスBGを取り入れる。また、第2ブローバイガス取り入れ部112は、後面部4C寄りの位置(すなわちエンジン1の後側)に設けられて後側からブローバイガスBGを取り入れる。
図2に示す案内板295は、第1案内下面部231と第2案内下面部232とに対面するようにして仕切り壁部200から離れた部分を有し、X-Y平面に沿って配置されている。
【0046】
図1に示すように、クランクケース6内を上昇してきたブローバイガスBGは、図2に示すヘッドカバー4の下部領域4Pに達すると、第1ブローバイガス取り入れ部111を通って仕切り壁部200の第1案内下面部231と案内板295との間に取り入れられ、分離部330に向かって案内される。あるいは、ブローバイガスBGは、第2ブローバイガス取り入れ部112を通って第2案内下面部232と案内板295との間に取り入れられ、分離部330に向かって案内される。そして、ブローバイガスBGは、図2に表した矢印のように、前後方向であるX方向に関して中央位置RPにある分離部330のインパクタ120に達する。
【0047】
次に、分離部330について、図2を参照して説明する。
図2に示す分離部330は、インパクタ式セパレータとも言い、インパクタ120と、フィルタ130と、衝突板133と、を有し、エンジン1の前後方向において第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112との間に設けられている。より具体的には、分離部330は、エンジン1の前後方向において第1オイルドレン161と第2オイルドレン162との間の中央部すなわち中央位置RPに設けられている。
【0048】
インパクタ120は、ノズルあるいはオリフィスの機能を有している。インパクタ120の絞り孔121の軸方向は、Z方向である鉛直方向あるいは上下方向に沿っている、いわゆる縦型の絞り孔である。インパクタ120は、ブローバイガスBGを絞り孔121に沿って上方に向けて通すことで、ブローバイガスBGの流速を上昇させることができる流速上昇操作部である。インパクタ120は、仕切り壁部200のX方向に関して中央位置RPに配置されている。これにより、第1ブローバイガス取り入れ部111により取り入れられるブローバイガスBGと、第2ブローバイガス取り入れ部112により取り入れら
れるブローバイガスBGと、は、均等にインパクタ120へと案内される。インパクタ120は、絞り孔121に流入するブローバイガスBGの流速を高めた上で、ブローバイガスBGをフィルタ130へ導く。
【0049】
図2に示すように、フィルタ130は、仕切り壁部200の上に交換可能に取り付けられている。フィルタ130は、ブローバイガスBGからオイルOLを分離する性能(すなわちオイルOLの分離性能)を向上させるための部材であり、例えばグラスウールやスチールウール等の材質により作られている。但し、フィルタ130の材質は、特に限定されるわけではない。フィルタ130は、衝突板133と、インパクタ120と、の間に配置されている。つまり、フィルタ130の下面には、流速上昇操作部としてのインパクタ120が配置されている。フィルタ130の上面には、衝突板133が配置されている。
【0050】
衝突板133は、例えば金属板であり、水平方向に延びている。衝突板133は、流速が上昇してフィルタ130を通ったブローバイガスBGを衝突させることで、オイルOLと、オイルOLのミストを含まないガスGと、に分離する。流速が高められたブローバイガスBGは、フィルタ130を通って異物を除去されながら衝突板133に衝突することで、オイルOLと、オイルOLのミストを含まないガスGと、に分離される。そして、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGは、フィルタ130から放出される。
【0051】
前述したように、案内壁部203は、仕切り壁部200と、ヘッドカバー4の上面部4Aと、の間に設けられている。そのため、フィルタ130から放出されたオイルOLのミストを含まないガスGは、案内壁部203により案内され上部領域4Qの通路135を通って、出口部40へ導かれる。案内壁部203は、ヘッドカバー4内に配置されていることで、分離部330により分離したガスGを出口部40に案内することができる。
【0052】
一方で、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、フィルタ130を通って落ちていき、インパクタ120の上面に落下する。インパクタ120の上面に落下したオイルOLは、インパクタ120の上面に沿って流れ、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に向かって流れていく。
【0053】
分離部330は、図2に示すX方向の中央位置RPに位置しており、ブローバイガスBGを、エンジン1の前側および後側からX方向の中央部に向かって集合させることができる集合部としての役割を果たす。このように、分離部330は、ヘッドカバー4のX方向に関して中央位置RPにあるので、ヘッドカバー4内において、X方向に関して前側および後側からブローバイガスBGを中央部に集めて、オイルOLと、オイルOLのミストを含まないガスGと、に分離することができる。
【0054】
次に、第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152について、図2を参照して説明する。
図2に示す第1オイル案内溝部151は、溝形状を呈し、ヘッドカバー4の前面部4Bからフィルタ130の近傍にまで設けられ、フィルタ130からヘッドカバー4の前面部4Bへ向かって下方に傾斜している。同様にして、第2オイル案内溝部152は、溝形状を呈し、ヘッドカバー4の後面部4Cからフィルタ130の近傍にまで設けられ、フィルタ130からヘッドカバー4の後面部4Cへ向かって下方に傾斜している。第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLを案内する。第1オイル案内溝部151は、本発明の「第1オイル案内部」の具体的な構造例であり、フィルタ130から放出されるオイルOLを、図1のエンジン1が前側に傾斜した時にはX1方向で示す前方へ案内して前側の第1オイルドレン161に導くことができる。同様にして、第2オイル案内溝部152は、本発明の「第2オイル案内部」の具体的な構造例であり、フィルタ130から放出されるオイルOLを、図1のエンジン1が後側に傾斜した時にはX2方向で示す後方へ案内して後側の第2オイルドレン162に導くことができる。
【0055】
なお、第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152とは、互いに繋がっていてもよい。この場合には、1つのオイル案内溝部のうち、フィルタ130からエンジン1の前側に向けて設けられた部分を第1オイル案内溝部151と称し、フィルタ130からエンジン1の後側に向けて設けられた部分を第2オイル案内溝部152と称する。
【0056】
次に、第1オイルドレン161と第2オイルドレン162について、図2を参照して説明する。
第1オイルドレン161は、エンジン1の前側に設けられ、例えば筒状を呈する。第1オイルドレン161は、仕切り壁部200の第1案内下面部231の前方位置において、ヘッドカバー4内においてZ1方向である下向きに設けられている。第1オイルドレン161は、逆止弁を有し、第1オイル案内溝部151により案内されたオイルOLを一時的に貯留するとともにエンジン1内に排出する。同様にして、第2オイルドレン162は、エンジン1の後側に設けられ、例えば筒状を呈する。第2オイルドレン162は、仕切り壁部200の第2案内下面部232の後方位置において、ヘッドカバー4内においてZ1方向である下向きに設けられている。第2オイルドレン162は、逆止弁を有し、第2オイル案内溝部152により案内されたオイルOLを一時的に貯留するとともにエンジン1内に排出する。
【0057】
これにより、エンジン1が前側に傾くと、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、第1オイル案内溝部151によりX1方向に案内され、第1オイルドレン161に一時的に貯留された後、第1オイルドレン161を通じてZ1方向に排出される。同様にして、エンジン1が後側に傾くと、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、第2オイル案内溝部152によりX2方向に案内され、第2オイルドレン162に一時的に貯留された後、第2オイルドレン162を通じてZ1方向に排出される。ヘッドカバー4内において、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162から排出されたオイルOLは、例えば図1に示すヘッドカバー4から上述したオイル戻し経路99を通じて、オイルパン7に回収される。あるいは、排出されたオイルOLは、例えば図示しないオイル容器に回収することも可能である。これにより、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162から排出されるオイルOLは、エンジン1内に排出され、エンジン1の外部に漏れることがない。
【0058】
次に、ブローバイガス処理装置100の出口部40の構造例を、図2を参照して説明する。
すでに説明したように、図2に示す出口部40は、ヘッドカバー4において、Z方向に向けて突出して設けられている。具体的には、出口部40は、ヘッドカバー4の上面部4Aから外部に向かって突出して設けられている。出口部40は、ヘッドカバー4の主要構造部101のX方向である前後方向に関して、例えば略中央の位置CPに配置されている。
【0059】
図2に表したように、出口部40は、調圧弁(ダイヤフラム)350と、容器体750と、を有し、エンジン1の例えば略中央の位置CPにおいてガスGの圧力を調整して、主要構造部101から導かれたガスGだけをエンジン1の吸気系の配管41へ送る。つまり、出口部40は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGを、配管41を介してエンジン1の吸気系に戻して再燃焼させることができる。これにより、ブローバイガスBGから分離されたガスGがエンジン1の外部に放出されるのを防いで、エンジン1の環境性能を向上することができる。
【0060】
調圧弁350は、エンジン1の内部とエンジン1の吸気系との間の圧力を調整しつつ、新規吸気ARがブローバイガス混合継手70および吸気系の配管41を介してエンジン1内に流入することを抑える(図1参照)。
【0061】
図2に表したように、容器体750は、出口取付部700を介してヘッドカバー4の上面部4Aに間接的に固定され、調圧弁350を保持している。なお、容器体750は、出口取付部700を介することなくヘッドカバー4の上面部4Aに直接的に固定されていてもよい。あるいは、出口取付部700は、ヘッドカバー4の一部であってもよく、ヘッドカバー4に設けられたガス排出用の貫通孔680を中心にしてヘッドカバー4の上面部4Aから外部へ盛り上がるように形成されている。
【0062】
ガス排出用の貫通孔680は、ヘッドカバー4の上面部4Aを円形状にZ方向に沿って貫通して設けられている。つまり、ガス排出用の貫通孔680の中心軸は、Z方向に沿っている。貫通孔680は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGを通過させる。
【0063】
容器体750は、スペーサなどとも呼ばれ、出口取付部700上に設置されている。容器体750は、ヘッドカバー4内から出口取付部700の貫通孔680を経て上がってくるガスGを一時的に収容し、配管41を通じて図1に示すエンジン1の吸気系側にガスGを供給することができる。容器体750は、ガス流路42を有する。ガス流路42は、貫通孔680を通過し、調圧弁350をさらに通過したガスGを、配管41を通じてエンジン1の吸気系に導く。
【0064】
次に、本実施形態に係るエンジン1とブローバイガス処理装置100の構造例を、図3を参照して詳しく説明する。
図3は、本実施形態に係るブローバイガス処理装置を備えるエンジンを斜め上方から眺めた斜視図である。
図3(A)は、エンジン1の全体像を示す。図3(B)は、図3(A)に示すエンジン1の一部分A1を拡大して示している。
【0065】
図3(A)および図3(B)に表したように、ブローバイガス処理装置100の出口部40とブローバイガス混合継手70と冷却水流路400とは、エンジン1のヘッドカバー4の外部に設けられている。ブローバイガス処理装置100の出口部40は、ヘッドカバー4の上面部4Aから外部に向かって突出して固定されている。
【0066】
図3(A)および図3(B)に表したように、冷却水流路400が、ヘッドカバー4の外部において上面部4Aに沿って配置されている。冷却水流路400は、冷却水を通すための例えば断面円形状の金属製の配管である。図3(B)に示すように、冷却水流路400は、上流側経路461と、下流側経路462と、熱交換部材380と、を有する。図3(A)に示すように、冷却水流路400の上流側経路461の一端部361Bは、排気ガス再循環装置80に接続されている。
【0067】
図3(A)に示すように、排気ガス再循環装置80は、EGR冷却器81と、EGRバルブ82と、を有し、エンジン1の排気系を流れる排気の一部を図3(A)に示す排気還流ガスECGとして、エンジン1の吸気系に還流する。具体的には、上流側経路461の一端部361Bは、排気ガス再循環装置80のEGRバルブ82に設けられたウォータジャケット(図示せず)に接続されていて、EGRバルブ82のウォータジャケットを流れる冷却水の一部を取り出して、図3(B)に示す上流側経路461の他端部361Cに導く。使用される冷却水は、例えば図2に示すシリンダブロック2およびシリンダヘッド3などを冷却するLLC(Long Life Coolant)であり、エンジン1の暖機運転が完了した後では約70~80℃程度の温度になる。
【0068】
図3(B)に示すように、上流側経路461の他端部361Cは、熱交換部材380の一端部381に接続されている。熱交換部材380は、例えば、金属製の筒状の部材であり、直線状の部材として設けられている。熱交換部材380は、ブローバイガス混合継手70の副配管72に対して、機械的および熱的に一体構造になるように設けられている。
【0069】
図4は、本実施形態のブローバイガス混合継手および熱交換部材の構造例を示す断面図である。
図5は、本実施形態のブローバイガス混合継手および熱交換部材の構造例を示す斜視図である。
なお、図4は、図5に表した切断面A4-A4における断面図である。
【0070】
ブローバイガス混合継手70の主配管71の軸方向CL1は、副配管72の軸方向CL2に対して直交している。しかも、熱交換部材380の軸方向CL3は、主配管71の軸方向CL1および副配管72の軸方向CL2に対して直交している。
【0071】
図3(B)に戻ると、冷却水流路400の下流側経路462は、熱交換部材380の他端部382と、サーモスタットカバー371と、の間に接続されている。サーモスタットカバー371は、サーモスタットよりも冷却水の流れの下流側のラジエータを迂回する迂回経路(図示せず)に設けられている。そのため、下流側経路462は、サーモスタットよりも冷却水の流れの下流側のラジエータを迂回する迂回経路に接続されている。
【0072】
サーモスタット(図示せず)は、エンジン1とラジエータ(図示せず)との間における冷却水の循環の有無を冷却水の温度に応じて切り替える部品である。例えば冷却水の温度が所定温度未満である場合には、サーモスタットは、バルブ(図示せず)を閉めてエンジン1とラジエータとの間における冷却水の循環を止め、ラジエータを迂回する迂回経路を経由してエンジン1の内部のウォータジャケット(図示せず)において冷却水を循環させる。一方で、例えば冷却水の温度が所定温度以上になり、エンジン1の暖機運転が完了すると、サーモスタットは、バルブを開けて、エンジン1とラジエータとの間における冷却水の循環を開始する。
【0073】
次に、冷却水流路400の上流側経路461および下流側経路462の特徴的な配置例を、図3を参照して説明する。
上流側経路461と下流側経路462とは、上述したようにEGRバルブ82から熱交換部材380を通り、サーモスタットカバー371に達している。上流側経路461と熱交換部材380と下流側経路462とは、下り勾配になるように配置されている。
【0074】
これにより、冷却水流路400の上流側経路461は、EGRバルブ82のウォータジャケットから取り出され加温された冷却水を、図3(B)に表した矢印F1方向に沿って熱交換部材380へスムーズに導くことができる。そして、熱交換部材380を流れる冷却水は、ブローバイガス混合継手70の副配管72内を通るガスGを加温する。
【0075】
また、冷却水流路400の下流側経路462は、図3(B)に表した矢印F2方向に沿って冷却水をサーモスタットカバー371にスムーズに導くことができる。すなわち、冷却水流路400は、ヘッドカバー4の上において下り勾配に配置されることで、EGRバルブ82からサーモスタットカバー371へ冷却水をスムーズに導き、冷却水の滞留を防ぐことができる。これにより、ブローバイガス混合継手70は、ウォータジャケットから取り出され加温された冷却水を用いて副配管72内を通るガスGを加温することで、低温時においてガスGに含まれる水蒸気の凍結や凝結を一層確実に防ぐことができる。
【0076】
次に、冷却水流路400の上流側経路461と下流側経路462との配置形状例を説明する。
まず、上流側経路461の配置形状例を説明する。図3(A)に表したように、エンジン1は、エンジン1の前部側に吸込み側の冷却ファン372(ファンの一例)を備えている。エンジン1が動作すると、冷却ファン372は、エンジン1を冷却するために冷却風WDをエンジン1の後方に向けて発生させる。
【0077】
仮に、冷却ファン372により発生した冷却風WDが上流側経路461を通る加温された冷却水を冷やしてしまうと、冷却水は、ブローバイガス混合継手70の副配管72内を通るガスGを熱交換部材380を介して加温することが難しくなってしまう。このため、ブローバイガス混合継手70において、ガスGに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることを確実に抑えることができなくなってしまうおそれがある。
【0078】
そこで、本実施形態では、冷却水流路400を通る冷却水が冷却ファン372の冷却風WDにより冷えないようにするために、上流側経路461の配置形状例を次のように工夫している。上流側経路461は、出口部40から熱交換部材380に至る領域付近において、冷却ファン372により発生する冷却風WDを回避する位置に配置されている。図3(B)に具体的に示すように、上流側経路461は、部分391,392,393を有している。上流側経路461の部分391,392,393は、冷却風WDが直接当たらないように、出口部40と配管41とに対して後側になるように、すなわち出口部40と配管41とに対して冷却風WDの下流側に配置されている。部分391は、出口部40に対して後側になるように、すなわち出口部40に対して冷却風WDの下流側に配置されている。また、部分392,393は、配管41に対して後側になるように、すなわち配管41に対して冷却風WDの下流側に配置されている。従って、冷却水流路400の上流側経路461の全体は、エンジン1の冷却ファン372により発生する冷却風WDを回避する位置に配置されている。
【0079】
これにより、冷却風WDの流れが、出口部40と配管41との存在により遮られている。そして、冷却風WDが上流側経路461に直接当たるのを防ぎ、上流側経路461を通る加温された冷却水が冷却風WDにより冷えてしまうことを抑制している。つまり、冷却風WDが上流側経路461を通る加温された冷却水を冷やす現象の発生を抑制して、冷却水の温度が冷却風WDにより低下することを防ぐことができる。そして、冷却水は、ブローバイガス混合継手70の副配管72内を通るガスGを熱交換部材380を介して効率よく加温でき、ブローバイガス混合継手70において、ガスGに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることを一層確実に抑えることができる。
【0080】
しかも、図3(B)と図4図5とに示すように、冷却水流路400の熱交換部材380自体も、ブローバイガス混合継手70の副配管72の付近において、冷却ファン372により発生する冷却風WDを回避する位置に配置されている。具体的には、図4図5とに示すように、熱交換部材380は、副配管72に対して後側に配置されており、すなわち副配管72に対して冷却風WDの下流側に配置されている。そのため、冷却風WDの流れが副配管72により遮られている。そして、冷却風WDが熱交換部材380に直接当たるのを防いでいる。これにより、冷却水は、ブローバイガス混合継手70の副配管72内を通るガスGを熱交換部材380を介して効率よく加温でき、ブローバイガス混合継手70において、ガスGに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることを一層確実に抑えることができる。
【0081】
また、冷却水流路400の下流側経路462は、熱交換部材380からサーモスタットカバー371に至るまで最短距離になるように設けられている。これにより、冷却水は、ブローバイガス混合継手70の副配管72内を通るガスGを熱交換部材380を介して加温した後、素早くサーモスタットカバー371に戻ることができる。
【0082】
(ブローバイガス混合継手70の副配管72内を流れるガスGの凍結あるいは凝結防止処理の説明)
次に、ブローバイガス混合継手70の副配管72内を流れるガスGの凍結あるいは凝結防止処理について説明する。
まず、図2に示す分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGの流れの説明を先にする。図2に示す分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGは、出口取付部700の貫通孔680を通過し、貫通孔680を通過したガスGは、調圧弁350に導かれる。そして、エンジン1の内部の圧力が所定以上の圧力に上昇すると、あるいはエンジン1の吸気系の圧力が所定未満の圧力に低下すると、調圧弁350が開く。そうすると、調圧弁350に導かれたガスGは、配管41を通じてエンジン1の吸気系に導かれる。
【0083】
ここで、図3に示すように、ブローバイガス処理装置100のブローバイガス混合継手70は、ヘッドカバー4の上面部4A上において、外部に向かって突出して設けられている。一方で、ブローバイガスBGおよびブローバイガスBGから分離されたガスGには、水蒸気が含まれている。そのため、エンジン1が低温状態に置かれると、ガスGに含まれる水蒸気が、ブローバイガス混合継手70において凍結したり凝結したりすることで、副配管72が閉塞するおそれがある。そうすると、ブローバイガス処理装置の出口部40からエンジンの吸気系に至る配管41、そしてブローバイガス混合継手70に至るガス経路が、閉塞してしまうそれがある。ガス経路が閉塞すると、エンジンの内圧が上昇し、例えばクランクケースに設けられたオイルゲージガイドなどの部品が破損するおそれがある。また、ガス経路が閉塞すると、エンジンの内圧が上昇し、ターボチャージャがオイルを吸い込むおそれがある。
【0084】
このようなガス経路の閉塞を防ぐために、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100およびブローバイガス処理装置100を備えるエンジン1においては、図3に表した工夫が施されている。冷却水流路400を通るエンジン1の冷却水は、例えばシリンダブロック2およびシリンダヘッド3などを冷却するLLCであり、エンジン1の暖機運転が完了した後では約70~80℃程度の温度になる。
そのため、冷却水流路400を流れる冷却水は、冷却水流路400の熱交換部材380を介して、図3に示すブローバイガス混合継手70の副配管72内を流れるガスGに対して熱を伝えて、副配管72内を流れるガスGの温度を上昇させることができる。
【0085】
図4図5とに例示するように、冷却水流路400の熱交換部材380は、直管であり、ブローバイガス混合継手70の副配管72に対して直接接するように取り付けられているか、一体的に形成されていて、冷却水を直線的に導く。しかも、冷却水流路400の熱交換部材380は、副配管72に対してエンジン1の冷却ファン372により発生する風を回避する位置に配置されている。
【0086】
これにより、熱交換部材380を通る冷却水の温度は、冷却ファン372により発生する冷却風WDによって低下することを抑制されている。このため、冷却水流路400を通る冷却水は、ブローバイガスBGから分離されて副配管72を通るガスGに効率的に熱を伝えることができる。従って、ブローバイガス混合継手70においてガスGに含まれる水蒸気が凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【0087】
また、熱交換部材380は、副配管72に接する位置で冷却水を直線的に導くので、熱交換部材380内を流れる冷却水の流速が低下することを抑えることができる。これにより、熱交換部材380内を流れる冷却水と、副配管72内を通るガスGと、の間の熱伝達率が低下することを抑えることができる。また、熱交換部材380は、冷却水を直線的に導くため、熱交換部材380内において死水域が生ずることを抑えることができる。
【0088】
しかも、図4図5とに例示するように、副配管72内を流れるガスGの方向と、冷却水流路400の熱交換部材380内を流れる冷却水の方向と、は、互いに並行しているわけではなく互いに直交している。これにより、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100では、冷却水がブローバイガス混合継手70の副配管72を通るガスGを必要以上に加熱することがなく、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGに冷却水を用いて効率的に熱を伝えることができる。
【0089】
また、図3に示す冷却水流路400の上流側経路461が、排気ガス再循環装置80(本実施形態ではEGRバルブ82)に設けられたウォータジャケットに接続されている。そのため、冷却水流路400の上流側経路461に導かれる冷却水は、冷却水流路400よりも上流側における排気ガス再循環装置80において排気還流ガスECGから熱を受けて温められている。
【0090】
そのため、上流側経路461が排気ガス再循環装置80のウォータジャケットに接続されていない場合と比較して、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100は、ガスGと冷却水との間の温度差を高く維持できるので、冷却水からブローバイガス混合継手70におけるガスGへの伝熱量を高めることができる。これにより、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGに冷却水を用いて効率的に熱を伝え、ガスGに含まれる水蒸気がブローバイガス混合継手70において凍結したり凝結したりすることをより一層確実に抑えることができる。
【0091】
一方、図3に示すように、下流側経路462は、冷却水流路400の熱交換部材380内を流れた後の冷却水を導く。また、下流側経路462は、サーモスタットよりも冷却水の流れの下流側のラジエータを迂回する迂回経路(本実施形態ではサーモスタットカバー371)に接続されている。
【0092】
ここで、仮に、冷却水流路400の熱交換部材380を流れた後の冷却水を導く下流側経路462が、サーモスタットよりも冷却水の流れの上流側に接続されている場合には、サーモスタットがバルブを開けてラジエータへの冷却水の循環を開始すると、ラジエータの流路抵抗により、冷却水流路400を流れる冷却水の流量は低下する。
【0093】
これに対して、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100によれば、下流側経路462が、サーモスタットよりも冷却水の流れの下流側のラジエータを迂回する迂回経路に接続されている。そのため、サーモスタットがバルブを開けても、冷却水がラジエータの流路抵抗を受けないので、冷却水流路400を流れる冷却水の流量は低下しない。このため、冷却水流路400における冷却水からの伝熱量を常に高く維持することができる。
【0094】
(本発明の他の実施形態)
図6は、冷却ファンの形式が異なる例を示す模式図である。
図6(A)は、すでに説明した吸込み型の冷却ファン372の例を示している。熱交換部材380を含む冷却水流路400は、冷却ファン372により発生する冷却風WDを回避する位置に配置されている。
【0095】
これに対して、図6(B)に示す本発明の他の実施形態では、掃き出し型の冷却ファン379の例を示している。図6(B)に表した例では、冷却ファン379(ファンの一例)により発生する冷却風WD1の方向は、図6(A)に示す冷却風WDの方向とは反対になる。そのため、熱交換部材380を含む冷却水流路400は、冷却ファン379により発生する冷却風WD1を回避する逆の位置に配置されている。
また、図6(C)に示す本発明のさらに別の実施形態では、エンジンの上側に配置された吸込み型の冷却ファン388の例を示している。図6(C)に表した例では、熱交換部材380を含む冷却水流路400は、冷却ファン388(ファンの一例)により発生する冷却風WD2を回避する位置に配置されている。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0097】
1:エンジン、 2:シリンダブロック、 3:シリンダヘッド、 4:ヘッドカバー、 4A:上面部、 4B:前面部、 4C:後面部、 4D:左右面部、 4P:下部領域、 4Q:上部領域、 4R:上部領域、 5:シリンダ、 6:クランクケース、 7:オイルパン、 8:ピストン、 9:クランク軸、 10:コンロッド、 11:動弁カム室、 12:動弁カム軸、 13:タペット、 14:タペットガイド孔、 15:プッシュロッド、 16:挿通孔、 17:ロッカーアーム、 18:スプリング、 19:吸気弁、 20:排気弁、 21:オイル流出孔、 22:オイル落下孔、 30:吸気通路、 31:排気通路、 40:出口部、 41:配管、 42:ガス流路、 50:吸気配管、 50T:接続管、 52:エアクリーナ、 60:ターボチャージャ、 61:ブロア、 62:タービン、 70:ブローバイガス混合継手、 71:主配管、 72:副配管、 80:排気ガス再循環装置、 81:EGR冷却器、 82:EGRバルブ、 99:オイル戻し経路、 100:ブローバイガス処理装置、 101:主要構造部、 111:第1ブローバイガス取り入れ部、 112:第2ブローバイガス取り入れ部、 120:インパクタ、 121:絞り孔、 130:フィルタ、 133:衝突板、 135:通路、 151:第1オイル案内溝部、 152:第2オイル案内溝部、 161:第1オイルドレン、 162:第2オイルドレン、 200:仕切り壁部、 203:案内壁部、 231:第1案内下面部、 232:第2案内下面部、 295:案内板、 330:分離部、 350:調圧弁、 361B:一端部、 361C:他端部、 371:サーモスタットカバー、 372:冷却ファン、 379:冷却ファン、 380:熱交換部材、 381:一端部、 382:他端部、 388:冷却ファン、 391:部分、 392:部分、 393:部分、 400:冷却水流路、 461:上流側経路、 462:下流側経路、 680:貫通孔、 700:出口取付部、 750:容器体、 AR:新規吸気、 B:吸入空気、 BG:ブローバイガス、 C:吸入空気、 CL1:軸方向、 CL2:軸方向、 CL3:軸方向、 ECG:排気還流ガス、 G:ガス、 OL:オイル、 RP:中央位置、 WD:冷却風、 WD1:冷却風、 WD2:冷却風

図1
図2
図3
図4
図5
図6