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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】電力調整器及び電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/455 20060101AFI20240117BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G05F1/455 A
H02M1/08 321
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022560596
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041515
(87)【国際公開番号】W WO2022097266
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000250317
【氏名又は名称】理化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】古橋 遼平
(72)【発明者】
【氏名】柘植 正則
(72)【発明者】
【氏名】西岡 渉
(72)【発明者】
【氏名】秋山 裕
(72)【発明者】
【氏名】工藤 翔平
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-135915(JP,A)
【文献】特開昭57-045621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F1/12-1/44
G05F1/45-7/00
H02M1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの負荷に対する電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器であって、
正側の電流制御素子及び負側の電流制御素子を有し、前記交流電源から前記負荷への出力を制御するトリガ回路と、
前記交流電源の極性に関する情報を取得する電源極性取得部と、
前記電源極性取得部によって取得される電源の極性に応じて、前記正側の電流制御素子に対するトリガ信号又は前記負側の電流制御素子に対するトリガ信号を出力するトリガ制御部と、
前記負荷に対する電力の出力の有無を検出する出力状態検出部と、
を備え、
前記負荷への電力の出力を開始した状態で、前記出力状態検出部によって電力の出力が検出されない場合には、前記正側の電流制御素子に対するトリガ信号と前記負側の電流制御素子に対するトリガ信号を切り替えることを特徴とする電力調整器。
【請求項2】
前記トリガ信号を切り替えた状態においても、前記出力状態検出部によって電力の出力が検出されない場合には、エラー情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の電力調整器。
【請求項3】
前記出力状態検出部が、前記負荷に対する電力供給ラインに設けられた電流検出部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力調整器。
【請求項4】
交流電源からの負荷に対する電力供給の制御を位相制御によって行う電力制御方法であって、
前記交流電源の極性に関する情報を取得するステップと、
取得された電源の極性に応じて、前記交流電源から前記負荷への出力を制御するトリガ回路に備えられる正側の電流制御素子に対するトリガ信号及び負側の電流制御素子に対するトリガ信号を出力するステップと、
前記負荷に対する電力の出力の有無を検出するステップと、
前記負荷への電力の出力を開始した状態で、電力の出力が検出されない場合には、前記正側の電流制御素子に対するトリガ信号と前記負側の電流制御素子に対するトリガ信号を切り替えるステップと、
を有することを特徴とする電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に対する交流電源からの電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電気機器・設備(負荷)の利用においては、電源への接続や、他の機器との接続などの配線を要する場合がある。
このような電気機器・設備の接続に関し、電源供給が行われるラインの接続における誤配線が生じた場合に、内部回路を保護するための技術が特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-170938号公報
【文献】https://www.rkcinst.co.jp/downlaods/10478/cthv09/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、接続される電源が直流である場合、配線する際の極性は正しく接続する必要がある。極性を反対に接続すると、回路の破損を招く恐れもある。特許文献1は、極性が反対に接続された場合において、内部回路に逆電流が流れないようにすることで内部回路を保護する技術である。
一方、交流電源の場合には、直流電源の誤配線の場合における“逆電流が流れることによる回路の破損”といったことは基本的に生じない。交流はそもそも正負の電流が流れるものだからである。
しかし、負荷に対する交流電源からの電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器の場合、位相制御を行うために電源波形の位相(0V点と極性)を取得する必要があり、この電源波形(0V点と極性)を取得するための配線と、負荷への電力供給ラインの配線の関係において、誤配線が生じると、電力調整器が正常に動作しなくなる。
例えば、非特許文献1(一例としての電力調整器のカタログ)の4ページ目の配線の説明において“主回路(2/T1)と電源端子(4番)、主回路(1/L1)と電源端子(5番)の相を、必ず合わせて配線してください。配線を間違えると、正常に動作しません。”と記載されているように、極性を合わせた配線を要するものとなっており、誤配線の場合には、負荷への電力出力が行われないといった不具合が生じる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、負荷に対する交流電源からの電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器であって、電源波形(0V点と極性)を取得するための配線と、負荷への電力供給ラインの配線の関係を気にすることなく接続することが可能な電力調整器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
交流電源からの負荷に対する電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器であって、正側の電流制御素子及び負側の電流制御素子を有し、前記交流電源から前記負荷への出力を制御するトリガ回路と、前記交流電源の極性に関する情報を取得する電源極性取得部と、前記電源極性取得部によって取得される電源の極性に応じて、前記正側の電流制御素子に対するトリガ信号又は前記負側の電流制御素子に対するトリガ信号を出力するトリガ制御部と、前記負荷に対する電力の出力の有無を検出する出力状態検出部と、を備え、前記負荷への電力の出力を開始した状態で、前記出力状態検出部によって電力の出力が検出されない場合には、前記正側の電流制御素子に対するトリガ信号と前記負側の電流制御素子に対するトリガ信号を切り替えることを特徴とする電力調整器。
【0007】
(構成2)
前記トリガ信号を切り替えた状態においても、前記出力状態検出部によって電力の出力が検出されない場合には、エラー情報を出力することを特徴とする構成1に記載の電力調整器。
【0008】
(構成3)
前記出力状態検出部が、前記負荷に対する電力供給ラインに設けられた電流検出部であることを特徴とする構成1又は2に記載の電力調整器。
【0009】
(構成4)
交流電源からの負荷に対する電力供給の制御を位相制御によって行う電力制御方法であって、前記交流電源の極性に関する情報を取得するステップと、取得された電源の極性に応じて、前記交流電源から前記負荷への出力を制御するトリガ回路に備えられる正側の電流制御素子に対するトリガ信号及び負側の電流制御素子に対するトリガ信号を出力するステップと、前記負荷に対する電力の出力の有無を検出するステップと、前記負荷への電力の出力を開始した状態で、電力の出力が検出されない場合には、前記正側の電流制御素子に対するトリガ信号と前記負側の電流制御素子に対するトリガ信号を切り替えるステップと、を有することを特徴とする電力制御方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、負荷に対する交流電源からの電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器につき、電源波形(0V点と極性)を取得するための配線と負荷への電力供給ラインの配線との関係を気にすることなく接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の電力調整器の構成の概略を示すブロック図
図2】実施形態の電力調整器の配線に関する説明図
図3】電源波形と、位相制御のトリガに関する説明図
図4】電源波形と、位相制御のトリガに関する説明図
図5】電源波形と、位相制御のトリガに関する説明図
図6】実施形態の電力調整器の処理概念を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0013】
図1は、実施形態の電力調整器の、本発明に関する部分の構成の概略を示すブロック図である。本実施形態の電力調整器1は、負荷2に対する電力供給の制御を位相制御によって行う電力調整器である。
本実施形態の電力調整器1は、
第1の配線17aと第2の配線17bを有する電源配線の第1の配線17aの電圧が第2の配線17bの電圧より高い時に流れる電流を正の電流とし、その逆方向の電流を負の電流として、正の電流を制御する電流制御素子である正側の電流制御素子131と、負の電流を制御する電流制御素子である負側の電流制御素子132と、を有し、交流電源3から負荷2への出力を制御するトリガ回路13と、
交流電源3の電源波形を取得し、交流電源の極性に関する情報を取得する電源極性取得部としても機能する電源波形取得部12と、
各種の制御処理を行う制御部であって、電源波形取得部(電源極性取得部)12によって取得される電源の極性に応じて、正側の電流制御素子131に対するトリガ信号又は負側の電流制御素子132に対するトリガ信号を出力するトリガ制御部としても機能する制御部11と、
負荷2に対する電力の出力の有無を検出する出力状態検出部として機能する電流検出部14(本実施形態では負荷2に対する電力供給ラインに設けられたカレントトランスによって構成されている)と、
を備える。
なお、電力調整器1には、配線を行うための端子として、交流電源3から負荷2への電力供給ラインとしての配線が行われる主回路接続端子16a、16bと、交流電源3と電源波形取得部との配線が行われる入力電源端子15a、15bを、備えている。
【0014】
本実施形態のトリガ回路13は、正側の電流制御素子131及び負側の電流制御素子132として、単方向性サイリスタが逆並列に接続された構成を有する。ここでは単方向性サイリスタを例としているが、“正側の電流制御素子及び負側の電流制御素子として”各種の単方向スイッチング素子を用いることができる。
なお、実施形態では、制御部11や電源波形取得部12を備えるものとして、区別して説明しているが、各機能部がハード的に個別に構成されることに限定するものではない。例えば、マイコンなどの1つのデバイス上で全ての機能がソフトウェア的に実装されるもの等であってもよい。逆に、各機能部の何れか若しくは全てを専用回路等によってハード的に実装するものであってもよく、本実施形態において制御部11上でソフトウェア的に実行される処理として説明している機能の一部若しくは全部をハード的に実装するもの等であってもよい。
【0015】
電力調整器1は、外部装置である温度調節器(図示せず)から入力される目標負荷率(0~100%)に基づいて、負荷2であるヒーターに対する交流電源3からの電力供給の制御を行うものである。即ち、温度調節器においてヒーターの温度と目標温度との偏差に基づくPID制御等のフィードバック制御によって目標負荷率が算出され、これが電力調整器1に入力される。電力調整器1の制御部11では、入力された目標負荷率を用いて目標電力値が算出され、目標電力値と、電流検出部14によって得られる値等から算出される出力電力値との偏差に基づくPID制御等のフィードバック制御によって出力電力負荷率が算出される。さらに、出力電力負荷率から点弧角(トリガ角)が算出され当該トリガ角に基づいて、正側の電流制御素子131と負側の電流制御素子132のそれぞれに対して、電源波形(交流電源の極性)に応じて制御信号(トリガ信号)が出力されることで、負荷2に対する電力供給の制御が行われるものである。当該位相制御に関する技術は、任意の各技術を利用できるものであるため、ここでのこれ以上の詳しい説明を省略する。
【0016】
図2は、電力調整器1の装置の背面側に備えられる接続端子部と、これに対する交流電源3との接続に関する概略説明図である。
図1及び図2からも理解されるように、電力調整器1では、電源波形(位相若しくは0V点と極性)を取得するための配線と、負荷2への電力供給ラインの配線とを要する。電源波形を取得するための配線は、入力電源端子15a、15bに対して行われ、電力供給ラインの配線は、主回路接続端子16a、16bに対して行われる。なお、図2において、入力電源端子15a、15bの並びにある他の端子は、外部装置である温度調節器を接続するための端子である。
入力電源端子15a、15bに対する配線と、主回路接続端子16a、16bに対する配線は、従来ではその極性を合わせて接続する必要があった。
【0017】
図3、4は、電源波形と、位相制御における正側の電流制御素子と負側の電流制御素子のそれぞれに対するトリガ信号の状態を示す説明図である。図3は、入力電源端子15a、15bに対する配線と、主回路接続端子16a、16bに対する配線において、極性が合っている状態の説明図であり、図4は極性が合っていない状態の説明図である。
即ち、図3は、電力供給ラインの電源波形の位相と、電源波形取得部12によって検出される電源波形の位相が合っている状態であり、図4は、電力供給ラインの電源波形の位相に対して、電源波形取得部12によって検出される電源波形の位相が合わない(極性が反転している)状態である。
入力電源端子15a、15bに対する配線によって、電源波形取得部12で取得される電源波形が、図中の最上部の“電源測定波形”であり、主回路接続端子16a、16bに対する配線によって実際に負荷に出力される電源波形が、図中2段目の“電源出力波形”である。図中の3段目と4段目は、各サイリスタ(正側の電流制御素子と負側の電流制御素子)に対するトリガ信号の例を示している。
【0018】
極性が合っている場合、図3に示されるように、“電源出力波形”と“電源測定波形”の位相が合っているため、正側のサイリスタに対するトリガ(サイリスタをオンにするゲート信号)、負側のサイリスタに対するトリガが適正に出力され、適正な出力が行われる。即ち、電源出力波形の極性が正である際に正側のサイリスタにトリガが入力され、電源出力波形の極性が負である際に負側のサイリスタにトリガが入力されることで、トリガ角に応じた出力がなされる。
一方、誤配線によって、極性が合っていない場合、図4に示されるように、“電源出力波形”と“電源測定波形”の位相が反転してしまうため、“電源出力波形”の電源極性(電流方向)に対応した単方向サイリスタを制御することができない。その結果、電源供給ラインに正の電圧がかかる際に負側のサイリスタがオンされるため、電流が流れず、同様に、電源供給ラインに負の電圧がかかる際に正側のサイリスタがオンされるため、電流が流れない。よって、負荷への電力出力が行われない結果となる。
【0019】
このような問題に対し、本実施形態の電力調整器1は、電力の出力処理をしているにも関わらず、電流検出部14によって電流が検出されない場合に、正側のサイリスタに対するトリガと負側のサイリスタに対するトリガを反転させる(切り替える)ことによって、正常な出力が得られるようにするものである。即ち、負荷への電力出力を開始した状態で、出力状態検出部によって電力の出力が検出されない場合には、正側の電流制御素子に対するトリガ信号と負側の電流制御素子に対するトリガ信号を反転させる(電源極性(電流方向)に対応した単方向サイリスタに対する制御に切り替える)ものである。
図5は、図3,4と同様の図であり、本実施形態の電力調整器1の動作を説明する概略図である。
図5に示されるように、正側のサイリスタに対するトリガと負側のサイリスタに対するトリガを切り替えることにより、適切なタイミングでサイリスタがトリガされ、負荷への電力出力が正常に行われる。
【0020】
図6は、電力調整器1の本発明に関する処理概念を示すフローチャートである。
電力の出力処理を開始した際に、制御部11及び電流検出部14によって負荷電流が得られているか否かを判別する(ステップ601、602)。なお、当該判断は、種々の要因で生じるタイムラグを考慮して、電力の出力処理開始時点そのものではなく、電力の出力処理開始時点から所定の遅延時間分だけ遅らせて行う。
負荷電流が得られている(出力がある)場合には、正常であると判断してそのまま電力の出力処理を行う(ステップ602:No→ステップ603)。即ち、電源波形取得部12によって検出される電源波形の極性が正の場合には、正側の電流制御素子131に対してトリガ角に応じたトリガを入力し、電源波形取得部12によって検出される電源波形の極性が負の場合には、負側の電流制御素子132に対してトリガ角に応じたトリガを入力する。
【0021】
一方、負荷電流が得られていない(出力がない)場合には、制御部11によって正側のサイリスタに対するトリガと負側のサイリスタに対するトリガを入れ替える処理を行う(ステップ602:Yes→ステップ604)。図5に示したように、本来であれば正側のサイリスタに対するトリガを、負側のサイリスタに対するトリガとして入力し、負側のサイリスタに対するトリガを、正側のサイリスタに対するトリガとして入力するものである。即ち、電源波形取得部12によって検出される電源波形の極性が正の場合には、負側の電流制御素子132に対してトリガ角に応じたトリガを入力し、電源波形取得部12によって検出される電源波形の極性が負の場合には、正側の電流制御素子131に対してトリガ角に応じたトリガを入力する。
当該トリガ信号の切り替え処理によって、負荷電流が得られるようになったか否かを判別する(ステップ605、606)。ステップ605、606はステップ601、602と同様の処理である。
負荷電流が得られるようになった(出力がある)場合には、誤配線であった(極性が逆に配線されている)と判断してそのまま(トリガ信号を切り替えたまま)電力の出力処理を行う(ステップ606:No→ステップ607)。
一方、依然として負荷電流が得られない(出力がない)場合には、断線や短絡等のエラーがあると判断する(ステップ606:Yes→ステップ608)。
【0022】
以上のごとく、本実施形態の電力調整器1によれば、電力の出力処理をしているにも関わらず、電流検出部14によって電流が検出されない場合に、正側のサイリスタに対するトリガと負側のサイリスタに対するトリガを切り替えることによって、正常な出力が得られるようにすることができる。
これにより、仮に誤配線がなされたとしても、装置の側で自動的に適正な出力がなされるように処理されるため、再配線をする必要が無い。換言すれば、配線において極性を気にする必要がない電力調整器を提供することができる(“極性を逆に接続した誤配線”という概念を無くすことができる)。
本実施形態の電力調整器1では、従来の電力調整器に対して、ハード的な追加を要することなく、上記の機能を実現させることが可能であり、この点においても有用である。
【0023】
なお、トリガ信号を切り替えた状態においても、出力状態検出部によって電力の出力が検出されない場合に(ステップ606:Yes→ステップ608)、エラー情報を出力するようにしてもよいし、電力の出力制御処理を停止させるようにしてもよい。エラー情報の出力は、電力調整器1に設けられた表示部や警告灯などで視覚的に表示するものや、スピーカーから警告音を出すことによって聴覚的に出力させるもの、又は、他の装置に対してエラー情報を出力(送信)するもの等であってよい。
【0024】
実施形態では、出力状態検出部が、負荷に対する電力供給ラインに設けられた電流検出部によって構成されるもの、即ち負荷電流を測定するものを例としているが、出力状態検出部は、負荷に対する電力の出力があるか否かを検出できるものであればよく、例えば、負荷電圧を測定することによって出力の有無を判別するようなものであってもよい。
また、実施形態では、第1の配線17aの電圧が第2の配線17bの電圧より高い時に流れる電流を正の電流とし、その逆方向の電流を負の電流としているが、これは説明の便宜のためであり、何れの側を正とするか負とするかは、任意のものであってよい。
【0025】
実施形態では、電力調整器として、負荷がヒーターで、外部装置である温度調節器から入力される目標負荷率に基づいて、ヒーターに対する電力供給の制御を行うものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、任意の負荷に対して電力供給を行う電力調整器に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1...電力調整器
11...制御部(トリガ制御部)
12...電源波形取得部(電源極性取得部)
13...トリガ回路
131...正側の電流制御素子
132...負側の電流制御素子
14...電流検出部(出力状態検出部)
2...負荷
3...交流電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6