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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】眼科用画像観察プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A61B3/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019161605
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021037173
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】植村 晴香
(72)【発明者】
【氏名】リカルド ファラリス デ ガスパーレ
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-066242(JP,A)
【文献】特開2018-051245(JP,A)
【文献】特開2018-000246(JP,A)
【文献】特開2014-045905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのプロセッサによって実行されることにより、
被検眼に対して撮影された複数枚の眼科用2次元画像を取得する取得ステップと、
前記複数枚の眼科用2次元画像の中から、比較表示用の画像である登録画像を複数枚登録する登録ステップと、
前記登録画像間の変位を表す変位情報を取得する変位情報取得ステップと、
前記登録画像の表示処理を行う比較表示ステップと、を前記コンピュータに実行させる、眼科用画像観察プログラムであって、
前記比較表示ステップは、
複数枚の前記登録画像のいずれかである第1画像の一部または全体をモニタ上の第1表示領域において不透過な態様で択一的に表示させる第1表示制御ステップと、
前記第1表示領域に前記第1画像が表示された状態で、前記第1表示領域に表示するものとして選択される画像を、前記第1画像から、複数枚の前記登録画像のいずれかであって前記第1画像とは異なる第2画像へと切換えるための、切換指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記第1表示領域において示される被検眼上の領域が前記第1画像と一致するように前記変位情報に基づいて調整された前記第2画像の一部または全体を、前記切換指示に基づいて前記第1表示領域において不透過な態様で択一的に表示させる第2表示制御ステップと、を含み、
前記登録ステップでは、前記第1表示制御ステップにおいて前記登録画像が表示される画面とは異なる操作画面において、前記複数枚の眼科用2次元画像に対して、個別に、前記登録画像として登録するか否かに関する操作を受け付ける、眼科用画像観察プログラム。
【請求項2】
前記比較表示ステップでは、前記モニタ上における前記第1表示領域とは異なる表示位置に設定された第2表示領域において、前記第1表示領域において示される被検眼上の領域の位置情報を、更に表示させる、請求項記載の眼科用画像観察プログラム。
【請求項3】
前記取得ステップでは、撮影方法が互いに異なる2枚以上の前記眼科用画像が取得される、請求項1又は2記載の眼科用画像観察プログラム。
【請求項4】
前記登録画像の撮影方法を示す情報が、各々の前記登録画像と対応付けられており、
前記比較表示ステップでは、
前記第1表示領域に表示される前記登録画像の撮影方法を示す情報が、前記登録画像と同時に表示される、請求項1からの何れかに記載の眼科用画像観察プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科用画像観察プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科分野の画像診断では、撮影した時期、または、撮影方法が互いに異なる複数の画像を見比べることによって、被検眼を多角的に診断および観察する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、それぞれが同一の眼底領域を撮影した複数枚の眼底正面画像であって、撮影した時期、または、撮影方法が互いに異なる複数枚の画像をモニタ上で並べて配置し、表示する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-51245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の手法では、モニタ上に表示される複数枚の画像は、互いに離れた位置に配置されている。それ故、画像間における各領域の対応関係が、検者によって直感的に把握され難かった。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の眼科用2次元画像を、良好に見比べやすい表示が行われる、眼科用画像観察プログラムを提供すること、を技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る眼科用画像観察プログラムは、コンピュータのプロセッサによって実行されることにより、被検眼に対して撮影された複数枚の眼科用2次元画像を取得する取得ステップと、前記複数枚の眼科用2次元画像の中から、比較表示用の画像である登録画像を複数枚登録する登録ステップと、前記登録画像間の変位を表す変位情報を取得する変位情報取得ステップと、前記登録画像の表示処理を行う比較表示ステップと、を前記コンピュータに実行させる、眼科用画像観察プログラムであって、前記比較表示ステップは、複数枚の前記登録画像のいずれかである第1画像の一部または全体をモニタ上の第1表示領域において不透過な態様で択一的に表示させる第1表示制御ステップと、前記第1表示領域に前記第1画像が表示された状態で、前記第1表示領域に表示するものとして選択される画像を、前記第1画像から、複数枚の前記登録画像のいずれかであって前記第1画像とは異なる第2画像へと切換えるための、切換指示を受け付ける指示受付ステップと、前記第1表示領域において示される被検眼上の領域が前記第1画像と一致するように前記変位情報に基づいて調整された前記第2画像の一部または全体を、前記切換指示に基づいて前記第1表示領域において不透過な態様で択一的に表示させる第2表示制御ステップと、を含み、前記登録ステップでは、前記第1表示制御ステップにおいて前記登録画像が表示される画面とは異なる操作画面において、前記複数枚の眼科用2次元画像に対して、個別に、前記登録画像として登録するか否かに関する操作を受け付ける
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の眼科用2次元画像を、良好に見比べやすい表示が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る眼科用画像観察システムの概要を示すブロック図である。
図2】眼科用画像観察プログラムに基づく動作の流れを示したフローチャートである。
図3】第1ビュワー画面における第1の表示態様を示した図である。
図4】第1ビュワー画面における第2の表示態様を示した図である。
図5】第2ビュワー画面における第1の表示態様を示した図である。
図6】第2ビュワー画面における第2の表示態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における1つの実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、実施形態に係る眼科用画像観察システムを説明する。眼科用画像観察システムは、被検眼を撮影し、撮影結果である、眼科用2次元画像を表示するために利用される。
【0011】
本実施形態において、眼科用画像観察システムは、コンピュータ1と、眼科撮影装置100と、を含む。コンピュータ1と、眼科撮影装置100とは、有線または無線で接続されており、相互に通信可能である。これにより、眼科撮影装置100からコンピュータ1へ眼科用2次元画像を送受信できる。実施形態に係る眼科用画像観察プログラムは、コンピュータ1のプロセッサによって読み出し可能な、不揮発性メモリに格納されている。以下、説明される本実施形態では、眼科撮影装置100と、コンピュータ1とが、別体である。ただし、2つの装置は、一体化されていてもよい。
【0012】
このように、実施形態の説明では、一例として、コンピュータ1と、眼科撮影装置100とが、1対1の関係である場合について説明する。但し、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、コンピュータ1は、複数の眼科撮影装置と通信可能であってもよく、複数の眼科撮影装置のそれぞれで撮影された眼科用2次元画像を、コンピュータ1は取得可能であってもよい。
【0013】
<眼科撮影装置>
眼科撮影装置100は、少なくとも、撮影光学系(図示せず)を有する。この撮影光学系では、被検眼の眼底を光で照射したのちに眼底からの戻り光が受光素子によって受光される。本実施形態では、受光素子からの受光信号に基づいて眼科用2次元画像が形成される。眼科用2次元画像は、眼科撮影装置100の画像処理回路(例えば、ICおよびプロセッサ等)によって形成される。なお、画像処理回路は、眼科撮影装置100に備え付けされている必要はない。例えば、コンピュータ1の画像処理回路が、眼科撮影装置100の画像処理回路を兼ねていてもよい。
【0014】
本実施形態において、眼科撮影装置100は、眼科用2次元画像を撮影する。眼科用2次元画像は、例えば、正面画像であってもよいし、1つの切断面についての断層画像(断面画像)であってもよい。以下の説明では、特に断りが無い限り、眼底正面画像が、眼科用2次元画像の一例として、利用(取得、および、処理)されるものとして説明する。
【0015】
眼科撮影装置100は、眼底カメラであってもよいし、走査型眼底撮影装置(例えば、SLO:scanning light ophthalmoscope)であってもよいし、光干渉断層計(OCT:optical coherence tomography)であってもよいし、これらのうち幾つかを組み合わせた装置であってもよい。
【0016】
眼科撮影装置100は、複数の撮影方法で、眼底正面画像を撮影してもよい。各々の撮影方法の間で、利用する光の波長帯、(造影撮影の場合は)造影に利用される物質、および、撮影原理のうち、少なくともいずれかが、互いに異なっていてもよい。
【0017】
例えば、眼科撮影装置100は、赤外光による反射画像(以下、IR画像と称する)、および、複数色の可視光による反射画像(以下、カラー画像と称する)の少なくとも何れかが撮影可能であってもよい。更には、単色の可視光による反射画像を撮影可能であってもよい。この場合、2色以上の可視光のそれぞれで反射画像を撮影可能であってもよい。
【0018】
また、例えば、眼科撮影装置100は、例えば、インドシアニングリーン造影撮影(ICGA)、および、フルオレセイン造影撮影(FA)、のいずれかの撮影方法で、蛍光造影画像を撮影可能であってもよい。2種類の造影剤を同時に静注することにより、2種類の蛍光造影画像が同時に撮影されてもよい。以下では、インドシアニングリーンの蛍光発光に基づく画像を、ICGA画像と称し、フルオレセインの蛍光発光に基づく画像を、FA画像と称する。
【0019】
また、例えば、眼科撮影装置100は、自発蛍光画像(FAF画像)を撮影可能であってもよい。FAF画像として、青色の光を励起光とするB-FAF画像と、緑色の光を励起光とするG-FAF画像とが撮影可能であってもよい。
【0020】
更に、例えば、眼科撮影装置100は、OCT正面画像を撮影可能であってもよい。OCT正面画像は、例えば、3次元OCTデータを深さ方向に関して平均化したen-face画像であってもよいし、特定の層についての正面画像であってもよい。また、これらのOCT正面画像は、機能OCT画像であってもよく、より具体的な一例であるモーションコントラスト画像(MC画像)であってもよい。モーションコントラスト画像は、モーションコントラストOCTデータに基づいて生成される。モーションコントラスト画像として、例えば、疑似的な血管造影画像(OCTアンジオ画像)を得ることができる。
【0021】
カラー画像、蛍光造影画像(FA画像およびICGA画像)、FAF画像、および、OCT正面画像、の一部または全部は、IR画像と、同時に撮影可能であってもよい。ここでいう同時とは、完全同時に限定されない。すなわち、若干の時間差が許容される。時間差は、例えば、2種類の眼底正面画像が撮影される間に、有意な眼の動きが生じない程度の範囲で設定されてもよい。
【0022】
<コンピュータ>
コンピュータ1は、少なくとも、眼科撮影装置100によって撮影される各種の眼底正面画像を取得して、モニタ80に表示させる。コンピュータ1は、少なくとも、演算制御部70を備える。演算制御部70は、コンピュータ1のプロセッサである。演算制御部70は、図1に示すように、CPU、RAM、および、ROM等によって構成されてもよい。演算制御部70は、眼底正面画像の表示制御のほか、眼底正面画像に関する各種処理を、眼科用画像観察プログラムに基づいて実行する。
【0023】
図1に示すように、コンピュータ1の演算制御部70は、データバス等を介して、メモリ71、操作部75、モニタ80、および、眼科撮影装置100等と接続される。
【0024】
本実施形態において、メモリ71は、不揮発性の記憶装置である。例えば、ハードディスクあるいはフラッシュメモリ等が、メモリ71として適用可能である。本実施形態において、眼科用画像観察プログラムは、メモリ71に予め記憶されている。メモリ71は、書き換え可能であってもよい。この場合、以下の実施例において説明するように、メモリ71には、眼科撮影装置100から取得される各種の眼底正面画像が記憶されてもよい。但し、眼底正面画像は、眼科用画像観察プログラムが記憶されたメモリとは、別体のメモリ(図示せず)に記憶されてもよい。
【0025】
操作部75は、コンピュータ1の入力インタフェースである。演算制御部70は、操作部75への操作入力に応じた信号を受け付ける。
【0026】
便宜上、以下の説明における各種操作は、操作部75としてマウスが利用されることを前提としたものである。但し、操作部75は、他の種々のデバイスであってもよい。例えば、タッチパッド、および、キーボードのうちの少なくとも1つが、操作部75として利用されてもよい。
【0027】
モニタ80は、本実施形態において、眼科撮影装置100によって撮影された画像の表示部(表示デバイス)として利用される。モニタ80は、例えば、汎用のモニタあってもよいし、装置に備え付けのモニタであってもよい。モニタ80に代えて、ヘッドマウントディスプレイ等の他の表示デバイスが、表示部として利用されてもよい。
【0028】
<動作説明>
次に、図2に示すフローチャートに沿って、眼科用画像観察システムの動作を説明する。フローチャートの各処理は、眼科用画像観察プログラムに基づいて、コンピュータ1によって実行されてもよい。
【0029】
<S1:取得ステップ>
まず、眼科撮影装置100によって複数枚の眼底正面画像が撮影される。撮影された眼底正面画像は、撮影方法、および、撮影日時を示す識別情報と対応付けて装置のメモリへ記憶される。また、蛍光造影画像、および、蛍光造影画像と同時に取得されるIR画像については、撮影時の造影タイマの計測時間を示す情報が、更に、対応づけられていてもよい。
【0030】
その後、撮影された眼底正面画像が、コンピュータ1によって取得される(S1)。ここでいう「取得」は、コンピュータ1のプロセッサからアクセス可能なメモリ(ここでは、メモリ71)に、対象のデータ(ここでは、眼底正面画像のデータ)が保存されること、である。複数枚の眼底正面画像の一部または全部の間で、撮影方法が互いに異なっていてもよい。また、複数枚の眼底正面画像の一部または全部の間で、撮影日、および、造影における時相のいずれかが、互いに異なっていてもよい。また、コンピュータ1は、眼底正面画像と共に、該画像と対応付けられている各種情報(例えば、撮影方法、撮影日時、および、造影タイマの計測時間等)を取得してもよい。
【0031】
<S2:比較用画像の登録>
次に、S1の処理の結果として取得された複数枚の眼底正面画像の中から、比較表示用の画像である登録画像(比較用画像とも称する)が、複数枚登録される(S2)。このとき、それぞれの登録画像の間で、被検眼上の撮影範囲は、略一致していることが好ましい。勿論、S1の結果として取得された複数枚の眼底正面画像の間で、撮影範囲が略一致していてもよい。
【0032】
登録画像は、例えば、S1の結果として取得された複数枚の眼底正面画像の中から、検者からの登録操作に基づいて選択されてもよい。この場合、コンピュータ1は、登録操作を受け付けるための操作画面を、モニタ80上に表示させると共に、操作画面を介して登録操作を受け付けてもよい。このとき、S1の結果として取得された複数枚の眼底正面画像が操作画面上には表示されていてもよい。また、操作画面上では、それぞれの眼底正面画像に対して、個別に、登録画像として登録するか否かに関する操作を受け付け可能であってもよい。
【0033】
図3図4に、操作画面の一例を示す。図3,4に示した操作画面は、第1ビュワー画面とも称する。図3図4の操作画面には、複数枚の眼底正面画像の他、各種ウィジェットが配置される。ここでいうウィジェットは、GUIのインタフェース部品(UIパーツ)の総称であり、コントロールとも称する。ウィジェットの具体例としては、ボタン、スライダー、チェックボックス、テキストボックス、等、多用なものが知られている。
【0034】
図3図4の操作画面には、複数のタブ211~216が、表示領域201の上部に配置されている。タブの選択操作に応じて、表示領域201(それぞれ図3図4参照)の内容が、切換わる。
【0035】
タブ212~216(ICGAタブ212、FAタブ213、Colorタブ214、FAFタブ215、および、OCT(Angio)タブ216)は、それぞれの撮影方法と対応している。タブ212~216のうち、いずれかが選択されることで、表示領域201には、互いに異なる撮影方法で撮影された複数の眼底正面画像のうち、いずれかの撮影方法(ここでは、タブを介して選択された撮影方法)による眼底正面画像が、選択的に並べられる(図3参照)。
【0036】
このとき、眼底正面画像を登録画像として登録するための操作が、表示領域201へ表示される眼底正面画像毎に受け付け可能である。図3に示すように、表示領域201における各々の眼底正面画像の周囲(図では上部)に、チェックボックス237が配置されてもよい。チェックボックス237を選択して、チェックが付いた眼底正面画像が、登録画像として登録される。
【0037】
タブ211が選択されると、コンピュータ1は、事前に登録されている登録画像を表示領域201上に並べて表示させる(図4参照)。このとき、撮影方法が互いに異なる複数の眼底正面画像が混在して並べられ得る。各々の眼底正面画像は、撮影方法毎に事前にピックアップされたものなので、表示領域201上に、撮影方法が互いに異なる複数の眼底正面画像が混在しても、閲覧しやすい。
【0038】
しかしながら、図4に示すように、1つの画面上に複数枚の眼底正面画像が並べて表示されるような表示態様では、検者が画像同士を比較するうえで、各領域の対応関係が直感的に把握し難い。すなわち、このような表示態様では、それぞれの画像が離れた位置に配置されているため、ある画像の一領域と対応する領域を他の画像において正確に特定することが難しい。また、対応する領域間の差異が微細である場合には、その差異を把握することも難しい。
【0039】
これに対し、本実施形態では、登録画像について、図5および図6で示すような態様で、比較表示が行われる。例えば、操作画面におけるボタン250が選択されることによって、比較表示が行われてもよい。
【0040】
<S3:登録画像間の変位情報の検出処理>
比較表示が行われるうえで、登録画像間の変位情報が、コンピュータ1によって取得される。変位情報は、登録画像間の変位(位置ズレ量)を少なくとも含む。追加的に、変位情報には、回転、歪み、及び、倍率に関する情報が含まれていてもよい。
【0041】
このとき、各々の登録画像と同時に撮影されたIR画像間の変位を、登録画像間の変位として適用してもよい(より詳しくは、例えば、本出願人による特開2016-59400号公報を参照)。IR画像間の変位は、正規化相互相関法、および、位相限定相関法、等の各種マッチング処理に基づいて取得されてもよい。また、同時に撮影されたIR画像ではなく、登録画像そのもの(または、登録画像における特定の波長成分)と、他の登録画像(または、その特定の波長成分)或いは他の登録画像と同時に撮影されたIR画像と、の間で、マッチング処理を実行することによって、変位情報を取得してもよい。
【0042】
なお、図2に示したフローチャートでは、このような変位情報の検出処理が、登録画像の登録後に実行されるものとして示している。但し、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、図3図4の操作画面が表示される以前において、予め変位情報が取得されていてもよい。この場合、S1の処理によって取得される眼底正面画像の間における変位情報が、上記のようなマッチング処理の結果として、予め取得されていてもよい。また、この場合において、上記のマッチング処理は、必ずしもコンピュータ1によって実行される必要はなく、眼科撮影装置100によって実行され、その結果として得られる変位情報が、各画像と対応付けられた状態で、コンピュータ1へ取得されてもよい。
【0043】
また、登録画像間の変位情報を求める手法として、次のような手法が適用されてもよい。すなわち、2枚の登録画像における対応点を、選択操作に基づいて複数点選択(プロット)したうえで、対応点間の変位に基づいて、2枚の登録画像間の変位(例えば、位置ズレ、回転、歪み、及び、倍率)をコンピュータ1が演算し、取得してもよい。なお、対応点としては、例えば、黄斑、乳頭、および、血管の交点等の2枚の登録画像において共通する特徴点が選択されてもよい。
【0044】
<S4:登録画像の比較表示>
事前に登録された登録画像については、図5図6で示すような態様で、比較表示が行われる。このときの画面を、便宜上、比較画面(第2ビュワー画面ともいう)と称する。画面上には、少なくとも比較用表示領域301が設定される。
【0045】
<第1表示制御ステップ>
まず、事前に登録された複数枚の登録画像のいずれか(便宜上、第1画像と称する)が、比較用表示領域301において択一的に表示される。このとき、比較用表示領域301には、第1画像の画像全体が表示されてもよいし、画像の一部が表示されてもよい。
【0046】
第2ビュワー画面上には、更に、参照用表示領域302が設定されていてもよい。参照用表示領域302は、比較用表示領域301と異なる位置に配置される。参照用表示領域302には、参照用画像が表示されてもよい。参照用画像は、比較用表示領域301に表示される登録画像と対応する眼底上の位置を把握するために、検者によって参照される。
【0047】
参照用画像として、例えば、いずれかの登録画像の画像全体が表示されてもよい。参照用画像は、予め定められた撮影方法による眼底画像であってもよい。例えば、カラー眼底画像の画像全体が、参照用画像として表示されてもよいし、いずれかの登録画像と同時に撮影されたIR画像が表示されてもよい。
【0048】
また、参照用画像は、比較用表示領域301における表示内容に関わらず、一定であってもよい(固定されていてもよい)。このとき、参照用画像における撮影方法および表示範囲の一方または両方が一定であってもよい。例えば、比較用表示領域301に表示される登録画像がいずれの撮影方法であるかに関わらず、参照用画像としてカラー眼底画像の画像全体が表示されてもよい。
【0049】
参照用画像では、比較用表示領域301において示される被検眼上の領域が強調されてもよい。例えば、図4において、参照用表示領域302に示された選択枠303によって、比較用表示領域301における比較用画像の表示範囲が示されると共に、強調されている。比較用表示領域301において、眼底上のいずれの位置が描画されているかを、検者は、参照用画像および選択枠303によって把握できる。
【0050】
本実施形態の説明では、特に断りが無い限り、参照用画像は、いずれかの登録画像と同一の画角で撮影された眼底画像であるものとして説明するが、必ずしもこれに限られるものでない。参照用画像は、登録画像と異なる画角で(好ましくは、より広角で)撮影された眼底画像であってもよい。より広角な眼底画像が参照用画像として利用されることで、参照用画像を介して、登録画像によって示される眼底上の部位を、検者がより好適に把握しやすい。
【0051】
また、本実施形態の説明では、特に断りが無い限り、参照用画像は、眼科撮影装置100によって撮影されたいずれかの画像である。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、眼科撮影装置100とは別体の撮影装置によって撮影された被検眼の眼底画像であってもよい。
【0052】
<第2指示受付ステップ>
ここで、ここで、コンピュータ1は、比較用表示領域303における第1画像の表示範囲を変更するための範囲変更指示を、受け付けてもよい(第2指示受付ステップ)。一例として、参照用画像が、第1画像の表示範囲を変更するために利用されてもよい。
【0053】
例えば、範囲変更指示は、上述の選択枠303(ウィジェットの一例)に対する操作に基づいて受け付けてもよい。選択枠303は、ポインティングデバイスを介した操作(具体的には、制御点に対するドラッグ操作等)によって変形(ここでは、拡大・縮小)可能であってもよい。選択枠303への操作と連動して、比較用表示領域301における比較用画像の表示範囲が変更されてもよい。なお、選択枠303を介した操作は、範囲変更指示を受け付ける手法の一例に過ぎず、他の操作に基づいて範囲変更指示を受け付けてもよい。範囲変更指示を受け付けた場合に、比較用表示領域301における第1画像の表示範囲が、範囲変更指示に基づいて変更される結果、検者の所望の領域が比較用表示領域301において表示される。
【0054】
比較用表示領域303における登録画像の一部を拡大表示(ズーム表示)する際に、登録画像のうち予め定められた部位を拡大し、表示してもよい。このとき、黄斑部、および、乳頭部等の特定部位が、拡大表示(ズーム表示)の対象として予め定められていてもよい。特定部位は、画像処理によって自動的に検出されてもよいし、検者によって手動で設定可能であってもよい。また、複数の部位が、拡大表示(ズーム表示)の対象として予め定められていてもよく、第2の範囲変更指示に基づいて、拡大表示される部位が切換えられてもよい。
【0055】
<指示受付ステップ>
コンピュータ1は、表示領域301に第1画像が表示された状態で、表示領域301に表示される画像を、第1画像から、他の登録画像(便宜上、第2画像と称する)へと切換えるための、切換指示を受け付け可能である。本実施形態において切換指示は、種々の操作に基づいて受け付け可能であってもよい。切換指示のために操作部75に対して入力される操作を、以下、切換操作と称する。
【0056】
例えば、第2ビュワー画面上には、切換指示を受け付けるためのウィジェットとして、画像選択ボタン311~315が設けられている。図5図6に示す画像選択ボタン311~315は、例えば、登録画像における撮影方法毎に設けられている。但し、必ずしもこれに限られるものでは無く、画像選択ボタンは、登録画像毎に設けられていてもよい。
【0057】
図5図6に示した画像選択ボタン311~315(FAボタン311、ICGAボタン312、OCT(Angio)ボタン313、Colorボタン314、および、FAFボタン315)は、それぞれの撮影方法と対応している。画像選択ボタン311~315のうち、いずれかが選択されることで、比較用表示領域301には、互いに異なる撮影方法で撮影された複数の登録画像のうち、いずれかの撮影方法(ここでは、タブを介して選択された撮影方法)による登録画像が、択一的に表示される。画像選択ボタン311~315のうち選択中のボタンには、選択中マーク321が表示される。第1の切換操作を受け付けると、画像選択ボタン311~315の並び順に従って、選択中マーク321が、画像選択ボタン311~315の間で移動される。なお、一番下のボタンと一番上とのボタンの間でマーク321がループされてもよい。選択中マーク321の移動に伴って、比較用表示領域301へ表示される登録画像が切換えられる。
【0058】
また、1つの撮影方法に対して複数枚の登録画像が存在する場合には、マーク322が付される。マーク322が付されたボタンが選択された状態で、第2の切換操作を受け付けると、選択された撮影方法による複数枚の登録画像が、比較用表示領域301において、撮影順に(つまり、時系列に)切換えられて表示される。このとき、第2の切換操作は、第1の切換操作とは、異なる操作であってもよい。
【0059】
なお、各切換操作(切換指示のために操作部75に対して入力される操作)の具体例は後述する。
【0060】
<第2表示制御ステップ>
第2表示制御ステップでは、上述の切換指示に基づいて、新たに選択された登録画像(便宜上、第2画像と称する)が、第1画像から切換えられて比較用表示領域301へ表示される(例えば、図5図6)。このとき、比較用表示領域301には、第2画像の一部または全体であって、比較用表示領域301において示される被検眼上の領域が第1画像と一致するように調整されたものが表示される。調整は、S3の処理によって取得された変位情報(例えば、第1画像と第2画像とのそれぞれの変位情報)に基づいて行われる。
【0061】
範囲変更指示(例えば、選択枠303の操作による指示)に基づいて比較用表示領域301における第1画像の表示範囲が変更されている場合、第2表示制御ステップでは、第1画像における変更後の表示範囲を引き継ぐように、第2画像の表示範囲を調整して、第2画像が比較用表示領域301へ表示される。つまり、第2画像の一部または全体であって、比較用表示領域301において示される被検眼上の領域が、切換直前の第1画像と一致するように調整される。
【0062】
一例として、図5図6における第2ビュワー画面においては、予め(切換指示が入力される前から)、変位情報に基づいて、それぞれの登録画像間の位置関係が予め調整されている。詳細には、それぞれの登録画像に対して、変位情報に基づく位置合わせ処理が行われており、位置合わせされた状態で、それぞれの登録画像が、互いに異なるレイヤーに配置されている。このような表示態様では、最前面のレイヤーに、選択中の登録画像が配置され、表示されることで、登録画像の択一的な表示が実現される。このとき、選択中の登録画像は、より後面側のレイヤーに配置された画像が不透過となるように、透明度が調整されてもよい。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、切換指示の都度、第1画像と第2画像との間において位置合わせ処理が実行されてもよい。
【0063】
位置合わせ処理では、比較用表示領域301と対応する範囲に限定して、第1画像と第2画像との間の位置合わせが行われてもよい。この場合、画像全体ではなく、一部の範囲に限定して、位置合わせが行われる。第1画像と第2画像とのそれぞれの撮影の間で固視がずれていると、各画像において異なる歪みが生じる。第1画像と第2画像との間の歪み方の違いは、画像全体間での位置合わせの精度を低下させる。そこで、比較用表示領域301と対応する範囲に限定して第1画像と第2画像との間の位置合わせを行うことで、上記の歪みに起因する位置合わせ制度の低下を防ぐことができる。なお、固視のズレは、眼底中心領域と比べて、眼底周辺領域での歪み方の違いに、より大きな影響を与える。よって、登録画像(第1画像と第2画像)の画角が大きな場合ほど、比較用表示領域301と対応する範囲に限定して、位置合わせを行うことは有用である。
【0064】
比較用表示領域301に表示される第2画像は、新たな第1画像としても利用可能である。つまり、<指示受付ステップ>の項目で示した各種の切換操作を受け付けることで、比較用表示領域301に対し、更に別の登録画像が新たな第2画像として(また、更にその次の第1画像として)表示される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、比較用表示領域301に表示される画像が、第1画像から第2画像へ切換わるときに、第2画像は、比較用表示領域301において示される被検眼上の領域が切換直前の第1画像と一致するように調整されている。それ故、第1画像と第2画像との間における各領域の対応関係が、直感的に把握されやすい。また、第1画像と第2画像との間の差異が、視覚情報の変化として容易に把握されやすい。その結果、本実施形態の切換表示によって、検者は、複数の登録画像を良好に見比べることができる。
【0066】
<より好ましい切換操作について>
検者が比較用表示領域301を注視したまま、第1画像と第2画像との切換表示が行われることが望ましい。これに対し、本実施形態において各々の切換操作は、比較用表示領域301に表示される登録画像を切換る都度で、比較用表示領域301の領域外においてポインタの移動を必要としない操作であってもよい。例えば、毎回の切換操作は、ポインタの位置に関わらず入力可能な操作であってもよい。このような切換操作の1つの具体例は、マウスホイールのスクロール操作であってもよい。この場合、ホイールスクロールに応じて、比較用表示領域301に表示される登録画像が、所定の切換順序で切換表示されてもよい。また例えば、毎回の切換操作は、ポインタを一定位置に配置した状態で入力可能な操作であってもよい。この場合、モニタ80上に固定配置されたボタンをクリックする度に、比較用表示領域301に表示される登録画像が、所定の切換順序で切換表示されてもよい。或いは、毎回の切換操作でポインタの移動を必要とする場合、切換操作は、比較用表示領域301内での操作に留まるものであってもよい。例えば、操作部75がタッチパネルである場合において、比較用表示領域301内でのスワイプ操作が、切換操作として利用されてもよい。
【0067】
切換操作が、比較用表示領域301の領域外においてポインタの移動を必要としない操作であることで、検者が比較用表示領域301を注視したまま、複数枚の登録画像を見比べることができる。その結果、複数の登録画像の間における差異を、より良好に把握することができる。
【0068】
また、各々の切換操作は、ワンアクションの操作であることが好ましい。ここでいうワンアクションの操作は、比較用表示領域301上の登録画像を切換えるうえで求められる唯一の操作である。換言すれば、登録画像を切換るうえで、該操作が行われてから確認が要求されない。切換操作の都度、確認が要求されないので、検者が比較用表示領域301から視線を切ること無く、比較用表示領域301での切換表示によって、複数枚の登録画像を見比べることが容易になる。
【0069】
<切換順序の設定>
本実施形態では、2枚の登録画像の間の切換順序が2つ以上離れていると、その2枚の登録画像を見比べるうえで、それら2枚の登録画像が比較用表示領域301に表示される間に、他の画像が表示されたり、ポインタを動かして画像選択ボタン311~315の選択操作を行ったりする必要が生じてしまう。このため、2枚の登録画像の間の切換順序が連続する場合と比べて、対応関係および差異を把握し難くなると考えられる。
【0070】
これに対し、本実施形態では、S2の処理によって登録されたそれぞれの登録画像の間における、表示領域301に表示される優先順位(切換順序)は、入れ替え指示に基づいて、入れ替え可能であってもよい。検者が見比べたい登録画像の切換順序を連続させることで、2枚の登録画像が直接的に切換えられて表示されるようになる。結果、比較用表示領域301における切換表示によって、登録画像を良好に見比べやすくなる。
【0071】
例えば、図5図6に示す第2ビュワー画面においては、画像選択ボタン311~315の配置順序が、ドラッグ&ドロップによって、入れ替え可能であってもよい。画像選択ボタン311~315の配置順序に応じて、撮影方法が互いに異なる登録画像の間での切換順序が設定(変更)可能であってもよい。勿論、これは一例に過ぎず、切換順序の入れ替え指示は、他の方法によって受け付けてもよい。例えば、撮影方法が互いに異なる登録画像の間での切換順序の初期設定が、予め任意に設定可能であってもよい。これは、施設において登録画像の種別が固定化されている場合に有用と考えられる。
【0072】
また、それぞれの登録画像における撮影方法が考慮されて、それぞれの登録画像の間における切換順序が、自動的に調整されてもよい。例えば、蛍光造影画像(FA画像およびICGA画像)と、OCTアンジオ画像とは、血流を造影する点で撮影方法が共通し、これらを見比べることで、血流の状態を、より多角的に把握できることが期待される。そこで、登録画像において、蛍光造影画像(FA画像およびICGA画像)と、OCTアンジオ画像とが混在している場合、これらが隣接する切換順序となるように、切換順序が調整されてもよい。
【0073】
また、反射画像においては、照明光の波長に起因する眼底での深達度に応じて、切換順序が調整されてもよい。例えば、波長域が互いに異なる複数の単色光のそれぞれについての反射画像が登録画像として登録されている場合において、照明光の深達度がより浅い反射画像からより深い反射画像の順に、或いは、その逆に、切換順序が調整されてもよい。具体例として、R(赤)、G(緑)、B(青)、の各波長の光による3種類の反射画像が登録画像としてそれぞれ登録されている場合について説明する。ここで、R(赤)の光は網膜深層まで到達する。B(青)の光は網膜表層まで到達する。R(赤)の光は網膜深層まで到達する。G(緑)の光は、B(青)の光とR(赤)の光との中間的な深さまで到達する。このため、R(赤)による反射画像⇒G(緑)による反射画像⇒B(青)による反射画像の順、或いは、その逆順に、切換順序が設定されてもよい。
【0074】
<第1,第2ビュワー画面における各種ウィジェット>
その他のウィジェットとして、図3図6に示す各ビュワー画面には、左右眼切換ボタン231、経過観察ボタン232、データ出力ボタン234、および、画像編集ボタン235等が配置されている。
【0075】
左右眼切換ボタン231は、ビュワー画面に表示される眼底正面画像を、右眼を撮影したものと、左眼を撮影したものとの間で切換えるために操作される。
【0076】
経過観察ボタン232は、撮影日の異なる眼底正面画像を、第1ビュワー画面における表示領域201上に並列表示するために操作される。経過観察ボタン232を操作した後、更に、撮影日を指定する操作を受付可能となる。本実施形態では、このとき指定された撮影日の眼底正面画像が、既に表示領域201へ表示されている眼底正面画像と並列表示される。これにより、互いに異なる撮影日に撮影された眼底正面画像のそれぞれを登録画像として登録でき、第2ビュワー画面を介して見比べる(経過観察を行う)ことができる。
【0077】
データ出力ボタン233は、ビュワー画面において選定、編集等された眼底正面画像を、出力するために操作される。例えば、ボタン233を操作した場合、所定のレポート形式で出力されてもよい。出力は、表示出力であってもよいし、データ出力であってもよいし、印刷出力であってもよい。
【0078】
画像編集ボタン234は、表示領域に表示される眼底正面画像であって、検者によって選択された画像を、編集する際に操作される。画像編集ボタン234を介して、例えば、ブライトネス、コントラスト補正、および、ガンマ補正、鮮鋭化、および、平滑化等の各種画像処理の実行を受け付けてもよい。
【0079】
「変容例」
以上、実施形態に基づいて説明を行ったが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、上記実施形態に対する種々の変容形態を含みうる。
【0080】
<他のモダリティとの比較表示>
上記実施形態に対して、追加的に、部位ごとの網膜視感度を示すマップ(換言すれば、網膜における視感度分布)が、比較用表示領域301において表示可能であってもよい。視感度分布は、例えば、視野計、ERG(electroretinogram)、および、FRG(functional retinography)のうちいずれかの検査結果であってもよい。なお、視野計は、静的視野計(例えば、ハンフリー視野計、および、マイクロペリメータ等)であってもよいし、動的視野計(例えば、ゴールドマン視野計等)であってもよい。
【0081】
この場合、視感度分布は、比較用表示領域301において表示される登録画像へ重畳表示されてもよい。このとき、登録画像および視感度分布のいずれかが透過表示されてもよい。
【0082】
追加的に比較用表示領域に表示される検査結果は、視感度分布に限られるものではなく、他のモダリティによる検査結果であってもよい。
【0083】
<登録画像に登録する条件の事前設定>
上記実施形態では、コンピュータ1によって取得される各種眼底正面画像を登録画像として登録するためには、ビュワー画面上での登録操作が、画像毎に要求される。
【0084】
これに対し、事前に登録画像として登録すべき条件を設定しておくことによって、コンピュータ1によって取得される眼底正面画像のうち、条件に合致する画像が、事前に登録画像として登録されてもよい。このような画像は、ビュワー画面を介した登録操作を要することなく、ビュワー画面上で登録画像として表示されてもよい。
【0085】
事前に設定される条件は、例えば、以下の3つの条件から選択可能であってもよい。これらの条件は、撮影方法毎に設定可能であってもよい。
第1の条件:特定の撮影方法で撮影されたすべての画像を、登録画像として登録する。
第2の条件:蛍光造影画像において所定の経過時間で得られた画像を、登録画像として登録する。
第3の条件:登録画像の事前登録は行わない。
【0086】
第1の条件は、カラー画像、自発蛍光画像、IR画像に適している。1日の撮影におけるこれらの画像の撮影回数は、蛍光造影画像と比べて、一般的に、少ないので、各眼底正面画像は、いずれも、デフォルト設定において、登録画像として登録されていることで、登録画像の設定作業に要する検者の負担が軽減される。
【0087】
第2の条件は、施設において造影検査がルーチンワーク化される際に有用である。なお、第2の条件における経過時間は、任意の時間が設定可能であってもよいし、複数設定可能であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6