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特許7421066タイヤ空気圧管理システム、及びタイヤ空気圧管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧管理システム、及びタイヤ空気圧管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240117BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240117BHJP
   B60C 23/02 20060101ALI20240117BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/10
B60C23/02
G01L17/00 301Q
G01L17/00 301P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019191967
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021068104
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 顕一
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/140954(WO,A1)
【文献】特開2002-132994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B60C 23/02
G01L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の共用車両が有するタイヤにそれぞれ設けられて各タイヤの空気圧を検知する空気圧センサと、前記共用車両の各タイヤの空気圧を統合的に管理する空気圧管理装置と、を備え、
前記空気圧管理装置は、前記空気圧センサが検知した前記共用車両の各タイヤの空気圧情報を取得する空気圧情報取得部と、
前記共用車両の利用予定情報を取得する利用予定情報取得部と、
取得した前記空気圧情報及び前記利用予定情報に基づいて、利用後に所定の駐車地に駐車される前記共用車両に対して前記タイヤの空気圧のメンテナンス計画を作成するメンテナンス計画作成部と、を備え、
複数の前記共用車両が有する前記タイヤの空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下であり、かつ、これら共用車両が利用後に所定の範囲内に存在する複数の前記駐車地にそれぞれ駐車される場合、
前記メンテナンス計画作成部は、これら共用車両を一群とし、前記駐車地ごとに、利用終了時刻の早い前記共用車両から順次、前記タイヤの空気圧のメンテナンスを実施するように順序づけ、各駐車地を順番に巡回する経路を含む前記メンテナンス計画を作成することを特徴とするタイヤ空気圧管理システム。
【請求項2】
前記メンテナンス計画は、複数の前記駐車地を巡回する経路に関する経路情報と、メンテナンス対象の前記共用車両の車両情報とを含み、
前記空気圧管理装置は、前記メンテナンス計画を作業員の端末装置に送信する通信部を備えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項3】
前記共用車両の利用中に、前記タイヤの空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合、
前記空気圧管理装置は、前記共用車両から最寄りのサービス店の位置情報を該共用車両に通知することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項4】
前記共用車両は、不特定多数のユーザに貸出利用可能な車両であり、前記駐車地は前記共用車両を利用後に返却する返却地であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項5】
複数の共用車両が有する各タイヤの空気圧を検知するステップと、
検知した前記共用車両の各タイヤの空気圧情報を取得するステップと、
前記共用車両の利用予定情報を取得するステップと、
取得した前記利用予定情報及び前記空気圧情報に基づいて、利用後に所定の駐車地に駐車される前記共用車両に対して空気圧のメンテナンス計画を作成するステップと、
をコンピュータに実行させ、
複数の前記共用車両が有する前記タイヤの空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下であり、かつ、これら共用車両が利用後に所定の範囲内に存在する複数の前記駐車地にそれぞれ駐車される場合、
前記メンテナンス計画を作成するステップでは、これら共用車両を一群とし、前記駐車地ごとに、利用終了時刻の早い前記共用車両から順次、前記タイヤの空気圧のメンテナンスを実施するように順序づけ、各駐車地を順番に巡回する経路を含む前記メンテナンス計画を作成する、ことを特徴とするタイヤ空気圧管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の共用車両のタイヤの空気圧を管理するタイヤ空気圧管理システム、及びタイヤ空気圧管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カーシェアリング事業体、レンタカー事業体、もしくは会社組織などにおいては、シェアリングカー、レンタカー、社用車などの共用車両を多数保有している。この種の共用車両は、様々なユーザが利用するため、良好な状態でこれら車両を利用可能とすることが好ましい。このため、従来、共用車両を保有している事業体(例えばカーディーラ)がアクセス可能なサーバに車両のメンテナンス情報を履歴形式で記憶し、この事業体がその情報を参照して車両のメンテナンスを適宜行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-117076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した共用車両では、利用前にタイヤの空気圧を適正値に調整して車両の走行安定性や燃費の向上を図ることが好ましい。しかしながら、上記した従来技術は、メンテナンスとしてオイル交換や故障修理などを行っているものの、タイヤの空気圧を調整または管理するものではない。また、上記メンテナンスは、車両が返却された際に行われるものではないため、次に車両を利用する際にタイヤの空気圧が適正値であると限らず、ユーザに損害を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、共用車両を利用する際にタイヤの空気圧を適正に管理することができるタイヤ空気圧管理システム、及びタイヤ空気圧管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤ空気圧管理システムは、複数の共用車両が有するタイヤにそれぞれ設けられて各タイヤの空気圧を検知する空気圧センサと、前記共用車両の各タイヤの空気圧を統合的に管理する空気圧管理装置と、を備え、前記空気圧管理装置は、前記空気圧センサが検知した前記共用車両の各タイヤの空気圧情報を取得する空気圧情報取得部と、前記共用車両の利用予定情報を取得する利用予定情報取得部と、取得した前記空気圧情報及び前記利用予定情報に基づいて、利用後に所定の駐車地に駐車される前記共用車両に対して前記タイヤの空気圧のメンテナンス計画を作成するメンテナンス計画作成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記タイヤ空気圧管理システムにおいて、複数の前記共用車両が有する前記タイヤの空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下であり、かつ、これら共用車が利用後に所定の範囲内に存在する少なくとも一つの前記駐車地に駐車される場合、前記メンテナンス計画作成部は、これら共用車両を一群とした前記メンテナンス計画を作成することが好ましい。
【0008】
また、上記タイヤ空気圧管理システムにおいて、前記メンテナンス計画は、前記駐車地までの経路、または、複数の前記駐車地を巡回する経路に関する経路情報と、メンテナンス対象の前記共用車両の車両情報とを含み、前記空気圧管理装置は、前記メンテナンス計画を作業員の端末装置に送信する通信部を備えることが好ましい。
【0009】
また、タイヤ空気圧管理システムにおいて、前記共用車両の利用中に、前記タイヤの空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合、前記空気圧管理装置は、前記共用車両から最寄りのサービス店の位置情報を該共用車両に通知することが好ましい。
【0010】
また、タイヤ空気圧管理システムにおいて、前記共用車両は、不特定多数のユーザに貸出利用可能な車両であり、前記駐車地は前記共用車両を利用後に返却する返却地であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るタイヤ空気圧管理方法は、複数の共用車両が有する各タイヤの空気圧を検知するステップと、検知した前記共用車両の各タイヤの空気圧情報を取得するステップと、前記共用車両の利用予定情報を取得するステップと、取得した前記利用予定情報及び前記空気圧情報に基づいて、利用後に所定の駐車地に駐車される前記共用車両に対して空気圧のメンテナンス計画を作成するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取得した空気圧情報及び利用予定情報に基づいて、利用後に所定の駐車地に駐車される共用車両に対するタイヤ空気圧のメンテナンス計画を作成するため、次に共用車両を利用する際にタイヤの空気圧を適正に保持することができ、共用車両のタイヤの空気圧を適正に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、タイヤ空気圧管理システムの動作手順を示すフローチャートである。
図3図3は、作成されたメンテナンス計画のリストの一例を示す図である。
図4図4は、複数のステーションの巡回経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るタイヤ空気圧管理システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムは、多数のユーザが共同利用する共用車両のタイヤ(空気入りタイヤ)の空気圧を統合的に管理し、これらタイヤの空気圧のメンテナンスを適正に実施するものである。具体的には、カーシェアリングのように、事業体が保有する多数の共用車両のタイヤの空気圧を統合的に管理して、該空気圧のメンテナンスを、例えばタイヤ販売店などのメンテナンス請負者が上記事業体に代わって実施する場合に適している。タイヤ空気圧管理システムが適用される事業は、不特定または特定の多数のユーザに共同利用される多数の共用車両を保有する事業であればよく、共用車両の貸出しは有料であっても無料であってもよい。
【0016】
カーシェアリング事業では、複数の共用車両はそれぞれステーションと呼ばれる駐車地に駐車されている。このステーションに駐車される共用車両の数や、所定領域範囲内に点在するステーションの数は、事業規模などに応じて適宜決められる。ユーザが共用車両を利用するときには、ステーションが共用車両の出発地および返却地となる。本実施形態では、タイヤの空気圧が低減した共用車両がステーションに返却されると、メンテナンス請負者の作業員がステーションに出向いて、該共用車両のタイヤ空気圧のメンテナンスを行う。この際、メンテナンス作業は、共用車両が駐車されるステーションで実施される構成とするが、このステーションと所定距離内にメンテナンスエリアを設けておき、このメンテナンスエリアに対象の共用車両を移動してメンテナンス作業を実施してもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、タイヤ空気圧管理システム100は、複数の共用車両1のタイヤ2にそれぞれ設けられたセンサ3と、複数の共用車両1にそれぞれ設けられた車両端末10と、共用車両1のタイヤ2のメンテナンスを行う作業員が携帯する作業員端末(端末装置)20と、クラウドサーバ(空気圧管理装置)30とを備える。
【0018】
車両端末10、作業員端末20及びクラウドサーバ30は、インターネット回線などの通信ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。また、クラウドサーバ30は、カーシェアリング事業体が有するカーシェアリング管理サーバ(不図示)と通信ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。このカーシェアリング管理サーバは、複数の共用車両に対するユーザの利用予約を受け付け、予約された共有車用の利用予定情報を作成する。この利用予定情報には、共用車両1の車両情報、利用開始時刻、利用終了時刻、並びに、出発地及び返却地となるステーションに関する情報を含む。図1の例では、共用車両1、車両端末10及び作業員端末20は、便宜上、それぞれ1つずつ示しているが、これら共用車両1、車両端末10及び作業員端末20は、実際にはそれぞれ複数設けられている。
【0019】
センサ3は、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)センサであり、タイヤ2の空気圧を検知する空気圧センサ3aと、タイヤ2内の空気の温度を検知する温度センサ3bとを備えて構成される。また、センサ3は、タイヤ2に作用する遠心方向加速度を検知する加速度センサを更に備えた構成としてもよい。センサ3は、それぞれタイヤ2内の内面に取り付けられている。このため、センサ3は、タイヤ2の外側空間の環境の影響を受け難くなっているとともに、センサ3付きのタイヤ2に交換するといった簡易な構成で、タイヤ2の空気圧や温度を容易に検知することが可能となる。センサ3には、それぞれセンサID(識別情報)が設定されており、センサ3のセンサIDと、該センサ3を備えるタイヤ2の車輪位置(左前輪、右前輪、左後輪または右後輪)との対応関係が車両端末10に登録されている。センサ3は、駆動電源となる電池と備えており、所定時間毎に空気圧及び温度を検知して、この検知したデータをセンサID(識別情報)とともに車両端末10に送信する。この電池の寿命は、一般的なタイヤ2の耐用年数よりも長く設定されている。センサ3から車両端末10へのデータの送信は、例えば、RF(Radio Frequency)通信のような近距離無線通信を用いることができる。
【0020】
車両端末10は、共用車両1の車体にそれぞれ搭載される。車両端末10は、図1に示すように、センサ受信部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、経路案内部15と、制御部16とを備える。また、車両端末10は、搭載された共用車両1の現在位置情報を取得できるように構成されている。センサ受信部11は、4つのタイヤ2のセンサ3からそれぞれ送信されたデータを受信する。記憶部12は、揮発性または不揮発性のメモリやHDDなどの記憶手段を備えて構成される。記憶部12には、制御部16が実施する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。本実施形態では、記憶部12は、センサ受信部11が所定時間毎に受信したデータのセンサIDから対応する車輪位置を判定し、受信したデータに含まれる各タイヤ2の空気圧及び温度を対応する各車輪位置のタイヤの空気圧及び温度の履歴情報として記憶する。なお、記憶部12には、所定期間(例えば直近6カ月)の各タイヤ2の空気圧及び温度を更新しつつ記憶してもよい。また、共用車両1において、タイヤ2をローテーションした際には、車両端末10に登録されたセンサIDと車輪位置との対応関係を修正するものとする。
【0021】
通信部13は、通信ネットワーク40を介してクラウドサーバ30と無線通信可能に構成される。通信部13は、共用車両1の車両IDとともに、共用車両1の状態を示す各種情報を所定時間毎にクラウドサーバ30に送信する。具体的には、センサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度を含む空気圧情報をクラウドサーバ30に送信する。この空気圧情報には、制御部16が空気圧低下(空気圧異常)を判定した場合の所定の判定結果を含んでもよい。また、通信部13は、取得した共用車両1の現在位置情報をクラウドサーバ30に送信してもよい。
【0022】
表示部14は、共用車両1のダッシュボードなどに配置され、各種情報を表示してユーザに提供する表示画面を有する表示装置である。本実施形態では、例えば、設定された目的地までの経路を含む地図情報や、現在の各タイヤ2の空気圧情報を表示することができる。経路案内部15は、いわゆるナビゲーション機能を有し、共用車両1の現在地から目的地までの経路を検索して経路案内を実施する。例えば、クラウドサーバ30から共用車両1の現在位置から最寄りのサービス店の位置情報を受信した場合には、このサービス店までの経路を検索して経路案内を実施する。
【0023】
制御部16はCPUを有し、通信部13を介して車両端末10の外部から受信した情報、センサ3を含む各種センサ部が検知した情報、または記憶部12に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実施する。本実施形態では、制御部16は、受信した、もしくは記憶部12に記憶された各タイヤ2の空気圧と、該タイヤ2の標準空気圧よりも低い所定の閾値とを比較する。そして、タイヤ2の空気圧がこの閾値以下と判定した場合には、所定の判定結果を含めた空気圧情報が車両端末10に送信される。
【0024】
具体的には、制御部16は、タイヤ2の空気圧が第1閾値(例えば、標準空気圧の90%)以下に低下した場合には、第1判定結果を出力する。この第1判定結果は、共用車両1の利用後にタイヤ2に空気を補充するメンテナンスを行う旨を示す。また、制御部16は、タイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値(例えば、標準空気圧の80%)以下に低下した場合には、第2判定結果を出力する。この第2判定結果は、共用車両1にメンテナンスのサービス店の情報を提供し、このサービス店にてタイヤ2に空気を補充するメンテナンスを行う旨を示す。また、制御部16は、タイヤ2の空気圧が第2閾値よりも低い第3閾値(例えば、標準空気圧の70%)以下に低下した場合には、第3判定結果を出力してもよい。この第3判定結果は、この状況での共用車両1の走行を禁止して、速やかに安全な場所に停車(駐車)させる旨を示す。標準空気圧は、タイヤ2が冷えている冷間時における空気圧であり、タイヤ2が取り付けられる車両毎にそれぞれ設定されている。一般に、タイヤ2の空気圧は空気温度に応じて変化(上昇または低下)する傾向にある。このため、制御部16は、タイヤ2内の空気温度に応じて、ボイル=シャルルの法則に基づき、各閾値を変更してもよいが、以下の説明では、説明の簡便化のため、各閾値は一定値とする。
【0025】
クラウドサーバ30は、複数の共用車両1のタイヤ2の空気圧を統合的に管理する。クラウドサーバ30は、各車両端末10から送信されたタイヤ2の空気圧情報を収集して記憶するとともに、空気圧が低下したタイヤ2を有する共用車両1に対するメンテナンス計画を作成する。また、クラウドサーバ30は、作成したメンテナンス計画を作業員端末20に送信する。クラウドサーバ30は、例えば、クラウドに設置されたコンピュータなどによって構成される。クラウドサーバ30は、図1に示すように、通信部31と、空気圧情報取得部32と、利用予定情報取得部33と、記憶部34と、メンテナンス計画作成部35と、案内経路作成部36と、制御部37とを備える。
【0026】
通信部31は、通信ネットワーク40を介して車両端末10及び作業員端末20と無線通信可能に構成される。通信部31は、作成したメンテナンス計画を作業員端末20に送信し、また、共用車両1の現在地から最寄りのサービス店の位置情報を車両端末10に送信する。通信部31は、通信ネットワーク40を介して、カーシェアリング管理サーバと無線通信可能に構成される。
【0027】
空気圧情報取得部32は、通信部31を介して受信した各共用車両1のタイヤ2の空気圧情報を取得する。この空気圧情報には、共用車両1の車両IDと、各センサ3のセンサIDと、センサIDと車輪位置との対応関係と、各センサ3が検知した各タイヤ2の空気圧及び温度とを含む。また、車両端末10の制御部16が空気圧低下(空気圧異常)を判定した場合には上記した判定結果を更に含んでもよい。
【0028】
利用予定情報取得部33は、通信部31を介して受信した共用車両1の利用予定情報をカーシェアリング管理サーバから取得する。具体的には、空気圧情報取得部32が所定の判定結果を含む空気圧情報を取得した場合、制御部37はカーシェアリング管理サーバに対して、車両IDに対応する共用車両1の利用予定情報の提供を要求し、カーシェアリング管理サーバから対象の共用車両1の利用予定情報を取得する。この利用予定情報には、車両情報、利用開始時刻、利用終了時刻、並びに、出発地及び返却地となるステーションに関する情報を含む。ここで、車両情報は、車両IDに紐づけられるとともに、メンテナンス対象となる共用車両1を特定するための情報であり、例えば、自動車登録番号標(ナンバープレート)の一連指定番号(例えば、12-34など)である。また、作業員が複数の共用車両の中から対象の共用車両を見つけ易くするために、車両情報には車種名(例えばA社***など)と車両の色(例えば白色など)を含むことが好ましい。また、ステーションに関する情報には、ステーション名やステーションの位置情報に加えて、該ステーションまたはメンテナンスエリア内に割り当てられた駐車区画番号など、対象の共用車両1が駐車される予定の駐車位置情報、または実際に駐車されている駐車位置情報を含むことが好ましい。例えば、駐車区画のロックバーなどに共用車両1の車両IDなどの車両情報を受信するセンサを設けておき、このセンサを介して車両情報を取得することで共用車両1が実際に駐車されている駐車区画番号を判別することができる。なお、この駐車位置情報を共用車両1の車両情報に含めた構成としてもよい。
【0029】
記憶部34は、揮発性または不揮発性のメモリやHDDなどの記憶手段を備えて構成される。記憶部34には、制御部37が実施する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。記憶部34は、所定時間毎に空気圧情報取得部32が取得した空気圧情報を、車両ID(共用車両1)毎に、センサIDに対応する車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度を履歴情報として記憶する。また、記憶部34は、対象の共用車両1に対して空気圧のメンテナンスが実施された場合、このメンテナンス履歴情報を記録する。この場合、メンテナンス情報には、メンテナンスされたタイヤの車輪位置に関する情報(センサIDに対応する車輪位置に関する情報)を含むことが好ましい。
【0030】
メンテナンス計画作成部35は、取得した空気圧情報と利用予定情報とから空気圧が所定の閾値以下に低下したタイヤ2を有し、メンテナンス対象となる共用車両1に対するタイヤ空気圧のメンテナンス計画を作成する。具体的には、メンテナンス計画作成部35は、メンテナンス対象となる共用車両1が利用後に返却されるステーション(駐車地)と利用終了時刻とに基づき、該ステーションにて利用終了時刻から所定のメンテナンス予定時間(例えば1台あたり1時間)を確保したメンテナンス計画を作成する。このメンテナンス計画には、対象となる車両の車両情報、ステーション名、利用終了時刻、メンテナンス予定時間、対象となるタイヤの車輪位置に関する情報を含む。
【0031】
本実施形態では、作業員が実際にステーションに出向いて、対象の共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンスを行うため、メンテナンス作業を効率良く実施することが好ましい。このため、タイヤ2の空気圧が上記第1閾値以下である共用車両1が複数台あり、かつ、これら複数台の共用車両1が所定の領域範囲(例えば10km四方)内の一または複数のステーションに返却(駐車)される場合には、メンテナンス計画作成部35は、これら複数台の共用車両1を一群としたメンテナンス計画を作成する。
【0032】
具体的には、同一のステーションにおいて、対象の共用車両1が複数台ある場合には、これら複数台の共用車両1を、例えば、利用終了時刻(返却時刻)の早い共用車両1から順次メンテナンスを実施するように順序づけてメンテナンス計画を作成する。また、所定の領域範囲内に点在する複数のステーションに、対象の共用車両1がそれぞれある場合には、例えば、ステーション毎に、利用終了時刻(返却時刻)の早い共用車両1から順次メンテナンスを実施するように順序づけ、各ステーションを順番に移動(巡回)するメンテナンス計画を作成する。この場合、複数のステーションにおいて、共用車両1の利用終了時刻(返却時刻)が重複する場合には、複数の作業員が各ステーションでそれぞれメンテナンスを行うメンテナンス計画を作成してもよい。
【0033】
作成されたメンテナンス計画は、通信部31を介して、作業員端末20に送信される。作業員は、作業員端末20に送信されたメンテナンス計画に基づいて、対象の共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンスを順次実施することができる。この構成によれば、作業員は、実際に空気圧が減少しているタイヤ2を有する共用車両1を、メンテナンス計画の順番に従ってメンテナンスしていけばよい。このため、返却されてから次に利用されるまでの間に、共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンスを効率良く実施することができる。また、次に共用車両1を利用する際にタイヤ2の空気圧を適正に保持することができ、共用車両1のタイヤ2の空気圧を適正に管理することができる。
【0034】
また、作成されたメンテナンス計画は、カーシェアリング管理サーバに送信されることが好ましい。カーシェアリング管理サーバは、少なくとも対象の共用車両1のメンテナンス予定時間が経過するまでは、該共用車両1の利用予約の受け付けを禁止する。これにより、ユーザが共用車両1を利用する際には、常時、タイヤ2の空気圧の管理が適正に行われており、共用車両1の走行安定性の向上を実現できる。
【0035】
案内経路作成部36は、メンテナンス作業を行う作業員に対して、対象となる共用車両1が駐車されるステーションまで案内する経路を作成する。この場合、作業員が通常勤務しているサービス店からステーションまでの経路を作成してもよいし、作業員端末20の現在位置を取得し、この現在位置からステーションまでの経路を作成してもよい。また、複数のステーションを巡回しつつ、各ステーションにおいて共用車両1の空気圧のメンテナンスを行う場合には、案内経路作成部36は、メンテナンス計画の順番に従って、上記したサービス店もしくは作業員端末20の現在位置から複数のステーションを巡回する経路を作成する。これらの経路に関する情報は、上記したメンテナンス計画として各作業員端末20に送信される。
【0036】
制御部37はCPUを有し、通信部31を介して車両端末10、作業員端末20及びカーシェアリング管理サーバから受信した情報、または記憶部34に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実施する。なお、本実施形態では、各車両端末10の制御部16が、それぞれ各共用車両1のタイヤ2の空気圧と所定の閾値以下であるかを判定しているが、クラウドサーバ30の制御部37が共用車両1毎に上記判定を行う構成としてもよい。
【0037】
また、制御部37は、対象の共用車両1の利用中に上記した第2判定結果を含む空気圧情報を取得した場合、すなわち、タイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合には、利用終了時刻まで待たずに空気圧のメンテナンスを行った方が良いと判断する。制御部37は、共用車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店を検索し、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が低下している旨、及びサービス店の位置情報などを通知する。この通知を受けた共用車両1(ユーザ)が実際にサービス店で空気圧の補充や、タイヤ2の点検などのメンテナンスを受けた場合には、メンテナンス計画作成部35は、該共用車両1を除いた新たなメンテナンス計画を作成することが好ましい。
【0038】
また、制御部37は、対象の共用車両1の利用中に上記した第3判定結果を含む空気圧情報を取得した場合、すなわち、タイヤ2の空気圧が第2閾値よりも低い第3閾値以下となった場合には、これ以上の走行は禁止して、緊急的なメンテナンスを行うべきと判断する。制御部37は、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が急激に低下している旨、これ以上の走行を禁止し、速やかに安全な場所に停車(駐車)させる旨、及び、メンテナンス車両を共用車両1の停車場所に向かわせる旨を通知する。さらに、制御部37は、例えば、共用車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店に対して、緊急的なメンテナンスの要請と、該共用車両1の停車場所を通知する。この構成によれは、例えばパンクなどの現象による空気圧の急激な低下に伴う事故の発生を防止することができる。なお、サービス店への通知は、例えば、共用車両1の現在位置から最寄りの作業員端末20に通知してもよい。上記した通知を受けた共用車両1(ユーザ)が実際に空気圧の補充や、タイヤ2の点検などのメンテナンスを受けた場合には、メンテナンス計画作成部35は、該共用車両1を除いた新たなメンテナンス計画を作成することが好ましい。
【0039】
作業員端末20は、メンテナンス作業を行う作業員が携帯する端末装置である。作業員端末20は、図1に示すように、通信部21と、記憶部22と、表示部23と、入力部24と、制御部25とを備える。また、作業員端末20は、自機の現在位置情報を取得できるように構成されている。通信部21は、通信ネットワーク40を介してクラウドサーバ30と無線通信可能に構成される。通信部21は、クラウドサーバ30から対象の共用車両1のメンテナンス計画に関する情報を受信する。また、通信部21は、作業員によって、共用車両1に対するメンテナンス終了が入力されると、該共用車両1の車両IDとともにメンテナンス終了情報をクラウドサーバ30に送信する。ここで、クラウドサーバ30はメンテナンス終了情報を受信すると、対応する共用車両1のメンテナンス履歴情報を記憶部34に記録するとともに、該メンテナンスの終了報告をカーシェアリング管理サーバに送信する。これにより、メンテナンスが終了した共用車両1から順次、新たな利用予約を受け付けることが可能となる。
【0040】
記憶部22は、揮発性または不揮発性のメモリやHDDなどの記憶手段を備えて構成される。記憶部22には、制御部25が実施する各種のプログラムや、地図情報を含む各種のデータが記憶される。記憶部22は、受信したメンテナンス計画に関する情報を記録する。
【0041】
表示部23は、端末の略中央部に配置され、各種情報を表示して作業員に提供する表示画面である。表示部23には、作業員の操作に基づき、対象の共用車両1のメンテナンス計画をリスト化して表示したり、地図上にステーションまでの経路を表示したりすることができる。
【0042】
入力部24は、例えば、表示部23上に重ねて形成されたタッチパネルであり、作業員端末20に対する各種情報の入力を実施する。制御部25はCPUを有し、通信部21を介してクラウドサーバ30から受信した情報、または記憶部22に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実施する。
【0043】
次に、タイヤ空気圧管理システム100の動作について説明する。図2は、タイヤ空気圧管理システムの動作手順を示すフローチャートである。図3は、作成されたメンテナンス計画のリストの一例を示す図である。図4は、複数のステーションの巡回経路の一例を示す図である。
【0044】
複数の共用車両1の各タイヤ2に設けられたセンサ3は、該タイヤ2の空気圧及びタイヤ2内の温度を所定時間毎に検知し(ステップS1)、この検知したデータを該共用車両1の車両端末10に送信する(ステップS2)。これら各センサ3は、ステップS1及びステップS2の動作を繰り返して実施する。
【0045】
車両端末10は、4つのセンサ3からそれぞれ送信されたデータを受信し、受信したデータに含まれる各タイヤ2の空気圧及び温度を、センサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度の履歴情報として記憶部12に記憶する(ステップS3)。車両端末10は、受信したもしくは記憶部12に記憶された各タイヤ2の空気圧が第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS4)。本実施形態では、共用車両1の少なくとも1本のタイヤ2(例えば右前輪)の空気圧が第1閾値以下(例えば、標準空気圧の90%)と仮定する。
【0046】
車両端末10は、共用車両1の車両IDと、センサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度とを含む空気圧情報を、所定時間毎にクラウドサーバ30に送信する(ステップS5)。本実施形態では、空気圧が第1閾値以下と判定されているため、このタイヤ2の車輪位置(例えば右前輪)と第1判定結果とを空気圧情報に含めてクラウドサーバ30に送信する。車両端末10は、搭載された共用車両1がステーションに返却されるまで(ステップS6;No)ステップS3からステップS5の動作を繰り返し実施し、共用車両が返却される(ステップS6;Yes)と、車両端末10の処理を終了する。
【0047】
クラウドサーバ30は、各車両端末10からそれぞれ送信された共用車両1のタイヤ2の空気圧情報を取得する(ステップS7)。クラウドサーバ30は、所定時間毎に取得した空気圧情報を、車両ID毎に、センサIDに対応する車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度の履歴情報として記憶部34に記憶する(ステップS8)。
【0048】
また、クラウドサーバ30は、第1判定結果を含む空気圧情報を取得した場合には、カーシェアリング管理サーバから対象の共用車両1の利用予定情報を取得する(ステップS9)。本実施形態では、共用車両1の利用予定情報には、車両情報(例えば、A社***:白色:12-34)、利用終了時刻(例えば、12:00)、返却されるステーション名(例えば、○○店)などの情報を含むものとする。
【0049】
クラウドサーバ30は、取得した共用車両1の空気圧情報と利用予定情報とから空気圧が第1閾値以下に低下したタイヤ2を有する共用車両1に対するタイヤ空気圧のメンテナンス計画を作成する(ステップS10)。この場合、クラウドサーバ30は、空気圧が第1閾値以下に低下したタイヤ2を有する複数(例えば6台)の共用車両1が存在し、これら複数の共用車両1が所定の領域範囲(例えば10km四方)内の一または複数(例えば3つ)のステーションに返却される場合には、これら共用車両1を一群としたメンテナンス計画を作成する。
【0050】
具体的には、クラウドサーバ30は、各ステーションにおいて、利用終了時刻の早い共用車両1から順次メンテナンスを実施するように順序づけるとともに、メンテナンス予定時間を確保する。そして、これら3つのステーションを順番に巡回するメンテナンス計画を作成する。図3に示すメンテナンス計画50の一例では、メンテナンス対象となる6台の共用車両1毎に、メンテナンス順序51、ステーション情報52、利用終了時刻53、メンテナンス予定時間54、車両情報55、車輪位置56がそれぞれリスト化されて形成されている。このため、作業員は、このリストの順番通りに対象の共用車両1における対象の車輪位置のタイヤのみをメンテナンスすればよく、タイヤ空気圧のメンテナンスを効率良く実施することができる。また、この例では、ステーション情報52として、共用車両1が駐車されているステーション名52a、駐車区画番号52bが示されるとともに、車両情報55として、車両のナンバー55a、車種名55b、車色55cが示されているため、作業員は、ステーションに駐車された多数の共用車両1の中から対象の共用車両1を容易に見つけることができ、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0051】
また、クラウドサーバ30は、上記したメンテナンス計画の順番に従って、複数のステーションを巡回するための経路を作成する(ステップS11)。図4の例では、所定の領域範囲の地図情報60上に、サービス店61から(1)最初のステーションである○○店62、(2)次のステーションである△△駐車場63、(3)最後のステーションである××店64を巡回する経路65を示している。この構成によれば、各ステーションを巡回する経路が作成されるため、その土地に不慣れな作業員であっても道に迷うといった時間ロスを低減することができる。
【0052】
クラウドサーバ30は、作成したメンテナンス計画50にステーションまでの経路65の情報を含めて作業員端末20に送信する(ステップS12)。
【0053】
作業員端末20は、メンテナンス計画50を受信すると、このメンテナンス計画50のリスト及び各ステーションを巡回する経路65を表示部23に表示する(ステップS13)。これにより、作業員は、表示部23に表示された経路に従って、ステーションを巡回し、各ステーションにおいてメンテナンス計画50のリストに従って、対象の共用車両1における対象の車輪位置のタイヤ2のメンテナンスを実施することができる。
【0054】
作業員端末20は、作業員によって、対象の共用車両1に対するメンテナンス終了が入力されると、該共用車両1の車両IDとともにメンテナンス終了情報をクラウドサーバ30に送信する(ステップS14)。そして、対象の共用車両1のすべてのメンテナンスが収容すると処理を終了する。
【0055】
また、クラウドサーバ30は、作業員端末20からメンテナンス終了情報を受信すると、対応する共用車両1のメンテナンス履歴情報を記憶部34に記録する(ステップS15)。この場合、メンテナンス終了の報告をカーシェアリング管理サーバに送信(ステップS16)して、処理を終了する。
【0056】
なお、図2のフローチャートでは、共用車両1の利用中に、タイヤ2の空気圧がさらに低下する場合の動作については省略したが、上述したように、クラウドサーバ30は、タイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合には、共用車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店を検索し、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が低下している旨、及びサービス店の位置情報などを通知してもよい。また、クラウドサーバ30は、タイヤ2の空気圧が第2閾値よりも低い第3閾値以下となった場合には、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が急激に低下している旨、これ以上の走行を禁止し、速やかに安全な場所に停車(駐車)させる旨、及び、メンテナンス車両を共用車両1の停車場所に向かわせる旨を通知する。さらに、クラウドサーバ30は、例えば、共用車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店に対して、緊急的なメンテナンスの要請と、該共用車両1の停車場所を通知してもよい。
【0057】
以上、本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システム100は、複数の共用車両1が有するタイヤ2にそれぞれ設けられて各タイヤ2の空気圧を検知するセンサ3と、共用車両1の各タイヤ2の空気圧を統合的に管理するクラウドサーバ30と、を備える。クラウドサーバ30は、センサ3が検知した共用車両1の各タイヤ2の空気圧情報を取得する空気圧情報取得部32と、共用車両1の利用予定情報を取得する利用予定情報取得部33と、取得した空気圧情報及び利用予定情報に基づいて、利用後に所定のステーションに返却される共用車両1に対してタイヤ2の空気圧のメンテナンス計画50を作成するメンテナンス計画作成部35と、を備える。このため、作業員は、作成されたメンテナンス計画50に基づいて、対象の共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンスを順次実施することができる。従って、作業員は、実際に空気圧が減少しているタイヤ2を有する共用車両1を、メンテナンス計画の順番に従ってメンテナンスしていけばよい。このため、返却されてから次に利用されるまでの間に、共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンスを効率良く実施することができる。また、次に共用車両1を利用する際にタイヤ2の空気圧を適正に保持することができ、共用車両1のタイヤ2の空気圧を適正に管理することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、複数の共用車両1が有するタイヤ2の空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下であり、かつ、これら共用車両1が利用後に所定の範囲内に存在する少なくとも一つのステーションに返却される場合、メンテナンス計画作成部35は、これら共用車両1を一群としたメンテナンス計画50を作成するため、各ステーションにおける対象の共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンス作業を効率良く実施することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、メンテナンス計画50は、ステーションまでの経路、または、複数のステーションを巡回する経路に関する経路情報と、メンテナンス対象の共用車両1の車両情報55とを含み、クラウドサーバ30は、メンテナンス計画50を作業員の作業員端末20に送信する通信部31を備えるため、作業員は、表示部23に表示された経路に従って、ステーションを巡回し、各ステーションにおいてメンテナンス計画50のリストに従って、対象の共用車両1における対象の車輪位置のタイヤ空気圧のメンテナンス作業を効率良く実施することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、複数の共用車両は、カーシェアリング事業で用いられる車両を例示して説明したが、これに限るものではなく、レンタカー事業で用いられる車両や、会社組織が保有する社用車(営業車)であってもよい。また、本実施形態では、利用終了時刻の早い共用車両1から順次メンテナンスを実施するように順序づけて、これら共用車両1が駐車されたステーションを順番に巡回するメンテナンス計画を作成する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、各共用車両1の利用終了時刻後に該共用車両1が駐車されたステーションを移動する際の交通情報を加味したメンテナンス計画を作成してもよい。具体的には、AI(Artificial Intelligence:人工知能)と呼ばれるコンピュータを用いて、各ステーション周辺の交通情報(渋滞、事故、工事等々)を予め学習させて学習モデルを作成し、この学習モデルに各ステーション周辺の最新の交通情報から作業員の移動時間の最小化する巡回経路を含むメンテナンス計画を作成してもよい。この構成によれば、移動時間を含めたトータルの作業時間を短縮することができるため、共用車両1のタイヤ空気圧のメンテナンス作業を効率良く実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 共用車両
2 タイヤ
3 センサ(空気圧センサ)
10 車両端末
20 作業員端末(端末装置)
30 クラウドサーバ(空気圧管理装置)
31 通信部
32 空気圧情報取得部
33 利用予定情報取得部
34 記憶部
35 メンテナンス計画作成部
36 案内経路作成部
37 制御部
50 メンテナンス計画
100 タイヤ空気圧管理システム
図1
図2
図3
図4