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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ファンヒータ
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/36 20220101AFI20240117BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20240117BHJP
   F24H 3/04 20220101ALI20240117BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20240117BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240117BHJP
【FI】
F24H15/36
F23N5/00 B
F23N5/00 G
F24H3/04 301
F24H15/10
F24H15/265
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019232244
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021099210
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】安田 ▲祥▼辰
(72)【発明者】
【氏名】竹川 純
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和也
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修司
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-291595(JP,A)
【文献】特開2008-185312(JP,A)
【文献】特開平11-083191(JP,A)
【文献】特開昭63-254315(JP,A)
【文献】特開平09-049636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/00
F23N 5/00
F24H 3/04
F24H 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風を生成するための燃焼部と、
人を検知するための光学系を備えた人感センサと、
前記人感センサの近傍の温度を検出するための温度センサと、
前記燃焼部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記燃焼部が動作状態にある場合に、前記温度センサの検出温度が前記光学系の耐熱温度に基づく所定の閾値以上であることに基づいて、前記燃焼部に対し、前記人感センサの近傍の温度を低下させるための制御を実行する、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項2】
請求項1に記載のファンヒータにおいて、
前記人感センサは、人が発する赤外線を検知する焦電型赤外線センサである、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項3】
請求項2に記載のファンヒータにおいて、
前記光学系は、前記赤外線を検知するための検出器に前記赤外線を集めるレンズを備え、
前記閾値は、前記レンズの耐熱温度より低い温度に設定されている、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のファンヒータにおいて、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度が前記閾値以上である場合に、前記燃焼部の動作を停止させる、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項5】
請求項1ないしの何れか一項に記載のファンヒータにおいて、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度が前記閾値以上である場合に、通常時に比べて低い燃焼モードで前記燃焼部による燃焼動作を実行する、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のファンヒータにおいて、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度が第1の閾値以上である場合に、通常時に比べて低い低燃焼モードで前記燃焼部による燃焼動作を実行し、前記温度センサの検出温度が第1の閾値よりも高い第2の閾値以上である場合に、前記燃焼部の動作を停止させる、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項7】
請求項6に記載のファンヒータにおいて、
前記制御部は、前記低燃焼モードに移行した後、前記温度センサの検出温度が前記第1の閾値よりも低い第3の閾値以下に低下した場合、燃焼モードを通常時の燃焼モードに復帰させる、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のファンヒータにおいて、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度が前記人感センサの近傍の温度を低下させるための前記閾値以上になったことに基づいて所定の報知動作を実行する、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載のファンヒータにおいて、
前記人感センサは、前記温風の吹出口の周囲に配置されている、
ことを特徴とするファンヒータ。
【請求項10】
請求項9に記載のファンヒータにおいて、
前記温度センサは、前記吹出口と前記人感センサとの間に配置されている、
ことを特徴とするファンヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、ガス燃料を用いたファンヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
石油燃料やガス燃料を用いるファンヒータでは、室温を検出するための室温センサが装置本体に配置される。ファンヒータは、室温センサで検出された温度が、ユーザにより設定された設定温度となるように、燃焼動作を制御する。
【0003】
この他、最近では、人を検知するための人感センサを備えたファンヒータが開発されている。たとえば、以下の特許文献1には、装置本体の前面に人感センサが配置されたファンヒータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-232939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように装置本体の前面に人感センサが配置されると、人感センサが人目に付きやすいため、ファンヒータの意匠性が低下する可能性がある。意匠性の観点からは、人感センサがなるべく人目に付きにくい位置に配置されることが好ましい。他方、人感センサは、温風が送風される領域に人がいるか否かを検知する必要があるため、温風の送風領域に向けられて配置されなければならない。このような事情を考慮すると、人感センサは、たとえば、温風の吹出口付近に配置され得る。
【0006】
しかしながら、このように人感センサを温風の吹出口付近に配置すると、たとえば、吹出口付近に物が置かれている場合に、温風が物で跳ね返って、人感センサに当たり続けることが起こり得る。この場合、人感センサが、レンズ等、温度上昇により変質または変形する部材を含んでいると、当該部材が温風によって温度上昇し、人感センサの本来の特性が得られなくなってしまう。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、温度上昇により人感センサの本来の特性が阻害されることを抑制することが可能なファンヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係るファンヒータは、温風を生成するための燃焼部と、人を検知するための光学系を備えた人感センサと、前記人感センサの近傍の温度を検出するための温度センサと、前記燃焼部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記燃焼部が動作状態にある場合に、前記温度センサの検出温度が前記光学系の耐熱温度に基づく所定の閾値以上であることに基づいて、前記燃焼部に対し、前記人感センサの近傍の温度を低下させるための制御を実行する。
【0009】
本態様に係るファンヒータによれば、温風の跳ね返り等によって、人感センサの近傍の温度が光学系の耐熱温度に基づく所定の閾値以上となった場合に、人感センサの近傍の温度を低下させるための制御が、燃焼部に対して行われる。これにより、光学系の温度が耐熱温度を超えることを防ぐことができる。よって、温度上昇により人感センサの本来の特性が阻害されることを抑制することができる。
【0010】
本態様に係るファンヒータにおいて、前記人感センサは、たとえば、人が発する赤外線を検知する焦電型赤外線センサである。
【0011】
この場合、前記光学系は、前記赤外線を検知するための検出器に前記赤外線を集めるレンズを備え、前記閾値は、前記レンズの耐熱温度より低い温度に設定され得る。
【0012】
この構成によれば、温度上昇によって、焦電型赤外線センサのレンズが変質または変形することを抑制できる。よって、焦電型赤外線センサの特性を適正に維持できる。
【0013】
本態様に係るファンヒータにおいて、前記制御部は、前記温度センサの検出温度が前記閾値以上である場合に、前記燃焼部の動作を停止させるよう構成され得る。
【0014】
この構成によれば、温風の跳ね返り等によって人感センサ付近の温度が閾値に到達した場合に、燃焼部の動作が停止されるため、その後、温風が人感センサに当たり続けることを防ぐことができる。よって、温度上昇により人感センサの本来の特性が阻害されることを確実に抑制することができる。
【0015】
あるいは、前記制御部は、前記温度センサの検出温度が前記閾値以上である場合に、通常時に比べて低い燃焼モードで前記燃焼部による燃焼動作を実行するよう構成され得る。
【0016】
この構成によれば、人感センサ付近の温度が閾値に到達した場合に、低燃焼モードに切り替えられて温風の温度が低下するため、その後の人感センサの温度上昇を抑制できる。これにより、温度上昇により人感センサの本来の特性が阻害されることを抑制できる。また、この場合、温風は送出され続けるため、使用者に快適な暖房空間を提供できる。よって、この構成によれば、暖房動作を維持しつつ、温風による人感センサの特性の低下を抑制することができる。
【0017】
本態様に係るファンヒータにおいて、前記制御部は、前記温度センサの検出温度が第1の閾値以上である場合に、通常時に比べて低い低燃焼モードで前記燃焼部による燃焼動作を実行し、前記温度センサの検出温度が第1の閾値よりも高い第2の閾値以上である場合に、前記燃焼部の動作を停止させるよう構成され得る。
【0018】
この構成によれば、温風の跳ね返り等によって人感センサ付近の温度が第1の閾値に到達した場合、燃焼モードが低燃焼モードに設定される。これにより、暖房動作を維持しつつ、温風による人感センサの特性の低下を抑制できる。また、人感センサ付近の温度が第2の閾値に到達した場合は、燃焼部の動作が停止される。これにより、温度上昇により人感センサの本来の特性が阻害されることを確実に抑制することができる。
【0019】
この構成において、前記制御部は、前記低燃焼モードに移行した後、前記温度センサの検出温度が前記第1の閾値よりも低い第3の閾値以下に低下した場合、燃焼モードを通常時の燃焼モードに復帰させるよう構成され得る。
【0020】
この構成によれば、人感センサ付近の温度が確実に低下した後に、通常の燃焼モードで燃焼動作が実行される。よって、人感センサの特性をより確実に維持できる。
【0021】
本態様に係るファンヒータにおいて、前記制御部は、前記温度センサの検出温度が前記人感センサの近傍の温度を低下させるための前記閾値以上になったことに基づいて所定の報知動作を実行するよう構成され得る。
【0022】
この構成によれば、使用者は、温風の跳ね返り等によって人感センサ付近の温度が上昇していることを把握できる。これにより、使用者は、温風の跳ね返りの原因となった物体を除去する等、人感センサ付近の温度上昇を解消する措置をとることができる。
【0023】
本態様に係るファンヒータにおいて、前記人感センサは、前記温風の吹出口の周囲に配置され得る。
【0024】
この構成によれば、人感センサの配置によりファンヒータの意匠性が低下することを抑制できる。
【0025】
この場合、前記温度センサは、前記吹出口と前記人感センサとの間に配置され得る。
【0026】
このように、温度センサを人感センサよりも熱源側に配置することにより、温風の跳ね返りによる温度上昇を、より安定的に温度センサで検知できる。よって、温度センサの検出温度に基づく上記制御を、より適正に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のとおり、本発明によれば、温度上昇により人感センサの本来の特性が阻害されることを抑制することが可能なファンヒータを提供することができる。
【0028】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1(a)は、実施形態に係る、ガスファンヒータの構成を概略的に示す図である。図1(b)は、実施形態に係る、ガスファンヒータの吹出口付近の構成を拡大して示す図である。
図2図2(a)は、実施形態に係る、人感センサの前面の構成を模式的に示す図である。図2(b)は、実施形態に係る、人感センサの光学系の構成を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る、ガスファンヒータの回路ブロックを示す図である。
図4図4は、実施形態に係る、人感センサを用いたガスファンヒータの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る、温度センサを用いたガスファンヒータの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、ガスファンヒータに本発明を適用したものである。
【0031】
図1(a)は、ガスファンヒータ10の構成を概略的に示す図である。
【0032】
ガスファンヒータ10は、外装ケース101と、天板102と、底板103とを備える。外装ケース101、天板102および底板103によって、ガスファンヒータ10の外郭が構成される。外装ケース101の前面下部に、温風を送り出すための吹出口101aが設けられている。また、外装ケース101の背面に空気を取り入れるための吸入口101bが設けられている。この吸入口101bを覆うようにして、塵埃等を除去するためのフィルタ104が設けられている。
【0033】
外装ケース101の内部には、燃焼室105と、送風ファン106と、ファンモータ107が設けられている。燃焼室105の内部に、ガスバーナ108と、点火部109とが設けられている。ガスバーナ108が、温風を生成するための燃焼部を構成する。後述のように、点火部109は、点火プラグと、点火プラグにスパーク電圧を印加するためのイグナイタとを備えている。
【0034】
外装ケース101の背面下部に、ガスを導入するための接続口110が設けられている。接続口110から導入されたガスは、配管111によって、ガスバーナ108へと導かれる。接続口110と配管111との間に、ガスを供給および遮断するための電磁弁112と、ガスの供給量を調節するための比例弁113とが設けられている。これら電磁弁112と比例弁113は、後述のように、制御部(マイクロコンピュータ)によって制御される。
【0035】
接続口110から導入されたガスは、送風ファン106によって取り込まれた空気と混合されてガスバーナ108に送られる。ガスバーナ108に送られた混合ガス(燃焼ガス)が、点火部109からのスパークによって着火される。これにより、燃焼室105内に燃焼熱が生じる。燃焼室105の上面および前面には、蓋板114が設けられている。ガスバーナ108で生じた燃焼熱は、送風ファン106による送風により、燃焼室105内を対流する。燃焼室105を対流する温風は、ファンケース115により吹出口101aに導かれ、外部に吹き出される。
【0036】
外装ケース101の背面下部から、端部に電源プラグ116を有する電源ケーブルが引き出されている。電源プラグ116をコンセントに接続することにより、ガスファンヒータ10の各部に電源が供給される。天板102に、操作表示部117が設けられている。操作表示部117は、運転スイッチや温度調節スイッチ等の各種スイッチと、設定温度等を表示するための表示部とを備えている。
【0037】
さらに、外装ケース101の内部には、室温を検出するための温度センサ(以下、「室温センサ」という)118が設けられている。室温センサ118は、吸入口101bから取り込まれる空気の温度により室温を検出する。室温センサ118は、たとえば、サーミスタにより構成される。この他、ガスバーナ108の近傍に、ガスバーナ108に供給された燃焼ガスの着火を検出するための燃焼センサ119が設けられている。燃焼センサ119は、たとえば、熱電対からなっている。
【0038】
外装ケース101の内部には、電磁弁112や比例弁113等の電気部品を駆動および制御するための回路部130が配置されている。回路部130は、外装ケース101に設置された回路基板に実装されている。
【0039】
図1(b)は、ガスファンヒータ10の吹出口101a付近の構成を拡大して示す図である。図1(b)には、正面に向かって右側の吹出口101a付近の構成が示されている。
【0040】
外装ケース101の前面下部には、角が丸められた長方形の輪郭の凹部101cが形成されている。この凹部101cに吹出口101aが形成されている。凹部101cには、吹出口101aの右側に平面状の底部101dが残っている。この底部101dに、人感センサ120と温度センサ121が配置されている。
【0041】
人感センサ120は、吹出口101aの前方に人がいるか否かを検知する。人感センサ120は、たとえば、人が発する赤外線を検知する焦電型赤外線センサである。温度センサ121は、人感センサ120の近傍の温度を検出する。温度センサ121は、たとえば、サーミスタにより構成される。ここでは、温度センサ121が、吹出口101aと人感センサ120との間に設置されている。温度センサ121が、人感センサ120の上下の位置や左側の位置等の他の位置に設置されてもよい。
【0042】
図2(a)は、人感センサ120の前面の構成を模式的に示す図である。また、図2(b)は、人感センサ120の光学系の構成を示す図である。
【0043】
図2(a)に示すように、人感センサ120の前面には、複数のレンズ120aが配置されている。各レンズ120aの前面は、外部に露出している。ここでは、15個のレンズ120aがマトリクス状に配置されているが、レンズ120aの数および配置形態は、これに限られるものではない。
【0044】
レンズ120aは、赤外線を透過可能な材料により構成されている。たとえば、レンズ120aは、高密度ポリエチレンによって構成され得る。レンズ120aは、たとえば、フレネルレンズである。レンズ120aが、凸レンズであってもよい。
【0045】
図2(b)に示すように、人感センサ120は、光学系の構成として、レンズ120aを備えている。ここでは、人感センサ120が、人が発する赤外線を検知する焦電型赤外線センサであることが想定されている。検知範囲が複数の検知領域に区分され、各検知領域に各レンズ120aが対応付けられている。各レンズ120aは、当該レンズ120aに対応付けられた検知領域から入射する赤外線L1を検出器120bに集光させる。これにより、検出器120bからの出力によって、検知範囲における人の有無が検知される。
【0046】
図3は、ガスファンヒータ10の回路ブロックを示す図である。
【0047】
ガスファンヒータ10は、図1(a)、(b)に示した回路系の構成の他に、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)201と、表示回路202と、操作検出回路203と、電磁弁駆動回路204と、比例弁駆動回路205と、ファン駆動回路206と、イグナイタ207と、点火プラグ208と、を備えている。
【0048】
マイコン201は、予め設定されたプログラムに従って各部を制御する。マイコン201は、各回路を制御するための制御部を構成する。なお、図3には、1つのマイコン201で各回路を制御する構成が示されているが、2つ以上のマイコンで燃焼動作時の制御を相互に監視する構成であってもよい。
【0049】
表示回路202は、マイコン201からの制御により、操作表示部117の表示部に所定の情報を表示する。操作検出回路203は、操作表示部117(操作キー)に対する操作を検出し、検出結果をマイコン201に出力する。電磁弁駆動回路204は、マイコン201からの制御により、電磁弁112を開閉させる。比例弁駆動回路205は、マイコン201からの制御により、比例弁113を駆動する。ファン駆動回路206は、マイコン201からの制御により、送風ファン106を駆動する。
【0050】
イグナイタ207および点火プラグ208は、図1(a)に示した点火部109を構成する。イグナイタ207は、マイコン201からの制御により、点火プラグ208に対する放電を制御する。点火プラグ208は、イグナイタ207からの放電に応じてスパーク(火花)を発する。点火プラグ208からのスパークにより、ガスバーナ108に送られた燃焼ガスに着火が行われる。
【0051】
たとえば、イグナイタ207として、静音型のイグナイタが用いられる。静音型のイグナイタは、放電の周波数が人の可聴域よりも高い周波数に設定された高周波イグナイタである。イグナイタ207として、静音型のイグナイタを用いることにより、ガスファンヒータ10の着火時にスパーク音が聞こえることを解消できる。よって、ガスファンヒータ10を室内で快適に使用することができる。
【0052】
また、マイコン201は、図1(a)、(b)に示した室温センサ118、燃焼センサ119、人感センサ120および温度センサ121の検出結果を随時取得して、これら検出結果を燃焼動作の制御に用いる。さらに、ガスファンヒータ10は、ブザー等の音出力部122を備える。マイコン201は、燃焼動作時に、適宜、音出力部122から所定の報知音を出力させる。
【0053】
図4は、人感センサ120を用いたガスファンヒータ10の動作を示すフローチャートである。
【0054】
操作表示部117が操作されて燃焼動作が開始すると(S101)、マイコン201は、人感センサ120を用いて制御を行う人感制御モードがガスファンヒータ10に設定されているか否かを判定する(S102)。人感制御モードは、たとえば、使用者が操作表示部117を操作することにより設定される。たとえば、人感制御モードを設定するための操作キーが、操作表示部117に含まれている。前回の運転動作時における人感制御モードの設定の有無が、今回の運転動作に引き継がれる。前回の運転動作時に人感制御モードが設定されていない場合、使用者は、今回の運転動作時に操作表示部117の操作キーを操作することにより、人感制御モードを設定できる。
【0055】
人感制御モードが設定されていない場合(S102:NO)、マイコン201は、設定温度で運転を実行する(S104)。すなわち、マイコン201は、室温センサ118の検出温度が設定温度になるように、燃焼動作を行う。その後、マイコン201は、使用者により運転停止の操作が行われるまで(S105:NO)、設定温度で運転を実行する(S102~S104)。そして、使用者により運転停止の操作が行われると(S105:YES)、燃焼動作を停止させ(S106)、当該処理を終了する。
【0056】
人感制御モードが設定されている場合(S102:YES)、マイコン201は、人感センサ120の検知結果に基づき、検知範囲に人がいるか否かを判定する(S103)。ここで、検知範囲に人がいる場合(S103:YES)、マイコン201は、上記と同様、設定温度で運転を実行する(S104)。他方、一定時間、検知範囲に人がいない場合(S103:NO、S107:YES)、マイコン201は、設定温度を所定温度だけ低下させて運転を実行する(S108)。その後、一定時間内に人が検知されると(S109:YES)、マイコン201は、設定温度による運転に切り替える(S104)。他方、その後、一定時間内に人が検知されない場合(S109:NO、S110:YES)、マイコン201は、燃焼動作を停止させ(S106)、当該処理を終了する。
【0057】
ところで、図1(b)に示したように、人感センサ120が温風の吹出口101a付近に配置されている場合、たとえば、吹出口101a付近に物が置かれていると、温風が物で跳ね返って、人感センサ120に当たり続けることが起こり得る。この場合、図2(b)のように、人感センサ120がレンズ120aを含んでいると、レンズ120aが温風によって温度上昇して変質または変形し、人感センサ120の本来の特性が得られなくなってしまう。
【0058】
そこで、本実施形態では、温度上昇により人感センサ120の本来の特性が阻害されることを抑制するための制御が行われる。以下、この制御について説明する。
【0059】
図5は、温度センサ121を用いたガスファンヒータ10の動作を示すフローチャートである。
【0060】
燃焼動作が開始すると(S201:YES)、マイコン201は、温度センサ121の検出温度Tdが閾値Th_H以上であるか否かを判定する(S202)。閾値Th_Hは、人感センサ120の温度がレンズ120aの耐熱温度に対して数℃程度だけ低い温度になるときの、温度センサ121の検出温度に設定される。閾値Th_Hは、実験により、人感センサ120の温度と温度センサ121の検出温度との相関関係を取得することにより設定される。
【0061】
検出温度Tdが閾値Th_H以上である場合(S202:YES)、マイコン201は、直ちに燃焼動作を停止させ(S203)、所定のエラー報知を実行する(S204)。ステップS204において、マイコン201は、図3の音出力部122から所定の報知音を出力させる。あるいは、マイコン201は、この報知音とともに、または、この報知音に代えて、操作表示部117に配置されたLEDを点滅または点灯させてもよい。使用者に温度上昇を報知可能な限りにおいて、報知の形態は、他の形態であってもよい。
【0062】
検出温度Tdが閾値Th_H未満である場合(S202:NO)、マイコン201は、使用者からの運転停止の操作により燃焼動作が終了したか否かを判定し(S205)、燃焼動作が終了していない場合は(S205:NO)、さらに、検出温度Tdが閾値Th_M以上であるか否かを判定する(S206)。閾値Th_Mは、ステップS202における閾値Th_Hよりも数℃~数10℃程度低く設定される。
【0063】
検出温度Tdが閾値Th_M未満である場合(S206:NO)、マイコン201は、処理をステップS202に戻す。したがって、検出温度Tdが正常範囲にある場合、ステップS202、S206の判定がNOとなり、ステップS202、S206の処理が繰り返される。その間に、燃焼動作が終了すると(S205:YES)、マイコン201は、当該処理を終了する。
【0064】
他方、ステップS202、S206の処理が繰り返される間に、検出温度Tdが閾値Th_M以上になると(S206:YES)、マイコン201は、燃焼モードを低燃焼モードに設定し(S207)、所定のエラー報知を行う(S208)。
【0065】
ここで、低燃焼モードとは、通常動作時に比べて燃焼能力を低下させた燃焼モードである。たとえば、通常動作時に、設定温度と検出温度との差分に応じて1~10段階(10段階が最大燃焼レベル)に燃焼レベルが切り替えられて燃焼制御が行われる場合、低燃焼モードでは、燃焼レベルの切り替えが、1~10段階のうち1~3段階に制限されて燃焼制御が行われる。このため、低燃焼モードでは、通常動作時に比べて、温風の温度が低下する傾向となる。
【0066】
また、ステップS208において、マイコン201は、図3の音出力部122から所定の報知音を出力させる。あるいは、マイコン201は、この報知音とともに、または、この報知音に代えて、操作表示部117に配置されたLEDを点滅または点灯させてもよい。使用者に温度上昇を報知可能な限りにおいて、報知の形態は、他の形態であってもよい。また、ステップS208の報知の形態とステップS204の報知の形態とを互いに相違させてもよい。
【0067】
ステップ208におけるエラー報知により、使用者は、温風の跳ね返り等によって人感センサ120付近の温度が上昇していることを把握できる。これにより、使用者は、温風の跳ね返りの原因となった物体を除去する等、人感センサ120付近の温度上昇を解消する措置をとることができる。
【0068】
その後、マイコン201は、検出温度Tdが、閾値Th_L以下になったか否かを判定する(S209)。ここで、閾値Th_Lは、ステップS206における閾値Th_Mよりも数℃~数10℃程度低く設定される。たとえば、閾値Th_Lは、45℃程度である。
【0069】
ステップS208の報知により、使用者が温度上昇の要因を解消し、これにより、検出温度Tdが閾値Th_L以下になると(S209:YES)、マイコン201は、燃焼モードを低燃焼モードから通常動作時の燃焼モードに切り替えて(S210)、処理をステップS202に戻す。これにより、上記と同様、通常動作時の燃焼運転が行われる。
【0070】
他方、使用者が報知に気付かず、温度上昇の要因を解消しない場合、さらに温度上昇が進んで、検出温度Tdが閾値Th_Hを超えることが起こり得る(S209:NO、S211:YES)。この場合、マイコン201は、燃焼動作を停止させて(S212)、当該処理を終了する。この場合も、燃焼動作の停止に伴い、所定の報知処理が行われてもよい。
【0071】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0072】
図5に示したように、温風の跳ね返り等によって、人感センサ120の近傍の温度が光学系の耐熱温度に基づく所定の閾値(閾値Th_H、閾値Th_M)以上となった場合に、人感センサ120の近傍の温度を低下させるための制御(S203、S207)が、燃焼部(ガスバーナ108)に対して行われる。これにより、光学系(レンズ120a)の温度が耐熱温度を超えることを防ぐことができる。よって、温度上昇により人感センサ120の本来の特性が阻害されることを抑制することができる。
【0073】
ここで、人感センサ120は、たとえば、人が発する赤外線を検知する焦電型赤外線センサであり、その光学系は、赤外線を検知するための検出器120bに赤外線を集めるレンズ120aを備える。そして、閾値(閾値Th_H、閾値Th_M)は、レンズ120aの耐熱温度より低い温度に設定される。これによれば、温度上昇によって、焦電型赤外線センサのレンズ120aが変質または変形することを抑制できる。よって、焦電型赤外線センサの特性を適正に維持できる。
【0074】
また、図5の処理において、マイコン201(制御部)は、温度センサ121の検出温度Tdが閾値Th_H以上である場合に(S202:YES)、燃焼部(ガスバーナ108)の動作を停止させる(S203)。これにより、温風の跳ね返り等によって人感センサ120付近の温度が閾値Th_Hに到達した後、温風が人感センサ120に当たり続けて人感センサ120の温度がさらに上昇することを防ぐことができる。よって、温度上昇により人感センサ120の本来の特性が阻害されることを確実に抑制することができる。
【0075】
また、図5の処理において、マイコン201(制御部)は、温度センサ121の検出温度Tdが閾値Th_M以上である場合に(S206:YES)、通常時に比べて低い燃焼モードで燃焼部(ガスバーナ108)による燃焼動作を実行する。これにより、人感センサ120付近の温度が閾値Th_Mに到達した場合に、低燃焼モードに切り替えられて温風の温度が低下するため、その後の人感センサ120の温度上昇を抑制できる。これにより、温度上昇により人感センサ120の本来の特性が阻害されることを抑制できる。また、この場合、温風は送出され続けるため、使用者に快適な暖房空間を提供できる。よって、この処理によれば、暖房動作を維持しつつ、温風による人感センサ120の特性の低下を抑制することができる。
【0076】
また、図5の処理において、マイコン201(制御部)は、温度センサ121の検出温度Tdが閾値Th_M(第1の閾値)以上である場合に(S206:YES)、通常時に比べて低い低燃焼モードで燃焼部(ガスバーナ108)による燃焼動作を実行し(S207)、温度センサ121の検出温度Tdが閾値Th_Mよりも高い閾値Th_H(第2の閾値)以上である場合に(S202:YES)、燃焼部の動作を停止させる(S203)。これにより、温風の跳ね返り等によって人感センサ120付近の温度が閾値Th_M(第1の閾値)に到達した場合は(S206:YES)、暖房動作を維持しつつ、温風による人感センサ120の特性の低下を抑制でき、人感センサ120付近の温度が閾値Th_H(第2の閾値)に到達した場合は(S202:YES)、温度上昇により人感センサ120の本来の特性が阻害されることを確実に抑制できる。
【0077】
さらに、図5の処理において、マイコン201(制御部)は、低燃焼モード(S207)に移行した後、温度センサ121の検出温度Tdが閾値Th_M(第1の閾値)よりも低い閾値Th_L(第3の閾値)以下に低下した場合(S209:YES)、燃焼モードを通常時の燃焼モードに復帰させる(S210)。これにより、人感センサ120付近の温度が確実に低下した後に、通常の燃焼モードで燃焼動作が実行される。よって、人感センサ120の特性をより確実に維持できる。
【0078】
また、図5の処理において、マイコン201(制御部)は、温度センサ121の検出温度Tdが閾値(Th_H、Th_M)以上になったことに基づいて(S202:YES、S206:YES)、所定の報知動作を実行する(S204、S208)。これにより、使用者は、温風の跳ね返り等によって人感センサ120付近の温度が上昇していることを把握できる。これにより、使用者は、温風の跳ね返りの原因となった物体を除去する等、人感センサ120付近の温度上昇を解消する措置をとることができる。
【0079】
図1(b)に示したように、人感センサ120は、温風の吹出口101aの周囲に配置されている。このように、人目に付きにくい位置に人感センサ120を配置することにより、ファンヒータの意匠性が低下することを抑制できる。
【0080】
また、図1(b)に示したように、温度センサ121は、吹出口101aと人感センサ120との間に配置されている。このように、温度センサ121を人感センサ120よりも熱源(吹出口101a)側に配置することにより、温風の跳ね返りによる温度上昇を、より安定的に温度センサ121で検知できる。よって、温度センサ121の検出温度に基づく図5の制御を、より適正に行うことができる。
【0081】
<変更例>
上記実施形態では、人感センサ120と温度センサ121が、凹部101cの底部101dに配置されたが、人感センサ120と温度センサ121の配置位置は、これに限られるものではない。たとえば、人感センサ120が、外装ケース101の前面の凹部101c以外の位置に配置されてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、レンズ120aの耐熱温度に基づいて閾値Th_L、Th_M、Th_Lが設定されたが、人感センサ120の光学系が、レンズ120aとは別の、温度上昇により変形または変質する光学部材を有する場合、この光学部材の耐熱温度に基づいて、閾値Th_L、Th_M、Th_Lが設定されてもよい。たとえば、人感センサ120の光学系が、赤外線を透過させるフィルタを備える場合、当該フィルタの耐熱温度に基づいて、閾値Th_L、Th_M、Th_Lが設定されてもよい。
【0083】
また、上気実施形態では、人感センサ120として焦電型赤外線センサが例示されたが、人感センサ120が、他の種類の人感センサであってもよい。人感センサ120の光学系は、人感センサ120の種類に応じて変更され得る。また、温度センサ121も、サーミスタに限らず、他の種類の温度センサであってもよい。
【0084】
また、図5のステップS209において、検出温度Tdが閾値Th_Lと比較されたが、ステップS209において、検出温度Tdが閾値Th_Mと比較されてもよい。ただし、安定的な処理により、確実に、人感センサ120の光学系を温度上昇から保護するためには、上記実施形態のように、ステップS209において設定される閾値を、閾値Th_Mより低い閾値Th_Lに設定することが好ましい。
【0085】
また、燃焼モードの燃焼能力を低燃焼モードに変更する方法は、上記実施形態に記載された方法に限られるものではなく、他の方法が用いられてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、本発明をガスファンヒータ10に適用した場合の構成を例示したが、石油を燃料とする石油ファンヒータに本発明が適用されてもよい。また、ガスファンヒータ10の構成も、図1(a)、(b)に示した構成に限られるものではなく、適宜変更され得る。
【0087】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 ガスファンヒータ
101a 吹出口
108 ガスバーナ(燃焼部)
120 人感センサ
120a レンズ
120b 検出器
121 温度センサ
201 マイクロコンピュータ(制御部)
Th_H、Th_M、Th_L 閾値
図1
図2
図3
図4
図5