(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B60C13/00 C
(21)【出願番号】P 2020108616
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-126335(JP,A)
【文献】特開2016-182931(JP,A)
【文献】特開2019-119268(JP,A)
【文献】特開2014-136487(JP,A)
【文献】特開2008-273505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール部の外表面に装飾部を有する空気入りタイヤにおいて、
前記装飾部は互いに平行な基準線に沿って階段状に配列された複数個の装飾要素を含み、各装飾要素は平行四辺形をなす3つの領域が隣接する辺を共有するように配置されてなる六角形を形成し、各装飾要素の各領域内には同一方向に延在する複数本のリッジが形成され、各装飾要素を構成する3つの領域内では前記リッジの傾斜方向が互いに異なることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記装飾要素の各領域が凸部又は凹部からなる境界部で区切られ、前記装飾要素の各領域の前記リッジが前記境界部で終端していることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記リッジ同士の交差角度が30°~90°であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記リッジの高さが0.1mm~0.3mmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記境界部の幅が0.5mm~1.5mmであることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記境界部の高さ又は深さが0.1mm~0.5mmであることを特徴とする請求項2又は5に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせながら、サイドウォール部の装飾性及び視認性を向上させると共に、タイヤ設計時の製図時間を短縮することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせるために、サイドウォール部に多数のリッジで構成されるセレーションを形成することが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。サイドウォール部にセレーションを配置するにあたって、タイヤサイズに応じてセレーションの大きさや湾曲率を変更した上で、タイヤ周方向に沿って環状に配置することが一般的である。しかしながら、このような変更を施すことにより、タイヤ設計時において多大な製図時間を要するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-35313号公報
【文献】国際公開第2018/162308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせながら、サイドウォール部の装飾性及び視認性を向上させると共に、タイヤ設計時の製図時間を短縮することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明の空気入りタイヤは、サイドウォール部の外表面に装飾部を有する空気入りタイヤにおいて、前記装飾部は互いに平行な基準線に沿って階段状に配列された複数個の装飾要素を含み、各装飾要素は平行四辺形をなす3つの領域が隣接する辺を共有するように配置されてなる六角形を形成し、各装飾要素の各領域内には同一方向に延在する複数本のリッジが形成され、各装飾要素を構成する3つの領域内では前記リッジの傾斜方向が互いに異なることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、サイドウォール部の外表面に装飾部を有する空気入りタイヤにおいて、装飾部は互いに平行な基準線に沿って階段状に配列された複数個の装飾要素を含み、各装飾要素は平行四辺形をなす3つの領域が隣接する辺を共有するように配置されてなる六角形を形成し、各装飾要素の各領域内には同一方向に延在する複数本のリッジが形成され、各装飾要素を構成する3つの領域内ではリッジの傾斜方向が互いに異なっているので、サイドウォール部の外観不良を改善することができる。特に、六角形の装飾要素は錯視効果を有するため、サイドウォール部の装飾性を向上させることができる。また、装飾部において、六角形の装飾要素が集合する模様部とブランドロゴの周辺の平坦な面との粗密により生じる光の反射の濃淡の差によってサイドウォール部への注視力が増し、サイドウォール部(特にブランドロゴ)の視認性を向上させることができる。更には、複数個の装飾要素が互いに平行な基準線に沿って配列されていることで、従来のようにタイヤサイズに応じて装飾の大きさや湾曲率を変更する必要がなく、そうした変更をせずとも上記効果を十分に得ることができるため、タイヤ設計時においてサイドウォール部の製図時間を短縮することができる。
【0007】
本発明の空気入りタイヤにおいて、装飾要素の各領域は凸部又は凹部からなる境界部で区切られ、装飾要素の各領域のリッジは境界部で終端していることが好ましい。これにより、装飾要素の各領域の境目が明瞭になり、サイドウォール部の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0008】
リッジ同士の交差角度は30°~90°であることが好ましい。これにより、サイドウォール部の凹凸を効果的に改善すると共に、サイドウォール部の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0009】
リッジの高さは0.1mm~0.3mmであることが好ましい。これにより、サイドウォール部の凹凸を効果的に改善することができると共に、サイドウォール部の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0010】
境界部の幅は0.5mm~1.5mmであることが好ましい。これにより、サイドウォール部の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0011】
境界部の高さ又は深さは0.1mm~0.5mmであることが好ましい。これにより、サイドウォール部の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例を示す側面図である。
【
図2】(a),(b)は
図1の空気入りタイヤの要部を拡大して示す側面図であり、(a)は複数個の装飾要素が集合する模様部を示し、(b)は1つの装飾要素を概略的に示す。
【
図3】
図1の空気入りタイヤのサイドウォール部に形成された装飾要素の一つの領域を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの変形例のサイドウォール部に形成された装飾要素の領域を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの他の変形例を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの他の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1~
図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例を示すものである。
【0014】
図1に示すように、空気入りタイヤのサイドウォール部1の外表面には、タイヤ周方向に円環状をなす装飾部10が形成されている。この装飾部10は、タイヤのメーカー名やブランドロゴが形成される表示部11と、複数個の装飾要素20が集合して模様を形成する模様部12から構成される。表示部11と模様部12は、タイヤ周方向に交互に配列される。なお、模様部12には後述するリッジ31~33が形成されているが、
図1では、本発明に係る模様を視覚的に分かり易くするためにリッジ31~33を省略して示している。
【0015】
図2(a)に示すように、模様部12において、複数個の装飾要素20は互いに同一の形状を有している。また、複数個の装飾要素20は、タイヤ周方向に対して傾斜する方向に沿って階段状に連なっている。階段状に連なる複数個の装飾要素20は、タイヤ径方向に複数列が並んで配置されている。このように複数個の装飾要素20を階段状に配置して一列の階段模様を形成し、更に、複数列の階段模様をタイヤ径方向に隣接して配置することにより、模様部12には、複数列の階段模様からなる階段群の模様が形成される。
【0016】
図2(b)に示すように、装飾要素20は、平行四辺形をなす3つの領域21~23を有している。ここで、本発明における「平行四辺形」とは、いわゆる平行四辺形の他、菱形や正方形を含む図形を意味する。
図2(b)は、領域21が正方形であり、領域22,23が平行四辺形である例を示している。これら領域21~23は、隣接する辺(後述する境界部25)を共有するように配置されている。このように3つの領域21~23を隣接して配置することにより、装飾要素20は全体として六角形を形成する。この六角形は、平面視において3つの領域21~23からなる装飾要素20の輪郭線を考慮したとき、6つの辺と頂点で構成される図形である。
【0017】
各装飾要素20を構成する3つの領域21~23は、それぞれ平面視で平行四辺形を形成するが、これら領域21~23が組み合わされることによって、視覚的に立方体形状が形成される。このような立方体形状(六角形の装飾要素20)は、実際には平面的な形状であるものの、人の目には立体的な形状を形成するように見える錯視効果を発揮する。
【0018】
また、複数個の装飾要素20は、互いに平行な基準線Lに沿って配列されている。この基準線Lは、階段状に連なる複数個の装飾要素20において対応する1つの点を結んで形成される線であり、例えば、
図2(a)に示すように領域21(正方形)の1つの角部を結んで形成される線である。基準線Lに沿って複数個の装飾要素20を配置した場合、複数個の装飾要素20は、タイヤ周方向に対して傾斜する方向に沿って階段状に連なる一方で、タイヤ周方向に沿って環状に配置されない。このような装飾要素20の配置により、模様部12に配置された全ての装飾要素20を同一の形状にすることができる。
【0019】
これに対して、特定の形状を有する複数個の装飾要素をタイヤ周方向やタイヤ径方向に沿って規則的に配置した従来の空気入りタイヤでは、タイヤサイズに応じて装飾要素の大きさや湾曲率を変更し、装飾要素がタイヤ周方向に環状に配置されていることが一般的である。装飾要素の大きさや湾曲率を変更したことで、複数個の装飾要素は、平行な基準線に沿って配列されない。また、タイヤ径方向内側に位置する装飾要素とタイヤ径方向外側に位置する装飾要素の大きさが異なり、全ての装飾要素が同一の形状を有していない。
【0020】
各装飾要素20を構成する領域21~23には、それぞれの領域内で同一方向に延在する複数本のリッジ31~33が形成されている。これらリッジ31~33は、サイドウォール部1の外表面から突出するように形成されている。リッジ31~33は、基本的に同じ高さ及び幅を有している。各領域21~23に形成されるリッジ31~33の本数は、互いに同じ本数であっても良く、それぞれ異なっていても良い。リッジ31~33は、各領域内で等間隔に配置されることが好ましい。
【0021】
また、隣接する領域に配置されるリッジ31~33は、互いに傾斜方向が異なっている。具体的には、領域21のリッジ31と領域22のリッジ32とは互いに交差する方向に延在し、領域21のリッジ31と領域23のリッジ33とは互いに交差する方向に延在し、領域22のリッジ32と領域23のリッジ33とは互いに交差する方向に延在している。即ち、1つの装飾要素20には、3つの傾斜方向が存在する。
【0022】
このような装飾要素20において、領域21~23は、凸部からなる境界部25で区切られている。言い換えれば、境界部25は、領域21~23で共有する辺を成している。また、境界部25は、サイドウォール部1の外表面から突出するように形成されている。各領域21~23のリッジ31~33は、いずれも境界部25で終端している。なお、装飾要素20に境界部25が形成されない場合でも、各領域21~23のリッジ31~33は互いに連結されない。
【0023】
上述した空気入りタイヤでは、装飾部10は互いに平行な基準線Lに沿って階段状に配列された複数個の装飾要素20を含み、各装飾要素20は平行四辺形をなす3つの領域21~23が隣接する辺を共有するように配置されてなる六角形を形成し、各装飾要素20の各領域21~23内には同一方向に延在する複数本のリッジ31~33が形成され、各装飾要素20を構成する3つの領域21~23内ではリッジ31~33の傾斜方向が互いに異なっているので、サイドウォール部1の凹凸を目立たなくさせることができる。特に、六角形の装飾要素20は錯視効果を有するため、サイドウォール部1の装飾性を向上させることができる。また、装飾部10において、六角形の装飾要素20が集合する模様部12とブランドロゴの周辺の平坦な面との粗密により生じる光の反射の濃淡の差によってサイドウォール部1への注視力が増し、サイドウォール部1(特にブランドロゴ)の視認性を向上させることができる。更には、複数個の装飾要素20が互いに平行な基準線Lに沿って配列されていることで、従来のようにタイヤサイズに応じて装飾の大きさや湾曲率を変更する必要がなく、そうした変更をせずとも上記効果を十分に得ることができるため、タイヤ設計時においてサイドウォール部1の製図時間を短縮することができる。
【0024】
更に、装飾要素20の各領域21~23は境界部25で区切られ、装飾要素20の各領域21~23のリッジ31~33は境界部25で終端しているので、装飾要素20の各領域21~23の境目が明瞭になり、サイドウォール部1の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0025】
上記空気入りタイヤにおいて、境界部25の幅W(
図3参照)は、0.5mm~1.5mmであることが好ましく、0.7mm~1.1mmであることがより好ましい。このように境界部25の幅Wを適度に設定することで、装飾要素20の各領域21~23の境目が明瞭になり、サイドウォール部1の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0026】
ここで、境界部25の幅Wが0.5mm未満であると、装飾要素20の各領域21~23の境目が不明瞭になり、サイドウォール部1の装飾性及び視認性に対する改善効果を十分に得ることができず、逆に、境界部25の幅Wが1.5mmを超えると、境界部25が過度に目立つことになり、良好な視認性を得ることができない。
【0027】
また、境界部25の高さH(
図3参照)は、0.1mm~0.5mmであることが好ましく、0.2mm~0.4mmであることがより好ましい。このように境界部25の高さHを適度に設定することで、装飾要素20の各領域21~23の境目が明瞭になり、サイドウォール部1の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0028】
ここで、境界部25の高さHが0.1mm未満であると、装飾要素20の各領域21~23の境目が不明瞭になり、サイドウォール部1の装飾性及び視認性に対する改善効果を十分に得ることができず、逆に、境界部25の高さHが0.5mmを超えると、境界部25が過度に目立つことになり、良好な視認性を得ることができない。
【0029】
上記空気入りタイヤにおいて、リッジ31~33の交差角度θa~θc(
図2(b)参照)は、30°~90°であることが好ましい。このとき、交差角度θa~θcは、装飾要素20の隣接する領域21~23に形成されたリッジ31~33がなす角度のうち鋭角側の角度を意味する。
図2(b)において、領域21のリッジ31と領域22のリッジ32の交差角度θaは90°であり、領域21のリッジ31と領域23のリッジ33の交差角度θbは45°であり、領域22のリッジ32と領域23のリッジ33の交差角度θcは45°である。このようにリッジ31~33の交差角度θa~θcを適度に設定することで、サイドウォール部1の凹凸を効果的に改善すると共に、サイドウォール部1の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0030】
また、リッジ31~33の高さh(
図3参照)は、0.1mm~0.3mmであることが好ましい。また、リッジ31~33の高さhは、それぞれ境界部25の高さHよりも低いことが好ましい。このようにリッジ31~33の高さhを適度に設定することで、サイドウォール部1の凹凸を効果的に改善することできると共に、サイドウォール部1の装飾性及び視認性を効果的に改善することができる。
【0031】
ここで、リッジ31~33の高さhが0.1mm未満であると、サイドウォール部1の凹凸に対する改善効果を十分に得ることができず、逆に、リッジ31~33の高さhが0.3mmを超えると、リッジ31~33が過度に目立つことになり、良好な視認性を得ることができない。
【0032】
図4は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの変形例のサイドウォール部に形成された装飾要素の一つの領域を示すものである。
図3では、装飾要素20の領域21~23が凸部からなる境界部25により区切られているが、
図4では、凹部からなる境界部26により区切られている。
図4の実施形態の空気入りタイヤは、模様部12に凹部からなる境界部26が形成されたこと以外は、
図1~
図3の空気入りタイヤと同じ構造を有する。境界部26は、サイドウォール部1の外表面から凹んでいる。また、境界部26の深さD(
図4参照)は、0.1mm~0.5mmであることが好ましく、0.2mm~0.4mmであることがより好ましい。
【0033】
図5及び
図6はそれぞれ本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの他の変形例を示すものである。
図1では、模様部12においてタイヤ径方向に2列の階段模様(階段状に連なる複数個の装飾要素20)が配置されているが、
図5では、タイヤ径方向に1列の階段模様が配置され、
図6では、タイヤ径方向に3列の階段模様が配置されている。
図5及び
図6の実施形態の空気入りタイヤは、いずれも階段模様のタイヤ径方向の列数が異なること以外は、
図1~
図3の空気入りタイヤと同じ構造を有している。模様部12において、階段模様のタイヤ径方向の列数は、立方体形状(六角形の装飾要素20)のバランスを向上させるため、1列~3列であることが好ましく、2列であることがより好ましい。ここで、階段模様のタイヤ径方向の列数は、模様部12に配置されたタイヤ径方向の装飾要素20の最大数であり、六角形の装飾要素20の全体が模様部12内に収まっているものを対象とする。なお、模様部12にはリッジ31~33が形成されているが、
図5及び
図6では、本発明に係る模様を視覚的に分かり易くするためにリッジ31~33を省略して示している。
【実施例】
【0034】
タイヤサイズ195/60R16で、サイドウォール部の外表面に装飾部を有する空気入りタイヤにおいて、模様部のパターン、境界部の幅及び階段模様のタイヤ径方向の列数を表1のように設定した従来例及び実施例1~3のタイヤを製作した。
【0035】
従来例では、
図7に示す模様部のパターンを採用し、模様部には高さが0.2mmである複数本のリッジのみを配置した。実施例1では
図1に示す模様部のパターンを採用し、実施例2では
図5に示す模様部のパターンを採用し、実施例3では
図6に示す模様部のパターンを採用した。また、実施例1~3では、装飾要素の各領域が凸部からなる境界部で区切られ、装飾要素の各領域のリッジが境界部で終端した構造を有すると共に、リッジの高さを0.2mm、境界部の高さを0.3mmに設定した。
【0036】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、凹凸の識別困難性、模様部の装飾性、表示部の視認性及び模様部の製図時間を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0037】
凹凸の識別困難性:
各試験タイヤについて、テスターがサイドウォール部の凹凸を視認し、凹凸の識別の困難性を評価した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、凹凸が識別しにくく、凹凸が目立たないことを意味する。
【0038】
模様部の装飾性:
各試験タイヤについて、テスターがサイドウォール部を視認し、模様部の装飾性を評価した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、装飾性が優れていることを意味する。
【0039】
表示部の視認性:
各試験タイヤについて、テスターがサイドウォール部を視認し、表示部のブランドロゴの視認性を評価した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、ブランドロゴの視認性が優れていることを意味する。
【0040】
模様部の製図時間:
各試験タイヤについて、サイドウォール部の模様部を製図する際に要した時間(分)を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど、製図時間が短いことを意味する。
【0041】
【0042】
この表1から判るように、実施例1~3は、従来例に比して、凹凸の識別困難性、模様部の装飾性、表示部の視認性及び模様部の製図時間が改善されていた。特に、実施例1は、実施例2及び3に比して、模様部に形成された装飾要素の大きさのバランスが良好であった。
【符号の説明】
【0043】
1 サイドウォール部
10 装飾部
20 装飾要素
21~23 領域
25,26 境界部
31~33 リッジ