IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソシオネクストの特許一覧

<>
  • 特許-半導体集積回路装置 図1
  • 特許-半導体集積回路装置 図2
  • 特許-半導体集積回路装置 図3
  • 特許-半導体集積回路装置 図4
  • 特許-半導体集積回路装置 図5
  • 特許-半導体集積回路装置 図6
  • 特許-半導体集積回路装置 図7
  • 特許-半導体集積回路装置 図8
  • 特許-半導体集積回路装置 図9
  • 特許-半導体集積回路装置 図10
  • 特許-半導体集積回路装置 図11
  • 特許-半導体集積回路装置 図12
  • 特許-半導体集積回路装置 図13
  • 特許-半導体集積回路装置 図14
  • 特許-半導体集積回路装置 図15
  • 特許-半導体集積回路装置 図16
  • 特許-半導体集積回路装置 図17
  • 特許-半導体集積回路装置 図18
  • 特許-半導体集積回路装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L21/82 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020563101
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2019049190
(87)【国際公開番号】W WO2020137660
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2018240887
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 浩志郎
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025580(WO,A1)
【文献】特表2014-505995(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025597(WO,A1)
【文献】特開2007-13156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理機能を有する第1スタンダードセルと、前記第1スタンダードセルに隣接して配置され、論理機能を有さない第2スタンダードセルと、を備える半導体集積回路装置であって、
前記第1スタンダードセルは、
第1方向に延伸され、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において、前記第1トランジスタよりも高い位置に形成され、かつ、平面視において、チャネル部が前記第1トランジスタのチャネル部と重なりを有する位置に配置された第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、を備え、
前記第2スタンダードセルは、
前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧を供給する第3電源配線と、
前記第1方向に延伸され、前記第2電源電圧を供給する第4電源配線と、
前記第1方向と垂直をなす第2方向において、チャネル部が前記第1トランジスタのチャネル部と同じ位置に配置され、かつ、前記深さ方向において、前記第1トランジスタと同層に配置された前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第1ダミートランジスタと、
前記第2方向において、チャネル部が前記第2トランジスタのチャネル部と同じ位置に配置され、かつ、前記深さ方向において、前記第2トランジスタと同層に配置された前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第2ダミートランジスタと、を備え
前記第1スタンダードセルは、
前記第2方向に延び、前記第1トランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第1および第2ローカル配線と、
前記第2方向に延び、前記第2トランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第3および第4ローカル配線とを備え、
前記第2スタンダードセルは、
前記第2方向に延び、前記第1ダミートランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第5および第6ローカル配線と、
前記第2方向に延び、前記第2ダミートランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第7および第8ローカル配線とを備えることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第5、第6、第7および第8ローカル配線のうち少なくとも一つは、平面視において、前記第3電源配線と重なりを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第5、第6、第7および第8ローカル配線は、平面視において、それぞれ、前記第3および第4電源配線と重なりを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第5、第6、第7および第8ローカル配線は、前記第3電源配線と接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第5および第6ローカル配線は、前記第3電源配線と接続され、
前記第7および第8ローカル配線は、前記第4電源配線と接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第1、第2、第5および第6ローカル配線は、前記深さ方向において、同層に配置され、かつ、前記第1方向において、同一ピッチで配置されており、
前記第3、第4、第7および第8ローカル配線は、前記深さ方向において、同層に配置され、かつ、前記第1方向において、同一ピッチで配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
論理機能を有する第1スタンダードセルと、前記第1スタンダードセルに隣接して配置され、論理機能を有さない第2スタンダードセルと、を備える半導体集積回路装置であって、
前記第1スタンダードセルは、
第1方向に延伸され、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において、前記第1トランジスタよりも高い位置に形成され、かつ、平面視において、チャネル部が前記第1トランジスタのチャネル部と重なりを有する位置に配置された第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記第1方向と垂直をなす第2方向に延び、前記第1トランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第1および第2ローカル配線と、
前記第2方向に延び、前記第2トランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第3および第4ローカル配線と、を備え、
前記第2スタンダードセルは、
前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧を供給する第3電源配線と、
前記第1方向に延伸され、前記第2電源電圧を供給する第4電源配線と、
前記深さ方向において、前記第1および第2ローカル配線と同層に配置された第5ローカル配線と、
前記深さ方向において、前記第3および第4ローカル配線と同層に配置された第6ローカル配線とを備え、
前記第5および第6ローカル配線のうち少なくともいずれか一方は、平面視で、前記第3および第4電源配線と重なりを有していることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第1スタンダードセルは、
前記第2方向に延び、かつ、前記深さ方向に延びており、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタのゲートとなる、ゲート配線をさらに備え、
前記第2スタンダードセルは、
前記第2方向に延び、かつ、前記深さ方向に延びているダミーゲート配線をさらに備え、
前記第1スタンダードセルと前記第2スタンダードセルとの境界において、前記第2方向および前記深さ方向において延びるように、第2ダミーゲート配線が設けられており、
前記ゲート配線、前記ダミーゲート配線、および前記第2ダミーゲート配線は、前記第1方向において、同一ピッチで配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第5および第6ローカル配線は、前記第3電源配線と、接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第5ローカル配線は、前記第3電源配線と接続され、
前記第6ローカル配線は、前記第4電源配線と接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項記載の半導体集積回路装置において、
前記第1、第2および第5ローカル配線は、前記第1方向において、同一ピッチで配置されており、
前記第3、第4および第6ローカル配線は、前記第1方向において、同一ピッチで配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体構造トランジスタを含むスタンダードセル(以下、適宜、単にセルともいう)を備えた半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、スタンダードセル方式が知られている。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ,ラッチ,フリップフロップ,全加算器など)をスタンダードセルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数のスタンダードセルを配置して、それらのスタンダードセルを配線で接続することによって、LSIチップを設計する方式のことである。
【0003】
また、LSIの基本構成要素であるトランジスタは、ゲート長の縮小(スケーリング)により、集積度の向上、動作電圧の低減、および動作速度の向上を実現してきた。しかし近年、過度なスケーリングによるオフ電流と、それによる消費電力の著しい増大が問題となっている。この問題を解決するため、トランジスタ構造を従来の平面型から立体型に変更した立体構造トランジスタが盛んに研究されている。
【0004】
非特許文献1,2では、新規デバイスとして、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスと、これを用いたスタンダードセルが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Ryckaert J. et al., "The Complementary FET (CFET) for CMOS scaling beyond N3", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【文献】A. Mocuta et al., "Enabling CMOS Scaling Towards 3nm and Beyond", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスのことを、非特許文献1の記載にならい、CFET(Complementary FET)と呼ぶことにする。また、基板に対して垂直をなす方向のことを、深さ方向と呼ぶ。
【0007】
ここで、スタンダードセルには、例えば、NANDゲート、NORゲート等の論理機能を有するセル(以下、適宜、論理セルという)の他に、論理機能を有さないセルが含まれる。論理機能を有さないセルとして、「フィラーセル」が挙げられる。「フィラーセル」とは、論理機能を有さず、回路ブロックの論理機能に寄与せず、論理セルの間に配置されたセルのことをいう。
【0008】
これまで、CFETを用いたフィラーセルの構造や、CFETを用いたフィラーセルを含む半導体集積回路のレイアウトに関して、具体的な検討はまだなされていない。
【0009】
本開示は、CFETを用いたフィラーセルを含む半導体集積回路装置のレイアウトを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1態様では、論理機能を有する第1スタンダードセルと、前記第1スタンダードセルに隣接して配置され、論理機能を有さない第2スタンダードセルと、を備える半導体集積回路装置であって、前記第1スタンダードセルは、第1方向に延伸され、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも高い位置に形成され、かつ、平面視において、チャネル部が前記第1トランジスタのチャネル部と重なりを有する位置に配置された第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、を備え、前記第2スタンダードセルは、前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧を供給する第3電源配線と、前記第1方向に延伸され、前記第2電源電圧を供給する第4電源配線と、前記第1方向と垂直をなす第2方向において、チャネル部が前記第1トランジスタのチャネル部と同じ位置に配置され、かつ、深さ方向において、前記第1トランジスタと同層に配置された前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第1ダミートランジスタと、前記第2方向において、チャネル部が前記第2トランジスタのチャネル部と同じ位置に配置され、かつ、前記深さ方向において、前記第2トランジスタと同層に配置された前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第2ダミートランジスタと、を備える。
【0011】
この態様によると、第1トランジスタおよび第1ダミートランジスタのチャネル部は、第2方向において、同じ位置に配置される。第1トランジスタおよび第1ダミートランジスタは、深さ方向において、同層に配置される。また、第2トランジスタおよび第2ダミートランジスタのチャネル部は、第2方向において、同じ位置に配置される。第2トランジスタおよび第2ダミートランジスタは、深さ方向において、同層に配置される。すなわち、第2スタンダードセルに第1および第2トランジスタを配置することにより、トランジスタ配置の粗密を抑制することができる。これにより、半導体集積回路装置の製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0012】
本開示の第2態様では、論理機能を有する第1スタンダードセルと、前記第1スタンダードセルに隣接して配置され、論理機能を有さない第2スタンダードセルと、を備える半導体集積回路装置であって、前記第1スタンダードセルは、第1方向に延伸され、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において、前記第1トランジスタよりも高い位置に形成され、かつ、平面視において、チャネル部が前記第1トランジスタのチャネル部と重なりを有する位置に配置された第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、前記第1方向と垂直をなす第2方向に延び、前記第1トランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第1および第2ローカル配線と、前記第2方向に延び、前記第2トランジスタのソースおよびドレインにそれぞれ接続された第3および第4ローカル配線と、を備え、前記第2スタンダードセルは、前記第1方向に延伸され、前記第1電源電圧を供給する第3電源配線と、前記第1方向に延伸され、前記第2電源電圧を供給する第4電源配線と、前記深さ方向において、前記第1および第2ローカル配線と同層に配置された第5ローカル配線と、前記深さ方向において、前記第3および第4ローカル配線と同層に配置された第6ローカル配線とを備え、前記第5および第6ローカル配線のうち少なくともいずれか一方は、平面視で、前記第3および第4電源配線と重なりを有している。
【0013】
この態様によると、第1スタンダードセルと第2スタンダードセルとは、隣接して配置される。また、第1,第2および第5ローカル配線は、同層に配置される。第3,第4および第6ローカル配線は、同層に配置される。すなわち、半導体集積回路装置の下部において、第1,第2および第5ローカル配線は、規則的に配置される。また、半導体集積回路装置の上部において、第3,第4および第6ローカル配線は、規則的に配置される。これにより、半導体集積回路装置の製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させ
ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によると、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造や性能のばらつきを抑制できるとともに、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るスタンダードセルを用いた回路ブロック下部のレイアウト構造の例を示す平面図
図2】第1実施形態に係るスタンダードセルを用いた回路ブロック上部のレイアウト構造の例を示す平面図
図3図1および図2のレイアウト構造の平面視横方向における断面図
図4】(a),(b)は第1実施形態に係るインバータセルのレイアウト構造を示す平面図
図5】(a),(b)は第1実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造を示す平面図
図6】(a),(b)は図4のレイアウト構造の平面視縦方向における断面図
図7】(a),(b)は第1実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図8】(a),(b)は第1実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図9】(a),(b)は第1実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図10】(a),(b)は第1実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図11】(a),(b)は第1実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図12】(a),(b)は第2実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造を示す平面図
図13】(a),(b)は第2実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図14】(a),(b)は第2実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図15】(a),(b)は第2実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す平面図
図16】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図17】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図18】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図19】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、半導体集積回路装置は複数のスタンダードセル(本明細書では、適宜、単にセルという)を備えており、この複数のスタンダードセルのうち少なくとも一部は、CFET、すなわち、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスを備えるものとする。
【0017】
まず、CFETの基本構造について説明する。図16図19はCFETを備えた半導体装置の構造を示す図であり、図16はX方向における断面図、図17はY方向におけるゲート部分の断面図、図18はY方向におけるソース・ドレイン部分の断面図、図19は平面図である。なお、X方向はナノワイヤが延びる方向、Y方向はゲートが延びる方向、Z方向は基板面と垂直をなす方向としている。また、図16図19は概略図であり、各部の寸法や位置等は必ずしも整合していない。
【0018】
この半導体装置では、シリコン(Si)基板等の半導体基板301の表面に素子分離領域302が形成されており、素子分離領域302により、素子活性領域30aが画定されている。素子活性領域30aでは、P型FET上にN型FETが形成されている。
【0019】
素子活性領域30aでは、半導体基板301上に積層トランジスタ構造390aが形成されている。積層トランジスタ構造390aは、半導体基板301上に形成されたゲート構造391を含む。ゲート構造391は、ゲート電極356、複数のナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355、絶縁膜357を含む。ゲート電極356は、Y方向に延び、Z方向に立ち上がる。ナノワイヤ358は、X方向でゲート電極356を貫通し、Y方向及びZ方向に配列されている。ゲート絶縁膜355は、ゲート電極356とナノワイヤ358との間に形成されている。ゲート電極356及びゲート絶縁膜355は、X方向において、ナノワイヤ358の両端から後退した位置に形成されており、この後退した部分に絶縁膜357が形成されている。半導体基板301上に、絶縁膜357の両脇において、絶縁膜316が形成されている。321,322は層間絶縁膜である。
【0020】
また、図17に示すように、ゲート電極356は、開口部375に設けられたビア385によって、上層の配線と接続される。
【0021】
例えば、ゲート電極356には、チタン、チタン窒化物又は多結晶シリコン等を用いることができる。例えば、ゲート絶縁膜355には、ハフニウム酸化物、アルミニウム酸化物又はハフニウム及びアルミニウムの酸化物等の高誘電率材料を用いることができる。例えば、ナノワイヤ358にはシリコン等を用いることができる。例えば、絶縁膜316、絶縁膜357には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0022】
この半導体装置では、Z方向に配列するナノワイヤ358の本数は4であり、素子活性領域30aでは、半導体基板301側の2本のナノワイヤ358の各端部にp型半導体層331pが形成されている。p型半導体層331pに接する2つのローカル配線386がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。また、半導体基板301から離間する側の2本のナノワイヤ358の各端部にn型半導体層341nが形成されている。n型半導体層341nに接する2つのローカル配線388がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。ローカル配線386とローカル配線388との間に絶縁膜332が形成されている。ローカル配線388の上に絶縁膜389が形成されている。例えば、p型半導体層331pはp型SiGe層であり、n型半導体層341nはn型Si層である。例えば、絶縁膜332には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0023】
また、図18に示すように、ローカル配線388は、ビア3071を介して、埋め込み配線3101と接続される。ローカル配線386は、ビア3072を介して、埋め込み配線3102と接続される。
【0024】
このように、積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びP型半導体層331pを含むP型FETを有する。このP型FETでは、一方のP型半導体層331pがソース領域として機能し、他方のP型半導体層331pがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びN型半導体層341nを含むN型FETも有する。このN型FETでは、一方のN型半導体層341nがソース領域として機能し、他方のN型半導体層341nがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。
【0025】
なお、積層トランジスタ構造より上層については、ビアおよび金属配線によりトランジスタ間の配線等が行われるが、これらは既知の配線プロセスによって実現が可能である。
【0026】
なお、ここでは、P型FETおよびN型FETにおけるナノワイヤの本数は、それぞれ、Y方向に4本、Z方向に2本、計8本ずつであるものとしたが、ナノノワイヤの本数はこれに限られるものではない。また、P型FETとN型FETのナノワイヤの本数は、異なっていてもかまわない。
【0027】
また、本明細書では、ナノワイヤの両端に形成され、トランジスタのソースまたはドレインとなる端子を構成する半導体層部のことを「パッド」という。上述したCFETの基本構造例では、p型半導体層331pおよびn型半導体層341nが、パッドに相当する。
【0028】
また、以降の実施形態における平面図および断面図においては、各絶縁膜等の記載は省略することがある。また、以降の実施形態における平面図および断面図については、ナノワイヤおよびその両側のパッドを、簡易化した直線状の形状で記載することがある。また、本明細書において、「同一サイズ」等のように、サイズ等が同じであることを意味する表現は、製造上のばらつき範囲を含んでいるものとする。
【0029】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係るスタンダードセルを用いた回路ブロック下部のレイアウト例であり、図2は第1実施形態に係るスタンダードセルを用いた回路ブロック上部のレイアウト例であり、図3図1および図2の線X1-X1’における断面である。図1および図2は回路ブロックの平面図である。具体的には、図1は下部、すなわち基板に近い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではP型ナノワイヤFET)を含む部分を示し、図2は上部、すなわち基板から遠い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではN型ナノワイヤFET)を含む部分を示す。
【0030】
なお、以下の説明では、図1等の平面図において、図面横方向をX方向(第1方向に相当)、図面縦方向をY方向(第2方向に相当)、基板面に垂直な方向をZ方向(深さ方向に相当)としている。また、図1等の平面図において縦横に走る点線は、設計時に部品配置を行うために用いるグリッドを示す。グリッドは、X方向において等間隔に配置されており、またY方向において等間隔に配置されている。なお、グリッド間隔は、X方向とY方向とにおいて同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0031】
図1および図2のレイアウトでは、X方向に並ぶ複数のセルが、セル列CRを構成している。そして、複数のセル列CRが、Y方向に並べて配置されている。複数のセルには、インバータの論理機能を有するインバータセルC1,C2と、論理機能を有さないフィラーセルC11,C12,C12aとが含まれている。なお、インバータセルC2は、Y方向において、インバータセルC1を反転させて配置したものである。また、フィラーセルC12aは、Y方向において、フィラーセルC12を反転させて配置したものである。
【0032】
ここで、「フィラーセル」は、論理機能を有しておらず、回路ブロックの論理機能に寄与せず、論理セルの間に配置されたセルのことをいう。
【0033】
本実施形態では、フィラーセルに、ダミーパッドが配置されている。ここで、「ダミーパッド」とは、回路の論理機能に寄与しないパッド、言い換えると、ナノワイヤFETを構成するパッドと同様の構造からなり、かつ、回路ブロックの論理機能に寄与しない構造物のことをいう。
【0034】
なお、図1および図2では、インバータセルC1,C2およびフィラーセルC11,C12,C12aが含まれる回路ブロックのレイアウトを図示している。ただし、実際のレイアウトはこれに限られるものではなく、どのような論理セルが配置されていてもよい。
【0035】
(インバータセルの構成)
図4はインバータセルのレイアウト構造を示す平面図である。具体的に、図4(a),(b)はインバータセルC1の平面図である。具体的には、図4(a)は下部を示し、図4(b)は上部を示す。
【0036】
図4(a)に示すように、インバータセルC1には、Y方向両端において、X方向に延びる電源配線11,12がそれぞれ設けられている。電源配線11,12はともに、埋め込み配線層に形成された埋め込み電源配線(BPR:Buried Power Rail)である。電源配線11は電源電圧VDDを供給し、電源配線12は電源電圧VSSを供給する。
【0037】
M1配線層には、X方向に延びる配線71,72が形成されている。配線71は入力A、配線72は出力Yに相当する。
【0038】
インバータセルC1の下部には、X方向に延びるナノワイヤ21が形成されており、インバータセルC1の上部には、X方向に延びるナノワイヤ26が形成されている。ナノワイヤ21,26は、平面視で重なっている。ナノワイヤ21の両端に、P型半導体がドーピングされたパッド22a,22bが形成されている。ナノワイヤ26の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド27a,27bが形成されている。ナノワイヤ21がP型トランジスタP1のチャネル部を構成し、パッド22a,22bがP型トランジスタP1のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ26がN型トランジスタN1のチャネル部を構成し、パッド27a,27bがN型トランジスタN1のソースまたはドレインとなる端子を構成する。N型トランジスタN1は、Z方向においてP型トランジスタP1よりも高い位置に形成されている。
【0039】
ゲート配線31は、X方向におけるほぼ中央においてY方向に延びており、かつ、インバータセルC1の下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線31は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ21、ゲート配線31、およびパッド22a,22bによって、P型トランジスタP1が構成される。ナノワイヤ26、およびゲート配線31、およびパッド27a,27bによって、N型トランジスタN1が構成される。また、インバータセルC1のX方向両端に、それぞれ、ダミーゲート配線35a,35bが形成されている。ダミーゲート配線35a,35bは、ゲート配線31と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。ゲート配線31およびダミーゲート配線35a,35bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。
【0040】
インバータセルC1の下部において、Y方向に延びるローカル配線(Local Interconnect:LI)41,42が形成されている。ローカル配線41は、パッド22aと接続されている。ローカル配線42は、パッド22bと接続されている。インバータセルC1の上部において、Y方向に延びるローカル配線51,52が形成されている。ローカル配線51は、パッド27aと接続されている。ローカル配線52は、パッド27bと接続されている。
【0041】
ローカル配線41は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト61を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト61は、平面視で電源配線11とローカル配線41とが重なる位置に形成されている。ローカル配線51は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト62を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト62は、平面視で電源配線12とローカル配線51とが重なる位置に形成されている。ローカル配線42,52は、コンタクト63を介して接続されている。コンタクト63は、平面視でローカル配線42とローカル配線52とが重なる位置に形成されている。
【0042】
図4に示すように、配線71(入力A)は、コンタクト81を介して、ゲート配線31と接続されている。配線72(出力Y)は、コンタクト82を介して、ローカル配線52と接続されている。
【0043】
以上のように、インバータセルC1は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1を有し、入力A、出力Yのインバータ回路を実現している。すなわち、インバータセルC1は、論理機能を有するスタンダードセルである。
【0044】
(フィラーセルの構成)
図5はフィラーセルのレイアウト構造を示す図であり、図5(a),(b)は平面図であり、図6は平面視縦方向における断面図である。具体的には、図5(a)はフィラーセルC11の下部を示し、図5(b)は上部を示す。図6(a)は線Y1-Y1’の断面、図6(b)は線Y2-Y2’の断面である。
【0045】
図5(a)に示すように、フィラーセルC11には、Y方向両端部において、X方向に延びる電源配線111,112がそれぞれ設けられている。電源配線111,112は、ともに、埋め込み配線層に形成された埋め込み電源配線(BPR)である。電源配線111は、電源配線11と同一の電源電圧VDDを供給する。電源配線112は、電源配線12と同一の電源電圧VSSを供給する。
【0046】
フィラーセルC11の下部には、X方向に延びるナノワイヤ121が形成されており、フィラーセルC11の上部には、X方向に延びるナノワイヤ126が形成されている。ナノワイヤ121,126は、平面視で重なっている。ナノワイヤ121の両端に、P型半導体がドーピングされたダミーパッド122a,122bが形成されている。ナノワイヤ126の両端に、N型半導体がドーピングされたダミーパッド127a,127bが形成されている。ナノワイヤ121がP型ダミートランジスタP11のチャネル部を構成し、ダミーパッド122a,122bがP型ダミートランジスタP11のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ126がN型ダミートランジスタN11のチャネル部を構成し、ダミーパッド127a,127bがN型ダミートランジスタN11のソースまたはドレインとなる端子を構成する。N型ダミートランジスタN11は、Z方向においてP型ダミートランジスタP11よりも高い位置に形成されている。
【0047】
また、X方向におけるほぼ中央においてY方向に延び、かつ、フィラーセルC11の下部から上部にかけてZ方向に延びるダミーゲート配線131が形成されている。また、フィラーセルC11のX方向両端には、ダミーゲート配線135a,135bが形成されている。ダミーゲート配線135a,135bは、Y方向に延びており、かつ、セル上部からセル下部にかけてZ方向に延びている。ダミーゲート配線131,135a,135bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。
【0048】
また、ダミーゲート配線131は、P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ121、ダミーゲート配線131、およびダミーパッド122a,122bによって、P型ダミートランジスタP11が構成される。ナノワイヤ126、ダミーゲート配線131、およびダミーパッド127a,127bによって、N型ダミートランジスタN11が構成される。
【0049】
また、フィラーセルC11の下部において、Y方向に延びるローカル配線141,142が形成されている。ローカル配線141,142は、それぞれ、平面視において、電源配線111,112と重なりを有する。ローカル配線141は、ダミーパッド122aと接続されている。ローカル配線142は、ダミーパッド122bと接続されている。
【0050】
フィラーセルC11の上部において、Y方向に延びるローカル配線151,152が形成されている。ローカル配線151,152は、それぞれ、平面視において、電源配線111,112と重なりを有する。ローカル配線151は、ダミーパッド127aと接続されている。ローカル配線152は、ダミーパッド127bと接続されている。
【0051】
ダミーゲート配線131およびローカル配線141,142,151,152は、インバータセルC1と異なり、いずれも他の配線と接続されていない。
【0052】
以上のように、フィラーセルC11は、P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11を有する。P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11のそれぞれのソースおよびドレインとなる、ダミーパッド122a,122b,127a,127bは、ローカル配線141,142,151,152にそれぞれ接続されている。ただし、ローカル配線141,142,151,152は、他の配線と接続されていない。すなわち、フィラーセルC11は、論理機能を有さないスタンダードセルである。
【0053】
図3に示すように、インバータセルC1およびフィラーセルC11は、X方向に並んで配置される。なお、インバータセルC1とフィラーセルC11との境界に配置されたダミーゲート配線は、インバータセルC1のダミーゲート配線35b、および、フィラーセルC11のダミーゲート配線135aに相当する。
【0054】
フィラーセルC11のナノワイヤ121,126は、それぞれ、Y方向において、インバータセルC1のナノワイヤ21,26と同じ位置に配置されている。また、ナノワイヤ121,126は、それぞれ、Z方向において、ナノワイヤ21,26と同層に配置されている。すなわち、フィラーセルC11のP型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11は、それぞれ、インバータセルC1のP型トランジスタP1およびN型トランジスタN1と、X方向において、並んで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置されている。
【0055】
また、ゲート配線31、ダミーゲート配線131およびダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ゲート配線31、ダミーゲート配線131およびダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置されている。
【0056】
また、ローカル配線141,142は、ローカル配線41,42と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ローカル配線41,42,141,142は、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置される。
【0057】
また、ローカル配線151,152は、ローカル配線51,52と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ローカル配線51,52,151,152は、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置されている。
【0058】
以上の構成により、論理機能を有さないフィラーセルC11は、論理機能を有するインバータセルC1に隣接して配置される。インバータセルC1は、P型トランジスタP1と、Z方向において、P型トランジスタP1よりも高い位置に配置されたN型トランジスタN1とを備える。フィラーセルC11は、P型ダミートランジスタP11とN型ダミートランジスタN11とを備える。フィラーセルC11のナノワイヤ121,126は、それぞれ、Y方向において、インバータセルC1のナノワイヤ21,26と同じ位置に配置される。P型トランジスタP1およびP型ダミートランジスタP11は、Z方向において、同層に配置されている。また、N型トランジスタN1およびN型ダミートランジスタN11は、Z方向において、同層に配置される。すなわち、フィラーセルC11にP型およびN型ダミートランジスタを配置することによりトランジスタ配置の粗密を抑制することができる。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置の製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0059】
また、X方向において、インバータセルC1のP型トランジスタP1およびN型トランジスタN1に最も近接するトランジスタは、それぞれ、フィラーセルC11のP型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11である。このため、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1は、それぞれ、P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11の存在によって、隣接するトランジスタまでの距離が所定値に定まる。すなわち、P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11の存在によって、論理セル(インバータセルC1)のセル端に最も近接するトランジスタ(P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1)からそれぞれに隣接するトランジスタまでの距離を所定値に見積もることができる。これにより、論理セルのトランジスタ性能の見積もり精度を向上させることができる。
【0060】
また、インバータセルC1のゲート配線31、フィラーセルC11のダミーゲート配線131およびダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ゲート配線31、ダミーゲート配線131、および、ダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0061】
また、フィラーセルC11のローカル配線141,142は、インバータセルC1のローカル配線41,42と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置されている。また、フィラーセルC11のローカル配線151,152は、インバータセルC1のローカル配線51,52と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ローカル配線41,42,141,142は、規則的に配置される。また、ローカル配線51,52,151,152は、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0062】
(フィラーセルの変形例)
(その1)
図7は本実施形態に係るフィラーセルの他の例を示す平面図である。図7(a)はセル下部を示し、図7(b)はセル上部を示す。図1および図7に示すように、フィラーセルC12は、フィラーセルC11とセル幅(X方向における寸法)が異なる。すなわち、フィラーセルC11のセル幅は2Lであるのに対して、フィラーセルC12のセル幅は4Lである。
【0063】
具体的には、フィラーセルC12の下部には、X方向に延びるナノワイヤ123a,123b,123cが形成されており、フィラーセルC12の上部には、X方向に延びるナノワイヤ128a,128b,128cが形成されている。ナノワイヤ123a,123b,123cは、それぞれ、ナノワイヤ128a,128b,128cと平面視で重なっている。
【0064】
ナノワイヤ123aの図面左側に、P型半導体がドーピングされたダミーパッド124aが形成されており、ナノワイヤ123a,123bの間にP型半導体がドーピングされたダミーパッド124bが形成されている。ナノワイヤ123b,123cの間にP型半導体がドーピングされたダミーパッド124cが形成されており、ナノワイヤ123cの図面右側に、P型半導体がドーピングされたダミーパッド124dが形成されている。
【0065】
また、ナノワイヤ128aの図面左側に、N型半導体がドーピングされたダミーパッド129aが形成されており、ナノワイヤ128a,128bの間にN型半導体がドーピングされたダミーパッド129bが形成されている。ナノワイヤ128b,128cの間にN型半導体がドーピングされたダミーパッド129cが形成されており、ナノワイヤ128cの図面右側に、N型半導体がドーピングされたダミーパッド129dが形成されている。
【0066】
ナノワイヤ123aがP型ダミートランジスタP12のチャネル部を構成し、ダミーパッド124a,124bがP型ダミートランジスタP12のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ123bがP型ダミートランジスタP13のチャネル部を構成し、ダミーパッド124b,124cがP型ダミートランジスタP13のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ123cがP型ダミートランジスタP14のチャネル部を構成し、ダミーパッド124c,124dがP型ダミートランジスタP14のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0067】
ナノワイヤ128aがN型ダミートランジスタN12のチャネル部を構成し、ダミーパッド129a,129bがN型ダミートランジスタN12のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ128bがN型ダミートランジスタN13のチャネル部を構成し、ダミーパッド129b,129cがN型ダミートランジスタN13のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ128cがN型ダミートランジスタN14のチャネル部を構成し、ダミーパッド129c,129dがN型ダミートランジスタN14のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0068】
また、フィラーセルC12のX方向両端には、Y方向に延び、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びるダミーゲート配線135a,135bが形成されている。また、ダミーゲート配線135a,135bの間には、Y方向に延び、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びるダミーゲート配線132a,132b,132cがピッチLで形成されている。
【0069】
ダミーゲート配線132aは、P型ダミートランジスタP12およびN型ダミートランジスタN12のゲートとなる。ダミーゲート配線132bは、P型ダミートランジスタP13およびN型ダミートランジスタN13のゲートとなる。ダミーゲート配線132cは、P型ダミートランジスタP14およびN型ダミートランジスタN14のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ123a、ダミーゲート配線132a、およびダミーパッド124a,124bによって、P型ダミートランジスタP12が構成される。ナノワイヤ123b、ダミーゲート配線132b、およびダミーパッド124b,124cによって、P型ダミートランジスタP13が構成される。ナノワイヤ123c、ダミーゲート配線132c、およびダミーパッド124c,124dによって、P型ダミートランジスタP14が構成される。ナノワイヤ128a、ダミーゲート配線132a、およびダミーパッド129a,129bによって、N型ダミートランジスタN12が構成される。ナノワイヤ128b、ダミーゲート配線132b、およびダミーパッド129b,129cによって、N型ダミートランジスタN13が構成される。ナノワイヤ128c、ダミーゲート配線132c、およびダミーパッド129c,129dによって、N型ダミートランジスタN14が構成される。
【0070】
また、フィラーセルC12の下部において、Y方向に延びるローカル配線143~146が形成されている。ローカル配線143~146は、それぞれ、平面視において、電源配線111,112と重なりを有する。ローカル配線143~146は、それぞれ、ダミーパッド124a~124dと接続されている。ローカル配線143~146は、X方向において、同一ピッチLで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置される。
【0071】
また、フィラーセルC12の上部において、Y方向に延びるローカル配線153~156が形成されている。ローカル配線153~156は、それぞれ、平面視において、電源配線111,112と重なりを有する。ローカル配線153~156は、それぞれ、ダミーパッド129a~129dと接続されている。ローカル配線153~156は、X方向において、同一ピッチLで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置される。
【0072】
また、ダミーゲート配線132a~132cおよびローカル配線143~146,153~156は、いずれも他の配線等と接続されていない。
【0073】
以上のように、フィラーセルC12は、P型ダミートランジスタP12~P14およびN型ダミートランジスタN12~N14を有する。P型ダミートランジスタP12~P14およびN型ダミートランジスタN12~N14のそれぞれのソースおよびドレインとなるダミーパッド124a~124dおよび129a~129dは、ローカル配線143~146およびローカル配線153~156にそれぞれ接続されている。ただし、ローカル配線143~146およびローカル配線153~156は、他の配線等と接続されていない。すなわち、フィラーセルC12は、論理機能を有さないスタンダードセルである。
【0074】
ここで、図1および図2の回路ブロックで示すように、フィラーセルC12がインバータセルC1と隣接して配置されたとする。この場合、フィラーセルC12のナノワイヤ123a,123b,123cは、インバータセルC1のナノワイヤ21と、Y方向において、同じ位置に配置され、かつ、Z方向において、同層に配置される。また、フィラーセルC12のナノワイヤ128a,128b,128cは、インバータセルC1のナノワイヤ26と、Y方向において、同じ位置に配置され、かつ、Z方向において、同層に配置される。すなわち、フィラーセルC12のP型ダミートランジスタP12,P13,P14は、インバータセルC1のP型トランジスタP1と、X方向において、並んで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置される。また、フィラーセルC12のN型トランジスタN12,N13,N14は、インバータセルC1のN型トランジスタN1と、X方向において、並んで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置される。
【0075】
また、ゲート配線31、ダミーゲート配線132a,132b,132c、および、ダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、X方向において、同一ピッチLで配置される。すなわち、ゲート配線31、ダミーゲート配線132a,132b,132c、および、ダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチで配置される。
【0076】
また、ローカル配線143~146は、インバータセルC1のローカル配線41,42と、X方向において、同一のピッチLで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置されている。すなわち、ローカル配線41,42,143~146は、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置される。
【0077】
また、ローカル配線153~156は、インバータセルC1のローカル配線51,52と、X方向において、同一のピッチLで配置され、かつ、Z方向において、同層に配置されている。すなわち、ローカル配線51,52,153~156は、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置されている。
【0078】
本変形例に係るフィラーセルC12によって、フィラーセルC11と同様の効果を得ることができる。なお、セル幅が2L,4L以外のフィラーセルについても、同様に構成することができる。
【0079】
(その2)
図8は第1実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図である。図8(a)はセル下部を示し、図8(b)はセル上部を示す。図8に示すように、フィラーセルC13は、図5に示すフィラーセルC11と基本的に同様の構成であるが、各ローカル配線のY方向の長さが異なる。すなわち、ローカル配線147,148は、平面視において、電源配線111と重なる位置までY方向に延びているが、電源配線112と重なりを有さない。また、ローカル配線157,158は、平面視において、電源配線112と重なる位置までY方向に延びているが、電源配線111と重なりを有さない。
【0080】
本変形例に係るフィラーセルC13によって、フィラーセルC11と同様の効果を得ることができる。
【0081】
なお、ローカル配線147,148は、それぞれ、平面視において、電源配線111と重なりを有し、ローカル配線157,158は、それぞれ、平面視において、電源配線112と重なりを有しているが、これに限られない。ローカル配線147,148は、それぞれ、平面視において、電源配線111と重なりを有さず、電源配線112と重なりを有してもよい。また、ローカル配線157,158は、それぞれ、平面視において、電源配線111と重なりを有しており、電源配線112と重なりを有しなくてもよい。また、ローカル配線147,148,157,158は、それぞれ、平面視において、電源配線111,112のいずれとも重なりを有しなくてもよい。ただし、ローカル配線147,148,157,158のうち少なくとも一つは、平面視において、電源配線111または電源配線112と重なりを有する。
【0082】
(その3)
図9は第1実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図である。図9(a)はセル下部を示し、図9(b)はセル上部を示す。図9に示すように、フィラーセルC14は、ダミーパッド122a,122b,127a,127bのいずれにもローカル配線が接続されていない。その他の構成はフィラーセルC11と同様である。
【0083】
フィラーセルC14をインバータセルC1に隣接配置した場合、ナノワイヤ121,126は、それぞれ、Y方向において、インバータセルC1のナノワイヤ21,26と同じ位置に配置される。また、フィラーセルC14のP型ダミートランジスタP11は、インバータセルC1のP型トランジスタP1と、Z方向において、同層に配置される。また、フィラーセルC14のN型ダミートランジスタN11は、インバータセルC1のN型トランジスタN1と、Z方向において、同層に配置される。すなわち、フィラーセルC14にP型およびN型ダミートランジスタを配置することによりトランジスタ配置の粗密を抑制することができる。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置の製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0084】
また、インバータセルC1のゲート配線31、フィラーセルC14のダミーゲート配線131、および、ダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ゲート配線31、ダミーゲート配線131、および、ダミーゲート配線35a,35b(135a),135bは、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置の製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0085】
また、X方向において、インバータセルC1のP型トランジスタP1およびN型トランジスタN1に最も近接するトランジスタは、それぞれ、フィラーセルC14のP型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11である。このため、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1は、それぞれ、P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11の存在によって、隣接するトランジスタまでの距離が所定値に定まる。すなわち、P型ダミートランジスタP11およびN型ダミートランジスタN11の存在によって、論理セル(インバータセルC1)のセル端に最も近接するトランジスタ(P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1)からそれぞれに隣接するトランジスタまでの距離を所定値に見積もることができる。これにより、論理セルのトランジスタ性能の見積もり精度を向上させることができる。
【0086】
なお、フィラーセルC14では、ダミーパッド122a,122b,127a,127bのいずれにもローカル配線が接続されていないが、これに限られない。ダミーパッド122a,122b,127a,127bのうちの一部に、Y方向に延びるローカル配線が接続されていてもよい。また、ダミーパッド122a,122b,127a,127bに接続されるローカル配線は、平面視において、電源配線111,112と重なりを有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0087】
(その4)
図10は第1実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図である。図10(a)はセル下部を示し、図10(b)はセル上部を示す。図9に示すように、フィラーセルC15は、図4に示すフィラーセルC11と基本的に同様の構成であるが、ローカル配線と電源配線とがコンタクトを介して接続されている。
【0088】
フィラーセルC15では、Z方向に延びるコンタクト161~164が形成されている。コンタクト161~164は、それぞれ、平面視において、電源配線111と重なる位置に配置されている。電源配線111およびローカル配線141は、コンタクト161を介して、互いに接続されている。電源配線111およびローカル配線142は、コンタクト162を介して、互いに接続されている。ローカル配線141,151は、コンタクト163を介して、互いに接続されている。ローカル配線142,152は、コンタクト164を介して、互いに接続されている。
【0089】
本変形例に係るフィラーセルC15によって、フィラーセルC11と同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、ダミーパッド122a,122b,127a,127bには、それぞれ、ローカル配線141,142,151,152およびコンタクト161~164を介して、電源配線111から電源電圧VDDが供給される。すなわち、P型ダミートランジスタP11のソースおよびドレイン、ならびに、N型ダミートランジスタN11のソースおよびドレインが、いずれも同一の電位VDDに固定される。これにより、P型およびN型ダミートランジスタのフローティングノードを削減することができ、回路ブロックの動作の安定化が図られる。
【0091】
なお、電源配線111または電源配線112とダミーゲート配線131とを、コンタクトを介して、接続して、ダミーゲート配線131の電位を固定してもよい。
【0092】
また、ローカル配線141,142,151,152は、コンタクト161~164を介して、電源配線111と接続されているが、これに限られない。ローカル配線141,142,151,152は、コンタクトを介して、電源配線112と接続されてもよい。
【0093】
また、ローカル配線141,142,151,152は、それぞれ、平面視において、電源配線112と重なりを有しなくてもよい。
【0094】
(その5)
図11は第1実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図である。図11(a)はセル下部を示し、図11(b)はセル上部を示す。図11に示すように、フィラーセルC16は、図5に示すフィラーセルC11と基本的に同様の構成であるが、セル下部のローカル配線のY方向の長さが異なり、ローカル配線と電源配線とがコンタクトを介して接続されている。
【0095】
セル下部において、Y方向に延びるローカル配線149,150が形成されている。ローカル配線149は、ダミーパッド122aに接続されている。ローカル配線150は、ダミーパッド122bに接続されている。ローカル配線149,150は、いずれも、平面視において、電源配線111と重なりを有するが、電源配線112と重なりを有さない。
【0096】
また、フィラーセルC16では、Z方向に延びるコンタクト165~168が形成されている。コンタクト165,166は、平面視において、電源配線111と重なりを有する。コンタクト167,168は、平面視において、電源配線112と重なりを有する。電源配線111およびローカル配線149は、コンタクト165を介して、互いに接続されている。電源配線111およびローカル配線150は、コンタクト166を介して、互いに接続されている。電源配線112およびローカル配線151は、コンタクト167を介して、互いに接続されている。電源配線112およびローカル配線152は、コンタクト168を介して、互いに接続されている。
【0097】
本変形例に係るフィラーセルC16によって、フィラーセルC11と同様の効果を得ることができる。
【0098】
また、ダミーパッド122a,122bには、それぞれ、ローカル配線149,150およびコンタクト165,166を介して、電源配線111から電源電圧VDDが供給される。また、ダミーパッド127a,127bには、それぞれ、ローカル配線151,152およびコンタクト167,168を介して、電源配線112から電源電圧VSSが供給される。すなわち、P型ダミートランジスタP11のソースおよびドレインが、いずれも電位VDDで固定される。また、N型ダミートランジスタN11のソースおよびドレインが、いずれも電位VSSで固定される。これにより、P型およびN型ダミートランジスタのフローティングノードを削減することができ、回路ブロックの動作の安定化が図られる。
【0099】
また、フィラーセルC16の下部に配置されたローカル配線149,150には、コンタクト165,166を介して、電源配線111から電源電圧VDDが供給されている。フィラーセルC16の上部に配置されたローカル配線151,152には、コンタクト167,168を介して、電源配線112から電源電圧VSSが供給されている。すなわち、平面視において重なるローカル配線149とローカル配線151との間、および、平面視において重なるローカル配線150とローカル配線152との間において、配線容量が生じる。この配線容量により電源間容量が発生するため、回路ブロックに供給される電源電位の安定化が図られる。
【0100】
また、ローカル配線149,150は、コンタクト165,166を介して、電源配線111と接続されており、ローカル配線151,152は、コンタクト167,168を介して、電源配線112と接続されているが、これに限られない。ローカル配線149,150が電源配線112と接続されており、ローカル配線151,152が電源配線111と接続されてもよい。この場合、ローカル配線149,150は、平面視において、電源配線111と重なりを有さず、電源配線112と重なりを有する。
【0101】
また、ローカル配線151,152は、それぞれ、平面視において、電源配線111と重なりを有しなくてもよい。
【0102】
(第2実施形態)
図12は第2実施形態に係るフィラーセルのレイアウト構造を示す図であり、図12(a)はセル下部を示し、図12(b)はセル上部を示す。フィラーセルC21は、P型およびN型ダミートランジスタを有さない。
【0103】
図12(a)に示すように、フィラーセルC21では、Y方向両端部において、X方向に延びる電源配線211,212がそれぞれ設けられている。電源配線211,212はともに、埋め込み配線層に形成された埋め込み電源配線(BPR)である。電源配線211は、電源配線11と同一の電源電圧VDDを供給する。電源配線212は、電源配線12と同一の電源電圧VSSを供給する。
【0104】
フィラーセルC21は、X方向におけるほぼ中央においてY方向に延び、かつセルの上部から下部にかけてZ方向に延びているダミーゲート配線231が形成されている。また、フィラーセルC21のX方向両端には、Y方向に延びており、かつ、セルの上部から下部にかけてZ方向に延びているダミーゲート配線235a,235bが形成されている。ダミーゲート配線231,235a,235bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。
【0105】
セル下部において、Y方向に延びるローカル配線241,242が形成されている。ローカル配線241,242は、それぞれ、平面視において、電源配線211,212と重なりを有する。ローカル配線241は、平面視において、ダミーゲート配線231,235aの間に配置されている。ローカル配線242は、平面視において、ダミーゲート配線231,235bの間に配置されている。
【0106】
セル上部において、Y方向に延びるローカル配線251,252が形成されている。ローカル配線251,252は、それぞれ、平面視において、電源配線211,212と重なりを有する。ローカル配線251は、平面視において、ダミーゲート配線231,235aの間に配置されている。ローカル配線252は、平面視において、ダミーゲート配線231,235bの間に配置されている。
【0107】
ダミーゲート配線231およびローカル配線241,242,251,252は、いずれも他の配線と接続されていない。
【0108】
フィラーセルC21には、ナノワイヤおよびダミーパッドが設けられておらず、P型ダミートランジスタおよびN型ダミートランジスタが形成されていない。すなわち、フィラーセルC21は、論理機能を有さないスタンダードセルである。
【0109】
ここで、フィラーセルC21がインバータセルC1に隣接して配置されたものとする。なお、インバータセルC1とフィラーセルC21との境界に配置されたダミーゲート配線は、インバータセルC1のダミーゲート配線35b、および、フィラーセルC21のダミーゲート配線235aに相当する。
【0110】
この場合、インバータセルC1のゲート配線31、フィラーセルC21のダミーゲート配線231、および、ダミーゲート配線35a,35b(235a),235bは、X方向において、同一ピッチLで配置される。すなわち、ゲート配線31、ダミーゲート配線231、および、ダミーゲート配線35a,35b(235a),235bは、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチで配置される。
【0111】
また、ローカル配線241,242は、インバータセルC1のローカル配線41,42と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置される。すなわち、ローカル配線41,42,241,242は、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置される。
【0112】
また、ローカル配線251,252は、インバータセルC1のローカル配線51,52と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、ピッチLで配置されている。すなわち、ローカル配線51,52,251,252は、X方向において、等幅、等間隔、等ピッチ(ピッチL)で配置される。
【0113】
以上の構成により、論理機能を有さないフィラーセルC21は、論理機能を有するインバータセルC1に隣接して配置される。フィラーセルC21のローカル配線241,242は、インバータセルC1のローカル配線41,42と、Z方向において、同層に配置される。フィラーセルC21のローカル配線251,252は、インバータセルC1のローカル配線51,52と、Z方向において、同層に配置される。すなわち、ローカル配線41,42,241,242は、規則的に配置される。また、ローカル配線51,52,251,252は、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0114】
また、ローカル配線41,42,241,242は、X方向において、同一ピッチLで配置される。また、ローカル配線51,52,251,252は、X方向において、同一ピッチLで配置される。すなわち、ローカル配線41,42,241,242は、規則的に配置される。また、ローカル配線51,52,251,252は、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0115】
また、フィラーセルC21のダミーゲート配線231、インバータセルC1のゲート配線31、および、ダミーゲート配線35a,35b(235a),235bは、X方向において、同一ピッチLで配置されている。すなわち、ゲート配線31、ダミーゲート配線231、および、ダミーゲート配線35a,35b(235a),235bは、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0116】
なお、ローカル配線241,242,251,252は、それぞれ、平面視において、電源配線211,212と重なりを有しているが、これに限られない。ローカル配線241,242,251,252は、それぞれ、いずれか一方と重なりを有していなくてもよい。
【0117】
(フィラーセルの変形例)
(その1)
図13は第2実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す図であり、図13(a)はセル下部を示し、図13(b)はセル上部を示す。フィラーセルC22は、フィラーセルC21とX方向におけるセル幅が異なる。すなわち、フィラーセルC21のセル幅は2Lであるのに対して、フィラーセルC22のセル幅はLである。
【0118】
セル下部において、X方向におけるほぼ中央部にY方向に延びるローカル配線243が形成されている。また、セル上部において、X方向におけるほぼ中央部にY方向に延びるローカル配線253が形成されている。ローカル配線243,253は、それぞれ、平面視において、電源配線211,212と重なりを有する。
【0119】
フィラーセルC22がインバータセルC1に隣接して配置された場合、ローカル配線243は、インバータセルC1のローカル配線41,42と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置される。ローカル配線253は、インバータセルC1のローカル配線51,52と、Z方向において、同層に配置され、かつ、X方向において、同一ピッチLで配置される。
【0120】
本変形例に係るフィラーセルC22によって、ローカル配線243は、インバータセルC1のローカル配線41,42と、Z方向において、同層に配置される。ローカル配線253は、インバータセルC1のローカル配線51,52と、Z方向において、同層に配置される。すなわち、ローカル配線41,42,243は、規則的に配置される。また、ローカル配線51,52,253は、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0121】
また、ローカル配線41,42,243は、X方向において、同一ピッチLで配置される。また、ローカル配線51,52,253は、X方向において、同一ピッチLで配置される。すなわち、ローカル配線41,42,243は、規則的に配置される。また、ローカル配線51,52,253は、規則的に配置される。これにより、CFETを用いた半導体集積回路装置において、製造ばらつきを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0122】
また、フィラーセルC22のセル幅はLであるので、論理セルの間隔がLとなるような極小の隙間にフィラーセルを配置することができる。
【0123】
(その2)
図14は第2実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す図であり、図14(a)はセル下部を示し、図14(b)はセル上部を示す。フィラーセルC23は、図12に示すフィラーセルC21と基本的に同様の構成であるが、ローカル配線と電源配線とがコンタクトで接続されている。
【0124】
フィラーセルC23では、Z方向に延びるコンタクト261~264が形成されている。コンタクト261~264は、それぞれ、平面視において、電源配線211と重なる位置に配置されている。電源配線211およびローカル配線241は、コンタクト261を介して、互いに接続されている。電源配線211およびローカル配線242は、コンタクト262を介して、互いに接続されている。ローカル配線241,251は、コンタクト263を介して互いに接続されている。ローカル配線242,252は、コンタクト264を介して互いに接続されている。
【0125】
本変形例に係るフィラーセルC23によって、フィラーセルC21と同様の効果を得ることができる。
【0126】
また、ローカル配線241,242,251,252には、それぞれ、コンタクト261~264を介して、電源配線211から同一の電源電圧VDDが供給される。すなわち、ローカル配線241,242,251,252は、いずれも同一の電位VDDに固定される。これにより、フローティングノードを削減することができ、回路ブロックの動作の安定化が図られる。
【0127】
なお、電源配線211または電源配線212とダミーゲート配線231とをコンタクトで接続して、ダミーゲート配線231の電位を固定してもよい。
【0128】
また、ローカル配線241,242,251,252は、コンタクト261~264を介して、電源配線211と接続されているが、これに限られない。ローカル配線241,242,251,252は、コンタクトを介して、電源配線212と接続されてもよい。
【0129】
また、フィラーセルC23は、セル幅が2Lのスタンダードセルであるが、これに限られず、フィラーセルC23のセル幅をLとしてもよい。この場合、ダミーゲート配線231、ローカル配線242,252およびコンタクト262,264が不要となる。
【0130】
(その3)
図15は第2実施形態に係るフィラーセルの他のレイアウト構造を示す図であり、図15(a)はセル下部を示し、図15(b)はセル上部を示す。フィラーセルC24は、図12に示すフィラーセルC21と基本的に同様の構成であるが、ローカル配線と電源配線とがコンタクトで接続されており、かつ、セル下部のローカル配線のY方向の長さが異なっている。
【0131】
セル下部において、ローカル配線244,245は、それぞれ、平面視において、電源配線211と重なりを有するが、電源配線212と重なりを有さない。
【0132】
また、フィラーセルC24では、Z方向に延びるコンタクト265~268が形成されている。コンタクト265,266は、平面視において、電源配線211と重なる位置に配置され、コンタクト267,268は、平面視において、電源配線212と重なる位置に配置されている。電源配線211およびローカル配線244は、コンタクト265を介して、互いに接続されている。電源配線211およびローカル配線245は、コンタクト266を介して、互いに接続されている。電源配線212およびローカル配線251は、コンタクト267を介して、互いに接続されている。電源配線212およびローカル配線252は、コンタクト268を介して、互いに接続されている。
【0133】
本変形例に係るフィラーセルC22によって、フィラーセルC21と同様の効果を得ることができる。
【0134】
また、ローカル配線244,245には、コンタクト265,266を介して、電源配線211から電源電圧VDDが供給される。また、ローカル配線251,252には、コンタクト267,268を介して、電源配線212から電源電圧VSSが供給される。すなわち、ローカル配線244,245は、いずれも電位VDDに固定され、ローカル配線251,252は、いずれも電位VSSに固定される。これにより、フローティングノードを削減することができ、回路ブロックの動作の安定化が図られる。
【0135】
また、平面視において重なるローカル配線244とローカル配線251との間、および、平面視において重なるローカル配線245とローカル配線252との間において、配線容量が生じる。この配線容量により電源間容量が発生するため、回路ブロックに供給される電源電位の安定化が図られる。
【0136】
また、ローカル配線244,245は、コンタクト265,266を介して、電源配線211と接続されており、ローカル配線251,252は、コンタクト267,268を介して、電源配線212と接続されているが、これに限られない。ローカル配線244,245が電源配線212と接続されており、ローカル配線251,252が電源配線211と接続されてもよい。この場合、ローカル配線244,245は、平面視において、電源配線211と重なりを有さず、電源配線212と重なりを有する。
【0137】
また、フィラーセルC24は、セル幅が2Lのスタンダードセルであるが、これに限られず、フィラーセルC24のセル幅をLとしてもよい。この場合、ダミーゲート配線231、ローカル配線245,252およびコンタクト266,268が不要となる。
【0138】
なお、上述の各実施形態および変形例では、セル上部と下部とにおいて、トランジスタはそれぞれ1本のナノワイヤを備えるものとしたが、トランジスタの一部または全部は、複数本のナノワイヤを備えてもよい。この場合、平面視でY方向において複数本のナノワイヤを設けてもよいし、Z方向において複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、Y方向およびZ方向の両方においてそれぞれ複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、セルの上部と下部とにおいて、トランジスタが備えるナノワイヤの本数が異なっていてもよい。
【0139】
また、上述の各実施形態では、立体構造トランジスタとしてナノワイヤFETを例にとって説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、各フィラーセルの下部に形成されるトランジスタは、フィン型トランジスタであってもよい。
【0140】
また、図6では、ナノワイヤ121,126の平面視縦方向の断面形状は、正方形で図示されているがこれに限られない。ナノワイヤ121,126の平面視縦方向の断面形状は、正方形以外の形状(例えば、長方形)であってもよい。
【0141】
また、インバータセルC1,C2およびフィラーセルC11~C16では、セル下部にP型トランジスタ、セル上部にN型トランジスタが形成されるが、これに限られず、セル上部にP型トランジスタ、セル下部にN型トランジスタが形成されてもよい。
【0142】
また、電源配線11,12,111,112,211,212は、埋め込み配線であるが、これに限られない。例えば、電源配線11,12,111,112,211,212は、M1配線層に配線してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本開示では、CFETを用いたスタンダードセルを備えた半導体集積回路について、適用できるので、たとえば半導体チップの性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0144】
11,12,111,112,211,212 電源配線
31 ゲート配線
35a,35b,131,132a~132c,135a,135b,231,235a,235b ダミーゲート配線
41,42,51,52,141~158,241~245,251~253 ローカル配線
P1 P型トランジスタ
N1 N型トランジスタ
P11~P14 P型ダミートランジスタ
N11~N14 N型ダミートランジスタ
C1,C2 インバータセル
C11~C16,C21~C24 フィラーセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19