(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20240117BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20240117BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20240117BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20240117BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20240117BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240117BHJP
F24F 110/65 20180101ALN20240117BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/54
F24F11/52
F24F11/56
F24F11/88
F25B49/02 520M
F24F110:65
(21)【出願番号】P 2021076313
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 淳哉
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132292(JP,A)
【文献】特開2016-223650(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110424(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/059105(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/010295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部(AC)を有し、室内空間(S)の空気調和を行う空気調和装置(10)と、
前記室内空間(S)に設けられ、前記室内空間(S)における冷媒漏洩を検知する検知器(45)と、
前記室内空間(S)に設けられ、前記室内空間(S)における冷媒漏洩を報知する報知器(60)と、
前記空気調和装置(10)を遠隔監視する監視装置(65)とを備え、
前記制御部(AC)は、前記監視装置(65)が前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知する場合、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御し、前記監視装置(65)が前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知しない場合、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知するように制御する
空調システム。
【請求項2】
請求項1の空調システムにおいて、
前記監視装置(65)は、前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知し、
前記制御部(AC)は、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御する
空調システム。
【請求項3】
請求項2の空調システムにおいて、
前記監視装置(65)は、前記室内空間(S)の冷媒漏洩の報知を可能に設定されることにより、前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知し、
前記制御部(AC)は、前記監視装置(65)が前記室内空間(S)の冷媒漏洩の報知を可能に設定されていなければ、前記空気調和装置(10)の運転を禁止する
空調システム。
【請求項4】
請求項2又は3の空調システムにおいて、
前記監視装置(65)は、前記空気調和装置(10)と接続されることにより、前記空気調和装置(10)を遠隔監視し、
前記制御部(AC)は、前記監視装置(65)が前記空気調和装置(10)と接続され
ていることを認識したら、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御する
空調システム。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項の空調システムにおいて、
前記空気調和装置(10)は、室外機(20)を有し、
前記制御部(AC)は、前記室外機(20)に設けられた室外機制御部(C1)を含み、
前記報知器(60)は、複数の前記室内空間(S)にそれぞれ設けられ、
前記室外機制御部(C1)は、複数の前記室内空間(S)に設けられた少なくとも2つ以上の前記報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないように一括して制御する
空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置において微燃性冷媒を使用する場合、冷媒が漏洩した際に危険が生じないように、部屋の広さや漏れる可能性がある冷媒量などに基づき安全装置を設置することが義務付けられている。安全装置は、冷媒の漏洩を検知する検知器(センサなど)と、冷媒の漏洩の対策を講じる対策装置(遮断装置、警報装置など)とを含む(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の空調システムにおいては、集中コントローラが配置される遠隔監視室等で警報発報が可能であると共に、各部屋のリモコンでも警報発報が可能である場合、遠隔監視室等と各部屋とで重複して警報発報が行われてしまう。
【0005】
本開示の目的は、空調システムの遠隔監視室等と空調対象の室内空間とで、冷媒漏洩時の警報発報が重複して行われないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、空気調和装置(10)と、検知器(45)と、報知器(60)と、監視装置(65)とを備える空調システムである。前記空気調和装置(10)は、制御部(AC)を有し、室内空間(S)の空気調和を行う。前記検知器(45)は、前記室内空間(S)に設けられ、前記室内空間(S)における冷媒の濃度を検知する。前記報知器(60)は、前記室内空間(S)に設けられ、前記室内空間(S)における冷媒の漏洩を報知する。前記監視装置(65)は、前記空気調和装置(10)を遠隔監視する。前記制御部(AC)は、前記監視装置(65)が前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知する場合、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御し、前記監視装置(65)が前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知しない場合、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知するように制御する。
【0007】
第1の態様では、空気調和装置(10)を遠隔監視する監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知するかしないかに応じて、空気調和装置(10)の制御部(AC)は、室内空間(S)の報知器(60)が冷媒漏洩を報知するかしないかを制御する。このため、遠隔監視室等と室内空間(S)とで警報発報が重複して行われないようにすることができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記監視装置(65)は、前記室内空間(S)の冷媒漏洩を報知し、前記制御部(AC)は、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御する。
【0009】
第2の態様では、室内空間(S)の在室者等のユーザからのナンセンスクレーム対策を図ることが可能となる。すなわち、室内空間(S)で報知器(60)が警報発報を行っても、ユーザは何もできず不安になるだけなのに対して、監視装置(65)で警報発報を行うことにより、ユーザを不安にさせることなく、冷媒漏洩対策を講じることができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、前記制御部(AC)は、前記監視装置(65)が前記室内空間(S)の冷媒漏洩の報知を可能に設定されていなければ、前記空気調和装置(10)の運転を禁止する。
【0011】
第3の態様では、室内空間(S)の報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように設定された場合、監視装置(65)が冷媒漏洩の報知を行えない状態で空気調和装置(10)の運転が行われることを防止できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第2又は第3の態様において、前記制御部(AC)は、前記監視装置(65)が前記空気調和装置(10)と接続されたら、前記報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御する。
【0013】
第4の態様では、監視装置(65)が空気調和装置(10)と接続されるまで、報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように設定されることがない。このため、監視装置(65)及び報知器(60)の両方が冷媒漏洩の報知を行えない状態で空気調和装置(10)の運転が行われる事態を回避できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第2~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記空気調和装置(10)は、室外機(20)を有し、前記制御部(AC)は、前記室外機(20)に設けられた室外機制御部(C1)を含み、前記報知器(60)は、複数の前記室内空間(S)にそれぞれ設けられ、前記室外機制御部(C1)は、複数の前記室内空間(S)に設けられた少なくとも2つ以上の前記報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないように一括して制御する。
【0015】
第5の態様では、各報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないように個別に設定する場合と比べて、冷媒漏洩を報知しないようにする設定を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空調システムのうち1系統の空気調和装置及び安全装置の構成を例示する配管系統図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す空気調和装置及び安全装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る空調システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る空調システムの安全装置の動作を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る空調システムの運転制御方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《実施形態》
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解の容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0018】
<空調システムの全体構成>
図1及び
図2に示すように、本実施形態の空調システム(100)は、主に、複数の室内機(30)を有する空気調和装置(10)と、冷媒漏洩対策のための安全装置(45,50,55,60)とを備える。複数の室内機(30)は、少なくとも第1室内機(30A)及び第2室内機(30B)を含む。安全装置(45,50,55,60)は、冷媒漏洩に伴う危険のある室内空間(S)に対応して設けられる。安全装置(45,50,55,60)は、冷媒の漏洩を検出するための冷媒センサである検知器(45)と、検知器(45)の検出信号に基づき、冷媒の漏洩の対策を講じる対策装置とを含む。対策装置は、遮断装置(50)、換気装置(55)、及び報知器(60)の少なくとも1つを含む。報知器(60)は、警報装置として機能する。
【0019】
空気調和装置(10)は、空調対象である室内空間(S)の空気の温度を調節する。本例の室内空間(S)は、ビルなどの室内空間である。空気調和装置(10)は、室内空間(S)の冷房や暖房を行う。空気調和装置(10)は、利用ユニットである複数の室内機(30)を有するマルチ式である。空気調和装置(10)は、熱源ユニットである室外機(20)、複数の室内機(30)、連絡配管(13,14)、及び空調制御部(AC)を有する。複数の室内機(30)と室外機(20)とは、連絡配管(13,14)を介して互いに接続される。この接続により、閉回路である冷媒回路(11)が構成される。本例では、複数の室内機(30)は、第1室内空間(S1)に対して配置された第1室内機(30A)と、第2室内空間(S2)に対して配置された第2室内機(30B)とを含む。
【0020】
冷媒回路(11)は、室外機(20)に設けられる熱源回路(20a)と、各室内機(30)にそれぞれ設けられる利用回路(30a)とを含む。冷媒回路(11)には、微燃性の冷媒が充填される。本例の微燃性の冷媒は、R32(ジフルオロメタン)である。R32はGWP(Global Warming Potential:地球温暖化係数)が比較的低いが、微燃性を有する。このため、冷媒が室内空間(S)に漏洩し、室内空間(S)の冷媒濃度が高くなると冷媒が燃焼してしまう可能性がある。冷媒の密度は空気の密度よりも大きい。従って、冷媒が室内空間(S)に漏れると、冷媒は室内空間(S)の下部に滞留する。
【0021】
連絡配管(13,14)は、第1連絡配管(13)と第2連絡配管(14)とを含む。第1連絡配管(13)は、液連絡配管である。第1連絡配管(13)は、第1主管(13a)と、第1主管(13a)から分岐する複数の第1分岐管(13b)とを含む。第1主管(13a)の一端は、液閉鎖弁である第1閉鎖弁(15)を介して熱源回路(20a)に接続する。複数の第1分岐管(13b)のそれぞれの一端は、第1主管(13a)と接続する。複数の第1分岐管(13b)のそれぞれの他端は、対応する利用回路(30a)に接続する。第2連絡配管(14)は、ガス連絡配管である。第2連絡配管(14)は、第2主管(14a)と、第2主管(14a)から分岐する複数の第2分岐管(14b)とを含む。第2主管(14a)の一端は、ガス閉鎖弁である第2閉鎖弁(16)を介して熱源回路(20a)に接続する。複数の第2分岐管(14b)のそれぞれの一端は、第2主管(14a)と接続する。複数の第2分岐管(14b)のそれぞれの他端は、対応する利用回路(30a)に接続する。
【0022】
<室外機>
室外機(20)は、室外に配置される熱源ユニットである。室外機(20)は、例えばビルなどの屋上や地上に配置される。室外機(20)は、圧縮機(21)、熱源熱交換器(22)、及び熱源ファン(23)を有する。室外機(20)は、冷媒の流路を切り換える切換機構(24)と、熱源膨張弁(25)とを有する。室外機(20)は、室外機制御部である第1制御装置(C1)を有する。第1制御装置(C1)は、空調制御部(AC)に含まれる。
【0023】
圧縮機(21)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(21)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(21)は、スクロール式、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式などの回転式圧縮機である。圧縮機(21)は、インバータ装置により運転周波数(回転数)が可変に構成される。
【0024】
熱源熱交換器(22)は、室外熱交換器である。熱源熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。熱源熱交換器(22)は、その内部を流れる冷媒と室外空気とを熱交換させる。
【0025】
熱源ファン(23)は、室外において熱源熱交換器(22)の近傍に配置される。本例の熱源ファン(23)は、プロペラファンである。熱源ファン(23)は、熱源熱交換器(22)を通過する空気を搬送する。
【0026】
切換機構(24)は、冷房サイクルである第1冷凍サイクルと、暖房サイクルである第2冷凍サイクルとを切り換えるように、冷媒回路(11)の流路を変更する。切換機構(24)は、四方切換弁である。切換機構(24)は、第1ポート、第2ポート、第3ポート、及び第4ポートを有する。切換機構(24)の第1ポートは、圧縮機(21)の吐出部と繋がる。切換機構(24)の第2ポートは、圧縮機(21)の吸入部と繋がる。切換機構(24)の第3ポートは、第2閉鎖弁(16)を介して第2連絡配管(14)と繋がる。切換機構(24)の第4ポートは、熱源熱交換器(22)のガス端と繋がる。
【0027】
切換機構(24)は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態(
図1の実線で示す状態)の切換機構(24)は、第1ポートと第4ポートとを連通し且つ第2ポートと第3ポートとを連通する。第2状態(
図1の破線で示す状態)の切換機構(24)は、第1ポートと第3ポートとを連通し、第2ポートと第4ポートとを連通する。
【0028】
熱源膨張弁(25)は、冷媒を減圧する。熱源膨張弁(25)は、室外膨張弁である。熱源膨張弁(25)は、熱源回路(20a)において、第1閉鎖弁(15)と熱源熱交換器(22)の間に配置される。熱源膨張弁(25)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0029】
<室内機>
本例の複数の室内機(30)は、第1室内機(30A)と、第2室内機(30B)とを含む。室内機(30)の数は、3つ以上であってもよい。第1室内機(30A)及び第2室内機(30B)の構成は、基本的に同じある。以下では、便宜上、第1室内機(30A)及び第2室内機(30B)を単に室内機(30)と述べる場合がある。
【0030】
室内機(30)は、ビルなどの室内に設置される利用ユニットである。ここでいう「室内」は、天井パネルの裏側の空間を含む意味である。本例の室内機(30)は、天井設置式である。ここでいう「天井設置式」は、室内機(30)が吊り下げられる天井吊り下げ式、及び室内機(30)が天井面の開放部に配置される天井埋め込み式を含む意味である。
【0031】
室内機(30)は、利用膨張弁(31)、利用熱交換器(32)、及び利用ファン(33)を有する。
【0032】
利用膨張弁(31)は、冷媒を減圧する。利用膨張弁(31)は、室内膨張弁である。利用膨張弁(31)は、利用回路(30a)における利用熱交換器(32)の液側の流路に配置される。利用膨張弁(31)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0033】
利用熱交換器(32)は、室内熱交換器である。利用熱交換器(32)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。利用熱交換器(32)は、その内部を流れる冷媒と室内空気とを熱交換させる。
【0034】
利用ファン(33)は、室内において利用熱交換器(32)の近傍に配置される。本例の利用ファン(33)は、遠心ファンである。利用ファン(33)は、利用熱交換器(32)を通過する空気を搬送する。
【0035】
室内機(30)は、室内機制御部である第2制御装置(C2)を有する。第2制御装置(C2)は、空調制御部(AC)に含まれる。各室内機(30)の第2制御装置(C2)と、室外機(20)の第1制御装置(C1)とは、第1通信線(W1)を介して互いに接続される。第1通信線(W1)は、有線又は無線である。
【0036】
<リモコン>
空気調和装置(10)は、リモートコントローラ(40)(以下、リモコン(40)という)を有する。本例のリモコン(40)は、対応する室内機(30)のそれぞれに1つずつ設けられる。リモコン(40)は、空気調和装置(10)を操作するための機器である。
図2に示すように、リモコン(40)は、機能部としての第1操作部(41)及び第1表示部(42)を有する。尚、本開示において「機能部」という用語は、ハードウェアのみによって実現される機能部、ソフトウェアのみによって実現される機能部、及びハードウェアとソフトウェアとが協調して実現される機能部を含む。
【0037】
第1操作部(41)は、人が空気調和装置(10)に対する各種の指示を入力するための機能部である。第1操作部(41)は、スイッチ、ボタン、又はタッチパネルを含む。
【0038】
第1表示部(42)は、空気調和装置(10)に対する設定内容や、空気調和装置(10)の状態を表示する機能部である。第1表示部(42)は、ディスプレイを含む。
【0039】
リモコン(40)は、空調制御部(AC)に含まれる第3制御装置(C3)を有する。第3制御装置(C3)と、室内機(30)の第2制御装置(C2)とは、第2通信線(W2)を介して互いに接続される。第2通信線(W2)は有線又は無線である。
【0040】
<安全装置>
図1に示す空調システム(100)は、安全装置となる検知器(45)を有する。検知器(45)は、安全装置が必要と判断された室内空間(S)に対応して設けられる。本例では、第1室内空間(S1)及び第2室内空間(S2)に対応する安全装置が必要と判断されたとする。この場合、検知器(45)は、第1室内空間(S1)及び第2室内空間(S2)に配置される。検知器(45)は、例えば半導体方式の冷媒センサである。検知器(45)は、漏洩した冷媒の濃度が高くなるほど、強度(例えば電流値)の大きな検出信号を出力する。検知器(45)は、半導体方式に限られず、例えば赤外線方式などの他の方式のセンサであってもよい。検知器(45)と、各室内機(30)の第2制御装置(C2)とは、第3通信線(W3)によって互いに接続される。第3通信線(W3)は、有線又は無線である。検知器(45)から出力された検出信号は第3通信線(W3)を介して第2制御装置(C2)に入力される。
【0041】
空調システム(100)は、安全装置となる対策装置として、遮断装置(50)を有する。遮断装置(50)は、安全装置が必要と判断された室内空間(S)に対応して設けられる。本例では、第1室内空間(S1)及び第2室内空間(S2)つまり第1室内機(30A)及び第2室内機(30B)に対応して遮断装置(50)が設けられる。遮断装置(50)は、第1遮断弁(51)及び第2遮断弁(52)を有する。第1遮断弁(51)は、液側遮断弁である。本例の第1遮断弁(51)は、各室内機(30)に接続する第1分岐管(13b)に設けられる。第1遮断弁(51)は、例えば電磁弁や電動弁などの開閉弁である。第2遮断弁(52)は、ガス側遮断弁である。本例の第2遮断弁(52)は、各室内機(30)に接続する第2分岐管(14b)に設けられる。第2遮断弁(52)は、例えば電磁弁や電動弁などの開閉弁である。遮断装置(50)は、第4制御装置(C4)を有する。第4制御装置(C4)と、各室内機(30)の第2制御装置(C2)とは、第4通信線(W4)を介して互いに接続される。第4通信線(W4)は、有線又は無線である。
【0042】
空調システム(100)は、安全装置となる対策装置として、換気装置(55)を有する。換気装置(55)は、安全装置が必要と判断された室内空間(S)に対応して設けられる。本例では、第1室内空間(S1)及び第2室内空間(S2)つまり第1室内機(30A)及び第2室内機(30B)に対応して換気装置(55)が設けられる。換気装置(55)は、換気ファン(56)を有する。換気ファン(56)は、室内空間(S)の空気を、排気路(図示省略)を介して室外に排出する。換気装置(55)は、第5制御装置(C5)を有する。第5制御装置(C5)と、各室内機(30)の第2制御装置(C2)とは、第5通信線(W5)を介して互いに接続される。第5通信線(W5)は、有線又は無線である。
【0043】
空調システム(100)は、安全装置となる対策装置として、報知器(60)を有する。報知器(60)は、安全装置が必要と判断された室内空間(S)に対応して設けられ、警報装置として機能する。本例では、第1室内空間(S1)及び第2室内空間(S2)つまり第1室内機(30A)及び第2室内機(30B)に対応して報知器(60)が設けられる。報知器(60)は、音と光の両方により警報発報を行うことができる。具体的には、報知器(60)は、発光部(61)及び音発生部(62)を有する。発光部(61)は、冷媒漏洩を光によって人に知らせる。発光部(61)は、例えばLEDである。音発生部(62)は、冷媒漏洩を音によって人に知らせる。音発生部(62)は、例えばスピーカである。報知器(60)は、第6制御装置(C6)を有する。第6制御装置(C6)と、各室内機(30)の第2制御装置(C2)とは、第6通信線(W6)を介して互いに接続される。第6通信線(W6)は、有線又は無線である。
【0044】
尚、本実施形態では、リモコン(40)と報知器(60)とを別体で室内空間(S)に配置した。しかし、これに代えて、報知器(60)をリモコン(40)に内蔵してもよい。この場合、報知器(60)の第6制御装置(C6)の機能を、リモコン(40)の第3制御装置(C3)に組み込んでもよいし、或いは、第6制御装置(C6)と第3制御装置(C3)とを独立した制御装置としてリモコン(40)の内部に配置してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、発光部(61)及び音発生部(62)の両方を持つ単一の報知器(60)を室内空間(S)に配置した。しかし、これに代えて、音による警報発報を行う第1報知器と、光による警報発報を行う第2報知器とを別体で室内空間(S)に配置してもよい。
【0046】
<空調制御部>
空調制御部(AC)は、空気調和装置(10)の動作を制御する。空調制御部(AC)は、第1制御装置(C1)、第2制御装置(C2)、第3制御装置(C3)、第1通信線(W1)、第2通信線(W2)、第3通信線(W3)、第4通信線(W4)、第5通信線(W5)、及び第6通信線(W6)を含む。第4制御装置(C4)、第5制御装置(C5)、及び第6制御装置(C6)についても、、空調制御部(AC)の一部として構成してもよい。第1制御装置(C1)、第2制御装置(C2)、第3制御装置(C3)、第4制御装置(C4)、第5制御装置(C5)、及び第6制御装置(C6)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit:マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0047】
第1制御装置(C1)は、室外機制御部である。第1制御装置(C1)は、圧縮機(21)、熱源膨張弁(25)、熱源ファン(23)を制御する。
【0048】
第2制御装置(C2)は、室内機制御部である。第2制御装置(C2)は、利用膨張弁(31)及び利用ファン(33)を制御する。第2制御装置(C2)には、冷媒センサ(45)の検出信号が入力される。第2制御装置(C2)は、冷媒センサ(45)の検出信号に基づき、冷媒が漏洩していることを示す第1条件が成立するか否かを判定する。第2制御装置(C2)は、第1条件が成立すると、対策装置(50,55,60)を作動させるための信号を出力する。
【0049】
第3制御装置(C3)は、第1操作部(41)の入力に基づく指示を第2制御装置(C2)に出力する。第3制御装置(C3)は、第1操作部(41)の入力に応じて第1表示部(42)に所定の情報を表示させる。
【0050】
第4制御装置(C4)は、第1遮断弁(51)及び第2遮断弁(52)の開閉状態を制御する。第2制御装置(C2)から出力された信号が第4制御装置(C4)に入力されると、第4制御装置(C4)は第1遮断弁(51)及び第2遮断弁(52)を閉じる。
【0051】
第5制御装置(C5)は、換気ファン(56)を制御する。第2制御装置(C2)から出力された信号が第5制御装置(C5)に入力されると、第5制御装置(C5)は換気ファン(56)を運転させる。
【0052】
第6制御装置(C6)は、発光部(61)及び音発生部(62)を制御する。第2制御装置(C2)から出力された信号が第6制御装置(C6)に入力されると、第6制御装置(C6)は、発光部(61)及び音発生部(62)を作動させる。
【0053】
<集中監視装置>
空気調和装置(10)は、1つの冷媒回路(11)を有する1系統の装置である。ビルなどにおいては、複数の系統の空気調和装置(10)を含む空気調和システム(1)が構成される。
【0054】
本実施形態の空調システム(100)は、
図3に示すように、複数の空気調和装置(10)と、集中監視装置(65)とを備える。集中監視装置(65)は、機能部としての第2操作部(66)及び第2表示部(67)を有する。第2操作部(66)は、人(管理者など)が各空気調和装置(10)に対する各種の指示を入力するための機能部である。第2操作部(66)は、スイッチ、ボタン、又はタッチパネルを含む。第2表示部(67)は、各空気調和装置(10)に対する設定内容や、各空気調和装置(10)の状態を表示する機能部である。第2表示部(67)は、ディスプレイを含む。
【0055】
集中監視装置(65)は、第7制御装置(C7)を有する。第7制御装置(C7)と、各空気調和装置(10)の空調制御部(AC)とは、第7通信線(W7)を介して互いに接続される。第7通信線(W7)は有線又は無線である。第7制御装置(C7)は、MCU、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0056】
集中監視装置(65)は、複数の空気調和装置(10)及び安全装置(45,50,55,60)を含む空調システム(100)の動作を統括的に制御する。集中監視装置(65)は、例えば、各室内空間(S)から離れた監視室や集中管理室等に配置されるサーバである。集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)は、各空気調和装置(10)の空調制御部(AC)、具体的には、室外機(20)の第1制御装置(C1)との間で相互に信号の送受信を行う。第7制御装置(C7)は、各空気調和装置(10)の第1制御装置(C1)を通じて、室内機(30)(第2制御装置(C2))、リモコン(40)(第3制御装置(C3))、検知器(45)、遮断装置(50)(第4制御装置(C4))、換気装置(55)(第5制御装置(C5))、及び報知器(60)(第6制御装置(C6))と通信を行ってもよい。
【0057】
集中監視装置(65)は、各室内空間(S)における冷媒漏洩を報知する報知器(安全装置)として、冷媒漏洩報知部(68)を有していてもよい。冷媒漏洩報知部(68)は、音と光の両方により警報発報を行ってもよい。具体的には、冷媒漏洩報知部(68)は、冷媒漏洩を光によって人に知らせる発光機能(例えばLED)と、冷媒漏洩を音によって人に知らせる音発生機能(例えばスピーカ)とを有してもよい。
【0058】
冷媒漏洩報知部(68)の作動は、例えば、以下のように行われる。まず、第2制御装置(C2)に、冷媒センサ(45)の検出信号が入力されると、第2制御装置(C2)は、冷媒センサ(45)の検出信号に基づき、冷媒が漏洩していることを示す第1条件が成立するか否かを判定する。次に、第2制御装置(C2)は、第1条件が成立すると、その旨の情報を第1制御装置(C1)を通じて集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)に送信する。第7制御装置(C7)は、第1条件が成立した旨の情報を受信すると、冷媒漏洩報知部(68)を作動させて警報発報を行う。
【0059】
尚、冷媒センサ(45)の検出信号が集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)に直接入力されるように構成し、第7制御装置(C7)が、冷媒センサ(45)の検出信号に基づき、冷媒が漏洩していることを示す第1条件が成立するか否かを判定してもよい。
【0060】
また、集中監視装置(65)に冷媒漏洩報知部(68)を設けることに代えて、冷媒漏洩報知部(68)と同等の機能を有する警報装置を集中監視装置(65)に別体で取り付けてもよい。この場合、当該警報装置に対して、集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)から、第1条件が成立した旨の情報が送信されると、当該警報装置は警報発報を行ってもよい。
【0061】
<空気調和装置の運転動作>
空気調和装置(10)の運転動作について
図1を参照しながら説明する。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。尚、
図1では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示している。
【0062】
冷房運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)及び熱源ファン(23)を運転させ、切換機構(24)を第1状態とし、熱源膨張弁(25)を全開とする。第2制御装置(C2)が利用ファン(33)を運転させ、利用膨張弁(31)を所定開度に調節する。通常の冷房運転時において、第1遮断弁(51)及び第2遮断弁(52)は開状態となる。
【0063】
冷房運転時の冷媒回路(11)は、第1冷凍サイクルを行う。第1冷凍サイクルでは、熱源熱交換器(22)が放熱器(厳密には凝縮器)として機能し、利用熱交換器(32)が蒸発器として機能する。具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。熱源熱交換器(22)で凝縮した冷媒は、第1連絡配管(13)を流れ、各利用回路(30a)に分流する。各利用回路(30a)では、冷媒が利用膨張弁(31)で減圧された後、利用熱交換器(32)を流れる。利用熱交換器(32)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。各利用熱交換器(32)で蒸発した冷媒は、第2連絡配管(14)で合流した後、圧縮機(21)に吸入される。
【0064】
暖房運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)及び熱源ファン(23)を運転させ、切換機構(24)を第2状態とし、熱源膨張弁(25)を所定開度に調節する。第2制御装置(C2)が利用ファン(33)を運転させ、利用膨張弁(31)を所定開度に調節する。通常の暖房運転時において、第1遮断弁(51)及び第2遮断弁(52)は開状態となる。
【0065】
暖房運転時の冷媒回路(11)は、第2冷凍サイクルを行う。第2冷凍サイクルでは、利用熱交換器(32)が放熱器(厳密には凝縮器)として機能し、熱源熱交換器(22)が蒸発器として機能する。具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、第2連絡配管(14)を流れ、各利用回路(30a)に分流する。各利用回路(30a)では、冷媒が利用熱交換器(32)を流れる。利用熱交換器(32)では、冷媒が室内空気に放熱して凝縮する。各利用熱交換器(32)で凝縮した冷媒は、各利用膨張弁(31)で減圧されたのち、第1連絡配管(13)で合流する。第1連絡配管(13)の冷媒は、熱源膨張弁(25)で減圧された後、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入される。
【0066】
<冷媒漏洩時の動作>
冷媒漏洩時の空調システム(100)の動作について
図4を参照しながら説明する。尚、室内機(30)から冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は室内空間(S)に流れる。具体的には、冷媒の密度は空気の密度より大きいため、冷媒は室内空間(S)の下方へ流れる。その結果、室内空間(S)の冷媒の濃度が徐々に高くなる。
【0067】
ステップS1において、冷媒センサである検知器(45)は冷媒の漏洩を検出する。検知器(45)の検出値は、第3通信線(W3)を介して、室内機(30)の第2制御装置(C2)に入力される。
【0068】
ステップS2において、第2制御装置(C2)は、検知器(45)の検出信号に基づき、冷媒が漏洩していることを示す第1条件が成立するか否かを判定する。第1条件は、検知器(45)の検出値(例えば電流値)が所定値以上であるかである。第2制御装置(C2)は、第1条件が成立すると、対策装置(50,55,60)を作動させる信号を出力する。集中監視装置(65)に冷媒漏洩報知部(68)が設けられる場合、第2制御装置(C2)は、第1制御装置(C1)を通じて、冷媒漏洩報知部(68)を作動させる信号を集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)に出力してもよい。
【0069】
第2制御装置(C2)から出力された信号が対策装置(50,55,60)又は集中監視装置(65)に入力されると、ステップS3において、対策装置(50,55,60)又は冷媒漏洩報知部(68)が作動する。具体的には、ステップS3において、第2制御装置(C2)から出力された信号が第4制御装置(C4)に入力されると、第4制御装置(C4)は、遮断装置(50)の第1遮断弁(51)及び第2遮断弁(52)を閉じる。また、ステップS3において、第2制御装置(C2)から出力された信号が第5制御装置(C5)に入力されると、第5制御装置(C5)は、換気ファン(56)を運転させる。また、ステップS3において、第2制御装置(C2)から出力された信号が第6制御装置(C6)に入力されると、第6制御装置(C6)は、発光部(61)及び音発生部(62)を作動させる。より詳細には、第6制御装置(C6)は、発光部(61)から光を発生させると共に、音発生部(62)から警告音などの音を発生させる。さらに、ステップS3において、第2制御装置(C2)から出力された信号が第7制御装置(C7)に入力されると、第7制御装置(C7)は、冷媒漏洩報知部(68)を作動させて音と光の両方による警報発報を行う。
【0070】
以上の動作により、1つの系統の空気調和装置(10)の冷媒回路(11)の冷媒が、第1室内空間(S1)に漏れることを抑制できる。
【0071】
<空調システムの運転制御方法>
本実施形態の空調システム(100)では、空調制御部(AC)は、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知する場合、報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御し、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知しない場合、報知器(60)が冷媒漏洩を報知するように制御する。
【0072】
空調システム(100)の運転制御方法の一例について、
図5を参照しながら説明する。
【0073】
まず、ステップS11において、空調制御部(AC)は、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知するように設定されているかどうかを判断する。ステップS11の処理は、例えば、空気調和装置(10)の据え付け時に実施される。
【0074】
具体的には、集中監視装置(65)に冷媒漏洩報知部(68)が設けられる場合、ステップS11を以下のように実施してもよい。まず、集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)は、冷媒漏洩報知部(68)が正常に動作可能であることを示す信号を空調制御部(AC)(室外機(20)の第1制御装置(C1))に送信する。次に、当該信号が第1制御装置(C1)に受信されたら、第1制御装置(C2)は、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知すると判断する。或いは、簡単に、集中監視装置(65)と空気調和装置(10)とが接続されていることを空調制御部(AC)が認識したら、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知すると判断してもよい。
【0075】
また、冷媒漏洩報知部(68)に代えて、外付けの警報装置が集中監視装置(65)に設けられる場合、例えば、当該警報装置と集中監視装置(65)とが接続され、且つ集中監視装置(65)と空気調和装置(10)とが接続されていることを空調制御部(AC)が認識したら、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知すると判断してもよい。或いは、当該警報装置が例えばON/OFFスイッチを有する場合、当該警報装置と集中監視装置(65)とが接続されると共に当該警報装置がスイッチONに設定され、且つ集中監視装置(65)と空気調和装置(10)とが接続されていることを空調制御部(AC)が認識したら、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知すると判断してもよい。
【0076】
次に、ステップS11で集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知すると判断された場合、ステップS12において、空調制御部(AC)は、各室内空間(S)の報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御する。例えば、空調制御部(AC)は、ステップS11で集中監視装置(65)と空気調和装置(10)とが接続されていることを認識したら、ステップS12で各室内空間(S)の報知器(60)の警報機能をOFFにしてもよい。
【0077】
空調制御部(AC)が報知器(60)の警報機能をOFFにする方法は、特に限定されるものではない。例えば、ステップS11で集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知すると判断された場合、第1制御装置(C1)から第2制御装置(C2)に所定の制御信号を送信して、前述の第1条件が成立しても第2制御装置(C2)が報知器(60)を作動させる信号を出力しないように設定してもよい。或いは、当該信号が報知器(60)に出力されても、当該信号を報知器(60)が受信しないように、第1制御装置(C1)又は第2制御装置(C2)が報知器(60)の第6制御装置(C6)を制御してもよい。或いは、当該信号を報知器(60)が受信しても、報知器(60)の警報機能(つまり発光部(61)及び音発生部(62))が作動しないように、第1制御装置(C1)又は第2制御装置(C2)が第6制御装置(C6)を制御してもよい。
【0078】
空調制御部(AC)は、例えば、室外機(20)の第1制御装置(室外機制御部)(C1)から、各室内空間(S)の第2制御装置(室内機制御部)(C2)を通じて、全ての又は2つ以上の報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないようにする設定を一括して行ってもよい。或いは、各室内空間(S)のリモコン(40)の第1操作部(41)を用いて、各室内空間(S)の報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないようにする設定を個別に行えるようにしてもよい。或いは、集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)から、第1制御装置(室外機制御部)(C1)及び第2制御装置(室内機制御部)(C2)を通じて、各室内空間(S)の報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないようにする設定を個別に又は一括して行えるようにしてもよい。この場合、集中監視装置(65)において、各室内空間(S)の報知器(60)の設定状況(警報発報のON/OFF)を確認できるようにしてもよい。例えば、第1制御装置(室外機制御部)(C1)又は第2制御装置(室内機制御部)(C2)に各室内空間(S)の報知器(60)の設定状況を記憶させ、当該記憶された情報を集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)が認識できるようにしてもよい。
【0079】
尚、ステップS12で報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように設定した後、空調制御部(AC)は、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩の報知を可能に設定されていることを確認し、確認できなければ、空気調和装置(10)の運転を禁止してもよい。例えば、空調制御部(AC)は、ステップS12の後、冷媒漏洩報知部(68)が正常に動作可能であることを示す信号が受信されているかどうかを確認し、当該信号が受信されない場合は、空気調和装置(10)の運転を禁止してもよい。
【0080】
一方、ステップS11で集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知しないと判断された場合、ステップS13において、空調制御部(AC)は、各室内空間(S)の報知器(60)が冷媒漏洩を報知するように制御する。すなわち、集中監視装置(65)が冷媒漏洩報知部(68)等の警報機能を備えていない等の場合には、空調制御部(AC)は、報知器(60)が冷媒漏洩を報知するように設定する。尚、空気調和装置(10)の据え付け(納入)時に、各室内空間(S)の報知器(60)を冷媒漏洩の報知が可能な状態に設定しておけば、ステップS11で集中監視装置(65)が冷媒漏洩を報知しないと判断された場合、ステップS13で特段の処理を行う必要は無い。
【0081】
本実施形態では、空調制御部(AC)(具体的には室外機(20)の第1制御装置(C1)及び/又は室内機(30)の第2制御装置(C2))に記憶されたプログラムがコンピュータにより実行されることによって、
図5に示す運転制御方法(ステップS11~S13の処理)が実施される。しかし、空調制御部(AC)の代わりに、例えば、携帯端末等の専用装置や、集中監視装置(65)の第7制御装置(C7)などを、空調システム(100)の運転制御装置として用いて、
図5に示す運転制御方法を実施してもよい。
【0082】
<実施形態の特徴>
本実施形態の空調システム(100)は、空気調和装置(10)と、検知器(45)と、報知器(60)と、集中監視装置(65)とを備える。空気調和装置(10)は、制御部(AC)を有し、室内空間(S)の空気調和を行う。検知器(45)は、室内空間(S)に設けられ、室内空間(S)における冷媒の濃度を検知する。報知器(60)は、室内空間(S)に設けられ、室内空間(S)における冷媒の漏洩を報知する。集中監視装置(65)は、空気調和装置(10)を遠隔監視する。空調制御部(AC)は、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知する場合、報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御し、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知しない場合、報知器(60)が冷媒漏洩を報知するように制御する。
【0083】
本実施形態の空調システム(100)によると、空気調和装置(10)を遠隔監視する集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知するかしないかに応じて、空気調和装置(10)の空調制御部(AC)は、室内空間(S)の報知器(60)が冷媒漏洩を報知するかしないかを制御する。このため、遠隔監視室等と室内空間(S)とで警報発報が重複して行われないようにすることができる。
【0084】
例えば、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩を報知する場合において、報知器(60)(警報装置)と一体となったリモコン(40)を採用する場合、従来構成であれば、遠隔監視室などの管理者への警報発報と、部屋にいる使用者への警報発報とが重複して行われてしまう。また、部屋での無駄な警報発報を回避するために、警報装置無しリモコンを用意すると、2機種ラインナップしなければならなくなる。それに対して、本実施形態の空調システム(100)によると、警報装置(報知器(60))有りリモコン(40)を採用した場合にも、無駄な警報発報を回避できると共に、2機種ラインナップする必要も無い。
【0085】
本実施形態の空調システム(100)において、集中監視装置(65)は、室内空間(S)の冷媒漏洩を報知し、空調制御部(AC)は、報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御してもよい。このようにすると、室内空間(S)の在室者等のユーザからのナンセンスクレーム対策を図ることが可能となる。すなわち、室内空間(S)で報知器(60)が警報発報を行っても、ユーザは何もできず不安になるだけなのに対して、集中監視装置(65)で警報発報を行うことにより、ユーザを不安にさせることなく、冷媒漏洩対策を講じることができる。
【0086】
本実施形態の空調システム(100)において、空調制御部(AC)は、集中監視装置(65)が室内空間(S)の冷媒漏洩の報知を可能に設定されていなければ、空気調和装置(10)の運転を禁止してもよい。このようにすると、室内空間(S)の報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように設定された場合、集中監視装置(65)が冷媒漏洩の報知を行えない状態で空気調和装置(10)の運転が行われることを防止できる。すなわち、空気調和装置(10)と集中監視装置(65)との間でインターロックを取ることによって、冷媒漏洩時に危険な状態で空気調和装置(10)の運転が行われないようにすることができる。
【0087】
本実施形態の空調システム(100)において、空調制御部(AC)は、集中監視装置(65)が空気調和装置(10)と接続されたら、報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように制御してもよい。このようにすると、集中監視装置(65)が空気調和装置(10)と接続されるまで、報知器(60)が冷媒漏洩を報知しないように設定されることがない。このため、集中監視装置(65)及び報知器(60)の両方が冷媒漏洩の報知を行えない状態で空気調和装置(10)の運転が行われる事態を回避できる。
【0088】
本実施形態の空調システム(100)において、空気調和装置(10)は、室外機(20)を有し、空調制御部(AC)は、室外機(20)に設けられた第1制御装置(室外機制御部)(C1)を含んでもよい。この場合、報知器(60)は、複数の室内空間(S)にそれぞれ設けられ、第1制御装置(C1)は、複数の室内空間(S)に設けられた少なくとも2つ以上の報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないように一括して制御してもよい。このようにすると、各報知器(60)に対して、冷媒漏洩を報知しないように個別に設定する場合と比べて、冷媒漏洩を報知しないようにする設定を効率的に行うことができる。
【0089】
《その他の実施形態》
前記実施形態(変形例を含む。以下同じ。)においては、以下の構成としてもよい。
【0090】
1)空気調和装置(10)は、マルチ式でなくてもよく、1つの室内機(30)と1つの室外機(20)とを有するペア式であってもよい。空気調和装置(10)は、複数の室外機(20)を有してもよい。
【0091】
2)冷媒回路(11)に充填される冷媒は、R32以外の冷媒であってもよい。冷媒は、米国のASHRAE34Designation and safety classification of refrigerantの規格、又はISO817 Refrigerants- Designation and safety classificationの 規格において、Class3(強燃性)、Class2(弱燃性)、Subclass2L(微燃性)に該当する冷媒を含む。
【0092】
例えば冷媒は、R1234yf、R1234ze(E)、R516A、R445A、R444A、R454C、R444B、R454A、R455A、R457A、R459B、R452B、R454B、R447B、R32、R447A、R446A、及びR459からなる単一冷媒である。
【0093】
あるいは、冷媒は、R1234yf、R1234ze(E)、R516A、R445A、R444A、R454C、R444B、R454A、R455A、R457A、R459B、R452B、R454B、R447B、R32、R447A、R446A、及びR459から選択される2つ以上の冷媒からなる混合冷媒である。
【0094】
3)切換機構(24)は、四方切換弁でなくてもよい。切換機構(24)は、4つの流路とこれらを開閉する開閉弁を組み合わせた構成であってもよいし、2つの三方弁を組み合わせた構成であってもよい。
【0095】
4)熱源膨張弁(25)や利用膨張弁(31)は、電子膨張弁でなくてもよく、感温式の膨張弁や、回転式の膨張機構であってもよい。
【0096】
5)室内機(30)は、天井設置式でなくてもよく、壁掛け式や床置式であってもよい。
【0097】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、・・・という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本開示は、空調システムについて有用である。
【符号の説明】
【0099】
10 空気調和装置
20 室外機
45 検知器
60 報知器
65 集中監視装置(監視装置)
100 空調システム
AC 空調制御部(制御部)
C1 第1制御装置(室外機制御部)
S 室内空間