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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20240117BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20240117BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240117BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240117BHJP
【FI】
F21S8/02 420
F21V23/04 500
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020162418
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055053
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将人
(72)【発明者】
【氏名】石坂 大介
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035734(JP,A)
【文献】特開2020-053183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0182437(US,A1)
【文献】特開2017-091958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 23/04
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する金属製の器具本体と;
金属製のシャーシと、このシャーシに取り付けられた光源基板とを有し、前記器具本体の前記開口部に取り付けられる光源ユニットと;
前記器具本体内で中心から外れた領域に設けられる無線ユニットと;
前記無線ユニットに対向して前記器具本体に設けられた無線信号通過孔と;
を備え
前記器具本体は、前記開口部に対向する背面部と、前記光源ユニットを取り付ける側面部とを有し、
前記無線信号通過孔は、前記無線ユニットに対向して前記背面部と前記側面部に設けられている
ことを特徴とする照明装置
【請求項2】
前記シャーシは、前記器具本体の前記無線信号通過孔に対向する位置に光源側無線信号通過孔を有する
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記器具本体内の中心に設けられ、前記光源ユニットと当接可能とする光信号受光ユニットをさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線通信可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信機能を有する照明装置が知られている。この照明装置では、器具本体とこの器具本体に取り付けられる光源ユニットとの間に無線ユニットが配置されている。
【0003】
しかし、器具本体が金属製で、光源ユニットも金属製のシャーシが用いられる場合、無線通信性能が低下することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-111866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、無線通信性能を向上できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、器具本体、光源ユニット、無線ユニットおよび無線信号通過孔を備える。器具本体は、金属製で、開口部と、開口部に対向する背面部と、光源ユニットを取り付ける側面部とを有する。光源ユニットは、金属製のシャーシと、シャーシに取り付けられた光源基板とを有し、器具本体の開口部に取り付けられる。無線ユニットは、器具本体内で中心から外れた領域に設けられる。無線信号通過孔は、無線ユニットに対向して器具本体の背面部と側面部に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の照明装置によれば、無線通信性能の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態を示す照明装置の下面側の斜視図である。
図2】同上照明装置の上面側の斜視図である。
図3】同上照明装置の断面図である。
図4】同上照明装置の器具本体の底面図である。
図5】同上照明装置の光源ユニットの透光カバーを省略した状態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図3に示すように、照明装置10は、天井面に形成された埋込孔に埋込設置される埋込形照明装置である。また、照明装置10は、例えば、オフィスや店舗等の施設の天井面に複数の照明装置10が設置される場合に、照明装置10を1台単位または予め設定されたグループ単位に調光制御する照明システムに対応している。この照明装置10は、無線通信機能と光通信機能を有し、例えばリモコンなどの制御端末(送信機)からの無線信号や光信号を受信し、設定を受け付けたり調光制御する。
【0011】
照明装置10は、天井面に埋込設置される器具本体11と、この器具本体11の下面側に着脱可能に取り付けられる光源ユニット12とを備えている。さらに、照明装置10は、器具本体11内にそれぞれ配置される端子台13、電源部14、無線ユニット15および光信号受光ユニット16を備えている。
【0012】
そして、図1ないし図4に示すように、器具本体11は、金属製で、四角形箱状に形成されている。器具本体11は、天板である背面部20、一方の対向する側板である一対の側面部21、および他方の対向する側板である一対の側面部22を有している。器具本体11の前面側である下面に四角形状の開口部23が形成され、この開口部23に光源ユニット12が配置されて取り付けられている。
【0013】
背面部20には、天井面よりも上方の天井構造物から垂下されている吊ボルトに取り付けるための複数の取付孔24、および器具本体11内に電源線などを引き込むための配線孔25が形成されている。背面部20の内面側である下面側に、端子体13、電源部14、無線ユニット15および光信号受光ユニット16が取り付けられている。
【0014】
側面部21,22の下端周辺部には、略L字形に屈曲されたフランジ部26が突設されている。フランジ部26は、器具本体11の設置時に、埋込孔の周囲の天井面に当接される。
【0015】
一方の対向する一対の側面部21の内側には、光源ユニット12を取り付けるためのばね受金具27(図3のみに示し、他の図では図示を省略している)がそれぞれ取り付けられている。
【0016】
また、図1ないし図3、および図5に示すように、光源ユニット12は、シャーシ30、光源基板31、枠体32、透光カバー33などを備えており、一体的にユニット化されている。
【0017】
シャーシ30は、金属製で、下面側が開口された四角形箱状に形成されている。シャーシ30は、四角形状の基板取付部35、この基板取付部35の周辺部から下方へ向けて拡開傾斜するように設けられた反射面部36を有している。シャーシ30は、光源基板31からの光を所定の照射方向である下方へ向けて反射させる反射体としても機能する。
【0018】
光源基板31は、本実施形態では4つ用いられている。光源基板31は、基板本体である四角形状の基板38、およびこの基板38の表面側である実装面に実装された複数の発光素子39を有している。基板38の実装面には配線パターンが形成されており、この配線パターン上に複数の発光素子39が実装されている。発光素子39は、例えば表面実装形LEDが用いられているが、例えば有機ELなどの他の素子を用いてもよい。そして、4つの光源基板31は、基板38の背面側がシャーシ30の基板取付部35の下面側に対角に配置されるとともに複数のねじでシャーシ30に接触するように取り付けられている。4つの光源基板31の間には隙間が設けられ、シャーシ30の基板取付部35の中心に対応した4つの光源基板31の互いに対向する角部の間にも隙間が設けられている。
【0019】
枠体32は、金属製で、中央が開口された四角形枠状に形成されている。枠体32は、シャーシ30の反射面部36の周囲に取り付けられている。枠体32は、照明装置10の設置時に、器具本体11のフランジ部26を覆って天井面に当接される。
【0020】
枠体32には、一方の対向する一対の辺に取付部材41がそれぞれ取り付けられている。この取付部材41に、器具本体11のばね受金具27に対して取り付けられる取付ばね42が取り付けられている。取付ばね42は、中間部がコイル状に巻回され、両端が長く突出されており、コイル状の部分が取付部材41に取り付けられている。取付ばね42の両端は互いに開く方向にばね力を有し、このばね力に抗して取付ばね42の両端を狭めながらばね受金具27に引っ掛けることにより、取付ばね42の両端が広がろうとするばね力によって光源ユニット12を器具本体11に引き上げて取り付けるように構成されている。
【0021】
透光カバー33は、透光性および拡散性を有する樹脂またはガラスによって四角形板状に形成されている。透光カバー33は、枠体32上に取り付けられ、枠体32の中央の開口を閉塞している。
【0022】
また、端子台13は、器具本体11の背面部20の下面側に取り付けられている。端子台13には、配線孔25から器具本体11内に引き込まれる電源線が接続される。端子台13は、電源部14の電源入力部と内部配線によって電気的に接続され、電源線によって供給される外部電力を電源部14に送る。
【0023】
また、電源部14は、商用交流電源からの交流電力などの外部電力を、発光素子39が点灯する直流電力である所定の点灯電力に変換して光源基板31に出力する。電源部14は、通信ケーブルにて無線ユニット15と通信可能に接続されているとともに、無線ユニット15と通信ケーブルにて接続された光信号受光ユニット16からの受信信号を無線ユニット15を介して入力可能に接続されている。そして、電源部14は、無線ユニット15または光信号受光ユニット16から信号を入力し、設定を記憶したり、点灯、消灯および調光制御する。
【0024】
また、無線ユニット15は、電波を媒体とした無線信号の送受信を行う。無線ユニット15は、ケース45、このケース45内に配置された通信回路46およびアンテナ47を有している。ケース45は、例えば樹脂製で、無線信号が通過可能とする。通信回路46は、無線信号の送受信を行い、電源部14と通信するとともに、光信号受光ユニット16から入力する受信信号を電源部14に送る。アンテナ47は、通信回路46に接続され、無線信号を出入力する。アンテナ47は、ケース45の一端部側で、その一端部に沿って配置されている。
【0025】
無線ユニット15は、器具本体11内で中心から外れた領域に設けられている。無線ユニット15は、器具本体11の背面部20の下面側で、一方の側面部21と一方の側面部22とが交わる角部近傍に、ねじ止めなどによって取り付けられている。無線ユニット15は、アンテナ47の長手方向が背面部20および一方の側面部21に沿うように、背面部20および一方の側面部21に対向して配置されている。
【0026】
そして、器具本体11の背面部20および一方の側面部21には、無線ユニット15のアンテナ47に対向した位置に、無線信号が通過する無線信号通過孔49,50がそれぞれ設けられている。なお、背面部20の無線信号通過孔49は第1無線信号通過孔であり、側面部21の無線信号通過孔50は第2無線信号通過孔である。側面部21の無線信号通過孔50は、背面部20からの無線ユニット15のアンテナ47の高さと同じ位置に設けられている。
【0027】
さらに、光源ユニット12のシャーシ30の基板取付部35には、無線ユニット15のアンテナ47に対向した位置であって、かつ器具本体11の背面部20の無線信号通過孔49に対向する位置に、無線信号が通過する第3無線信号通過孔である光源側無線信号通過孔51がそれぞれ設けられている。
【0028】
これら無線信号通過孔49,50,51は、アンテナ47の長手方向に沿った細長いスリット状の開口で、電波を媒体とした無線信号の通過に適した長さおよび幅に設けられている。無線信号通過孔49,50,51は、無線信号の1/4波長またはその整数倍に設けられており、例えば、無線信号の周波数が920MHzの場合、無線信号通過孔49,50,51の長さは82mm以上、幅は12mm程度に設けられている。
【0029】
また、光信号受光ユニット16は、例えば赤外線などの光を媒体とした光信号を受信する。光信号受光ユニット16は、器具本体11の背面部20の中心位置に配設されている。光信号受光ユニット16は、光信号受光ユニット本体54と、この光信号受光ユニット本体54を取り付けた取付部材55とを有している。光信号受光ユニット本体54は、光信号を受光する受光素子を有する光信号受光部56、およびこの光信号受光部56で受光した信号を処理する受光回路を備えている。取付部材55は、光源ユニット12に対向する前面部57、器具本体11の背面部20に取り付けられる取付部58を有している。前面部57の背面側である上面側に、光信号受光ユニット本体54が設けられている。前面部57には、光信号受光部56に対向する位置に光信号が通過する受光孔59が設けられている。
【0030】
そして、光源ユニット12のシャーシ30の基板取付部35には、照明装置10の組立状態である設置状態で、光信号受光部56に対向する位置に光信号が通過する受光孔61が設けられている。受光孔61は、シャーシ30の基板取付部35の中心位置に設けられ、すなわち基板取付部35に取り付けられる4つの光源基板31の間の隙間の位置に設けられ、光源基板31で遮られることなく透光カバー33に対向されている。受光孔61は、取付部材55の受光孔59と同軸上に設けられて対向されている。
【0031】
そして、照明装置10を天井面に設置するには、器具本体11を天井面の埋込孔に挿入し、器具本体11を吊ボルトに取り付ける。予め器具本体11内に引き込んだ電源線を端子台13に接続する。
【0032】
光源ユニット12の取付ばね42を器具本体11のばね受金具27に引っ掛け、光源ユニット12を吊下げ状態とし、光源ユニット12の光源基板31から引き出されている配線と電源部14から引き出されている配線とをコネクタ接続する。
【0033】
光源ユニット12を押し上げることにより、取付ばね42のばね力により光源ユニット12を引き上げて器具本体11に取り付け、設置完了となる。
【0034】
また、電源部14に外部電力を供給することにより、電源部14が外部電力を所定の点灯電力に変換して光源基板31に供給し、光源基板31の発光素子39が点灯する。発光素子39の光は、透光カバー33を透過して照明空間に出射される。
【0035】
点灯時に発光素子39が発生する熱は、金属製のシャーシ30に伝達されて放熱される。
【0036】
また、天井面に複数の照明装置10が設置されている場合、特定の照明装置10の設定を行ったり調光するには、リモコンなどの制御端末を照明装置10の真下から照明装置10に向けて操作し、光信号を送信する。送信された光信号は、照明装置10の透光カバー33を透過し、シャーシ30の受光孔61および光信号受光ユニット16の取付部材55の受光孔59を通じて光信号受光部56で受光する。
【0037】
光信号受光部56で受光した信号は無線ユニット15を通じて電源部14に送られ、電源部14は光信号受光ユニット16からの信号に応じて設定を記憶したり調光制御する。
【0038】
また、複数の照明装置10を一括して制御する場合には、制御端末から無線信号を送信する。送信された無線信号は、器具本体11内に設けられた無線ユニット15のアンテナ47で受信され、通信回路46で処理される。無線ユニット15で受信した信号は電源部14に送られ、電源部14は無線ユニット15からの信号に応じて調光制御する。また、無線ユニット15は、受信した信号を他の照明装置10に転送するように無線信号を送信する。
【0039】
このとき、器具本体11は、金属製で無線通信の障害となるが、器具本体11に設けられた無線信号通過孔49,50を無線信号が通過して無線ユニット15で受信しやすくできる。
【0040】
無線ユニット15は、器具本体11の中心から外れた領域で、器具本体11に設けられた無線信号通過孔49,50に対向されているため、無線信号通過孔49,50を通過する無線信号を受信しやすくできる。
【0041】
無線ユニット15は、アンテナ47が無線信号通過孔49,50に対向されているため、無線信号を受信しやすくできる。
【0042】
無線ユニット15は、器具本体11の背面部20と側面部21とにそれぞれ設けられた無線信号通過孔49,50に対向されるため、異なる方向から送られてくる無線信号を受信しやすくできる。
【0043】
しかも、光源ユニット12のシャーシ30が金属製である場合、光源基板31が発生する熱の放熱性を向上できるが、無線通信の障害となる。この場合、シャーシ30にも、器具本体11の背面部20の無線信号通過孔49に対向する位置に光源側無線信号通過孔51が設けられているため、無線ユニット15は、天井面の下側の照明空間側から送られてくる無線信号を光源側無線信号通過孔51を通じて受信することができ、無線信号を受信しやすくできる。
【0044】
なお、無線ユニット15は、無線信号の受信時に限らず、送信時にも、同様に無線信号を器具本体11の外部に送信しやすくできる。
【0045】
このように本実施形態の照明装置10では、無線ユニット15が金属製の器具本体11内に設けられていても、無線通信性能を向上できる。
【0046】
また、器具本体11の中心位置に光信号受光ユニット16を設けているため、照明装置10の下方のどの方向からでも光信号を受光しやすくできる。
【0047】
なお、器具本体11の中心位置に設けられる光信号受光ユニット16は、取付部材55の前面部57が光源ユニット12のシャーシ30と当接するように設けてもよい。この場合、光源基板31が発生する熱でシャーシ30を歪むのを押えることができるとともに、光源基板31が発生する熱をシャーシ30および取付部材55を通じて器具本体11に伝達して放熱性を向上できる。
【0048】
なお、光源ユニット12のシャーシ30が樹脂製などの電波が透過する材料で形成されている場合には、光源側無線信号通過孔51は設けなくてよい。
【0049】
また、照明装置10は、埋込形照明装置に限らず、天井面に直付けされる直付形照明装置でもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 照明装置
11 器具本体
12 光源ユニット
15 無線ユニット
16 光信号受光ユニット
20 背面部
21 側面部
23 開口部
30 シャーシ
31 光源基板
49,50 無線信号通過孔
51 光源側無線信号通過孔
図1
図2
図3
図4
図5