(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】プログラム、記録媒体、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20240117BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20240117BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20240117BHJP
G01C 7/04 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/13
G06F30/12
G01C7/04
(21)【出願番号】P 2020019669
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】和田 智之
(72)【発明者】
【氏名】神成 淳司
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴代
(72)【発明者】
【氏名】村上 武晴
(72)【発明者】
【氏名】福間 康文
(72)【発明者】
【氏名】マオ ザイシン
(72)【発明者】
【氏名】弥延 聡
(72)【発明者】
【氏名】山田 寿夫
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190177(JP,A)
【文献】特開2017-107420(JP,A)
【文献】特開2012-003435(JP,A)
【文献】特開2005-310044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
G01C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物リアリティキャプチャシステムに含まれるコンピュータを、
仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、前記設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての前記複数の属性に関する実体部材データとを受け付けるデータ受付手段、
前記仮想部材情報及び前記実体部材データに基づいて前記複数の仮想部材と前記複数の実体部材との間の対応付けを行う部材対応付け手段、及び、
前記部材対応付け手段により取得された仮想部材と実体部材との複数のペアのそれぞれについて、前記複数の属性に応じた前記仮想部材情報と前記実体部材データとの間の対応付けを行う属性対応付け手段、
として機能させ
、
前記複数の属性は、形状、日付、及び材質のうちの少なくとも1つを含む、
プログラム。
【請求項2】
請求項
1のプログラムが記録されたコンピュータ可読な非一時的記録媒体。
【請求項3】
建築物のリアリティキャプチャのためのシステムであって、
仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、前記設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての前記複数の属性に関する実体部材データとを記憶する記憶部と、
前記仮想部材情報及び前記実体部材データに基づき前記複数の仮想部材と前記複数の実体部材との間の対応付けを行って、仮想部材と実体部材との複数のペアを生成する部材対応付け部と、
前記複数のペアのそれぞれについて前記複数の属性に応じて前記仮想部材情報と前記実体部材データとの間の対応付けを行う属性対応付け部と
を含
み、
前記複数の属性は、形状、日付、及び材質のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物リアリティキャプチャのためのプログラム、記録媒体、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
リアリティキャプチャは、実体物のデータをデジタルカメラやレーザスキャナで取得して3次元モデルを構築する技術であり、計測、仮想現実、拡張現実など様々な分野で用いられている(例えば、特許文献1及び2を参照)。近年では、建築分野や土木分野におけるリアリティキャプチャの応用が注目を集めている。
【0003】
建築分野では、施工管理、維持管理、補修管理などのためにリアリティキャプチャの応用が進められており、次のような技術との融合が図られている(例えば、特許文献3~12を参照):無人航空機(UAV)等の移動体;トータルステーション等の測量機器;Structure from Motion(SfM)、Multi-View Stereo(MVS)、Simultaneous Loaclization And Mapping(SLAM)などのデータ処理技術;Building Information Modeling(BIM)。
【0004】
このような分野で融合的システムを実用化し運用するには、各種のデータや情報を統合的に、効率的に且つ矛盾無く管理する必要があるが、そのような管理手法やシステムは未だ実現化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許公開第2016/0034137号明細書
【文献】欧州特許公開第3522003号明細書
【文献】特開2018-116572号公報
【文献】特開2018-119882号公報
【文献】特開2018-124984号公報
【文献】特開2018-151964号公報
【文献】特開2019-023653号公報
【文献】特開2019-105789号公報
【文献】特開2019-194883号公報
【文献】特開2019-219206号公報
【文献】特開2020-004278号公報
【文献】特開2020-008423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の一つの目的は、建築物リアリティキャプチャの実用化及び運用のための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの例示的な態様は、建築物リアリティキャプチャシステムに処理されるデータの構造であって、予め準備された、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、前記設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての前記複数の属性に関する実体部材データとを含み、前記仮想部材情報及び前記実体部材データに基づく前記複数の仮想部材と前記複数の実体部材との間の対応付けである部材対応付け処理と、前記部材対応付け処理により取得された仮想部材と実体部材との複数のペアのそれぞれにおける前記複数の属性に応じた前記仮想部材情報と前記実体部材データとの間の対応付けである属性対応付け処理とに用いられる。
【0008】
幾つかの例示的な態様は、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、前記設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての前記複数の属性に関する実体部材データとを含む構造を有し、前記仮想部材情報及び前記実体部材データに基づく前記複数の仮想部材と前記複数の実体部材との間の対応付けである部材対応付け処理と、前記部材対応付け処理により取得された仮想部材と実体部材との複数のペアのそれぞれにおける前記複数の属性に応じた前記仮想部材情報と前記実体部材データとの間の対応付けである属性対応付け処理とに用いられる、建築物リアリティキャプチャシステムに処理されるデータが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0009】
幾つかの例示的な態様は、建築物リアリティキャプチャシステムに含まれるコンピュータを、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、前記設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての前記複数の属性に関する実体部材データとを受け付けるデータ受付手段、前記仮想部材情報及び前記実体部材データに基づいて前記複数の仮想部材と前記複数の実体部材との間の対応付けを行う部材対応付け手段、及び、前記部材対応付け手段により取得された仮想部材と実体部材との複数のペアのそれぞれについて、前記複数の属性に応じた前記仮想部材情報と前記実体部材データとの間の対応付けを行う属性対応付け手段、として機能させるためのプログラムである。
【0010】
幾つかの例示的な態様は、例示的な態様のプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0011】
幾つかの例示的な態様は、建築物のリアリティキャプチャのためのシステムであって、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、前記設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての前記複数の属性に関する実体部材データとを記憶する記憶部と、前記仮想部材情報及び前記実体部材データに基づき前記複数の仮想部材と前記複数の実体部材との間の対応付けを行って、仮想部材と実体部材との複数のペアを生成する部材対応付け部と、前記複数のペアのそれぞれについて前記複数の属性に応じて前記仮想部材情報と前記実体部材データとの間の対応付けを行う属性対応付け部とを含む。
【発明の効果】
【0012】
例示的な態様によれば、建築物リアリティキャプチャの実用化及び運用のための新たな技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な態様に係るシステムの構成の一例を表す概略図である。
【
図2】例示的な態様に係る仮想部材情報の構成の一例を表す概略図である。
【
図3】例示的な態様に係る仮想部材情報のデータ構造の一例を表す概略図である。
【
図4】例示的な態様に係る実体部材データの構成の一例を表す概略図である。
【
図5】例示的な態様に係る実体部材データのデータ構造の一例を表す概略図である。
【
図6】例示的な態様に係るシステムが実行する部材対応付け処理の一例を表す概略図である。
【
図7】例示的な態様に係るシステムが実行する属性対応付け処理の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の開示では、データ構造、構造を有するデータが記録された記録媒体、プログラム、プログラムが記録された記録媒体、及びシステムについて、幾つかの例示的な態様を説明する。例示的な態様は、建築物リアリティキャプチャシステムの実用化及び運用を好適に行うために利用可能であるが、他分野のリアリティキャプチャシステムにも転用可能である。また、本明細書にて引用された文献に記載されている事項や、その他の任意の公知技術を、例示的な態様に援用することが可能である。
【0015】
本開示において説明される要素の機能の少なくとも一部は、回路構成(circuitry)又は処理回路構成(processing circuitry)を用いて実装される。回路構成又は処理回路構成は、開示された機能の少なくとも一部を実行するように構成及び/又はプログラムされた、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路構成、及びそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む。プロセッサは、トランジスタ及び/又は他の回路構成を含む、処理回路構成又は回路構成とみなされる。本開示において、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、開示された機能の少なくとも一部を実行するハードウェア、又は、開示された機能の少なくとも一部を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されたハードウェアであってよく、或いは、記載された機能の少なくとも一部を実行するようにプログラム及び/又は構成された既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが或るタイプの回路構成とみなされ得るプロセッサである場合、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、このソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサを構成するために使用される。
【0016】
以下に説明する例示的な態様を任意に組み合わせてもよい。例えば、2つ以上の例示的な態様を少なくとも部分的に組み合わせることが可能である。
【0017】
例示的な態様に係るシステムの構成例を
図1に示す。システム1は、建築物リアリティキャプチャシステムに含まれる。建築物リアリティキャプチャシステムは、実際の建築物を計測してデジタルデータを取得する機能を有する。本態様の建築物リアリティキャプチャシステム(システム1)は、実際の建築物の計測データと設計データとの比較を容易化するためのデータ構造(フォーマット)を提供するように構成されている。本態様のリアリティキャプチャシステム(システム1)は、例えば、後述するデータ管理システムと計測システムとを含む。
【0018】
本態様に係るシステム1は、記憶部14と処理部15とを少なくとも含み、制御部11、ユーザーインターフェイス12、及びデータ取得部13を更に含む。
【0019】
制御部11は、システム1の各種制御を実行するように構成されている。制御部11は、例えば、プロセッサを含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働によって実現される。制御部11は、1つのコンピュータに設けられ、又は2以上のコンピュータに分散配置されている。
【0020】
ユーザーインターフェイス12は、例えば、表示デバイス、操作デバイス、入力デバイスなどを含む。幾つかの例示的な態様のユーザーインターフェイス12は、タッチスクリーン、ポインティングデバイス、コンピューターグラフィクスなどを利用したグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を含む。ユーザーインターフェイス12は、1つのコンピュータに設けられ、又は2以上のコンピュータに分散配置されている。
【0021】
データ取得部13は、データ生成及びデータ受付のいずれか一方又は双方を実行するように構成されている。データ生成機能は、例えば、実体物からデータを収集する機能、実体物から収集されたデータを加工する機能、コンピュータを利用してデータを生成する機能、及び、予め生成されたデータを加工する機能のいずれかを含む。
【0022】
実体物からデータを収集する機能は、例えば、無人航空機(UAV)や作業者などの移動体に搭載されたカメラ(全周カメラ)又はビデオカメラ(全周ビデオカメラ)により実体物を撮影する機能、及び、レーザースキャナやトータルステーションにより実体物をスキャンしてデータを収集する機能のいずれか一方又は双方を含む。当該機能のデータ取得部13は、1以上の計測装置を含んでいてよい。
【0023】
実体物から収集されたデータを加工する機能は、例えば、少なくともプロセッサを用いて実現され、実体物の撮影画像やスキャンデータに所定の処理を適用して他のデータを生成する機能を含む。その例として、前述したSfM、MVS、SLAM(V-SLAM;Visual SLAM)などを用いたデータ処理機能がある。また、機械学習を利用して構築された学習済みモデルを用いたデータ処理機能もその一例である。当該機能のデータ取得部13は、1つのコンピュータに設けられ、又は2以上のコンピュータに分散配置される。
【0024】
コンピュータを利用してデータを生成する機能は、例えば、BIMアプリケーションを用いてデータ(BIMデータと呼ぶ)を生成する機能、CAD(Computer-Aided Disign)アプリケーションを用いてデータ(CADデータと呼ぶ)を生成する機能のような、コンピュータグラフィクスを用いたデータ生成機能を含む。また、コンピュータを利用してデータを生成する機能は、施工管理アプリケーション、維持管理アプリケーション、補修管理アプリケーションなどの各種建築アプリケーションを用いてデータを生成する機能を含む。当該機能のデータ取得部13は、1つのコンピュータに設けられ、又は2以上のコンピュータに分散配置される。
【0025】
予め生成されたデータを加工する機能は、例えば、少なくともプロセッサを用いて実現され、システム1、他の装置及び他のシステムのいずれかによって過去に取得及び/又は加工された実体物のデータに所定の処理を適用して他のデータを生成する機能を含む。当該機能に適用可能な技術は、実体物から収集されたデータを加工する機能に適用可能な技術と同様であってよい。予め生成されたデータの例としてBIMデータがある。当該機能のデータ取得部13は、1つのコンピュータに設けられ、又は2以上のコンピュータに分散配置される。
【0026】
データ受付機能は、外部からデータを受け付ける機能である。データ受付機能は、例えば、外部(装置、システム、データベースなど)との間でデータ通信を行うための通信デバイスを用いて実現されてもよいし、記録媒体に記録されているデータを読み出すためのドライブ装置を用いて実現されてもよい。データ取得部13により外部から受け付けられるデータは、例えば、コンピュータを用いて生成されたデータ(BIMデータ、CADデータなど)であってもよいし、システム1、他の装置及び他のシステムのいずれかによって過去に取得及び/又は加工されたデータでもあってもよい。また、データ受付機能に適用可能な記録媒体は、コンピュータ可読な非一時的記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどであってよい。
【0027】
本態様において、実体物は建築物である。建築物は、予め生成された設計データ(BIMデータ、設計図書、施工図、施工計画書など)に基づき施工される。本開示では、設計データに記録されている建築物データ(及び/又は、設計データを加工して得られた建築物データ)を仮想建築物と呼ぶことがあり、その構成要素(建築部材)を仮想部材と呼ぶことがある。幾つかの例示的な態様において、仮想部材はBIMモデルが提供する部材モデルであり、複数の部材モデルを用いて構成された建築物が仮想建築物である。
【0028】
一方、本開示において、設計データに基づき施工された建築物を実体建築物と呼ぶことがあり、その構成要素(建築部材)を実体部材と呼ぶことがある。上記の実体物はここに言う実体建築物に相当する。実体建築物は、設計データに基づき完成された建築物だけでなく、施工途中の建築物(未完成の建築物)であってもよいし、更には施工前の建築現場であってもよい。
【0029】
本開示において、建築部材は、柱、梁、壁、スラブ、屋根、基礎などの構造部材に加え、窓、ドア、階段、タイル、フローリングなどの非構造部材や、各種の部品や、各種の機械や、各種の機器や、各種の設備などを含んでいてもよい。より一般に、本開示における建築部材は、仮想部材として登録可能な任意の物であってよく、また、実体部材として使用可能な任意の物であってよい。
【0030】
記憶部14は、各種のデータ(情報)を記憶するように構成されている。記憶部14は、例えば、データ取得部13により取得されたデータを記憶する。記憶部14は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの比較的大容量の記憶装置(メモリ、ストレージデバイス)を含む。記憶部14は、1つの記憶装置又は2以上の記憶装置を含む。本態様において、記憶装置14には設計データ141と実体部材データ142とが記憶される。
【0031】
設計データ141は、建築物の設計に関する任意のデータや情報であってよい。設計データ141は、例えば、BIMデータ、設計図書、施工図、施工計画書などを含んでいてよい。また、設計データ141は、任意のデータや情報(例えば、BIMデータ、設計図書、施工図、施工計画書)のうちのいずれか1以上のデータから生成されたデータを含んでよい。
【0032】
幾つかの例示的な態様において、設計データ141は、システム1の外部にあるBIMアプリケーション(BIMツール)を用いて設計された仮想建築物(複数の仮想部材)のデータである。
【0033】
本態様の設計データ141は、仮想部材情報を含む。仮想部材情報は、仮想建築物の構成要素である複数の仮想部材についての情報を含む。より詳細には、仮想部材情報は、各仮想部材について、予め設定された複数の属性に関する情報を含む。ここに言う属性は、仮想部材が有する性質、特徴、特性などを意味する。
【0034】
幾つかの例示的な態様において、仮想部材の複数の属性は、例えば、仮想部材識別情報(仮想部材ID)、仮想部材形状情報、仮想部材位置情報、部材施工日情報などを含む。なお、仮想部材の属性はこれらに限定されず、例えば材質など任意の性質、特徴、特性であってよい。
【0035】
仮想部材情報の例を
図2に示す。本例に係る仮想部材情報2は、仮想部材ID21、仮想部材形状情報22、仮想部材位置情報23、及び部材施工日情報24を含む。
【0036】
仮想部材ID21は、仮想部材を識別するための情報である。仮想部材ID21は、仮想部材の種別(柱、梁、壁、スラブ、屋根、基礎、窓、ドア、階段、タイル、フローリング、部品、機械、機器、設備など)を示す。仮想部材ID21は、例えば、実体部材に付与された識別情報(部材番号など)であってもよい。仮想部材ID21は、例えば、BIMデータ、設計図書、施工図などから取得される。また、仮想部材ID21は、個々にユニークな識別情報であってもよい。このような仮想部材ID21として、中立でオープンなCADデータモデルのファイル形式であるIndustry Foundation Classes(IFC)により提供される識別情報がある。
【0037】
仮想部材形状情報22は、仮想部材の形状を表す情報である。仮想部材形状情報22は、仮想部材の姿勢や向きなどを表す情報を含んでいてもよい。仮想部材形状情報22は、例えば、BIMデータ、設計図書、施工図などから取得される。
【0038】
仮想部材位置情報23は、仮想建築物における仮想部材の位置を表す。仮想部材の位置は、例えば、仮想建築物が定義された仮想空間(3次元座標系で定義された3次元仮想空間)における仮想部材の座標によって表現される。仮想部材位置情報23は、例えば、BIMデータ、設計図書、施工図などから取得される。
【0039】
部材施工日情報24は、仮想部材に対応する実体部材を建築現場において設置する日(施工日、施工予定日)を示す。部材施工日情報24は、例えば、施工図、施工計画書から取得される。
【0040】
システム1(例えば、制御部11及び記憶部14)は、例えば、設計データ141を管理するための設計データベースを提供する。例えば、設計データベースには、BIMアプリケーションを用いて設計された仮想建築物(複数の仮想部材)のデータが格納される。設計データベースは、この仮想建築物に含まれる複数の仮想部材を一つひとつ管理するように構成されている。例えば、設計データベースには、実際のBIMデータを含む設計データ141が格納される。設計データベースは、例えば、仮想建築物ごとに設計データ141を管理する。
【0041】
図3は、このような設計データベースにより管理される仮想部材情報2(
図2を参照)のデータ構造(フォーマット)の例を示す。本例のデータ構造3では、仮想部材情報2をテーブルで管理するようになっている。具体的には、データ構造3のテーブルは、仮想部材IDが記録される複数のセルを含む仮想部材ID欄と、仮想部材形状情報が記録される複数のセルを含む仮想部材形状情報欄と、仮想部材位置情報が記録される複数のセルを含む仮想部材位置情報欄と、部材施工日情報が記録される複数のセルを含む部材施工日情報欄とを含む。例えば、或る仮想部材の仮想部材ID21「BBB」に対し、仮想部材形状情報22「Bb」と、仮想部材位置情報23「Cb」と、部材施工日情報24「Da」とが関連付けられている。
【0042】
実体部材データ142は、実体部材に関する任意のデータや情報であってよい。実体部材データ142は、例えば、設計データ141に基づき施工された実体建築物を計測(撮影、レーザースキャンなど)して取得された計測データ(撮影画像、点群データなど)に基づき生成される。実体建築物の計測は、データ取得部13又は外部システムにより実行される。また、計測データに基づく実体部材データ142の生成は、データ取得部13又は外部システムにより実行される。実体部材データ142は、例えば、設計データ141と同じ形式のBIMデータとして生成され管理される。
【0043】
実体部材データ142は、実体建築物の構成要素である複数の実体部材についての情報を含む。より詳細には、実体部材データ142は、各実体部材について、予め設定された複数の属性に関する情報を含む。ここに言う属性は、実体部材が有する性質、特徴、特性などを意味する。
【0044】
幾つかの例示的な態様において、実体部材の複数の属性は、前述した仮想部材の複数の属性に対応している。例えば、実体部材の複数の属性は、実体部材識別情報(実体部材ID)、実体部材形状情報、実体部材位置情報、計測日情報などを含む。なお、実体部材の属性はこれらに限定されず、例えば材質など任意の性質、特徴、特性であってよい。
【0045】
実体部材データの例を
図4に示す。本例に係る実体部材データ4は、実体部材ID41、実体部材形状データ42、実体部材位置データ43、及び計測日情報44を含む。
【0046】
実体部材ID41は、実体部材を識別するための情報である。仮想部材ID21と同様に、実体部材ID41は、仮想部材の種別を示す情報であり、例えば、実体部材に付与された識別情報(部材番号など)であってもよい。幾つかの例示的な態様において、実体部材ID41は、対応する仮想部材ID21と同じであってよい(例えば、IFCにより提供される識別情報)。或いは、実体部材ID41は、対応する仮想部材ID21と異なる情報であり、且つ、対応する仮想部材ID21との関連をシステム1(及び外部システム等)が認識可能な所定の形式であってもよい。実体部材ID41は、例えば、後述の部材対応付け処理において生成される。
【0047】
実体部材形状データ42は、計測データに基づき取得された実体部材の形状を表すデータである。実体部材形状データ42は、実体部材の姿勢や向きなどを表すデータを含んでいてもよい。実体部在家以上データ42は、例えば、後述の部材対応付け処理において生成される。
【0048】
実体部材位置データ43は、実体建築物における実体部材の位置を表す。実体部材の位置は、例えば、計測データに基づき作成された実体建築物のBIMモデルが定義された仮想空間(3次元座標系で定義された3次元仮想空間)における実体部材の座標によって表現される。実体部材位置データ43は、例えば、後述の部材対応付け処理において生成される。
【0049】
計測日情報44は、実体建築物の計測を実施した日を示す。計測日情報44は、例えば、実体建築物の計測を実施する計測システム(移動体、トータルステーション、コンピュータなど)によって生成される。
【0050】
部材施工日情報24及び計測日情報44は、少なくとも年、月、日の情報を含み、時、分、秒などの情報を更に含んでいてもよい。また、設計が行われた場所の標準時と、実体建築物が存在する場所の標準時とが異なる場合、システム1(又は外部システム等)は、部材施工日情報24と計測日情報44とを同じ標準時で表現するように変換を行うように構成されてよい。
【0051】
システム1(例えば、制御部11及び記憶部14)は、例えば、実体部材データ142を管理するための実体部材データベースを提供する。例えば、実体部材データベースには、実体建築物の計測データを処理して得られた実体建築物のBIMモデル(複数の実体部材のBIMモデル)のデータが格納される。実体部材データベースは、実体建築物モデルに含まれる複数の実体部材モデルを一つひとつ管理するように構成されている。例えば、実体部材データベースには、実体建築物BIMモデルが格納される。実体部材データベースは、例えば、実体建築物BIMモデルごとに実体部材データ142を管理する。
【0052】
図5は、このような実体部材データベースにより管理される実体部材データ4(
図4を参照)のデータ構造(フォーマット)の例を示す。本例のデータ構造5では、実体部材データ4をテーブルで管理するようになっている。具体的には、データ構造5のテーブルは、実体部材IDが記録される複数のセルを含む実体部材ID欄と、実体部材形状データが記録される複数のセルを含む実体部材形状データ欄と、実体部材位置データが記録される複数のセルを含む実体部材位置データ欄と、計測日情報が記録される複数のセルを含む計測日情報とを含む。例えば、或る実体部材の実体部材ID41「222」に対し、実体部材形状データ42「B2」と、実体部材位置データ43「C2」と、計測日情報44「D2」とが関連付けられている。
【0053】
処理部15は、データ処理を実行するように構成されている。処理部15は、例えば、プロセッサを含むハードウェアと、データ処理ソフトウェアとの協働によって実現される。処理部15は、1つのコンピュータに設けられ、又は2以上のコンピュータに分散配置される。処理部15は、部材対応付け部151と属性対応付け部152とを含む。
【0054】
部材対応付け部151は、設計データ141に含まれる仮想部材情報と実体部材データに基づき複数の仮想部材と複数の実体部材との間の対応付け(部材対応付け処理)を行うように構成されている。これにより、仮想部材と実体部材との複数のペアが生成される。部材対応付け部151は、例えば、プロセッサを含むハードウェアと、部材対応付けソフトウェアとの協働によって実現される。
【0055】
部材対応付け部151が実行する処理の例を説明する。まず、部材対応付け部151は、設計データ141の座標空間と実体部材データ142の座標空間とを一致させる。例えば、部材対応付け部151は、設計データ141の座標空間における原点又は所定の基準点と、実体部材データ142の座標空間における原点又は所定の基準点とを一致させる。換言すると、部材対応付け部151は、設計データ141と実体部材データ142との間のレジストレーションを行う。幾つかの例示的な態様において、部材対応付け部151は、設計データ141中のBIMデータ(仮想建築物モデル)の定義座標系と、実体部材データ142中のBIMデータ(実体建築物モデル)の定義座標系と対応付けるようにレジストレーションを行う。これにより、設計データ141を表現する座標系と、実体部材データ142を表現する座標系との間の座標変換が可能となる。
【0056】
次に、部材対応付け部151は、設計データ141中のオブジェクト(例えば、仮想部材の面、頂点、又は中心点)と実体部材データ142中のオブジェクトとの対応付けを行う。例えば、部材対応付け部151は、設計データ141中の或るオブジェクトと実体部材データ142中の或るオブジェクトとの間の距離が所定閾値以下である場合に、これらオブジェクトを互いに対応付けるように構成されていてよい。これにより、このオブジェクト(実体部材)の実体部材位置データ(例えば、
図4の実体部材位置データ43)が生成される。
【0057】
更に、部材対応付け部151は、実体部材データ142中のオブジェクトの形状を認識することができる。例えば、柱の形状(表面形状、断面形状など)、梁の形状、壁の形状、天井の形状を表すデータを取得することができる。また、部材対応付け部151は、実体部材データ142中のオブジェクトの配置(向き、姿勢)を表すデータを取得することができる。更に、部材対応付け部151は、オブジェクトの表面のテクスチャ、素材、材質などを把握するように構成されてもよい。オブジェクトの形状、配置、テクスチャ、素材、材質などに基づいて、このオブジェクト(実体部材)の実体部材形状データ(例えば、
図4の実体部材形状データ42)が生成される。このようにして得られた実体部材形状データを、オブジェクトの距離に応じた部材対応付け処理の向上(例えば、精度の向上、確度の向上)に利用してもよい。
【0058】
加えて、部材対応付け部151は、実体部材データ142から特定された実体部材それぞれに識別情報を付与する。つまり、部材対応付け部151は、実体部材データ142に対して実体部材IDを付与するように構成されていてよい。
【0059】
例えば、部材対応付け部151は、或る仮想部材に対応付けられた実体部材に対し、この仮想部材と同じ識別情報(仮想部材ID)を付与する。この場合、互いに対応付けられた仮想部材と実体部材とのペアに対して同じ識別情報が割り当てられる。つまり、互いに対応付けられた仮想部材と実体部材とが、同じ識別情報で紐付けられる。仮想部材と実体部材に共通に割り当てられる識別情報は、例えば、IFCにおいて使用されるユニークbな識別情報であってよい。
【0060】
他の例において、部材対応付け部151は、或る仮想部材に対応付けられた実体部材に対し、この仮想部材に類似の識別情報を付与するように構成されてよい。例えば、この仮想部材の仮想部材IDの文字列の少なくとも一部を含む文字列からなる実体部材IDがこの実体部材に割り当てられる。
【0061】
更に他の例において、部材対応付け部151は、或る仮想部材に対応付けられた実体部材に対して固有の識別情報(実体部材ID)を付与するとともに、実体部材データ中の付加的記録領域にこの仮想部材の仮想部材IDを記録するように構成されてよい。
【0062】
このような部材対応付け処理により、複数の仮想部材と複数の実体部材との間の対応関係が得られる。つまり、仮想部材と実体部材とのペア(部材ペア)が複数得られる。例えば、
図6に示すように、
図3のデータ構造3における複数の仮想部材の識別情報(仮想部材ID)と、
図5のデータ構造5における複数の実体部材の識別情報(実体部材ID)との間の対応関係が得られる。
【0063】
なお、
図6に示す対応関係は、複数の仮想部材からなる集合と複数の実体部材からなる集合との間の全単射(bijection)であるが、これに限定されない。例えば、或る仮想部材の近傍(所定距離以下の範囲)に実体部材が存在しない場合、この仮想部材に対応付けられる実体部材は無い。逆に、或る実体部材の近傍(所定距離以下の範囲)に仮想部材が存在しない場合、この実体部材に対応付けられる仮想部材は無い。また、或る仮想部材の近傍に2以上の実体部材が存在する場合、1つの仮想部材に対して2以上の実体部材を対応付けることができる。逆に、或る実体部材の近傍に2以上の仮想部材が存在する場合、1つの実体部材に対して2以上の仮想部材を対応付けることができる。これらの場合のように全単射が得られない場合、例えば、制御部11は、得られた対応関係をユーザーインターフェイス12に表示させることができる。ユーザーは、ユーザーインターフェイス12を利用してこの対応関係を編集することができる。
【0064】
属性対応付け部152は、部材対応付け部151により得られた部材ペア(仮想部材と実体部材とのペア)について、仮想部材情報と実体部材データとを複数の属性に応じて対応付けるように構成されている。属性対応付け部152は、例えば、プロセッサを含むハードウェアと、属性対応付けソフトウェアとの協働によって実現される。
【0065】
ここで、仮想部材の複数の属性は、実体部材の複数の属性と同じであってよい。また、実体部材の複数の属性は、仮想部材の複数の属性の全てを含んでいてよい。例えば、仮想部材情報と実体部材データとで共通の属性を登録可能なメタデータ構造を予め用意しておくことができる。属性対応付け部152は、このようなメタデータ構造を利用して、仮想部材の属性と実体部材の属性との対応付けを行うように構成されてよい。
【0066】
例えば、
図7に示すように、
図3のデータ構造3における各仮想部材(各仮想部材ID)の複数の属性と、
図5のデータ構造5における各実体部材(各実体部材ID)の複数の属性との間の対応関係が得られる。本例では、例えば、仮想部材ID「AAA」の仮想部材と、実体部材ID「111」の実体部材とのペアについて、仮想部材形状情報「Ba」と実体部材形状データ「B1」とが対応付けられ、仮想部材位置情報「Ca」と実体部材位置データ「C1」とが対応付けられ、部材施工日情報「Da」と計測日情報「D1」とが対応付けられる。他の部材ペアについても同様である。
【0067】
このように、本態様に係るシステム1は、建築物のリアリティキャプチャのためのシステムであって、記憶部14と、部材対応付け部151と、属性対応付け部152とを含む。記憶部14は、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データを記憶する。更に、記憶部14は、この設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての複数の属性に関する実体部材データを記憶する。部材対応付け部151は、仮想部材情報及び実体部材データに基づき複数の仮想部材と複数の実体部材との間の対応付けを行って、仮想部材と実体部材との複数のペアを生成するように構成されている。属性対応付け部152は、部材対応付け部151により生成された複数のペアのそれぞれについて、複数の属性に応じて仮想部材情報と実体部材データとの間の対応付けを行うように構成されている。
【0068】
また、本態様は、建築物リアリティキャプチャシステムに処理されるデータの構造を提供する。このデータ構造は、設計データと実体部材データとを含む。設計データは、予め準備され、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む。実体部材データは、この設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成され、複数の実体部材のそれぞれについての複数の属性に関するデータを含む。設計データ及び実体部材データは、部材対応付け処理と属性対応付け処理とに用いられる。部材対応付け処理は、仮想部材情報及び実体部材データに基づいて複数の仮想部材と複数の実体部材との間の対応関係を決定する処理である。属性対応付け処理は、部材対応付け処理により取得された仮想部材と実体部材との複数のペアのそれぞれについて、複数の属性に応じて仮想部材情報と実体部材データとの間の対応関係を決定する処理である。更に、このような構造を有するデータが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することができる。この非一時的記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び半導体メモリのいずれかであってよい。
【0069】
また、本態様のシステム1において、仮想部材情報2は仮想部材位置情報23を含んでいてよく、実体部材データ4は実体部材位置データ43を含んでいてよい。更に、部材対応付け部151は、仮想部材位置情報23及び実体部材位置データ43に基づいて、仮想部材と実体部材との複数のペアを生成するように構成されていてよい。
【0070】
この構成は、次の特徴を有するデータ構造を提供する:仮想部材情報2が仮想部材位置情報23を含む;実体部材データ4が実体部材位置データ43を含む;仮想部材位置情報23及び実体部材位置データ43が部材対応付け処理に用いられる。
【0071】
また、本態様のシステム1において、仮想部材情報2は複数の仮想部材のそれぞれの施工日を示す施工日情報24を含んでいてよく、実体部材データ4は実体建築物の計測日を示す計測日情報44を含んでいてよい。更に、部材対応付け部151は、施工日情報24及び計測日情報44に基づいて、仮想部材と実体部材との複数のペアを生成するように構成されていてよい。
【0072】
この構成は、次の特徴を有するデータ構造を提供する:仮想部材情報2が複数の仮想部材のそれぞれの施工日を示す施工日情報24を含む;実体部材データ4が実体建築物の計測日を示す計測日情報44を含む;施工日情報24及び計測日情報44が部材対応付け処理に用いられる。
【0073】
施工日情報24及び計測日情報44を利用する場合、異なる複数の施工日に対応した複数の仮想部材情報と、異なる複数の計測日に対応した複数の実体部材データとの間の対応付けを、施工日と計測日とを照合することによって行うことができる。例えば、或る施工日について、部材対応付け部151は、この施工日以降の1以上の計測日のうちこの施工日に最も近い計測日を選択し、選択された計測日に対応した実体部材データをこの施工日に対応した仮想部材情報に対応付けることができる。これにより、仮想部材(仮想部材情報)と実体部材(実体部材データ)との対応付けを日付に基づき行うことができ、例えば施工計画書に応じた時系列データ管理が可能となる。
【0074】
また、本態様は、建築物リアリティキャプチャシステムに含まれるコンピュータを、データ受付手段、部材対応付け手段、及び属性対応付け手段として機能させるためのプログラムを提供する。データ受付手段(データ取得部13)は、仮想建築物の複数の仮想部材のそれぞれについての複数の属性に関する仮想部材情報を含む設計データと、この設計データに基づき施工された実体建築物から取得された計測データに基づき生成された、複数の実体部材のそれぞれについての複数の属性に関する実体部材データとを受け付ける。部材対応付け手段は、仮想部材情報及び実体部材データに基づいて複数の仮想部材と複数の実体部材との間の対応付けを行う。属性対応付け手段は、部材対応付け手段により取得された仮想部材と実体部材との複数のペアのそれぞれについて、複数の属性に応じた仮想部材情報と実体部材データとの間の対応付けを行う。更に、このようなプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することができる。この非一時的記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び半導体メモリのいずれかであってよい。
【0075】
このような本態様によれば、建築物の設計データと、それに基づき施工された建築物のデータとを、部材単位で(又は、一連の部材単位として)対応付けるとともに、部材の属性単位で対応付けることができる。
【0076】
また、仮想部材情報は、実体建築物の計測を容易に行うために用いられる情報であり、実体部材データは、この仮想部材情報を用いた計測から得られたデータである。このような仮想部材情報と実体部材データとを部材単位且つ属性単位で対応付けることにより、設計データと実測データとの比較を容易に行うことが可能になる。例えば、設計上のBIMデータ(設計BIMデータ)と、計測データに基づくBIMデータ(計測BIMデータ)との比較の容易化を図ることができる。
【0077】
このように、本態様によれば、各種のデータや情報の管理の統合化を図ることができ、ひいては、管理の効率化や無矛盾化を図ることが可能となる。
【0078】
以上に説明した構成は、この発明の実施態様の例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 システム
11 制御部
12 ユーザーインターフェイス
13 データ取得部
14 記憶部
141 設計データ
142 実体部材データ
15 処理部
151 部材対応付け部
152 属性対応付け部