(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】攪拌装置及び前処理装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/02 20060101AFI20240117BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240117BHJP
G01N 1/38 20060101ALI20240117BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
C12M1/02 A
C12M1/00 A
G01N1/38
G01N35/02 D
(21)【出願番号】P 2020531264
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2019027325
(87)【国際公開番号】W WO2020017409
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-01-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2018134174
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発/高生産性微生物創製に資する情報解析システムの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】虎井 彩
(72)【発明者】
【氏名】松本 好弘
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 誠久
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】福井 悟
【審判官】天野 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-261899(JP,A)
【文献】特開2005-127861(JP,A)
【文献】特開2018-96916(JP,A)
【文献】特開2017-198625(JP,A)
【文献】特表2014-504731(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M1/00-3/10
G01N1/00-37/00
B01F1/00-17/56
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞に試薬を混合した混合液を攪拌するための攪拌装置であって、
前記混合液が収容された容器の上端部を保持するための保持機構と、
前記保持機構により前記上端部が保持された前記容器の底部を受ける台座部と、
前記台座部に対して偏心した位置に設けられた回転軸を有し、当該回転軸を回転させることにより前記台座部を旋回させるモータと、
前記モータの回転を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記モータが正回転及び逆回転を交互に繰り返すように制御
し、
前記保持機構と前記台座部は、それぞれ独立した位置に設けられていることを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
細胞に対する前処理を行うための前処理装置であって、
細胞を含む培養液が収容された容器に対して遠心分離を行う遠心分離機構と、
前記遠心分離機構により前記容器内で遠心分離された細胞以外の液体を除去する液体除去機構と、
前記液体除去機構により液体が除去された後の前記容器内の細胞に試薬を混合して混合液を生成する試薬供給機構と、
前記試薬供給機構により生成された混合液を攪拌する請求項1に記載の攪拌装置とを備えることを特徴とする前処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞に試薬を混合した混合液を攪拌するための攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物や植物の細胞を培養槽内の培養液中で培養し、その培養液から細胞を回収して前処理を行った上で、液体クロマトグラフ質量分析装置に供給することにより、メタボローム解析などの分析を行う技術が知られている。この種の技術では、細胞を含む培養液をサンプリングするためのサンプリング装置と、サンプリングされた培養液に含まれる細胞に対して前処理を行うための前処理装置とが用いられている。培養液のサンプリングは、無菌状態にて行われる(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
前処理装置では、例えば、培養液に対する遠心分離、遠心分離された細胞以外の液体の除去、細胞への試薬の供給、細胞及び試薬を含む混合液の撹拌などが順次行われる。このうち、混合液の撹拌は、例えば、専用の撹拌装置で行われる。
【0004】
撹拌装置として、混合液を収容する試験管を保持した状態で、試験管を高速で動かして撹拌を行う装置が利用されている。このような装置は、モータと、モータの駆動軸から離れた位置(駆動軸から偏心した位置)で試験管を保持する保持機構とを備えている。そして、モータからの駆動力が保持機構に付与されることで、試験管が高速で動かされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した撹拌装置では、混合液の撹拌が完了するまでモータを高速で回転させ続ける。そのため、保持機構や撹拌機構に長時間にわたって負荷がかかり、これらの機構が損傷するという不具合が生じることがあった。撹拌に要する時間が長くなると、特に、試験管と接触する部分が摩耗により損傷するという不具合が生じてしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、撹拌に要する時間を短縮できる撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る攪拌装置は、細胞に試薬を混合した混合液を攪拌するための攪拌装置である。前記攪拌装置は、台座部と、モータと、制御部とを備える。前記台座部は、前記混合液が収容された容器の底部を受ける。前記モータは、前記台座部に対して偏心した位置に設けられた回転軸を有し、当該回転軸を回転させることにより前記台座部を旋回させる。前記制御部は、前記モータの回転を制御する。前記制御部は、前記モータが正回転及び逆回転を交互に繰り返すように制御する。
【0008】
このような構成によれば、攪拌装置では、制御部の制御により、モータが、正回転及び逆回転を交互に繰り返す。そして、台座部が、一方向の旋回と他方向の旋回とを交互に繰り返す。さらに、台座部が受ける容器が、一方向への動きと他方向への動きを交互に繰り返す。
これにより、容器内の混合液に、一方向に回る渦と他方向に回る渦とが交互に生じる。
そのため、容器内の混合液を効率良く攪拌することができる。
その結果、容器内の混合液の攪拌に要する時間を短縮できる。
【0009】
(2)本発明に係る前処理装置は、細胞に対する前処理を行うための前処理装置である。前記前処理装置は、遠心分離機構と、液体除去機構と、試薬供給機構と、前記攪拌装置とを備える。前記遠心分離機構は、細胞を含む培養液が収容された容器に対して遠心分離を行う。前記液体除去機構は、前記遠心分離機構により前記容器内で遠心分離された細胞以外の液体を除去する。前記試薬供給機構は、前記液体除去機構により液体が除去された後の前記容器内の細胞に試薬を混合して混合液を生成する。前記攪拌装置は、前記試薬供給機構により生成された混合液を攪拌する。
【0010】
このような構成によれば、前処理装置において、攪拌に要する時間を短縮できる。そして、全体の作業時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、攪拌装置では、制御部の制御により、モータが、正回転及び逆回転を交互に繰り返す。そして、台座部が、一方向の旋回と他方向の旋回とを交互に繰り返す。さらに、台座部が受ける容器が、一方向への動きと他方向への動きを交互に繰り返す。これにより、容器内の混合液に、一方向に回る渦と他方向に回る渦とが交互に生じる。そのため、容器内の混合液を効率良く攪拌することができる。その結果、容器内の混合液の攪拌に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る前処理装置を備えた自動前処理システムの概略構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る攪拌装置の構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.自動前処理システムの概略構成
図1は、本発明の一実施形態に係る前処理装置を備えた自動前処理システム10の概略構成を示したブロック図である。この自動前処理システム10は、分析対象物に対する前処理を自動で行うための装置である。本実施形態において、分析対象物は、例えば培養された細胞であり、より具体的には菌体である。
【0014】
自動前処理システム10には、サンプリング装置1及び前処理装置2が備えられている。自動前処理システム10により前処理が行われた後の細胞からは、その細胞の代謝産物が抽出されて、液体クロマトグラフ質量分析装置3に供給される。液体クロマトグラフ質量分析装置3は、分析対象物を分析するための分析装置の一例に過ぎず、他の分析装置を用いて分析を行うことも可能である。
【0015】
サンプリング装置1は、容器(培養容器)から液体をサンプリングするための装置である。例えば、微生物や植物の細胞は、バイオリアクタと呼ばれる容器内において培養液中で培養され、バイオリアクタ内の細胞を含む培養液がサンプリング装置1によりサンプリングされる。バイオリアクタ内には、例えば磁力を用いて回転される攪拌部材や、溶存酸素の濃度を検知するための酸素濃度センサなどが設けられており、バイオリアクタ内において培養液を攪拌しながら溶存酸素濃度を調整することにより、サンプリング装置1内において細胞が培養される。
【0016】
前処理装置2は、バイオリアクタ内からサンプリングされた培養液に含まれる細胞に対して前処理を行う。サンプリング装置1では、細胞を含む培養液が、容器(サンプリング容器)としての試験管に収容される。前処理装置2には、遠心分離機構4、液体除去機構5、試薬供給機構6、攪拌機構7及び抽出機構8などが備えられており、これらの各機構により、試験管内の培養液に含まれる細胞に対して前処理が順次行われる。
【0017】
遠心分離機構4は、細胞を含む培養液が収容された試験管に対して遠心分離を行う。これにより、試験管内の培養液に遠心力が付与され、細胞(固体)と細胞以外の液体とに分離される。そして、遠心分離機構4により試験管内で遠心分離された細胞以外の液体が、液体除去機構5を用いて除去されることにより、細胞が回収される。
【0018】
液体除去機構5により液体が除去された後の試験管内には、試薬供給機構6により試薬が供給される。これにより、試験管内の細胞に試薬が混合され、混合液が生成される。そして、試薬供給機構6により生成された混合液が、攪拌機構7により攪拌される。
【0019】
本実施形態において使用される試薬は、細胞中の代謝産物を抽出するための試薬であり、細胞に試薬が混合された混合液を攪拌することにより、細胞中から代謝産物が抽出された懸濁液が得られる。このようにして得られた懸濁液の一部が、抽出液として抽出機構8により抽出され、液体クロマトグラフ質量分析装置3に供給される。
【0020】
2.攪拌装置の構成
図2は、本発明の一実施形態に係る攪拌装置11の構成を示した斜視図である。
図3は、攪拌装置11の正面図である。
図4は、
図3のA-A線に沿う断面図である。
【0021】
攪拌装置11は、上記した前処理装置2に設けられる。攪拌装置11は、フレーム12と、上記した攪拌機構7と、保持機構13と、移動機構14と、制御部15とを備えている。
【0022】
フレーム12は、側面視L字状に形成されており、金属材料からなる。フレーム12は、水平フレーム121と、鉛直フレーム122とを備えている。水平フレーム121は、板状に形成されており、水平面に沿うように延びている。水平フレーム121は、設置面(図示せず)に固定されている。鉛直フレーム122は、水平フレーム121の上面に固定されている。鉛直フレーム122は、板状に形成されており、水平フレーム121の一端部(
図2及び
図4における左端部)から上方に向かって延びている。
【0023】
攪拌機構7は、水平フレーム121上に固定されている。攪拌機構7は、複数(4つ)の脚部71と、筐体72と、基台部73と、モータ74と、回転部75と、ベアリング76と、台座部77と、ばね78とを備えている。
【0024】
各脚部71は、水平フレーム121の上面に固定されている。各脚部71は、上方に向かって先細るテーパー状に形成されている。複数(4つ)の脚部71は、互いに間隔を隔てて配置されている。
筐体72は、脚部71上に固定されている。筐体72は、中空状の直方体形状に形成されている。
【0025】
図3及び
図4に示すように、基台部73は、筐体72の上面の中央部に固定されている。基台部73は、円筒状に形成されている。
モータ74は、筐体72に固定されている。モータ74は、モータ本体741と、回転軸742とを備えている。モータ本体741は、筐体72内に固定されている。回転軸742は、モータ本体741から上方に向かって延びている。回転軸742は、筐体72の上面に形成された開口(図示せず)、及び、基台部73の内部空間を挿通している。回転軸742の先端部は、筐体72の上方に配置されている。
【0026】
回転部75は、回転軸742に固定されている。回転部75は、略円柱状に形成されている。回転部75は、上方側部分の径が小さく、下方側部分の径が大きくなるように形成されている。回転部75の下方側部分には、上方に向かって窪む凹部が形成されている。回転部75の凹部に、モータ74の回転軸742が挿入されている。
【0027】
ベアリング76は、回転部75の上端部に載置されている。すなわち、回転部75の上端部は、ベアリング76の内部空間を挿通している。ベアリング76の内面の一部は、回転部75の上端部の周面に当接している。
【0028】
台座部77は、ベアリング76上に固定されている。台座部77は、筒部771と、板部772とを備えている。
筒部771は、円筒状に形成されており、ベアリング76に固定されている。筒部771は、ベアリング76の上面及び外周面を覆っている。
【0029】
板部772は、筒部771の上端部に固定されている。板部772は、円板状に形成されており、ゴム材料からなる。板部772の下面の中央部は、下方に向かって突出している。板部772の下端部(下面中央部の突出部分)は、筒部771の上端部の内部に嵌められている。
【0030】
ばね78は、コイルばねであって、基台部73と台座部77(筒部771)との間に配置されている。具体的には、ばね78の下端部は、基台部73の外周面に固定されており、ばね78の上端部は、筒部771の下端部の外周面に固定されている。モータ74の回転軸742、及び、回転部75は、ばね78の内方に配置されている。
【0031】
保持機構13は、試験管Sを保持するための機構である。移動機構14は、保持機構13を移動させるための機構である。移動機構14は、鉛直フレーム122に固定されている。保持機構13は、移動機構14に接続されている。
【0032】
図4に示すように、移動機構14は、上下シリンダ141と、本体部142と、接続部143とを備えている。
上下シリンダ141は、鉛直フレーム122の下端部に固定されている。上下シリンダ141は、空気供給部(図示せず)から空気が供給されることにより、シリンダを上下方向に移動させる。
【0033】
本体部142は、上下シリンダ141の上方に配置されている。本体部142は、移動機構14のベース部分を構成している。本体部142の下端部は、上下シリンダ141(上下シリンダ141におけるシリンダ部分)に接続されている。本体部142は、上下シリンダ141のシリンダ部分とともに上下方向に移動する。
【0034】
接続部143は、本体部142の上端部に取り付けられている。接続部143は、水平方向に延びる円柱状に形成されている。接続部143の一端部(
図4における右端部)は、鉛直フレーム122から内方側(攪拌機構7側)に突出している。
【0035】
保持機構13は、アーム部131と、本体部132と、1対の把持部133とを備えている。
図2に示すように、アーム部131は、移動機構14の接続部143の一端部に固定されている。アーム部131は、屈曲した板状に形成されており、接続部143から内方側(攪拌機構7側)に延びている。
本体部132は、略直方体形状に形成されており、アーム部131に固定されている。
【0036】
各把持部133は、本体部132の上端部に取り付けられている。各把持部133は、板状に形成されている。1対の把持部133は、水平方向において互いに対向している。1対の把持部133は、本体部132の上面に沿うようにして対向方向に移動可能である。把持部133は、空気供給部(図示せず)から空気が供給されることにより移動する。具体的には、1対の把持部133が対向方向において近づくように移動することで、それらの間で試験管Sが挟持される。また、この状態から、1対の把持部133が対向方向において離間するように移動することで、試験管Sの挟持状態が解除される。
【0037】
制御部15は、モータ74などと電気的に接続されている。制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含み、当該CPUが制御プログラムを実行することにより、モータ74などの動作を制御することができる。
【0038】
攪拌装置11では、ベアリング76及び台座部77は、モータ74の回転軸742に対して偏心した位置に設けられている。具体的には、
図3に示すように、台座部77(ベアリング76及び台座部77)の軸線L2は、モータ74の(回転軸742)の軸線L1に対してずれている(一致しない位置にある)。
【0039】
3.攪拌装置の動作
自動前処理システム10では、まず、細胞を含む培養液が試験管Sに導入され、その試験管Sに対して遠心分離の処理が行われる。これにより、試験管S内の培養液が、細胞(固体)と細胞以外の液体とに分離される。さらに、試験管S内の液体が除去された後、試験管S内に試薬が導入される。そして、この状態の試験管Sが、攪拌装置11に設置される。
【0040】
具体的には、試験管Sは、その上端部にキャップが被せられ、かつ、上下方向に沿う状態で、保持機構13に保持される。このとき、試験管Sの上端部は、保持機構13の把持部133により挟持されている。試験管Sが攪拌装置11に設置されたときには、
図3及び
図4に示すように、試験管Sは、攪拌機構7の台座部77の上方に位置しており、台座部77に対して間隔を隔てている。
【0041】
この状態から、移動機構14の上下シリンダ141の動作により、本体部142及び接続部143が下方に向かって移動する。そして、接続部143とともに保持機構13が下方に向かって移動する。
【0042】
すると、試験管Sの底部が、台座部77(板部772)の上面に接触する。試験管Sが板部772に接触すると、上下シリンダ141の動作が停止され、本体部142及び接続部143の移動が停止されて、保持機構13の移動が停止される。これにより、試験管Sの底部が板部772の上面に接触した状態が維持される。
【0043】
この状態で、制御部15の制御により、モータ74の動作が開始される。このとき、制御部15は、正回転と逆回転とを交互に繰り返すように、モータ74の動作を制御する。
【0044】
制御部15がモータ74(モータ本体741)を正回転させると、
図3に示すように、モータ74の回転軸742は、軸線L1を中心として一方向に回転する。すると、台座部77及びベアリング76が、軸線L1を中心とする円の円周上を軸線L2が移動するようにして、一方向に旋回する。このとき、ばね78は、弾性変形する。このようにして、モータ74の正回転に伴って、台座部77が一方向に旋回する。
【0045】
また、制御部15がモータ74(モータ本体741)を逆回転させると、モータ74の回転軸742は、軸線L1を中心として他方向に回転する。すると、台座部77及びベアリング76が、軸線L1を中心とする円の円周上を軸線L2が移動するようにして、他方向に旋回する。このとき、ばね78は、弾性変形する。このようにして、モータ74の正回転に伴って、台座部77が他方向に旋回する。
【0046】
制御部15は、モータ74が正回転と逆回転とを交互に繰り返すように、モータ74の動作を制御する。具体的には、制御部15は、モータ74の正回転を数秒間実施し、その後、モータ74の逆回転を数秒間実施するという動作を繰り返す。モータ74の正回転及び逆回転のそれぞれの実施時間は、例えば、1~3秒である。
【0047】
このようにして台座部77の一方向への旋回と他方向への旋回が交互に繰り返されると、試験管S(試験管Sの底部)が、一方向への移動と他方向への移動とを交互に繰り返す。これにより、試験管S内の混合液に、一方向に回る渦と他方向に回る渦とが交互に生じる。
【0048】
試験管S内の混合液に、一方向に回る渦と他方向に回る渦とが交互に生じると、渦の回転の切り替わりの際に、既に回っている渦と新しく発生する渦とがぶつかり合う。これにより、混合液が、上下方向に大きく動く。このようにして、試験管S内の混合液は、回転するように攪拌されるとともに、上下方向に動くように攪拌される。
【0049】
そのため、試験管S内の混合液を効率良く攪拌することができる。そして、試験管S内の混合液の攪拌に要する時間を短縮できる。
攪拌装置11での攪拌処理が終了すると、試験管S内の懸濁液は、抽出機構8により抽出され、液体クロマトグラフ質量分析装置3に供給される(
図1参照)。
【0050】
4.作用効果
(1)本実施形態では、攪拌装置11において、制御部15の制御により、モータ74が、正回転及び逆回転を交互に繰り返す。そして、台座部77が、一方向への旋回と他方向への旋回とを交互に繰り返す。
【0051】
これにより、試験管S(試験管Sの底部)が、一方向への移動と他方向への移動とを交互に繰り返し、試験管S内の混合液に、一方向に回る渦と他方向に回る渦とが交互に生じる。そして、試験管S内の混合液は、回転するように攪拌されるとともに、上下方向に動くように攪拌される。
そのため、試験管S内の混合液を効率良く攪拌することができる。
その結果、試験管S内の混合液の攪拌に要する時間を短縮できる。
【0052】
(2)また、本実施形態では、攪拌機構7(攪拌装置11)は、前処理装置2に設けられる。
そのため、前処理装置2において、攪拌に要する時間を短縮できる。そして、全体の作業時間を短縮できる。
【0053】
5.変形例
以上の実施形態では、培養液から生成される混合液を攪拌装置11で攪拌する場合について説明した。しかし、攪拌装置11は、他の任意の液体を攪拌する場合に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
2 前処理装置
4 遠心分離機構
5 液体除去機構
6 試薬供給機構
7 攪拌機構
11 攪拌装置
15 制御部
74 モータ
77 台座部
741 モータ本体
742 回転軸
771 筒部
772 板部