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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】フィルム貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/06 20060101AFI20240117BHJP
   B65C 3/00 20060101ALI20240117BHJP
   B62D 65/14 20060101ALI20240117BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B65C9/06
B65C3/00
B62D65/14 B
B29C65/48
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022091888
(22)【出願日】2022-06-06
(65)【公開番号】P2023178899
(43)【公開日】2023-12-18
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000130916
【氏名又は名称】株式会社サンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】井龍 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 時史
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-297409(JP,A)
【文献】特開2012-6218(JP,A)
【文献】特開2003-95230(JP,A)
【文献】特開平11-300837(JP,A)
【文献】特開2013-80046(JP,A)
【文献】特開2016-42121(JP,A)
【文献】特開2007-187960(JP,A)
【文献】特開2010-215244(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2017-143259(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/00
B65C 3/00
B62D 65/00
B29C 65/00
H01L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面部材にフィルムを貼付しつつ、前記曲面部材を搬送する搬送装置と、
搬送される曲面部材に追従して移動する追従ユニットと、
前記追従ユニットを移動可能に支持する支持装置と、
を備え、
前記追従ユニットは、
前記曲面部材を保持する保持部と、
前記保持部を支持するユニット本体部と、
を含み、
前記ユニット本体部は、前記保持部の前記ユニット本体部に対する相対位置を変位可能に前記保持部を支持し、
前記ユニット本体部は、
前記ユニット本体部に対する前記保持部の前記相対位置を検知可能な検知部と、
検知した前記相対位置に基づいて、前記相対位置を所定位置に保つように前記追従ユニットを移動させるための制御を行う制御装置と、
を有する、フィルム貼付装置。
【請求項2】
前記保持部は、
前記曲面部材を吸着する吸着部、
を含む、請求項1に記載のフィルム貼付装置。
【請求項3】
前記保持部は、
前記曲面部材を把持する把持部、
を含む、請求項1に記載のフィルム貼付装置。
【請求項4】
前記曲面部材を前記搬送装置が搬送する方向を前後方向とすると、
前記支持装置は、前記追従ユニットを前後方向および上下方向に移動可能に支持する、請求項1に記載のフィルム貼付装置。
【請求項5】
前記ユニット本体部は、前記保持部を上下方向に移動可能に支持する、請求項4に記載のフィルム貼付装置。
【請求項6】
前記ユニット本体部は、前記保持部を前後方向に揺動可能に支持する、請求項4に記載のフィルム貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面部材へのフィルムの貼付技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルには、反射防止フィルム、ぎらつき防止フィルム等、色々な機能フィルムが貼付される。下記特許文献には、薄型ディスプレイを構成するパネル状の被貼付部材にフィルム状の貼付部材を貼り付ける装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-74619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
曲面状の液晶パネルが様々な分野で使用されている。例えば、コンピュータ用ディスプレイ、自動車のメーターパネル等において曲面パネルが使用される。曲面状の液晶パネルにおいても、上述した様々な機能フィルムを貼付する必要がある。しかし、曲面状の液晶パネルは、フィルムの貼付工程中、搬送される液晶パネルの軌道が複雑であるため、平面状の液晶パネルに比べて貼付作業が難しい。従来は、曲面状の液晶パネルの搬送経路の軌跡を計算し、その軌跡に従ってフィルムの貼付装置を移動させるようにしている。しかし、計算された移動軌跡に従って貼付装置を移動させる方法であっても、曲面状の液晶パネルの搬送速度が変化すると、フィルムの貼付が正確に行われない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、曲面部材へのフィルムの貼付を精度よく行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一の局面に従うフィルム貼付装置は、曲面部材にフィルムを貼付しつつ、曲面部材を搬送する搬送装置と、搬送される曲面部材に追従して移動する追従ユニットと、追従ユニットを移動可能に支持する支持装置とを備える。追従ユニットは、曲面部材を保持する保持部と、保持部を支持するユニット本体部と、を含む。ユニット本体部は、保持部のユニット本体部に対する相対位置を変位可能に保持部を支持し、ユニット本体部は、ユニット本体部に対する保持部の相対位置を検知可能な検知部と、検知した相対位置に基づいて、相対位置を所定位置に保つように追従ユニットを移動させるための制御を行う制御装置とを有する。
【0007】
曲面部材へのフィルムの貼付を精度よく行うことができる。
【0008】
(2)上記フィルム貼付装置において、保持部は、曲面部材を吸着する吸着部を含んでもよい。
【0009】
曲面部材を吸着部により吸着保持することができる。
【0010】
(3)上記フィルム貼付装置において、保持部は、曲面部材を把持する把持部を含んでもよい。
【0011】
曲面部材を把持部により保持することができる。
【0012】
(4)上記フィルム貼付装置において、曲面部材を搬送装置が搬送する方向を前後方向とすると、支持装置は、追従ユニットを前後方向および上下方向に移動可能に支持してもよい。
【0013】
様々な形状の曲面部材に対して追従ユニットを追従させることができる。
【0014】
(5)上記フィルム貼付装置において、ユニット本体部は、保持部を上下方向に移動可能に支持してもよい。
【0015】
様々な形状の曲面部材に対して保持部を追従させることができる。
【0016】
(6)上記フィルム貼付装置において、ユニット本体部は、保持部を前後方向に揺動可能に支持してもよい。
【0017】
様々な形状の曲面部材に対して保持部を追従させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲面部材へのフィルムの貼付を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】フィルム貼付装置の全体斜視図である。
図2】フィルム貼付装置の全体側面図である。
図3】追従ユニットの斜視図である。
図4】追従ユニットの側面図である。
図5】ユニット本体に対して揺動している保持装置を示す図である。
図6】曲面部材が前方向に搬送された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態に係るフィルム貼付装置1を詳しく説明する。
【0021】
(1)フィルム貼付装置1の全体構成
図1は、フィルム貼付装置1の全体構成を示す斜視図、図2は、フィルム貼付装置1の全体構成を示す側面図である。以下の説明においては、各図に示したXYZ軸を用いて3次元の方向を示す。この実施の形態において、XY平面は水平面であり、Z軸は鉛直方向である。また、X軸を前方向、Y軸を左方向として説明する。
【0022】
図1および図2に示すように、フィルム貼付装置1は、支持装置2、追従ユニット5および搬送装置9を備える。支持装置2は、X軸支持装置3およびZ軸支持装置4を備える。追従ユニット5は、ユニット本体部6および保持装置7を備える。
【0023】
(2)支持装置2の構成
支持装置2は、追従ユニット5を支持する装置である。追従ユニット5は、支持装置2の下端に吊り下げられるように支持される。支持装置2は、追従ユニット5をX軸方向に移動可能に支持するX軸支持装置3および追従ユニット5をZ軸方向に移動可能に支持するZ軸支持装置4を備える。
【0024】
X軸支持装置3は、X軸方向ガイドレール31およびX軸方向駆動モータ32を備える。X軸方向ガイドレール31には、Z軸支持装置4のスライド部材41がX軸方向にスライド可能に支持される。X軸方向駆動モータ32を駆動させることにより、図の矢印D1で示すように、Z軸支持装置4が、X軸方向ガイドレール31に沿ってX軸方向に移動する。
【0025】
Z軸支持装置4は、スライド部材41、Z軸方向ガイド42およびZ軸方向駆動モータ43を備える。スライド部材41は、Z軸方向に延びる部材であり、その上端がX軸方向ガイドレール31にスライド可能に支持される。Z軸方向ガイド42は、Z軸方向に延びる部材であり、スライド部材41に固定されている。Z軸方向ガイド42は、後で説明する追従ユニット5のスライド部材64をスライド可能に支持する。Z軸方向駆動モータ43を駆動させることにより、図の矢印D2で示すように、スライド部材64がZ軸方向ガイド42にガイドされつつZ軸方向に移動する。
【0026】
(3)搬送装置9の構成
搬送装置9は、フィルム搬送台90およびローラ91,92を備える。フィルム搬送台90は、X軸方向に延びる略長方形状の部材である。フィルム搬送台90は、X軸方向に向かって高さが高くなるように傾斜している。つまり、フィルム搬送台90は、前方向が高くなるように傾斜している。フィルム搬送台90には、フィルム102が置かれる。
【0027】
搬送装置9の前端にはローラ91,92が配置されている。ローラ91,92は、Y軸方向に延びるように配置されている。つまり、ローラ91,92は左右方向に延びるように配置されている。ローラ91は、モータ93の駆動により回転駆動する駆動ローラである。ローラ92は、ローラ91の下部に配置され、ローラ91の回転駆動に伴って回転する従動ローラである。ローラ91,92により、曲面部材101およびフィルム102を挟んで、これら部材をX軸方向(前方向)に搬送する。曲面部材101およびフィルム102は、ローラ91,92に挟まれることにより接着される。
【0028】
(4)追従ユニット5の構成
次に、図3および図4を参照しながら、追従ユニット5の構成について説明する。追従ユニット5は、上述したように、ユニット本体部6および保持装置7を備える。図3は、追従ユニット5の斜視図である。図4は、追従ユニット5の左側面図である。
(4-1)ユニット本体部の構成
ユニット本体部6は、図3および図4に示すように、第1部材61、第2部材62および第3部材63を備える。第1部材61は、Y軸方向に延びように配置される。つまり、第1部材61は、左右方向に延びように配置される。第1部材61の左右両端からX軸方向(前方向)に向かって第2部材62が延びるように配置される。左右の第2部材62により、保持装置7を挟み込んで支持している。第3部材63は、第1部材61の左端に取り付けられ、上下方向に延びる部材である。
【0029】
ユニット本体部6は、さらに、スライド部材64、制御装置65および第1センサ66を備える。スライド部材64の下端は、第1部材61に固定されている。スライド部材64の上端は、前述したZ軸方向ガイド42にZ軸方向にスライド可能に支持されている。Z軸方向駆動モータ43を駆動させることにより、図の矢印D2で示すように、ユニット本体部6はZ軸方向に移動する。つまり、ユニット本体部6は、支持装置2に対して上下方向に移動可能である。
【0030】
制御装置65は、第1センサ66および後述する第2センサ76からの検知情報を取得し、ユニット本体部6に対する後で説明する吸着部73の現在の相対位置を算出する。制御装置65は、吸着部73の相対位置に基づいて、追従ユニット5の移動方向を決定する。第1センサ66および第2センサ76は、本実施の形態においては、レーザ光の反射により対象物の位置を検知する変位センサが用いられる。
【0031】
(4-2)保持装置7の構成
保持装置7は、図3および図4に示すように、回転ブロック70およびセンサ支持プレート71を備える。回転ブロック70は、回転軸79を中心に左右の回転軸79と一体となって回転する。左右の回転軸79はY軸方向に延びる。左右の回転軸79は、左右の第2部材62により回転可能に支持されている。センサ支持プレート71は、回転ブロック70に固定され、Z軸方向(上方向)に延びる部材である。
【0032】
図3に示すように、保持装置7は、Z軸方向に延びる3本の保持パイプ72a,72b,72cを備える。つまり、保持パイプ72a,72b,72cは上下方向に延びる。保持パイプ72a,72b,72cは、回転ブロック70に設けられた貫通孔に挿入され、回転ブロック70の上方向および下方向に突出している。保持パイプ72a,72b,72cは、図の矢印D3で示すように、回転ブロック70に対して上下方向に移動に支持されている。保持パイプ72a,72b,72cは、また、図の矢印D4で示すように、回転ブロック70と共にユニット本体部6に対して前後方向に揺動可能に支持されている。以下の説明において、保持パイプ72a,72b,72cを適宜、保持パイプ72と総称する。なお、図4においては、追従ユニット5から、左側の第2部材62、第3部材63、保持パイプ72c等を仮想的に取り外し、真ん中の保持パイプ72bを見やすくした図である。同様に、図2においては、追従ユニット5から、左側の第2部材62、第3部材63、保持パイプ72c等を仮想的に取り外し、真ん中の保持パイプ72bを見やすくした図である。
【0033】
保持パイプ72は、いずれも内部が上下方向に延びる空洞部を有する部材であり、その上端には、それぞれホース81(図1参照。図3においては図示省略)が接続される。ホース81は、ポンプ82(図1に図示)に接続されており、ポンプ82の駆動により、保持パイプ72内に負圧を生じさせる。
【0034】
保持パイプ72a,72b,72cの下端には、それぞれ吸着部73a,73b,73cが取り付けられている。吸着部73a,73b,73cを適宜、吸着部73と総称する。吸着部73は平面視円形状の部材であり、その中心部は上下方向に貫通する空洞部を有する。本実施の形態において、吸着部73はゴム製の部材である。そして、吸着部73の空洞部は保持パイプ72内の空洞部と繋がっている。これにより、ポンプ82が駆動することにより、吸着部73内に負圧を生じさせ、曲面部材101を吸着することができる。吸着部73は、本発明に係る保持部の例である。
【0035】
図3に示すように、保持パイプ72a,72b,72cには、回転ブロック70よりも上部において、それぞれバネ74a,74b,74cが取り付けられている。保持パイプ72a,72b,72cには、それぞれ上端に近い位置にバネストッパ75a,75b,75cが設けられている。バネ74a,74b,74cの上端は、バネストッパ75a,75b,75cに固定されている。また、バネ74a,74b,74cの下端は、回転ブロック70上面に固定されている。以下の説明において、バネ74a,74b,74cを適宜、バネ74と、バネストッパ75a,75b,75cを適宜、バネストッパ75と総称する。
【0036】
このような構成により、バネ74は、回転ブロック70の上面とバネストッパ75の下面との間に挟まれる構造となる。そして、保持パイプ72が回転ブロック70に対して相対的に上方向に移動したときは、バネ74が保持パイプ72に対して下方向に向かう付勢力を与える。また、保持パイプ72が回転ブロック70に対して相対的に下方向に移動したときは、バネ74が保持パイプ72に対して上方向に向かう付勢力を与える。これにより、保持パイプ72は、バネ74の付勢力により元の位置に戻るよう構成される。
【0037】
センサ支持プレート71の上部には、第2センサ76が取り付けられている。また、図3および図4に示すように、左右方向で真ん中の保持パイプ72bには、第2センサ検知部77が設けられている。第2センサ検知部77は、略円板状のプレートである。第2センサ76は、レーザ光を利用して第2センサ検知部77との間の距離を検知する変位センサである。保持パイプ72bが回転ブロック70に対して上下方向に移動すると、第2センサ76と第2センサ検知部77との間の距離が変化する。この変化する距離を第2センサ76において検知する。第2センサ76は制御線(図示省略)あるいは無線により検知情報を制御装置65に与える。
【0038】
また、図3に示すように、左の回転軸79の左端は、左の第2部材62より左側に突出し、その左端には第1センサ検知部78が取り付けられている(図4では、第1センサ検知部78が取り外された状態を示している)。第1センサ検知部78は、回転軸79と一体となって回転する。つまり、第1センサ検知部78は回転ブロック70と一体となって回転する。第1センサ検知部78は、ユニット本体部6に取り付けられた第1センサ66の前方に位置している。第1センサ66は、レーザ光を利用して第1センサ検知部78との間の距離を検知する変位センサである。第1センサ検知部78が回転ブロック70と共に回転すると、第1センサ66と第1センサ検知部78との間の距離が変化する。この変化する距離を第1センサ66において検知する。図5は、保持装置7がユニット本体部6に対して前方向に傾いている状態を示す。保持装置7が前方向に傾くことにより、回転ブロック70および第1センサ検知部78も前方向に傾いている。このようにして、第1センサ66と第1センサ検知部78との間の距離が変化する。第1センサ66は制御線(図示省略)あるいは無線により検知情報を制御装置65に与える。
【0039】
制御装置65は、第1センサ66および第2センサ76から取得した検知情報に基づいて、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を算出する。制御装置65は、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を所定位置に維持するための制御を行う。具体的には、制御装置65は、X軸方向駆動モータ32およびZ軸方向駆動モータ43を制御し、追従ユニット5をX軸方向および/またはZ軸方向に移動させる。そして、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置が所定位置に維持されるように、追従ユニット5を移動させる。例えば、制御装置65は、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を予め設定された位置(初期相対位置)となるよう維持するよう制御する。あるいは、制御装置65は、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を、吸着部73が最初に曲面部材101を保持した位置(初期相対位置)に維持するよう制御する。
【0040】
(5)フィルム貼付動作
以上のとおり構成されたフィルム貼付装置1による曲面部材101に対するフィルム102の貼付動作について説明する。まず、フィルム102がフィルム搬送台90に配置される。フィルム102の前端は、ローラ91,92に近い初期位置に設定される。また、曲面部材101が曲面部材搬送装置(図示省略)によって、ローラ91,92に近い初期位置に搬送される。曲面部材101の初期位置は、曲面部材101の前端が、フィルム102の前端に近い位置で設定される。
【0041】
次に、制御装置65の制御により、X軸支持装置3およびZ軸支持装置4が駆動し、追従ユニット5を、曲面部材101の後端を保持可能な初期位置に移動させる。この位置は、例えば、曲面部材101の初期位置に応じて予め設定される。追従ユニット5が初期位置に移動すると、制御装置65の制御により、ポンプ82を駆動させ、吸着部73により曲面部材101の後端を吸着する。これにより、保持装置7により曲面部材101の後端が保持される。このときの吸着部73のユニット本体部6に対する相対位置が初期相対位置である。保持装置7により曲面部材101の保持が完了すると、曲面部材搬送装置は曲面部材101の保持を解除し、所定の位置に退避する。
【0042】
次に、制御装置65の制御により、モータ93が駆動し、ローラ91が回転駆動を開始する。これにより、曲面部材101の前端とフィルム102の前端とが合わせられてローラ91,92の間を前方に向かって搬送される。フィルム102の上面には接着部材が塗布されており、曲面部材101の下面にフィルム102が貼付される。
【0043】
曲面部材101がローラ91,92により前方に搬送されると、それに伴って曲面部材101の後端に吸着している吸着部73も前方に追従して移動する。このとき、曲面部材101の形状は様々であるため、吸着部73の移動方向は曲面部材101の曲面形状によって異なる。ここで、保持装置7は、ユニット本体部6に対して、上下方向(D3方向)および前後方向(D4方向)に揺動可能であるので、吸着部73は曲面部材101の移動に追従することができる。つまり、吸着部73がユニット本体部6に対する相対位置を変化させることで、曲面部材101の移動に追従する。
【0044】
吸着部73が上下方向(D3方向)に移動、あるいは前後方向(D4方向)に揺動することにより、ユニット本体部6に対して相対移動すると、第1センサ66および第2センサ76が変化する相対位置を検知する。制御装置65は、第1センサ66および第2センサ76から取得する検知情報に基づき、現在の吸着部73のユニット本体部6に対する相対位置を算出する。そして、制御装置65は、吸着部73のユニット本体部6に対する相対位置が初期相対位置に戻るように、X軸支持装置3およびZ軸支持装置4に制御指示を送る。この制御指示には、X軸方向への移動量、Z軸方向への移動量が含まれる。この制御指示に応答して、X軸方向駆動モータ32および/またはZ軸方向駆動モータ43が駆動し、追従ユニット5を移動させる。これにより、吸着部73のユニット本体部6に対する相対位置が初期相対位置を維持するように制御される。
【0045】
このような制御を、曲面部材101がローラ91,92により前方向に搬送される間継続する。これにより、曲面部材101の下面にフィルム102の上面が貼付される間、保持装置7により曲面部材101の後端を継続して保持することができる。そして、曲面部材101が所定の解除位置まで移動した時点で、ポンプ82の吸引を停止させ、保持装置7による曲面部材101の保持を解除する。所定の解除位置とは、保持装置7による保持を必要とすることなく曲面部材101とフィルム102が貼付可能となる位置であり、予め設定される。以上の動作により、曲面部材101の下面にフィルム102が貼付され、ローラ91,92の前方に、フィルム102が貼付された曲面部材101が送り出される。図6は、曲面部材101がX軸方向(前方向)に搬送された状態を示す図である。ローラ91,92に挟まれてフィルム102が下面に添付された曲面部材101は、前方向に搬送される。そして、追従ユニット5による保持が必要なくなった時点で、ポンプ82による吸引が停止され、保持装置7は曲面部材101の後端の保持を解除する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態のフィルム貼付装置1によれば、まずは、曲面部材101の移動に保持装置7が追従し、次に、保持装置7の移動にユニット本体部6が追従する。これにより、様々な形状の曲面部材101にフィルム102を貼付することが可能である。従来、曲面部材の形状に応じて追従させる保持部の起動を計算し、起動上の多数の点(100点等)を制御装置に記憶させるようにしていた。本実施の形態であれば、追従ユニット5の移動軌跡を事前に計算および記憶する必要はない。追従ユニット5は、どのような形状の曲面部材101であっても上記の方法により、自動的に曲面部材101との距離を補正しながら追従することができる。
【0047】
本実施の形態のフィルム貼付装置1は、保持装置7の吸着部73のユニット本体部6に対する相対位置を所定位置(初期相対位置)に保つことで、吸着部73による曲面部材101の保持を維持することができる。曲面部材101の形状が未知であっても、吸着部73の相対位置を所定位置(初期相対位置)に保つことで、曲面部材101の保持が外れ、曲面部材101を落下させることがない。また、曲面部材101の搬送速度が一定でない場合であっても、吸着部73の相対位置を所定位置(初期相対位置)に保つことで、吸着部73を曲面部材101に追従させることができる。
【0048】
ここで、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置は、例えば、図4に示す点P1に対する点P2の位置である。この相対位置を所定位置(初期相対位置)に維持するために、本実施の形態においては、第1センサ66、第2センサ76の検知情報に基づき、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を算出している。
【0049】
(6)他の実施の形態
上記の実施の形態においては、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を算出するために、変位センサである第1センサ66および第2センサ76を利用した。吸着部73の相対位置を算出する方法は、変位センサに限定されない。例えば、吸着部73が3次元重力センサを備え、その検知情報に基づいて制御装置65が、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を算出してもよい。あるいは、吸着部73が力覚センサを備え、力覚センサの検知情報に基づいて制御装置65が、ユニット本体部6に対する吸着部73の相対位置を算出してもよい。
【0050】
上記の実施の形態のフィルム貼付装置1は、例えば、曲面部材101としての液晶パネルに、フィルム102としての反射防止フィルム等を貼付する装置で利用可能である。他にも、様々な曲面部材101にフィルム状またはシート状の部材を貼付する装置に利用可能である。
【0051】
上記の実施の形態においては、保持部としての吸着部73が曲面部材101を吸着により保持する例を説明したが、これは一例である。保持部として曲面部材101を把持する把持部が用いられてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…フィルム貼付装置
2…支持装置
3…X軸支持装置
4…Z軸支持装置
5…追従ユニット
6…ユニット本体部
64…スライド部材
65…制御装置
66…第1センサ
7…保持装置
70…回転ブロック
71…センサ支持プレート
72(72a,72b,72c)…保持パイプ
73(73a,73b,73c)…吸着部
76…第2センサ
77…第2センサ検知部
78…第1センサ検知部
79…回転軸
9…搬送装置
101…曲面部材
102…フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6