(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】デジタルヌクレアーゼ検出組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/44 20060101AFI20240117BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20240117BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240117BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240117BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
C12Q1/44 ZNA
C12Q1/6806 Z
G01N21/64 E
G01N21/64 F
G01N33/50 Z
C12N15/11 Z
(21)【出願番号】P 2020517311
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 US2018053107
(87)【国際公開番号】W WO2019067711
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-22
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504315680
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ アイオワ リサーチ ファンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ, ジェイムズ オー.
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/120406(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0041086(US,A1)
【文献】Azuka Iwobi et al.,Droplet digital PCR for routine analysis of genetically modified foods (GMO) - A comparison with real-time quantitative PCR,Food Control,2016年,Vol.69,pp.205-213
【文献】Hernandez, F. J. et al.,Degradation of nuclease-stabilized RNA oliogonucleotides in Mycoplasma-contaminated cell culture media,Nucleic Acid Therapeutics,2012年,22(1),58-68
【文献】Guan, Z. et al.,A highly parallel microfluidic droplet method enabling sigle-molecule counting for digital enzyme detection,Biomicrofluidics,2014年,8, 014110,1-13
【文献】Obayashi, Y. et al.,A single-molecule digital enzyme assay using alkaline phosphatase with a cumarin-based fluorogenic substrate,Analyst,2015年,140,5065-73
【文献】Lee, A. I. and Brody, J. P.,Single-molecule enzymology of chymotrypsin using water-in-oil emulsion,Biophysical Journal,2005年,88,4303-4311
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に存在する少なくとも1つの個々のヌクレアーゼ分子を検出する方法であって、
(a)水性反応混合物を形成するために、少なくとも1つのヌクレアーゼ分子を含有することが疑われる水性試料に、少なくとも1つの組成物を接触させるステップであって、前記組成物が、水溶液と、磁気マイクロビーズに作動可能に連結した基質プローブとを含み、前記基質プローブが、
(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、
(ii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および
(iii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャー
を含
み、前記水性試料は、液滴あたり0個または1個のヌクレアーゼ分子を含有するピコリットルスケールの液滴を生じるのに十分に希釈される、ステップと、
(b)エマルジョン中で
前記ピコリットルスケールの液滴を形成するために、前記水性混合物を油中で乳化させるステップと、
(c)前記ヌクレアーゼが存在すれば前記マイクロビーズに連結した前記基質プローブを消化するように、前記エマルジョン中で前記ピコリットルスケールの液滴をインキュベートするステップと、
(d)前記マイクロビーズを回収するステップと、
(e)前記マイクロビーズから発する蛍光を検出するステップと
を含む方法。
【請求項2】
(f)前記マイクロビーズの蛍光をフローサイトメトリーによって定量するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(f)前記マイクロビーズの蛍光を顕微鏡によって定量するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料が、血液、血清、血漿、便、皮膚抽出物、汗、尿、滑液、腹水、脳脊髄液、硝子体液、肺洗浄液、鼻抽出物、またはこれらのいずれかに由来する材料である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インキュベートするステップが、30秒~10時間である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インキュベートするステップが、4~5時間である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)において、前記水性試料に、2つの組成物を接触させ、各々の組成物が異なる蛍光標識を有する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応混合物の体積がナノリットルより小さい、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが、4~15ヌクレオチド長である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが、4~11ヌクレオチド長である、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の修飾ピリミジンを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが、TTTTTTTTTTT(配列番号1)である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記
オリゴヌクレオチドの1つまたは複数
のヌクレオチドが、化学修飾されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記
修飾ピリミジンの1つまたは複数が、化学修飾されている、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記
修飾ピリミジンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記
修飾ピリミジンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドが1つまたは複数のプリンを含み、前記プリンの1つまたは複数が化学修飾されている、請求項
1から11および13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プリンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記プリンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
前記フルオロフォアが、ヒドロキシクマリン、アレクサフルオール、アミノクマリン、メトキシクマリン、カスケードブルー、パシフィックブルー、パシフィックオレンジ、ルシファーイエロー、アレクサフルオール430、NBD、R-フィコエリスリン(PE)、PE-Cy5コンジュゲート、PE-Cy7コンジュゲート、レッド613、PerCP、Cy2、トゥルーレッド、FluorX、フルオレセイン、FAM、BODIPY-FL、TET、アレクサフルオール532、HEX、TRITC、Cy3、TMR、アレクサフルオール546、アレクサフルオール555、Tamara、X-ローダミン、リサミンローダミンB、ROX、アレクサフルオール568、Cy3.5 581、テキサスレッド、アレクサフルオール594、アレクサフルオール633、LCレッド640、アロフィコシアニン(APC)、APC-Cy7コンジュゲート、Cy5、アレクサフルオール660、Cy5.5、LCレッド705、アレクサフルオール680、Cy7、およびIRDye 800 CWからなる群から選択される、請求項1から
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記フルオロフォアが、近赤外線範囲で発出を有する、請求項1から
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記クエンチャーが、DDQ-I、ダブシル、エクリプス、Iowa Black FQ、BHQ-1、QSY-7、BHQ-2、DDQ-II、Iowa Black RQ、QSY-21、BHQ-3、IRDye QC-1およびZENからなる群から選択される、請求項1から
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチドが一本鎖である、請求項1から
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチドが、RNAおよびDNAの両方を含む、請求項
1から11および13から23のいずれか一項に記載の方法であって、請求項
20から23のいずれの一項も請求項
12を直接的にも間接的にも引用しない、方法。
【請求項25】
前記オリゴヌクレオチドがDNAを含む、請求項1から
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記マイクロビーズが、直径0.5~20μmである、請求項1から
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロビーズが、直径2~10μmである、請求項1から
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記マイクロビーズが連結部分を含む、請求項1から
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記連結部分が、ストレプトアビジン分子、クリックケミストリーリンカー、アミノリンカー、またはチオールリンカーである、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記基質プローブが、ビオチン部分を含み、前記基質プローブが、ビオチン-ストレプトアビジン結合を通して前記磁気マイクロビーズに連結される、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
前記溶液が、0.1~20mMのMgCl
2および0.1~20mMのCaCl2を含む緩衝剤、0.1~20mMのMgCl
2、もしくはCaCl
2、または他の二価カチオンを含む緩衝剤、あるいは二価カチオンを有しないおよび/または二価カチオンのキレート剤(EDTA)を有する緩衝剤である、請求項1から
30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ピコリットルスケールの液滴が、0.014~2.6ピコリットルである、請求項1から
31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記マイクロビーズが、ピコリットルスケールの液滴あたり平均で1個未満のマイクロビーズを生じる濃度で存在する、請求項1から
32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
油中に封入されたピコリットルスケールの液滴のエマルジョンを
調製する方法における使用のための検出組成物であって、前記
検出組成物が、
(a)マグネシウムを欠如する、および/または二価カチオンキレート剤を含む水溶液と、
(b)(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、
(ii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および
(iii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャー
を含む基質プローブと
を含
み、
前記方法が、
(1)水性反応混合物を形成するために、少なくとも1つのヌクレアーゼ分子を含有することが疑われる水性試料に、前記検出組成物を接触させるステップであって、
前記水性試料は、液滴あたり0個または1個のヌクレアーゼ分子を含有するピコリットルスケールの液滴を生じるのに十分に希釈される、ステップと、
(2)油中に封入されたピコリットルスケールの液滴の前記エマルジョンを形成するために、前記水性反応混合物を油中で乳化させるステップと、
を含む、検出組成物。
【請求項35】
前記水溶液が、亜鉛、マンガン、および/またはカルシウムを含む、請求項
34に記載の検出組成物。
【請求項36】
前記亜鉛、マンガン、および/またはカルシウムが、独立して100μM~20mMの濃度で存在する、請求項
35に記載の検出組成物。
【請求項37】
前記二価カチオンキレート剤がEDTAである、請求項
34に記載の検出組成物。
【請求項38】
前記EDTAが、20~50mMの濃度で存在する、請求項
37に記載の検出組成物。
【請求項39】
前記オリゴヌクレオチドが、4~15ヌクレオチド長である、請求項
34から38のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項40】
前記オリゴヌクレオチドが、4~11ヌクレオチド長である、請求項
34から39のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項41】
前記オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の修飾ピリミジンを含む、請求項
34から40のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項42】
前記オリゴヌクレオチドが、TTTTTTTTTTT(配列番号1)である、請求項
34から39のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項43】
前記
オリゴヌクレオチドの1つまたは複数
のヌクレオチドが、化学修飾されている、請求項
34から41のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項44】
前記
修飾ピリミジンの1つまたは複数が、化学修飾されている、請求項
41に記載の検出組成物。
【請求項45】
前記ピリミジンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、請求項
44に記載
修飾の検出組成物。
【請求項46】
前記
修飾ピリミジンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、請求項
44に記載の検出組成物。
【請求項47】
前記オリゴヌクレオチドが1つまたは複数のプリンを含み、前記プリンの1つまたは複数が化学修飾されている、請求項
34から41および43から46のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項48】
前記プリンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、請求項
47に記載の検出組成物。
【請求項49】
前記プリンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、請求項
47に記載の検出組成物。
【請求項50】
前記フルオロフォアが、ヒドロキシクマリン、アレクサフルオール、アミノクマリン、メトキシクマリン、カスケードブルー、パシフィックブルー、パシフィックオレンジ、ルシファーイエロー、アレクサフルオール430、NBD、R-フィコエリスリン(PE)、PE-Cy5コンジュゲート、PE-Cy7コンジュゲート、レッド613、PerCP、Cy2、トゥルーレッド、FluorX、フルオレセイン、FAM、BODIPY-FL、TET、アレクサフルオール532、HEX、TRITC、Cy3、TMR、アレクサフルオール546、アレクサフルオール555、Tamara、X-ローダミン、リサミンローダミンB、ROX、アレクサフルオール568、Cy3.5 581、テキサスレッド、アレクサフルオール594、アレクサフルオール633、LCレッド640、アロフィコシアニン(APC)、APC-Cy7コンジュゲート、Cy5、アレクサフルオール660、Cy5.5、LCレッド705、アレクサフルオール680、Cy7、およびIRDye 800 CWからなる群から選択される、請求項
34から49のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項51】
前記フルオロフォアが、近赤外線範囲で発出を有する、請求項
50に記載の検出組成物。
【請求項52】
前記クエンチャーが、DDQ-I、ダブシル、エクリプス、Iowa Black FQ、BHQ-1、QSY-7、BHQ-2、DDQ-II、Iowa Black RQ、QSY-21、BHQ-3、IRDye QC-1およびZENからなる群から選択される、請求項
34から51のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項53】
前記オリゴヌクレオチドが一本鎖である、請求項
34から52のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項54】
前記オリゴヌクレオチドが、RNAおよびDNAの両方を含む、請求項
34から41および43から53のいずれか一項に記載の検出組成物であって、請求項
50から53のいずれの一項も請求項
42を直接的にも間接的にも引用しない、検出組成物。
【請求項55】
前記基質プローブが、磁気マイクロビーズに作動可能に連結している、請求項
34から54のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項56】
前記マイクロビーズが、直径0.5~20μmである、請求項
55に記載の検出組成物。
【請求項57】
前記マイクロビーズが、直径2~10μmである、請求項
55に記載の検出組成物。
【請求項58】
前記マイクロビーズが、連結部分を含む、請求項
55から57のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項59】
前記連結部分が、ストレプトアビジン分子、クリックケミストリーリンカー、アミノリンカー、またはチオールリンカーである、請求項
58に記載の検出組成物。
【請求項60】
前記基質プローブが、ビオチン部分を含み、前記基質プローブが、ビオチン-ストレプトアビジン結合を通して前記磁気マイクロビーズに連結される、請求項
59に記載の検出組成物。
【請求項61】
前記溶液が、0.1~20mMのMgCl
2および0.1~20mMのCaCl
2を含む緩衝剤、0.1~20mMのMgCl
2、もしくはCaCl
2、または他の二価カチオンを含む緩衝剤である、請求項
34から60のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項62】
前記ピコリットルスケールの液滴が、0.014~2.6ピコリットルである、請求項
34から61のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項63】
前記マイクロビーズが、ピコリットルスケールの液滴あたり平均で1個未満のマイクロビーズを生じる濃度で存在する、請求項
55から60のいずれか一項に記載の検出組成物。
【請求項64】
pHが、8.5~10.5を含むその間である、請求項
34から63のいずれか一項に記載の検出組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2017年9月29日に出願された米国仮出願第62/565,674号に基づく優先権を主張する。上記で引用した出願の全内容は、本明細書によって参考として本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府助成研究に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた連邦政府助成金番号R01 AI106738の下で政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明にある一定の権利を保有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
蛍光を消光させる化学部分は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プロセスおよび基底状態消光を含む多様な機構を通して作動する。FRETは、蛍光消光の最も一般的な機構の1つであり、蛍光ドナーの発出スペクトルがクエンチャーの吸収スペクトルとオーバーラップする場合、ならびにドナーおよびクエンチャーがフェルスター距離として公知の十分な距離内にある場合に起こり得る。クエンチャーによって吸収されたエネルギーは、次にクエンチャーの化学的性質に応じて多様な機構を通して放出され得る。捕獲されたエネルギーは、蛍光を通して、もしくは電荷移動および衝突機構を含む非蛍光機構を通して、またはそのような機構の組合せを通して放出され得る。クエンチャーが、非蛍光機構を通して、捕獲されたエネルギーを放出する場合、FRETは、蛍光ドナーの蛍光発出の低減として単純に観察される。
【0004】
FRETは、最も一般的な消光機構であるが、消光をもたらす分子の方向性およびスペクトル一致のいずれかの組合せが、本発明の化合物による消光にとって有用な機構である。例えば、基底状態消光は、フルオロフォアおよびクエンチャーが、共に十分に近くに存在して基底状態複合体を形成する場合には、スペクトルオーバーラップの非存在下で起こり得る。
【0005】
2つの色素のその空間的関係の変化としての相互作用に依存する消光プロセスは、ヌクレオチド配列および他の生物現象を検出および/または同定するために簡便に使用することができる。既に指摘したように、エネルギー移動プロセスは、蛍光ドナーの発出スペクトルとクエンチャーの吸収スペクトルとの間のオーバーラップを必要とする。必ずしも全ての潜在的クエンチャー/ドナー対を使用できるわけではないことから、このためにプローブの設計は複雑になる。例えば、約500~550nmの波長範囲で光を極大吸収するクエンチャーBHQ-1は、約520nmの波長を有するフルオロフォアであるフルオレセインから発出した蛍光を消光することができる。これに対し、約650~700nmの波長範囲で光を極大吸収するクエンチャーBHQ-3は、フルオレセインの蛍光の消光に関してあまり有効ではないが、約670nmで蛍光を発するフルオロフォアCy5の蛍光の消光には非常に有効であろう。所定のプローブの精製が、取り付けられたクエンチャーの性質に応じて大きく異なり得ることから、多様なクエンチャーを使用することは、アッセイの開発を難しくする。
【0006】
多くのクエンチャーが、蛍光を通してエネルギーを放射し、それらを含有するプローブのシグナル対ノイズ比およびそれらを利用するアッセイの感度を低減させる。そのようなクエンチャーの場合、類似の波長範囲で蛍光を発するフルオロフォアを使用することができない。これによって、そのようなクエンチャーと共に使用することができるフルオロフォアの数が制限され、それによって全て単一のクエンチャーを含有する別個のプローブにおける別個のフルオロフォアの使用に依存する多重アッセイのその有用性が制限される。
【0007】
フェムトリットルまたはピコリットルスケールの区画(例えば、油中水エマルジョン)を使用する、ベータ-ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、F1-ATPアーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、およびアルカリホスファターゼを含む酵素の単一分子検出は、以前に証明されている(Basu, A.S. (2017b). Digital Assays Part II: Digital Protein and Cell Assays. SLAS Technol 22, 387-405を参照されたい)。これらの研究に使用した蛍光発生基質は、フルオレセインジ-β-d-ガラクトピラノシド(FDG)などの低分子である。
【0008】
エンドヌクレアーゼ(例えば、ある特定のリボヌクレアーゼおよびデオキシリボヌクレアーゼ)は、ポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)鎖内のホスホジエステル結合を切断する酵素であり、これに対しエキソヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖の末端でホスホジエステル結合を切断する。典型的には、制限部位、すなわち、制限酵素として公知のあるクラスのエンドヌクレアーゼの認識部位は、4~6ヌクレオチド長の回文配列(例えば、TGGATCCA、配列番号3)である。
【0009】
細菌および古細菌において見出される制限酵素は、侵入するウイルスに対する防御機構を提供するために進化したと考えられている。細菌宿主内で、制限酵素は、制限と呼ばれるプロセスにおいて外来DNAを選択的に刻み、宿主DNAは、自身を制限酵素の活性から保護するために修飾酵素(メチラーゼ)によってメチル化される。集合的に、これらの2つのプロセスは、制限修飾系を形成する。DNAをカットするために、制限酵素は、DNA二重らせんの各々の糖-リン酸骨格(すなわち、各々の鎖)を通して2つの切開部を作製する。
【0010】
一部の細胞は、AおよびT1などの非特異的RNアーゼの豊富な量を分泌する。RNアーゼは、極めて一般的であることから、保護された環境に存在しないいかなるRNAもその寿命は非常に短い。二本鎖DNAの非常に特異的な配列を切断する制限酵素と同様に、一本鎖RNAの特異的配列を認識して切断する多様なエンドリボヌクレアーゼが、最近分類されている。
【0011】
ヌクレアーゼ反応速度論は非線形であることから、ヌクレアーゼ濃度を定量することは難しい。ヌクレアーゼ活性は経時的に低下し、非消化プローブからのバックグラウンドシグナルによってシグナルがマスクされる。加えて、曲線の誤差が定量を難しくする。したがって、標的分子の正確な定量を可能にする超高感度の分子検出技術が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】Basu, A.S. (2017b). Digital Assays Part II: Digital Protein and Cell Assays. SLAS Technol 22, 387-405
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
ある特定の実施形態では、本発明は、検量線を使用することなく、ヌクレアーゼ濃度を定量する手段を提供する。この方法の利点としては、単一のヌクレアーゼ分子の感度;連続的ではないバイナリ出力;より高濃度の消化された基質;シグナルの拡散を防止するビーズ;および検量線を生成する必要がないことが挙げられる。
【0014】
(a)マグネシウムを欠如する、および/または二価カチオンキレート剤を含む水溶液と、(b)(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、(ii)オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および(iii)オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャーを含む基質プローブとを含むピコ滴剤を含む検出組成物。
【0015】
ある特定の実施形態では、本発明は、試料中に存在する少なくとも1つの個々のヌクレアーゼ分子を検出する方法であって、(a)水性反応混合物を形成するために、少なくとも1つのヌクレアーゼ分子を含有することが疑われる水性試料に、少なくとも1つの検出組成物を接触させるステップであって、検出組成物が、水溶液と、磁気マイクロビーズに作動可能に連結した基質プローブとを含むピコ滴剤を含み、基質プローブが(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、(ii)オリゴヌクレオチドの酵素的切断時にマイクロビーズへのフルオロフォアの持続的連結をもたらす構成で、オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および(iii)オリゴヌクレオチドの酵素的切断時にマイクロビーズからのその放出をもたらす構成で、オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャーを含む、ステップと、(b)エマルジョン中でピコリットルスケールの液滴を形成するために、水性混合物を油中で乳化させてるステップと、(c)ヌクレアーゼが存在すればマイクロビーズに連結した基質プローブを消化するように、エマルジョン中でピコリットルスケールの液滴をインキュベートするステップと、(d)マイクロビーズを回収するステップと、(e)マイクロビーズから発する蛍光を検出するステップとを含む方法を提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
試料中に存在する少なくとも1つの個々のヌクレアーゼ分子を検出する方法であって、
(a)水性反応混合物を形成するために、少なくとも1つのヌクレアーゼ分子を含有することが疑われる水性試料に、少なくとも1つの検出組成物を接触させるステップであって、前記検出組成物が、水溶液と、磁気マイクロビーズに作動可能に連結した基質プローブとを含むピコ液滴を含み、前記基質プローブが、
(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、
(ii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および
(iii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャー
を含む、ステップと、
(b)エマルジョン中でピコリットルスケールの液滴を形成するために、前記水性混合物を油中で乳化させるステップと、
(c)前記ヌクレアーゼが存在すれば前記マイクロビーズに連結した前記基質プローブを消化するように、前記エマルジョン中で前記ピコリットルスケールの液滴をインキュベートするステップと、
(d)前記マイクロビーズを回収するステップと、
(e)前記マイクロビーズから発する蛍光を検出するステップと
を含む方法。
(項目2)
(f)前記マイクロビーズの蛍光をフローサイトメトリーによって定量するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
(f)前記マイクロビーズの蛍光を顕微鏡によって定量するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記試料が、血液、血清、血漿、便、皮膚抽出物、汗、尿、滑液、腹水、脳脊髄液、硝子体液、肺洗浄液、鼻抽出物、またはこれらのいずれかに由来する材料(例えば、それらから精製された1つもしくは複数のヌクレアーゼ分子)である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記試料を十分に希釈して、ヌクレアーゼを有する一部のピコ液滴と、ヌクレアーゼを有しない一部の液滴とを生じる、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記油が、鉱物油、ABIL WE09、およびTegasoft DECの混合物である、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記インキュベートするステップが、30秒~10時間である、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記インキュベートするステップが、4~5時間である、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
ステップ(a)において、前記水性試料に、2つの検出組成物を接触させ、各々の検出組成物が異なる蛍光標識を有する、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記反応混合物の体積がナノリットルより小さい、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記オリゴヌクレオチドが、4~15ヌクレオチド長である、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記オリゴヌクレオチドが、4~11ヌクレオチド長である、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の修飾ピリミジンを含む、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記オリゴヌクレオチドが、TTTTTTTTTTT(配列番号1)である、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記ヌクレオチドの1つまたは複数が、化学修飾されている、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記ピリミジンの1つまたは複数が、化学修飾されている、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記ピリミジンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記ピリミジンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
プリンの1つまたは複数が、存在する場合、化学修飾されている、項目1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記プリンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、項目1から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記プリンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、項目1から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記フルオロフォアが、表1に記載のフルオロフォアからなる群から選択される、項目1から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記フルオロフォアが、近赤外線範囲で発出を有する、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記クエンチャーが、表2に記載のクエンチャーからなる群から選択される、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記オリゴヌクレオチドが一本鎖である、項目1から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記オリゴヌクレオチドが、RNAおよびDNAの両方を含む、項目1から13または15から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記オリゴヌクレオチドがDNAを含む、項目1から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記マイクロビーズが、直径約0.5~20μmである、項目1から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記マイクロビーズが、直径約2~10μmである、項目1から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記マイクロビーズが連結部分を含む、項目1から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記連結部分が、ストレプトアビジン分子、クリックケミストリーリンカー、アミノリンカー、またはチオールリンカーである、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記基質プローブが、ビオチン部分を含み、前記基質プローブが、ビオチン-ストレプトアビジン結合を通して前記磁気マイクロビーズに連結される、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記溶液が、0.1~20mMのMgCl
2
および0.1~20mMのCaCl2を含む緩衝剤、0.1~20mMのMgCl
2
、もしくはCaCl
2
、または他の二価カチオンを含む緩衝剤、あるいは二価カチオンを有しないおよび/または二価カチオンのキレート剤(EDTA)を有する緩衝剤である、項目1から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記ピコ液滴が、0.014~2.6ピコリットルである、項目1から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記マイクロビーズが、ピコ液滴あたり平均で1個未満のマイクロビーズを生じる濃度で存在する、項目1から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
(a)マグネシウムを欠如する、および/または二価カチオンキレート剤を含む水溶液と、
(b)(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、
(ii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および
(iii)前記オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャー
を含む基質プローブと
を含むピコ液滴を含む検出組成物。
(項目37)
前記水溶液が、亜鉛、マンガン、および/またはカルシウムを含む、項目36に記載の検出組成物。
(項目38)
前記亜鉛、マンガン、および/またはカルシウムが、独立して100μM~20mMの濃度で存在する、項目37に記載の検出組成物。
(項目39)
前記二価カチオンキレート剤がEDTAである、項目36に記載の検出組成物。
(項目40)
前記EDTAが、20~50mMの濃度で存在する、項目39に記載の検出組成物。
(項目41)
前記オリゴヌクレオチドが、4~15ヌクレオチド長である、項目36から40のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目42)
前記オリゴヌクレオチドが、4~11ヌクレオチド長である、項目36から41のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目43)
前記オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の修飾ピリミジンを含む、項目36から42のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目44)
前記オリゴヌクレオチドが、TTTTTTTTTTT(配列番号1)である、項目36から41のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目45)
前記ヌクレオチドの1つまたは複数が、化学修飾されている、項目36から44のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目46)
前記ピリミジンの1つまたは複数が、化学修飾されている、項目36から45のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目47)
前記ピリミジンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、項目46に記載の検出組成物。
(項目48)
前記ピリミジンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、項目46に記載の検出組成物。
(項目49)
プリンの1つまたは複数が、存在する場合、化学修飾されている、項目36から48のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目50)
前記プリンの1つまたは複数が、2’-O-メチル修飾されている、項目49に記載の検出組成物。
(項目51)
前記プリンの1つまたは複数が、2’-フルオロ修飾されている、項目50に記載の検出組成物。
(項目52)
前記フルオロフォアが、表1に記載のフルオロフォアからなる群から選択される、項目36から51のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目53)
前記フルオロフォアが、近赤外線範囲で発出を有する、項目52に記載の検出組成物。
(項目54)
前記クエンチャーが、表2に記載のクエンチャーからなる群から選択される、項目36から53のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目55)
前記オリゴヌクレオチドが一本鎖である、項目36から54のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目56)
前記オリゴヌクレオチドが、RNAおよびDNAの両方を含む、項目36から43または45から55のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目57)
前記基質プローブが、磁気マイクロビーズに作動可能に連結している、項目36から56のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目58)
前記マイクロビーズが、直径約0.5~20μmである、項目57に記載の検出組成物。
(項目59)
前記マイクロビーズが、直径約2~10μmである、項目57に記載の検出組成物。
(項目60)
前記マイクロビーズが、連結部分を含む、項目57から59のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目61)
前記連結部分が、ストレプトアビジン分子、クリックケミストリーリンカー、アミノリンカー、またはチオールリンカーである、項目60に記載の検出組成物。
(項目62)
前記基質プローブが、ビオチン部分を含み、前記基質プローブが、ビオチン-ストレプトアビジン結合を通して前記磁気マイクロビーズに連結される、項目61に記載の検出組成物。
(項目63)
前記溶液が、0.1~20mMのMgCl
2
および0.1~20mMのCaCl
2
を含む緩衝剤、0.1~20mMのMgCl
2
、もしくはCaCl
2
、または他の二価カチオンを含む緩衝剤である、項目36から62のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目64)
前記ピコ液滴が、0.014~2.6ピコリットルである、項目36から63のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目65)
前記マイクロビーズが、ピコ液滴あたり平均で1個未満のマイクロビーズを生じる濃度で存在する、項目57から64のいずれか一項に記載の検出組成物。
(項目66)
pHが、8.5~10.5を含むその間である、項目36から65のいずれか一項に記載の検出組成物。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、希薄なヌクレアーゼによるプローブ消化の図である。
【0017】
【
図2】
図2は、デジタルヌクレアーゼ検出のためのオリゴヌクレオチドプローブの図である。ビオチンは、ストレプトアビジンビーズへのプローブのカップリングを可能にする。オリゴヌクレオチド部分が消化されると、クエンチャーが拡散し、蛍光ビーズをもたらす。
【0018】
【
図3】
図3は、ストレプトアビジンカップリング磁気ビーズの図である。ある特定のビーズの容量は、ビーズ(MyOneストレプトアビジンC1 Dynabeads(Invitrogen))あたり約350,000個のプローブ分子である。
【0019】
【
図4】
図4は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介してプローブをビーズにカップリングする図である。
【0020】
【
図5】
図5は、オリゴヌクレオチドの消化によって、ビーズからクエンチャーが放出され、それによって蛍光が大きく増加する図である(フルオロフォアはビーズに結合したままである)。
【0021】
【
図6-1】
図6は、油中水エマルジョンを介した反応のコンパートメント化の図である。低濃度のビーズおよびヌクレアーゼは、液滴あたり1個またはそれより少ないビーズ、および液滴あたり1個またはそれより少ないヌクレアーゼ分子をもたらす。
【
図6-2】
図6は、油中水エマルジョンを介した反応のコンパートメント化の図である。低濃度のビーズおよびヌクレアーゼは、液滴あたり1個またはそれより少ないビーズ、および液滴あたり1個またはそれより少ないヌクレアーゼ分子をもたらす。
【0022】
【
図7-1】
図7は、プローブが溶液中に存在する(すなわち、ビーズが存在しない)プローブ-ビーズアプローチの派生型の図である。
【
図7-2】
図7は、プローブが溶液中に存在する(すなわち、ビーズが存在しない)プローブ-ビーズアプローチの派生型の図である。
【0023】
【
図8】
図8は、油中水エマルジョン中の水滴中で孤立させたプローブカップリングストレプトアビジンビーズ(直径1μm、矢印を参照されたい)の図である。
【0024】
【
図9-1】
図9A~9Cは、油中の水性緩衝剤の小さい体積の液滴中の、緩衝剤のみ(
図9A)、マイクロコッカスヌクレアーゼの高濃度のマイクロコッカスヌクレアーゼ(直径6μmの液滴あたりヌクレアーゼ約163分子)(
図9B)、または低濃度のマイクロコッカスヌクレアーゼ(直径6μmの液滴あたりヌクレアーゼ約0.2分子)(
図9C)と共にインキュベートした後の、デジタルヌクレアーゼプローブにビオチン/ストレプトアビジンを介してカップリングしたビーズの蛍光顕微鏡写真である。低濃度のヌクレアーゼと共にインキュベートしたビーズにおける活性化(中実矢印)および非活性化(中抜き矢印)ビーズの存在に注意されたい。
【
図9-2】
図9A~9Cは、油中の水性緩衝剤の小さい体積の液滴中の、緩衝剤のみ(
図9A)、マイクロコッカスヌクレアーゼの高濃度のマイクロコッカスヌクレアーゼ(直径6μmの液滴あたりヌクレアーゼ約163分子)(
図9B)、または低濃度のマイクロコッカスヌクレアーゼ(直径6μmの液滴あたりヌクレアーゼ約0.2分子)(
図9C)と共にインキュベートした後の、デジタルヌクレアーゼプローブにビオチン/ストレプトアビジンを介してカップリングしたビーズの蛍光顕微鏡写真である。低濃度のヌクレアーゼと共にインキュベートしたビーズにおける活性化(中実矢印)および非活性化(中抜き矢印)ビーズの存在に注意されたい。
【0025】
【
図10】
図10は、油中の水性緩衝剤の小さい体積の液滴中の、緩衝剤のみ(左)、高濃度(中央)、または低濃度(右)のマイクロコッカスヌクレアーゼと共にインキュベートした後のデジタルヌクレアーゼプローブにカップリングしたビーズのフローサイトメトリー蛍光測定を示す図である。低濃度ヌクレアーゼ試料(右)に活性化および非活性化ビーズが存在することに注意されたい。単一のビーズを単離するために、前方散乱および側方散乱に基づいて事象のゲートを設定した。
【0026】
【
図11】
図11は、液滴におけるMN分子のポアソン分布モデリングの図である。
【0027】
【
図12】
図12は、ビーズの13.5%が非活性化されたエマルジョンの液滴に対するMNのポアソン分布の図である。ヌクレアーゼの濃度を直接計算することができる(すなわち、滴定したヌクレアーゼの検量線を必要としない)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
現在、標的分子の正確な定量を可能にする超高感度の分子検出技術が必要である。例として、生物学的液体中の微生物病原体の分子標的の検出および定量を使用して、患者が特定の微生物による感染症を有するか否かを決定することができる。定量は、存在する病原体レベルを決定するために必要であり、これはバックグラウンドを臨床的に有意なレベルと識別することができる重要なデータピースである。食品中の病原体の検出(例えば、SalmonellaおよびE.coliの検出)およびバイオテロリズムに関して類似の応用が存在する。超高感度検出法は、本質的に非線形である酵素的増幅ステップに主に依存し、したがって的確な解釈のためには連続希釈した標準物質の同時並行評価(検量線)を必要とする。この追加の負担は、検量線がなくとも標的DNA配列を正確に定量することができるデジタル液滴またはエマルジョンPCRに基づく方法によって回避される。本発明は、デジタルPCRの正確な検量線非依存性を利用するが、標的分子の代替のカテゴリーであるヌクレアーゼを検出することが可能である。ヌクレアーゼは、DNA配列より実質的に豊富に存在することから、本発明は、現在最も感度のよいプラットフォーム技術であるPCRより標的微生物病原体に関してより大きい感度を生じる。さらに、本発明は、複雑な反応混合物および繊細な温度サイクリング機器を必要とするデジタルPCRほど実質的に複雑ではなく、これらはいずれもヌクレアーゼ検出にとって必要ではない。全体的に見て、デジタルヌクレアーゼ検出アプローチは、多様な貴重な応用の優れた代替となる潜在能力を有する。
【0029】
磁気ビーズに取り付けられた消光した蛍光プローブを含むフォーマットでの方法の実現可能性を証明するデータを提供する実験が実施されている。ビーズを、反応緩衝剤中でヌクレアーゼを含む水相に懸濁させる。この溶液を油中で乳化させ、何千もの非常に小さい反応を作り出す。反応の進行後、ビーズを回収し、その蛍光をフローサイトメトリーによって測定する。2つの別個のビーズ集団、すなわち蛍光が上昇したビーズおよび基底レベルの蛍光を有するビーズを認めることができる。
【0030】
予想される応用分野としては、感染性疾患の診断、食品における病原体の検出、およびバイオテロリズムの検出が挙げられる。本発明は、2つの重要な問題を克服する。本発明は、単一の標的ヌクレアーゼ分子を検出する手段を提供するが、以前の方法では、数百個より少ない数を検出することができない。本発明はまた、試料中に存在する標的ヌクレアーゼ分子の数を定量する単純な手段も提供し、このアプローチは、検量線を必要としない。
【0031】
本発明のアプローチを使用して、細胞あたりに発現されるヌクレアーゼ分子の数を正確に定量することもできる。例として、ヌクレアーゼを、プラスミドまたは細胞における他のベクターから発現させて、細胞数あたり発現されるヌクレアーゼの数を正確に定量することができる。本発明の感度は、これを単細胞レベルで可能にする(すなわち、マイクロ流体単離などの確立された方法によって単離された単細胞上でのタンパク質発現の単細胞分析)。言い換えれば、ヌクレアーゼは発現レポーターとして使用される。タンパク質発現を測定するために一般的に使用される半定量的方法(例えば、ウエスタンブロット、ELISA)とは対照的に、本発明のアプローチは定量的であり、別個のプローブを別個の酵素に適合させることによって容易に多重化することができる。例えば、制限酵素認識部位をプローブ(別個のフルオロフォアを有する)に組み入れて、対応する酵素からなるレポーターを使用して、別個のプロモーターによって駆動される発現を報告する。
【0032】
ある特定の実施形態では、本発明は、新規オリゴヌクレオチドプローブおよび組成物をも含むプロセスである。ある特定の実施形態では、本発明は、ヌクレアーゼ反応が、油中水エマルジョンに存在することにより互いに単離しているおよそ10ピコリットルまたはそれ未満の何千もの同時並行の水相反応に分割されるプロセスを含む。基質は、消化時に活性化されて蛍光の増加を生じる消光した蛍光オリゴヌクレオチドプローブである。反応ステップの完了後、個々の反応の蛍光を測定する。ヌクレアーゼが非常に希薄な濃度で存在する場合、各々の反応は、0、1、またはまれな場合では1個より多くのヌクレアーゼ分子を含有するであろう。感度が十分に高ければ、単一のヌクレアーゼ分子は、上昇した蛍光を産生する。これによって、得られた反応を1つまたは複数のヌクレアーゼ分子を有する反応と、有しない反応とに分割することができる(すなわち、デジタルエンドポイント)。ヌクレアーゼ分子のランダム分布を仮定すると、ヌクレアーゼは、反応においてポアソン分布を示すであろう。ポアソンモデルをデジタル反応結果に適合させることを使用すると、このように検量線を必要とすることなく、投入量として使用された試料中のヌクレアーゼ分子数を決定することができる。
【0033】
ある特定の実施形態では、本発明は、その多くのコピーがストレプトアビジンカップリング磁気ビーズ上に固定されている、消光した蛍光オリゴヌクレオチド基質を利用する。オリゴ配列および組成物は以下の通りである。ビオチン-Cy5-TTTTTTTTTTT-ZEN-RQ、式中、ビオチンは、ストレプトアビジン結合部分であり、Cy5はフルオロフォアであり、Tはデオキシチミジン(DNA)ヌクレオチドであり、ZENは、IDT Zenクエンチャーであり、およびRQは、IDT Iowa Black RQクエンチャーである。ある特定の実施形態では、オリゴ配列および組成物は、以下の通りである:Cy5-TTTTTTTTTTT-ZEN-RQ-ビオチン。オリゴカップリングビーズを、ポリTオリゴを効率よく消化することができるS.aureusの分泌型ヌクレアーゼであるマイクロコッカスヌクレアーゼ(MN)と共にインキュベートすると、ビーズは、蛍光プレートリーダーおよび蛍光顕微鏡によって測定することができる蛍光の強い増加を示す。オリゴカップリングビーズを、反応緩衝剤中の様々な濃度のマイクロコッカスヌクレアーゼと組み合わせて、油中で反応を直ちに乳化させると、顕微鏡で見ることができる何千もの水性反応液滴を産生した。
【0034】
ほとんどのエマルジョンの水性液滴は、顕微鏡によって確認することができるように、平均でビーズを含有しないかまたは1つのみのビーズを含有する。これらのエマルジョンは安定であり、これらを室温および37℃で異なる期間インキュベートした。37℃で数時間後、反応あたりおよそ163個のMN分子が存在する(ランダム分布を仮定する)反応から回収したビーズは、均一に上昇した蛍光を示した。漸減濃度は均一に上昇した蛍光を産生したが、より低い蛍光レベルであった(すなわち、ビーズは、非消化ビーズより明るいが、完全に消化されたビーズほど明るくはなかった)。最後に、平均で1つのみのMN分子を有するまたはMN分子を有しない反応を生じる希薄なMN濃度と共にオリゴカップリングビーズをインキュベートすると、一部が上昇した蛍光を示し、一部が基底レベルを示す2つの別個の蛍光ビーズ集団を産生した。これは、蛍光顕微鏡画像によって、およびフローサイトメトリー(2つの別個のピークが明白である)によって認めることができる。この最後の試料についての結果は、MNの1つの分子が、このフォーマットで検出可能な蛍光を産生することができること、およびフォーマットが反応集団の所望のデジタル読み出しをもたらすことを示している。
【0035】
ある特定の実施形態では、本発明は、一方の末端で少なくとも1つのフルオロフォアが隣接し、他方の末端で少なくとも1つの蛍光クエンチャーが隣接する化学修飾DNAまたはRNAで構成される短いオリゴヌクレオチドプローブ(基質)を提供する。プローブがヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)によって切断されると、フルオロフォアはクエンチャーから拡散し、蛍光を示す。このように、プローブを使用して、生体試料、例えば血液、血清、血漿、便、汗、皮膚抽出物、細胞培養物、および食品中の、およびin vivoで、ならびに環境試料、例えば水中のヌクレアーゼの存在を検出することができる。
【0036】
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、蛍光レポーター基およびクエンチャー基を、レポーター基からの蛍光シグナルがクエンチャー基によって抑制されるように物理的に近位に含む。プローブをヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)酵素によって切断すると、クエンチャー基からのレポーター基(フルオロフォア)の鎖切断および物理的分離が起こる。レポーターとクエンチャーとが分離すると、消光を除去し、それによってレポーター基からの蛍光発出が増加する。クエンチャーが、いわゆる「ダーククエンチャー」である場合、得られた蛍光シグナルは、直接の目視検査(顕微鏡、および発出された光が可視光波長を含む場合には、適した波長の照射源を使用して)によって検出することができる。本発明に記載の基質組成物の切断もまた、蛍光光度法によって検出することができる。
【0037】
一実施形態では、合成基質は、リボヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドである。合成基質はまた、RNアーゼ切断可能な、例えばRNA残基、またはRNアーゼ抵抗性修飾RNA残基を含むキメラオリゴヌクレオチドであり得る。ある特定の実施形態では、基質組成物は、切断が、リボヌクレアーゼ特異的事象であり、厳密にデオキシリボヌクレアーゼである酵素による切断が起こらない組成物である。
【0038】
一実施形態では、合成基質は、リボヌクレオチド残基と、修飾リボヌクレオチド残基とを含むキメラオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、合成基質は、リボヌクレオチド残基と、2’-O-メチルリボヌクレオチド残基とを含むキメラオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、合成基質は、2’-O-メチルリボヌクレオチド残基と、4つのリボヌクレオチド残基、アデノシン、シトシン、グアノシン、およびウリジンの各々の1つまたは複数とを含むキメラオリゴヌクレオチドである。単一の基質に4つの別個のリボヌクレオチド塩基を含めることによって、単一の基質オリゴヌクレオチドによるエンドヌクレアーゼ酵素活性のスペクトルの増加を検出することが可能となる。
【0039】
一実施形態では、合成基質は、デオキシリボヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドである。合成基質はまた、DNアーゼ切断可能な、例えばDNA残基、またはRNアーゼ抵抗性修飾RNA残基を含むキメラオリゴヌクレオチドであり得る。基質組成物は、切断がデオキシリボヌクレアーゼ特異的事象であり、厳密にリボヌクレアーゼである酵素による切断が起こらない組成物である。
【0040】
一実施形態では、合成基質は、デオキシリボヌクレオチド残基と、修飾リボヌクレオチド残基とを含むキメラオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、合成基質は、デオキシリボヌクレオチド残基と、2’-O-メチルリボヌクレオチド残基とを含むキメラオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、合成基質は、2’-O-メチルリボヌクレオチド残基と、4つのデオキシリボヌクレオチド残基、デオキシアデニン、デオキシシトシン、デオキシグアノシン、およびデオキシチミジンの各々の1つまたは複数とを含むキメラオリゴヌクレオチドである。単一の基質に4つの別個のデオキシリボヌクレオチド塩基を含めることによって、単一の基質オリゴヌクレオチドによるデオキシリボヌクレアーゼ酵素活性のスペクトルの増加を検出することが可能となる。
【0041】
目視による検出法を可能にするために、消光基はそれ自身、蛍光発出を行うことが可能ではない「ダーククエンチャー」である。「ダーククエンチャー」の使用により、そうでなければレポーターフルオロフォアからのエネルギー移動の結果として起こるインタクト基質のバックグラウンド蛍光が除去される。一実施形態では、蛍光クエンチャーは、ダブシル(4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)である。一実施形態では、蛍光クエンチャーは、QSY(商標)-7カルボン酸、スクシンイミジルエステル(N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニル-4-((5-t-ブトキシカルボニルアミノペンチル)アミノカルボニル)ピペリジニルスルホンローダミン;Molecular Probes,Eugene,Oreg.のジアリールローダミン誘導体)からなる。そのスペクトル特性が、選択したクエンチャーと共に使用するために都合がよい限り、任意の適したフルオロフォアを、レポーターとして使用することができる。フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy-色素、テキサスレッド、Bodipy色素、およびAlexa色素を含むがこれらに限定されない多様なフルオロフォアを、レポーターとして使用することができる。
【0042】
蛍光消光基に関して、ダーククエンチャーである任意の化合物を、本発明の方法および組成物において使用することができる。複数の化合物が蛍光の消光を行うことが可能であるが、その多くはそれ自身蛍光性ではない(すなわち、ダーククエンチャーである)。一実施形態では、蛍光消光基は、窒素置換キサンテン化合物、置換4-(フェニルジアゼニル)フェニルアミン化合物、または置換4-(フェニルジアゼニル)ナフチルアミン化合物である。本実施形態のある特定の具体的な様式では、蛍光消光基は、4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニル-4-((5-t-ブトキシカルボニルアミノペンチル)アミノカルボニル)ピペリジニルスルホンローダミン(Molecular Probes,Eugene,Oreg.によってQSY-7(商標)として販売)、4’,5’-ジニトロフルオレセイン、ピペコリン酸アミド(Molecular Probes,Eugene、Oreg.によってQSY-33(商標)として販売)、4-[4-ニトロフェニルジアジニル]フェニルアミン、または4-[4-ニトロフェニルジアジニル]ナフチルアミン(Epoch Biosciences,Bothell,Wash.から販売)である。本実施形態の他の具体的な様式では、蛍光消光基は、Black-Hole Quenchers(商標)1、2、または3(Biosearch Technologies,Inc.)である。
【0043】
ある特定の実施形態では、蛍光レポーター基は、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy色素、テキサスレッド、Bodipy色素、またはAlexa色素である。
【0044】
前述の方法および組成物に関して、蛍光レポーター基または蛍光消光基は、基質の5’-末端ヌクレオチドに取り付けることができるが、必ずしもその必要はない。
【0045】
本発明の方法における基質として使用するための核酸を含む本発明の核酸は、ある特定の実施形態では、一本鎖RNA分子である。他の実施形態では、本発明の核酸は、ヌクレアーゼ抵抗性修飾リボヌクレオチド残基を含むキメラオリゴヌクレオチドである。例示的なRNアーゼ抵抗性修飾リボヌクレオチド残基には、2’-O-メチルリボヌクレオチド、2’-メトキシエトキシリボヌクレオチド、2’-O-アリルリボヌクレオチド、2’-O-ペンチルリボヌクレオチド、2’-O-ブチルリボヌクレオチド、2’-フルオロリボヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、アンロックド核酸(UNA)ヌクレオチド、分岐核酸(BNA)ヌクレオチド、および2’-フルオロ-β-D-アラビノヌクレオチド(FANA)が挙げられる。本実施形態の一様式では、修飾リボヌクレオチド残基は、切断ドメインの5’-末端または3’-末端に存在する。さらに他の実施形態では、本発明の核酸は、デオキシリボヌクレアーゼ抵抗性修飾デオキシリボヌクレオチド残基を含むキメラオリゴヌクレオチドである。本実施形態の具体的な様式では、デオキシリボヌクレアーゼ抵抗性修飾ヌクレオチド残基は、ホスホトリエステルデオキシリボヌクレオチド、メチルホスホネートデオキシリボヌクレオチド、ホスホロアミデートデオキシリボヌクレオチド、ホスホロチオエートデオキシリボヌクレオチド、ホスホロジチオエートデオキシリボヌクレオチド、またはボラノホスフェートデオキシリボヌクレオチド、2’-O-メチルリボヌクレオチド、2’-メトキシエトキシリボヌクレオチド、2’-O-アリルリボヌクレオチド、2’-O-ペンチルリボヌクレオチド、2’-O-ブチルリボヌクレオチド、2’-フルオロリボヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、アンロックド核酸(UNA)ヌクレオチド、分岐核酸(BNA)ヌクレオチド、または2’-フルオロ-β-D-アラビノヌクレオチド(FANA)である。本発明のさらに他の実施形態では、本発明の核酸は、リボヌクレアーゼ切断可能な修飾リボヌクレオチド残基を含む。
【0046】
本発明の方法において基質として使用するための核酸を含む本発明の核酸は、少なくとも2ヌクレオチド長、例えば2~75ヌクレオチド長である。ある特定の具体的な実施形態では、本発明の核酸は、5~20、5~15、5~10、7~20、7~15、または7~10ヌクレオチド長である。
【0047】
ある特定の実施形態では、本発明の核酸の蛍光消光基は、切断ドメインに対して5’であり、蛍光レポーター基は、切断ドメインに対して3’である。ある具体的な実施形態では、蛍光消光基は、基質の5’末端に存在する。別の具体的な実施形態では、蛍光レポーター基は、基質の3’末端に存在する。
【0048】
ある特定の実施形態では、本発明の核酸の蛍光レポーター基は、切断ドメインに対して5’であり、蛍光消光基は、切断ドメインに対して3’である。具体的な実施形態では、蛍光レポーター基は、基質の5’末端に存在する。別の具体的な実施形態では、蛍光消光基は、基質の3’末端に存在する。
【0049】
本発明の一実施形態では、式:5’-N1-n-N2-3’を含む本発明の核酸、式中、(a)「N1」は0~5個の2’修飾リボヌクレオチド残基を表し;(b)「N2」は、0~5個の2’修飾リボヌクレオチド残基を表し;および(c)「n」は、1~10個の、例えば4~10個の非修飾リボヌクレオチド残基を表す。ある特定の具体的な実施形態では、「N1」は、1~5個の2’修飾リボヌクレオチド残基を表す。本実施形態のある特定の様式では、蛍光消光基または蛍光レポーター基は、N1の5’末端の2’修飾リボヌクレオチド残基に取り付けられる。
【0050】
式:5’-N1-n-N2-3’を有する核酸を含む本発明の核酸において、蛍光消光基は、切断ドメインに対して5’であり得て、蛍光レポーター基は、切断ドメインに対して3’である;あるいは蛍光レポーター基は、切断ドメインに対して5’であり、蛍光消光基は、切断ドメインに対して3’である。
「プローブ」または「基質」オリゴヌクレオチド
【0051】
本発明の組成物は、ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)酵素の基質である合成オリゴヌクレオチド基質を含む。本発明の基質オリゴヌクレオチドは、1)その一部または全てが切れやすい連結として機能する1つまたは複数のヌクレアーゼ切断可能塩基、例えばRNA塩基、2)蛍光レポーター基および蛍光クエンチャー基(光学的FRETに基づく蛍光消光(および非消光)検出法を可能にする組合せおよび近位で)を含み、および3)必要に応じて、RNアーゼ抵抗性修飾RNA塩基、ヌクレアーゼ抵抗性DNA塩基、または非修飾DNA塩基を含有していてもよい。内部RNA結合が切れやすい連結として機能する合成オリゴヌクレオチドRNA-DNAキメラは、米国特許第6,773,885号および第7,803,536号に記載されている。蛍光レポーター基および蛍光クエンチャー基は、少なくとも1つのRNアーゼ切断可能残基、例えばRNA塩基によって分離されている。そのような残基は、エンドヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)の切断ドメインとしての役目を果たす。
【0052】
ある特定の実施形態では、基質オリゴヌクレオチドプローブは、一本鎖または二本鎖オリゴリボヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、修飾オリゴリボヌクレオチドで構成される。用語「修飾された」は、共有結合により修飾された塩基および/または糖を有するヌクレオチドを包含する。例えば、修飾ヌクレオチドは、3’位でのヒドロキシル基以外のおよび5’位でのリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合により取り付けられている糖を有するヌクレオチドを含む。このように、修飾ヌクレオチドはまた、2’-O-メチル-、2-O-アルキル、2-O-アリル、2’-S-アルキル、2’-S-アリル、2’-フルオロ-、2’-ハロ、または2-アジド-リボースなどの2’置換糖、炭素環糖アナログa-アノマー糖;エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、およびセドヘプツロースを含み得る。ある特定の実施形態では、基質は、これらに限定されないが、2’-O-メチルRNA、2’-メトキシエトキシRNA、2’-O-アリルRNA、2’-O-ペンチルRNA、および2’-O-ブチルRNAを含む。ある特定の実施形態では、基質は、一般構造5’r-NnN-q3’を有するRNA-2’-O-メチルRNAオリゴヌクレオチドであり、式中、「N」は、約1~5個の2’-修飾リボヌクレオチド残基を表し、「n」は、1~10個の非修飾リボヌクレオチド残基を表し、「r」は、蛍光レポーター基を表し、および「q」は、蛍光クエンチャー基を表す。レポーターおよびクエンチャーの5’位および3’位は、互換可能である。一実施形態では、蛍光レポーター基および蛍光クエンチャー基は、分子の反対側またはその近傍に位置する。いずれの基が5’末端および3’末端またはその近傍にあるかは重要ではない。レポーターおよびクエンチャー基が、末端修飾である必要はないが、これらの基が末端に位置すると、基質の製造が単純となる。蛍光レポーター基および蛍光クエンチャー基はまた、RNAの切れやすい連結がレポーターとクエンチャーとの間に存在する限り、内部に位置してもよい。
【0053】
修飾ヌクレオチドは、当技術分野で公知であり、例えばおよび限定ではないが、アルキル化プリンおよび/もしくはピリミジン、アシル化プリンおよび/もしくはピリミジン、または他の複素環を含む。これらのクラスのピリミジンおよびプリンは当技術分野で公知であり、シュードイソシトシン;N4、N4-エタノシトシン;8-ヒドロキシ-N6-メチルアデニン;4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル;5-フルオロウラシル;5-ブロモウラシル;5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル;5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル;ジヒドロウラシル;イノシン;N6-イソペンチル-アデニン;1-メチルアデニン;1-メチルシュードウラシル;1-メチルグアニン;2,2-ジメチルグアニン;2-メチルアデニン;2-メチルグアニン;3-メチルシトシン;5-メチルシトシン;N6-メチルアデニン;7-メチルグアニン;5-メチルアミノメチルウラシル;5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル;β-D-マンノシルケオシン;5-メトキシカルボニルメチルウラシル;5-メトキシウラシル;2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン;ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル;シュード(psueo)ウラシル;2-チオシトシン;5-メチル-2チオウラシル、2-チオウラシル;4-チオウラシル;5-メチルウラシル;N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル;ウラシル5-オキシ酢酸;ケオシン;2-チオシトシン;5-プロピルウラシル;5-プロピルシトシン;5-エチルウラシル;5-エチルシトシン;5-ブチルウラシル;5-ペンチルウラシル;5-ペンチルシトシン;および2,6,-ジアミノプリン;メチルシュード(psuedo)ウラシル;1-メチルグアニン;1-メチルシトシンを含む。
【0054】
本発明のオリゴヌクレオチドは、従来のホスホジエステル結合ヌクレオチドを使用して合成され、当技術分野で公知の標準的な固相または液相合成技術を使用して合成される。ヌクレオチド間の連結は、代替の連結分子を使用してもよい。例えば、式P(O)S、(チオエート);P(S)S、(ジチオエート);P(O)NR’2;P(O)R’;P(O)OR6;CO;またはCONR’2の連結基、式中、Rは、H(または塩)またはアルキル(1~12C)であり、R6は、-O-または-S-を通して隣接するヌクレオチドに連接するアルキル(1~9C)である。
【0055】
本発明のある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ピリミジンの追加の修飾、例えば2’O-メチル修飾を有する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの全てが、2’O-メチル修飾されている。あるいは、ピリミジンまたは全てのヌクレオチドが、2’フルオロ(ピリミジンおよびプリンの両方)によって修飾されてもよい。
【0056】
オリゴヌクレオチドは短く、例えば2~30ヌクレオチド長(またはその間の任意の値)の間である。ある特定の実施形態では、そのオリゴヌクレオチドは、8~15ヌクレオチド長の間である。ある特定の実施形態では、そのオリゴヌクレオチドは、11~13ヌクレオチド長の間である。一般的に、より短い配列は、より長いプローブより良好なシグナル対ノイズ比を与え、したがってより感度が高い。しかし、ある特定の実施形態では、より短いプローブは、ヌクレアーゼにとって最適な基質ではなく、長さに関してある程度の経験的な最適化が必要である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、0~100%プリン(またはその間の任意の値)を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、100%ピリミジンを含む。
【0057】
オリゴヌクレオチドの具体的な配列は重要ではないことに注意すべきである。プリンおよびピリミジンのある特定の組合せは、細菌エンドヌクレアーゼに対して感受性であるが、哺乳動物ヌクレアーゼに対して抵抗性である。エンドヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する酵素であり、これに対しエキソヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖の末端でホスホジエステル結合を切断する。多くの細菌ヌクレアーゼは、典型的に認識部位および切断パターンを必要とする制限酵素のように配列特異的ではない。いくつかのエンドヌクレアーゼは、一本鎖核酸分子を切断するが、他のエンドヌクレアーゼは二本鎖核酸分子を切断する。ステムループを形成するオリゴは、それによって二本鎖特異的ヌクレアーゼの基質としての役目を果たすことができる二本鎖領域を提供する。例として、フルオロフォアが5’末端に存在し、クエンチャーが3’末端に存在する以下のプローブは、SnaBI制限酵素認識部位を有する二本鎖領域を形成する。二本鎖領域はまた、E.coliのエンドヌクレアーゼIなどの配列非選択的ヌクレアーゼの基質としての役目も果たすことができる。
/5ビオチンTEG//iCy3/ACTACGTAGTCACAACTACGTAGT/ZEN//3IAbRQSp/
【0058】
このプローブ上のCy3フルオロフォアを、実施例のポリTプローブにおいて使用されるCy5フルオロフォアと区別することができることに留意されたい。このように、これらの2つのプローブを組み合わせて使用して、多重フォーマットにおいて別個のヌクレアーゼを検出することができる。
【0059】
自己ハイブリダイズするプローブの構成もまた使用して、二本鎖核酸基質を消化するヌクレアーゼを検出することができる。例として、以下のプローブは、自身の他のコピーとハイブリダイズして二重鎖を形成し、これは消光した蛍光二本鎖DNAプローブを生じる。
5’-/56-FAM//CTACGTAG//ZEN/3IAbRQSp/-3’
【0060】
このプローブは、SnaBI制限酵素の基質を形成し、E.coliの配列非選択的エンドヌクレアーゼIによって効率的に活性化される(Flenker, K.S., Burghardt, E.L., Dutta, N., Burns, W.J., Grover, J.M., Kenkel, E.J., Weaver, T.M., Mills, J., Kim, H., Huang, L., et al. (2017). Rapid Detection of Urinary Tract Infections via Bacterial Nuclease Activity. Mol Ther 25, 1353-1362)。
フルオロフォア
【0061】
ある特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、「蛍光タグ」とも呼ばれ得る1つまたは複数のフルオロフォアに作動可能に連結する。フルオロフォアは、特徴的な波長で光を吸収し(すなわち、励起し)、よりエネルギーが低い第2の波長で光を放射する(すなわち、蛍光を発する)分子である。基質組成物に組み入れることができる蛍光レポーター基としては、これらに限定されないが、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、テトラメチルローダミン、ローダミン、シアニン誘導体色素、テキサスレッド、Bodipy、およびAlexa色素が挙げられる。これらの各々の特徴的な吸収および発出波長は、当業者に周知である。
【0062】
蛍光クエンチャーは、励起したフルオロフォア(すなわち、レポーター)からエネルギーを吸収または放出し、そのフルオロフォアの特徴的な波長で蛍光を発することなく、フルオロフォアをより低いエネルギー状態に戻す分子である。消光が起こるためには、レポーターとクエンチャーは、物理的近位に存在しなければならない。レポーターとクエンチャーが分離されている場合、レポーターによって吸収されたエネルギーは、クエンチャーに移動せず、その代わりに、レポーターに特徴的な波長で光として放射される。消光の除去後でのレポーター基からの蛍光シグナルの出現は、検出可能な事象であり、本発明のアッセイにおいて「陽性シグナル」を構成し、試料中のヌクレアーゼの存在を示している。
【0063】
蛍光クエンチャー基は、いかなる蛍光シグナルも放射しない分子(「ダーククエンチャー」)およびそれ自身がフルオロフォアである分子(「蛍光クエンチャー」)である分子を含む。「蛍光クエンチャー」を採用する基質組成物は、インタクトの状態および切断された状態の両方で光を放射する。インタクトの状態では、レポーターによって捕獲されたエネルギーは、FRETを介してクエンチャーに移動し、蛍光クエンチャーに特徴的な波長で光として放射される。切断された状態では、レポーターによって捕獲されたエネルギーは、レポーターに特徴的な波長で光として放射される。蛍光クエンチャーを採用する組成物をFRETアッセイに使用する場合、蛍光分光計を使用して検出を行わなければならない。ある特定の実施形態では、「ダーククエンチャー」を採用する基質組成物は、切断された状態に限って光を放射し、シグナル検出を目視によって実施することが可能である(検出は、この場合も蛍光分光計を使用して行わなければならない)。目視による検出は、迅速、簡便であり、いかなる専門の機器の利用も必要としない。RNアーゼ検出アッセイは、利用可能な選択肢として目視による検出法を有することが望ましい。「ダーククエンチャー」を採用する基質組成物は、目視による検出のエンドヌクレアーゼアッセイを可能にするが、「蛍光クエンチャー」を採用する基質組成物は、目視による検出アッセイとは相容れない。
【0064】
本発明の一実施形態では、基質は、それ自身蛍光シグナルを放射しない、すなわち「ダーククエンチャー」である蛍光クエンチャー基からなる。本発明の組成物において有用な「ダーククエンチャー」としては、これらに限定されないが、ダブシル、QSY(商標)-7、QSY-33(4’,5-ジニトロフルオレセイン、ピペコリン酸アミド)、ならびにBlack-Hole Quenchers(商標)1、2、および3(Biosearch Technologies,Novato,Calif.)が挙げられる。このように、アッセイ結果(すなわち、切断した基質からのシグナル)を、光学的に検出することができる。必要に応じて、蛍光シグナルを、蛍光分光計、または定量的もしくは定性的に蛍光の発出を検出することが可能な他の任意のデバイスを使用して検出することができ、例として蛍光は、フローサイトメーター、蛍光顕微鏡、またはスキャナによって検出することができる。
【0065】
ある特定の実施形態では、フルオロフォアは、表1に記載のフルオロフォアの1つまたは複数である。
【表1-1】
【表1-2】
【0066】
ある特定のin vivo実施形態では、フルオロフォアは、近赤外線範囲、例えば650~900nm範囲で発する(Weissleder et al., "Shedding light onto live molecular targets," Nature Medicine, 9:123-128 (2003))。
蛍光クエンチャー基
【0067】
ある特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の蛍光クエンチャー基または「クエンチャー」に作動可能に連結する。
【0068】
ある特定の実施形態では、クエンチャーは、表2に記載のクエンチャーの1つまたは複数である。
【表2-1】
【表2-2】
【0069】
さらなるクエンチャーは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,439,341号に記載されている。
リンカー
【0070】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リンカーによってフルオロフォアおよび/またはクエンチャーに連結される。
【0071】
ある特定の実施形態では、脂肪族またはエチレングリコールリンカー(当業者に周知のリンカー)を使用する。ある特定の実施形態では、リンカーは、ホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、リンカーは、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート結合である。ある特定の実施形態では、これらの結合をより安定にして、それによってヌクレアーゼに対する分解を制限するために、色素などの修飾基とクエンチャーおよび塩基との間に他の修飾結合を使用する。
【0072】
ある特定の実施形態では、リンカーは結合対である。ある特定の実施形態では、「結合対」は、例えば、対が互いに特異的に結合する特性を有する、イオン結合、共有結合、疎水性結合、ファンデルワールス結合、および水素結合を含む多様な分子力のいずれかを通して互いに相互作用する2つの分子を指す。特異的に結合するとは、結合対のメンバーが、それらが別の分子には結合しない条件で、互いに対する結合を示すことを意味する。結合対の例としては、ビオチン-アビジン、ホルモン-受容体、受容体-リガンド、酵素-基質、IgG-プロテインA、抗原-抗体等がある。ある特定の実施形態では、結合対の第1のメンバーは、アビジンまたはストレプトアビジンを含み、結合対の第2のメンバーは、ビオチンを含む。
【0073】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、共有結合によってフルオロフォアおよび/またはクエンチャーに連結される。
【0074】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブ、すなわちフルオロフォアおよびクエンチャーに作動可能に連結したオリゴヌクレオチドはまた、固体基質に作動可能に連結する。例えば、オリゴヌクレオチドプローブを磁気ビーズに連結してもよい。
【0075】
フルオロフォアおよびクエンチャーを、オリゴヌクレオチドに連結するために使用することができる化学は、当技術分野で公知であり、例えばジスルフィド結合、アミノ結合、共有結合等である。ある特定の実施形態では、当業者に周知である脂肪族またはエチレングリコールリンカーを使用することができる。ある特定の実施形態では、色素などの修飾基とクエンチャーとの間で、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、および/または修飾された他の結合を使用する。これらの結合は、プローブに安定性をもたらし、それによって核酸塩基に対する分解を制限する。さらなる結合および修飾は、ワールドワイドウェブ上でtrilinkbiotech.com/products/oligo/oligo_modifications.aspにおいて見出され得る。
基質合成
【0076】
本発明の核酸基質の合成は、固相ホスホロアミダイト化学(米国特許第6,773,885号)を使用して、自動シンセサイザーによって実施することができるが、他の核酸合成法(例えば、H-ホスホネート法)を使用してもよい。核酸の化学合成は、修飾された連結を有する核酸、キメラ組成物、および核酸の全長を通して選択された場所で取り付けられている非標準塩基または修飾基の様々な形態の産生を可能にする。
【0077】
ある特定の(ertain)実施形態では、支持体構造をクエンチャーに独立に結合させて、同様に、ヌクレオチド配列-フルオロフォアに個別に結合させる。ヌクレオチド配列が切断されると、フルオロフォアが放出され、クエンチャーに対するその近位性が長くなり、消光の喪失を引き起こす。同様に、ある特定の実施形態では、フルオロフォアが基質に個別に結合し、ヌクレオチド配列-クエンチャーが結合する反対の構成が開発される。
検出方法
【0078】
ある特定の実施形態では、本発明は、in vitroで試料中のヌクレアーゼを検出する方法を提供する。本発明の方法は、以下のステップで進行する:(a)少なくとも1つのヌクレアーゼを含有することが疑われる水性試験試料に、水溶液と、基質プローブ(フルオロフォアおよびクエンチャーに連結したオリゴヌクレオチド)とを含む少なくとも1つの検出組成物を接触させて、水性反応混合物を形成するステップ、(b)水性混合物を油中で乳化して、エマルジョン中でフェムトリットルスケールまたはピコリットルスケールの液滴を形成するステップ、(c)ヌクレアーゼが存在すればマイクロビーズに連結した基質プローブを消化するように、エマルジョン中のフェムトリットルスケールまたはピコリットルスケールの液滴をインキュベートするステップ、(d)マイクロビーズを回収するステップ、ならびに(e)マイクロビーズから発する蛍光を検出するステップ。
【0079】
「試験試料」は、エンドヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)活性に関してアッセイされる任意の材料を指し、ある特定の実施形態では液体である。固体は、溶媒、例えば水中で洗浄または含浸した後に溶媒のアッセイを行うことによってヌクレアーゼに関して間接的に試験することができる。
【0080】
例えば、試料に、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブを接触させて、蛍光分光計を使用して細菌エンドヌクレアーゼの存在を検出することができる。
【0081】
ある特定の実施形態では、本発明のプローブはまた、研究所などの状況で細菌の混入を検出するためにも有用である。
【0082】
インキュベーション。アッセイミクス(例えば、試験試料プラス基質)をインキュベートする。インキュベーション時間および条件は、反応の効率および必要な感度に応じて、数分から24時間またはそれより長い時間で変化し得る。1時間またはそれ未満のインキュベーション時間が望ましい。ヌクレアーゼは触媒性である。したがって、インキュベーション時間の増加は、基質のバックグラウンド切断(加水分解)が低いままである限り、アッセイの感度を増加させるはずである。明白であるように、アッセイバックグラウンドは経時的に安定であり、アッセイ感度は、インキュベーション時間と共に増加する。インキュベーション温度は一般的に室温から37℃までで変化し得るが、夾雑物として存在することが疑われる具体的なヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)の至適温度に調節してもよい。
【0083】
シグナル検出。蛍光の発出は、いくつかの技術を使用して検出することができる(米国特許第6,773,885号)。1つの検出方法では、目視検査を利用する。目視による検出は迅速、単純であり、いかなる専門の機器も必要とすることなく行うことができる。あるいは、検出は、蛍光分光計、または蛍光発出の定性的もしくは定量的評価を可能にする他の任意の方法を使用して行うことができる。
【0084】
目視による検出方法。インキュベーション後、ピコリットル液滴を、UV光に暴露して、蛍光レポーター基の励起をもたらす。基質がインタクトのままである反応混合物は、蛍光シグナルを放射せず、目視によりはっきりまたは暗く見える。蛍光シグナルの非存在は、陰性アッセイ結果を構成する。プローブが切断されている反応混合物は、蛍光シグナルを放射し、目視により明るく見える。蛍光シグナルの存在は、陽性アッセイ結果を構成し、試料中のヌクレアーゼ活性の存在を示している。
【0085】
反応混合物は、理想的には、比較的小さい体積、例えば乳化前に水相約100マイクロリットルを構成するが、これより大きいまたは小さい体積を採用することができる。
【0086】
様々なステップ(混合、インキュベート、検出)を1つの管で実施することができる。一実施形態では、管は小さく、UV透過性のシンウォールマイクロ管であるが、他の構成の管を使用してもよい。蛍光励起の一実施形態では、254nmまたはその付近で発する「短波」UV光源を使用する。300nmまたはその付近で発する「長波」UV光源もまた採用することができる。高い強度の短波UV光源は、最善の感度を提供する。この種のUV光源は、ほとんどの分子生物学研究室において一般的に見出されている。目視による検出は、研究室のベンチまたはフィールドで実施することができるが、暗所で行う場合、感度が改善する。
【0087】
蛍光分光検出法。インキュベーション後、蛍光の発出を、蛍光分光計を使用して検出することができる。蛍光分光検出機器としては、これらに限定されないが、単一試料キュベットデバイスおよびマルチウェルプレートリーダーが挙げられる。先に述べたように、混合、インキュベーション、および検出は、同じ容器で実施することができる。マルチウェルプレートフォーマットの使用は、小さい試料体積、例えば200μlまたはそれ未満を可能にし、一度に多くの試料のハイスループットロボット処理を可能にする。このフォーマットは、ある特定の産業用QCの状況で使用される。方法はまた、RNアーゼフリーキュベットで実施されるアッセイも提供する。先に述べたように、混合、インキュベーション、および検出は、同じ容器で実施することができる。蛍光分光検出の使用は、非常に感度が高く定量的な検出を可能にする。
キット
【0088】
本発明は、ピコ液滴(水溶液および基質プローブ)ならびに使用説明書を含む、ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)活性を検出するためのキットをさらに特徴とする。そのようなキットは、必要に応じて陽性対照ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)、ヌクレアーゼフリー水、および緩衝剤の1つまたは複数を含有し得る。キットは、ヌクレアーゼフリーの実験用プラスチックウェア、例えば目視による検出法によって使用するためのUV透過性のシンウォールマイクロ管および/またはハイスループットフォーマットでのプレート-蛍光分光計検出法によって使用するためのマルチウェルプレートを含み得ることが提供される。
【0089】
本発明の1つのキットは、広いスペクトルのエンドヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)活性に対して感受性である万能基質を含む。キットは、多様な起源からのエンドヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)活性を検出することが意図される。アッセイは、目視による検出と適合性である。ある特定の実施形態では、基質は、個々のUV透過性のシンウォールマイクロ管またはハイスループット手順に適したマルチウェル(例えば、96ウェル)フォーマットにおいて乾燥型で提供される。凍結乾燥基質は、水または緩衝剤中での液体溶液と比較して長期間の安定性を改善した。液体溶液中で提供される場合、安定性は、少なくとも-20℃より低い、例えば-80℃での保存によって改善する。個々のアリコートで保存することにより、環境エンドヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)による混入の可能性が制限される。あるいは、基質は、凍結乾燥または液体溶液のいずれかでバルクで提供することができる。あるいは、基質はバルクで提供され、ユーザーの裁量で分配することができる。
【0090】
本発明のさらなるキットは、共にほとんどのRNアーゼ活性を検出し、個々に使用して異なるエンドヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ)酵素を識別することができる酵素特異的または酵素選択的基質のセットを含む。そのようなキットを使用して、RNアーゼ混入の性質および起源を評価することができ、または目的の具体的な酵素の活性を測定することができる。
ヌクレアーゼ活性を評価するためのin vitroアッセイ
【0091】
ある特定の実施形態では、本発明は、様々な核酸基質上での微生物ヌクレアーゼの活性を評価するためのin vitroアッセイを提供する。ある特定の実施形態では、アッセイは、マイコプラズマヌクレアーゼの活性を評価する。ある特定の実施形態では、アッセイは、細菌(例えば、Staphylococcus aureusもしくはStreptococcus pneumonia)またはウイルスのヌクレアーゼの活性を評価する。例えば、生体試料(例えば、組織、細胞、もしくは生物学的液体)またはそのような試料に由来する材料を、オリゴヌクレオチドに基づくプローブと組み合わせて、一定期間インキュベートする。次に、この反応の蛍光レベルを測定し(例えば、蛍光分光計によって)、陽性および陰性対照としての役目を果たす類似の反応の蛍光レベルと比較する。
【0092】
ある特定の実施形態では、本発明は、ヌクレアーゼの存在および量を検出するための組成物および方法を提供する。
【0093】
非常に低濃度のヌクレアーゼの検出は、極めて難題である。個々のヌクレアーゼ分子は、基質を消化する能力が限定されており、非常に希薄なシグナルは、検出することが難しい(
図1)。加えて、ヌクレアーゼ反応速度論は、非線形であり、ヌクレアーゼ濃度を定量する努力を難しくする。本発明は、多くの同時並行の縮小版反応を生成することによってこれらの問題に対処し、それによって消化された基質のかなり高濃度を可能にし、出力は、連続的ではなくてデジタル(活性に関してありまたはなし)である。
【0094】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブを、デジタルヌクレアーゼ検出のために使用する(
図2)。ビオチンは、ストレプトアビジンビーズに対するプローブのカップリングを可能にする。オリゴヌクレオチド部分が消化されると、クエンチャーが拡散し、蛍光ビーズをもたらす。ある特定の実施形態では、プローブは、例えばストレプトアビジン-ビオチン相互作用によって磁気ビーズにカップリングされる(
図3および4)。オリゴヌクレオチドが消化されると、ビーズからクエンチャーを放出し、蛍光の大きい増加をもたらす(フルオロフォアはビーズに結合したままである)(
図5)。ある特定の実施形態では、プローブコーティングビーズは、水性反応緩衝剤中に存在し、緩衝剤を油中で乳化して、「コンパートメント化された」ピコ液滴を産生する。低濃度のビーズおよびヌクレアーゼによって、液滴あたり1つまたはそれより少ないビーズ、および液滴あたり1つまたはそれより少ないヌクレアーゼ分子をもたらす(
図6)。
【0095】
ある特定の実施形態では、プローブは、マイクロビーズの存在がなくともピコ液滴内に含有される。
図7。
【0096】
本発明は、何千もの同時並行の独立したナノリットルまたはナノリットルより小さい反応において単一の標的ヌクレアーゼ分子を検出する方法である。各反応の蛍光は、1つ(または複数)のヌクレアーゼ分子の存在または非存在を示す。ランダム分布を仮定すると、ヌクレアーゼは、反応においてポアソン分布を示す。次に、初回溶液中に存在するヌクレアーゼの総数を計算する。この方法を使用して、検量線がなくとも試料中のヌクレアーゼ分子の数を正確に決定する。方法は、個々の反応レベルで単一分子の感度を有する。
検出組成物
【0097】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)水溶液と、(b)(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、(ii)オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および(iii)オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャーを含む基質プローブとを含むピコ液滴を含む検出組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「ピコ液滴」は、0.014~2.6ピコリットルの体積を有する液体の液滴を含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、水溶液は、マグネシウムを欠如する。
【0099】
ある特定の実施形態では、水溶液は、二価カチオンキレート剤を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、水溶液は、亜鉛またはマンガンを含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、亜鉛またはマンガンは、100μM~20mMの濃度で存在する。
【0102】
ある特定の実施形態では、二価カチオンキレート剤は、EDTAである。
【0103】
ある特定の実施形態では、EDTAは、20~50mMの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、EDTAは、30mMの濃度で存在する。
【0104】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、4~15ヌクレオチド長である。
【0105】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、4~11ヌクレオチド長である。
【0106】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ピリミジンを含む。
【0107】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、TTTTTTTTTTT(配列番号1)である。
【0108】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチドの1つまたは複数は、化学修飾されている。
【0109】
ある特定の実施形態では、ピリミジンの1つまたは複数は、化学修飾されている。
【0110】
ある特定の実施形態では、ピリミジンの1つまたは複数は、2’-O-メチル修飾されている。
【0111】
ある特定の実施形態では、ピリミジンの1つまたは複数は、2’-フルオロ修飾されている。
【0112】
ある特定の実施形態では、プリンの1つまたは複数は、存在する場合、化学修飾されている。
【0113】
ある特定の実施形態では、プリンの1つまたは複数は、2’-O-メチル修飾されている。
【0114】
ある特定の実施形態では、プリンの1つまたは複数は、2’-フルオロ修飾されている。
【0115】
ある特定の実施形態では、フルオロフォアは、表1に記載のフルオロフォアからなる群から選択される。
【0116】
ある特定の実施形態では、フルオロフォアは、近赤外線範囲で発出を有する。
【0117】
ある特定の実施形態では、クエンチャーは、表2に記載のクエンチャーからなる群から選択される。
【0118】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは一本鎖である。
【0119】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAおよびDNAの両方を含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、基質プローブは、磁気マイクロビーズに作動可能に連結している。磁気マイクロビーズは、当技術分野で周知であり、購入により容易に入手できる。
【0121】
ある特定の実施形態では、マイクロビーズは、直径約0.5~20μmである。
【0122】
ある特定の実施形態では、マイクロビーズは、直径約2~10μmである。
【0123】
ある特定の実施形態では、マイクロビーズは、連結部分を含む。
【0124】
ある特定の実施形態では、連結部分は、ストレプトアビジン分子である。他の連結部分としては、クリックケミストリーリンカー、アミノリンカー、およびチオールリンカーが挙げられる。例示的なリンカーは、当技術分野で周知である(例えば、米国特許出願公開第2010-0234450号を参照されたい)。
【0125】
ある特定の実施形態では、基質プローブは、ビオチン部分を含み、基質プローブは、ビオチン-ストレプトアビジン結合を通して磁気マイクロビーズに連結される。
【0126】
ある特定の実施形態では、溶液は、0.1~20mMのMgCl2および0.1~20mMのCaCl2を有する緩衝剤である。
【0127】
ある特定の実施形態では、溶液は、0.1~20mMのMgCl2、もしくはCaCl2、または他の二価カチオンを有する緩衝剤である。
【0128】
ある特定の実施形態では、溶液は、二価カチオンを有しないおよび/または二価カチオンのキレート剤(EDTA)を有する緩衝剤である。
【0129】
ある特定の実施形態では、ピコ液滴は、0.014~2.6ピコリットルである。
【0130】
ある特定の実施形態では、マイクロビーズは、ピコ液滴あたり平均で1個未満のマイクロビーズを生じる濃度で存在する。
区画化、および反応構成
【0131】
一実施形態では、ヌクレアーゼは、親和性捕獲に基づく方法、例えばビーズ、例えば磁気ビーズ上の免疫沈降によって捕獲され(例えば、Burghardt, E.L., Flenker, K.S., Clark, K.C., Miguel, J., Ince, D., Winokur, P., Ford, B., and McNamara, J.O., 2nd (2016). Rapid, Culture-Free Detection of Staphylococcus aureus Bacteremia. PLoS One 11, e0157234の例のように)、次にヌクレアーゼによって消化(活性化)することができる遊離の(水相)オリゴヌクレオチドプローブとの何千または何百万もの小さい体積(フェムトリットルまたはピコリットルスケール)の水相反応に分配される。この場合、ビーズの濃度は、小さい体積の反応あたりビーズ0または1個が存在する濃度である。ヌクレアーゼの濃度は平均で各ビーズあたり0または1個のヌクレアーゼ分子が存在する濃度である。このフォーマットを使用して、マイクロスケールビーズに固定したβ-ガラクトシダーゼを測定し、次にこれを疎水性中親水性表面上で区画化されるフェムトリットルスケールの反応に単離させた(Kim, S.H., Iwai, S., Araki, S., Sakakihara, S., Iino, R., and Noji, H. (2012). Large-scale femtoliter droplet array for digital counting of single biomolecules. Lab Chip 12, 4986-4991)。
【0132】
一実施形態では、プローブは、固体表面、例えば疎水性表面上にエッチングされた親水性表面のマイクロメートルスケール寸法の何千または何百万ものスポットまたはウェルに固定される。言い換えれば、プローブは、親水性スポットまたはウェルを互いから単離させる役目を果たす疎水性表面に取り囲まれた親水性表面の別個のマイクロメートルスケールのスポットまたはウェルに位置する。次に、反応緩衝剤に溶解したヌクレアーゼからなる試料を表面に適用し、この試料のフェムトリットルまたはピコリットル体積の区画を、各々のスポットまたはウェルにおいて単離させ、多くの別個のヌクレアーゼ反応が生じる。ヌクレアーゼの濃度は、区画化されたフェムトリットルまたはピコリットル反応あたり、平均で0、1または小さい数のヌクレアーゼ分子が存在するような濃度である。
【0133】
一実施形態では、ヌクレアーゼは、水相試料内で遊離であり、次にこれを消光した蛍光オリゴヌクレオチドプローブを含む水相溶液と組み合わせて、反応混合物を作り出す。次に、この混合物を油中で乳化して、区画化された反応としての役目を果たす何千または何百万もの小さい体積(フェムトリットルもしくはピコリットルスケール)の水相液滴を生成する。インキュベーション期間の後、液滴の蛍光レベルを適した機器、例えば蛍光顕微鏡によって測定する。
より小さい反応体積は、より早期の時点でのヌクレアーゼ検出を生じると予想される
【0134】
デジタル酵素アッセイにおけるプローブ消化速度は、反応体積と反比例することが見出されている(Basu, A.S. (2017b). Digital Assays Part II: Digital Protein and Cell Assays. SLAS Technol 22, 387-405)。一実施形態では、区画化された反応の体積は、14フェムトリットル未満、例えば1フェムトリットルまたは0.5フェムトリットルである。
【0135】
小さい体積中でのプローブ消化速度がより速いことは、より早期の時点、例えば反応のアセンブリの数分後でのヌクレアーゼ活性の検出を可能にすると予想される。一実施形態では、区画化反応のインキュベーション時間は、30秒~1時間である。
別個のヌクレアーゼを識別するための反応速度論の使用可能性
【0136】
デジタル酵素アッセイにおけるプローブ消化速度は、酵素の代謝回転率(すなわち、酵素がプローブを消化する速度)に比例することが見出されている(Basu, A.S. (2017b). Digital Assays Part II: Digital Protein and Cell Assays. SLAS Technol 22, 387-405)。いくつかの時点での反応の蛍光の測定は、反応の速度論の測定を可能にする。別個のヌクレアーゼ(例えば、マイクロコッカスヌクレアーゼと、ヘビ毒ホスホジエステラーゼとの比較)は、特定の基質に関して異なる代謝回転率を示すことから、反応速度論の測定は、反応におけるヌクレアーゼの同一性の指標を提供することができる。一実施形態では、何千または何百万ものピコリットルまたはフェムトリットルスケールの区画化ヌクレアーゼ反応の反応速度論は、複数の時点で反応の進行を示す蛍光レベルを測定することによって決定される(すなわち、蛍光の増加が消光した蛍光オリゴヌクレオチドプローブの消化に起因する)。次に、蛍光生成速度を使用して試料中に存在し得る別個のヌクレアーゼを識別する。最初の試料中のこれらのヌクレアーゼの量、したがってその濃度もまた、その速度論シグネチャーが測定される特定のヌクレアーゼを有するおよび/または有しない反応の分画から決定することができる。
【0137】
特定の酵素の反応速度論シグネチャーはまた、より単純なエンドポイント蛍光測定、すなわち単一のインキュベーション期間の終了時の蛍光の測定によって識別され得る。この場合、ヌクレアーゼを含有する一部の反応の蛍光レベルは、基底レベルより高く、別個のヌクレアーゼを含有する他の反応の蛍光レベルは、基底レベルより高いことに加えて、第1のヌクレアーゼを含有する反応より高い。一実施形態では、何千または何百万ものピコリットルまたはフェムトリットルスケールの区画化されたヌクレアーゼ反応の反応速度論は、単一の時点での反応の進行を示す蛍光レベルを測定すること(エンドポイント測定)によって推定される(すなわち、蛍光の増加は消光したオリゴヌクレオチドプローブの消化に起因する)。次に、推定される速度論シグネチャーを使用して、試料中に存在し得る別個のヌクレアーゼを識別する。最初の試料中のこれらのヌクレアーゼの量、したがってその濃度もまた、速度論シグネチャーが測定される特定のヌクレアーゼを有するおよび/または有しない反応の分画から決定することができる。
反応区画化アプローチ
【0138】
水相酵素反応のシリコン油中でのエマルジョンが個々の酵素分子の測定を可能にすることは、何十年も前に証明されている(Rotman, B. (1961). Measurement of activity of single molecules of beta-D-galactosidase. Proc Natl Acad Sci USA 47, 1981-1991)。エマルジョンは、超音波処理、振動、およびマイクロ流体デバイスを含む多様なアプローチによって産生することができる(例えば、総説: Basu, A.S. (2017a). Digital Assays Part I: Partitioning Statistics and Digital PCR. SLAS Technol 22, 369-386; Basu, A.S. (2017b). Digital Assays Part II: Digital Protein and Cell Assays. SLAS Technol 22, 387-405を参照されたい)。フローフォーカシングマイクロチャネルマイクロ流体デバイス(フローフォーカシングジャンクション)を使用すると、均一なサイズの液滴を有するエマルジョンを産生することができ(Anna, S.L., Bontoux, N., and Stone, H.A. (2003). Formation of dispersions using "flow focusing" in microchannels. Appl Phys Lett 82, 364-366)、そのようなエマルジョンは、デジタル酵素検出に関してより大きい精度を可能にする(Arayanarakool, R., Shui, L., Kengen, S.W., van den Berg, A., and Eijkel, J.C. (2013). Single-enzyme analysis in a droplet-based micro- and nanofluidic system. Lab Chip 13, 1955-1962を参照されたい)。段階的エマルジョン液滴生成をまた使用して、より迅速にエマルジョンを生成することができる。
【0139】
フェムトリットルまたはピコリットルスケールの反応としての役目を果たす表面固定液滴は、エマルジョンの液滴に対する代替の区画化アプローチである。例として、その上にマイクロメートルスケールのウェルがエッチングされているきれいなエラストマー表面は、表面としての役目を果たすことができる(Rondelez, Y., Tresset, G., Tabata, K.V., Arata, H., Fujita, H., Takeuchi, S., and Noji, H. (2005). Microfabricated arrays of femtoliter chambers allow single molecule enzymology. Nat Biotechnol 23, 361-365)。水相反応溶液を表面に適用後、カバーガラスをその上に載せ、このようにフェムトリットルからピコリットルスケールの反応を互いに単離させる。不活性のブロッキングタンパク質、例えばウシ血清アルブミンを含めることは、そうでなければ固体表面に対する酵素の吸着により起こり得る酵素活性の低減を遮断することによって検出を改善することができる。
【0140】
反応の表面固定の別の例は、その上に親水性表面(例えば、SiO2)のマイクロメートルスケールのスポットがエッチングされる疎水性表面(例えば、炭素-フッ素の疎水性ポリマー(CYTOP))を使用することである(Sakakihara, S., Araki, S., Iino, R., and Noji, H. (2010). A single-molecule enzymatic assay in a directly accessible femtoliter droplet array. Lab Chip 10, 3355-3362)。水溶液を表面に適用し、その後溶液を疎水性溶液(例えば、フルオロカーボン油、例えばFluorinert FC40)と交換すると、水相のフェムトリットルからピコリットルスケールの液滴は、表面の親水性部分に結合したままであり(次に、これはフルオロカーボン油によって取り囲まれる)、このように区画化された反応としての役目を果たすことができる。
【0141】
反応を、フェムトリットルまたはピコリットルスケールの体積に区画化するために使用される方法および試薬は、上記で言及した方法および試薬、ならびにデジタルPCRおよびデジタルELISA法のために使用される方法および試薬を含む、当技術分野で公知である他のそのような方法および試薬を含む(総説: Basu, A.S. (2017a). Digital Assays Part I: Partitioning Statistics and Digital PCR. SLAS Technol 22, 369-386; Basu, A.S. (2017b). Digital Assays Part II: Digital Protein and Cell Assays. SLAS Technol 22, 387-405を参照されたい)。これらの方法は、チャンバーに基づく区画化アプローチおよび油中水エマルジョンを含む。使用することができるエマルジョン油には、上記の油が挙げられる(シリコン油、フルオロカーボン油、例えばFluorinert FC40)。油に界面活性剤を含めることは、そうでなければ反応物質の液滴表面への接着および/または油相への拡散に起因し得る反応試薬の喪失を低減することが公知である(Span80、Tween80、および鉱物油の混合物は、Roach, L.S., Song, H., and Ismagilov, R.F. (2005). Controlling nonspecific protein adsorption in a plug-based microfluidic system by controlling interfacial chemistry using fluorous-phase surfactants. Anal Chem 77, 785-796)が、安定な油中水エマルジョンを生成するために有効であることを示している界面活性剤/油混合物の一例である(Miller, O.J., Bernath, K., Agresti, J.J., Amitai, G., Kelly, B.T., Mastrobattista, E., Taly, V., Magdassi, S., Tawfik, D.S., and Griffiths, A.D. (2006). Directed evolution by in vitro compartmentalization. Nat Methods 3, 561-570)。
ピコリットルおよびフェムトリットルスケールの酵素反応の検出方法
【0142】
検出方法は、電荷結合素子(CCD)カメラ、強化電荷結合素子(ICCD)カメラ、電子増倍型電荷結合素子(EMCCD)カメラ、相補的金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、または光増倍管(PMT)を備えた蛍光顕微鏡による反応の蛍光レベルの撮像を含む。油中の水性液滴(エマルジョン)中の蛍光を撮像する場合、液滴を、マイクロ流体デバイス内で撮像することができる。フローサイトメーターは、デジタルPCRのためにマイクロスケールビーズ上に固定された蛍光シグナルを検出するために使用されている(Dressman, D., Yan, H., Traverso, G., Kinzler, K.W., and Vogelstein, B. (2003). Transforming single DNA molecules into fluorescent magnetic particles for detection and enumeration of genetic variations. Proc Natl Acad Sci USA 100, 8817-8822)。レーザー誘起蛍光(LIF)サイトメトリーもまた、Bio-RadおよびRaindanceデジタル液滴PCRシステムにおいて蛍光を検出するために使用されている。同様に、(Miller, O.J., Bernath, K., Agresti, J.J., Amitai, G., Kelly, B.T., Mastrobattista, E., Taly, V., Magdassi, S., Tawfik, D.S., and Griffiths, A.D. (2006). Directed evolution by in vitro compartmentalization. Nat Methods 3, 561-570)に記載されるように、エマルジョンが水中油中水エマルジョンとして生成される場合、フローサイトメーターを使用して、小さい体積の液滴を使用する区画化反応構成のいずれかの蛍光を測定することができる。
追加のフルオロフォア、クエンチャー、およびリンカー
【0143】
本発明のプローブのために使用され得る本文書に記載のものに加えて、他のフルオロフォア、クエンチャー、およびリンカーが、11th Edition of the Molecular Probes Handbook- A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologiesに記載されており、これらはhttps://www.thermofisher.com/us/en/home/references/molecular-probes-the-handbook.htmlにてオンラインで見出すことができる。Atto色素(Sigma Aldrichによって販売)もまた、適したフルオロフォアである(http://www.sigmaaldrich.com/life-science/cell-biology/detection/learning-center/atto.htmlを参照されたい)。Atto-Tec蛍光クエンチャーなどの蛍光クエンチャーは、適したクエンチャーである。他の適したフルオロフォア、クエンチャー、および連結化学は、Trilink Biotechnologies(https://www.trilinkbiotech.com/)、ChemGenes(https://www.chemgenes.com/)、Glen Research(http://www.glenresearch.com/index.php)、Sigma Aldrich(http://www.sigmaaldrich.com)、Atto-Tec(http://www.atto-tec.com/)、Integrated DNA Technologies(IDT)(https://www.idtdna.com/site)、およびAmbion(https://www.thermofisher.com/us/en/home/brands/invitrogen/ambion.html)の製品提供に見出され得る。
検出方法
【0144】
ある特定の実施形態では、本発明の方法を使用して、患者が具体的な微生物による感染症を有するか否かを決定する。
【0145】
ある特定の実施形態では、本発明の方法を使用して、存在する病原体のレベルを定量し、これはバックグラウンドを臨床的に有意なレベルと識別するために重要である。
【0146】
ある特定の実施形態では、本発明のヌクレアーゼ検出方法は、食品の安全性のためにおよびバイオテロリズムを検出するために使用される。
【0147】
ある特定の実施形態では、本発明は、試料中に存在する少なくとも1つの個々のヌクレアーゼを検出する方法であって、(a)少なくとも1つのヌクレアーゼを含有することが疑われる水性試料に、少なくとも1つの検出組成物を接触させて、水性反応混合物を形成するステップであって、検出組成物が、水溶液と、磁気マイクロビーズに作動可能に連結した基質プローブとを含むピコ液滴を含み、基質プローブが、(i)2~75ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、(ii)オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したフルオロフォア、および(iii)オリゴヌクレオチドに作動可能に連結したクエンチャーを含む、ステップと、(b)水性混合物を油中で乳化し、エマルジョン中でピコリットルスケールの液滴を形成するステップと、(c)ヌクレアーゼが存在すればマイクロビーズに連結した基質プローブを消化するように、エマルジョン中のピコリットルスケールの液滴をインキュベートするステップと、(d)マイクロビーズを回収するステップと、(e)マイクロビーズから発する蛍光を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0148】
ある特定の実施形態では、方法は、(f)マイクロビーズの蛍光をフローサイトメトリーによって定量するステップをさらに含む。
【0149】
ある特定の実施形態では、方法は、(f)マイクロビーズの蛍光を顕微鏡によって定量するステップをさらに含む。
【0150】
ある特定の実施形態では、試料は血液、血清、血漿、または血液抽出物(例えば、血液から精製した1つもしくは複数のヌクレアーゼ)、便、汗、皮膚抽出物、尿、滑液、腹水、脳脊髄液、硝子体液、肺洗浄液、または鼻抽出物、あるいはこれらの試料のいずれかに由来する材料である。
【0151】
ある特定の実施形態では、試料を十分に希釈して、ヌクレアーゼを有する一部のピコ液滴と、ヌクレアーゼを有しない一部のピコ液滴とを生じる。
【0152】
ある特定の実施形態では、油は、鉱物油、ABIL WE09、およびTegasoft DECの混合物;またはシリコン油;またはFluorinert FC40などのフルオロカーボン油;またはSpan80、Tween80、および鉱物油の混合物である。
【0153】
ある特定の実施形態では、インキュベートするステップは、2~10時間である。
【0154】
ある特定の実施形態では、インキュベートするステップは、4~5時間である。
【0155】
ある特定の実施形態では、ステップ(a)において水性試料に、2つの検出組成物を接触させ、各々の検出組成物が異なる蛍光標識を有する。
【0156】
ある特定の実施形態では、反応混合物の体積は、ナノリットルより小さい。
【0157】
本発明を、以下の非制限的な実施例によって例証する。
【実施例】
【0158】
(実施例1)
S.aureusのマイクロコッカスヌクレアーゼを検出するために消光した蛍光オリゴヌクレオチドプローブを使用したこれまで公表されていない実験から、このヌクレアーゼの約330個もの少ない分子を、約50マイクロリットルの反応において検出できることが示された。これらは、Burghardt, E. L. et al. Rapid, Culture-Free Detection of Staphylococcus aureus Bacteremia. PLoS One 11, e0157234, doi:10.1371/journal.pone.0157234 (2016)に記載される方法に基づいた。この超高感度によって、本研究者らは、そのようなプローブが、単一のヌクレアーゼ分子の検出を可能にするか否かを検討した。反応体積を(例えば、ピコリットルスケールに)縮小する方法が、マイクロリットルスケールの反応で観察された感度を超える検出感度の実質的な増加を可能にし得ることは理にかなっていた。消光した蛍光オリゴヌクレオチドプローブフォーマットによるプローブのヌクレアーゼ消化は、非消光フルオロフォアが結果として反応に放出されることにより検出される。これらのフルオロフォアは、拡散のためにより大きい体積の反応では希釈され、そのためにそれらを検出する能力が低減する。より小さい反応体積では、その拡散が小さい反応体積によって制限されることから、活性化プローブは濃縮されたままである。さらに、プローブをビーズに固定することは、消化されたフルオロフォアを濃縮状態に維持する簡便な方法を提供し、このように、プローブ活性化の検出を容易にする。
【0159】
小さい体積の反応において個々のヌクレアーゼ分子を検出することが可能であれば、各々の反応は、ヌクレアーゼに関して陽性または陰性であるとスコアをつけることができることから、検量線の必要なく、試料中に存在するヌクレアーゼの数を定量することが可能であろう。酵素反応の進行は一般的に非線形であることから、これは酵素の定量を複雑にするが、各々の反応におけるヌクレアーゼの存在を全か無かで説明することによって、開始試料中に存在するヌクレアーゼの総数の単純な計算が可能となる。陽性反応中に存在するヌクレアーゼの総数を、陽性および陰性反応の総体積で除算すると、試料中のヌクレアーゼ濃度を生じる。複数のヌクレアーゼがいくつかの反応に存在する条件では(これらは、単一のヌクレアーゼのみを有する反応と区別ができない場合がある)、ヌクレアーゼの総数は、陰性である反応の分画から計算することができる(例に関しては以下を参照されたい)。反応におけるヌクレアーゼのランダム分布は、ポアソン分布によって説明され、1、2、3個等のヌクレアーゼ分子を有する反応の分画の各々は、陰性反応の分画の測定後に計算することができ、ヌクレアーゼの総数の計算を生じる。これは、総体積と共に、ヌクレアーゼ濃度の測定を提供する。ヌクレアーゼ定量のこのアプローチは、小さい体積のPCR反応を使用して、全か無かのPCR増幅を介して試料中に存在する鋳型DNA分子の数を定量する、デジタルPCRに関して開発されている概念に基づいて構築される(Vogelstein, B. & Kinzler, K. W. Digital PCR. Proc Natl Acad Sci U S A 96, 9236-9241 (1999))。
【0160】
小さい反応体積が、消光した蛍光プローブによるヌクレアーゼ検出の感度を増強する可能性を探索するために、デジタルPCR(BEAMingとして公知)に関して開発されたプロトコールを、磁気ビーズに固定されたポリ-デオキシチミジン消光蛍光プローブによってマイクロコッカスヌクレアーゼを検出するように適合させた(Diehl, F. et al. BEAMing: single-molecule PCR on microparticles in water-in-oil emulsions. Nat Methods 3, 551-559, doi:10.1038/nmeth898 (2006); Dressman, D., Yan, H., Traverso, G., Kinzler, K. W. & Vogelstein, B. Transforming single DNA molecules into fluorescent magnetic particles for detection and enumeration of genetic variations. Proc Natl Acad Sci USA 100, 8817-8822, doi:10.1073/pnas.1133470100 (2003))。ビーズ上のプローブ分子の消化によって、ビーズ表面上に非消光フルオロフォアが残され、これによって蛍光ビーズが得られる(本プロトコールのプローブカップリングビーズを、BEAMingデジタルPCRプロトコールのPCRプライマーカップリングビーズと置き換えた)。このアプローチの考え方は、これらのプローブカップリングビーズの水性懸濁液を、ヌクレアーゼの希薄濃度を含有する水性試料と混合し、次にこの混合物を油中で乳化し(この条件は、BEAMingデジタルPCRプロトコールにおいて開発および記載された)、何百万もの小さい体積(ピコリットルスケール)の液滴を産生するというものである。これらの液滴のサブセットは、ビーズを含有するが、希薄なヌクレアーゼ試料と共に調製したビーズ含有液滴では、一部の液滴は、ヌクレアーゼ分子を含有せず、他は1、2、3個等のヌクレアーゼ分子を含有する。エマルジョンを一定期間インキュベートして、液滴中に存在するヌクレアーゼ分子に、ビーズ上のプローブ分子を消化させた後、ビーズをエマルジョンから回収し、その蛍光を測定する。単一分子の検出感度が達成されれば、1つまたは複数のヌクレアーゼ分子を有する液滴中の全てのビーズは、上昇した蛍光を有し、ヌクレアーゼ分子を有しない液滴中に存在するビーズと識別することができる。
【0161】
以下のデータは、デジタルヌクレアーゼ検出の概念の裏付けとなる。ビオチンによって5’末端が標識されたデジタルヌクレアーゼプローブ(
図2)は、ストレプトアビジンコーティングビーズ(直径1μmのビーズあたり約350,000個のプローブのコピー)に対するプローブの取り付けを可能にする。プローブがヌクレアーゼによって消化されると、クエンチャーを放出し、蛍光ビーズをもたらす。ビーズの水性懸濁液を油中で乳化することによって、ビーズを小さい液滴として単離させる(
図8)。水性懸濁液に非常に低濃度のヌクレアーゼを含めると、ビーズと、1)ヌクレアーゼ分子を有しない、または2)1つもしくは複数のヌクレアーゼ分子のいずれかとを含有する液滴を生じる。蛍光測定によるこの2つの反応集団を識別する能力によって、デジタル分子検出が可能となる。
図9A~9Cおよび10に示す実験では、反応は緩衝剤のみ(左のパネル)、高濃度のMN(2.56nM、中央のパネル)または低濃度のMN(2.56pM、右のパネル)を含んだ。
図9A~9Cおよび10(右のパネルを参照されたい)に示すように、そのプローブが消化されていない集団と比較してそのプローブが消化されているビーズ集団はそれぞれ、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーによって明白に識別することができる。デジタルPCRに関して、試料中の標的分子の濃度は、標的分子が液滴全体にポアソン分布を示す限り、非活性化ビーズの分画から直接計算することができる(以下の計算を参照されたい)(Vogelstein, B. & Kinzler, K. W. Digital PCR. Proc Natl Acad Sci USA 96, 9236-9241 (1999); Beer, N. R. et al. On-chip, real-time, single-copy polymerase chain reaction in picoliter droplets. Anal Chem 79, 8471-8475, doi:10.1021/ac701809w (2007))。
【0162】
使用した低濃度(2.56pM)のヌクレアーゼによって、0、1、または小さい数のヌクレアーゼ分子を各々有する液滴の実質的な数が得られることから、この濃度を評価のために選択した。例として、この濃度によって調製した直径10μmの液滴は、液滴あたり0.808個の平均ヌクレアーゼ分子数を有する(評価したより高濃度のヌクレアーゼに関する平均値は、液滴あたり808個の分子である)。これらの条件に関して、ヌクレアーゼ分子のポアソン分布に基づくと、液滴の45%は、0個のヌクレアーゼ分子を有し、36%は1個のヌクレアーゼ分子を有する。この低濃度のヌクレアーゼを有する試料中で活性化されていない観察されたビーズの分画は、13.5%であり、わずかにより大きい液滴のサイズと一貫した(直径約13.5μm)。この試料における液滴のサイズの範囲(主に直径3~17μm以内)および液滴内のMNのポアソン分布モデリングに基づくと、これらのデータは、わずか1つのヌクレアーゼ活性が、液滴中に封入された場合に活性化ビーズを生じることと一貫する。
【0163】
液滴における分子の無作為分布を、以下のようにポアソン分布によってモデルとすることができる:MN分子x個を有する液滴の確率は、f(x)=(μ
xe
-μ)/x!であり、式中、μは、液滴あたりのMN分子の平均数である。13.5%の陰性ビーズの場合(
図11および12を参照されたい)、f(0)=0.135=(μ
0e
-μ)/0!=(1e
-μ)/1=e
-μである。等式の両側の自然対数をとると、ln(0.135)=-2およびln(e
-μ)=-μであり、式中、μは、液滴あたりMN分子の平均数であり、2に等しい。
【0164】
各々1個のMN分子を有する液滴の分画を、
図12に示されるように計算する。これらの分画(各々0~8個のヌクレアーゼ分子を有する分画)は、液滴の99.976%を占める。8個より多くのヌクレアーゼ分子を有する液滴が無視できる部分を構成することを考慮すると、試料中のマイクロコッカスヌクレアーゼの濃度を以下のように計算することが可能である。
全体で19,995個(0.99976×20,000)の液滴の場合、反応中のMN分子の数は:
【数1】
【0165】
液滴の直径に関して13.5μm(これは、試料において観察された液滴の直径範囲内である)を使用すると、液滴の体積=(4/3)*π*(13.5μm/2)3=1.29×10-15m3である。これに1,000L/m3を乗算してリットルに変換すると、1.29×10-12L/液滴を生じる。上記に関して計算される液滴中の総体積は、0.99976×20,000個の液滴×1.29×10-12L=25.8×10-9Lである。これにより、濃度は、(39,956個のMN分子)/((25.8×10-9L)×(6.02×1023分子/mole))=2.57pMである。
【0166】
BEAMingプロトコールは、何百万ものピコリットルスケールの液滴を生じるが、液滴は均一なサイズではない。均一なサイズの液滴を産生するためにマイクロ流体法が開発されている(Anna, S. L., Bontoux, N. & Stone, H. A. Formation of dispersions using "flow focusing" in microchannels. Appl Phys Lett 82, 364-366, doi:10.1063/1.1537519 (2003); Kiss, M. M. et al. High-Throughput Quantitative Polymerase Chain Reaction in Picoliter Droplets. Analytical Chemistry 80, 8975-8981, doi:10.1021/ac801276c (2008))。ヌクレアーゼ検出のための液滴を生成するためのこれらの方法の使用は、上記のデジタルヌクレアーゼ検出データからヌクレアーゼ濃度を計算するために必要な反応体積の決定を単純化する。
材料および方法
オリゴヌクレオチドプローブ
【0167】
PolyT Cy5 Btnオリゴヌクレオチドプローブは、以下からなった(IDTの命名法で記載):5’-/5ビオチンTEG//iCy5/TTTTTTTTTTT/ZEN//3IAbRQSp/-3’、式中、5ビオチンTEGは、その後にリンカーが続く5’末端でのビオチン部分を示し、iCy5はCy5フルオロフォアを示し、Tはデオキシチミジンヌクレオチドを示し、ZENは、IDTのZENクエンチャーを示し、3IAbRQSpは、Iowa Black RQクエンチャーを示す。使用したプローブのバッチの参照番号は、154307304である。凍結乾燥したプローブを、100μMの最終濃度となるようにTE(Invitrogenカタログ番号AM9849)に溶解した。
プローブカップリング磁気ビーズの調製
【0168】
オリゴヌクレオチドプローブを、磁気ストレプトアビジンカップリングビーズ(Dynabeads MyOneストレプトアビジンC1、Invitrogenカタログ番号65001)にカップリングした。プローブをビーズにカップリングさせるために、ビーズ100μlを、洗浄緩衝剤(20mM Tris-HCl、pH8.0、50mM NaCl)100μlによって、毎回磁石を使用して水相からビーズを分離して2回洗浄した。次にビーズを、結合緩衝剤(5mM Tris-HCl、pH8.0、0.5mM EDTA、1M NaCl)100μlと組み合わせた100μM PolyT Cy5 Btnプローブ10μlからなる溶液に再懸濁した。このビーズ懸濁液を、室温で30分間インキュベートし、懸濁液を、10分毎に軽くピペッティングして上下することによって混合した。次に液体を捨て、ビーズを洗浄緩衝剤によって3回洗浄し、洗浄緩衝剤100μlに再懸濁し、必要となるまで4℃で保存した。
マイクロコッカスヌクレアーゼ保存液の調製
【0169】
精製マイクロコッカスヌクレアーゼは、Worthington(カタログ番号L5004797、ロット番号R3P14588)から得た。凍結乾燥ヌクレアーゼ18,945単位(22,330単位/mgタンパク質)を、50%DPBS(2価カチオンを含まない)、50%グリセロールの1.895mlに溶解し、-20℃で保存した。保存液中のタンパク質の総質量=18,945単位/22,330単位/mg=0.848mg。保存液中のタンパク質濃度=0.848mg/1.895ml=0.448mg/ml=0.448g/L。モル濃度=0.448g/L/16,900g/mol=26.5μM=26.5pmol/μl。(26.5×10-12モル/μl)×6.02×1023分子/モル=1.60×1013分子/μlである。
エマルジョン油の調製
【0170】
エマルジョン油は、7%(体積)ABIL WE-09(Universal Preserv-A-Chem,Inc.、商品番号#100267-L151)、20%(体積)鉱物油(Sigmaカタログ番号M3516)、73%(体積)Tegasoft DEC(Universal Preserv-A-Chem,Inc.、商品番号270173-151)を組み合わせ、軽く混合し、および室温で少なくとも30分間インキュベートして調製した。
反応の調製および実行
【0171】
マイクロコッカスヌクレアーゼを、保存溶液から反応緩衝剤(50mM Tris-HCl、pH9.0、10mM CaCl2)中で希釈し、1:10,000希釈液(2.65nM)および1:10,000,000希釈液(2.65pM)を生じた。各希釈液または反応緩衝剤のみ(陰性対照)の145μlを、プローブカップリング磁気ビーズ5μlと組み合わせた。これによって、反応の水相中のマイクロコッカスヌクレアーゼの最終濃度は0、2.56nM、および2.56pMとなった。反応中のビーズの濃度は、約2.83×105ビーズ/μlであった。次に、これらの混合物の各々を、5mmスチールビーズおよびエマルジョン油600μlを含有する2ml LoBind Eppendorf管に直ちに添加した。管を、Qiagen TissueLyser IIのカセットに直ちに入れて、TissueLyserにおいて15Hzで10秒間振とうさせた後、17Hzで7秒間振とうさせた。これによって、エマルジョン油に懸濁した水相液滴(その一部は、プローブカップリングビーズを含んだ)からなる何百万個もの反応を生成した。次に、各エマルジョン160μlを、2-ml LoBind Eppendorf管4本の各々に移し、37℃で5時間インキュベートした。最初の管に残った各エマルジョンの一部をプラスチック組織培養プレートにおいて画線培養し、液滴サイズのおおよその測定を提供するために、浜松ホトニクス株式会社の冷却CCDカメラを備えたOlympus IX71倒立顕微鏡において、明視野を使用して40倍の対物レンズで撮像した。
エマルジョンからのビーズの回収
【0172】
反応時間の終了時、溶解緩衝剤(10mM Tris-HCl、pH8.0、1%Triton X-100、1%SDS、100mM NaCl、1mM EDTA)300μlを各管に添加し、Qiagen TissueLyser IIのカセットに直ちに入れて、TissueLyserにおいて20Hzで30秒間振とうさせた。次に、管を3,200×Gで2分間遠心分離させた。各々の油層を真空ラインに接続したピペットの先端によって除去した。さらなる溶解緩衝剤300μlを各々に添加し、管を3,200×Gで再度2分間遠心分離させた。次に管を磁石の上に置き、液体を除去して捨てた。管4本(特定の反応に属する管)の各々の対応するセットからのビーズを、それらを洗浄緩衝剤100μl中に懸濁することによって組み合わせた。次に、各試料を再度磁石の上に置いて、液体を捨て、ビーズを新しい洗浄緩衝剤100μlに再懸濁した。次に、ビーズを倒立顕微鏡によって撮像し、フローサイトメトリーによって評価して、後に分析するまで4℃で保存した。
反応したビーズの撮像
【0173】
各回収したビーズ試料10μlを、ピペットでMattek撮像皿(カタログ番号P35G-1.5-20-C)のガラス表面上に載せ、Cy5の蛍光フィルター、冷却CCDカメラ(浜松ホトニクス株式会社)および40倍油浸対物レンズを備えたOlympus IX71倒立蛍光顕微鏡によって撮像した。ビーズがカバーガラス上に沈降した後、各試料に関していくつかの明視野およびCy5蛍光画像を獲得した。
反応したビーズのフローサイトメトリー
【0174】
各ビーズ試料の蛍光を、フローサイトメトリーによって測定した。Becton Dickinson LSR IIフローサイトメーターを使用して、その前方散乱および側方散乱プロファイルが、それらが単一ビーズとして存在する(複数または凝集ビーズではない)ことを示すビーズ10,000~20,000個の蛍光を測定した。Cy5チャネルの蛍光をこれらのビーズに関して記録した。
(実施例2)
【0175】
本実施例では、エマルジョンを生成するために、プローブカップリングビーズ、エマルジョン混合物、および機器(Qiagen TissueLyser II)を使用した。ビーズは、MyOneストレプトアビジンC1 Dynabeadsであった。これらを上記のプローブにカップリングさせた。エマルジョン油は3つのエマルジョン油の混合物であった。これらを以下のように組み合わせた:7%ABIL WE09、20%鉱物油、73%Tegasoft DEC。酵素(Staphylococcus aureusのマイクロコッカスヌクレアーゼ)は、Worthingtonから購入し、50mM Tris-HCl、pH9.0、10mM CaCl2中で希釈した。各反応に関して、各酵素希釈液145マイクロリットルをプローブカップリングビーズ(20mM Tris-HCl、pH8.0、50mM NaCl中に懸濁した)5マイクロリットルと組み合わせた後、エマルジョン油混合物600マイクロリットルおよび5mmスチールビーズと組み合わせた。これらの混合物を、Diehl, F. et al. BEAMing: single-molecule PCR on microparticles in water-in-oil emulsions. Nat Methods 3, 551-559, doi:10.1038/nmeth898 (2006)に記載されるようにTissueLyser IIによって振とうさせた。各反応の一部を、この時点で組織培養皿において画線培養し、明視野顕微鏡によって撮像し、エマルジョンが形成されていることを確認した。次に、反応を37℃で5時間インキュベートした後、論文に記載されているようにエマルジョンを破裂させてビーズを回収した。次に、ビーズを、Cy5にとって適切なフィルターを使用して蛍光顕微鏡によって撮像した。ビーズの蛍光を、フローサイトメーター(LSRバイオレット)によって定量した。
【0176】
前述の明細書および実施例は、本発明を完全に開示および可能にするが、それらは本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限しないと意図される。
【0177】
全ての刊行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書において、本発明は、そのある特定の実施形態に関連して記載されており、多くの詳細が例示目的のために記載されているが、本発明は、追加の実施形態が可能であり、本明細書に記載のある特定の詳細は、本発明の基本的な原理から逸脱することなくかなり変化し得ることは、当業者には明らかであろう。
【0178】
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」、ならびに本発明を記載する文脈における類似の言及は、本明細書において特に別段示していない限り、または本文と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈すべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、特に指摘していない限り、制限のない用語であると解釈される(すなわち、「これらに限定されないが含む」ことを意味する)。本明細書における値の範囲の引用は、本明細書において特に別段示していない限り、その範囲内に入る各々の個別の値に個々に言及する簡略法としての役目を果たすと単に意図され、各々の個別の値は、それが本明細書において個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、特に別段示していない限り、または本文と明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で実施することができる。本明細書に提供される、いずれかのおよびすべての実施例の使用、または例を示す言語(例えば、「例えば」)は、本発明をよりよく例証することを単に意図しており、特許請求される場合を除き、本発明の範囲に対して制限を与えない。本明細書におけるいかなる言語も、任意の特許請求されていない要素を本発明の実践にとって必須であると示していると解釈してはならない
【0179】
本発明を実施するために本発明者らに公知である最善の様式を含む本発明の実施形態を本明細書に記載する。それらの実施形態の変形形態は、前述の説明を読むことによって当業者に明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用することを予想し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載している内容とは異なるように実践されることを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許可されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲において引用される主題の全ての改変および均等物を含む。その上、その全ての起こり得る変形形態における上記の要素のいずれかの組合せは、本明細書において特に別段示していない限り、または本文と矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【配列表】