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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】蘇生および換気非同調モニタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240117BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
A61B5/087
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019524066
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017061162
(87)【国際公開番号】W WO2018089837
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】62/420,943
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, マイケル オースティン
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ, ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】デルプランク, ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】コース, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】レーム, グレゴリー
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0000494(US,A1)
【文献】特表2008-516702(JP,A)
【文献】特表2014-518725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61B 5/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蘇生および換気監視システムであって、前記蘇生および換気監視システムは、
プロセッサと、
命令を有する非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体と
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
ユーザ入力を受信することであって、前記ユーザ入力は、患者の身長、体重、性別、年齢のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
前記患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計および1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つから受信された空気流測定値、圧力測定値、酸素測定値、二酸化炭素測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、前記患者の換気信号を生成することであって、前記患者の換気信号は、現在の換気モードおよび関連付けられた機械的な人工呼吸器の設定を示す、ことと、
前記換気信号内に存在する臨床アーチファクトを識別し、前記臨床アーチファクトをフィルタ除去することであって、前記臨床アーチファクトは、患者-人工呼吸器非同調以外の換気事象に対応する、ことと、
フィルタ除去された換気信号が前記ユーザ入力によって定義された所定の限界内にないことを決定することに応答して、前記フィルタ除去された換気信号が患者-人工呼吸器非同調に対応することを決定することと、
前記フィルタ除去された換気信号が患者-人工呼吸器非同調に対応することを決定することに基づいて、観察される患者-人工呼吸器非同調のサブタイプを識別することであって、前記患者-人工呼吸器非同調のサブタイプは、ダブルトリガ非同調、呼吸蓄積非同調、流量非同調、遅延終了非同調、早期終了/循環非同調うちの少なくとも1つである、ことと、
患者-人工呼吸器非同調の存在を示すアラートを生成することと、
換気の現在のモードおよび前記関連付けられた機械的な人工呼吸器の設定に基づいて、前記患者-人工呼吸器非同調を補正することを目的として、ユーザインターフェースを介して、前記機械的な人工呼吸器の設定を調節するためのユーザ実装可能な是正措置を提案することと
を前記プロセッサに行わせる、蘇生および換気監視システム。
【請求項2】
前記蘇生および換気監視システムは、前記ユーザ入力を受信するように構成されている測定セレクタをさらに備え、
前記測定セレクタは、数字、文字、色のうちの少なくとも1つを含む代用マーカを含む、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項3】
前記ユーザ入力は、臨床決定支援アラーム閾値および是正措置のための提案のためのユーザ定義設定をさらに含み、
前記アラートは、前記患者-人工呼吸器非同調が前記臨床決定支援アラーム閾値を超えることに応答して生成される、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、インターネット無線通信、近距離無線通信、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、電子医療記録システムまたは遠隔医療システムを備えている1つ以上の外部宛先、および/または、1つ以上の生理学的患者監視デバイスに未加工換気データと臨床決定支援を含む導出された情報とを送信し、前記1つ以上の生理学的患者監視デバイスは、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または、心臓および循環器系生理学モニタを備えている、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項5】
前記臨床アーチファクトは、吸入事象および咳嗽および患者人工呼吸器接続解除のうちの少なくとも1つによって引き起こされる、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項6】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、呼吸不全表現型が前記換気信号によって示されるかどうかを決定することを前記プロセッサにさらに行わせ、前記呼吸不全表現型は、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、気胸のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項7】
前記ユーザ入力によって定義された前記フィルタ除去された換気信号の前記所定の限界は、容認可能な呼吸数および一回換気量の対応する範囲を備えている、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項8】
前記提案される是正措置は、前記患者-人工呼吸器非同調のサブタイプに基づく、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項9】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、病理学が急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、気胸のうちの少なくとも1つを含むとき、前記換気信号を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定することと、病理学的変化を経時的に識別することとを前記プロセッサにさらに行わせる、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項10】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、COセンサを備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、呼気された息中のCOを持続的に分析することによって、少なくとも、不適切な換気数または病理学のうちの少なくとも1つを識別することと心停止からの転帰を予測することとを前記プロセッサにさらに行わせる、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項11】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、Oセンサを備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記酸素測定値を持続的に分析することと、
前記患者のO含有量が現在の生理学的状態に対して高すぎるとき、または、低すぎるときのいずれかを識別することと、
前記患者に送達されるO濃度の変化に関するフィードバックをユーザに提供することと
を前記プロセッサにさらに行わせる、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項12】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、取得された臨床データを持続的に分析すること、および/または、インターネット無線通信、短距離無線通信、シリアル通信、セルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、電子医療記録システムまたは遠隔医療システムを備えている1つ以上の外部宛先、および/または、他の生理学的患者監視デバイスに未加工換気データまたは前記蘇生および換気監視システムから導出されたより高次の情報を伝送することを前記プロセッサにさらに行わせ、前記他の生理学的患者監視デバイスは、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または、心臓および循環器系生理学モニタを備えている、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項13】
前記アラートは、観察される患者-人工呼吸器非同調のサブタイプに特有である、請求項1に記載の蘇生および換気監視システム。
【請求項14】
命令を有する非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令は、機械的な人工呼吸器のプロセッサによって実行されると、
ユーザ入力を受信することであって、前記ユーザ入力は、患者の身長、体重、性別、年齢のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
前記患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計および1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つから受信された空気流測定値、圧力測定値、酸素測定値、二酸化炭素測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、現在の換気モードおよび関連付けられた機械的な人工呼吸器の設定を示す、前記患者の換気信号を生成することと、
前記換気信号内に存在する臨床アーチファクトを識別し、前記臨床アーチファクトをフィルタ除去することであって、前記臨床アーチファクトは、患者-人工呼吸器非同調以外の換気事象に対応する、ことと、
フィルタ除去された換気信号が前記ユーザ入力によって定義された所定の限界内にないことを決定することに応答して、前記フィルタ除去された換気信号が患者-人工呼吸器非同調に対応することを決定することと、
前記フィルタ除去された換気信号が患者-人工呼吸器非同調に対応することを決定することに基づいて、観察される患者-人工呼吸器非同調のサブタイプを識別することであって、前記患者-人工呼吸器非同調のサブタイプは、ダブルトリガ非同調、呼吸蓄積非同調、流量非同調、遅延終了非同調、早期終了/循環非同調うちの少なくとも1つである、ことと、
患者-人工呼吸器非同調の存在を示すアラートを生成することと、
換気の現在のモードおよび前記関連付けられた機械的な人工呼吸器の設定に基づいて、前記患者-人工呼吸器非同調を補正することを目的として、ユーザインターフェースを介して、前記機械的な人工呼吸器の設定を調節するためのユーザ実装可能な是正措置を提案することと
を前記プロセッサに行わせる、非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
前記提案される是正措置は、前記患者-人工呼吸器非同調のサブタイプに基づく、請求項14に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項16】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記換気信号を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定することと、病理学的変化を経時的に識別することとを前記プロセッサにさらに行わせ、前記病理学的変化は、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または、気胸を含む、請求項14に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項17】
前記アラートは、観察される患者-人工呼吸器非同調のサブタイプに特有である、請求項14に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(I.政府権利の陳述)
本発明は、国立心臓・肺臓・血液研究所による契約番号5K12HL108964-05の下での政府支援によってなされた、政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0002】
(II.関連出願の引用)
本願は、米国仮出願第62/420,943号(2016年11月11日出願)の優先権の利益を主張し、上記出願の全内容は、参照により本明細書に引用される。
【0003】
(III.技術分野)
本開示は、患者蘇生および換気監視システムに関する。
【背景技術】
【0004】
急性呼吸不全は、米国における集中治療室(「ICU」)搬送の最も一般的理由であり、平均在院死亡率約30%および付随する年間コスト$540億に関連付けられる。気道管理は、緊急蘇生および臨界処置の重要な側面である。ひいては、適切な換気数および一回換気量を提供することが、気道管理の重要な側面である。適切な換気数および一回換気量は、全体的患者サイズ(例えば、身長および体重)、性別、および/または年齢とともに変動する。したがって、小児科気道管理は、特に、小児科患者の広範囲の身長および体重に起因して困難であり得る。
【0005】
緊急事態中、第一応答者および臨床医は、一般に、気道管理のために、バッグバルブマスク(「BVM」)または手動人工蘇生器を使用する。しかしながら、多くの第一応答者および臨床医は、BVMまたは他の蘇生機器を用いて、患者を不注意に過換気し、それは、深刻な合併症につながり得る。過換気は、所与の患者の身体中のCOを減少させ、それは、アルカローシスをもたらす。アルカローシスは、患者の血液ヘモグロビンが酸素と結合することを妨害し、それは、最終的に、潜在的に、脳低酸素症および過換気症候群等の致死的状態を引き起こし、脳傷害および患者死亡率につながり得る。アルカローシスは、血管収縮も生じさせ、それは、脳への血流減少につながり得、外傷性脳傷害を伴う患者におけるより悪化した転帰をもたらすことが示されている。さらに、各呼吸に伴って与えられる不適切な一回換気量または総空気体積は、気圧性外傷および急性呼吸窮迫症候群(「ARDS」最大50%の罹患率増加および死亡率増加に関連付けられる一般的かつ深刻な形態のびまん性肺傷害である)の発現につながり得る。
【0006】
気道管理は、例えば、患者が病院にいる場合、機械換気(「MV」)を介して行われ得る。同様に、MVデバイスは、救命治療を提供し得るが、不適切に送達される場合、標的外換気、例えば、患者のサイズまたは生理学のために適切に最適化されていないとき、不適切な呼吸数および一回換気量をもたらし、人工呼吸器誘発肺傷害(「VILI」)、例えば、低または過換気ならびに気圧性外傷をもたらし得る。VILIの原理機構のうちの1つは、容量損傷として知られ、それによって、過剰な一回換気量(「TV」、各呼吸に伴って人工呼吸器によって送達される体積)の送達は、ARDSの病理学的および臨床的顕著な特徴の多くを伴う病理学的肺胞膨張、細胞傷害、およびびまん性肺傷害の発現をもたらす。
【0007】
肺組織の過剰な膨張は、不適切に処方された人工呼吸器設定、過剰な患者努力から、または、呼吸の合間の不完全な呼気、肺に取り込まれたガス、およびさらに組織膨張をもたらす患者-人工呼吸器非同調(「PVA」)のサブタイプから生じ得る。PVAは、標的外換気の一種であり、患者の呼吸需要が人工呼吸器の補助によって合致させられず、実質的患者苦痛、呼吸仕事量の増加、および肺傷害をさらに助長し得る潜在的に有害な換気の送達をもたらすときに生じ得る。ARDSを伴う患者における無作為化比較対照試験は、予測される体重の約6ml/kgの低一回換気量換気(「LTVV」)方略を標的とし、PVAを制御することが、生存率を改良することを示唆するが、現在までの研究は、過剰なTVの影響とPVAの影響を分離することが不可能であった。ARDSを伴わない換気される患者における研究は、LTVV方略が呼吸合併症の発現および院内発症ARDSを低減させると示唆する。
【0008】
加えて、急性呼吸不全は、ARDS、小程度から中程度の気道閉塞、および気胸を含むいくつかの一般的症候性表現型に関連付けられ得る。ARDSは、VILIを含む肺への多数の損傷によって生じる臨床症候群である。ARDSの最適管理は、肺保護機械換気の送達を要求する。しかしながら、多数の研究は、臨床医が、一貫して、ARDSの認識に失敗し、それが有害な人工呼吸器設定への不必要な患者暴露をもたらすことを立証している。ARDS認識を自動化するための以前の試みは、電子健康記録(「EHR」)データおよび胸部X線放射線科医報告を含む複数の源からのデータの調整された分析を要求し、複雑なEHRインターフェースおよびテキストマイニング技術が利用不可能である設定において、このアプローチを非実践的なものにしていた。小程度から中程度の気道閉塞は、一般に、喘息または喫煙関連慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に関連付けられる。急性閉塞症は、煙霧の吸入、エアロゾル化学炎症、および胃内容物の吸引にも起因して生じ得る。気胸は、自発的にまたは外傷の結果のいずれかによって、肺が衰弱するときに生じる。気胸の検出は、物理的検査および/またはX線撮像を要求し、それは、リソースが限定される状況、または時間が重要となる状況では、困難または不可能であり得る。
【0009】
その高有病率、コスト、および関連付けられた苦痛にもかかわらず、MVは、研究が困難なままであり、MVの患者特有の精密な管理を促進するための十分に検証され、広く利用可能な分析的または臨床的決定支援ツールは、存在しない。MV(および大部分の他の生命維持デバイス)からの波形データは、概して、EHRでは利用不可能であり、分析的ツールを開発する能力を限定する。臨床研究からのMVデータは、典型的には、1日数回のみ、手動で記録されており、それは、1日20,000回より多く定期的に呼吸を行なっている患者に対して全体としてサンプリング不足であることを表し、大部分の研究は、病理学的患者-人工呼吸器相互作用を診断および管理するためにベッドサイドで臨床医によって使用される豊富な人工呼吸器波形データ(「VWD」)のストリームを収集および分析することが不可能であった。大量の生理学的波形データの手動分析は、その労働集約的性質によって限定され、最近のデータは、VWDの目視を通して一般的形態のPVAを識別するように求められるとき、ICU臨床医が好ましくない成果を示すことを示唆し、標準化され、自動化された分析的ツールの必要性をさらに支持している。
【0010】
いくつかの小規模研究は、手動注釈付けから、パワースペクトル解析、専用の波形分析ソフトウェアの適用まで、PVAを分類するための種々の分析的アプローチを使用した、干渉的、例えば、ラップトップコンピュータ、または非スケーラブルなデータ入手方法を使用して、VWDを収集している。これらの研究は、重要な概念の証明、すなわち、MV波形データが、患者-人工呼吸器相互作用に関連する経時的に記録されていない情報に豊富に含まれていること、および、PVAおよび他の形態の「標的外」換気(「OTV」)の分析が、重要な臨床転帰と処置のプロセスとの関連付けを明らかにし得ることを実証している。現在までの研究は、人工呼吸器データへのアクセスのないこと、観察者バイアスを導入し、連続縦断的データ収集の実行可能性を限定し得る干渉的データ収集方法、アルゴリズム性能の限定された臨床検証、OTVサブタイプ間の区別不能性、および偽陽性事象分類をもたらし得る真のOTV事象と波形アーチファクトとの間で区別するための定義された分析的機構のないことによって限定されている。これらの問題は、MVに固有ではないので、改良されたMV波形分析ソフトウェアの開発は、保健医療「ビッグデータ」のより広い開発、例えば、データアクセス、伝送、標準化、セキュリティ、記憶、および算出に対する障壁を含む具体的分析および決定支援システム;誤認警報を最小化しながら、複雑かつ大量の未加工データを実用的情報に変換可能であるアルゴリズムへの臨床医の豊富な知識およびヒューリスティクスの組み込み;および、拡張性、他のシステムとの統合、および最終的に、診療現場への臨床決定支援の提供を可能にする技術的に優れたソフトウェアソリューションの開発に直面する課題のための一般的化可能な使用例としての役割を果たす。
【0011】
したがって、気道管理のための改良されたシステムおよび方法を提供することが望ましいであろう。
【0012】
具体的には、測定空気流特性の容認可能な範囲を決定し、標的外換気の具体的なタイプを決定し、検出された標的外換気タイプに応答して、提案される是正措置を提供することによって、臨床決定支援を改良する蘇生および監視システムならびに方法を提供することが望ましいであろう。
【0013】
高度なヒト臨床副専門分野診断技術の通常の必要性を伴わずに、高レベルの正確度を伴って、症候性表現型を自動的に識別し得る蘇生および監視システムならびに方法を提供することが望ましいであろう。
【0014】
また、任意の他のデバイスまたはシステムから独立して機能するデバイスを有することも望ましいであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
蘇生および換気監視システムであって、前記蘇生および換気監視システムは、
プロセッサと、
命令を有する非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体と
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
ユーザ入力をユーザから受信することであって、前記ユーザ入力は、患者身長、体重、性別、または年齢のうちの少なくとも1つを備えている、ことと、
前記患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計または1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つから受信された空気流、圧力、酸素、または二酸化炭素測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定を示す換気信号を発生させることと、
前記換気信号内に存在するアーチファクトを識別し、それをフィルタ除去することと、
前記現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定が前記ユーザ入力によって定義された所定の限界内にあるかどうかに基づいて、前記換気を標的内または標的外のいずれかとして分類することと、
前記換気が標的外である場合、標的外換気タイプを決定し、アラートを発生させることと、
前記アラートが発生させられる場合、ユーザインターフェースを介して、前記標的外換気タイプに基づいて是正措置を提案することと
を前記プロセッサに行わせ、
前記提案される是正措置は、前記ユーザが前記患者の手動バギングまたは機械的人工呼吸器の人工呼吸器設定を調節することによって実装可能である、蘇生および換気監視システム。
(項目2)
前記ユーザ入力を前記ユーザから受信するように構成された測定セレクタをさらに備え、
前記測定セレクタは、数字、文字、または色のうちの少なくとも1つを含む代用マーカを含む、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目3)
前記代用マーカは、複数の着色オプションを含み、前記複数の着色オプションの各々は、Broselowテープによって定義された色および関連付けられた測定値増加に対応し、
前記Broselowテープによって定義された前記色および関連付けられた測定値増加の各々は、前記換気のそれぞれの所定の限界に対応する、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目4)
前記ユーザ入力は、臨床決定支援アラーム閾値と是正措置のための提案とのためのユーザ定義設定をさらに備え、
前記アラートは、前記標的外換気タイプが前記臨床決定支援アラーム閾値を超えている場合に発生させられる、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目5)
前記プロセッサは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、前記空気流測定値を前記空気流量計または1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つから受信する、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目6)
前記プロセッサは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、電子医療記録システムまたは遠隔医療システムを備えている1つ以上の外部宛先と、1つ以上の生理学的患者監視デバイスとに未加工換気データおよび臨床決定支援を含む導出された情報を送信し、前記1つ以上の生理学的患者監視デバイスは、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または心臓および循環器系生理学モニタを備えている、項目5に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目7)
前記換気信号アーチファクトは、吸入事象、咳嗽、または患者人工呼吸器接続解除のうちの少なくとも1つである、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目8)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、呼吸不全表現型が前記換気内に存在するかどうかを決定することを前記プロセッサにさらに行わせ、前記呼吸不全表現型のサブタイプは、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸のうちの少なくとも1つである、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目9)
前記ユーザ入力によって定義された前記換気の所定の限界は、容認可能な呼吸数および一回換気量の対応する範囲を備えている、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目10)
前記換気の所定の限界は、前記ユーザ入力に基づく一般的に承認されている慣行標準を備えている、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目11)
前記発生させられるアラートは、視覚的アラートである、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目12)
前記発生させられるアラートは、オーディオアラートである、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目13)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記標的外換気のタイプがPVAである場合、患者-人工呼吸器非同調(PVA)サブタイプを決定することを前記プロセッサにさらに行わせ、
前記PVAサブタイプは、ダブルトリガ非同調、呼吸蓄積非同調、流量非同調、遅延終了非同調、早期終了非同調、強制呼気非同調、または非効果的トリガ非同調のうちの少なくとも1つであり、
前記提案される是正措置は、前記PVAサブタイプ、前記PVAの頻度、および前記PVAの時間的パターンのうちの少なくとも1つに基づく、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目14)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記標的外換気のタイプが一回換気量侵害である場合、送達される吸気体積が標的内にあるか、または標的外にあるかを決定することを前記プロセッサにさらに行わせ、
前記提案される是正措置は、前記現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定に基づく、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目15)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、病理学が急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸のうちの少なくとも1つを含むとき、換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定することと、病理学的変化を経時的に識別することとを前記プロセッサにさらに行わせる、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目16)
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、前記患者の肺と交換される空気流と流体連通するCO センサを備えている、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目17)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、呼気された息中のCO を持続的に分析することによって、少なくとも、不適切な換気数または病理学のうちの少なくとも1つを識別すること、または心停止からの転帰を予測することを前記プロセッサにさらに行わせる、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目18)
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、前記患者の肺と交換される空気流と流体連通するO センサを備えている、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目19)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記O を持続的に分析することと、
前記O 含有量が現在の生理学的状態のために高すぎるとき、または低すぎるときのいずれかを識別することと、
前記ユーザにO 濃度の変化に対してフィードバックを提供することと
を前記プロセッサにさらに行わせる、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目20)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、臨床データを持続的に分析することを前記プロセッサにさらに行わせ、前記臨床データは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、電子医療記録を備えている1つ以上の外部源と、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または心臓および循環器系生理学モニタを備えている1つ以上の生理学的患者監視デバイスとから取得される、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目21)
前記非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の命令は、前記プロセッサによって実行されると、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、電子医療記録システムまたは遠隔医療システムを備えている1つ以上の外部源と、他の生理学的患者監視デバイスとに未加工換気データまたは前記蘇生および換気監視システムから導出されたより高次の情報を伝送することを前記プロセッサにさらに行わせ、前記他の生理学的患者監視デバイスは、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または心臓および循環器系生理学モニタを備えている、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目22)
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、前記患者の肺と交換される空気流と流体連通する圧力センサを備えている、項目1に記載の蘇生および換気監視システム。
(項目23)
命令を有する非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令は、人工呼吸器のプロセッサによって実行されると、
ユーザ入力をユーザから受信することであって、前記ユーザ入力は、患者身長、体重、性別、または年齢のうちの少なくとも1つを備えている、ことと、
前記患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計または1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つから受信された空気流測定値に基づいて、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定を示す換気信号を発生させることと、
前記換気信号内に存在するアーチファクトを識別し、それをフィルタ除去することと、
前記現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定が前記ユーザ入力によって定義された所定の限界内にあるかどうかに基づいて、前記換気を標的内または標的外のいずれかとして分類することと、
前記換気が標的外である場合、標的外換気タイプを決定し、アラートを発生させることと、
前記アラートが発生させられる場合、ユーザインターフェースを介して、前記標的外人工呼吸器タイプに基づいて是正措置を提案することと
を前記プロセッサに行わせ、
前記提案される是正措置は、前記ユーザが前記患者の手動バギングまたは機械的人工呼吸器の人工呼吸器設定を調節することによって実装可能である、非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
(項目24)
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記標的外換気のタイプが患者-人工呼吸器非同調である場合、患者-人工呼吸器非同調タイプを決定することを前記プロセッサにさらに行わせ、
前記提案される是正措置は、前記患者-人工呼吸器非同調タイプに基づく、項目23に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
(項目25)
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、呼吸不全表現型が前記換気内に存在するかどうかを決定することを前記プロセッサにさらに行わせる、項目23に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
(項目26)
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定することと、病理学的変化を経時的に識別することとを前記プロセッサにさらに行わせ、前記病理学的変化は、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸を含む、項目23に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
(項目27)
患者の蘇生および換気を監視する方法であって、前記方法は、
測定セレクタを介して、ユーザ入力をユーザから受信することであって、前記ユーザ入力は、患者身長、体重、性別、または年齢のうちの少なくとも1つを備えている、ことと、
前記患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計または1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つから受信された空気流測定値に基づいて、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定を示す換気信号を発生させることと、
前記換気信号内に存在するアーチファクトを識別し、それをフィルタ除去することと、
前記現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定が前記ユーザ入力によって定義された所定の限界内にあるかどうかに基づいて、前記換気を標的内または標的外のいずれかとして分類することと、
前記換気が標的外である場合、標的外換気タイプを決定し、アラートを発生することと、
前記アラートが発生させられる場合、ユーザインターフェースを介して、前記標的外換気タイプに基づいて、是正措置を提案することと
を含み、
前記提案される是正措置は、前記ユーザが前記患者の手動バギングまたは機械的人工呼吸器の人工呼吸器設定を調節することによって実装可能である、方法。
(項目28)
前記標的外換気のタイプがPVAである場合、PVAサブタイプを決定することをさらに含み、
前記提案される是正措置は、前記PVAサブタイプに基づく、項目27に記載の方法。
(項目29)
呼吸不全表現型が前記換気内に存在するかどうかを決定することをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目30)
換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定することと、病理学的変化を経時的に識別することとをさらに含み、前記病理学的変化は、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸を含む、項目27に記載の方法。
(項目31)
換気送達の特定の方法が、循環器系ショックの発現または悪化に影響し得るとき、末端器官機能不全の発現または悪化に影響し得るとき、または、所与の急性疾病の生理学的必要性を満たすために不十分であるとき等、外部源から導出された臨床データと連動して、換気データを持続的に分析することによって、前記換気の状態および呼吸不全以外の疾病の両方に関連する1つ以上の病理学的状態を検出することと、
換気設定の調節を検討するようにオペレータを促すことと
をさらに含む、項目27に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、改良された蘇生および換気を監視するためのシステムおよび方法ならびに向上された臨床決定支援を提供することによって、これまで公知のシステムの短所を克服する。
【0016】
一実施形態は、蘇生および換気監視システムに関する。システムは、メモリを有するプロセッサと、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、規定された動作を実施させる命令を有する非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体とを含む。例えば、プロセッサは、患者の身長、体重、性別、年齢等のユーザ入力をユーザから受信し得る。プロセッサは、測定セレクタを介して、ユーザ入力を受信し得る。測定セレクタは、数字、文字、または色を有する代用マーカを含み得る。例えば、代用マーカは、複数の着色オプションを含み得、複数の着色オプションの各々は、Broselowテープによって定義された色および関連付けられた測定値増加に対応し、Broselowテープによって定義された色および関連付けられた測定値増加の各々は、換気のそれぞれの所定の限界に対応し得る。ユーザ入力は、臨床決定支援アラーム閾値と、是正措置のための提案とのためのユーザ定義設定とを含み得る。
【0017】
プロセッサは、患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計および/または1つ以上のセンサ、例えば、COセンサ、Oセンサ、または圧力センサから受信された空気流、圧力、酸素、または二酸化炭素測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定を示す換気信号も発生させ得る。プロセッサは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信を介して、空気流測定値を空気流量計および/または1つ以上のセンサから受信し得る。プロセッサは、未加工換気データおよび臨床決定支援を含む導出された情報を、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、限定ではないが、電子医療記録システムまたは遠隔医療システムを含む1つ以上の外部宛先に、および限定ではないが、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または心臓および循環器系生理学モニタを含む1つ以上の生理学的患者監視デバイスに送信し得る。
【0018】
プロセッサは、換気信号内に存在するアーチファクト、例えば、吸入事象、咳嗽、または患者人工呼吸器接続解除を識別し、それをフィルタ除去し得る。プロセッサは、呼吸不全表現型、例えば、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸が換気内に存在するかどうかも決定し得る。加えて、プロセッサは、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定がユーザ入力によって定義された所定の限界内にあるかどうかに基づいて、監視される換気を標的内または標的外のいずれかとして分類し得る。例えば、ユーザ入力によって定義された換気の所定の限界は、容認可能な呼吸数および一回換気量の対応する範囲を含み得る。さらに、換気の所定の限界は、患者に特有のユーザ入力に基づく一般的に承認されている慣行標準を含み得る。
【0019】
プロセッサが、換気が標的外であることを決定する場合、プロセッサは、標的外換気のタイプ、例えば、一回換気量侵害またはPVAを決定し、換気が標的外である場合、アラートを発生させ得る。一実施形態では、アラートは、標的外換気タイプが臨床決定支援アラーム閾値を超える場合にのみ、発生させられ得る。アラートは、例えば、オーディオまたは視覚的アラートであり得る。プロセッサは、アラートが発生させられる場合、ユーザインターフェースを介して、標的外換気タイプに基づいて、是正措置をユーザに提案する。例えば、プロセッサが、標的外換気が、PVA、例えば、ダブルトリガ非同調、呼吸蓄積非同調、流量非同調、遅延終了非同調、早期終了非同調、強制呼気非同調、または非効果的トリガ非同調であると決定する場合、提案される是正措置は、PVAサブタイプ、PVAの頻度、またはPVAの時間的パターンに基づき得る。加えて、プロセッサが、標的外換気が一回換気量侵害であることを決定する場合、例えば、送達される吸気体積が標的外である場合、提案される是正措置は、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定に基づき得る。提案される是正措置は、ユーザが患者の手動バギングまたは機械的人工呼吸器の人工呼吸器設定を調節することによって実装可能であり得る。
【0020】
システムは、換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定することと、病理学的変化、例えば、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸を経時的に識別することとを行い得る。例えば、システムは、呼気された息中のCOを持続的に分析することによって、少なくとも不適切な換気数または病理学のうちの少なくとも1つを識別する、または、心停止からの転帰を予測し得るか、またはOを持続的に分析することによって、O含有量が現在の生理学的状態のために高すぎるとき、または低すぎるときのいずれかを識別し、ユーザにO濃度の変化に対してフィードバックを提供し得る。
【0021】
システムは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、限定ではないが、電子医療記録を含む1つ以上の外部源から、および限定ではないが、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または心臓および循環器系生理学モニタを含む1つ以上の生理学的患者監視デバイスから取得される臨床データを持続的に分析し得る。システムは、未加工換気データまたは蘇生および換気監視システムから導出されたより高次の情報を、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、またはセルラー通信のうちの少なくとも1つを介して、限定ではないが、電子医療記録システムまたは遠隔医療システムを含む1つ以上の外部源に、および限定ではないが、パルスオキシメータ、非侵襲性血圧カフ、侵襲性動脈血圧モニタ、頭蓋内モニタ、または心臓および循環器系生理学モニタを含む他の生理学的患者監視デバイスに伝送し得る。
【0022】
本開示の別の実施形態は、患者の蘇生および換気を監視する方法に関する。方法は、ユーザ入力、例えば、患者身長、体重、性別、または年齢を、測定セレクタを介して、ユーザから受信することと、患者の肺と交換される空気流と流体連通する空気流量計および/または1つ以上のセンサから受信された空気流測定値に基づいて、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定を示す換気信号を発生させることと、換気信号内に存在するアーチファクトを識別し、それをフィルタ除去することと、現在の換気モードおよび関連付けられた人工呼吸器設定がユーザ入力によって定義された所定の限界内にあるかどうかに基づいて、換気を標的内または標的外のいずれかとして分類することと、換気が標的外である場合、標的外換気タイプを決定し、アラートを発生させることと、アラートが発生させられる場合、ユーザインターフェースを介して、標的外換気タイプに基づいて、是正措置を提案することであって、提案される是正措置は、ユーザが患者の手動バギングまたは機械的人工呼吸器の人工呼吸器設定を調節することによって実装可能であり得る、こととを含む。方法は、呼吸不全表現型が換気内に存在するかどうかを決定することと、換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定し、病理学的変化、例えば、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸を経時的に識別することとも含み得る。
【0023】
方法は、外部源から導出された臨床データと連動して、換気データを持続的に分析し、換気送達の特定の方法が、循環器系ショックの発現または悪化に影響し得るとき、末端器官機能不全の発現または悪化に影響し得るとき、または所与の急性疾病の生理学的必要性を満たすために不十分であるとき等、換気の状態および呼吸不全以外の疾病の両方に関連する1つ以上の病理学的状態を検出することと、換気設定の調節を検討するようにオペレータを促すこととを含み得る。
【0024】
前述の概念および下記により詳細に議論される追加の概念の全ての組み合わせ(そのような概念が互いに矛盾しないことを所与として)が、本明細書に開示される本発明の主題の一部と見なされることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部と見なされる。
【0025】
システムは、任意の他のデバイスまたはシステムから独立して機能し得、他のデバイスに依存しない。具体的には、デバイスは、任意のタイプの機械的人工呼吸器またはバッグバルブマスクと協働し、直接入力をそれらのデバイスから要求しない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
当業者は、図面が、主に、例証目的のためのものであり、本明細書に説明される主題の範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。図面は、必ずしも、正確な縮尺ではない。いくつかの事例では、本明細書に開示される主題の種々の側面は、異なる特徴の理解を促進するために、図面中で誇張または拡大されて示され得る。図面では、同様の参照文字は、概して、同様の特徴を指す(例えば、機能的に類似および/または構造的に類似する要素)。
【0027】
図1図1は、例示的実施形態による、蘇生および換気監視システムの種々の特徴を図示する概略ブロック図である。
【0028】
図2-1】図2A-2Dは、空気流量計の種々の配置を図示する。
図2-2】図2A-2Dは、空気流量計の種々の配置を図示する。
【0029】
図3A図3Aは、COセンサの例示的配置を図示する。
【0030】
図3B図3Bは、帯域通過フィルタの例示的配置を図示する概略図である。
【0031】
図4図4A-4Cは、測定セレクタの種々の配置を図示する。
【0032】
図5A図5Aは、コントローラの種々の特徴を図示する概略ブロック図である。
【0033】
図5B図5Bは、低域通過フィルタの例示的配置を図示する概略図である。
【0034】
図6図6は、図1の蘇生および換気監視デバイスの例示的実施形態の分解図である。
【0035】
図7図7は、本開示の原理による、換気システムのプロセッサによって実施されるアクションを描写するフローチャートを図示する。
【0036】
図8-1】図8A-8Fは、種々の臨床アーチファクトおよび患者-人工呼吸器非同調サブタイプの波形を図示する。
【0037】
図8-2】図8Gは、本開示の原理に従って決定されるような「標的内」で観察される換気を図示する。
【0038】
図8-3】図8Hは、本開示の原理に従って決定されるような「ダブルトリガ非同調」患者-人工呼吸器非同調を図示する。
【0039】
図9図9は、本開示の原理による、人工呼吸器マルチアルゴリズム分析プラットフォームと称される拡張可能モジュール式分析エンジンを図示する概略ブロック図である。
【0040】
図10図10Aおよび10Bは、本開示の原理による、アーチファクト補正の有無別のDTAの検出率を図示する。
【0041】
図11図11Aおよび11Bは、本開示の原理による、一回換気量-融合の有無別の標的外呼吸の階層化を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書に開示される本発明の概念の特徴および利点は、図面と関連して検討されるとき、下記に記載される発明を実施するための形態からより明白となるであろう。
【0043】
以下の発明を実施するための形態では、本開示の一部を形成する付随の図面を参照する。図面および説明に記載される実施形態は、例示的であり、限定ではないことが意図される。本明細書で使用されるように、用語「実施例」は、「実施例または例証としての役割を果たす」ことを意味し、必ずしも、他の実施形態より好ましいまたは有利なものとして解釈されるべきではない。他の実施形態が、利用され得、修正が、本明細書に提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に説明および図示されるような本開示の側面は、種々の異なる構成において配置され、組み合わせられ、および設計され得、その全ては、明示的に検討され、本開示の一部を形成する。
【0044】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される各技術的または科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同一意味を有する。以下の請求項および本明細書に提供される本開示に従って、以下の用語は、明示的に別様に述べられない限り、以下の意味を伴って定義される。
【0045】
明細書および請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、単数形および複数参照の両方を含む。例えば、用語「センサ」は、複数のセンサを含み得、かつ含むと見なされる。随時、請求項および本開示は、「複数の」、「1つ以上の」、または「少なくとも1つ」等の用語を含み得る。しかしながら、そのような用語がないことは、複数形が想定されないことを意味することを意図するものではなく、そのように意味するものと解釈されるべきではない。
【0046】
本明細書で使用されるように、用語「~を備えている」または「~を備え」は、デバイス、システム、および方法が、列挙された要素を含み、加えて、任意の他の要素を含み得ることを意味することが意図される。「~から本質的に成る」は、デバイス、システム、および方法が、列挙された要素を含み、述べられた目的のために、組み合わせに本質的に意義のある他の要素を除外しないことを意味するものとする。したがって、本明細書に定義されるような要素から本質的に成るデバイスまたは方法は、請求される発明の基本および新規特性に実質的に影響を及ぼさない他の材料またはステップを除外しないであろう。「~から成る」は、デバイス、システム、および方法が、列挙された要素を含み、取るに足らないまたは重要度が低い要素またはステップの任意のものを除外することを意味するものとする。これらの移行句のそれぞれによって定義された実施形態は、本開示の範囲内である。
【0047】
「構成要素」は、本明細書で使用されるように、個々のユニットまたは構造を指し得るか、またはより大きい構造の部分、特徴、または区分を指し得る。
【0048】
本明細書で使用されるように、「患者」は、蘇生または換気治療を受ける任意の個人を意味するものとする。
【0049】
本明細書で使用されるように、「ユーザ」は、本明細書に開示されるシステムまたはデバイスのいずれかと相互作用する、または別様にそれを使用する任意の個人を指すものとする。例えば、ユーザは、保健医療プロバイダまたは保健医療技術者、もしくは患者を補助または監視する両親もしくは保護者であり得る。
【0050】
本明細書に開示される種々の実施形態は、蘇生プロセス中の種々の患者パラメータ(呼吸数、一回換気量、圧力、COレベル、およびOレベル等)を監視するデバイスを対象とする。本開示は、特に、呼吸数、一回換気量、圧力、COレベル、およびOレベルについて議論するが、当業者は、他の実施形態が、患者蘇生中、他のまたは追加のパラメータも同様に監視するデバイスを含み得ることを認識するであろう。デバイスは、バッグバルブマスク(BVM)、バッグおよび気管内管、または機械的人工呼吸器等の他の蘇生機器と組み合わせられ得る。デバイスは、調節可能制御設定を含み、調節可能制御設定は、所与の患者の寸法、例えば、身長および体重、性別、および/または年齢に対応し、適切な換気数および一回換気量が送達されていない場合、デバイスがユーザに警告することを可能にする。デバイスのいくつかの実施形態は、特に、Broselowテープシステムを調節可能制御設定の中に組み込む、子供における気道管理において使用するために有利である。Broselowテープは、小児科患者身長の確立された範囲に対応する色分けされたテープである。各色は、所与のサイズ範囲に特有の適切な換気技法および他の重要な医療手技(例えば、小児科患者身長の所与の範囲のための適切な換気数および一回換気量)に関連付けられる。加えて、いくつかの実施形態は、呼気終末COを測定するセンサを含む。呼気終末COを測定することは、ユーザが、患者は、拍動を有する(例えば、心停止後)かどうかを決定し、心臓出力および換気を監視すること、および、関連付けられた気管内管が気管(すなわち、食道と違って)内に適切に配置されているかどうかを決定することを可能にする。デバイスは、酸素濃度を測定するセンサおよび/または空気流の温度を測定するセンサも含み得る。動作時、ユーザは、Broselowテープに基づいてユーザの患者が対応する色群を識別し得、その色群に対応するようにデバイス上の制御設定を調節し得る。ユーザは、患者の身長および性別も識別し得、デバイスは、その身長および性別のために制御設定を調節するであろう。ユーザは、次いで、患者に換気を開始し得る。換気が、速すぎる場合、または遅すぎる場合、アラームシステムが、トリガされ、ユーザに、換気が調節されるべき程度を把握するために関連付けられたディスプレイを確認するようにアラートするであろう。
【0051】
ここで図1を参照すると、蘇生および換気監視デバイス100は、入口102と、空気流量計104と、センサ106と、コントローラ108と、測定セレクタ110と、センサアラーム112とを含む。いくつかの配置では、デバイス100は、BVM(例えば、ポンプまたはバッグから交換される空気流に従って配置された)またはある他の蘇生デバイス(例えば、バッグおよび気管内管、または機械換気デバイス)の中に組み込まれる。入口102は、デバイス100が、患者の肺と流体連通することを可能にするように構成される。いくつかの配置では、入口102は、患者の口(例えば、BVMに従って配置される)に空気流を提供および受け取る導管に従って配置される。いくつかの配置では、入口102は、患者の口にシールおよび除去可能に係合するように構成されたマウスピースである。いくつかの配置では、入口102は、患者の気管と直接交換される空気流と流体連通する。これらおよび他の配置に一貫して、入口102は、患者と交換される空気流がデバイス100を通過することを可能にする。
【0052】
空気流量計104は、呼吸周波数および入口102を通過する空気流体積を検出および測定するように構成される。空気流量計104は、例えば、Fleischタイプ呼吸流量計、Lilly呼吸流量計、可変オリフィス呼吸流量計、固定オリフィス呼吸流量計、熱線風速計、回転羽根肺流量計、超音波ベースの呼吸流量計、または当業者によって公知の任意の他の空気流量計のうちの少なくとも1つを含み得る。したがって、空気流量計104は、デバイス100に患者呼吸数および一回換気量に対応するデータを提供する。例えば、空気流量計104は、1~75呼吸/分(「bpm」)に及ぶ呼吸数、および5~5,000mLの一回換気量を測定するように構成され得る。加えて、空気流量計104は、差異、すなわち、Δが、次いで、デバイス100のユーザインターフェース上に表示され得るように、呼吸サイクル内の患者の吸気体積対呼気体積を検出、測定、および比較するように構成され得る。同様に、センサ106は、例えば、入口102を通過する空気流中のCOレベルを検出および測定するように構成されたCOセンサを含み得る。例えば、センサ106は、0~99mmHgに及ぶCOレベルを測定するように構成され得る。センサ106は、デバイスを通過する空気流中の圧力を測定する圧力センサを含み得る。センサ106は、入口102を通過する空気流中のOレベルを検出および測定するように構成されたOセンサを含み得る。加えて、または代替として、センサ106は、入口102を通過する空気流の温度および入口102を通過する空気流の湿度を検出および測定するように構成された温度センサを含み得る。
【0053】
測定セレクタ110は、ユーザがデバイス100に患者のサイズ、性別、および/または年齢に関連する情報を提供することを可能にする入力構成要素である。いくつかの配置では、測定セレクタ110は、複数の事前に設定されたボタン、トグル、スイッチ、または他の機械的もしくはデジタル的に双方向の構成要素を含み、それらは、患者サイズの事前に設定された増加(例えば、Broselowテープの色または患者の直接測定値に対応する色を含む代用マーカ)に対応する。他の配置では、測定セレクタ110は、ユーザが具体的な患者サイズ測定値、性別、および/または年齢を手動で打ち込むことを可能にし(例えば、キーの機械的セットまたはデジタルタッチスクリーン上に配置されるキーボードまたは数値パッド)、それによって、より大きいレベルの粒度を可能にする。
【0054】
センサアラーム112は、出力構成要素であり、それは、少なくとも1つのパラメータ(例えば、測定された呼吸数、一回換気量、圧力、呼気された体積と呼気された体積との差異、COレベル、またはOレベル)が容認可能なレベル(すなわち、測定セレクタ110を通して提供される患者サイズ、性別、および/または年齢情報によって決定されるような)を上回るまたは下回るとき、ユーザと通信するように構成される。いくつかの配置では、センサアラーム112は、ユーザに聴覚信号(例えば、ビープ、トーン等)を提供するように構成される。いくつかの配置では、センサアラーム112は、ユーザに視覚的信号(例えば、点灯されたLED、電球等の照明された光、またはデジタルディスプレイ上のメッセージ等)を提供するように構成される。
【0055】
さらに、いくつかの配置では、センサアラーム112および/または測定セレクタ112は、ディスプレイ114の中に組み込まれ得る。ディスプレイ114は、情報をユーザに提供するように構成されたデジタル画面(例えば、LCD画面)である。いくつかのそのような配置では、ディスプレイ114は、デバイス100上に配置され、ユーザが測定情報(例えば、呼吸数、一回換気量、換気波形、圧力、呼気された体積と呼気された体積との差異、温度、COレベル、Oレベル)およびそのような測定値の容認可能な範囲を視認することと、デバイス100に測定情報(例えば、患者サイズ、患者性別、患者年齢、Broselowテープ色選択等)を提供することとの両方を行うことを可能にするタッチスクリーン構成要素を含み得る。測定情報は、換気が標的内であるか、標的外であるかを示す色分けされたアラームと、標的外である呼吸のパーセンテージとを含み得る。センサアラーム112および/またはディスプレイ114は、デバイス100から遠隔の別個のデバイスの一部であり得、それによって、デバイス100は、少なくとも1つのパラメータが容認可能なレベルを上回るまたは下回るとき、聴覚または視覚的信号を介してユーザと通信するために情報を別個の遠隔デバイスのセンサアラームに送信する。遠隔デバイスは、患者情報を入力するためのユーザインターフェースをさらに含み得、ユーザインターフェースは、例えば、上で説明されるような測定セレクタを有する。デバイス100と別個の遠隔デバイスのユーザインターフェースとの間の通信は、複数のプラットフォーム、例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、光学通信、およびセルラー通信を横断して生じ得る。加えて、デバイス100と別個の遠隔デバイスのユーザインターフェースとの間の通信は、種々の範囲、例えば、短(フィート)または長(マイル)にわたって生じ得る。
【0056】
コントローラ108は、データ処理および非一過性記憶ハードウェア、および本明細書に説明される種々の機能を実施するための関連付けられた論理を含む。データ処理ハードウェア、例えば、プロセッサは、プロセッサによって実行されると、プロセッサ、それによって、コントローラ108に、種々の機能を実施させる、その上に記憶された命令(例えば、アルゴリズム)を有する非一過性記憶ハードウェアを含み、および/または、それに結合され得る。例えば、コントローラ108は、患者サイズ(例えば、Broselowテープ色または身長および体重の数値測定値)、患者性別、および/または患者年齢に対応するユーザ入力を測定セレクタ110から受信するように構成され得る。コントローラ108は、次いで、(例えば、フラッシュドライブ等の非一過性記憶媒体内に記憶されるような、または測定値計算論理によって決定されるような)患者サイズ、性別、および/または年齢のための容認可能な測定範囲を決定するか、または、それを読み出し得る。患者からの空気流は、次いで、入口102を通過し、空気流量計104およびセンサ106に、コントローラ108に空気流測定値を提供させ得る。コントローラ108のデータ処理ハードウェアは、その上に記憶される命令の実行時、対応する呼吸数、一回換気量、圧力、呼気された体積と呼気された体積との差異、COおよびOレベル、および温度を計算または処理し、それらの値を容認可能な測定範囲と比較し、センサアラーム112に、空気流測定値が容認可能な測定範囲外にある場合、ユーザにアラートさせ得る。処理される情報は、圧力および/または流量波形の形態であり得、波形は、観察のためにユーザインターフェース上に表示される。コントローラ108は、記憶された情報が分析のために後の時間にダウンロードされ得るように、空気流測定情報、および/または、計算または処理された情報を非一過性記憶媒体内に記憶し得る。加えて、デバイス100は、換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定し、病理学的変化、例えば、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸を経時的に識別し得る。
【0057】
デバイス100は、デバイスおよびユーザインターフェースのネットワーク内で機能するように構成され得る。例えば、デバイス100は、流れを測定するためにライン内に設置され、情報を処理し、遠隔ユーザデバイスがユーザインターフェース(例えば、タブレット、電話、コンピュータ、またはGoogleグラス等の「ヘッドアップディスプレイ」)を有する遠隔場所にその情報を送信し、情報をユーザに通信し得る。いくつかのそのような配置では、複数のデバイスが、情報を単一ユーザインターフェースに送信し得る。故に、計算が、デバイス100自体上のコントローラ108によって実行され得るか、または、空気流量計104およびセンサ106からの未加工データストリームが、計算が実行され、ユーザに表示される別個のデバイスの遠隔コントローラに送信され得る。デバイス100と別個の遠隔デバイスのユーザインターフェースとの間の通信は、複数のプラットフォーム、例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信、およびセルラー通信を横断して生じ得る。加えて、デバイス100と別個の遠隔デバイスのユーザインターフェースとの間の通信は、種々の範囲、例えば、短(フィート)または長(マイル)にわたって生じ得る。デバイスの構成要素およびそのいくつかの配置は、下記により詳細に議論される。
【0058】
ここで図2Aを参照すると、第1の空気流量計配置210は、ファンの使用を組み込み、流出チャンバ211と、流入チャンバ214とを含む。流出チャンバ211は、一方向流出弁213と、流出ファン212とを含む。順に、流入チャンバ214は、対応する一方向流入弁215と、流入ファン216とを含む。流出チャンバ211および流入チャンバ214の各々は、患者の肺と交換される空気流に従う入口102と流体連通する。
【0059】
第1の空気流量計配置210では、患者の肺の中に圧送される空気は、各それぞれの一方向弁の結果、流入チャンバ214を通って流動し、患者の肺から外に引き出される空気は、流出チャンバ211を通って流動する。空気が、所与のチャンバ(例えば、流出チャンバ211)を通って流動するにつれて、関連付けられたファン(例えば、流出ファン212)が、スピンするであろう。各ファンは、ファン車軸に取り付けられる磁石を含み、ファンがスピンしている間、電流を発生させる。発生させられた電流は、ファン抵抗器を通過し得、電圧が、測定され得る。したがって、出力電圧ピーク間の時間は、換気数を決定するために使用され得る。流入ファン216の電圧曲線の下の面積は、患者の肺に送達される空気の体積に対応し、流出ファン212の電圧曲線の下の面積は、患者の肺から引き出される空気の体積に対応する。送達される空気と引き出される空気(すなわち、それぞれ、流入チャンバ214および流出チャンバ211を通過する)との体積間の差異は、(例えば、デバイス100自体内、換気マスクにおける、気管内管における等の)任意の空気漏出の存在および程度を示し得る。
【0060】
流出ファン212および流入ファン216は、患者蘇生中に存在する温度および湿度条件に耐え得る材料から構成されるべきである。容認可能なファン材料は、例えば、ガラス強化ポリプロピレン(PPG)、ガラス強化ポリアミド(PAG-ナイロン)、ガラス強化ポリアミド(産業品質)(PAGI)、静電静的強化ガラス(PAGAS-ナイロン)、振動安定化ガラス強化ポリアミド(PAGST-「SuperTuff」ナイロン)、およびアルミニウムEN AC-AL SI12CU1(FE)(AL)を含む。
【0061】
ここで図2Bを参照すると、第2の空気流量計配置220は、容積式流量計の使用を組み込む。第2の空気流量計配置220は、第1の面積を有する上流端部222と、より小さい第2の面積(すなわち、第1の面積に対して)を有する下流端部223とを伴う、空気流導管221を含む。空気流224(例えば、患者の肺にまたはそこから進行する)は、上流端部222から下流端部223に進行する。面積の差異を所与として、空気流224は、より低い第1の速度およびより低い第1の圧力を上流端部222において示し、対応するより高い第2の速度およびより高い第2の圧力を下流端部223において示す。1つの配置では、関節運動する圧力フラップ225が、下流端部223内の空気流224の方向に垂直に配置される。圧力フラップ225は、それに及ぼされる空気流圧力に対応する運動範囲にわたって旋回し、それによって、下流端部223における圧力を測定するように構成される。したがって、第2の空気流量計配置220では、呼吸数は、圧力フラップ225の振動から決定され得、一回換気量は、以下のBernoulliの方程式に適用されると、既知の値(例えば、第1および第2の体積)と測定された値(例えば、第1および第2の圧力、ならびに第1および第2の速度)とから決定され得る。
【数1】
式中、ρ、v、およびpは、それぞれ、空気流の密度、速度、および圧力を表す。圧力フラップ225は、下流端部223におけるセンサの壁と平行であるようにも構成され得る。別の圧力センサが、上流端部222における壁と平行であるように構成され得る。これらの2つの圧力センサは、センサを横断する差分圧力を計算し、Bernoulli方程式を使用して、流れを計算するために使用され得る。
【0062】
ここで図2Cを参照すると、第3の空気流量計配置230は、超音波変換器を組み込み、一回換気量および呼吸数を測定する。第3の空気流量計配置230は、上流端部232と、下流端部233とを有する空気流導管231を含む。空気流234(例えば、患者の肺にまたはそこから進行する)は、上流端部232から下流端部233に進行する。第1の超音波変換器235は、上流端部232に向かって空気流導管231内に配置され、第2の超音波変換器236は、下流端部233に向かって(すなわち、第1の超音波変換器235に対して)空気流導管231内に配置される。各変換器は、音を交互する方向に放出し、受信する。空気流234が、空気流導管231内に存在するとき、音響波が第1の超音波変換器235から第2の超音波変換器236に進行するために要する時間t(すなわち、空気流234に伴って進行する音響波)は、第2の超音波変換器236から第1の超音波変換器235への時間t(すなわち、空気流234に対抗して進行する音響波)より短い。この時間差Δtは、空気流234の速度に比例し、空気流体積も、以下の様式で計算され得る。
(数学的モデル)
V=LΔt/2Xt
V:流動速度
L:変換器間の距離
X:弁に沿った経路の投影長さ(X=Lcosθ)
:波信号が上流に進行するために要する時間
:波信号が下流に進行するために要する時間
(体積流量)
Q=VA
各変換器からの各音パルスの通過時間は、デジタルクロックを用いて精密に測定され得る。
【0063】
第3の空気流量計配置230では、空気流導管231は、空気流234にさらされるセンサ要素を有していないように構成され、および/または、可動部品を有していないように構成され得るので、使い捨てであり得る。そのような配置では、空気流導管231は、衛生遮蔽体としてのみ機能し、変換器間を進行する超音波パルスに対して透過性である。第3の空気流量計配置230の潜在的利点は、ガス流と直接接触しないセンサ要素と、流体の温度、圧力、密度、および粘度等の他の要因に対して比較的に敏感でない測定データとを含む。
【0064】
ここで図2Dを参照すると、第4の空気流量計配置240は、流入空気流センサを組み込む。第4の空気流量計配置240は、上流端部242と、下流端部243とを有する空気流導管241を含む。空気流244(例えば、患者の肺にまたはそこから進行する)は、上流端部242から下流端部233に進行する。加えて、加熱器回路245が、上流温度センサ246と下流温度センサ247との間に配置され、それらの各々は、空気流導管241の周りに環状に配置される。
【0065】
動作時、所定の量の熱が、加熱器回路245に印加される。上流温度センサ246および下流温度センサ247の各々は、直接、加熱されず、したがって、加熱器回路245に対する参照点として機能する。空気流導管241を通る流動が存在しないとき、加熱器回路245と上流温度センサ246および下流温度センサ247の各々との間の温度差は、それらの最大にある。空気流244が、空気流導管241を通って流動するにつれて、加熱器回路245は、冷却され、加熱器回路245と上流温度センサ246および下流温度センサ247の各々との間の温度差は、減少する。加えて、上流温度センサ246および下流温度センサ247は、加熱器回路245の両側上に配置されるので、結果として生じる温度差は、空気流244の方向も示し得る。空気流244の交互する方向が、したがって、検出され、呼吸数をもたらし得る。
【0066】
いくつかの配置では、二重Wheatstoneブリッジシステム248が、空気流導管241上に配置され、加熱器回路241と、上流温度センサ246と、下流温度センサ247とを抵抗-温度検出器(「RTD」)として組み込む。RTDでは、抵抗値のうちの1つは、測定された温度差に依存するであろう。RTDの出力は、供給電圧に比例した出力電圧をもたらす温度に関して比較的に線形であり、供給電圧に比例した出力電圧は、Wheatstoneブリッジを横断した差分電圧に直接対応し、差分電圧は、流入流量に比例する。
【0067】
空気流量計104の4つの実施例が、図2A-2Dに提供されたが、当業者は、他の配置も可能であることを認識するであろう。例えば、空気流量計104は、他のIR分光計、Fleischタイプ呼吸流量計、Lilly呼吸流量計、可変オリフィス呼吸流量計、固定オリフィス呼吸流量計、熱線風速計、回転羽根肺流量計、または超音波ベースの呼吸流量計を使用して実装され得る。
【0068】
ここで図3Aを参照すると、センサ106に対応する例示的センサ配置300は、IR分光分析を組み込む。センサ配置300は、センサ構成要素が取り付けられる基礎としての役割を果たすセンサ筐体302を含む。IR源304が、IR検出器306と反対側にセンサ筐体302内に配置される。IR源304は、赤外線光を患者の肺と交換される空気流を横断してIR検出器306に提供する。いくつかの配置では、IR源304は、空気流を通過する波長の範囲を狭めるように構成されたIRフィルタを含む。さらに、いくつかの配置では、帯域通過フィルタが、センサ筐体302内に配置され、センサ(例えば、図3Bに示されるような回路構成要素320)のタイプに応じて、COまたはOの吸収範囲外の全ての他の波長を除去し得る。IR検出器306は、空気流を通過した後のIR強度を対応して検出するように構成された内蔵フィルタを伴うサーモパイルを含み得、したがって、IR検出器306は、空気流中のCOおよびOの量を決定し得る。センサ筐体302は、空気流導管310に従って配置される対応するアダプタスロット308に係合するように構成され得る。アダプタスロット308は、IR源304が赤外線光を空気流導管310内の空気流を横断してIR検出器306に伝送することを可能にするように構成される。いくつかの配置では、空気流導管310は、水分を空気流から除去するように構成された1つ以上のフィルタを含む。
【0069】
ここで図4Aを参照すると、測定セレクタ110の第1の配置410が、示される。第1の配置410は、ディスプレイ411(例えば、ディスプレイ114)を含む。ディスプレイ411は、ユーザに蘇生および換気監視デバイス100の動作に関連する情報(例えば、測定情報、容認可能な測定範囲等)を提供するように構成されたデジタル画面である。いくつかの配置では、ディスプレイ411は、タッチスクリーンまたは関連付けられたキーパッドもしくはキーボード等の入力側面を含む。したがって、いくつかのそのような配置では、ユーザは、ディスプレイ411を使用して、精密な患者測定値(例えば、具体的な身長および体重)、性別、および/または年齢を手動で打ち込むことが可能であり得る。デバイス100は、手動で打ち込まれた患者測定値を使用して、患者を適切な群(例えば、打ち込まれた具体的な身長および体重を含む身長および体重範囲に対応するBroselowテープ色のうちの1つ)に分類するか、または患者の具体的な身長および体重、性別、および/または年齢に合わせて容認可能な測定範囲を発生させるように構成され得る。
【0070】
第1の配置410は、Broselowテープに対応する選択可能色を伴うダイヤル412も含む。Broselowテープは、患者のサイズ(例えば、身長および体重)に従って、異なる色を割り当て、それは、ダイヤル412上の対応する切り欠き付き区分によって表され得る。ユーザが、ダイヤル412を使用して、色を選択すると、デバイス100は、ユーザに、適切な換気数を伝え、換気が不適正であるとき、ユーザにアラームするであろう(例えば、ディスプレイ411を介して)。小児科医および他の医療人員は、Broselowテープが使用される方法をすでに熟知していることもあり、したがって、ダイヤル412の使用は、ディスプレイ411を使用して、所与の患者の身長、性別、および体重値を手動で打ち込むことより高速かつより容易であり得る。Broselowテープの色に対応する区分に加え、ダイヤル412は、1つ以上の成人サイズに対応する1つ以上の切り欠き付き区分を含み得る。
【0071】
ここで図4Bを参照すると、測定セレクタ110の第2の配置420に示されるように、Broselowテープ設定は、複数のプッシュボタン421の一部または全部に割り当てられ得る(すなわち、図4Aのダイヤル412の代わりに)。加えて、複数のプッシュボタン421は、Broselowテープ色に対応する身長のラベルも含み得、したがって、ユーザは、蘇生中、正しい設定を迅速に選択し得る。さらに、測定セレクタ110の第3の配置430に示されるように、複数のプッシュボタン431は、対応する複数のスイッチカバー432によって、不注意による作動から保護され得る。
【0072】
ここで図5Aを参照すると、コントローラ108は、信号処理論理502と、データ記憶システム504と、閾値監視論理506とを含む。信号処理論理502は、測定データを空気流量計104およびセンサ106から受信するように構成される。一側面では、信号処理論理502は、測定されたCOレベルをセンサ106から受信し、測定されたCOレベルを閾値監視論理506にルーティングするように構成される。別の側面では、信号処理論理502は、測定されたOレベルをセンサ106から受信し、測定されたOレベルを閾値監視論理506にルーティングするように構成される。さらに別の側面では、信号処理論理502は、測定された温度をセンサ106から受信し、測定された温度を閾値監視論理506にルーティングするように構成される。さらに別の側面では、信号処理論理502は、測定された空気流データを空気流量計104から受信し、空気流データを閾値監視論理506にルーティングするように構成される。さらに別の側面では、信号処理論理502は、測定された圧力をセンサ106から受信し、圧力データを閾値監視論理506にルーティングするように構成される。別の側面では、信号処理論理502は、測定された空気湿度をセンサ106から受信し、測定された湿度測定値を閾値監視論理506にルーティングするように構成され得る。いくつかの配置では、信号処理論理502は、呼吸数、一回換気量、および呼気された体積と呼気された体積との差異、例えば、Δを測定された空気流データ(例えば、図2A-2Dに関して上で議論されるように)から計算し、呼吸数、一回換気量、およびΔを閾値監視論理506に転送するようにさらに構成される。
【0073】
いくつかの配置では、空気流量計104およびセンサ106においてセンサによって発生させられた出力電圧は、200SLPM(標準的リットル/分)において約5Vdc±0.36Vdcの範囲内であり得、したがって、信号増幅は、要求されない。ヒト呼吸数に対応する周波数範囲は、約0.1~1.0Hzの範囲内であり得る。故に、低域通過フィルタ後、この仕様を伴うユニティゲイン電圧バッファ(例えば、図5Bにおける低域通過フィルタ回路510によって示されるように)が、信号処理論理502の一部として使用され、雑音を排除し、出力インピーダンスを調節し得る。さらに、いくつかの配置では、センサからの入力信号は、アナログであり、信号処理論理502は、アナログ/デジタル変換(例えば、8/16-チャネル、10、12、または16ビットADC)を実施するようにも構成され得る。
【0074】
データ記憶システム504は、データ、例えば、複数の患者サイズのための容認可能なCOレベル、Oレベル、一回換気量、呼吸数、圧力、および呼気された体積と呼気された体積との差異の範囲に対応するデータを読み出し可能に維持するように構成されたオンボード記憶媒体である。いくつかの配置では、範囲は、Broselowテープの色に対応するカテゴリによって編成される。いくつかの配置では、成人のための容認可能な範囲も同様に、データ記憶システム504上に記憶される。さらに、いくつかの配置では、データ記憶システム504は、具体的な患者身長および体重、性別、および/または年齢のためのCOレベル、Oレベル、一回換気量、呼吸数、および呼気された体積と呼気された体積との差異の具体的な範囲を決定するための計算アルゴリズムを含み得る。データ記憶システム504は、記憶されたデータが分析のために後の時間にダウンロードされ得るように、データを記憶し得る。
【0075】
いくつかの配置では、データ記憶システム504は、圧力センサ読取値を調節し、センサ106によって測定されるような温度または湿度を補償するための計算アルゴリズムを含む。
【0076】
閾値監視論理506は、コントローラ108がデバイス100のユーザとインターフェースをとることを可能にする。例えば、閾値監視論理506は、患者の身長および体重(例えば、Broselowテープ色または具体的な身長および体重)、性別、および/または年齢に対応するユーザ入力を測定セレクタ110から受信するように構成され得る。閾値監視論理506は、次いで、適切な呼吸数、一回換気量、呼気された体積と呼気された体積との差異、COレベル、およびOレベル範囲をデータ記憶システム504から読み出し得る。具体的な患者身長および体重、性別、および/または年齢が、ユーザ入力において提供される場合、閾値監視論理506は、計算アルゴリズムをデータ記憶システム504から読み出し、実行し、適切な範囲を決定し得る。いくつかの配置では、閾値監視論理506は、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ114)に、ユーザ入力および範囲をユーザに提示させる。
【0077】
閾値監視論理506は、測定データ(例えば、呼吸数、一回換気量、圧力、呼気された体積と呼気された体積との差異、COレベル、およびOレベル)を信号処理論理502から受信し、測定データを、患者のサイズ、性別、および/または年齢に適切な呼吸数、一回換気量、呼気された体積と呼気された体積との差異、COレベル、およびOレベル範囲と比較する。いくつかの配置では、少なくとも1つのこれらの測定データタイプが、それぞれの範囲を上回る場合、または下回る場合、閾値監視論理506は、センサアラーム112に、現在印加されている換気が患者のサイズ、性別、および/または年齢のために適切ではないことをユーザに通知させる。いくつかのそのような配置では、閾値監視論理は、ディスプレイ114に、ユーザに現在の測定データに関連する情報および現在の測定データが適切な範囲を上回るか、下回るかを提供させる。
【0078】
ここで図6を参照すると、デバイス100の例示的実施形態600が、示される。例示的実施形態600では、入口102は、空気流導管604に連通可能に係合され、それは、順に、出口606に連通可能に係合される。入口102は、患者気道に除去可能に係合するように構成されたマウスピースまたは他のアダプタにさらに係合され得る。出口606は、圧力操作デバイス、例えば、BVMまたは機械的人工呼吸器に係合され得る。空気流導管604は、空気流量計104およびセンサ106を格納し、入口102を出口606に橋渡しする。
【0079】
例示的実施形態600では、入口102および出口606は、エンクロージャ602の外部上に配置される一方、空気流導管604は、エンクロージャ602の内部内に配置される。エンクロージャ602は、デバイス100の種々の構成要素のための保護筐体および基礎である。エンクロージャ602は、任意のいくつかのタイプの材料(例えば、プラスチック、アクリル、金属、またはその合金)から成り得、種々の方法で組み立てられ得る(例えば、複数のペグおよびスロットにおいて一緒にスナップ嵌めされる、ボルトまたはねじを介して留められる、糊着される等)。
【0080】
コントローラ108は、エンクロージャ602内に配置される。コントローラ108は、例えば、Arduino Mega2560 8ビットマイクロコントローラまたは他の好適なプログラマブルマイクロコントローラとして具現化され得る。データ処理ハードウェアに加え、Arduino Mega2560は、128KBのフラッシュメモリ(すなわち、データ記憶システム504)を含む。さらに、例示的実施形態600では、コントローラ108は、関連付けられた回路基板上に搭載されるセンサアラーム112を、例えば、点滅LEDおよび/またはスピーカとして含む。コントローラ108は、データ記憶システム504を用いたデータ処理のためのカスタムマイクロコントローラとしても具現化され得る。
【0081】
例示的実施形態600は、デジタル(例えば、LCD)画面として具現化されるディスプレイ114をさらに含む。ディスプレイ114は、コントローラ108に電気的に係合され、したがって、ユーザに、測定値、範囲、波形、およびアラート情報を提供するように構成され得る。
【0082】
ここで図7を参照すると、フローチャート700は、人工呼吸器に結合されるデバイス100のコントローラ108によって実施されるアクションを図示する。コントローラは、事前に設定された定義を使用して、理想的換気条件を識別後、現在の換気測定値と比較し、臨床決定支援を提供する。最初に、ステップ702では、コントローラ108は、測定セレクタ110を介して、ユーザ入力をユーザ、例えば、患者または臨床医から受信する。例えば、ユーザは、身長、体重、性別、および年齢を含む患者情報を入力し得る。成人患者のために、身長は、巻尺または報告される身長を使用して、メートル単位または英国測定単位で打ち込まれ得る。小児科身長は、Broselowテープに基づく色を使用して、または巻尺もしくは報告される身長を使用して、メートル単位または英国測定単位で打ち込まれ得る。加えて、ユーザは、臨床決定支援アラーム閾値のためのユーザ定義設定および是正措置のための提案を入力し得る。入力される情報から、コントローラ108は、コントローラ108のメモリ、例えば、データ記憶システム504内に記憶される事前に設定された定義を使用して、理想的換気条件を決定し得る。理想的換気条件は、入力される情報に基づく一般的に承認されている慣行標準であり得る。
【0083】
次に、ステップ704では、コントローラ108は、空気流測定値を上で説明されるような空気流量計104および/または1つ以上のセンサ106から受信し、現在の換気モード装置および関連付けられた人工呼吸器設定を空気流測定値から導出された圧力および流量波形から自動的に計算する。圧力波形の形状および流量波形の形状は、機械換気のモードおよび種々の他の換気関連パラメータ、例えば、ピーク吸気圧力(PIP)、正の呼気終末期圧力(PEEP)、平均気道圧力(Pmaw)、プラトー圧力(Pplat)、駆動圧力(P)、吸気圧力曲線の下の面積(ipAUC)、呼気圧力曲線の下の面積(epAUC)、静的および動的呼吸システムコンプライアンス、気道抵抗、推定される呼吸仕事、ピーク吸気流量(PIF)、吸気終末期流量(EIF)、ピーク呼気流量(PEF)、呼気終末期流量(EEF)、吸気時間(T)、呼気時間(T)、呼気時間に対する吸気時間の比率(I:E)、吸気一回換気量(TV)、呼気一回換気量(TV)、およびTV/TV比率を含む現在使用されている人工呼吸器設定のタイプを決定するために分析され得る。加えて、人工呼吸器設定のタイプを正確に決定するために、コントローラ108は、呼吸の吸気が呼気に遷移する時点、例えば、χφを確実に識別しなければならない。コントローラ108は、偽陽性χφ分類をもたらし得る一般的信号アーチファクトをフィルタ除去しながら、持続的吸気(正の)流から持続的呼気(負の)流への真の遷移点を計算することによって、χφを識別する。故に、一般的換気信号アーチファクトを識別するために、コントローラ108は、ステップ706に進む。
【0084】
ステップ706では、コントローラ108は、空気流量計104および/または1つ以上のセンサ106から測定された圧力および流量波形に基づいて、1つ以上のアーチファクトが換気内に存在するかどうかを決定する。アーチファクトは、例えば、吸入、咳嗽、および患者人工呼吸器接続解除を含み得る。吸入は、気管内管を通した分泌物の閉鎖されたライン内吸入を指し、それは、図8Aに示されるように、複数の連続ダブルトリガまたは呼吸蓄積非同調のいずれかの波形表出をもたらす呼吸送達の高速「自動トリガ」を生じさせる。咳嗽は、図8Bに示されるように、ダブルトリガ、呼吸蓄積、流量、および遅延終了非同調を模倣し得る高速波形スパイクを吸気および呼気流中に頻繁にもたらす。咳嗽波形形態は、高度に可変である。好ましくは、コントローラ108は、コントローラ108によって検出可能なPVAサブタイプを模倣する咳嗽形態の一部のみを検出するように設計され得る。患者人工呼吸器接続解除は、人工呼吸器が、患者に完全に接続されていないか、接続解除されているときに生じ、図8Cに示されるような波形をもたらし得る。ルーチン処置中に一般に観察されるいくつかの人工呼吸器波形データアーチファクトは、着目PVAに類似する形態を共有し、PVAおよびTVVの偽陽性分類をもたらす。コントローラ108は、「アーチファクト補正」と称されるより高次のヒューリスティックアルゴリズムを実行し得、それは、臨床アーチファクトとしても認識される任意の検出されたPVAをクラス「非PVA」に変換する。図7に戻って参照すると、1つ以上のアーチファクトが、ステップ706において観察される場合、コントローラ108は、アーチファクトをフィルタ除去し、PVAの偽陽性検出を回避し、デバイス100がデバイス100に結合される患者の蘇生および監視を継続し得るように、ステップ704に戻る。対照的に、アーチファクトが、ステップ704において観察されない場合、コントローラ108は、ステップ708に進む。
【0085】
ステップ708では、コントローラ108は、呼吸不全表現型、例えば、ARDS、気道閉塞、または気胸が、測定された圧力および流量波形データに基づいて、存在するかどうかを自動的に決定する。呼吸不全表現型が、ステップ708において検出される場合、コントローラ108は、ステップ710に進み、情報をセンサアラーム112に送信し、アラートをユーザに通信する。検出された呼吸不全表現型のタイプに応じて、コントローラ108は、センサアラーム112に、特定のアラートをユーザに通信するように指示する。
【0086】
対照的に、呼吸不全表現型が、コントローラ108によって検出されない場合、コントローラ108は、ステップ712に進む。ステップ712では、コントローラ108は、換気を標的内または標的外のいずれかとして分類する。換気が標的内であるかどうか、例えば、観察される換気が、患者の身長、体重、性別、および/または年齢を所与として、患者のための正常限界内にあるかどうか、またはステップ702において、測定セレクタ110において入力されるような患者の身長、体重、性別、および/または年齢に基づいて、一般に承認されている標準内にあるかどうかを決定するために、コントローラ108は、測定された圧力および流量波形データに基づいて、一回換気量を識別する。例えば、コントローラ108は、最初に、上で説明されるように、頻繁な誤χφ分類源である一般的信号アーチファクト源をフィルタ除去しながら、χφを識別する。χφの識別後、コントローラ108は、χφに到達するまで、呼吸開始(例えば、流量の正の偏向)からの流量時間曲線の下の面積を積分することによって、TVを計算し、呼吸が終了するまで、χφから流量時間曲線の下の面積を積分することによって、TVを計算する。TVおよびTVの正確な測定は、標的外TVの定量的分析のために要求され、PVAおよび臨床アーチファクトの両方のアルゴリズム検出のために使用される不可欠な呼吸レベルメタデータを提供する。TVおよびTVの計算後、コントローラ108は、測定された一回換気量と、入力された患者身長、体重、性別、および/または年齢から導出された理想的一回換気量、または適切性のレベルを決定するために一般に承認されている標準に基づく理想的一回換気量との間の差異を計算する。その結果、コントローラ108は、適切性のレベルが、患者の身長、体重、性別、および/または年齢を所与として、患者のための正常限界内にある場合、または、患者の身長、体重、性別、および/または年齢に基づいて一般に承認されている標準内にある場合、観察された換気が標的内であることを決定し得る。例えば、図8Gを参照すると、コントローラ108は、TVを365mlとして、TVを393mlとして計算し、観察された換気、例えば、TVVクラスが、標的内であることを決定する。
【0087】
図7に戻って参照すると、コントローラ108が、ステップ712において、観察された換気が標的内であること、例えば、同期していることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ704に戻り、デバイス100は、デバイス100に結合される患者の蘇生および監視を継続する。コントローラ108が、観察された換気が、標的外であること、例えば、適切性のレベルが、患者の身長、体重、性別、および/または年齢を所与として、患者のための正常限界内にないことを決定する場合、コントローラ108は、ステップ714に進む。
【0088】
ステップ714では、コントローラ108は、観察される標的外換気のタイプを決定する。標的外換気のタイプとして、限定ではないが、一回換気量侵害、圧力侵害、呼吸仕事侵害、およびPVAが挙げられる。標的外換気のタイプを決定後、コントローラ108は、ステップ716に進み、情報をセンサアラーム112に送信し、アラートをユーザに通信する。ステップ702において入力される臨床決定支援アラーム閾値のためのユーザ定義設定に基づいて、アラートは、標的外換気がアラーム閾値を超える場合のみ、発生させられ得る。例えば、アラーム閾値は、コントローラ108が、センサアラーム112に、アラートをユーザに通信するように命令する前に、5%または20%非同調もしくは5%または20%一回換気量侵害を要求し得る。観察される標的外換気のタイプに応じて、デバイス100は、センサアラーム112に、特定のアラートをユーザに通信するように指示し、ステップ718では、ユーザが、患者の身長、体重、性別、および/または年齢を所与として、観察される換気を患者のための正常限界内にするために要求される調節を実施するための是正措置を提案する。
【0089】
例えば、コントローラが、ステップ714において、標的外換気が一回換気量侵害であると決定する場合、例えば、送達される吸気体積が標的外である場合、コントローラ108は、事象カウンタ内の一回換気量侵害ログデータ情報の重症度に対して換気を査定する。コントローラ108が、一回換気量侵害の重症度がデフォルトまたはカスタム事象重症度もしくは事象率閾値を超えたことを決定する場合、ステップ716において、コントローラ108は、アラートをユーザに発生させる。次いで、コントローラ108は、ステップ718に進み、例えば、人工呼吸器設定を調節するための是正措置を提案する。依然として、標的外である場合、症状が制御されるまで、疼痛/不快感を治療する。依然として、標的外である場合、標的内または深鎮静が達成されるまで、鎮静剤を増加させる。依然として、標的外であり、ARDSが検出されるか、または臨床上明白である場合、麻痺剤の注入を検討する。
【0090】
対照的に、コントローラ108が、ステップ714において、観察される標的外換気がPVAであることを決定する場合、コントローラ108は、観察されるPVAのサブタイプを識別し、情報をセンサアラーム112に送信し、ステップ716において、観察されるPVAサブタイプに特有のアラートをユーザに通信する。例えば、PVAサブタイプは、限定ではないが、ダブルトリガ非同調、呼吸蓄積非同調、流量非同調、遅延終了非同調、早期終了/循環非同調、および自動トリガ非同調を含み得る。標的外換気を細分類する能力は、特に、その存在または不在だけではなく、標的外換気のタイプ、周波数、および重症度に基づいて、アラーム閾値を精緻化する能力が、決定支援の個々の患者および提供者の必要性へのより良好な合致を可能にし得る臨床決定支援システムの開発のために重要であり得る。
【0091】
ダブルトリガ非同調は、人工呼吸器の事前に設定された吸気時間が、患者の所望の呼吸時間より短いとき、例えば、人工呼吸器が呼吸を終了させた後も、患者が呼気を継続し、実質的な意図的呼気を伴わずに、第1の呼吸の終了直後に第2の呼吸をトリガし、捕捉されたガスを胸部の内側にもたらすときに生じる。ダブルトリガ非同調は、意図されるものより大きい、例えば、意図される一回換気量の2倍をもたらし、そうでなければ人工呼吸器設定の最適選択にもかかわらず、肺組織の潜在的に有害な膨張を生じさせ得る。ダブルトリガ非同調は、図8Dに示されるような波形をもたらし得る。図8Hを参照すると、コントローラ108は、計算されるTV/TVが、25%未満であり、呼気時間が、300ms以下であるとき、PVAサブタイプをダブルトリガ非同調として決定し得る。加えて、コントローラ108は、観察された換気、例えば、TVVクラスを「中程度」として分類し得る。図7に戻って参照すると、コントローラ108が、PVAサブタイプがダブルトリガ非同調であることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、時間循環モードである場合、吸気時間を増加させること;補助制御/体積制御にある場合、流率を減少させること;補助制御/体積制御にあり、ARDSが検出されないか、または臨床上疑われない場合、設定された一回換気量を増加させること;圧力支援または他の流量循環モードにある場合、吸気サイクルを閾値外に減少させること;時間循環モードにある場合、モードを圧力標的モードに変化させ、吸気時間を延長すること、または、圧力支援/流量循環モードにある場合、吸気サイクルを閾値外に減少させること;疼痛および/または動揺を治療し、呼吸衝動を減少させ、したがって、患者の所望の呼吸数まで減少させることを行うための是正措置を提案し得る。
【0092】
呼吸蓄積非同調は、患者が、呼気を開始するが、完全な呼気が生じる前に、別の呼吸をトリガし、各蓄積された呼吸に伴って、捕捉されたガスを胸部の内側にもたらすときに生じる。ダブルトリガ非同調と異なり、呼吸蓄積非同調は、人工呼吸器設定または患者トリガ呼吸数のいずれかがあまりに速く、連続呼吸間に完全な呼気のための十分な時間をもたらさないことから生じる。呼吸蓄積非同調は、各呼吸蓄積事象に伴って胸部内に捕捉されるガスの量に基づいて、軽度、中程度、または重度としてさらに分類され、喘息または慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)の急性憎悪等、呼気流量限界を伴う疾患に一般的である。頻繁である場合、呼吸蓄積は、実質的肺過膨張をもたらし、過剰かつ潜在的に損傷を及ぼす肺組織の膨張を伴い得る。肺傷害に加え、頻繁な呼吸蓄積は、胸腔外器官から心臓に戻る血液を減少させ、心血管圧潰に進行し得る低血圧を生じさせ得る高レベルの胸腔内圧をもたらし得る。これらの高胸腔内圧は、肺を破裂させ、潜在的に、低血液酸素レベルおよび心停止をもたらし得る。呼吸蓄積非同調は、図8Eに示されるような波形をもたらし得る。図7に戻って参照すると、コントローラ108が、PVAサブタイプが呼吸蓄積非同調であることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、設定された呼吸数を減少させること;疼痛および/または動揺を治療し、呼吸衝動を減少させ、したがって、患者の所望の呼吸数まで減少させること;時間循環モードにある場合、吸気時間を減少させること;流量循環モードにある場合、吸気サイクルを閾値外に増加させること;噴霧式アルブテロール気管支拡張療法の用量/周波数を増加させ、閉塞もまた存在する場合、噴霧式イプラトロピウムを追加することを行うための是正措置を提案し得る。
【0093】
ダブルトリガ非同調および呼吸蓄積非同調の両方は、2つの連続TVの和を計算し、介在TVを減算し、肺のための有効膨張体積を表す「融合」TVを求めることによって定量化され得る動的過膨張につながる。融合された呼吸の有効膨張体積を考慮不能であることは、TVと調査研究における臨床転帰との間の関連付けを検出することができないことにつながり得、臨床上認識不能および是正不能である場合、容量損傷およびより悪化した臨床転帰につながり得る。逆に言えば、偽陽性OTVの過剰な検出は、研究にバイアスをかけ、臨床決定支援システムにおいて実装される場合、「アラーム疲労」につながり得る。コントローラ108は、TV計算、DTA分類、およびアーチファクト補正アルゴリズムからの出力を使用して、DTA呼吸の成分吸気および呼気TVを融合し、各DTAの有効膨張TVを出力する「TV融合」と称されるヒューリスティック事象分類アルゴリズムを実行し得る。
【0094】
流量非同調は、事前に規定された必須吸気流量を送達する機械換気のモードにあって、患者が事前に規定された人工呼吸器送達流率より急速に吸気を試みるときに生じ、それは、吸気中、圧力降下を回路内に生じさせる。流量非同調は、早期、後期、または吸気全体としてさらに分類され得、人工呼吸器回路内の圧力降下の程度に基づいて、軽度、中程度、または重度としても分類され得る。流量非同調は、吸気筋肉負荷、重病の設定下ですでに代謝性の応力を受けている場合がある他の重要な器官から呼吸筋肉への血流の向け直し、および重要なこととして、呼吸苦痛の設定下における流量枯渇の知覚に起因する有意な患者苦痛に起因して、呼吸仕事の増加をもたらす。流量非同調は、図8Fに示されるような波形をもたらし得る。コントローラ108が、PVAサブタイプが流量非同調、例えば、漸減流量送達パターンであることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、早期である場合、吸気流量を増加させること;後期である場合、設定された吸気流量を減少させること;ARDSが検出されず、臨床上疑われない場合、またはARDSの著しいリスク因子、例えば、敗血症、吸引、鈍的外傷、吸入傷害、膵炎が存在しない場合、設定された一回換気量を増加させる、疼痛および動揺を治療し、呼吸衝動/フロー流量渇望を減少させること;深刻な低酸素血症を伴うARDSが、検出または臨床上疑われる場合、深鎮静させること;深鎮静が不適正であり、深刻な低酸素血症を伴うARDSが、検出または臨床上疑われる場合、麻痺剤の注入を追加することを行うための是正措置を提案し得る。
【0095】
遅延終了非同調は、人工呼吸器の設定された吸気時間が、患者の所望の吸気時間より長いとき、例えば、患者が、人工呼吸器の呼気弁の完全な開放に先立って、強制的に呼気を試み、呼気筋肉負荷、重病の設定下ですでに代謝性の応力を受けている場合がある他の重要な器官から呼吸筋肉への血流の向け直し、および重要なこととして、知覚される呼気不能に起因する有意な患者苦痛をもたらすときに生じる。コントローラ108が、PVAサブタイプが遅延終了非同調であることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、時間循環モードにある場合、設定された吸気時間を減少させること;流量循環モードにある場合、吸気サイクルを閾値外に増加させること;補助制御-体積制御にある場合、設定されたピークフローを増加させること;疼痛および動揺を治療し、呼吸衝動を減少させることを行うための是正措置を提案し得る。
【0096】
コントローラ108が、PVAサブタイプが早期終了/循環非同調であることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、時間循環モードにある場合、設定された吸気時間を増加させること、流量循環モードにある場合、吸気サイクルを閾値外に減少させることを行うための是正措置を提案し得る。コントローラ108が、PVAサブタイプが自動トリガ非同調であることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、設定された圧力トリガ閾値を増加させること、設定されたフロートリガ閾値を増加させること、気管内/気管切開管カフを含む回路内のある場所の漏出をチェックすることを行うための是正措置を提案し得る。コントローラ108が、PVAサブタイプが非効果的トリガ/努力であることを決定する場合、コントローラ108は、ステップ718において、例えば、トリガ感度を増加させること、圧力支援を減少させること、流量循環を増加させること、および/または正の呼気終末期圧力(「PEEP」)を増加させことを行うための是正措置を提案し得る。
【0097】
デバイス100からの是正措置推奨の受信に応じて、ユーザは、人工呼吸器、例えば、患者の手動バギングまたは機械的人工呼吸器の人工呼吸器設定を調節し、患者のサイズおよび体重測定値、性別、および/または年齢を所与として、観察される換気を患者のための正常限界内にし得る。
【0098】
加えて、デバイス100は、換気を持続的に分析することによって、肺コンプライアンスの変化を経時的に決定し、病理学的変化、例えば、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、または気胸を経時的に識別し得る。例えば、デバイス100は、呼気された息中のCOを持続的に分析することによって、少なくとも不適切な換気数または病理学のうちの少なくとも1つを識別するか、または心停止からの転帰を予測し得るか、またはOを持続的に分析することによって、O含有量が現在の生理学的状態に対して高すぎるとき、または低すぎるときのいずれかを識別し、ユーザにO濃度の変化に対してフィードバックを提供し得る。
【0099】
当業者は、本明細書に開示される実施形態に関連して説明される、種々の例証的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装され得ることを理解されるであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの相互交換可能性を明確に例証するために、種々の例証的構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、概して、その機能性の観点から上で説明されている。そのような機能性が、ハードウェアまたはソフトウェアとして実装されるかどうかは、特定の用途および全体的システムに課される設計制約に依存する。当業者は、各特定の用途のために、説明される機能性を様々な方法で実装し得るが、そのような実装決定は、本開示の範囲からの逸脱を生じさせるものとして解釈されるべきではない。
【0100】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される、種々の例証的論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書に説明される機能を実施するように設計される汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)または他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェア構成要素、もしくは任意のそれらの組み合わせを用いて実装または実施され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサは、DSPコア、または任意の他のそのような構成の組み合わせと併せて、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPおよびマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせとしても実装され得る。
【0101】
1つ以上の例示的実施形態では、説明される機能は、プロセッサ上で実行されるハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、または任意のそれらの組み合わせにおいて実装され得る。例えば、ある実施形態は、本明細書に提示される動作を実施するためのコンピュータプログラム製品を備え得る。そのようなコンピュータプログラム製品は、その上に記憶および/またはエンコードされた命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備え得、命令は、1つ以上のプロセッサによって、本明細書に説明される動作を実施するように実行可能である。本明細書に説明される機能が、ソフトウェアにおいて実装されるとき、機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上に記憶されるか、またはその上の1つ以上の命令またはコードとして伝送され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を促進する任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。一例として、限定ではなく、そのようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形態で搬送または記憶するために使用され得るコンピュータによってアクセスされ得るRAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、もしくは任意の他の媒体を備え得る。任意の接続も、コンピュータ読み取り可能な媒体と適切に称される。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、デジタルサブスクライバライン(「DSL」)、または無線技術、例えば、赤外線、無線、およびマイクロ波を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔源から伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、DSL、または無線技術、例えば、赤外線、無線、およびマイクロ波は、媒体の定義内に含まれる。ディスクおよびディスクは、本明細書で使用されるように、コンパクトディスク(「CD」)、レーザディスク、光学ディスク、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、およびBlu-ray(登録商標)ディスクを含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に複製する一方、ディスク(disc)は、データをレーザで光学的に複製する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0102】
さらに、本明細書に説明される方法および技法を実施するためのモジュールおよび/または他の適切な手段は、適用可能である場合、デバイスによってダウンロードおよび/または別様に取得され得ることを理解されたい。例えば、そのようなデバイスは、サーバに結合され、本明細書に説明される方法を実施するための手段の転送を促進し得る。代替として、本明細書に説明される種々の方法は、記憶手段をデバイスに結合または提供することに応じて、デバイスが種々の方法を取得し得るように、記憶手段(例えば、RAM、ROM、物理的記憶媒体、例えば、CDまたはフラッシュドライブ等)を介して提供され得る。さらに、本明細書に説明される方法および技法をデバイスに提供するための任意の他の好適な技法が、利用され得る。
【0103】
(サンプル研究)
臨床転帰研究、変換可能患者表現型決定、連続品質改良、および臨床決定支援を通した精密な薬物療法を支持するための非干渉的連続データ収集およびOTVの呼吸毎分類が可能な統合されたMV波形データ入手および分析プラットフォームを開発および検証することを目的とした研究が、ADAMS,Jason Y.,et al.,‘Development and Validation of a Multi-Algorithm Analytic Platform to Detect Off-Target Mechanical Ventilation’,Scientific Reports 7,Vol 14980 Nov.3,2017 [online],[retrieved 2017-11-08]に説明される。インターネット<URL:https://www.nature.com/articles/s41598-017-15052-x#Sec14><DOI:10.1038/s41598-017-15052-x>(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)から検索されたい。
【0104】
図8に図示されるように、人工呼吸器マルチアルゴリズム分析プラットフォーム(ventilator multi-algorithm analytic platform)(「ventMAP」)と称される拡張可能モジュール式分析エンジンが、MV波形の臨床ベッドサイド解釈から導出されたルールベースの論理を使用して、OTVの定量的分析を自動化し、肺の過膨張に関連付けられたPVAの2つの明確に認識された形態であるTVおよびTVと、真のPVAに形態学的に類似するいくつかの一般的タイプのVWD「臨床アーチファクト」の両方を決定するために開発された。個々の構成要素アルゴリズムの広範な事前臨床シミュレーション試験が、さらなるアルゴリズム導出および患者導出データを使用した最終検証を用いて実施された。
【0105】
研究は、過剰なTV、すなわち、一回換気量侵害(「TVV」)を含む肺組織の過剰な膨張、およびPVAを通して、VILIに寄与すると考えられる事象の分類に焦点を当てた。ここでは、二重トリガ非同調(「DTA」)および呼吸蓄積非同調(「BSA」)と称される、PVAの2つのサブタイプが、様々な程度の呼吸の合間の不完全な呼気を生じさせ、上で説明されるように、動的過膨張と称される現象をもたらす。
【0106】
DTAおよびBSAの両方が、動的過膨張をもたらすが、その異なる病態生理学的機構は、独特の検出方法に値する。したがって、異なるルールベースの分類アルゴリズムが、TVおよびTV、DTAおよびBSAの両方、PVAとしてのアーチファクトの偽陽性分類をもたらし得るいくつかの一般的臨床アーチファクト(吸入/人工呼吸器の自動トリガ、咳嗽の一部、および人工呼吸器からの一過性の接続解除)とを計算するために開発および検証された。研究は、人工呼吸器によって測定されたTVに対して事前に規定された等価閾値10%以内のTV正確度、臨床アーチファクト除去前後両方の、PVA検出アルゴリズム毎に感度および特異性≧90%を照準とした。
【0107】
研究は、ventMAPエンジンが、商業用人工呼吸器に匹敵する正確度を伴ってTVを測定可能であり、臨床アーチファクトの認識およびアルゴリズム除去(ここでは、「アーチファクト補正」と称される)が、感度を損なわずに、PVA検出の特異性を有意に減少させるであろうと仮定した。導出および検証研究の結果は、以下のように提示される。
【0108】
TVおよびTVの正確な測定は、標的外TVの定量的分析のために要求され、PVAおよび臨床アーチファクトの両方のアルゴリズム検出のために使用される不可欠な呼吸レベルメタデータを提供する。使用されるPuritan Bennettモデル840(PB840)人工呼吸器(Medtronic Corporation)は、設定されたTVの10%以内まで正確であり、人工呼吸器の流量センサの固有の非精密度によって限定される。したがって、機械的肺(QuickLung,IngMar Medical)が、ventMAPのTVおよびTV測定値アルゴリズムの正確度を試験するために使用された。3つの別個の実験が、3つの異なるPB840を使用して実施され、事前に規定された等価閾値+/-10%を使用して、ある範囲の人工呼吸器モード、トリガ機構、設定されたTV、および設定された吸気圧力にわたって、合計1021回の呼吸において、ventMAP導出TVおよびTVを試験した。ventMAP導出TVおよびTVは、全ての測定された条件にわたって人工呼吸器導出TVに匹敵した。補助制御-体積制御(「AC/VC」)および補助制御-圧力制御(「AC/PC」)人工呼吸器モードの両方の全ての試験される設定にわたって集約された平均ventMAP導出TVおよびTVは、以下にコピーされる表1に示されるように、人工呼吸器の内部ソフトウェアによって記録されたTVに匹敵した。
【表1】
【0109】
表1は、体積制御および圧力制御モードにおけるventMAP計算と人工呼吸器記録一回換気量との間の差異を例証する。差異は、事前に規定された等価許容値+/-10%を伴う等価試験に対する平均差異、95%信頼区間、およびp-値として報告された(H:人工呼吸器およびventMAPは、等価ではない)。正の値は、人工呼吸器体積がventMAP体積より大きいことを示す。
【0110】
研究では、アルゴリズム性能が、患者内の波形特性における潜在的類似性および患者間の差分事象率を制御するために、ロジスティック回帰を使用して、感度、特異性、および全体的正確度に関して査定された。アルゴリズム性能は、同一呼吸の複数臨床医の手動注釈、例えば、複数の人工呼吸器モードおよびMVに関する急性適応症を含む33名の患者からの約10,000回の呼吸を含むデータから導出された至適基準分類データ組と比較された。例えば、導出コホートにおける、以下にコピーされる表2に示されるように、ventMAPは、DTAの分類に対して、それぞれ、0.988、0.965、および0.967の感度、特異性、および全体的正確度を達成した。ventMAP性能が、次いで、17名の機械的に換気された患者からの4644回の手動で注釈が付けられた呼吸から成る別個の検証データ組において、さらなる修正を伴わずに試験された。検証コホートでは、ventMAPの性能は、幾分減少し、それぞれ、0.940、0.920、および0.922の感度、特異性、および全体的正確度を伴ったが、全3回の測定に関して、事前に規定された目標≧90%を上回ったままであった。加えて、導出コホートでは、ventMAPは、BSAの分類に対して、それぞれ、0.985、0.984、および0.984の感度、特異性、および全体的正確度を達成し、検証コホートでは、性能は、若干低下し、それぞれ、0.967、0.980、および0.977の感度、特異性、および全体的正確度を伴った。
【表2】
【0111】
導出コホートにおけるアーチファクト補正アルゴリズムの最適化後、ventMAPが、検証コホートにおけるアーチファクト補正の使用の有無別に試験され、アーチファクト補正が、感度を低減させずに、PVA検出の特異性を改良するであろうという仮説を試験した。以下にコピーされる表3に示されるように、導出コホートでは、アーチファクト補正の使用は、DTA分類特異性に2.8%[95%信頼区間(「CI」)0.9-4.7%;p=0.006]の改良および非有意な0.6%[95%CI-2.0-0.8%;p=0.361]の感度減少をもたらした一方、アーチファクト補正は、BSA分類には、有意な影響を及ぼさなかった。検証コホートでは、研究は、DTA分類の特異性に7.1%[1.1-13.2%;p=0.024]の改良および非有意な3.0%[-6.3-0.3%;p=0.067]感度減少を観察した。アーチファクト補正は、BSA分類の特異性に0.6%[0.2-1.0%;p=0.009]の改良および非有意な0.3%[-0.9-0.2%;p=0.189]の感度減少をもたらした。
【表3】
【0112】
図10Aおよび10Bに示されるように、研究は、至適基準データ組内の399例の真のDTA事象を用いて、アーチファクト補正の使用を伴うDTAの偽陽性検出率の9倍の低減を観察し、アーチファクト補正を用いない718回の呼吸からアーチファクト補正の使用を用いた401回の呼吸までの検出されたDTA事象の総数の44.2%の減少をもたらした。
【0113】
研究は、TV融合アルゴリズムの使用の有無別に、検証コホートにおける全てのDTA呼吸にわたって、平均TVおよびTVVの分布(標的内対標的外および標的外呼吸の相対的重症度)を計算した。検証データ組では、DTAに対する平均TVは、TV融合が採用されるとき、より有意に高く、TV融合を用いると、平均TVは、293.3ml(95%CI、278.6-308.0)であり、T-融合を用いないと、562.2ml(95%CI、529.7-594.7;平均間の差異に対してp<0.0001)であった。臨床上、事前に規定されたTVは、性別および身長から導出された予測身体体重(「PBW」)に基づき、PBWのTV≦6.5ml/kgは、深刻な低酸素血症呼吸不全を伴う患者のための処置の標準を表す。研究では、米国女性の平均身長が、TV融合前後の検証コホートでは、全てのDTA TVを正規化するために使用された。全ての潜在的DTA呼吸を識別し、アーチファクト補正を通して偽陽性を除去後、標的外呼吸は、図11Aに示されるように、所与の呼吸が≦6.5ml/kgの標的を超えた程度に基づいて、軽度、中程度、または重度として、TV融合の有無別に階層化された。図11Bに示されるように、TVVは、1.58[95%CI:1.02-2.15、p<0.0001]/呼吸のTVVクラスにおける平均増加を伴って、非融合呼吸より融合呼吸間で有意に深刻であった。
【0114】
前述は、いくつかの実施形態の詳細な説明を例証および実施例として含むが、これらの実施形態の教示に照らして、多数の変更および修正が、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく行われ得ることが、当業者に容易に明白であろう。
図1
図2-1】
図2-2】
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図10
図11