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  • 特許-超音波水道メーター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】超音波水道メーター
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/667 20220101AFI20240117BHJP
   G01F 1/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G01F1/667 A
G01F1/06 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022537289
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2021003667
(87)【国際公開番号】W WO2021201492
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0040880
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522239351
【氏名又は名称】キム,ヨンタク
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンタク
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/174121(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102829829(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0192656(US,A1)
【文献】特表平6-501548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道配管に連結される超音波測定管を有し、水中での超音波の伝播速度を用いて、配管を通過した水の量を測定する超音波水道メーターであって、
a.前記超音波測定管は、測定管路、流入管路、及び流出管路を含み、
b.前記測定管路は直線管路として構成され、両側端部に超音波センサーが対応して直管型構造に挿入されて締結され、前記流入管路及び前記流出管路は前記測定管路から下方に段差aを成し、前記流入管路と前記流出管路とを連結する連結軸線は直線を成し、前記連結軸線と前記測定管路の軸線とは、上面で見るとき、10度~50度のねじれ角を成し、
c.前記流入管路は下向曲管を成して前記測定管路の上流側端部の側面の上流側流入口に連結され、前記流出管路は下向曲管を成して前記測定管路の下流側端部の上流側流入口の反対側面の下流側流出口に連結されることを特徴とする、測定管路内で水流の方向と超音波の進行方向とが逆方向のときと順方向のときの時間を用いて水量を測定する超音波水道メーター。
【請求項2】
超音波水道メーターは、流入部(34)、測定管路部(35)、及び流出部(36)の部分品に分割製作されて結合される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の超音波水道メーター。
【請求項3】
超音波水道メーターの測定管の流入管路と流出管路とを連結する軸線は直線上にあり、測定管路から下方に段差を成し、測定管路に連結される流入管路の流入部と測定管路に連結される流出管路の流出部とはそれぞれ測定管路の両端部で水平方向の反対側面に対応して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の超音波水道メーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管を通って水が流れるとき、水中で伝播される超音波の伝播速度が、水の流れ方向と同じ方向、すなわち順方向のときには速くなり、水の流れ方向と逆方向のときには遅くなる特性から超音波の順方向と逆方向との差を用いて水道水の使用量を測定する超音波水道メーターに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波水道メーターは、超音波を発生させる機能と伝播されてくる超音波を感知することができる機能とを有する超音波送受信機(Ultrasonic Transducer)を内蔵し、配管に対する結合構造を有するハウジングを含むセンサーブロックを以下で超音波センサーと言うとき、配管の一定部分に測定管路を形成し、2個の超音波センサーを水が流れる測定管路に直管型に設けるか2個の反射板を用いて測定管路に超音波電波線路を成すことで、一側の超音波センサーが超音波を発生させ、これと向き合っている超音波センサーが受信するとき、測定管路で流れる水の流れと逆方向及び順方向の伝播時間をそれぞれ測定し、その時間差を用いて水が流れる速度を求め、これを配管の断面積と積算することにより、配管を通過した水量を測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
常温の空気中で超音波の伝播速度は343m/secであり、水中で超音波の伝播速度は1480m/secである。超音波センサーの間に測定離隔距離を有する測定管路内の媒質が空気であるか水であるかによって超音波の電波速度の差が大きい。超音波水道メーターの測定管路の内部に一定量以上の空気が満たされている場合、この測定管路での超音波センサーの測定速度は空気中での速度として感知されるか水中での速度として感知されることができる。水中の伝播速度を基準にするとき、空気中での超音波測定速度が感知されれば測定不可の状態になり、水中での測定速度が感知されれば信頼性がない測定結果になるであろう。家庭用水道メーターは設置環境が非常に多様であり、断水、逆流などの管路の状態や水の流れ状態によって超音波水道メーターの測定管路に空気が流入して測定に影響を与える場合、電子式メーターである超音波水道メーターは、超音波信号が感知範囲を外れればセンサー故障状態を報告し、感知範囲内にあれば信頼できない測定値を表示することになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下説明で、図1の1-Aのように正面から見るとき、流入管路20及び流出管路21(以下、連結管路20、21という)の中心軸線30から下方に段差aを成すように中心軸線31が平行な測定管路14が設けられ、測定管路14の両端部に配置される超音波センサー10、11が互いに向き合って直管型を成す構造体をU形測定管といい、図1の1-Bのように上面で見るとき、連結管路20、21の中心軸線33と測定管路15の中心軸線32とが一定の傾斜を成す超音波センサー直管型を成す構造体をX形測定管といい、水平測定管路に流入管路が結合される部位の連結口を上流側流入口25といい、測定管路と流出管路との連結口を下流側流出口26と言う。
【0005】
水道メーターのような小口径用超音波測定管には配管の変形なしに超音波センサー直管型測定管路を構成することができないので、U形測定管またはX形測定管のように管路を変形させて測定管路を構成するか、あるいは水平配管の上部に2個の超音波センサーを設け、センサーの下部水平配管の流路に2個の超音波反射板を向き合うように設置して測定管路を構成する反射板型超音波水道メーターがある。反射板型測定管路の特性も以下で説明するX形測定管路の特性と違わない。
【0006】
測定管路内での水流の経路と、測定管路内に空気層が存在する場合、U形測定管とX形測定管が示す特性及び問題点を把握してその問題点の解決方案を提示しようとする。
【0007】
図1を参照して、流入管路を通って流入した水が測定管路を通って流出管路に流れて出るとき、測定管路内で超音波の進行方向と同じ水平方向の水の流れを調べると、図1の1-AのU形測定管の場合、上流側流入口25と下流側流出口26とが測定管路14の軸線31の上側に同じ方向に位置するので、測定管路14内で水流の水平方向の移動距離がその位置によってa1、b1、c1のように異なってa1=L1、b1=a1+d1、c1=a1+2d1として現れ、水道メーターのような小口径測定管路でd1の値がL1の10%以上に無視できない大きな値になるので、同じ流速でも測定管路14内で感知される超音波の電波経路によって超音波の伝播速度が変化することができ、測定値に誤差を発生させることができる構造である。
【0008】
これに対して、図1の1-BのX形測定管を水平に設置するとき、上面で見たX形測定管の測定管路15は、上流側流入口25及び下流側流出口26が測定管路15の軸線32の反対方向に位置するので、測定管路14内で水流の水平方向の移動距離がa2、b2、c2のように配管内の位置に関係なく同一であってa2=L2+d2、b2=L2+d2、c2=L2+d2として現れるので、測定管路15内で超音波の伝播経路による変化がなくて優れた測定性能を有する。
【0009】
図2を参照して、流入管路を通って流入した水が測定管路を通って流出管路に流れ出るとき、水道配管に空気層がある場合の測定管路に与える影響を説明する。
【0010】
水が流れる水道配管に超音波水道メーターを設置するとき、または断水、逆流など、配管に空気が流入することができる影響が発生して超音波測定管路内に空気層が発生するか存在する場合、あるいは超音波水道メーターの設置位置が水栓より高く、配管にかかる圧力が低くて流出口に流れる水が少量の場合、配管の内部で一定の空気層が形成された状態で配管の下部にのみ水が流れる場合が発生することがある。このような場合、配管に平行に超音波測定管が設置される図2の2-AのようなX形測定管の場合、空気層の大きさによって測定不能状態になるか信頼できない測定値が得られる。図2の2-BのようなU形測定管路14の場合、流入管路20及び流出管路21を通って空気層の下で水が流れる場合にも測定管路14には水が一杯になった状態になるので、配管に空気層が発生する場合にも優れた測定性能を示す。
【0011】
超音波センサーが対応して向き合う直管型測定管路における前記U形測定管またはX形測定管の形態において、U形測定管は配管の空気層がある場合に優れるが、測定管路14の位置によって水流の経路差が発生し、X形測定管は測定管路15の位置による水流の経路差はないが、配管の空気層がある場合に測定に問題点が発生するということが分かる。理想的には、水道配管には常に高い水圧がかかっているので、内部に空気層が発生しても、水道水の使用の際に空気は排出されて配管は水が満たされている状態が正常であるが、現実的にはそうではない場合がたびたびある。インペラー駆動型の機械式水道メーターは管路に空気が流れる場合にも計量器が動作すると認識されるが、電子式の超音波メーターは、超音波センサー異常と感知されて故障状態をレポートし、正常な水流によって管路から空気が排出されれば正常状態に転換されて使用者に混乱を与えることもある。
【0012】
本発明は前記のような問題点を解決する方案として、超音波測定管の構造を図3の3-Aのように連結管路20、21と測定管路15を構成してU形測定管の形態の上部構造を取り、下部の超音波測定管路15はX形測定管の測定管路の形態を取ることで、図3の3-Cのように正面で見るとき、測定管路15は連結管路20、21から下方に段差aを成すようにして配管内の空気層の問題を解決し、図3の3-Bのように、上面で見るとき、連結管路の中心軸線18と測定管路の中心軸線19とが一定のねじれ角θを成し、測定管路16の上流側流入口25及び下流側流出口26を測定管路16の両側面端部に位置して測定管路15内で水流の経路差がない測定管によって信頼性を高めた超音波水道メーターを提示する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の超音波水道メーターは超音波センサーが直管型に設置される構造を有し、水道配管で発生し得る空気層の影響を最小化し、測定管路の内部で水流の位置による経路差がない測定信頼性の高い測定管を使う全電子式で用水の使用量情報とメーターの動作状態及び使用状態とを示す情報とをメーターの情報表示用表示装置(LCD)に表示し、遠隔管理システムに提供することができる通信手段を有するスマートメーターとしての機能を有する超音波水道メーターの実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】1-AのU形超音波測定管の測定管路14及び1-BのX形超音波測定管の測定管路15で、上流側流入口25及び下流側流出口26の位置によって測定管路の内部で流れる水の経路を示す図である。
図2】2-Aの連結管路20、21と測定管路15とが平行を成すX形測定管と、2-Bの連結管路20、21と測定管路14とが段差aを有するU形測定管の測定管路14とで、連結管路に空気層が形成されるときの測定管路の状態を示す図である。
図3】本発明による超音波水道メーターの測定管の形態と、測定管路の両端部12、13に結合される超音波センサーを示す図で、3-Aは測定管の斜視図であり、3-Bは上面で見た図であり、3-Cは正面で見た図であり、3-Dは超音波センサーの結合構造の一例を示す図である。
図4】4-Aは本発明による超音波水道メーターの流入部34、測定管路部35及び流出管路部36に分割されて製作される結合構造を示し、4-Bは4-Aのような結合構造において流入部34と測定管路部35との結合面と流入管から上流側流入口25に水が流れる結合部とに形成される水路41の水平切断面38を示す図である。
図5】5-Aで、本発明による超音波水道メーターの測定管の形態及び内蔵される機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
超音波水道メーターで、管路を流れる流体は水であり、流量はQ=A*Vである。
【0016】
ここで、A=流体が流れる管路の断面積、V=流体の速度である。
【0017】
測定管路15内で超音波センサー10、11の間の距離=L、上流側超音波センサー10から下流側超音波センサー11への超音波電波速度=T12、下流側超音波センサー11から上流側超音波センサー10への超音波電波速度=T21、△T=T21-T12であるといえば、V=L/2*(1/T12-1/T21)=L/2*(T21-T12)/T12*T21=L/2*△T/(T12*T21)であり、速度Vは計算値の絶対値である。超音波水道メーターで、流量は、測定管路15の断面積(A)と超音波センサー間の距離(L)を求め、超音波センサー10、11の間の超音波伝播時間T12、T21を測定すれば計算することができる。
【0018】
測定管路15の口径(A)及び長さ(L)は超音波測定管が連結される水道配管の口径による最大流量及び最少流量による規格条件と、使われる超音波センサーの口径及び超音波電波特性と、電子部の電子回路と運用ソフトウェアの処理能力とによって決定される。流速の変化による速度(V)の変化が大きいほど精密な測定が可能なので、測定管路15の口径は連結される水道配管の口径より可能な範囲内で小さく決定される。
【0019】
本発明超音波水道メーターの測定管は、図3を参照して説明すると、測定管路15の上流側の側面に上流側流入口25があり、それに対応する下流側の側面に下流側流出口26があり、連結される軸線18が直線上にある流入管路20及び流出管路21が図3-Cの正面図のように測定管路15より高さ方向に段差aを成し、図3-Bのように上面で見るとき、測定管路の軸線19と連結管路の軸線18とが一定のねじれ角θを成す。ねじれ角θは測定管路の口径によって10度~50度以内の値に決定されることができる。流入管路は下方に曲がって測定管路15の側面の上流側流入口25に向かう屈曲管部22を成して測定管路15の上流側流入口25に連結され、流出管路21は下方に曲がって測定管路15の側面の下流側流出口26に向かう屈曲管部23を成して測定管路15の下流側流入口26に連結される。以上のような方法で製作された本発明の超音波水道メーターの完成された形態は図3-Aに示されており、測定管路15の両端部の超音波センサー挿入口12、13には、図3-Dのように、Oリング16と超音波送受信機10、11が結合されるハウジング17とが防水可能に結合されることで、超音波測定管路ができあがる。
【0020】
図3-Aのように設計された超音波測定管は、黄銅管、ステンレス管などの金属材または高強度プラスチック材から製造されることができ、流入管路20と測定管路15との間、かつ流出管路21と測定管路15との間には屈曲管22、23が設けられているが、製造過程の生産性向上のために、図4-Aのように各部分品に屈曲管がないように、流入部34、測定管路部35、及び流出部36に分離して製作して結合する構造とすれば、金型の製作や射出及び加工過程で製作コストを減らし、生産性を向上させることができる。分離型に製作される測定管は、図3-Cの測定管路15の上流側切断線27及び下流側切断線28を基準面として切断して各部分に曲管部がない部分品に分割し、各切断部にフランジ30、31、32、33を形成し、図4-Aのように、流入部34、測定管路部35、及び流出部36に分割して製作すれば、流入部34及び流出部36は同じ形状を有して共有することができる。上流側切断線27及び下流側切断線28を基準面として切断すれば、測定管路部の下向曲管部25、26の水平断面図は図4-Bの37のような切断面の水路形状になるので、製造過程の便利性のために、図4-Cの38のような水路形態になるように変形した構造とする。
【0021】
前記のように超音波測定管が製作されれば、超音波センサーの信号線は電子回路に連結され、電子回路部に組み込まれた運用ソフトウェアの動作によって測定管路内の水流の速度を検出して、管路を通過した水量情報、及び超音波センサーの異常有無、漏水、過負荷、未使用状態などの情報を収集して表示部(LCD)に表示し、有無線通信手段を介して遠隔検針システムに提供する全電子式スマート水道メーターの機能を有する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の水道メーターは飲用水の供給を上水道施設から受けるすべての家庭で使われる品目と言える。
【符号の説明】
【0023】
10、11 超音波送受信機(Ultrasonic Transducer)
12、13 超音波センサー結合口
14 U形測定管路
15 X形測定管路
16 Oリング
17 超音波送受信ハウジング
18 連結管路(20+21)の中心軸線
19 測定管路の中心軸線
20 流入管路
21 流出管路
22 流入管路の下向曲部
23 流出管路の下向曲部
25 測定管路の上流側流入口
26 測定管路の下流側流出口
27、28 測定管の分離製作時の切断部
30 流入部フランジ
31、32 測定管路部フランジ
33 流出部フランジ
34 流入部
35 測定管路部
36 流出部
37 27、37の切断時の下向曲部の横断面図
38 37を変形させた製品の下向水路の横断面図
41 流入管から上流側流入口に流れる上流水路
42 下流側流出口から流出管に流れる下流水路
a 連結管路20、21と測定管路との高差(段差)
図1
図2
図3
図4
図5