(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】力覚センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/165 20200101AFI20240117BHJP
【FI】
G01L5/165
(21)【出願番号】P 2023570314
(86)(22)【出願日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2023032688
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511071234
【氏名又は名称】株式会社トライフォース・マネジメント
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 弘尚
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和廣
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-135103(JP,A)
【文献】特開2021-135104(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029866(WO,A1)
【文献】特開2016-050883(JP,A)
【文献】特開平05-312659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0331787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/16-5/173
G01L 1/14
G01L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける第1センサ体と、
第1方向において前記第1センサ体と異なる位置に配置された第2センサ体と、
前記第1センサ体と前記第2センサ体とを接続し、前記第1センサ体が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形する起歪体と、
前記起歪体の弾性変形により生じた変位を検出する検出素子と、
前記検出素子の検出結果に基づいて、前記第1センサ体に作用した力またはモーメントを示す電気信号を出力する検出回路と、
を備え、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、
前記起歪体は、前記第1センサ体に接続された第1端部から、前記第1端部とは反対側に位置する第2端部まで前記第1方向に延びる第1接続部と、前記第1接続部の前記第2端部を前記第2センサ体に接続する第2センサ体側接続部と、を含み、
前記第2センサ体側接続部は、前記第2センサ体に接続された一対の台座であって、前記第2方向において前記第2端部の両側に位置する一対の台座と、前記第3方向で見たときに前記第2端部から一方の前記台座まで前記第2方向に延びる第2接続部と、前記第3方向で見たときに前記第2端部から他方の前記台座まで前記第2方向に延びる第3接続部と、前記第1方向で見たときに前記第2方向に交差する方向に前記第2端部から延びる変位部と、を含み、
前記検出素子は、前記変位部の先端部の変位により静電容量値の変化を検出する、
力覚センサ。
【請求項2】
前記起歪体は、前記第1接続部の前記第1端部を前記第1センサ体に接続する第1センサ体側接続部を含み、
前記第1センサ体側接続部は、前記第2方向および前記第3方向に沿って形成された薄肉部であって、前記第1接続部の前記第1端部に接続された薄肉部を含む、
請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項3】
前記検出素子は、前記第2センサ体に設けられた固定電極基板と、前記変位部の先端部に設けられた、前記固定電極基板に対向する変位電極基板と、を含む、
請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項4】
前記固定電極基板は、前記起歪体の中心軸線に対して一方の前記台座の側に位置する第1固定電極基板と、前記起歪体の中心軸線に対して他方の前記台座の側に位置する第2固定電極基板と、を含む、
請求項3に記載の力覚センサ。
【請求項5】
前記変位電極基板は、前記起歪体の中心軸線に対して一方の前記台座の側に位置する第1変位電極基板と、前記起歪体の中心軸線に対して他方の前記台座の側に位置する第2変位電極基板と、を含む、
請求項3に記載の力覚センサ。
【請求項6】
前記変位部は、前記第1接続部の前記第2端部から前記第3方向に延びている、
請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項7】
前記第1方向で見たときに、前記第2センサ体側接続部は、前記第2方向に沿って直線状に形成されている、
請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項8】
前記第1方向で見たときに、前記第1センサ体および前記第2センサ体は、円形状に形成され、
前記第1方向で見たときに、前記第2センサ体側接続部は、前記第1センサ体の周縁および前記第2センサ体の周縁の少なくとも一方に沿うように円弧状に形成されている、
請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項9】
前記第1センサ体と前記第2センサ体とは、4つの前記起歪体で接続され、
4つの前記起歪体は、第1起歪体と、第2起歪体と、第3起歪体と、第4起歪体と、を含み、
前記第1方向をXYZ三次元座標系におけるZ軸方向とし、
前記第1センサ体の中心に対してY軸方向正側に前記第1起歪体が配置され、前記第1センサ体の中心に対してX軸方向負側に前記第2起歪体が配置され、前記第1センサ体の中心に対してY軸方向負側に前記第3起歪体が配置され、前記第1センサ体の中心に対してX軸方向正側に前記第4起歪体が配置されている、
請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項10】
前記変位部は、対応する前記第1接続部の前記第2端部から、前記第1センサ体の中心に向かって延びている、
請求項9に記載の力覚センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の軸方向に作用した力および所定の回転軸周りに作用したモーメント(トルク)を電気信号として出力する力覚センサが知られている。力覚センサは、産業用ロボットを初めとして、協働ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボットおよびサービスロボット等、各種ロボットの力制御等に幅広く利用されている。
【0003】
力覚センサは、ロボットアームとエンドエフェクター(グリッパー等)の間に配置され、ワークに作用した力を検出する。検出された力は、ロボットの制御に用いられる。例えば、ロボットアームが人に接触した場合には、その接触を力覚センサが検出する。このことにより、ロボットアームの動作を緊急停止することができる。
【0004】
このような力覚センサには、検出感度の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、検出感度を向上させることができる力覚センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本開示は、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける第1センサ体と、
第1方向において前記第1センサ体と異なる位置に配置された第2センサ体と、
前記第1センサ体と前記第2センサ体とを接続し、前記第1センサ体が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形する起歪体と、
前記起歪体の弾性変形により生じた変位を検出する検出素子と、
前記検出素子の検出結果に基づいて、前記第1センサ体に作用した力またはモーメントを示す電気信号を出力する検出回路と、
を備え、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、
前記起歪体は、前記第1センサ体に接続された第1端部から、前記第1端部とは反対側に位置する第2端部まで前記第1方向に延びる第1接続部と、前記第1接続部の前記第2端部を前記第2センサ体に接続する第2センサ体側接続部と、を含み、
前記第2センサ体側接続部は、前記第2センサ体に接続された一対の台座であって、前記第2方向において前記第2端部の両側に位置する一対の台座と、前記第3方向で見たときに前記第2端部から一方の前記台座まで前記第2方向に延びる第2接続部と、前記第3方向で見たときに前記第2端部から他方の前記台座まで前記第2方向に延びる第3接続部と、前記第1方向で見たときに前記第2方向に交差する方向に前記第2端部から延びる変位部と、を含み、
前記検出素子は、前記変位部の先端部の変位により静電容量値の変化を検出する、
力覚センサであってもよい。
【0008】
[2]本開示は、
前記起歪体は、前記第1接続部の前記第1端部を前記第1センサ体に接続する第1センサ体側接続部を含み、
前記第1センサ体側接続部は、前記第2方向および前記第3方向に沿って形成された薄肉部であって、前記第1接続部の前記第1端部に接続された薄肉部を含む、
[1]に記載の力覚センサであってもよい。
【0009】
[3]本開示は、
前記検出素子は、前記第2センサ体に設けられた固定電極基板と、前記変位部の先端部に設けられた、前記固定電極基板に対向する変位電極基板と、を含む、
[1]または[2]に記載の力覚センサであってもよい。
【0010】
[4]本開示は、
前記固定電極基板は、前記起歪体の中心軸線に対して一方の前記台座の側に位置する第1固定電極基板と、前記起歪体の中心軸線に対して他方の前記台座の側に位置する第2固定電極基板と、を含む、
[3]に記載の力覚センサであってもよい。
【0011】
[5]本開示は、
前記変位電極基板は、前記起歪体の中心軸線に対して一方の前記台座の側に位置する第1変位電極基板と、前記起歪体の中心軸線に対して他方の前記台座の側に位置する第2変位電極基板と、を含む、
[3]または[4]に記載の力覚センサであってもよい。
【0012】
[6]本開示は、
前記変位部は、前記第1接続部の前記第2端部から前記第3方向に延びている、
[1]~[5]のいずれかに記載の力覚センサであってもよい。
【0013】
[7]本開示は、
前記第1方向で見たときに、前記第2センサ体側接続部は、前記第2方向に沿って直線状に形成されている、
[1]~[6]のいずれかに記載の力覚センサであってもよい。
【0014】
[8]本開示は、
前記第1方向で見たときに、前記第1センサ体および前記第2センサ体は、円形状に形成され、
前記第1方向で見たときに、前記第2センサ体側接続部は、前記第1センサ体の周縁および前記第2センサ体の周縁の少なくとも一方に沿うように円弧状に形成されている、
[1]~[7]のいずれかに記載の力覚センサであってもよい。
【0015】
[9]本開示は、
前記第1センサ体と前記第2センサ体とは、4つの前記起歪体で接続され、
4つの前記起歪体は、第1起歪体と、第2起歪体と、第3起歪体と、第4起歪体と、を含み、
前記第1方向をXYZ三次元座標系におけるZ軸方向とし、
前記第1センサ体の中心に対してY軸方向正側に前記第1起歪体が配置され、前記第1センサ体の中心に対してX軸方向負側に前記第2起歪体が配置され、前記第1センサ体の中心に対してY軸方向負側に前記第3起歪体が配置され、前記第1センサ体の中心に対してX軸方向正側に前記第4起歪体が配置されている、
[1]~[8]のいずれかに記載の力覚センサであってもよい。
【0016】
[10]本開示は、
前記変位部は、対応する前記第1接続部の前記第2端部から、前記第1センサ体の中心に向かって延びている、
[9]に記載の力覚センサであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検出感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による力覚センサを適用したロボットの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態による力覚センサを示す断面図であって、後述する
図3のA-A線断面に相当する図である。
【
図3】
図3は、
図2の力覚センサを、受力体を省略して示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図3に示す力覚センサの起歪体を平面展開した図である。
【
図8】
図8は、
図4の第1起歪体がX軸方向正側の力を受けた場合の第1起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。
【
図9A】
図9Aは、
図4の第1起歪体がY軸方向正側の力を受けた場合の第1起歪体の変形状態を模式的に示す側面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図4の第1起歪体がY軸方向負側の力を受けた場合の第1起歪体の変形状態を模式的に示す側面図である。
【
図10A】
図10Aは、
図4の第1起歪体がZ軸方向正側の力を受けた場合の第1起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。
【
図10B】
図10Bは、
図4の第1起歪体がZ軸方向負側の力を受けた場合の第1起歪体の変形状態を模式的に示す正面図である。
【
図11】
図11は、
図4の起歪体における各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。
【
図12】
図12は、
図7の力覚センサにおける各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。
【
図14】
図14は、第2の実施の形態による力覚センサを、受力体を省略して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0020】
本明細書において用いる、幾何学的条件と、物理的特性と、幾何学的条件または物理的特性の程度を特定する用語と、幾何学的条件または物理的特性を示す数値等については、厳密な意味に縛られることなく解釈してもよい。そして、これらの幾何学的条件、物理的特性、用語、および数値などについては、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈してもよい。幾何学的条件を特定する用語の例としては、「長さ」、「角度」、「形状」、「平行」、「直交」および「同一」等が挙げられる。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1~
図13を用いて、本発明の第1の実施の形態による力覚センサについて説明する。
【0022】
まず、本実施の形態によるロボット1について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態によるロボット1の一例を示す斜視図である。ロボット1には、本実施の形態等による力覚センサ10が取り付けられる。ロボット1の例としては、産業用ロボット、協働ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボットおよびサービスロボット等の各種ロボットが挙げられる。以下では、便宜上、力覚センサ10が取り付けられる産業用ロボットを例にとって説明する。
【0023】
図1に示すように、産業用ロボット1は、ロボット本体2と、ツール3と、力覚センサ10と、コントローラ5と、を備えている。ロボット本体2は、ロボットアーム4を含んでいる。ロボットアーム4は、多関節アーム構造を有している。
【0024】
ロボットアーム4の先端に、力覚センサ10が取り付けられている。より具体的には、ロボットアーム4とツール3との間に、力覚センサ10が取り付けられている。力覚センサ10は、図示しない電気ケーブルを介して、コントローラ5に電気的に接続されている。ツール3の例としては、エンドエフェクター(グリッパー等)およびツールチェンジャー(いずれも図示せず)等が挙げられる。
【0025】
コントローラ5は、力覚センサ10から出力された電気信号に基づいて、ロボット1の力制御を行う。このことにより、ロボット本体2およびツール3の動作が制御される。
【0026】
以下、
図2~
図5を参照して本発明の実施の形態による力覚センサ10について説明する。
図2は、本実施の形態による力覚センサを示す断面図であって、
図3のA-A線断面に相当する図である。
図3は、
図2の力覚センサを、受力体を省略して示す平面図である。
図4は、
図2の第1起歪体を示す正面図である。
図5は、
図4の第1起歪体を示す平面図であり、
図6は、
図4の第1起歪体を示す側面図である。
図7は、
図3に示す力覚センサの各起歪体を平面展開した図である。
【0027】
以下の説明では、XYZ三次元座標系を定義し、Z軸方向(第1方向)を上下方向とし、受力体20が上側に配置され、固定体25が下側に配置されるように力覚センサ10を配置した状態で説明を行う。このため、本実施の形態による力覚センサ10は、Z軸方向を上下方向とした姿勢で使用されることに限られることはない。また、受力体20と固定体25のいずれかを上側または下側に配置するかは任意である。
【0028】
力覚センサ10は、所定の軸方向に作用した力および所定の回転軸まわりに作用したモーメントを電気信号として出力する機能を有している。しかしながら、このことに限られることはなく、力およびモーメントの一方のみを電気信号として出力するように構成されていてもよく、更には、力またはモーメントの少なくとも1つの軸成分を電気信号として出力するように構成されていてもよい。
【0029】
力覚センサ10は、
図2および
図3に示すように、受力体20と、固定体25と、起歪体30A~30Dと、検出素子70と、検出回路75と、外装体80と、を備えている。以下、各構成要素についてより詳細に説明する。なお、
図2は、
図3のA-A線断面図であるが、便宜上、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dの概略を示している。
【0030】
受力体20は、第1センサ体の一例である。受力体20は、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける。この作用を受けることにより、受力体20は固定体25に対して相対移動する。上述した
図1の例で言えば、受力体20はツール3にボルト等で固定されており、ツール3から力またはモーメントを受ける。受力体20には、起歪体30A~30Dが接続されている。
【0031】
図3に示すように、本実施の形態では、受力体20の平面形状は円形である。しかしながら、受力体20の平面形状は円形に限られることはなく、矩形であってもよく、任意である。受力体20は、平板状に形成されていてもよい。
【0032】
図2に示すように、固定体25は、第2センサ体の一例である。固定体25は、受力体20を支持している。固定体25は、Z軸方向において、受力体20と異なる位置に配置されている。より具体的には、固定体25は、Z軸方向において受力体20の負側に配置されている。受力体20と固定体25は、Z軸方向において互いに異なる位置に配置されており、固定体25は、受力体20に離間している。
図1の例で言えば、固定体25はロボットアーム4の先端にボルト等で固定されており、ロボット本体2に支持される。固定体25には、起歪体30A~30Dが接続されている。
【0033】
図3に示すように、本実施の形態では、固定体25の平面形状は、受力体20と同様に円形である。Z軸方向で見たときに、固定体25は、受力体20に重なっている。しかしながら、固定体25の平面形状は円形に限られることはなく、矩形であってもよく、任意である。固定体25は、平板状に形成されていてもよい。なお、受力体20の平面形状および固定体25の平面形状のうちの少なくとも一方は、円形であってもよい。この場合、受力体20の平面形状および固定体25の平面形状のうちの一方が円形で、他方が円形以外の形状であってもよい。
【0034】
図2および
図3に示すように、起歪体30A~30Dは、受力体20と固定体25とを接続している。より具体的には、起歪体30A~30Dは、受力体20と固定体25との間に配置されており、起歪体30A~30Dは、受力体20に接続されるとともに固定体25に接続されている。これらの起歪体30A~30Dを介して受力体20は固定体25に支持されている。
【0035】
本実施の形態においては、受力体20と固定体25とは、4つの起歪体30A~30Dで接続されていてもよい。4つの起歪体30A~30Dは、第1起歪体30Aと、第2起歪体30Bと、第3起歪体30Cと、第4起歪体30Dと、を含んでいてもよい。
【0036】
図3に示すように、Z軸方向で見たときに、受力体20の中心Oに対してY軸方向正側に第1起歪体30Aが配置されていてもよい。同様にZ軸方向で見たときに、受力体20の中心Oに対してX軸方向負側に第2起歪体30Bが配置されていてもよい。受力体20の中心Oに対してY軸方向負側に第3起歪体30Cが配置されていてもよい。受力体20の中心Oに対してX軸方向正側に第4起歪体30Dが配置されていてもよい。この場合、第1起歪体30Aと第3起歪体30Cとの間に、受力体20の中心Oが配置され、第2起歪体30Bと第4起歪体30Dとの間に、受力体20の中心Oが配置されている。
【0037】
なお、受力体20と固定体25とを接続する起歪体の個数は、4つに限られることはなく、2つまたは3つでもよく、5つ以上でもよく、任意である。また、受力体20と固定体25とは、1つだけの起歪体で接続されていてもよく、この場合、検出素子70を
図4に示すように2つの容量素子で構成すると、後述するように力の2軸成分を検出することができる。検出素子70が、1つだけの容量素子で構成されて、力の1軸成分を検出するようにしてもよい。
【0038】
図3に示すように、本実施の形態による4つの起歪体30A~30Dは、環状配置されている。すなわち、上述したように、受力体20および固定体25がZ軸方向で見たときに円形状に形成されており、4つの起歪体30A~30Dが、矩形の環状をなすように配置されている。各起歪体30A~30Dは、Z軸方向で見たときに、第2方向に沿って直線状に形成されている。すなわち、第1起歪体30Aの第2方向および第3起歪体30Cの第2方向は、X軸方向に相当している。第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cは、X軸方向に沿って直線状に形成されている。第2起歪体30Bの第2方向および第4起歪体30Dの第2方向は、Y軸方向に相当している。第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dは、Y軸方向に沿って直線状に形成されている。なお、各起歪体30A~30Dの第2方向は、
図3に示す例に限られることはなく、任意である。また、各起歪体30A~30Dの第2方向は、X軸方向にもY軸方向にも沿っていなくてもよい。例えば、4つの起歪体30A~30Dの配置は、環状配置であることに限られることはなく、それぞれを任意の位置で不規則に配置してもよい。
【0039】
次に、本実施の形態による起歪体30A~30Dについてより具体的に説明する。
【0040】
本実施の形態による起歪体30A~30Dは、受力体20が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形して歪みを生じさせ、変位するように構成されている。ここでは、上述した4つの起歪体30A~30Dのうち、X軸方向を第2方向とする第1起歪体30Aを例にとって説明する。Y軸方向は第3方向に相当する。第3方向は、第1方向に直交するとともに第2方向に直交する方向である。第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dについては、同様の構成を有しているため、共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0041】
図2および
図4に示すように、第1起歪体30Aは、第1接続部31と、固定体側接続部32と、を含んでいてもよい。
【0042】
第1接続部31は、受力体20に接続された第1端部31aと、第1端部31aとは反対側に位置する第2端部31bと、を含んでいる。第1接続部31は、第1端部31aから第2端部31bまでZ軸方向に延びている。第1端部31aは、後述する薄肉部40の固定体25の側の面(
図4における下面)に接続されている。第2端部31bは、後述する変位部36に接続されており、第2接続部34と第3接続部35との間に位置している。第1接続部31は、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに沿って直線状に形成されていてもよい。
図4に示すように、第1接続部31は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに沿って形成されていてもよい。第1起歪体30Aの中心軸線CLは、X軸方向における第1起歪体30Aの中心を通るZ軸方向に沿った線である。第1端部31aは、受力体20に、後述する受力体側接続部38を介して接続されている。第1接続部31は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれの力の作用により弾性変形可能であってもよい。
【0043】
固定体側接続部32は、第2センサ体側接続部の一例である。固定体側接続部32は、第1接続部31の第2端部31bを固定体25に接続する。固定体側接続部32は、一対の固定体側台座33と、第2接続部34と、第3接続部35と、変位部36と、を含んでいる。
【0044】
本実施の形態による固定体側台座33は、固定体25に接続されていてもよい。固定体側台座33は、固定体25から受力体20に向かってZ軸方向に延びている。固定体側台座33は、X軸方向において第1接続部31の第2端部31bの両側であって、中心軸線CLの両側に位置している。一方の固定体側台座33は、第2端部31bよりもX軸方向正側に位置している。他方の固定体側台座33は、第2端部31bよりもX軸方向負側に位置している。
【0045】
固定体側台座33は、固定体25に当接して、図示しないボルト等を用いて固定体25に取り付けられる。固定体側台座33の固定体25の側の面(
図4における下面)には、ねじ孔(図示せず)が形成されていてもよい。固定体側台座33には、1つのねじ孔が形成されていてもよく、複数のねじ孔が形成されていてもよい。
【0046】
第2接続部34は、X軸方向に延びている。第2接続部34は、X軸方向およびY軸方向に沿って平板状に形成されていてもよい。第2接続部34は、Y軸方向で見たときに、第1接続部31の第2端部31bから一方の固定体側台座33まで直線状に延びている。
図4に示す例では、第2接続部34は、第2端部31bよりもX軸方向正側に位置する固定体側台座33に接続されて支持されている。第2接続部34は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの力の作用により弾性変形可能であってもよい。
【0047】
第3接続部35は、X軸方向に延びている。第3接続部35は、X軸方向およびY軸方向に沿って平板状に形成されていてもよい。第3接続部35は、Y軸方向で見たときに、第1接続部31の第2端部31bから他方の固定体側台座33まで直線状に延びている。
図4に示す例では、第3接続部35は、第2端部31bよりもX軸方向負側に位置する固定体側台座33に接続されて支持されている。第3接続部35は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの力の作用により弾性変形可能であってもよい。
【0048】
図4~
図6に示すように、変位部36は、Z軸方向で見たときのX軸方向に交差する方向に、第1接続部31の第2端部31bから延びている。変位部36は、第2端部31bからY軸方向に延びていてもよく、Y軸方向に沿って直線状に形成されていてもよい。
図4および
図6に示すように、変位部36は、第2端部31bの固定体25の側の面から延びている。第2端部31bの固定体25の側の面は、第2端部31bのZ軸方向負側の面であって、
図4に示す下面に相当する。しかしながら、変位部36は、第2端部31bのY軸方向負側の面(
図4に示す正面)から延びていてもよい。
【0049】
図3に示すように、第1起歪体30Aの変位部36は、Z軸方向で見たときに、第1起歪体30Aの第1接続部31の第2端部31bから受力体20の中心Oに向かって延びている。第1起歪体30Aの変位部36は、第2端部31bからY軸方向負側に延びている。第1起歪体30Aの変位部36は、X軸方向において第1起歪体30Aの中心に位置していてもよく、Y軸方向で見たときに第1起歪体30Aの中心軸線CL(
図4、
図7参照)に重なっていてもよい。
【0050】
図3に示すように、第2起歪体30Bの変位部36は、Z軸方向で見たときに、第2起歪体30Bの第1接続部31の第2端部31bから受力体20の中心Oに向かって延びている。第2起歪体30Bの変位部36は、第2端部31bからX軸方向正側に延びている。第2起歪体30Bの変位部36は、Y軸方向において第2起歪体30Bの中心に位置していてもよく、X軸方向で見たときに第2起歪体30Bの中心軸線CL(
図4、
図7参照)に重なっていてもよい。
【0051】
図3に示すように、第3起歪体30Cの変位部36は、Z軸方向で見たときに、第3起歪体30Cの第1接続部31の第2端部31bから受力体20の中心Oに向かって延びている。第3起歪体30Cの変位部36は、第2端部31bからY軸方向正側に延びている。第3起歪体30Cの変位部36は、X軸方向において第3起歪体30Cの中心に位置していてもよく、Y軸方向で見たときに第3起歪体30Cの中心軸線CL(
図4、
図7参照)に重なっていてもよい。
【0052】
図3に示すように、第4起歪体30Dの変位部36は、Z軸方向で見たときに、第4起歪体30Dの第1接続部31の第2端部31bから受力体20の中心Oに向かって延びている。第4起歪体30Dの変位部36は、第2端部31bからX軸方向負側に延びている。第4起歪体30Dの変位部36は、Y軸方向において第4起歪体30Dの中心に位置していてもよく、X軸方向で見たときに、第4起歪体30Dの中心軸線CL(
図4、
図7参照)に重なっていてもよい。
【0053】
図4~
図6に示すように、第1起歪体30Aは、受力体側接続部38を更に含んでいてもよい。受力体側接続部38は、第1センサ体側接続部の一例である。受力体側接続部38は、第1接続部31の第1端部31aを受力体20に接続する。受力体側接続部38は、第1接続部31の第1端部31aと受力体20との間に介在されている。受力体側接続部38は、一対の受力体側台座39と、薄肉部40と、を含んでいてもよい。
【0054】
受力体側台座39は、受力体20に接続されていてもよい。受力体側台座39は、受力体20から固定体25に向かってZ軸方向に延びている。受力体側台座39は、X軸方向において第1接続部31の第1端部31aの両側であって、中心軸線CLの両側に位置している。一方の受力体側台座39は、第1端部31aよりもX軸方向正側に位置している。他方の受力体側台座39は、第1端部31aよりもX軸方向負側に位置している。
【0055】
受力体側台座39は、受力体20に当接して、図示しないボルト等を用いて受力体20に取り付けられる。
図3および
図5に示すように、受力体側台座39の受力体20の側の面(
図4における上面)には、ねじ孔41が形成されていてもよい。受力体側台座39のそれぞれには、1つのねじ孔41が形成されていてもよく、複数のねじ孔41が形成されていてもよい。
【0056】
薄肉部40は、一対の受力体側台座39の間に位置しており、各受力体側台座39に接続されている。薄肉部40は、受力体側台座39と第1接続部31とを接続している。薄肉部40の固定体25の側の面(
図4における下面)に、第1接続部31の第1端部31aが接続されている。薄肉部40は、X軸方向に延びている。薄肉部40は、X軸方向およびY軸方向に沿って平板状に形成されていてもよい。
図4に示すように、薄肉部40の厚さt1(Z軸方向寸法)は、受力体側台座39の厚さt2(Z軸方向寸法)よりも薄くなっている。薄肉部40は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの力の作用により弾性変形可能であってもよい。
【0057】
薄肉部40は、受力体側台座39のうちの固定体25の側の部分に接続されている。このことにより、薄肉部40の受力体20の側に、第1凹部42が形成されている。
図4に示すように、第1凹部42は、Y軸方向で見たときに、矩形状に形成されていてもよい。薄肉部40と第1接続部31が別体に形成されている場合、薄肉部40と第1接続部31とを固定するためのボルト(図示せず)の頭部を第1凹部42に配置することができる。このことにより、ボルトの頭部が受力体側接続部38から突出することを防止でき、力覚センサ10の高さを低くすることができる。
【0058】
図4および
図5に示すように、上述した固定体側接続部32は、Z軸方向で見たときに、X軸方向に沿って直線状に形成されていてもよい。上述した受力体側接続部38も同様に、X軸方向に沿って直線状に形成されていてもよい。Z軸方向で見たときに、
図5に示すように、受力体側接続部38は、固定体側接続部32に重なっていてもよい。
【0059】
上述のように構成された第1起歪体30Aは、連続する材料で一体に形成されていてもよい。第1起歪体30Aは、1つのブロック材から機械加工(例えば、切削加工)で作製されていてもよく、または鋳造加工で作製されていてもよい。第1起歪体30Aは、アルミ合金または鉄合金などの金属材料で作製されていてもよい。
【0060】
検出素子70は、上述した第1起歪体30Aの弾性変形により生じた変位を検出するように構成されている。本実施の形態による検出素子70は、上述した変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出する素子として構成されている。
【0061】
図4および
図5に示すように、検出素子70は、第1容量素子C1と、第2容量素子C2と、を含んでいる。第1容量素子C1および第2容量素子C2はそれぞれ、第1起歪体30Aの変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出する。第1容量素子C1および第2容量素子C2は、
図4に示す第1起歪体30A用の容量素子である。
【0062】
図4および
図5に示す例においては、第1容量素子C1は、固定体25に設けられた第1固定電極基板Ef1と、変位部36の先端部36aに設けられた第1変位電極基板Ed1と、を含んでいる。第2容量素子C2は、固定体25に設けられた第2固定電極基板Ef2と、変位部36の先端部36aに設けられた第2変位電極基板Ed2と、を含んでいる。第1容量素子C1は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対してX軸方向正側に配置されている。第2容量素子C2は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対してX軸方向負側に配置されている。
【0063】
図4に示すように、第1固定電極基板Ef1は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して一方の固定体側台座33の側に位置している。より具体的には、第1固定電極基板Ef1は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対してX軸方向正側に位置している。第2固定電極基板Ef2は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して他方の固定体側台座33の側に位置している。第2固定電極基板Ef2は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対してX軸方向負側に位置している。
【0064】
図4~
図6に示すように、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2は、一体化されていてもよい。より具体的には、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2はそれぞれ、固定電極Ef(
図13参照)と、絶縁体と、を含んでいる。絶縁体は、固定電極Efと固定体25との間に介在されている。第1固定電極基板Ef1の固定電極Efと、第2固定電極基板Ef2の固定電極Efが一体化されて共通固定電極Efcが形成されている。第1固定電極基板Ef1の絶縁体と、第2固定電極基板Ef2の絶縁体が一体化されて共通絶縁体IBfcが形成されている。共通絶縁体IBfcが、接着材等で固定体25に接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。共通絶縁体IBfcの全体が固定体25に接合されていてもよい。
【0065】
図4および
図5に示すように、第1変位電極基板Ed1は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して一方の固定体側台座33の側に位置している。より具体的には、第1変位電極基板Ed1は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対してX軸方向正側に位置しており、上述した第1固定電極基板Ef1に対向している。第2変位電極基板Ed2は、他方の固定体側台座33の側に位置している。より具体的には、第2変位電極基板Ed2は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対してX軸方向負側に位置しており、上述した第2固定電極基板Ef2に対向している。
【0066】
第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2はそれぞれ、変位電極Edと、絶縁体と、を含んでいる。第1変位電極基板Ed1の変位電極Edは、第1固定電極基板Ef1の固定電極Efに対向し、第2変位電極基板Ed2の変位電極Edは、第2固定電極基板Ef2の固定電極Efに対向している。第1変位電極基板Ed1の変位電極Edと第2変位電極基板Ed2の変位電極Edは、別体に形成されて互いに離間していてもよい。絶縁体は、変位電極Edと変位部36との間に介在されている。第1変位電極基板Ed1の絶縁体と第2変位電極基板Ed2の絶縁体は、一体化されて共通絶縁体IBdcが形成されていてもよい。共通絶縁体IBdcが、変位部36に、接着材等で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。共通絶縁体IBdcの一部が、変位部36に接合されていてもよい。
【0067】
第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、
図3、
図5および
図6に示すように、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edおよび第2変位電極基板Ed2の変位電極Edは、Y軸方向において同じ位置に配置されている。第1容量素子C1および第2容量素子C2は、第1接続部31に対してY軸方向負側に配置されている。
【0068】
本実施の形態では、固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efを一体化した共通固定電極Efcの平面形状は、矩形になっている。変位電極基板Ed1、Ed2の変位電極Edの平面形状も、矩形になっている。しかしながら、共通固定電極Efcおよび変位電極Edの平面形状は、矩形に限られることはなく、円形、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。
【0069】
Z軸方向で見たときに、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edの平面形状は、共通固定電極Efcの平面形状よりも小さくなっていてもよい。そして、受力体20が力またはモーメントを受けて第1変位電極基板Ed1が変位した場合であっても、Z軸方向で見たときに第1変位電極基板Ed1の変位電極Edが全体として共通固定電極Efcに重なるように、変位電極Edの大きさと共通固定電極Efcの大きさが設定されていてもよい。このことにより、変位電極Edと共通固定電極Efcの対向面積が変化することを防止することができ、静電容量値の変化に、対向面積の変化が影響を及ぼすことを防止することができる。このため、変位電極Edと共通固定電極Efcとの距離の変化に応じて静電容量値を変化させることができる。ここで、対向面積とは、Z軸方向で見たときに変位電極Edと共通固定電極Efcとが重なる面積を言う。変位部36が傾斜した場合には、共通固定電極Efcよりも小さい変位電極Edが傾斜して対向面積が変動し得るが、この場合の変位電極Edの傾斜角度は小さい。このことにより、静電容量値の変化には、変位電極Edと共通固定電極Efcとの距離が支配的となる。このため、本明細書では、変位電極Edの傾斜による対向面積の変動は考慮せず、静電容量値の変化は、変位電極Edと共通固定電極Efcとの距離の変化に起因すると考える。なお、後述する
図8等では、図面を明瞭にするために、変位部36の傾斜を誇張している。
【0070】
同様に、Z軸方向で見たときに、第2変位電極基板Ed2の変位電極Edの平面形状は、共通固定電極Efcよりも小さくなっていてもよい。第2変位電極基板Ed2の変位電極Edの平面形状は、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edの平面形状と同一であってもよい。
【0071】
第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2の共通固定電極Efcの平面形状は、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2の共通絶縁体IBfcの平面形状と同一の大きさであってもよい。しかしながら、共通固定電極Efcの平面形状は、共通絶縁体IBfcの平面形状よりも小さくてもよい。第1変位電極基板Ed1の変位電極Edの平面形状および第2変位電極基板Ed2の変位電極Edの平面形状はそれぞれ、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2の共通絶縁体IBdcの平面形状よりも小さくてもよい。
【0072】
絶縁体は、ガラスエポキシ樹脂またはセラミックなどの絶縁性を有する材料で形成されていてもよい。あるいは、固定電極基板Ef1、Ef2は、FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)で構成されていてもよい。FPC基板は、薄いフィルム状に形成されており、フレキシブル性を有しているプリント基板である。FPC基板は、ポリイミドフィルムの上面に、電極および配線を構成する金属薄膜が形成されている。FPC基板のうち固定電極基板Ef1、Ef2に相当する部分が固定体25に固定されていてもよい。FPC基板は、固定電極Efを検出回路75に接続する配線を含んでいてもよい。絶縁体がFPC基板で構成されている場合には、変位電極基板Ed1、Ed2に相当する部分が変位部36に固定されていてもよい。FPC基板は、変位電極Edを検出回路75に接続する配線を含んでいてもよい。
【0073】
上述した第1起歪体30Aとこれに対応する検出素子70の構成は、第2起歪体30B、第3起歪体30Cおよび第4起歪体30Dにも同様に適用できる。
【0074】
すなわち、
図3に示すように、検出素子70は、第3容量素子C3と、第4容量素子C4と、を更に含んでいる。第3容量素子C3および第4容量素子C4はそれぞれ、第2起歪体30Bの変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出する。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、第2起歪体30B用の容量素子である。
【0075】
図7に示すように、第3容量素子C3は、固定体25に設けられた第3固定電極基板Ef3と、変位部36の先端部36aに設けられた第3変位電極基板Ed3と、を含んでいる。第4容量素子C4は、固定体25に設けられた第4固定電極基板Ef4と、変位部36の先端部36aに設けられた第4変位電極基板Ed4と、を含んでいる。
【0076】
第3固定電極基板Ef3は、第2起歪体30Bの中心軸線CLに対してY軸方向正側に位置している。第4固定電極基板Ef4は、第2起歪体30Bの中心軸線CLに対してY軸方向負側に位置している。本実施の形態においては、第3固定電極基板Ef3および第4固定電極基板Ef4は、一体化されており、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様に構成されている。
【0077】
第3変位電極基板Ed3は、第2起歪体30Bの中心軸線CLに対してY軸方向正側に位置している。第3変位電極基板Ed3は、上述した第3固定電極基板Ef3に対向している。第4変位電極基板Ed4は、第2起歪体30Bの中心軸線CLに対してY軸方向負側に位置している。第4変位電極基板Ed4は、上述した第4固定電極基板Ef4に対向している。変位電極基板Ed3、Ed4は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様に構成されている。
【0078】
第3容量素子C3および第4容量素子C4は、X軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、
図3に示すように、第3変位電極基板Ed3の変位電極Edおよび第4変位電極基板Ed4の変位電極Edは、X軸方向において同じ位置に配置されている。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、第1接続部31に対してX軸方向正側に配置されている。
【0079】
また、
図3に示すように、検出素子70は、第5容量素子C5と、第6容量素子C6と、を更に含んでいる。第5容量素子C5および第6容量素子C6はそれぞれ、第3起歪体30Cの変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出する。第5容量素子C5および第6容量素子C6は、第3起歪体30C用の容量素子である。
【0080】
図7に示すように、第5容量素子C5は、固定体25に設けられた第5固定電極基板Ef5と、変位部36の先端部36aに設けられた第5変位電極基板Ed5と、を含んでいる。第6容量素子C6は、固定体25に設けられた第6固定電極基板Ef6と、変位部36の先端部36aに設けられた第6変位電極基板Ed6と、を含んでいる。
【0081】
第5固定電極基板Ef5は、第3起歪体30Cの中心軸線CLに対してX軸方向負側に位置している。第6固定電極基板Ef6は、第3起歪体30Cの中心軸線CLに対してX軸方向正側に位置している。本実施の形態においては、第5固定電極基板Ef5および第6固定電極基板Ef6は、一体化されており、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様に構成されている。
【0082】
第5変位電極基板Ed5は、第3起歪体30Cの中心軸線CLに対してX軸方向負側に位置している。第5変位電極基板Ed5は、上述した第5固定電極基板Ef5に対向している。第6変位電極基板Ed6は、第3起歪体30Cの中心軸線CLに対してX軸方向正側に位置している。第6変位電極基板Ed6は、上述した第6固定電極基板Ef6に対向している。変位電極基板Ed5、Ed6は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様に構成されている。
【0083】
第5容量素子C5および第6容量素子C6は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、
図3に示すように、第5変位電極基板Ed5の変位電極Edおよび第6変位電極基板Ed6の変位電極Edは、Y軸方向において同じ位置に配置されている。第5容量素子C5および第6容量素子C6は、第1接続部31に対してY軸方向正側に配置されている。
【0084】
また、
図3に示すように、検出素子70は、第7容量素子C7と、第8容量素子C8と、を更に含んでいる。第7容量素子C7および第8容量素子C8はそれぞれ、第4起歪体30Dの変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出する。第7容量素子C7および第8容量素子C8は、第4起歪体30D用の容量素子である。
【0085】
図7に示すように、第7容量素子C7は、固定体25に設けられた第7固定電極基板Ef7と、変位部36の先端部36aに設けられた第7変位電極基板Ed7と、を含んでいる。第8容量素子C8は、固定体25に設けられた第8固定電極基板Ef8と、変位部36の先端部36aに設けられた第8変位電極基板Ed8と、を含んでいる。
【0086】
第7固定電極基板Ef7は、第4起歪体30Dの中心軸線CLに対してY軸方向負側に位置している。第8固定電極基板Ef8は、第4起歪体30Dの中心軸線CLに対してY軸方向正側に位置している。本実施の形態においては、第7固定電極基板Ef7および第8固定電極基板Ef8は、一体化されており、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様に構成されている。
【0087】
第7変位電極基板Ed7は、第4起歪体30Dの中心軸線CLに対してY軸方向負側に位置している。第7変位電極基板Ed7は、上述した第7固定電極基板Ef7に対向している。第8変位電極基板Ed8は、第4起歪体30Dの中心軸線CLに対してY軸方向正側に位置している。第8変位電極基板Ed8は、上述した第8固定電極基板Ef8に対向している。変位電極基板Ed7、Ed8は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様に構成されている。
【0088】
第7容量素子C7および第8容量素子C8は、X軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、
図3に示すように、第7変位電極基板Ed7の変位電極Edおよび第8変位電極基板Ed8の変位電極Edは、X軸方向において同じ位置に配置されている。第7容量素子C7および第8容量素子C8は、第1接続部31に対してX軸方向負側に配置されている。
【0089】
図2に示すように、検出回路75は、検出素子70の検出結果に基づいて、起歪体30A~30Dに作用した力またはモーメントを示す電気信号を出力する。この検出回路75は、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算機能を有していてもよい。また、検出回路75は、上述した検出素子70から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能や、信号を増幅する機能を有してもよい。検出回路75は、電気信号を出力する端子を含んでいてもよく、この端子から図示しない電気ケーブルを介して上述したコントローラ5に電気信号が送信される。
【0090】
図2および
図3に示すように、外装体80は、Z軸方向で見たときに、4つの起歪体30A~30Dを外側から覆うように構成されている。外装体80は、力覚センサ10を構成する筒状の筐体である。起歪体30A~30Dは、外装体80に収容されている。本実施の形態では外装体80の平面断面形状(XY平面に沿う断面における形状)は円形枠形状になっている。受力体20と外装体80との間の隙間に、緩衝部材81が介在されていてもよい。緩衝部材81は、例えば、ゴムまたはスポンジなどの弾性変形可能な柔軟な材料で形成されていてもよい。
【0091】
次に、このような構成からなる本実施の形態による力覚センサ10に力またはモーメントが作用して、その力またはモーメントを検出する方法について
図8~
図10Bを参照して説明する。
図8は、
図4の第1起歪体がX軸方向正側の力Fxを受けた場合の第1起歪体30Aの変形状態を模式的に示す正面図であり、
図9Aは、
図4の第1起歪体がY軸方向正側の力Fyを受けた場合の第1起歪体30Aの変形状態を模式的に示す側面図である。
図9Bは、
図4の第1起歪体がY軸方向負側の力Fyを受けた場合の第1起歪体30Aの変形状態を模式的に示す側面図である。
図10Aは、
図4の第1起歪体30AがZ軸方向正側の力Fzを受けた場合の第1起歪体30Aの変形状態を模式的に示す正面図である。
図10Bは、
図4の第1起歪体30AがZ軸方向負側の力を受けた場合の第1起歪体30Aの変形状態を模式的に示す正面図である。
【0092】
受力体20が力またはモーメントの作用を受けると、その力またはモーメントが、第1起歪体30A~第4起歪体30Dに伝わる。より具体的には、その力またはモーメントが薄肉部40、第1接続部31、第2接続部34および第3接続部35に伝わり、薄肉部40および各接続部31、34、35に弾性変形が生じる。このことにより、変位部36に変位が生じる。このため、検出素子70の各固定電極基板Ef1~Ef8と対応する変位電極基板Ed1~Ed8との間の距離が変化し、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化が、起歪体30A~30Dに生じた変位として検出素子70で検出される。この場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が異なり得る。このため、検出回路75は、検出素子70で検出された各容量素子C1~C8の静電容量値の変化に基づいて、受力体20に作用した力またはモーメントの向きと大きさを検出することができる。
【0093】
ここでは、まず、第1起歪体30Aを例にとって、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fzが作用した場合の第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値の変化について説明する。
【0094】
(+Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、
図8に示すように、第1起歪体30Aの薄肉部40、第1接続部31、第2接続部34および第3接続部35が弾性変形しながら、第1接続部31の第1端部31aがX軸方向正側に変位する。このことにより、第1接続部31がX軸方向正側に倒れるように傾斜する。言い換えると、第1接続部31は、Y軸方向正側に向かって見たときに(
図8の紙面に向かって見たときに)、時計回りに回動する。第1接続部31と連動して、変位部36は時計回りに回動し、傾斜する。
【0095】
第1変位電極基板Ed1は、第1固定電極基板Ef1に近づき、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。一方、第2変位電極基板Ed2は、第2固定電極基板Ef2から遠ざかり、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大する。このため、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
【0096】
(-Fxが作用した場合)
第1起歪体30AにX軸方向負側に力Fxが作用した場合には、図示しないが、
図8に示す場合と逆の現象が生じる。すなわち、第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
【0097】
(+Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向正側に力Fyが作用した場合には、
図9Aに示すように、薄肉部40、第1接続部31、第2接続部34および第3接続部35が弾性変形しながら、第1接続部31の第1端部31aがY軸方向正側に変位する。このことにより、第1接続部31がY軸方向正側に倒れるように傾斜する。言い換えると、第1接続部31は、X軸方向正側に向かって見たときに(
図9Aの紙面に向かって見たときに)、反時計回りに回動する。第1接続部31と連動して、変位部36は反時計回りに回動して、傾斜する。この場合、変位部36の先端部36aは、固定体25から遠ざかる方向に変位する。
【0098】
第1変位電極基板Ed1は、第1固定電極基板Ef1から遠ざかり、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。同様に、第2変位電極基板Ed2は、第2固定電極基板Ef2から遠ざかり、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大する。このため、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
【0099】
(-Fyが作用した場合)
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合には、
図9Bに示すように、
図9Aに示す場合と逆の現象が生じる。
【0100】
第1起歪体30AにY軸方向負側に力Fyが作用した場合には、
図9Bに示すように、薄肉部40、第1接続部31、第2接続部34および第3接続部35が弾性変形しながら、第1接続部31の第1端部31aがY軸方向負側に変位する。このことにより、第1接続部31がY軸方向負側に倒れるように傾斜する。言い換えると、第1接続部31は、X軸方向正側に向かって見たときに(
図9Bの紙面に向かって見たときに)、時計回りに回動する。第1接続部31と連動して、変位部36は時計回りに回動して、傾斜する。この場合、変位部36の先端部36aは、固定体25に近づく方向に変位する。
【0101】
第1変位電極基板Ed1は、第1固定電極基板Ef1に近づき、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。同様に、第2変位電極基板Ed2は、第2固定電極基板Ef2に近づき、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少する。このため、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
【0102】
(+Fzが作用した場合)
第1起歪体30AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、
図10Aに示すように、薄肉部40、第2接続部34および第3接続部35が弾性変形しながら、第1接続部31がZ軸方向正側に変位する。第1接続部31と連動して、変位部36はZ軸方向正側に変位する。
【0103】
第1変位電極基板Ed1は、第1固定電極基板Ef1から遠ざかり、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。同様に、第2変位電極基板Ed2は、第2固定電極基板Ef2から遠ざかり、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大する。このため、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
【0104】
(-Fzが作用した場合)
第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合には、
図10Bに示すように、
図10Aに示す場合と逆の現象が生じる。
【0105】
第1起歪体30AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合には、
図10Bに示すように、薄肉部40、第2接続部34および第3接続部35が弾性変形しながら、第1接続部31がZ軸方向負側に変位する。第1接続部31と連動して、変位部36はZ軸方向負側に変位する。
【0106】
第1変位電極基板Ed1は、第1固定電極基板Ef1に近づき、第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少する。このため、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。同様に、第2変位電極基板Ed2は、第2固定電極基板Ef2に近づき、第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少する。このため、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
【0107】
ここで、
図4に示す第1起歪体30Aに設けられた各容量素子C1、C2の静電容量値の変化を、
図11に示す。
図11は、
図4の第1起歪体30Aにおける各容量素子C1、C2の静電容量値の変化を示す表である。
【0108】
図11においては、X軸方向の力FxとY軸方向の力FyとZ軸方向の力Fzについての容量素子C1、C2の静電容量値の変化を示している。静電容量値が減少した場合を「-(マイナス)」で示し、静電容量値が増大した場合を「+(プラス)」で示している。例えば、
図11に示す表中のFxの行のC1に「+」が示されているが、これは、上述したように+Fxの力が作用した場合には第1容量素子C1の静電容量値が増大することを示している。一方、
図11に示す表中のFxの行のC2に「-」が示されているが、これは、上述したように+Fxの力が作用した場合には第2容量素子C2の静電容量値が減少することを示している。上述したように、力Fzが作用した場合には、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と、第2容量素子C2の静電容量値の変化量が異なっている。しかしながら、簡略化のため、
図11では、静電容量値の変化を単に符号で表している。
【0109】
図11に示す表から、受力体20と固定体25とが第1起歪体30Aだけで接続されている力覚センサ10において、受力体20に作用した力Fx、Fy、Fzは、以下の式で算出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力が算出される。以下の式中のC1、C2は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
【数1】
【数2】
【数3】
【0110】
図11に示すように、受力体20と固定体25とが第1起歪体30Aだけで接続されている力覚センサ10においては、X軸方向の力Fxは、第1容量素子C1の静電容量値と第2容量素子C2の静電容量値との差で検出することができる。すなわち、上述の式(1)に示されているように、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と第2容量素子C2の静電容量値の変化量との差分によって力Fxの出力値を算出することができる。第1容量素子C1の静電容量値および第2容量素子C2の静電容量値のそれぞれに、ノイズまたは周囲温度等の外乱による影響が含まれていたとしても、その影響は、上述の式(1)の差分によって相殺することができる。このため、力Fxの出力値が、外乱の影響を受けることを防止でき、力覚センサ10の高性能化を図ることができる。
【0111】
なお、上述の式(2)および式(3)に示されているように、FyとFzでは、数式が同じであるため、検出された力がFyおよびFzのいずれであるかを判別することが困難になる。このため、1つの第1起歪体30Aだけを用いた力覚センサ10は、力Fyおよび力Fzのいずれか一方と、力Fxが作用する場合に用いることができる。この場合の力覚センサ10は、2軸成分を検出可能な力覚センサである。
【0112】
図4に示す第1起歪体30Aの変位部36は、第1接続部31の第2端部31bからY軸方向負側に延びている。第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、変位部36の先端部36aに位置している。このことにより、力Fyが作用した場合の変位部36の先端部36aの変位を大きくすることができ、静電容量値の変化を大きくすることができる。このため、力Fyの検出感度を高めることができる。例えば、変位部36の長さを調節することにより、力Fyの検出感度を調節することができる。力Fyの検出感度を、力Fxの検出感度および力Fzの検出感度よりも高くしてもよい。
【0113】
例えば、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edおよび第2変位電極基板Ed2の変位電極EdのY軸方向における中心位置(
図5および
図6に示すPY)が、第2接続部34および第3接続部35よりもY軸方向負側に位置していてもよい。このことにより、力Fyが作用した場合に第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値を変化させることができる。この場合、Z軸方向で見たときに、第1変位電極基板Ed1の一部が第2接続部34に重なっていてもよく、第2変位電極基板Ed2の一部が第3接続部35に重なっていてもよい。
【0114】
例えば、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edおよび第2変位電極基板Ed2の変位電極Edは、Y軸方向において、第2接続部34および第3接続部35から離間していてもよい。このことにより、力Fyが作用した場合に第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値をより一層変化させることができる。
【0115】
一方、変位電極基板Ed1、Ed2は、他の変位電極基板Ed3~Ed8と干渉しないように変位部36の長さが設定されていてもよい。
【0116】
次に、
図7に示す力覚センサ10において、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、Z軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1~C8の静電容量値の変化について
図12を参照して説明する。
図12は、
図7の力覚センサにおける各容量素子の静電容量値の変化を示す表である。
【0117】
(+Fxが作用した場合)
まず、
図7に示す受力体20にX軸方向正側に力Fxが作用した場合について説明する。
【0118】
この場合、第1起歪体30Aは、
図8に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
【0119】
第2起歪体30Bは、
図9Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。上述したように、第2起歪体30Bの変位部36が第1接続部31の第2端部31bからX軸方向正側に延びているため、第3容量素子C3の静電容量値の増大量は比較的大きい。このため、
図12に示す表中のFxの行のC3は、「++」としている。第4容量素子C4の静電容量値の増大量も同様に比較的大きいため、
図12に示す表中のFxの行のC4は、「++」としている。
【0120】
第3起歪体30Cは、
図8に示す第1起歪体30Aとは反対方向に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。
【0121】
第4起歪体30Dは、
図9Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が減少する。上述したように、第4起歪体30Dの変位部36が第1接続部31の第2端部31bからX軸方向負側に延びているため、第7容量素子C7の静電容量値の増大量は比較的大きい。このため、
図12に示す表中のFxの行のC7は、「--」としている。第8容量素子C8の静電容量値の減少量も同様に比較的大きいため、
図12に示す表中のFxの行のC8は、「--」としている。
【0122】
(+Fyが作用した場合)
次に、受力体20にY軸方向正側に力Fyが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように
図12の表中の符号が定められる。
【0123】
第1起歪体30Aは、
図9Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。第1起歪体30Aの変位部36が第1接続部31の第2端部31bからY軸方向負側に延びているため、第1容量素子C1の静電容量値の増大量は比較的大きい。このため、
図12に示す表中のFyの行のC1は、「--」としている。第2容量素子C2の静電容量値の増大量も同様に比較的大きいため、
図12に示す表中のFyの行のC2は、「--」としている。
【0124】
第2起歪体30Bは、
図8に示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
【0125】
第3起歪体30Cは、
図9Bに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が増大するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。第3起歪体30Cの変位部36が第1接続部31の第2端部31bからY軸方向正側に延びているため、第5容量素子C5の静電容量値の増大量は比較的大きい。このため、
図12に示す表中のFyの行のC5は、「++」としている。第6容量素子C6の静電容量値の増大量も同様に比較的大きいため、
図12に示す表中のFyの行のC6は、「++」としている。
【0126】
第4起歪体30Dは、
図8に示す第1起歪体30Aとは反対方向に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
【0127】
(+Fzが作用した場合)
次に、受力体20にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように
図12の表中の符号が定められる。
【0128】
この場合、第1起歪体30Aは、
図10Aに示す第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。同様に、第3容量素子C3~第8容量素子C8もそれぞれ減少する。
【0129】
(+Mxが作用した場合)
次に、受力体20にX軸周り、すなわちX軸方向正側に向かって時計回りのモーメントMx(
図7参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように
図12の表中の符号が定められる。
【0130】
この場合、第1起歪体30Aは、
図10Aに示すようにZ軸方向正側を向く力Fzが作用した第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
【0131】
第2起歪体30Bにおいては、中心軸線CLが、Y軸方向において受力体20の中心Oに位置しているため、第2起歪体30Bの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第2起歪体30Bは弾性変形しないとみなす。このため、第3容量素子C3の静電容量値が変化せず、第4容量素子C4の静電容量値も変化しない。
図12に示す表中のMxの行のC3およびC4は、「0(ゼロ)」としている。
【0132】
第3起歪体30Cは、
図10Bに示すようにZ軸方向負側を向く力Fzが作用した第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が増大するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。
【0133】
第4起歪体30Dにおいては、中心軸線CLが、Y軸方向において受力体20の中心Oに位置しているため、第4起歪体30Dの弾性変形は、第1起歪体30Aおよび第3起歪体30Cに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第4起歪体30Dは弾性変形しないとみなす。このため、第7容量素子C7の静電容量値が変化せず、第8容量素子C8の静電容量値も変化しない。
図12に示す表中のMxの行のC7およびC8は、「0(ゼロ)」としている。
【0134】
(+Myが作用した場合)
次に、受力体20にY軸周り、すなわちY軸方向正側に向かって時計回りのモーメントMy(
図7参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように
図12の表中の符号が定められる。
【0135】
この場合、第1起歪体30Aにおいては、中心軸線CLが、X軸方向において受力体20の中心Oに位置しているため、第1起歪体30Aの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第1起歪体30Aは弾性変形しないとみなす。このため、第1容量素子C1の静電容量値が変化せず、第2容量素子C2の静電容量値も変化しない。
図12に示す表中のMyの行のC1およびC2は、「0(ゼロ)」としている。
【0136】
第2起歪体30Bは、
図10Aに示すようにZ軸方向正側を向く力Fzが作用した第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が減少する。
【0137】
第3起歪体30Cにおいては、中心軸線CLが、X軸方向において受力体20の中心Oに位置しているため、第3起歪体30Cの弾性変形は、第2起歪体30Bおよび第4起歪体30Dに比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第3起歪体30Cは弾性変形しないとみなす。このため、第5容量素子C5の静電容量値が変化せず、第6容量素子C6の静電容量値も変化しない。
図12に示す表中のMyの行のC5およびC6は、「0(ゼロ)」としている。
【0138】
第4起歪体30Dは、
図10Bに示すようにZ軸方向負側を向く力Fzが作用した第1起歪体30Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が増大するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
【0139】
(+Mzが作用した場合)
次に、受力体20に、Z軸周り、すなわちZ軸方向正側に向かって時計回りのモーメントMz(
図7参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように
図12の表中の符号が定められる。
【0140】
この場合、第1起歪体30Aは、
図8に示す第1起歪体30Aとは反対方向に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
【0141】
第2起歪体30Bは、
図8に示す第1起歪体30Aとは反対方向に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
【0142】
第3起歪体30Cは、
図8に示す第1起歪体30Aとは反対方向に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が増大する。
【0143】
第4起歪体30Dは、
図8に示す第1起歪体30Aとは反対方向に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
【0144】
このようにして、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が検出されると、受力体20に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、
図12に示すように、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。
【0145】
図12に示す表から、受力体20に作用した力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力またはモーメントが算出される。以下の式中のC1~C8は、各容量素子における静電容量値の変化量を示す。
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【0146】
上述したように、
図7に示す力覚センサ10は、上述した式(4)~式(9)で示したように、力Fx、Fy、Fz、およびモーメントMx、My、Mzを検出することができるため、力の6軸成分を検出することが可能になっている。しかしながら、力覚センサ10が検出することが可能な力の軸成分は6つであることに限られることはなく、起歪体の個数や構造、形状に応じて、検出可能な軸成分は任意である。上述した式(4)~式(9)に含まれる係数a1~a32は、静電容量値の変化量(増大量または減少量)が比較的小さいことを示す係数である。係数a1~a32は、互いに異なり得る。
【0147】
上述した式(4)~式(9)に係数a1~a32が含まれていることにより、各軸成分に他軸感度が発生している。しかしながら、他軸感度が発生した場合であっても、他軸感度のマトリックスの逆行列を求め、この逆行列を力覚センサの出力(特性行列)に乗じることによって補正演算を行うことができる。この結果、他軸感度を低減することができ、他軸感度の発生を無視できる程度に他軸感度を低減することができる。
【0148】
上述したように、各起歪体30A~30Dの変位部36は、対応する第1接続部31の第2端部31bからX軸方向またはY軸方向に延びている。各変位電極基板Ed1~Ed8は、対応する変位部36の先端部36aに位置している。このことにより、受力体20に力またはモーメントが作用した場合における変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位を大きくすることができる。このため、静電容量値の変化を大きくすることができ、検出感度を高めることができる。とりわけ、
図12に示すように、受力体20に力Fxが作用した場合に、第3容量素子C3、第4容量素子C4、第7容量素子C7および第8容量素子C8の静電容量値の変化を大きくすることができ、力Fxの検出感度を高めることができる。同様に、受力体20に力Fyが作用した場合に、第1容量素子C1、第2容量素子C2、第5容量素子C5および第6容量素子C6の静電容量値の変化を大きくすることができ、力Fyの検出感度を高めることができる。
【0149】
このように本実施の形態によれば、第1起歪体30Aの変位部36は、Z軸方向で見たときのX軸方向に交差する方向に、第1接続部31の第2端部31bから延びている。検出素子70は、変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出する。このことにより、力Fyが作用した場合に、変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位を大きくすることができる。このため、静電容量値の変化を大きくすることができ、力覚センサ10の検出感度を向上させることができる。
【0150】
また、本実施の形態によれば、第1起歪体30Aは、第1接続部31の第1端部31aを受力体20に接続する受力体側接続部38を含んでおり、受力体側接続部38は、薄肉部40を含んでいる。薄肉部40は、X軸方向およびY軸方向に沿って形成されており、第1接続部31に接続されている。このことにより、薄肉部40は、受力体20に力またはモーメントが作用した場合に、弾性変形することができ、変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位をより一層大きくすることができる。このため、力覚センサ10の検出感度をより一層向上させることができる。
【0151】
また、本実施の形態によれば、検出素子70は、固定体25に設けられた固定電極基板Ef1、Ef2と、変位部36の先端部36aに設けられた、固定電極基板Ef1、Ef2に対向する変位電極基板Ed1、Ed2と、を含んでいる。このことにより、検出素子70は、変位部36の先端部36aの変位により静電容量値の変化を検出することができる。このため、検出感度を向上させた力覚センサ10を得ることができる。
【0152】
また、本実施の形態によれば、固定電極基板Ef1、Ef2は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して一方の固定体側台座33の側に位置する第1固定電極基板Ef1と、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して他方の固定体側台座33の側に位置する第2固定電極基板Ef2と、を含んでいる。このことにより、X軸方向の力Fxが作用した場合、第1容量素子C1の静電容量値および第2容量素子C2の静電容量値のいずれか一方を増大させることができるとともに他方を減少させることができる。このため、力Fxの作用時の出力値を、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と第2容量素子C2の静電容量値の変化量との差分によって算出することができる。この場合、上述した外乱による影響を相殺することができる。このため、力Fxの出力値が、外乱の影響を受けることを防止でき、力覚センサ10の高性能化を図ることができる。また、
図7に示すような4つの起歪体30A~30Dで受力体20と固定体25とを接続した場合に、検出可能な軸成分数を増やすことができ、6軸成分を検出することができる。
【0153】
また、本実施の形態によれば、変位電極基板Ed1、Ed2は、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して一方の固定体側台座33の側に位置する第1変位電極基板Ed1と、第1起歪体30Aの中心軸線CLに対して他方の固定体側台座33の側に位置する第2変位電極基板Ed2と、を含んでいる。このことにより、X軸方向の力Fxが作用した場合、第1容量素子C1の静電容量値および第2容量素子C2の静電容量値のいずれか一方を増大させることができるとともに他方を減少させることができる。このため、力Fxの作用時の出力値を、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と第2容量素子C2の静電容量値の変化量との差分によって算出することができる。この場合、上述した外乱による影響を相殺することができる。このため、力Fxの出力値が、外乱の影響を受けることを防止でき、力覚センサ10の高性能化を図ることができる。また、
図7に示すような4つの起歪体30A~30Dで受力体20と固定体25とを接続した場合に、検出可能な軸成分数を増やすことができ、6軸成分を検出することができる。
【0154】
また、本実施の形態によれば、第1起歪体30Aの変位部36は、第1起歪体30Aの第1接続部31の第2端部31bからY軸方向に延びている。このことにより、受力体20にY軸方向の力Fyが作用した場合に、変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位をより一層大きくすることができる。このため、力Fyの検出感度をより一層向上させることができ、力覚センサ10の検出感度をより一層向上させることができる。
【0155】
また、本実施の形態によれば、Z軸方向で見たときに、第2接続部34および第3接続部35は、X軸方向に沿って直線状に形成されている。このことにより、第1起歪体30Aの作製を容易化させることができ、力覚センサ10のコストを低減することができる。例えば、第1起歪体30Aを、1つのブロック材から機械加工で作製する場合、第1起歪体30Aを効率よく作製することができ、力覚センサ10のコスト低減に効果的に貢献することができる。
【0156】
また、本実施の形態によれば、受力体20の中心Oに対してY軸方向正側に第1起歪体30Aが配置され、X軸方向負側に第2起歪体30Bが配置され、Y軸方向負側に第3起歪体30Cが配置され、X軸方向正側に第4起歪体30Dが配置されている。このことにより、Z軸方向で見たときに、第1起歪体30A~第4起歪体30Dを、受力体20の中心Oに対して環状に配置することができる。このため、任意の方向の力またはモーメントの検出精度を向上させることができ、力またはモーメントの検出精度が、力の方向またはモーメントの方向によって低下することを抑制することができる。
【0157】
また、本実施の形態によれば、各起歪体30A~30Dの変位部36は、対応する第1接続部31の第2端部31bから、受力体20の中心に向かって延びている。このことにより、各起歪体30A~30Dのスペース効率を向上させることができ、力覚センサ10の小型化を図ることができる。
【0158】
(変形例1)
なお、上述した本実施の形態においては、第1起歪体30Aの変位部36は、第1起歪体30Aの第1接続部31の第2端部31bからY軸方向に延びている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、変位部36は、X軸方向に交差する方向であれば、X軸方向に直交するY軸方向でない方向に延びていてもよい。例えば、変位部36は、Z軸方向で見たときに、X軸方向に傾斜する方向に延びていてもよい。この場合においても、力Fyが作用した場合に、変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位を大きくすることができる。
【0159】
(変形例2)
また、上述した本実施の形態においては、第1固定電極基板Ef1の固定電極Efと第2固定電極基板Ef2の固定電極Efが一体化されて共通固定電極Efcが形成されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、
図13に示すように、第1固定電極基板Ef1の固定電極Efと第2固定電極基板Ef2の固定電極Efは、別体に形成されて互いに離間していてもよい。この場合、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edと第2変位電極基板Ed2の変位電極Edが一体化されて共通変位電極Edcが形成されていてもよい。固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efの平面形状は、共通変位電極Edcの平面形状よりも小さくてもよい。第3固定電極基板Ef3~第8固定電極基板Ef8および第3変位電極基板Ed3~第8変位電極基板Ed8についても同様である。
図13は、
図4の検出素子の変形例を示す第1起歪体30Aの正面図である。
【0160】
図13に示す例では、第1固定電極基板Ef1の絶縁体と第2固定電極基板Ef2の絶縁体は一体化されて共通絶縁体IBfcが形成されていてもよい。しかしながら、第1固定電極基板Ef1の絶縁体と第2固定電極基板Ef2の絶縁体は、別体に形成されて互いに離間していてもよい。第3固定電極基板Ef3~第8固定電極基板Ef8についても同様である。
【0161】
(第2の実施の形態)
次に、
図14~
図18を用いて、本発明の第2の実施の形態による力覚センサについて説明する。
【0162】
図14~
図18に示す第2の実施の形態においては、Z軸方向で見たときに、固定体側接続部が円弧状に形成されている点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図13に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図14~
図18において、
図1~
図13に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図14は、第2の実施の形態による力覚センサを、受力体を省略して示す平面図である。
図15は、
図14に示す第1起歪体を示す正面図である。
図16は、
図15の第1起歪体を示す平面図である。
図17は、
図15の第1起歪体を示す側面図である。
図18は、
図15の検出素子の変形例を示す第1起歪体の平面図である。
【0163】
図14に示すように、本実施の形態による第1起歪体30Aは、Z軸方向で見たときに、円弧状に形成されている。
図14~
図17に示すように、変位部36は、第1接続部31の第2端部31bから、第2接続部34および第3接続部35の内側、すなわち半径方向内側に向かって延びている。
【0164】
図3に示す受力体20と同様に、
図14に示す受力体20の平面形状も円形になっている。同様に、固定体25の平面形状も円形になっている。第1起歪体30Aの固定体側接続部32は、Z軸方向で見たときに、受力体20の周縁および固定体25の周縁の少なくとも一方に沿うように円弧状に形成されていてもよい。本実施の形態においては、固定体側台座33、第2接続部34および第3接続部35は、受力体20の周縁および固定体25の周縁の両方に沿うように円弧状に形成されている。第1起歪体30Aの固定体側接続部32は、受力体20の外縁と同心状に形成されている。
【0165】
図14および
図16に示すように、第1起歪体30Aの受力体側接続部38も同様に、Z軸方向で見たときに、円弧状に形成されている。受力体側接続部38は、Z軸方向で見たときに、第2接続部34および第3接続部35に重なっていてもよい。受力体側台座39および薄肉部40も受力体20の周縁および固定体25の周縁の少なくとも一方に沿うように円弧状に形成されていてもよい。
【0166】
図15に示すように、第1起歪体30Aの受力体側接続部38の受力体側台座39は、固定体側台座33よりも中心軸線CLの側に位置していてもよい。より具体的には、
図15に示すように、X軸方向正側に位置している受力体側台座39は、X軸方向正側に位置している固定体側台座33よりもX軸方向負側に位置している。X軸方向負側に位置している受力体側台座39は、X軸方向負側に位置している固定体側台座33よりもX軸方向正側に位置している。
【0167】
図15に示すように、受力体側接続部38の薄肉部40に、第2凹部43が形成されていてもよい。第2凹部43は、薄肉部40の固定体25の側の面に形成されていてもよい。第2凹部43は、Y軸方向で見たときに、円弧状に形成されていてもよい。この場合、薄肉部40は、受力体20に力またはモーメントが作用した場合に、より一層弾性変形することができる。このため、変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位をより一層大きくすることができる。
【0168】
第2起歪体30B~第4起歪体30Dの固定体側接続部32も、第1起歪体30Aと同様に形成されている。第2起歪体30B~第4起歪体30Dの受力体側接続部38も、第1起歪体30Aの受力体側接続部38と同様に形成されている。
【0169】
本実施の形態では、
図16に示すように、第1変位電極基板Ed1の絶縁体と第2変位電極基板Ed2の絶縁体は一体化されて共通絶縁体IBdcが形成されている。共通絶縁体IBdcの平面形状は、円形になっている。第1変位電極基板Ed1の変位電極Edと第2変位電極基板Ed2の変位電極Edは、別体に形成されて互いに離間している。変位電極Edの平面形状はそれぞれ、略半円形状に形成されていてもよい。Z軸方向で見たときに、変位電極Edの円弧状の外縁は、共通絶縁体IBdcの外縁と同心状に形成されていてもよい。しかしながら、共通絶縁体IBdcの平面形状および変位電極Edの平面形状は、任意である。
【0170】
固定電極基板Ef1、Ef2の絶縁体を一体化した共通絶縁体IBfc(
図17参照)の平面形状は、変位電極基板Ed1、Ed2の共通絶縁体IBdcの平面形状と同様に、円形になっていてもよい。固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efを一体化した共通固定電極Efc(
図17参照)の平面形状も、円形になっていてもよい。しかしながら、共通絶縁体IBfcの平面形状および共通固定電極Efcの平面形状は、任意である。
【0171】
本実施の形態による力覚センサ10において、受力体20に力またはモーメントが作用した場合における各容量素子C1~C8の静電容量値の変化は、
図12に示す変化と同様である。このため、詳細な説明は省略する。
【0172】
このように本実施の形態によれば、第1起歪体30Aの変位部36が、Z軸方向で見たときのX軸方向に交差する方向に、第1接続部31の第2端部31bから延びている。このことにより、Z軸方向で見たときに第2接続部34および第3接続部35が円弧状に形成されている場合であっても、力Fyの作用時における変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位を大きくすることができる。このため、静電容量値の変化を大きくすることができ、力覚センサ10の検出感度を向上させることができる。
【0173】
また、本実施の形態によれば、第1接続部31の第1端部31aが薄肉部40を介して受力体20に接続されている。このことにより、Z軸方向で見たときに第2接続部34および第3接続部35が円弧状に形成されている場合であっても、薄肉部40は弾性変形することができる。このため、変位部36の先端部36aのZ軸方向の変位をより一層大きくすることができ、力覚センサ10の検出感度をより一層向上させることができる。
【0174】
また、本実施の形態によれば、Z軸方向で見たときに、受力体20および固定体25が円形状に形成され、第2接続部34および第3接続部35は、受力体20の周縁および固定体25の周縁の少なくとも一方に沿うように円弧状に形成されている。このことにより、各起歪体30A~30Dのスペース効率を向上させることができ、力覚センサ10の小型化を図ることができる。また、力覚センサ10の耐荷重を向上させることができ、力覚センサ10の信頼性を向上させることができる。
【0175】
また、本実施の形態によれば、各起歪体30A~30Dの変位部36は、対応する第1接続部31の第2端部31bから、受力体20の中心に向かって延びている。このことにより、各起歪体30A~30Dのスペース効率を向上させることができ、力覚センサ10の小型化を図ることができる。
【0176】
(変形例3)
なお、上述した本実施の形態においては、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edと第2変位電極基板Ed2の変位電極Edが、別体に形成されて互いに離間している例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、
図18に示すように、第1変位電極基板Ed1の変位電極Edと第2変位電極基板Ed2の変位電極Edは一体化されて共通変位電極Edcが形成されていてもよい。この場合、共通変位電極Edcの平面形状は円形であってもよい。固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efは、別体に形成されていてもよい。この場合、固定電極は、
図16に示す変位電極Edと同様な平面形状を有していてもよい。第3変位電極基板Ed3~第8変位電極基板Ed8および第3固定電極基板Ef3~第8固定電極基板Ef8についても同様である。
図18は、
図15の検出素子70の変形例を示す第1起歪体30Aの平面図である。
【0177】
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【要約】
起歪体は、第1接続部と、第2センサ体側接続部と、を含んでいる。第2センサ体側接続部は、第2センサ体に接続された一対の台座であって、第2方向において第2端部の両側に位置する一対の台座と、第3方向で見たときに第2端部から一方の台座まで第2方向に延びる第2接続部と、第3方向で見たときに第2端部から他方の台座まで第2方向に延びる第3接続部と、を含んでいる。第1方向で見たときに第2方向に交差する方向に第2端部から変位部が延びている。検出素子は、変位部の先端部の変位により静電容量値の変化を検出する。