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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】スタッキングキッチンツール
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/28 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A47J43/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023187148
(22)【出願日】2023-10-31
【審査請求日】2023-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 慎二
(72)【発明者】
【氏名】大塩 侑布
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0061564(US,A1)
【文献】特開昭59-209314(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0108256(US,A1)
【文献】中国実用新案第211432591(CN,U)
【文献】実開昭63-071872(JP,U)
【文献】中国実用新案第214284632(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0335931(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0000096(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0099024(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のキッチンツール(10~50)を重ねて設置するスタッキングキッチンツールであって、
前記複数種類のキッチンツールは、トング(10)と、該トングの下方に配置される2以上の下方キッチンツール(20~50)を含み、前記下方キッチンツールが裏面側を下側に向けつつ表面側を上側に向けて順に重ねて配置されると共に、重ねて配置された前記下方キッチンツールの上に前記トングが重ねて配置されており、
前記下方キッチンツールは、
調理対象となる食材に触れる機能部(22~52)と、
一方向に伸びる中心線(C2~C5)を有する長板状とされ、ユーザに把持されるハンドル部(21~51)と、
前記機能部と前記ハンドル部との間に配置され、前記機能部と前記ハンドル部とを連結させると共に、前記ハンドル部から前記機能部に向って下方に傾斜した傾斜部(25~55)を有して構成される脚部(23~53)と、を有して構成され、
前記傾斜部は、前記中心線を挟んで線対称とされた第1傾斜面(25a~55a)と第2傾斜面(25b~55b)とを有し、前記中心線を法線方向とする平面を切断面として前記第1傾斜面および前記第2傾斜面を切断した断面形状がU字状とされており、
前記傾斜部同士および前記ハンドル部同士が重ねられることで複数の前記下方キッチンツールを重ねられると共に、重なった複数の前記下方キッチンツールの前記脚部を前記切断面で切断した形状は、前記U字状が重なった形状となり、
前記下方キッチンツールが平坦面(100)上に前記裏面側を下側に向けて設置された状態において、前記脚部における前記第1傾斜面および前記第2傾斜面と前記ハンドル部のうち前記機能部と反対側となる後端側が前記平坦面に接し、前記機能部が前記平坦面から浮いた状態になり、
前記トングは、第1面(111a)と第2面(111b)を有する長板状とされた第1ハンドル部(111)および該第1ハンドル部の先端に配置された第1機能部(121)と、第3面(112a)と第4面(112b)を有する長板状とされた第2ハンドル部(112)および該第2ハンドル部の先端に備えられた第2機能部(122)と、を備えた2部品で構成され、収納状態では、前記第1機能部の外壁面(121b)と前記第2機能部の内壁面(122a)が向かい合わされ、前記第2面と前記第3面が接するようにして前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が前記下方キッチンツールの上に重ねられ、使用状態では、前記下方キッチンツールの上から取り外され、前記第1機能部の内壁面(121a)と前記第2機能部の内壁面が向かい合わされ、前記第1ハンドル部のうち前記第1機能部が配置された先端と反対側となる後端と前記第2ハンドル部のうち前記第2機能部が配置された先端と反対側となる後端とが連結されつつ、前記第1面と前記第3面が離れてV字状となり、前記第1機能部と前記第2機能部の開閉動作が可能となる、スタッキングキッチンツール。
【請求項2】
前記ハンドル部と前記脚部との間が連続した曲面とされていると共に、前記脚部と前記機能部との間も連続した曲面とされていることで、前記ハンドル部と前記脚部および前記機能部が繋がる部分がシームレス形状とされている、請求項1に記載のスタッキングキッチンツール。
【請求項3】
前記トングを含む前記複数のキッチンツールは、前記ハンドル部内に磁石(14~54)を備えており、前記複数のキッチンツールのうち上下において隣り合うもの同士の前記ハンドル部同士が前記磁石によって磁気吸引される、請求項1に記載のスタッキングキッチンツール。
【請求項4】
前記複数のキッチンツールは、前記下方キッチンツールのうちのいずれかが除かれた状態においても、除かれていないキッチンツールのみで積み重ねられる、請求項3に記載のスタッキングキッチンツール。
【請求項5】
前記複数のキッチンツールには、前記下方キッチンツールとしてレードル(20)、スプーン(30)、ヘラ(40)、ターナー(50)の少なくとも2つが含まれ、前記ターナー、前記ヘラ、前記スプーン、前記レードルの順に下方から積み重ねられ、前記ターナー、前記ヘラ、前記スプーン、前記レードルのいずれかが除かれた状態においても、除かれていないキッチンツールのみで積み重ねが可能とされている、請求項3に記載のスタッキングキッチンツール。
【請求項6】
前記複数のキッチンツールは、前記下方キッチンツールとしてレードル(20)、スプーン(30)、ヘラ(40)、ターナー(50)の4つを有し、前記ターナー、前記ヘラ、前記スプーン、前記レードルの順に下方から積み重ねられた上に前記トングが積み重ねられており、
前記複数のキッチンツールを前記平坦面上に積み重ねたときに、前記平坦面と平行な幅方向の寸法(La)が80mm以内、前記平坦面の法線方向となる高さ方向の寸法(Lb)が80mm以内、前記幅方向および前記高さ方向に対して直交する長さ方向の寸法(Lc)が320mm以内に収まっている、請求項1に記載のスタッキングキッチンツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数種類のキッチンツールを重ねて収納するスタッキングキッチンツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1に、複数種類のキッチンツールを重ねて収容できるようにしたスタッキングキッチンツールが開示されている。このスタッキングキッチンツールでは、複数のキッチンツールを食材に触れる機能部とハンドル部とによって構成すると共に、各キッチンツールの外形形状が機能部を含めて概ね同じ形状となるようにすることで、複数のキッチンツールの重ね合わせを可能としている。そして、各キッチンツールのハンドル部に合せた形状の部分を有するスタンドが備えられ、各キッチンツールをスタンドに立て掛け、ハンドル部に備えられた磁石の吸引力に基づいてスタンドに支持する構造としている。
【0003】
また、非特許文献2に、キッチンの作業台のような平坦面上に横置きしたときに、機能部が平坦面に触れないようにしたキッチンツールが開示されている。このキッチンツールは、ハンドル部の裏面側のうちの機能部寄りの位置に突起部を備え、横置きされたときに機能部ではなく突起部が平坦面に接することで機能部が平坦面から浮くようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ジョゼフジョゼフ社,ネストユテンシルプラス, マルチカラー キッチンツール 5点セット,インターネット <https://item.rakuten.co.jp/livingut/5028420101249/>
【文献】Limple Life Lab.,シリコーンお玉タワー,インターネット <https://lab.yamajitsu.co.jp/item/%e3%82%b7%e3%83%aa%e3%82%b3%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%81%8a%e7%8e%89-%e3%82%bf%e3%83%af%e3%83%bc.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の非特許文献1のスタッキングキッチンツールは、複数種類のキッチンツールを重ねることができるものの、重ねた状態で平坦面に横置きできないし、個々のキッチンツールを平坦面に横置きしたときに機能部を平坦面から浮かせることもできない。また、非特許文献2のキッチンツールでは、キッチンツールを平坦面に横置きしたときに機能部が平坦面から浮くようにできるが、ハンドル部の裏面の突起部が邪魔になり複数種類のキッチンツールを重ねることができない。
【0006】
また、一般的には、キッチンツールは、キッチンの作業台上に縦置きして保管されるものではなく、キッチンの引き出し内に横置きして収納される。引き出し内という限られたスペースにおいては、複数種類のキッチンツールが無作為に収納されると嵩張ってしまい、収納スペースが取られてしまうため好ましくない。しかし、非特許文献1のスタッキングキッチンツールでは、複数種類のキッチンツールを重ねた状態で横置きできないため、各キッチンツールが纏まらなくなり、引き出し内を整頓することができない。
【0007】
本開示は、複数種類のキッチンツールを重ねて横置きすることができ、かつ、複数種類のキッチンツールに含まれるキッチンツールについて平坦面に横置きしたときに機能部が平坦面から浮くようにできるスタッキングキッチンツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の観点におけるスタッキングキッチンツールでは、複数種類のキッチンツール(10~50)は、トング(10)と、該トングの下方に配置される2以上の下方キッチンツール(20~50)を含み、下方キッチンツールが裏面側を下側に向けつつ表面側を上側に向けて順に重ねて配置されると共に、重ねて配置された下方キッチンツールの上にトングが重ねて配置される。下方キッチンツールは、調理対象となる食材に触れる機能部(22~52)と、一方向に伸びる中心線(C2~C5)を有する長板状とされ、ユーザに把持されるハンドル部(21~51)と、機能部とハンドル部との間に配置され、機能部とハンドル部とを連結させると共に、ハンドル部から機能部に向って下方に傾斜した傾斜部(25~55)を有して構成される脚部(23~53)と、を有して構成され、傾斜部は、中心線を挟んで線対称とされた第1傾斜面(25a~55a)と第2傾斜面(25b~55b)とを有し、中心線を法線方向とする平面を切断面として第1傾斜面および第2傾斜面を切断した断面形状がU字状とされている。そして、傾斜部同士およびハンドル部同士が重ねられることで複数の下方キッチンツールを重ねられると共に、重なった複数の下方キッチンツールの脚部を切断面で切断した形状は、U字状が重なった形状となり、下方キッチンツールが平坦面(100)上に裏面側を下側に向けて設置された状態において、脚部における第1傾斜面および第2傾斜面とハンドル部のうち機能部と反対側となる後端側が平坦面に接し、機能部が平坦面から浮いた状態になる。
さらに、トングは、第1面(111a)と第2面(111b)を有する長板状とされた第1ハンドル部(111)および該第1ハンドル部の先端に配置された第1機能部(121)と、第3面(112a)と第4面(112b)を有する長板状とされた第2ハンドル部(112)および該第2ハンドル部の先端に備えられた第2機能部(122)と、を備えた2部品で構成され、収納状態では、第1機能部の外壁面(121b)と第2機能部の内壁面(122a)が向かい合わされ、第2面と第3面が接するようにして第1ハンドル部と第2ハンドル部が下方キッチンツールの上に重ねられ、使用状態では、下方キッチンツールの上から取り外され、第1機能部の内壁面(121a)と第2機能部の内壁面が向かい合わされ、第1ハンドル部のうち第1機能部が配置された先端と反対側となる後端と第2ハンドル部のうち第2機能部が配置された先端と反対側となる後端とが連結されつつ、第1面と第3面が離れてV字状となり、第1機能部と第2機能部の開閉動作が可能となる。
【0009】
このように、下方キッチンツールについて、機能部とハンドル部とが傾斜部を有する脚部によって連結される構造としている。また、傾斜部を第1傾斜面と第2傾斜面とを有した形状で断面形状がU字状となるようにし、各下方キッチンツールのU字状の断面が重なるようにして、下方キッチンツールを重ね合せている。傾斜部の断面形状をU字状とすることで、下方キッチンツールを重ね合わせる場合に、機能部の形状が異なっていても、重ね合わせられる。そして、傾斜部をハンドル部から機能部に向って下方に傾斜した構造とし、第1傾斜面と第2傾斜面が各機能部よりも下方側に突き出し、下方キッチンツールを横置きしたときにはこの部分の先端が平坦面に接するようにしている。このため、下方キッチンツールを平坦面に設置したときに、機能部が平坦面から浮くようにできる。このため、複数種類の下方キッチンツールを重ねて横置きすることができ、かつ、平坦面に横置きしたときに機能部が平坦面から浮くようにできる。さらに、下方キッチンツールを重ねて纏めた構成とされていることから、その上に、トングのように、ハンドル部が第1ハンドル部と第2ハンドル部の2つに分けられる構造でも重ねられる。
【0010】
したがって、複数種類のキッチンツールを重ねて置くことができ、かつ、複数種類のキッチンツールに含まれるキッチンツールについて平坦面に横置きしたときに機能部が平坦面から浮くようにできる。
【0011】
本開示の第2の観点におけるスタッキングキッチンツールでは、ハンドル部と脚部との間が連続した曲面とされていると共に、脚部と機能部との間も連続した曲面とされていることで、ハンドル部と脚部および機能部が繋がる部分がシームレス形状とされている。
【0012】
このように、脚部を介してハンドル部と機能部とを連結させる構造とする場合に、ハンドル部と脚部および機能部が繋がる部分がシームレス形状とされていることで、汚れが溜まりにくくできるし、洗浄時にも汚れを容易に落とすことが可能となる。
【0013】
本開示の第3の観点におけるスタッキングキッチンツールでは、トングを含む複数のキッチンツールは、ハンドル部内に磁石(14~54)を備えており、複数のキッチンツールのうち上下において隣り合うもの同士のハンドル部同士が磁石によって磁気吸引される。
【0014】
このように、ハンドル部内に磁石を備えておくことで、複数のキッチンツールを重ねたときに、ハンドル部同士が磁石によって磁気吸引され、キッチンツール同士の密着性を高めることが可能となる。これにより、重ね合わせた複数のキッチンツールが意図せず分離してしまうことを抑制できる。
【0015】
本開示の第4の観点におけるスタッキングキッチンツールでは、複数のキッチンツールは、下方キッチンツールのうちのいずれかが除かれた状態においても、除かれていないキッチンツールのみで積み重ねられる。
【0016】
このように、下方キッチンツールのいずれかが除かれたとしても除かれていないキッチンツールのみで積み重ねが可能とされることで、残りのキッチンツールの収納性も担保できる。
【0017】
本開示の第5の観点におけるスタッキングキッチンツールでは、複数のキッチンツールには、レードル(20)、スプーン(30)、ヘラ(40)、ターナー(50)の少なくとも2つが含まれ、ターナー、ヘラ、スプーン、レードルの順に下方から積み重ねられ、ターナー、ヘラ、スプーン、レードルのいずれかが除かれた状態においても、除かれていないキッチンツールのみで積み重ねが可能とされている。
【0018】
このように、下方キッチンツールのいずれかが除かれたとしても除かれていないキッチンツールのみで積み重ねが可能とされることで、残りのキッチンツールの収納性も担保できる。また、ターナー、ヘラのように比較的平坦な機能部を有するキッチンツールをより下方に配置し、スプーンやレードルのように食材を掬う深さのある機能部を有するキッチンツールを上側に配置することで、ハンドル部に対する機能部の上端面の傾斜角度を機能部の機能に応じた適切な角度に設定できる。
【0019】
本開示の第6の観点におけるスタッキングキッチンツールでは、複数のキッチンツールは、下方キッチンツールとしてレードル(20)、スプーン(30)、ヘラ(40)、ターナー(50)の4つを有し、ターナー、ヘラ、スプーン、レードルの順に下方から積み重ねられた上にトングが積み重ねられており、複数のキッチンツールを平坦面上に積み重ねたときに、平坦面と平行な幅方向の寸法(La)が80mm以内、平坦面の法線方向となる高さ方向の寸法(Lb)が80mm以内、幅方向および高さ方向に対して直交する長さ方向の寸法(Lc)が320mm以内に収まっている。
【0020】
このように、複数のキッチンツールを積み重ねたときに、幅方向の寸法が80mm以内、高さ方向の寸法が80mm以内、長さ方向の寸法が320mm以内となるようにしている。このようにコンパクトなサイズとすることで、一般的な日本のシステムキッチンの引き出しにも収納でき、引き出し中で省スペースかつ整然とした収納が可能となる。
【0021】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。また、符号に含まれる数字の1桁目が共通し且つ数字の2桁目以上が1ずつ大きくなりながら並ぶ複数の符号を表記する場合は、「~」を用いてまとめて表記することとする。例えば、符号「10、20、30、40、50」については、符号「10~50」と表記し、符号「25a、35a、45a、55a」については、符号「25a~55a」と表記する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の第1実施形態にかかるスタッキングキッチンツールの斜視図である。
図2】平坦面上に設置したスタッキングキッチンツールの側面図である。
図3】スタッキングキッチンツールの上面図である。
図4】レードル、スプーン、ヘラおよびターナーを重ねた状態で連結部において切断した場合の断面図である。
図5】収納状態でのトングの斜視図である。
図6A】トングの分解斜視図である。
図6B】トングの組付け後の斜視図である。
図7】平坦面上に設置した使用状態のトングの側面図である。
図8】レードルの斜視図である。
図9】平坦面上に設置したレードルの側面図である。
図10】スプーンの斜視図である。
図11】ヘラの斜視図である。
図12】ターナーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下に説明する他の実施形態を含めて、各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0024】
(第1実施形態)
図1図12を参照して、本開示の第1実施形態にかかるスタッキングキッチンツール1について説明する。なお、本明細書に添付した図面中に、X軸、Y軸およびZ軸を示している。スタッキングキッチンツール1の長手方向をX軸、X軸と直交するスタッキングキッチンツール1の幅方向をY軸、X軸およびY軸に対して直交するスタッキングキッチンツール1の厚み方向をZ軸と呼ぶ。
【0025】
〔スタッキングキッチンツール1の構成〕
図1図3に示すスタッキングキッチンツール1は、複数種類のキッチンツール10~50が横置きで積み重ねられたものであり、積み重ねた状態で保管でき、その状態から個々のキッチンツール10~50を取り出して使用できるようになっている。
【0026】
複数種類のキッチンツール10~50には、トング10、レードル20、スプーン30、ヘラ40、ターナー50が含まれている。そして、図1の下から順に、ターナー50、ヘラ40、スプーン30、レードル20、トング10が積み重ねられて一体とされている。トング10については、ユーザに把持されるハンドル部11と調理対象となる食材に触れる機能部12とが連続して繋がる構造とされている。また、複数種類のキッチンツール10~50のうち、トング10よりも下方に配置されるものは下方キッチンツール20~50であり、それぞれ、ハンドル部21~51と機能部22~52との間に脚部23~53を備えた構造とされている。
【0027】
なお、各キッチンツール10~50のハンドル部11~51の長手方向はスタッキングキッチンツール1の長手方向に一致しており、これらの長手方向がX軸に沿う方向となっている。図2に示すように、スタッキングキッチンツール1をキッチンの作業台等の平坦面100上に配置したときには、各ハンドル部11~51の長手方向が平坦面100に対して傾斜した状態になるため、X軸は平坦面100に対して傾斜した軸となる。
【0028】
複数種類のキッチンツール10~50は、裏面側を下側に向け、表面側を上側に向けて順に重ねて配置されている。具体的には、複数種類のキッチンツール10~50は、それぞれのハンドル部11~51が重なり合うようにして積み重ねられている。加えて、下方キッチンツール20~50は、それぞれの脚部23~53が重なり合うようにして積み重ねられている。このため、各ハンドル部11~51や各脚部23~53は、積み重ねが可能なように、共通する形状で構成されている。まず、これら共通する構成について説明する。
【0029】
図5図8図10図12に示すように、各ハンドル部11~51は、一方向に伸びる中心線C1~C5を有する長板状とされ、図3に示すように、上面から見た形状が略同形状とされている。後述するように、トング10については、2部品に分けられており、ハンドル部11も第1ハンドル部111と第2ハンドル部112で構成されているが、第1ハンドル部111と第2ハンドル部112も、それぞれ他のハンドル部21~51と共通の構成を有している。第1ハンドル部111、第2ハンドル部112およびハンドル部21~51は、それぞれ厚みが揃えられていて統一感が出されている。
【0030】
そして、図1のように複数のキッチンツール10~50が積み重ねられると、各ハンドル部11~51は、上下において隣り合うもの同士、下方に配置されたものの上面とその上方に配置されたものの下面が接するようにして積み重ねられる、各ハンドル部11~51は、Y軸方向の中心側が両端側よりも下方側に凹んだ湾曲形状とされており、積み重ねられた際により高い密着性が得られる形状とされている。
【0031】
また、各キッチンツール10~50については例えば樹脂で構成しているが、図2中に破線で示したように、各ハンドル部11~51には、磁石14~54を内蔵してある。複数のキッチンツール10~50が重ね合わされた際には、上下において隣り合うもの同士が磁石14~54によって磁気吸引され、キッチンツール同士の密着性がより高められるようにしてある。
【0032】
なお、図5図8図10図12に示すように、各ハンドル部11~51のうち機能部12~52と反対側となる後端側には、貫通孔17~57が備えられている。このため、複数種類のキッチンツール10~50を分離して、図示しない壁に備えられたフックに掛けて保管することも可能になっている。
【0033】
一方、脚部23~53は、各下方キッチンツール20~50における各ハンドル部21~51と各機能部22~52の間に配置され、これらを連結している。脚部23~53は、複数の下方キッチンツール20~50の積み重ねを可能にしつつ、各下方キッチンツール20~50を分離して平坦面に設置したときに、各機能部22~52が平坦面から浮くような設計とされている。これにより、置き皿などを必要としなくても、下方キッチンツール20~50を手軽かつ衛生的に一時置きをすることを可能にしている。
【0034】
具体的には、図2に示すように、脚部23~53は、ハンドル部21~51から機能部22~52に向って下方に傾斜した傾斜部25~55を有した構成とされている。図8図10図12に示すように、傾斜部25~55は、それぞれ、第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bを有し、これら第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bが各機能部22~52よりも下方側に突き出し、この部分の先端が平坦面に接する底部26~56を構成している。
【0035】
第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bは、中心線C2~C5を挟んで線対称とされている。より詳しくは、第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bは、中心線C2~C5を通るXZ平面に対して対称形状とされ、第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bとが中心線C2~C5において交差している。そして、図4に示すようにX軸を法線方向とする平面を切断面として第1傾斜面25a~55aおよび第2傾斜面25b~55bを切断した断面形状がU字状となっている。
【0036】
第1傾斜面25a~55aや第2傾斜面25b~55bについては、平面であっても良いが、ここでは曲面で構成している。また、脚部23~53とハンドル部21~51との間が連続した曲面となり、脚部23~25と機能部22~52との間も連続した曲面となって、ハンドル部21~51と脚部23~53および機能部22~52が繋がる部分がシームレス形状となるように、第1傾斜面25a~55aや第2傾斜面25b~55bの形状が設計されている。
【0037】
また、図4に示すように、重なった状態の複数の下方キッチンツール20~50の脚部23~53の断面形状は、U字状が重なった形状となる。このため、重ね合わせた下方キッチンツール20~50の脚部23~53同士がかみ合って下方キッチンツール20~50が横方向に移動することが規制され、積み重ね状態が保持される。また、断面形状をU字状とすることで脚部23~53の剛性を高めることが可能となる。このため、ユーザの使用時にハンドル部21~51を把持して機能部22~52に荷重が加えられるような動作を行っても、脚部23~53の変形が抑制され、より良好にキッチンツールを使用することが可能となっている。
【0038】
以上が各キッチンツール10~50のうちの共通する構成となる。続いて、各キッチンツール10~50について説明する。
【0039】
〔トング10の構成〕
トング10は、2部品で構成されており、ハンドル部11として備えられた第1ハンドル部111および第2ハンドル部112と、機能部12として備えられた第1機能部121および第2機能部122とを有している。第1ハンドル部111の先端に第1機能部121が繋がっていてトング10の半分を構成しており、第2ハンドル部112の先端にも第2機能部122が繋がっていてトング10の残りの半分を構成している。第1機能部121と第2機能部122は対称形状の略半楕円体状とされており、それぞれの内壁面121a、122aが凹面、外壁面121b、122bが凸面の曲面とされている。
【0040】
第1ハンドル部111と第2ハンドル部112は、上記したハンドル部21~51と共通する構成を有しているが、加えて、第1ハンドル部111と第2ハンドル部112とを接続する連結機構が備えられている。連結機構は、トング10を使用する際の使用状態と、収納する際の収納状態の両方で、第1ハンドル部111と第2ハンドル部112とを異なる形態で連結する構造とされている。
【0041】
図5に示す収納状態では、第1ハンドル部111の下面側を第1面111a、上面側を第2面111bとし、第2ハンドル部112の下面側を第3面112a、上面側を第4面112bとして、第2面111bと第3面112aが接するようにして第1ハンドル部111と第2ハンドル部112が積み重ねられる。
【0042】
第1ハンドル部111の後端には、第1面111aに繋がる第5面111cと第2面111bに繋がる第6面111dを有する傾斜部111eが備えられている。そして、傾斜部111eは、第1ハンドル部111の後端に向うほど、第1面111aおよび第2面111bに対して、第5面111cおよび第6面111dが下方から上方に向かうように傾斜している。傾斜部111eには、図6Aに示すように、第1ハンドル部111の後端からX軸方向に沿う切欠き111fが形成されている。
【0043】
一方、第2ハンドル部112の後端には、第3面112aに繋がり、第2ハンドル部112の後端に向うほど第3面112a側から第4面112b側に向う方向に傾斜した第7面112cが備えられている。また、第7面112cから傾斜部111eの厚み相当分離れた位置に、第7面112cと対向する第8面112dを有する支持部112eが備えられ、図2に示されるように第7面112cと第8面112dが連結部112fにて連結された構造とされている。図には現れていないが、連結部112fは、切欠き111fと対応する形状とされており、切欠き111fへの嵌め込み、引抜きが可能になっている。また、第7面112cと第8面112dとの間の隙間のX軸に対する傾斜角は、傾斜部111eのX軸に対する傾斜角度と一致させられている。
【0044】
さらに、トング10の収納状態において、第1ハンドル部111のうち中心線C1に対する一方側には、第1ハンドル部111の側面からY軸方向の一方側に突き出した脚部111gが備えられている。また、第2ハンドル部112のうち中心線C1に対する他方側には、第2ハンドル部112の側面からY軸方向の他方側に突き出した脚部112gが備えられている。脚部111g、112gは第1ハンドル部111や第2ハンドル部112に対して滑らかに繋がるシームレス形状とされており、汚れが溜まりにくく、洗浄時に汚れを容易に落とすことが可能な形状とされている。
【0045】
このような構成されており、トング10は、下方キッチンツール20~50の上に積み重ねられているときには、図5に示すように第1機能部121の外壁面121bと第2機能部122の内壁面122aを向かい合わせるようにして配置される。また、切欠き111fに連結部112fが嵌め込まれた状態とされ、第6面111dと第7面112cが当接すると共に、第5面111cと第8面112dが当接し、さらに第2面111bと第3面112aとが当接した状態とされて第1ハンドル部111と第2ハンドル部112が一体となって長板状の収納状態となる。
【0046】
また、トング10は、使用時には、下方キッチンツール20~50の上から取り外され、図6Aに示すように第1機能部121と第2機能部122それぞれの内壁面121a、122aを向かい合わせて配置される。そして、切欠き111fに連結部112fが嵌め込まれた状態とされることで、図6Bに示すように第5面111cと第7面112cが当接すると共に、第6面111dと第8面112dが当接する。さらに、第1面111aと第3面112aとが離れて第1ハンドル部111と第2ハンドル部112がV字状となり、傾斜部111eの弾性変形により第1機能部121と第2機能部122の開閉動作が可能な使用状態となる。
【0047】
そして、使用時には、第1ハンドル部111の脚部111gと第2ハンドル部112の脚部112gが同方向に突き出す状態になる。このため、図7に示すように平坦面100にトング10を設置した場合に、紙面手前側の脚部112gと紙面向こう側にある脚部111gおよびハンドル部11の後端とによってトング10が支持され、かつ、機能部12を浮かせることができる。このため、置き皿などを必要としなくても、トング10を手軽かつ衛生的に一時置きをすることが可能になる。
【0048】
〔レードル20の構成〕
図8に示すように、レードル20は、機能部22が深さのある容器状の部材で構成されており、上端面22a側が開口部とされ、食材を掬ったり、入れた液体を鍋や食器などの他の容器に注いだりする役割を果たす。機能部22は、底部を含む内壁面が球状に丸まった形状とされ、食材を入れやすく、液体を注ぎやすい形状になっている。機能部22の上面形状については、円形、角部を丸めた多角形状などどのような形状でも良いが、ここでは角部を丸めた略四角形状とし、先端22b側に角部22cを設けて液体をより注ぎやすい形状としている。機能部22のうち脚部23に繋がる根元側は、脚部23に繋がる部分においてY軸方向寸法が縮小され、同方向における脚部23の幅に揃えられている。また、図2に示すように、機能部22は、上端面22aがハンドル部21の長手方向に対して傾斜させられており、上端面22aの延長線L1がX軸に沿う仮想線Lxに対して角度θ1で傾斜させられている。
【0049】
また、図8に示すように、機能部22の底面には、環状の目盛ライン22dが備えられ、目盛ライン22dに合せて液体を注ぐことで、例えば5ml、15mlと小さじと大さじ相当の液体の計量が可能とされている。
【0050】
そして、図9に示すように、レードル20は、平坦面100上に設置した場合に、脚部23が機能部22よりも下方側に突き出し、この部分とハンドル部21のうち機能部22と反対側となる後端が平坦面100に接するように、機能部22と脚部23の下面側の高さの関係が設定されている。このため、レードル20を平坦面100上に設置しても、機能部22が平坦面100から浮く状態になる。また、脚部23は、図9に示される第1傾斜面25aと、図9の紙面向こう側に位置する第2傾斜面25bとの2点が平坦面100に接した状態となる。このため、レードル20は、脚部23の2点とハンドル部21の後端部と合せた3点によって安定して平坦面100に設置可能になっている。
【0051】
〔スプーン30の構成〕
図10に示すように、スプーン30も、機能部32が深さのある容器状の部材で構成されており、上端面32a側が開口部とされ、食材を混ぜたり、掬ったり、よそったり、こそいだり、入れた液体を他の容器に注いだりする役割を果たす。機能部32は、底部を含む内壁面が半楕円体状に丸まった形状とされ、上面形状が楕円形されることで、食材を入れやすく、突き出した先端部32bから液体を注ぎやすい形状になっている。機能部32のうち脚部33に繋がる根元側は、脚部33に繋がる部分においてY軸方向寸法が縮小され、同方向における脚部33の幅に揃えられている。また、図2に示すように、機能部32は、上端面32aがハンドル部51の長手方向に対して傾斜させられており、上端面32aの延長線L2がX軸に沿う仮想線Lxに対して角度θ2で傾斜させられている。
【0052】
また、機能部32の底面には、環状の目盛ライン32cが備えられ、目盛ライン32cに合せて液体を注ぐことで、例えば5ml、15mlと小さじと大さじ相当の液体の計量が可能とされている。
【0053】
なお、スプーン30についても、脚部33と機能部32の高さの関係や脚部33の形状についてレードル20と同様であるため、図示を省略しているが、レードル20と同様に、平坦面100上に設置した際に機能部32が平坦面100から浮いた状態になり、また安定して平坦面100に設置可能になっている。この後に説明するヘラ40やターナー50についても同様であるため、図示を省略しているが、平坦面100上に設置した際に機能部42、52が平坦面100から浮いた状態になり、また安定して平坦面100に設置可能になっている。
【0054】
〔ヘラ40の構成〕
図11に示すように、ヘラ40は、機能部42が平坦な薄板状部材で構成され、フライパンやボウルに沿い食材を混ぜたり、こそいだり、先端で潰したりする役割を果たす。機能部42を構成する薄板状部材は、先端がX軸およびY軸に対して傾斜させられた略四角形状とされ、各角部が丸められていてフライパンやボウルの内壁面に沿いやすい形状とされている。機能部42のうち先端側から脚部43に繋がる根元側に向うほどY軸方向寸法が縮小され、同方向における脚部43の幅に揃えられている。また、図2に示すように、機能部52は、ハンドル部51の長手方向に対して傾斜させられており、上端面42aの延長線L3がX軸に沿う仮想線Lxに対して角度θ3で傾斜させられている。
【0055】
〔ターナー50の構成〕
図12に示すように、ターナー50も、機能部52が平坦な薄板状部材で構成され、食材の下方に入り込ませて食材引っ繰り返したり、載せたり、先端部で食材を切り分けたりする役割を果たす。機能部42を構成する薄板状部材は、先端がY軸に沿った略四角形状とされ、各角部が丸められていて、しなりやすく、食材の下方に入り込ませやすいながらも、食材の切り分けが可能な強度が得られる厚さとされている。機能部42のうちの根元側は、脚部43に繋がる部分においてY軸方向寸法が縮小され、同方向における脚部43の幅に揃えられている。また、図2に示すように、機能部52は、ハンドル部51の長手方向に対して傾斜させられており、上端面52aの延長線L4がX軸に沿う仮想線Lxに対して角度θ4で傾斜させられている。
【0056】
なお、各キッチンツール10~50のうち磁石14~54以外の部分については樹脂によって構成しているが、1種類の材料で構成されていても良いし、複数種類の材料で構成されていても良い。例えば、レードル20の機能部22の外縁をシリコーンなどの柔らかい樹脂で構成することで、フライパンや鍋の内壁面に傷を付けることなく食材をこそぎ易くするなど、場所に応じて他の場所と異なる材料を用いても良い。また、トング10の傾斜部111eには荷重が局所的に掛るため、より耐久性の高い弾性変形可能な材料で構成しても良い。勿論、キッチンツール10~50を金属など樹脂ではない別の材料で構成することも可能である。
【0057】
〔スタッキングキッチンツール1の効果〕
続いて、上記のように構成されたスタッキングキッチンツール1の効果について説明する。
【0058】
(1)下方キッチンツール20~50について、機能部22~52とハンドル部21~51とが傾斜部25~55を有する脚部23~53によって連結される構造としている。このため、脚部23~53に対して、傾斜部25~55同士で重ね合わせることで複数の下方キッチンツール20~50を重ね合わせる機能と、下方キッチンツール20~50を平坦面100に設置したときに、機能部22~52が平坦面100から浮くようにする機能という2つの機能を持たせることができる。
【0059】
具体的には、傾斜部25~55を第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bとを有した形状で断面形状がU字状となるようにし、各下方キッチンツール20~50のU字状の断面が重なるようにして、下方キッチンツール20~50を重ね合せている。このように、傾斜部25~55の断面形状をU字状とすることで、下方キッチンツール20~50を重ね合わせる場合に、機能部22~52の形状が異なっていても、重ね合わせられる。そして、傾斜部25~55をハンドル部21~51から機能部22~52に向って下方に傾斜した構造とし、第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bが各機能部22~52よりも下方側に突き出し、この部分の先端が平坦面100に接するようにしている。したがって、下方キッチンツール20~50を平坦面100に設置したときに、機能部22~52が平坦面100から浮くようにできる。このため、複数種類の下方キッチンツール20~50を重ねて置くことができ、かつ、下方キッチンツール20~50について平坦面100に横置きしたときに機能部22~52が平坦面100から浮くようにできる。
【0060】
また、傾斜部25~55の断面形状がU字状となるようにし、各下方キッチンツール20~50のU字状の断面が重なるように配置されることで、重ね合わせた下方キッチンツール20~50が横方向に移動することを規制できる。
【0061】
さらに、下方キッチンツール20~50を重ねて纏めた構成とされていることから、その上に、トング10のように、ハンドル部11が第1ハンドル部111と第2ハンドル部112の2つに分けられる構造でも重ねられる。このため、下方キッチンツール20~50が裏側を下側に向けつつ表面側を上側に向けて順に重ねて配置され、その重ねて配置された下方キッチンツール20~50の上にさらにトング10を重ねて配置されたスタッキングキッチンツール1を実現できる。
【0062】
(2)複数種類のキッチンツール10~50を横置きにして重ね合わせられることから、その状態で複数種類のキッチンツール10~50をキッチンの引き出し内に収納できる。このため、複数種類のキッチンツール10~50が嵩張らないようにでき、収納スペースの減少を抑制できると共に、複数種類のキッチンツール10~50を纏められるため、引き出し内を綺麗に整頓することが可能となる。特に、日本のシステムキッチンでは、引き出し内の限られたスペース内に様々なアイテムを収納する必要がある。一般的な日本のシステムキッチンでは、引き出しが奥行400~450mm程度、高さ100~150mm程度となっている。これに対して、本実施形態のように5つのキッチンツール10~50を横置きにして纏めた場合、図2または図3に示す平坦面100に平行なY軸方向となる幅方向の寸法Laが80mm以内、平坦面100の法線方向となる高さ方向の寸法Lbが80mm以内、幅方向および高さ方向に対して直交する長さ方向の寸法Lcが320mm以内に収まる。このようにコンパクトなサイズにできるため、一般的な日本のシステムキッチンの引き出しにも収納でき、引き出し中で省スペースかつ整然とした収納が可能となる。
【0063】
(3)傾斜部25~55の断面形状をU字状としているため、傾斜部25~55の剛性を高めることが可能となる。このため、ユーザの使用時にハンドル部21~51を把持して機能部22~52に荷重が加えられるような使い方をしても、傾斜部25~55の変形が抑制され、より良好に下方キッチンツール20~50を使用することが可能となる。
【0064】
(4)ハンドル部21~51と脚部23~53との間が連続した曲面とされていると共に、脚部23~53と機能部22~52との間も連続した曲面とされていることで、ハンドル部21~51と脚部23~53および機能部22~52が繋がる部分がシームレス形状とされている。このように、ハンドル部21~51と脚部23~53および機能部22~52が繋がる部分をシームレス形状とすれば、汚れが溜まりにくくなり、洗浄時にも汚れを容易に落とすことが可能となる。
【0065】
(5)トング10を含む複数種類のキッチンツール10~50のハンドル部11~51内に磁石14~54を備えている。そして、複数種類のキッチンツール10~50のうち上下において隣り合うもの同士のハンドル部11~51同士が磁石14~54によって磁気吸引されるようにしている。このため、キッチンツール10~50同士の密着性を高めることが可能となる。これにより、重ね合わせた複数種類のキッチンツール10~50が意図せず分離してしまうことを抑制できる。
【0066】
(6)重ねられた下方キッチンツール20~50の中からいずれか1つ以上を取り出したとしても、その取り出されたキッチンツールが除かれた状態においても、除かれていないキッチンツールのみで積み重ねることができる。これにより、除かれていないキッチンツールだけでも重ねて纏めることができ、収納性を担保できる。また、キッチンツール10~50のうちの任意のものだけを所有するユーザであっても、収納性が損なわれることがないため、すべてのキッチンツール10~50を揃えなくても良いという利点もある。
【0067】
具体的には、本実施形態では、ターナー50、ヘラ40、スプーン30、レードル20の順に下方から積み重ねられ、これらのうちのいずれか1つ以上が除かれた状態においても、除かれていないキッチンツールのみで積み重ねることができる。なお、ここでは下方キッチンツール20~50として、ターナー50、ヘラ40、スプーン30、レードル20の4種類を重ね、その上にトング10を重ねる例を挙げているが、ターナー50、ヘラ40、スプーン30、レードル20のうちの少なくとも2種類を重ね、その上にトング10が重ねられる構成でも良い。
【0068】
また、ヘラ40やターナー50のように比較的平坦な機能部42、52を有するキッチンツールをより下方に配置し、レードル20やスプーン30のように食材を掬う深さのある機能部22、32を有するキッチンツールを上側に配置している。これにより、ハンドル部21~51に対する機能部22~52の上端面22a~52aの傾斜角度θ1~θ4を機能部22~52の機能に応じた適切な角度に設定できる。
【0069】
例えば、ヘラ40やターナー50よりも下方にレードル20やスプーン30を配置した場合を考えてみる。この場合、レードル20やスプーン30の深さを考慮しつつ、各下方キッチンツール20~50を平坦面100に設置したときに、レードル20やスプーン30が平坦面100に接しないようにレードル20やスプーン30の傾斜角度θ1、θ2を調整することになる。そして、その上に配置されるヘラ40やターナー50の傾斜角度θ3、θ4は、レードル20やスプーン30の傾斜角度θ1、θ2に依存することになる。このため、傾斜角度θ3、θ4が必要以上に急峻になるなど、要求される機能に対して傾斜角度θ3、θ4を適切に調整できなくなり得る。このため、上記のような順番でキッチンツール20~40を重ね合わせることで、傾斜角度θ1~θ4を機能部22~52の機能に応じた適切な角度に設定できる。
【0070】
(7)トング10を第1ハンドル部111および第1機能部121と、第2ハンドル部112および第2機能部122との2部品で構成している。そして、第1ハンドル部111と第2ハンドル部112とを分離して重ねわせることで、下方キッチンツール20~50上にトング10を積み重ねることができる。
【0071】
また、トング10の機能部12を半楕円体形状とすることで、トング10を簡素な構造にできることから、トング10に汚れが付着することを抑制できるし、洗浄時に汚れを落とし易くすることができる。そして、第1ハンドル部111の傾斜部111eに形成した切欠き111fに第2ハンドル部112に形成した連結部112fを嵌め込むことで第1ハンドル部111と第2ハンドル部112を連結させる構造であり、傾斜部111eの弾性変形に基づいてトング10の開閉動作を可能にしている。
【0072】
このような構成によれば、従来のように、第1ハンドル部と第2ハンドル部との間に別部品のバネを備えて開閉動作が行えるようにしたり、ハンドル部がU字状の一部品で構成されていてU字状の屈曲部の弾性変形に基づいて開閉動作を行う構造の場合にハンドル部を閉じた状態にするために必要な部品を備える必要がないため、トング10を簡素な構成にできる。
【0073】
(他の実施形態)
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0074】
例えば、各キッチンツール10~50の機能部12~52の形状については任意であり、上記実施形態と異なる形状とされていても良い。また、下方キッチンツール20~50の積み重ねの順序については、上記実施形態の順番とすると好ましいが、異なる順番とされても良い。さらに、下方キッチンツール20~50の数についても任意であり、少なくとも2つ以上が重ねられる場合に本開示を適用できるし、複数種類のキッチンツール20~50に同じ種類が含まれていても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、各ハンドル部11~51がY軸方向の中心側が両端側よりも下方側に凹んだ長板状としているが、これはハンドル部11~51の形状の一例を示したのである。例えば、ハンドル部11~51の表面および裏面が平坦面とされた長板状であっても良いし、Y軸方向の中心側が両端側よりも下方側に突き出した長板状であっても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、重ね合わせた下方キッチンツール20~50の上にトング10をさらに積み重ねたスタッキングキッチンツール1について説明した。これに対して、キッチンツール同士を横置きで積み重ねつつ、機能部22~52を平坦面100から浮かせる構造の実現については、トング10を除く下方キッチンツール20~50のみであっても可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…スタッキングキッチンツール、10…トング、20…レードル、30…スプーン、40…ヘラ、50…ターナー、11~51…ハンドル部、12~52…機能部、22a~52a…上端面、23~53…脚部、14~54…磁石、25~55…傾斜部、25a~55a…第1傾斜面、25b~55b…第2傾斜面、26~56…底部、17~57…貫通孔
【要約】
【課題】複数種類のキッチンツールを重ねて横置きすることができ、かつ、キッチンツールを平坦面に横置きしたときに機能部を平坦面から浮せられるスタッキングキッチンツールを提供する。
【解決手段】機能部22~52とハンドル部21~51とが傾斜部25~55を有して構成される脚部23~53にて連結されるようにする。傾斜部25~55については、中心線C2~C5を挟んで線対称とされた第1傾斜面25a~55aと第2傾斜面25b~55bとを有し、中心線C2~C5を法線方向とする平面を切断面として第1傾斜面25a~55aおよび第2傾斜面25b~55bを切断した断面形状をU字状とする。そして、傾斜部25~55同士およびハンドル部21~51同士を重ねることで複数の下方キッチンツール20~50を重ね、脚部23~53を切断面で切断した形状をU字状が重なった形状となるようにする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12