特許 7421289 皮膚外用剤

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-01-16

(45)【発行日】2024-01-24

(54)【発明の名称】皮膚外用剤

(51)【国際特許分類】

   A61K 8/86 20060101AFI20240117BHJP

   A61K 8/39 20060101ALI20240117BHJP

   A61Q 19/00 20060101ALI20240117BHJP

   A61K 9/12 20060101ALI20240117BHJP

   A61K 47/34 20170101ALI20240117BHJP

   A61P 17/16 20060101ALI20240117BHJP

【ＦＩ】

A61K8/86

A61K8/39

A61Q19/00

A61K9/12

A61K47/34

A61P17/16

【請求項の数】 1

(21)【出願番号】P 2019161626

(22)【出願日】2019-09-05

(65)【公開番号】P2021038179

(43)【公開日】2021-03-11

【審査請求日】2022-06-28

(73)【特許権者】

【識別番号】000135324

【氏名又は名称】株式会社ノエビア

(72)【発明者】

【氏名】丹後 弘隆

【審査官】駒木 亮一

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１４－１２５４３６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特許第６５６２５８７（ＪＰ，Ｂ１）

【文献】国際公開第２０１８／２２１４２０（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２０１８－２０３７０２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１５－０９８４６３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－０１９０７７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０７－２５２１３１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１０－１８２３８１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特表２００１－５２２８６９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１０－０８７４５６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ６１Ｋ ８／００－ ８／９９

Ａ６１Ｑ １／００－９０／００

Ａ６１Ｋ ９／００－ ９／７２

Ａ６１Ｋ４７／００－４７／６９

Ａ６１Ｐ １／００－４３／００

ＪＳＴＰｌｕｓ／ＪＭＥＤＰｌｕｓ／ＪＳＴ７５８０（ＪＤｒｅａｍＩＩＩ）

Ｊａｐｉｏ－ＧＰＧ／ＦＸ

Ｍｉｎｔｅｌ ＧＮＰＤ

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリルから選択される１種又は２種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルと、モノラウリン酸ＰＯＥ（８０）ソルビタンを含有するノンエアゾール泡吐出型皮膚外用剤において、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリルから選択される１種又は２種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルとモノラウリン酸ＰＯＥ（８０）ソルビタンの配合量は、合計量として、皮膚外用剤全量に対し０．２～２質量％配合するノンエアゾール泡吐出型皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、皮膚外用剤に関する。

【背景技術】

【0002】

化粧料をポンプフォーマー容器に充填した泡吐出タイプの化粧料は、エアゾールのような噴射剤を使用しなくても泡状化粧料を得ることができるため、洗浄料（特許文献１）、ひげそり用化粧料（特許文献２）、整髪料（特許文献３）、口腔用組成物（特許文献４）、染毛料（特許文献５）等様々な分野で応用されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開平７－２５２１３１号公報

【文献】特開平１０－１８２３８１号公報

【文献】特表２００１－５２２８６９号公報

【文献】特開平１０－８７４５６号公報

【文献】特開２００１－３７７５０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の目的は、泡形状で体などの広い面積にも簡単に塗布することができ、泡質が良好で、塗布後べたつかずにうるおいを与えることのできる泡吐出型皮膚外用剤を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する泡吐出型皮膚外用剤を提供する。

【発明の効果】

【0006】

本発明の泡吐出型皮膚外用剤は泡形状で体などの広い面積にも簡単に塗布することができ、泡質が良好で、塗布後べたつかずにうるおいを与えることのできるという効果を発揮する。

【発明を実施するための形態】

【0007】

以下本発明を実施するための形態を説明する。

【0008】

本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されないが、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリルから選択される１種又は２種以上を用いることが好ましく、特にモノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリルから選択される１種又は２種を用いることが好ましい。

【0009】

本発明で用いるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されないが、モノラウリン酸ＰＯＥ（８０）ソルビタン、モノラウリン酸ＰＯＥ（２０）ソルビタン、モノパルミチン酸ＰＯＥ（２０）ソルビタン、モノステアリン酸ＰＯＥ（２０）ソルビタンから選択される１種又は２種以上を用いることが好ましく、特にモノラウリン酸ＰＯＥ（８０）ソルビタンから選択される１種又は２種以上を用いることが好ましい。

【0010】

本発明の皮膚外用剤において、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの配合量は、合計量として、皮膚外用剤全量に対し０．２～２質量％配合することが好ましい。２質量％を超えて配合すると、べたつきの原因となる場合がある。

【0011】

ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの配合比は質量比で、１：１０～１０：１の範囲とすることが好ましく、１：１～１０：１の範囲とすることが、使用感上好ましい。

【0012】

また、任意添加成分として、保湿剤を本発明の皮膚外用剤に配合することにより、保湿効果が向上し、使用性をさらに改善することができる。

【0013】

保湿剤としては、従来から皮膚外用剤に用いられているものであれば特に限られるものではなく、具体的には、グリセリン、プロピレングリコール、１，３－ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、１，２－ペンチレングリコール等の多価アルコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸（ＰＣＡ）、乳酸等の天然保湿因子（ＮＭＦ）又はその類似物、細胞間脂質又はその類似物、植物抽出物、可溶性コラーゲン、エラスチン、ケラチン等のタンパク質分解物、キチン、キトサン、酵母抽出物、海藻エキスなどが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤に保湿剤を配合する場合、その配合量は１～２０質量％が好ましく、さらに好ましくは５～２０質量％である。

【0014】

本発明の泡吐出型皮膚外用剤は、上述の皮膚外用剤を泡吐出機構を備えた容器に充填したものである。泡吐出機構を備えた容器とは、噴射剤を使用するエアゾール型の泡吐出容器以外のノンエアゾール（ノンガスともいう）型のものを意味し、吐出容器内に充填された皮膚外用債と、空気とを混合して多孔質膜を通過させることにより泡沫状に吐出することができる容器である。具体的には、ポンプフォーマーやスクイズフォーマー等を例示することができる。

【0015】

また、吐出容器内部の多孔質膜は、一つ又は複数設けられ、その膜の孔数は特に限定されないが、キメ細かな泡質にする観点から、１００～４００メッシュが好ましく、１５０～３００メッシュのものを用いるのがより好ましい。

【0016】

本発明の泡吐出型皮膚外用剤は、前記成分以外に、更に、通常の洗浄料に用いられる成分、例えば、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、増粘剤、塩類、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。

【0017】

本発明の泡吐出型皮膚外用剤は、リーブオンタイプ皮膚外用剤として有用である。例えば、化粧水、乳液等として適用することができ、特に化粧水として有用である。

【実施例】

【0018】

以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。

【0019】

［使用感評価方法］
泡吐出容器に充填した皮膚外用剤を、スキンケア官能評価専門家２名が独立して全身に使用し、合議により下記基準に従い評価した。
［塗布しやすさ、泡質（泡の細かさ）、塗布後のべたつきのなさ、しっとり感］
〇：非常に良好である
△：あまりよくない
×：良くない

【0020】

表１に、本発明の実施例及び比較例にかかる皮膚外用剤（ボディローション）の処方を示す。皮膚外用剤は定法に従い調製し、使用評価用ポンプフォーマー（タケモト製、１００メッシュ×２００メッシュの２枚）に充填し、評価に供した。

【0021】

【表1】

【0022】

表１に示した通り、本発明の泡吐出型皮膚外用剤（ボディローション）である実施例１～５は、塗布しやすさ、泡質、塗布後のべたつきのなさ、しっとり感ともに良好な使用感であった。これに対し、モノラウリン酸デカグリセリル又はモノラウリン酸ＰＯＥ（８０）ソルビタンをそれぞれ単独で配合した比較例１、２は、べたつきが気になる使用感であった。