(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240117BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240117BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240117BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240117BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20240117BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240117BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240117BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240117BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240117BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20240117BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20240117BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240117BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20240117BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240117BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/02 B
H01L27/00 301B
H01L27/088 331E
H01L27/092 G
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B41/40
H10B41/50
H10B43/27
H10B43/40
H10B43/50
(21)【出願番号】P 2019165648
(22)【出願日】2019-09-11
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】松尾 美恵
(72)【発明者】
【氏名】宮島 秀史
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-157668(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055838(WO,A1)
【文献】特開2017-112335(JP,A)
【文献】特開2007-227415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0081069(US,A1)
【文献】特開2016-062901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/304
H01L 27/00
H01L 27/12-27/13
H01L 21/768
H01L 25/00-25/18
H01L 27/088-27/092
H01L 21/8234-21/8238
H10B 41/00-41/70
H10B 43/00-43/50
H01L 27/14-27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1弾性率を有する第1基板を、前記第1弾性率よりも高い第2弾性率を有する第2基板上に接合し、
前記第1基板を前記第2基板に接合した後、前記第1基板を薄膜化し、
薄膜化された前記第1基板上に第1半導体素子を含むデバイス層を形成し、
前記第1基板を前記第2基板から剥離することを具備した半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1基板を前記第2基板に接合する前に、該第1基板を前記第2基板に接合する第1分離可能層を、前記第2基板上に設けることをさらに具備する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1基板は、シリコン単結晶であり、
前記第2基板は、SiC、AlN、SiNまたはAl
2O
3の単結晶、多結晶、あるいは、これらの材料の混合である、請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1分離可能層は、ポーラス構造を有するシリコンまたはシリコン酸化膜である、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1半導体素子は、
メモリセルアレイを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
第3基板上に第2半導体素子を形成し、
該第2半導体素子を前記第1半導体素子に接続するように、前記第3基板を前記第1基板に接合し、
前記第1および第3基板を前記第2基板から剥離することをさらに具備する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第3基板を前記第1基板に接合した後、
前記第3基板を薄膜化し、
第4基板を前記第3基板に接合し、
前記第1、第3および第4基板を前記第2基板から剥離し、
前記第1および第3基板を前記第4基板からさらに剥離することをさらに具備する、請請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2半導体素子は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)を含む、請求項6または請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
第1弾性率を有する第1基板を、前記第1弾性率よりも高い第2弾性率を有する第2基板上に接合し、
前記第1基板上に第1半導体素子を形成し、
第3基板上に第2半導体素子を形成し、
該第2半導体素子を前記第1半導体素子に接続するように、前記第3基板を前記第1基板に接合し、
前記第3基板を薄膜化し、
第4基板を前記第3基板に接合し、
前記第1、第3および第4基板を前記第2基板から剥離し、
前記第1および第3基板を前記第4基板からさらに剥離することを具備する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のメモリセルを三次元配置した立体型メモリセルアレイが開発されている。このようなメモリセルアレイの積層数は、データ格納容量を増大させるために増加している。メモリセルアレイの積層数が増加すると、積層膜の応力により基板が反る場合がある。基板が反ると、製造工程における搬送エラー、基板の破損、歩留まりの低下、素子の特性劣化といった問題に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-330390号公報
【文献】特開平6-188249号公報
【文献】特許第4252537号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の反りを抑制することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、第1弾性率を有する第1基板を、第1弾性率よりも高い第2弾性率を有する第2基板上に接合する。第1基板上に第1半導体素子を形成する。第1基板を第2基板から剥離する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図。
【
図2】
図1に続く、半導体メモリの製造方法を示す断面図
【
図3】メモリセルアレイの一部およびその周辺の構造を示す断面図。
【
図4】メモリセルアレイの柱状部部分の拡大断面図。
【
図5】CMOS回路の一部およびその周辺の構造を示す断面図。
【
図6】
図3に示す基板に
図5に示す基板を接合する様子を示す断面図。
【
図7】バックゲート電極形成後の半導体メモリの構成を示す断面図。
【
図8】第2実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図。
【
図9】第3実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図。
【
図10】第4実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。以下の実施形態において、半導体基板の上下方向は、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(A)~
図2(C)は、第1実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図である。本実施形態は、複数のメモリセルを三次元配置した立体型メモリセルアレイと、該メモリセルアレイを制御するCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)回路とを備えたNAND型フラッシュメモリの製造方法である。メモリセルアレイおよびCMOS回路は、基板10の表面に対して略垂直方向に積層されている。尚、本実施形態は、NAND型フラッシュメモリに限定されず、半導体素子を積層して形成する半導体装置であれば適用可能である。
【0009】
まず、
図1(A)に示すように、基板20の表面上に分離可能層(第1分離可能層)30を形成する。次に、
図1(B)に示すように、分離可能層30上に基板10を貼付する。基板10は、第1面F11を基板20および分離可能層30に向けて添付される。基板10は、例えば、シリコン単結晶等を含む半導体基板である。基板20には、基板10よりも弾性率が高く、硬い材料を用いている。即ち、基板10が第1弾性率を有するとすると、基板20は、第1弾性率よりも高い第2弾性率を有する。尚、本明細書において、弾性率とは、ヤング率で表される曲げ弾性である。例えば、基板10をシリコン単結晶とすると、基板20は、SiC、AlN、SiNまたはAl
2O
3の単結晶(サファイヤ)、多結晶、あるいは、これらの材料の混合でもよい。分離可能層30には、例えば、ポーラスシリコン膜、シリコン酸化膜等のように基板10、20を接合可能であり、かつ、基板10、20よりも密度が低く、弱い(脆い)材料を用いている。これにより、分離可能層30は、その後の工程で、基板10、20を分離することができ、基板10、20を損傷することがない。分離可能層30の表面は、基板10と20の間を接合できるよう、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦にされている。
【0010】
次に、
図1(C)に示すように、研削法(Back Side Grinding)や、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて第1面F11と反対側にある基板10の第2面F12を研磨し、さらに、ウエットエッチング法を用いて、基板10の第2面F12をエッチングする。これにより、基板10を薄膜化する。
【0011】
次に、
図2(A)に示すように、基板10の第2面F12上に、第1半導体素子としてのメモリセルアレイ11を形成する。メモリセルアレイ11は、複数のメモリセルを三次元配置した立体型メモリセルアレイでよい。
【0012】
ここで、メモリセルアレイ11の構成について詳細に説明する。
【0013】
図3は、メモリセルアレイ11の一部およびその周辺の構造を示す断面図である。
図4は、メモリセルアレイ11の柱状部CL部分の拡大断面図である。尚、
図3は、メモリセルアレイ11の階段構造部21を示している。
【0014】
図3に示すように、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ11が基板10上に形成されている。メモリセルアレイ11は、Z方向(第2面F12に対して垂直方向)に交互に積層された複数の導電層(
図4のWL)と複数の絶縁層(
図4の51)とを含む。
図4に示すように、複数の導電層は、複数のワード線WLとして設けられている。複数の絶縁層51は、Z方向に隣接する複数のワード線WL間に設けられており、該複数のワード線WL間を電気的に絶縁する。各ワード線WLは、コンタクトプラグ22を介してワード配線層23と電気的に接続されている。ワード線WLは、例えば、タングステン等の導電性材料を含む。絶縁層51は、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料を含む。
【0015】
ワード線WLおよび絶縁層51の積層体上には、選択ゲートSGが設けられている。選択ゲートSGは、コンタクトプラグ26を介して選択ゲート配線層27と電気的に接続されている。選択ゲートSGも、例えば、タングステン等の導電性材料を含む。選択ゲートSG上には、層間絶縁膜15が設けられている。さらに、層間絶縁膜15内、あるいは、その上に配線層24、コンタクトプラグ25および金属パッド28が形成されている。最上層の金属パッド28間には、層間絶縁膜16が設けられている。
【0016】
また、柱状部CLが、ワード線WLおよび選択ゲートSGを貫通し、ビット線BLと電気的に接続されている。
図4に示すように、柱状部CLは、Z方向に延びるメモリ絶縁膜57、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を備えている。メモリ絶縁膜57は、ブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53およびトンネル絶縁膜54を含んでいる。電荷蓄積層53は、例えばシリコン窒化膜等の絶縁材料を含み、積層体58の側面にブロック絶縁膜52を介して形成されている。チャネル半導体層55は、例えばポリシリコンを含み、電荷蓄積層53の側面にトンネル絶縁膜54を介して形成されている。ブロック絶縁膜52、トンネル絶縁膜54、およびコア絶縁膜56は、例えばシリコン酸化膜や金属絶縁膜等の絶縁材料を含む。電荷蓄積層53は、電荷を蓄積可能であれば絶縁膜以外の層でもよい。
【0017】
選択ゲートSGを導通状態とすることによって、柱状部CLが選択的にビット線BLに接続され、ビット線BLからの電圧を受ける。この選択された柱状部CLにおいて、電荷が、チャネル半導体層55と電荷蓄積層53との間でトンネル絶縁膜54を介して注入/放出される。これにより、データが書き込まれ、あるいは、消去される。ブロック絶縁膜52は、電荷蓄積層53の電荷がワード線WLへ漏洩することをブロックするために設けられている。ワード線WLとメモリ絶縁膜57との交差位置の構成がメモリセルとなっている。このような構成および機能を有するメモリセルアレイ11が基板10上に形成される。
【0018】
このように、基板20を支持基板として用いて、基板20上で基板10を薄膜化し、該基板10上にメモリセルアレイ11を形成する。これにより、メモリセルアレイ11のように複数種類の材料を多層積層した積層体を、薄膜化された基板10上に形成しても、基板10は基板20によって支持されるためほとんど反らず、基板20の表面に支持されて略平坦状態を維持する。
【0019】
図2を再度参照し、次に、
図2(B)に示すように、第2半導体素子としてのCMOS回路50を有する第3基板としての基板40を基板10の第2面F12上に接合(貼合)する。基板40は、既に薄膜化されており、基板40の第3面F41上にはCMOS回路50が形成されている。このとき、CMOS回路50がメモリセルアレイ11に接続するように、CMOS回路50を第2面F12に向けて基板10へ接合する。CMOS回路50は、例えば、メモリセルアレイ11のコントローラを構成するCMOS回路(論理回路)である。
【0020】
図5は、CMOS回路50の一部およびその周辺の構造を示す断面図である。基板40の第3面F41上には、複数のトランジスタ31が設けられている。各トランジスタ31は、基板40の第3面F41上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極32と、基板40内に設けられた不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。複数のトランジスタ31は、CMOS回路50を構成し、メモリセルアレイ11を制御するように機能する。
【0021】
さらに、複数のプラグ33がトランジスタ31のソース拡散層またはドレイン拡散層上に設けられ、多層配線構造35がプラグ33上に設けられている。さらに、コンタクトプラグ36が多層配線構造35上に設けられ、金属パッド37がコンタクトプラグ36上に設けられている。金属パッド37は、例えば、銅、タングステン等の導電性材料を含む。このような構成を有するCMOS回路50が基板40の第3面F41上に形成される。
【0022】
図2(B)に示すように、CMOS回路50を有する基板40を、メモリセルアレイ11を有する基板10上に接合すると、
図6に示すように、メモリセルアレイ11およびCMOS回路50が基板10と基板40との間で積層される。
【0023】
図6は、
図3に示す基板10に
図5に示す基板40を接合する様子を示す断面図である。基板40を反転させて第3面F41を基板10の第2面F12に向けて接合すると、基板10上に設けられた金属パッド28と基板40上に設けられた金属パッド37とが互いに電気的に接続される。CMOS回路50がメモリセルアレイ11と電気的に接続されることにより、メモリセルアレイ11を制御することが可能となる。このように、CMOS回路50およびメモリセルアレイ11を対向させたときに、金属パッド28と金属パッド37とは互いに対応するように配置されている。
【0024】
再度、
図2を参照する。基板10と基板40とを接合した後、
図2(C)に示すように、基板10を基板20から剥離する。上述の通り、分離可能層30は、基板10、20よりも脆い材料であるため、基板10、20を損傷することなく、基板10を基板20から剥離することができる。
【0025】
次に、基板10または基板40を加工して配線等を形成してもよい。例えば、
図7は、バックゲート電極形成後の半導体メモリの構成を示す断面図である。
図7では、基板10を研磨して、メモリセルアレイ11上に、半導体層61と、バックゲート絶縁膜62と、バックゲート電極63と、保護膜64とが形成されている。半導体層61は、例えば、ポリシリコン等を含む。バックゲート絶縁膜62は、例えば、シリコン酸化膜を含む。バックゲート電極63は、例えば、導電性金属を含む。保護膜64は、例えば、ポリイミド等の絶縁膜を含む。半導体層61は、バックゲート絶縁膜62とバックゲート電極63により覆われている。半導体層61、バックゲート絶縁膜62およびバックゲート電極63は、MOSFET(MOS Field Effect Transistor)を構成する。バックゲート電極63は、配線層24からの電圧を受けて半導体層61にチャネルを形成し、複数の柱状部CLの一端をソース線(図示せず)に電気的に接続する。
【0026】
図2(C)において、基板10を剥離した後、基板20は、洗浄され再利用され得る。即ち、使用済み分離可能層30を除去した後、新しい分離可能層30を基板20に形成し、
図1(A)~
図2(C)の工程を繰り返す。これにより、基板20を無駄にすること無く、繰り返し利用することができる。これは、製造コストの低減に繋がる。
【0027】
以上の工程を経て、本実施形態による半導体メモリが完成する。尚、上記実施形態の構成は、あくまでも一例であって、本実施形態は、他の積層型半導体装置に適用可能である。
【0028】
本実施形態によれば、基板10を、それよりも弾性率が高い基板20上に剥離可能なように分離可能層30で接合する。そして、基板20上において基板10を薄膜化後、半導体素子を基板10に形成する。基板20は、弾性率が比較的高く、剛性が高い(硬い)材料からなる。従って、基板20は、例えば、立体型メモリセルアレイのような積層体の製造工程においてさほど反らず、略平坦状態を維持する。これにより、薄膜化された基板10に多層膜を有する積層体を形成しても、基板10は、基板20に接合され支持されているので、ほとんど反らず略平坦状態を維持する。例えば、立体型メモリセルアレイは、複数のワード線WLと複数の絶縁層51とを交互に積層した積層体を有し、基板10に対して応力を印加する。しかし、基板10は、弾性率が高い基板20に支持されているため、ほとんど反らず、基板20の表面に従って略平坦状態を維持する。その結果、製造工程中における基板10の加工エラー、搬送エラー、破損等を抑制することができる。
【0029】
また、半導体メモリの完成後、基板10は、熱負荷がかからない状態で、基板20から剥離され得る。従って、半導体メモリの完成後の基板10の反りも抑制され得る。
【0030】
(第2実施形態)
図8(A)~
図8(C)は、第2実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図である。第2実施形態では、第3基板としての基板40は、基板10に接合された後に薄膜化されている。尚、
図8(A)~
図8(C)は、
図1(A)~
図1(C)に続く半導体メモリの製造方法を示している。
【0031】
図1(A)~
図1(C)に示す工程を経た後、
図8(A)に示すように、CMOS回路50を有する基板40を基板10の第2面F12上に接合(貼合)する。このとき、CMOS回路50がメモリセルアレイ11に接続するように、基板40の第3面F41(CMOS回路50の設けられた面)を第2面F12に向けて基板10へ接合する。
【0032】
次に、
図8(B)に示すように、第3面F41とは反対側にある基板40の第4面F42を、研削法(Back Side Grinding)や、CMP法を用いて研磨する。これにより、基板40が薄膜化される。
図8(B)は、
図2(B)と実質的に同一構成となる。
【0033】
次に、
図2(C)に示すように、基板10を基板20から剥離する。上述の通り、分離可能層30は、基板10、20よりも脆い材料であるため、基板10、20を損傷することなく、基板10を基板20から剥離することができる。その後、基板10または基板40を加工して配線等を形成する。これにより、第1実施形態と同様の半導体メモリが完成する。第2実施形態は第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(第3実施形態)
図9(A)~
図9(C)は、第3実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図である。第3実施形態では、第3基板としての基板40は、基板10から剥離された後に薄膜化されている。尚、
図9(A)~
図9(C)は、
図1(A)~
図1(C)に続く半導体メモリの製造方法を示している。
【0035】
図1(A)~
図1(C)に示す工程を経た後、
図9(A)に示すように、CMOS回路50を有する基板40を基板10の第2面F12上に接合(貼合)する。このとき、CMOS回路50がメモリセルアレイ11に接続するように、基板40の第3面F41(CMOS回路50の設けられた面)を第2面F12に向けて基板10へ接合する。
【0036】
次に、
図9(B)に示すように、基板10を基板20から剥離する。上述の通り、分離可能層30は、基板10、20よりも脆い材料であるため、基板10、20を損傷することなく、基板10を基板20から剥離することができる。
【0037】
次に、
図9(C)に示すように、第3面F41とは反対側にある基板40の第4面F42を、CMP法を用いて研磨する。このとき、第3面F41側の半導体素子は、樹脂テープ等により保護される。これにより、基板40が薄膜化される。その後、基板10または基板40を加工して配線等を形成し、第1実施形態と同様の半導体メモリが完成する。
【0038】
第3実施形態においては、基板40は、基板20から剥離された後、薄膜化されている。しかし、このとき既に、立体型メモリセルアレイ等の積層体は完成しており、その後、熱負荷がかからないため、第3実施形態でも、基板10、40はさほど反らず、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、基板10は、基板40の薄膜化前に基板20から剥離されている。従って、基板20から剥離されるときに、比較的厚い基板40が基板10を支持し、基板10のクラック等を抑制することができる。
【0039】
(第4実施形態)
図10(A)~
図10(C)は、第4実施形態による半導体メモリの製造方法を示す断面図である。第4実施形態では、基板40の研磨後、さらに第4基板としての基板70を基板40に接合し、基板70とともに基板10、40を基板20から剥離する。尚、
図10(A)~
図10(C)は、
図8(B)に続く半導体メモリの製造方法を示している。
【0040】
図1(A)~
図2(A)および
図8(B)に示す工程を経た後、
図10(A)に示すように、接合層80を形成した基板70を、基板40の第4面F42上に接合(貼合)する。基板70は、基板20と同じ材料でよい。接合層80は、基板70の第5面F71に設けられる。基板70は第5面F71を基板40へ向けて接合される。分離可能層80は、分離可能層30と同一材料あるいは分離可能層30よりも堅い材料であることが好ましい。例えば、分離可能層30、80がともにポーラスシリコンである場合、分離可能層80に含まれるポーラスは、分離可能層30に含まれるそれよりも少ないことが好ましい。これにより、
図10(B)に示す工程で、基板70を基板40に接合させたまま、基板10を基板20から剥がすことができる。
【0041】
次に、
図10(B)に示すように、基板10、40、70を基板20から剥離する。上述の通り、分離可能層80は、基板10、20、40、70よりも脆い(弱い)が、分離可能層30よりも堅い材料である。このため、基板10、20、40、70を損傷することなく、基板10を基板20から剥離することができる。
【0042】
次に、
図10(C)に示すように、基板70を基板40から剥離する。分離可能層80は、基板10、20、40、70よりも脆い材料である。このため、基板10、40、70を損傷することなく、基板70を基板20から剥離することができる。その後、基板10または基板40を加工して配線等を形成し、第1実施形態と同様の半導体メモリが完成する。第4実施形態でも、基板10、40はさほど反らず、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
尚、基板20、70は、洗浄され再利用され得る。即ち、使用済み分離可能層30、80を除去した後、新しい分離可能層30、80を基板20、70に形成し、第4実施形態による工程を繰り返す。これにより、基板20、70を無駄にすること無く、繰り返し利用することができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
10,20,40,70 基板、11 メモリセルアレイ、20 基板、30,80 分離可能層、50 CMOS回路