(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/56 20110101AFI20240117BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
F24F1/56
F24F13/20 202
(21)【出願番号】P 2019185394
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】長吉 正良
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/129077(WO,A1)
【文献】特開2000-161712(JP,A)
【文献】特開2007-113861(JP,A)
【文献】特開2019-027698(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021905(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/56
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に配置された側面板と、
当該側面板の上端に形成され内側方向へ延びる内側延出部と、
当該内側延出部の内側端部に形成され鉛直上方へ延びる上方延出部と、
当該上方延出部の上端に形成され内側方向へ曲げられた内側曲げ部と、
前記側面板の上方を被う上面板と、
当該上面板に形成され前記内側曲げ部に沿って曲げられた外側曲げ部と、
当該外側曲げ部の下端から前記側面板よりも外側方向へ突出するように形成された取っ手部と、を備え、
前記取っ手部に被われた前記上方延出部と前記内側曲げ部との間に、外側方向へ突出する凸部を形成し、当該凸部は、前記取っ手部の上端と当接するよう、前記取っ手部の上端に沿って形成され、前記内側曲げ部と前記外側曲げ部は
、前記内側曲げ部の上端で接触することを特徴とする空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上面板に取っ手部を備えた空気調和機の室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、上面板に取っ手部を形成したものにおいて、側面板の上方を被うように上面板を載置し、取っ手部の両側にネジを螺着させて上面板と側面板とを固定することで、作業者が取っ手部を持って運搬可能とした空気調和機の室外機があった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、風雨が激しい等で室外機の取っ手部付近に水が吹き付けた場合、取っ手部と側面板との間には室外機内への水の侵入を阻止するものが何ら存在しないことから、取っ手部と側面板との間から水が室外機内に侵入してしまい、室外機内部に設置された電装部品等が濡れて故障する虞があった。
これを防止する手段として、取っ手部と側面板との間に水浸入防止用のシール材等を設置することが考えられるが、室外機の製造工程が増加し、コストアップにもなる。
【0005】
そこで、本発明は製造工程の増加、及びコストアップを招くことなく取っ手部と側面板との間からの水の侵入を阻止可能な空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、側面に配置された側面板と、
当該側面板の上端に形成され内側方向へ延びる内側延出部と、
当該内側延出部の内側端部に形成され鉛直上方へ延びる上方延出部と、
当該上方延出部の上端に形成され内側方向へ曲げられた内側曲げ部と、
前記側面板の上方を被う上面板と、
当該上面板に形成され前記内側曲げ部に沿って曲げられた外側曲げ部と、
当該外側曲げ部の下端から前記側面板よりも外側方向へ突出するように形成された取っ手部と、を備え、
前記取っ手部に被われた前記上方延出部と前記内側曲げ部との間に、外側方向へ突出する凸部を形成し、当該凸部は、前記取っ手部の上端と当接するよう、前記取っ手部の上端に沿って形成され、前記内側曲げ部と前記外側曲げ部は、前記内側曲げ部の上端で接触することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、取っ手部に被われた上方延出部と内側曲げ部との間に、外側方向へ突出する凸部を形成したので、取っ手部と側面板との間にシール材等を配置することなく水の侵入を阻止できるので、製造工程の増加、及びコストアップを招くことなく室外機内に設置された電装部品等が濡れる事態を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】同発明の取っ手部付近を拡大した斜視図である。
【
図3】同発明の取っ手部付近を拡大し側面板から上面板が外れた様子を説明する斜視図である。
【
図4】同発明の取っ手部付近を拡大し側面板から上面板が外れた様子を説明する右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を説明する。
図1を参照する。1は空気調和機の室外機であり、箱状の筐体である。室外機1は、前面に配置された前面板2と、上面に配置された上面板3と、側面に配置された側面板4と、底面に配置された図示しない底板とで構成されている。
【0011】
室外機1の背面側は開口されており、開口に面して図示しない室外熱交換器が設置されている。室外機1の内部は、図示しない仕切板により送風ファンが設置された送風室と圧縮機等が設置された機械室とに仕切られており、右方の側面板4が機械室に面している。
【0012】
図1を参照する。5は右方の側面パネル4に設置され複数の連絡電線が接続された図示しない端子台と、当該端子台の下方に位置し室外機1内外に延びる図示しない冷媒配管が接続されるバルブを備えたバルブ取付板とを収めたバルブカバーである。
【0013】
室外機1の外部側へ延びる冷媒配管は、図示しない室内機内にある室内熱交換器と接続しており、室外機1の内部側へ延びる冷媒配管は、図示しない圧縮機、膨張弁を介して室外熱交換器と接続している。
よって、図示しないリモコン等により室内を冷却する冷房運転が指示されると、冷媒配管内に低温の冷媒が流動して室内機から冷風を吹き出すことで、室内の冷房が可能となる。
また、リモコン等により室内を暖める暖房運転が指示されると、冷媒配管内に高温の冷媒が流動して室内機から温風を吹き出すことで、室内の暖房が可能となる。
【0014】
次に、上面板3の詳細構造について説明する。
図2から
図6を参照する。3aは上面板3の左右端に形成され下方へ向けて所定の曲率で曲げられた外側曲げ部、3bは当該外側曲げ部3aの下端から下方へ延びる下方延出部、3cは当該下方延出部3bを貫通しビスが螺着可能なビス穴であり、当該下方延出部3aが後述する側面板4の内側延出部4aに載置されることで、側面板4の上方が被われるように上面板3が装着される。
【0015】
次に、側面板4の上端部分の詳細構造について説明する。
図3から
図6を参照する。4aは側面板4の上端に形成され内側方向(左側方向)へ延びる内側延出部、4bは当該内側延出部4aの内側端部から鉛直上方へ延びる上方延出部、4cは上方延出部4bの上端に形成され内側方向へ所定の曲率で曲げられた内側曲げ部、4dは前記上方延出部4bを貫通するように形成されたビス穴である。
【0016】
上面板3を側面板4に装着する時、側面板4の内側延出部4aに上面板3の下方延出部3bが載置され、上面板3のビス穴3cと側面板4のビス穴4dとに螺着するビスにより、上面板3が側面板4に固定される。
【0017】
次に、上面板3に形成された取っ手部6について説明する。
図2から
図5を参照する。6は上面板3の左右位置にそれぞれ設けられた取っ手部である。当該取っ手部6は、上面板3の外側曲げ部3aの下端から側面板4よりも外側方向(左右方向)へ突出し、水平方向に対して下方へ傾斜するように形成されている。そして、前記取っ手部6の下端6aは、前面視断面略U字状に曲げられることで下端6aに端面が露出しないようにした。
これにより、作業者が取っ手部6を掴んで持ち上げる時、露出した状態では表面が粗い端面に手が引っ掛かり、手をケガするのを未然に阻止することができる。
【0018】
また、上面板3に接続する取っ手部6の前後端は、前後の幅方向下方へ向けて所定角度で傾斜し、上面板3の下方延出部3bの下端まで至るように形成されており、側面視で略ハの字となる。
これにより、取っ手部6の前後端が前後の幅方向下方へ向けて傾斜しない場合と比較し、上面板3との接続面を大きく取ることで取っ手部6の強度を向上させ、室外機1の運搬時に取っ手部6に負荷がかかることでの破損を阻止することができる。
【0019】
次に、取っ手部6から室外機1内部への浸水防止構造について説明する。
図3、4、5を参照する。4eは上方延出部4bと内側曲げ部4cとの間にあり外側方向(右側方向)へ突出するように形成された凸部である。当該凸部4eは、外側曲げ部3aの下端から外側方向へ曲げられた取っ手部6の上端6bと当接している。
そして、側面板4の内側曲げ部4cは、上端付近で外側曲げ部3aと互いに接触する曲率で形成されている。
【0020】
よって、激しい風雨等で取っ手部6に水が吹き付けられた場合、凸部4eが取っ手部6の上端6bと当接していることで、水が外側曲げ部3aと内側曲げ部4cとの間に侵入することを阻止できる。
更に、凸部4eと上端6bとの間から水が侵入したとしても、内側曲げ部4cの上端付近が外側曲げ部3aと接触しているので、水がそれより先に侵入することを阻止できるため、室外機1内部に水が侵入して室外機1内部に設置された電装部品が水に濡れ、故障することを確実に阻止することができる。
【0021】
また、前記凸部4eの前後端は、取っ手部6の前後端と同様の角度で前後の幅方向下方へ傾斜するように形成されており、取っ手部6の上端6bに沿って凸部4eが形成されている。
よって、取っ手部6の上端6b全域が凸部4eと当接していることから、取っ手部6のいずれの箇所においても室外機1内部に水が侵入するのを阻止できる。
【0022】
次に、本発明の効果を説明する。
【0023】
図5を参照する。上面板3を側面板4に載置した時、取っ手部6の上端6bと当接し外側方向へ突出する凸部4eを上方延出部4bと内側曲げ部4cとの間に形成したので、激しい風雨等で取っ手部6に水が吹き付けられ室外機1内部へ水が侵入しようとしても、凸部4eにより上方延出部4b、及び内側曲げ部4cと取っ手部6の上端6bとの間にある隙間が埋めることができ、室外機1内部への水侵入を阻止し室外機1内部に設置された電装部品等が水に濡れ、故障が発生するのを防止することができる。
【0024】
また、上方延出部4bと内側曲げ部4cとの間に外側方向へ突出する凸部4eを形成する、という簡易な手段により上方延出部4b、及び内側曲げ部4cと取っ手部6の上端6bとの隙間における遮水を可能としたことから、シール材等を用いて隙間を埋めて遮水することでの製造工程の増加、及びシール材使用によるコストアップが発生しない。
【0025】
また、前後端が前後の幅方向下方へ向けて傾斜する取っ手部6の上端6bに沿って凸部4eが形成されたので、上端6bの全域が凸部4eと当接した状態にあるため、取っ手部6から室外機1内部へ水が侵入することを確実に阻止することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、冷媒配管で接続された室内機により冷風、温風を吹き出すことで室内の冷暖房を可能とした空気調和機における室外機1で説明したが、これに限らず、室内の床下に埋め込まれた床暖パネルへ通じる冷媒配管と接続し床暖房を実施する温水暖房ヒートポンプシステムや、貯湯タンクへ高温湯を貯めて給湯や風呂等で使用するヒートポンプ給湯装置、地中熱と熱交換する地中熱ヒートポンプ装置等、各種のシステムで使用される室外機1において適用可能な発明である。
【符号の説明】
【0027】
1 室外機
3 上面板
3a 外側曲げ部
4 側面板
4a 内側延出部
4b 上方延出部
4c 内側曲げ部
4e 凸部
6 取っ手部
6b 上端