(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】電力合成器、生成器、システム、及びプリント回路基板
(51)【国際特許分類】
H03H 7/48 20060101AFI20240117BHJP
H03F 3/20 20060101ALI20240117BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20240117BHJP
H03F 3/60 20060101ALI20240117BHJP
H03H 7/38 20060101ALI20240117BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H03H7/48 Z
H03F3/20
H03F3/68 220
H03F3/60
H03H7/38 Z
H01P5/12 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019211428
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509337160
【氏名又は名称】コメット アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グリューナー
(72)【発明者】
【氏名】アントン ラバンク
(72)【発明者】
【氏名】シリル ギナード
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117233(JP,A)
【文献】米国特許第06252461(US,B1)
【文献】実公昭49-041781(JP,Y1)
【文献】特開2010-118916(JP,A)
【文献】特開2016-072001(JP,A)
【文献】特開平11-340712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0150632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P5/00-H01P5/22
H03F1/00-H03F3/72
H03F7/00-H03F7/06
H03H7/30-H03H7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの電力信号を受信するためにそれぞれの電力増幅器に接続可能な複数の入力と、
前記複数の入力のそれぞれに接続され、それぞれが、電力信号が通過する少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとを含むとともに、各電力増幅器からの電力信号を合成するように接続される、複数のインピーダンス整合回路ブランチと、
各インピーダンス整合回路ブランチを接続し、前記複数の入力を相互に分離する平衡回路と、
合成された電力信号を出力するための出力と、
を含み、
前記平衡回路は、タップ点で前記インピーダンス整合回路ブランチのそれぞれに接続された複数の平衡回路ブランチを含み、
各平衡回路ブランチは、直列に接続された抵抗器および第1キャパシタと、前記抵抗器および前記第1キャパシタに並列に接続された第2キャパシタとを含む、電力合成器。
【請求項2】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションとは、それぞれパッシブフィルタを含む、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項4】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションの前記少なくとも1つのインダクタは、グラウンドに短絡されている、請求項3に記載の電力合成器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項6】
前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションの前記少なくとも1つのキャパシタは、グラウンドに短絡されている、請求項5に記載の電力合成器。
【請求項7】
前記タップ点はそれぞれ、各インピーダンス整合回路ブランチの前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションとの間に位置する、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項8】
各平衡回路ブランチは、共通平衡点で相互接続されている、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項9】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、それぞれ少なくとも1つの平面インダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項10】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションまたは前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、少なくとも1つの伝送線と少なくとも1つのキャパシタとを含む、請求項1に記載の電力合成器。
【請求項11】
複数の増幅器および電力合成器を含む生成器であって、
前記電力合成器は、
電力信号を受信するために、前記複数の増幅器の各電力増幅器に接続可能である複数の入力と、
前記複数の入力のそれぞれに接続され、それぞれが、電力信号が通過する少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとを含むとともに、各電力増幅器からの電力信号を合成するように接続される、複数のインピーダンス整合回路ブランチと、
各インピーダンス整合回路ブランチを接続し、前記複数の入力を相互に分離する平衡回路と、
合成された電力信号を出力するための出力と、
を含み、
前記平衡回路は、タップ点で前記インピーダンス整合回路ブランチのそれぞれに接続された複数の平衡回路ブランチを含み、
各平衡回路ブランチは、直列に接続された抵抗器および第1キャパシタと、前記抵抗器および前記第1キャパシタに並列に接続された第2キャパシタとを含む、生成器。
【請求項12】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含み、
前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む、請求項11に記載の生成器。
【請求項13】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含み、前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションの前記少なくとも1つのインダクタは、グラウンドに短絡され、
前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含み、前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションの前記少なくとも1つのキャパシタは、グラウンドに短絡されている、請求項11に記載の生成器。
【請求項14】
前記少なくとも1つのハイパスフィルタセクションの前記少なくとも1つのインダクタおよび/または前記少なくとも1つのローパスフィルタセクションの前記少なくとも1つのインダクタは、伝送線または集中コンポーネントによって提供される、請求項13に記載の生成器。
【請求項15】
プラズマチャンバを含むプラズマツールに、合成された電力信号を受け取るように請求項11に記載の生成器が接続された、システム。
【請求項16】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に配置された複数の入力端子と、
絶縁基板上に配置され、それぞれが前記複数の入力端子の1つから受信した入力電力信号をフィルタするように構成された、少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとを含む複数のインピーダンス整合回路ブランチと、
各インピーダンス整合回路ブランチを接続し、前記複数の入力
端子を相互に分離する平衡回路と、
絶縁基板上に配置され、合成およびフィルタされた電力信号を出力するように構成された出力端子と、
を含み、
前記平衡回路は、タップ点で前記インピーダンス整合回路ブランチのそれぞれに接続された複数の平衡回路ブランチを含み、
各平衡回路ブランチは、直列に接続された抵抗器および第1キャパシタと、前記抵抗器および前記第1キャパシタに並列に接続された第2キャパシタとを含む、プリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電力合成器および生成器に関する。本開示は、特に、それぞれの電力増幅器からの電力信号を合成するのに使用するためのインピーダンス整合回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例示的な既知の高周波(RF)生成器10のブロック図が
図1に示されている。RF生成器10は、電力増幅モジュール18の複数(n)のRF電力増幅器16a~16nにDC電力を供給するように接続された交流電流(AC)入力12およびAC-直流(DC)変換器14を含む。コントローラ22は、高周波信号を電力増幅器16a~16nに供給するように接続されている。各電力増幅器16a~16nによって供給される高周波電力は、電力合成機能を実行し、合成電力信号を出力するように構成されたn対1電力合成器20に入力される。一部のRF生成器では、合成出力電力を制御するための制御ループを実装する際に、コントローラ22によって使用される電力合成器20からの合成出力電力の1つ以上の特性を検知するように検知回路24が接続される。合成出力電力は、高周波ツールで使用することができる。
【0003】
いくつかのそのようなRF生成器10は、公称中心RF周波数(fc)で目標とする合成RF出力電力(例えば、fc=13.56MHzにおいて1kW)を供給するように設計されている。プラズマアプリケーションなどの一部のアプリケーションでは、RF動作周波数を適応的に変更(周波数チューニング)することでマッチング手順を可能にするために、10%(fc±5%)の相対帯域幅が必要である。RF動作周波数を適応的に変更することは、プロセスのカスタマイズと最適化に有用である。さらに、大きな相対帯域幅は、高調波妨害(harmonic disturbance)による複数の生成器10間の相互作用が回避されることの望ましい、複数のRF生成器10を使用するマルチ周波数システムにおいて有用である。
【0004】
したがって、RF生成器10の帯域幅の増加は、いくつかの用途で望ましく、かなりの利点を提供することができる。
【0005】
いくつかの生成器10は、電力増幅器16a~16nを並列に接続したn個の電力増幅器16a~16nからの電力信号を合成するために、電力合成器20を使用する。所望の特性システムインピーダンスZ0(例えば50オーム)を維持するために、Z0をn*Z0に変換する電力増幅モジュール18の出力にインピーダンス整合回路を設けることができる。各電力増幅器16a~16nから延在するブランチは、インピーダンス整合回路の後に接続される。さらなる方法論は、Z0/nをZ0に変換する単一のインピーダンスマッチング回路網(impedance matching network)が後に続く、それらの出力における電力増幅器の直接並列接続である。
【0006】
それぞれの電力増幅器からの複数の入力を合成するための既知のインピーダンス整合回路には限界がある。一般に、インピーダンス整合回路を含む電力合成器20によって合成される電力増幅器16a~16nの数が多いほど、帯域幅が減少するか、整合回路の品質(Q)係数が大きくなる傾向があることがわかっている。
【0007】
したがって、比較的広い帯域幅の電力出力を可能にするインピーダンス整合回路、電力増幅器、および生成器を提供することが望まれる。さらに、コストおよび損失を削減するために、使用する回路部品の数を少なく保つことが望まれる。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および発明の背景と併せて、本発明の以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、電力合成器が提供される。電力合成器は複数の入力を含み、各入力はそれぞれの電力信号を受信するためにそれぞれの電力増幅器に接続可能である。複数のインピーダンス整合回路ブランチ(impedance matching circuit branches)は、複数の入力のそれぞれに接続される。各インピーダンス整合回路ブランチは、それぞれの電力信号が通過する少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとを含む。インピーダンス整合ブランチは、各電力増幅器からの電力信号を合成するように接続される。合成された電力信号を出力するための出力が含まれる。
【0009】
実施形態では、少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとは、それぞれパッシブフィルタを含む。
【0010】
実施形態では、少なくとも1つのハイパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む。実施形態では、少なくとも1つのハイパスフィルタセクションの少なくとも1つのインダクタは、グラウンドに短絡されている。実施形態では、ハイパスフィルタセクションの少なくとも1つのインダクタは、集中インダクタ(lumped inductor)またはショートスタブ伝送線(shorted stub transmission line)によって提供される。実施形態では、少なくとも1つのキャパシタは、集中キャパシタ(lumped capacitor)によって提供される。
【0011】
実施形態では、少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む。実施形態では、少なくとも1つのローパスフィルタセクションの少なくとも1つのキャパシタは、グラウンドに短絡されている。実施形態では、少なくとも1つのローパスフィルタセクションの少なくとも1つのキャパシタは、集中キャパシタまたは伝送線によって提供される。実施形態では、少なくとも1つのローパスフィルタセクションの少なくとも1つのインダクタは、集中インダクタまたはオープンスタブ伝送線によって提供される。
【0012】
実施形態では、電力合成器は、インピーダンス整合回路ブランチのそれぞれを接続する平衡回路(balancing circuit)を含む。実施形態において、平衡回路は、電力合成器の複数の入力間を分離する。実施形態では、平衡回路は、タップ点(tapping points)でインピーダンス整合回路ブランチのそれぞれに接続された複数の平衡回路ブランチ(balancing circuit branches)を含む。実施形態において、各タップ点は、それぞれのインピーダンス整合回路ブランチの少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとの間に位置する。実施形態では、各平衡回路ブランチは、少なくとも1つの抵抗器と少なくとも1つのキャパシタとを含む。実施形態において、各平衡回路ブランチは、直列に接続された抵抗器および第1のキャパシタと、抵抗器および第1のキャパシタに並列に接続された第2のキャパシタとを含む。実施形態では、平衡回路ブランチのそれぞれは、共通平衡点(common balancing point)で相互接続される。
【0013】
実施形態では、少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとはそれぞれ、少なくとも1つの平面インダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む。
【0014】
実施形態では、電力合成器は、放熱基板と、その上に配置された少なくとも1つのプリント回路基板とを含む。複数のインピーダンス整合回路ブランチのそれぞれは、少なくとも1つのプリント回路基板上に含まれる。各インピーダンス整合回路ブランチは、入力端子、第1平面インダクタ、第1キャパシタ、第2平面インダクタ、第2キャパシタおよび出力端子を含む少なくとも1つのプリント回路基板によって提供される。入力端子は複数の入力の1つに対応し、出力端子は出力に対応し、第1キャパシタと第1インダクタは少なくとも1つのハイパスフィルタセクションに含まれ、第2キャパシタと第2平面インダクタは少なくとも1つのローパスフィルタに含まれる。これにより、複数のインピーダンス整合回路ブランチのうちの1つを形成する。複数のインピーダンス整合回路ブランチのそれぞれは、対応するように形成され、出力端子は一緒に接続されて、合成電力信号を提供する。
【0015】
実施形態では、少なくとも1つのプリント回路基板は、ハイパスフィルタとローパスフィルタとの間に接続され、キャパシタおよび抵抗器を含むインピーダンス整合回路ブランチのそれぞれに対する平衡回路ブランチを含む。平衡回路ブランチは、電力合成器の複数の入力間の分離を提供する平衡回路を形成するために一緒に接続される。
【0016】
実施形態では、電力合成器は、1~100MHzの範囲の合成電力信号の周波数に適合される。実施形態では、電力合成器は、合成された電力信号に対して少なくとも100Wの出力電力レベルに適合される。
【0017】
実施形態では、電力合成器は、n個の電力増幅器およびn個のインピーダンス整合回路ブランチのためのn個の入力を含む。実施形態において、インピーダンス整合回路ブランチの各入力は、特性インピーダンスZ0を有し、出力はn*Z0の特性インピーダンスを有する。
【0018】
実施形態において、各インピーダンス整合回路ブランチは、交互に配置された複数のハイパスフィルタセクションと複数のローパスフィルタセクションとを含む。
【0019】
実施形態において、特性インピーダンスZ0は50オームである。
【0020】
前述の実施形態は、別々かつ独立に、いかなるようにも組み合わせることができる。
【0021】
別の態様では、生成器が提供される。生成器は、複数の電力増幅器と電力合成器を含む。電力合成器は、複数の入力を含み、各入力は、それぞれの電力信号を受信するために、複数の電力増幅器のそれぞれに接続可能である。複数のインピーダンス整合回路ブランチは、複数の入力のそれぞれに接続される。各インピーダンス整合回路ブランチは、それぞれの電力信号が通過する少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとを含む。インピーダンス整合回路ブランチは、各電力増幅器からの電力信号を合成するように接続される。電力合成器は、合成された電力信号を出力するための出力を含む。
【0022】
前述の態様および実施形態で説明された電力合成器の特徴は、生成器の態様に適用可能である。
【0023】
実施形態では、少なくとも1つのハイパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含み、少なくとも1つのローパスフィルタセクションは、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含む。
【0024】
実施形態では、電力合成器は、インピーダンス整合回路ブランチのそれぞれを接続する平衡回路を含む。実施形態では、平衡回路は、複数の入力間を分離する。実施形態では、平衡回路は、タップ点でインピーダンス整合回路ブランチのそれぞれに接続された複数の平衡回路ブランチを含む。実施形態において、各タップ点は、それぞれのインピーダンス整合回路ブランチの少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとの間に位置する。実施形態では、各平衡回路ブランチは、少なくとも1つの抵抗器と少なくとも1つのキャパシタとを含む。
【0025】
実施形態において、生成器は、合成された電力信号として負荷に高周波電力を供給するためのものである。
【0026】
実施形態において、生成器は、各電力増幅器に並列に供給するために、入力交流(AC)電力信号を出力DC電力信号に変換する直流(DC)電源を含む。
【0027】
実施形態では、生成器は、電力増幅器からの各電力信号の波形を制御するために、各電力増幅器に信号を出力するように構成されたコントローラを含む。
【0028】
実施形態では、検知回路は、合成電力信号の少なくとも1つの特性を検知するように構成される。検知回路は、少なくとも1つの検知信号をコントローラに提供するように構成される。コントローラは、少なくとも1つの検知信号に基づいて制御信号を決定するように構成される。
【0029】
別の態様において、生成器に接続されたツールを含むシステムが提供される。ツールは、合成出力電力を受け取るように接続される。実施形態では、ツールはプラズマツールである。
【0030】
実施形態では、システムはプラズマ処理システムであり、ツールはプラズマチャンバを含む。別の態様では、プリント回路基板が提供される。実施形態では、プリント回路基板は、絶縁基板と、絶縁基板上に配置された複数の入力端子と、絶縁基板上に配置され、それぞれ各入力端子から受信した入力電力信号をフィルタする少なくとも1つのハイパスフィルタセクションと少なくとも1つのローパスフィルタセクションとを含む複数のインピーダンス整合回路ブランチと、絶縁基板上に配置され、合成およびフィルタされた電力信号を出力するように構成された複数の出力端子と、を含む。実施形態では、プリント回路基板は、各インピーダンス整合回路ブランチを接続し、入力端子を相互に分離する平衡回路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、以下の図面と併せて以下に説明され、同様の数字は同様の要素を示す。
【0032】
【
図1】
図1は、様々な実施形態による、電力合成器を含む従来技術の生成器のブロック図である。
【
図2】
図2は、様々な実施形態による、電力合成器の回路図である。
【
図3】
図3は、様々な実施形態による別の電力合成器の回路図である。
【
図4】
図4は、様々な実施形態による別の電力合成器の回路図である。
【
図5】
図5は、様々な実施形態による、プリント回路基板上に含まれるインピーダンス整合回路ブランチである。
【
図6】
図6は、例示的な一実施形態による、電力合成器の1つの入力における反射係数の帯域幅を示すグラフである。
【
図7】
図7(a)~7(c)は、様々な実施形態による、伝送線を有する集中回路要素の代替物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明または本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景または以下の詳細な説明で提示された、いかなる理論に拘束される意図もない。
【0034】
図1は、様々な実施形態による生成器10、特にRF生成器10のブロック図である。これまで説明してきたように、生成器10は、AC入力12、DC電力を供給するためのAC-DCコンバータ14、および電力増幅モジュール18を含む。コントローラ22は、所望のRF電力信号を提供するために、電力増幅モジュール18および/またはAC-DCコンバータ14に制御信号を提供するように構成される。電力増幅モジュール18は、AC-DCコンバータ14から供給されたDC電力と、コントローラ22からの制御信号とを受け取り、複数の並列出力電力信号を生成するように構成される。実施形態では、電力増幅モジュール18は、AC-DCコンバータ14からのDC電力を、電力増幅モジュール18の複数の電力増幅器16a~16nのそれぞれに対するそれぞれのDC電力信号に分割するように構成される。
【0035】
様々な実施形態によれば、生成器10は、電力増幅器16a~16nから出力された並列電力信号を合成するように構成された電力合成器20を含む。様々な実施形態において、nは、少なくとも2、3、4、5などの電力増幅器16a~16nを含む電力増幅モジュール18に対応する。実施形態では、各電力増幅器16a~16nは少なくとも1つのトランジスタを含む。電力増幅器16a~16nの様々な形態(topologies)が、実施形態で使用するために利用可能である。例示的な増幅器タイプには、古典的な従来の電力増幅器クラス-クラスA、クラスAB、クラスD、スイッチモード電力増幅器クラス-クラスD、クラスE、および高調波同調クラス(harmonically tuned classes):クラスFおよびクラスFインバースを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、生成器は、電力合成器20からの合成電力出力の少なくとも1つの電気的特性(例えば、電圧および電流)を検知するように構成された検知回路24を含む。コントローラ22は、検知された信号に基づいて制御信号を生成するように構成される。コントローラ22は、所望の出力電力信号を提供するために、電力増幅器16a~16nおよび/またはAC-DCコンバータ14によって使用される制御信号を生成する閉ループまたは開ループ制御スキームを実行するように構成される。コントローラ22は、いくつかの実施形態では、制御信号の生成を指示するために、プロセッサとメモリに格納されたプログラミング命令とを含む。当業者は、コントローラ22のプロセッサが、本明細書に記載の計算および/または命令セットを実行するように適合された任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)を使用することによって置き換えられ得ることを理解するであろう。しかしながら、上記論理プロセッサは、プログラマブルゲートアレイ、デジタルシグナルプロセッサ、およびそれらの組み合わせに限定されない。
【0037】
実施形態において、生成器10は、高周波域、特に1~100MHzの範囲の動作周波数、および少なくとも100Wの出力電力を有する合成電力信号を出力する。
【0038】
様々な実施形態では、生成器10は、ツールに接続するように構成された同軸コネクタなどの出力コネクタを有する。いくつかの実施形態では、ツールはプラズマツールである。生成器10は、半導体の製造(例えば、薄膜の成膜、エッチングおよび加工)、医療機器(例えば、電気外科機器および磁気共鳴画像(MRI)などの医療画像機器、食品包装、工業用表面改質(commercial surface modifications)およびコーティング(coatings)、放送などを含む様々な用途で出力電力信号を提供するのに有用である。
【0039】
図2は、様々な実施形態による第1電力合成器20Aの回路図である。
図2から
図4に関して開示された電力合成器は、
図1の生成器10における電力合成器20として有用である。電力合成器20Aは、電力増幅器16a~16nの1つから出力される電力信号を受信するように接続された入力38a~38nをそれぞれ有する複数のインピーダンス整合回路ブランチ30a~30nを含む。n個のインピーダンス整合回路ブランチ30a~30nは、各電力増幅器16a~16nに対して1つずつある。したがって、インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nは、電力増幅器16a~16nから出力される電力信号を並列に受信する。
【0040】
様々な実施形態において、各インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nは、ハイパスフィルタ34a~34n(またはハイパスフィルタセクション)およびローパスフィルタ36a~36n(またはローパスフィルタセクション)を含む。
図2に示すように、ハイパスフィルタ34a~34nは、ローパスフィルタ36a~36nよりも入力38a~38nの近くに配置されている。他の実施形態では、ローパスフィルタ36a~36nは、ハイパスフィルタ34a~34nよりも入力38a~38nの近くに配置される。
図2の例示的な実施形態では、一組のハイパスフィルタ34a~34nおよびローパスフィルタ36a~36nが各インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nに設けられる。複数のm個のこのようなセットが各インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nに含まれることが想定される。mが大きいほど、回路コンポーネントの数が多くなり、潜在的な損失が大きくなるが、帯域幅をさらに増やすことができる。
【0041】
図2の例示的な実施形態では、各ハイパスフィルタ34a~34nは、少なくとも1つのキャパシタと少なくとも1つのインダクタとを備えている。例示的な実施形態では、1つのキャパシタと1つのインダクタがあり、インダクタはグラウンドに接続されている。各ローパスフィルタ36a~36nは、少なくとも1つのキャパシタと少なくとも1つのインダクタとを含む。例示的な実施形態では、1つのインダクタと1つのキャパシタがあり、キャパシタはグラウンドに接続されている。
図2の例示的な回路図において、ハイパスフィルタ34a~34nおよびローパスフィルタ36a~36nは直列に接続されている。しかしながら、PiおよびTタイプ接続(Pi and T type connections)なども可能である。ハイパスフィルタ34a~34nはCL回路網(CL networks)として記述することができ、ローパスフィルタはLC回路網(LC networks)として記述することができる。他の様々なハイパスフィルタの構成とすることが可能である。同様に、他の様々なローパスフィルタの構成とすることが可能である。集中コンポーネント(lumped components)など、さまざまなキャパシタおよびインダクタコンポーネントを利用できる。
【0042】
さらに、ハイパスフィルタ34a~34nおよびローパスフィルタ36a~36nを設けるために、伝送線路要素を直列伝送線路、オープンスタブおよびショートスタブとして使用して、誘導性および容量性要素を構築することが可能である。そのような置換は、
図2~
図5の回路図のいずれに示される集中容量性コンポーネントおよび/または集中誘導性コンポーネントにも適用可能である。
図7は、集中容量性および集中誘導性素子を、設計特性インピーダンスおよび電気長を有する伝送線でどのように置き換えることができるかの一例示的実施形態を開示する。
図7(a)は、
図2による集中コンポーネントを含むハイパスフィルタ34およびローパスフィルタを有するインピーダンス整合回路ブランチ30aを示す。
図7(b)の例示的な実施形態では、ハイパスフィルタ34は、集中キャパシタとインダクタを提供するショートスタブ伝送線とを有するハイパスフィルタ34a'によって置き換えられる。さらに、ローパスフィルタ36は、インダクタおよびシャントされた集中キャパシタ(shunted lumped capacitor)を提供するための伝送線を有するローパスフィルタ36a'によって置き換えられる。
図7(c)に示す別の変形例では、ローパスフィルタ36a''は、キャパシタを提供するためのオープンスタブ伝送線と、インダクタを提供するための伝送線とを含む。
図7(b)および7(c)の伝送線路は、
図7(a)に示される集中コンポーネントと同等の所望のキャパシタンスまたはインダクタンスを提供するための特性インピーダンスおよび電気長を有する。各インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nは、
図7(b)および
図7(c)に示される、対応する伝送線の実装によって置換される1つ以上の集中キャパシタまたは集中インダクタを有することができる。
【0043】
ハイパスフィルタ34a~34nおよびローパスフィルタ36a~36nのキャパシタンス値およびインダクタンス値は、例えば、所望のインピーダンス整合を達成するためのスミスチャート入力パラメータを使用して導出することができる。特定の例では、入力パラメータには、共通負荷の負荷インピーダンス(たとえば、50オーム、ほぼZ0に等しい)、アンプのZ0(ほぼZ0 50オーム)、アンプの数n、計算可能なインピーダンス変換(たとえば、50オームから1000オーム)、周波数(たとえば13.56MHz)、セクションの数(ハイパス、ローパス)、たとえばm=2(1つのローパスフィルタと1つのハイパスフィルタ)、ネットワークトポロジCLLCまたはLCCL、または伝送(マイクロストリップ)線を含む。
【0044】
実施形態では、第1インピーダンス整合回路20Aは、第1インピーダンス整合回路20Aの入力38aから38nの間を分離するための第1平衡回路28Aを備える。第1平衡回路20Aは、複数の平衡回路ブランチ32a~32nを含む。平衡回路ブランチ32a~32nは、タップ点41a~41nでインピーダンス整合回路ブランチ30a~30nに接続されている。様々な実施形態では、各インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nに1つずつ、n個のタップ点41a~41nがある。開示された例示的な実施形態では、インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nごとに1つずつ、n個の平衡回路ブランチ32a~32nがある。実施形態では、各平衡回路ブランチ32a~32nは互いに接続されている。
図2の例示的な実施形態では、平衡回路28Aは、すべての平衡回路ブランチ32a~32nが一緒に接続される共通平衡点(common balancing point)44を含む。異なる位相ブランチを接続するこのような方法は、Y結線またはスター結線として説明することができる。平衡回路28Aは、ハイパスフィルタ34a~34nとローパスフィルタ36a~36nとの間にタップ点41a~41nを設けることにより、電力合成器26Aの入力間の寄生ディファレンシャルモード(parasitic differential mode)が整合するように設計されている。
【0045】
様々な実施形態において、各平衡回路ブランチ32aから32nは、直列に接続された少なくとも1つの抵抗器および少なくとも1つのキャパシタを含む。
図2の例示的な実施形態では、直列に接続されたキャパシタと抵抗器に対して並列に別のキャパシタが接続されている。インピーダンス整合回路ブランチ32a~32nには、様々な他の構成が可能である。例えば、並列に接続された第2キャパシタは、
図5に関して以下で説明されるように必ずしも含まれない。キャパシタと抵抗器は、既知の種類のもの(集中コンポーネントなど)にすることができる。しかし、
図7(a)~
図7(c)に関して説明した対応する伝送線(マイクロストリップ技術)を含む、絶縁平衡回路ブランチ32a~32nを形成する、抵抗性および容量性素子を提供する他の形態も可能である。
【0046】
図3は、さらなる例示的な実施形態による、第2タイプのインピーダンス整合ブランチおよび第2平衡回路28Bを含む第2電力合成器20Bの回路図である。第2電力合成器20Bは、nの特定の構成(電力増幅器16a、16bの数および対応するインピーダンス整合回路ブランチ30a、30bの数)が2であることを除く多くの点で、
図2の第1電力合成器20Aと同じである。さらに、
図3の例示的な実施形態では、第2インピーダンス整合回路20Bの出力40に最も近いハイパスフィルタまたはローパスフィルタの電気部品42は、各インピーダンス整合回路ブランチ30a、30bの間の共有部品である。共有電気部品42は、本構成ではキャパシタC7であるが、ハイパスフィルタ34a、34bとローパスフィルタ36a、36bが異なる順序で配置された場合、共有インダクタであってもよい。
【0047】
図3の回路部品の様々な抵抗、キャパシタンス、およびインダクタンスの例示的な値が、並列の電力信号入力端子T1、T2および合成電力信号出力端子T3での周波数13.56MHzおよび特性インピーダンスZ
0が50オームの合成出力電力について、単なる実例として、以下の表に提供される。これらの値は、既述の回路構造、特性インピーダンス、所望の中心周波数、および所望の帯域幅(>±5%)を入力として使用する利用可能な回路設計ソフトウェアツールを使用して決定できる。
【0048】
図4は、さらに別の例示的な実施形態による、第3平衡回路28Cを含む第3電力合成器20Cの回路図である。第3電力合成器20Cは、nの特定の構成(電力増幅器16a、16b、16cの数および対応するインピーダンス整合回路ブランチ30a、30b、30cの数)が3であることを除く多くの点で、
図2の第1電力合成器20Aと同じである。第3平衡回路28Cは、第1平衡回路28Aとデルタ構成で提供される点でさらに異なる。すなわち、第1平衡回路ブランチ32aは、それぞれのタップ点41a、41bを介して第1インピーダンス整合回路ブランチ30aと第2インピーダンス整合回路ブランチ30bとの間に接続される。第2平衡回路ブランチ32bは、それぞれのタップ点41b、41cを介して第2インピーダンス整合回路ブランチ30bと第3インピーダンス整合回路ブランチ30cとの間に接続される。第3平衡回路ブランチ32cは、それぞれのタップ点41c、41dを介して第1インピーダンス整合回路ブランチ30aと第3のインピーダンス整合回路ブランチ30cとの間に接続される。このように、インピーダンス整合回路ブランチ30a、30b、30cの各異なる対は、それぞれのタップ点41a、41b、41c、41dを介して接続された平衡回路ブランチ32a、32b、32cを有する。平衡回路ブランチ32a、32b、32cは、第1平衡回路28Aに関して前述したように、キャパシタと抵抗で構成される。
【0049】
図4に示すn=3の電力合成器は、
図2に示されるスター型平衡回路28Aで動作可能である。同様に、
図4のデルタ構成タイプの平衡回路28Cは、n>3の電力合成器で動作可能である。
【0050】
図5は、別の例示的な実施形態による、第3タイプのインピーダンス整合回路ブランチを含むプリント回路基板74である。インピーダンス整合ブランチ30は、
図2および
図3のインピーダンス整合ブランチと同様である。実際、
図5の形態は、
図2および
図3のインピーダンス整合回路ブランチ30a、30bを構成するのに適している。
図5において、インピーダンス整合回路ブランチ30は、順に、前述の入力38a~38nの1つに対応する入力端子38、第1キャパシタ48、第1インダクタ50、第2インダクタ52、第2キャパシタ54、および前述の出力40に対応する出力端子58を含む。第1キャパシタ48および第1インダクタ50は、前述のハイパスフィルタ34a~34nのいずれかを提供する。第2インダクタ52および第2キャパシタ54は、前述のローパスフィルタ36a~36nのいずれかに対応する。
【0051】
様々な実施形態において、第1インダクタ50および第2インダクタ52は、平面インダクタとして提供される。いくつかの例では、第1キャパシタ48および第2キャパシタ54は、集中キャパシタとして提供される。実施形態では、第1キャパシタ48および第2キャパシタ54は、セラミック多層キャパシタである。実施形態では、第1インダクタ50は、第2インダクタ52よりも大きなインダクタンス(例えば、より大きな巻数)を有し、それにより、ハイパスフィルタ34は、ローパスフィルタ36よりも大きなインダクタンスを有する。実施形態では、第1キャパシタ48は、第2キャパシタ54よりも大きなキャパシタンスを有し、それにより、ローパスフィルタ36は、ハイパスフィルタ34よりも小さなキャパシタンスを有する。
【0052】
プリント回路基板74は、いくつかの実施形態では、第2平衡回路28Bを含む。第2平衡回路28Bは、並列に接続された追加のキャパシタが設けられていないことを除いて、前述の第1の平衡回路28Aと同様である(いくつかの実施形態ではこれと置き換えることができる)。第2平衡回路28Bは、直列に接続された第3キャパシタ62および第1抵抗器64を含む。第2平衡回路28Bは、タップ点41でインピーダンス整合回路ブランチ30に接続される。タップ点41は、第1キャパシタと第1インダクタ50との間の接続部に位置しており、電気的には、タップ点41は、ハイパスフィルタ34とローパスフィルタ36との間に置かれる。第2平衡回路28Bは、第3キャパシタ62および第1抵抗器64と直列に接続された共通平衡端子46を含む。
【0053】
プリント回路基板74は、第1インダクタ50および第2キャパシタ54が接続されるグラウンド端子56を含む。 入力端子38、出力端子58、グラウンド端子56、および共通平衡端子46は、様々な実施形態において、ピン、プレート、および他の形態として提供される。
【0054】
図5の例示的な実施形態では、プリント回路基板74は、インピーダンス整合回路ブランチ30が配置される絶縁基板66を含む。いくつかの実施形態では、絶縁基板66は、グラウンド/ヒートシンク(図示せず)上に配置され、散逸エネルギーをヒートシンクに伝達するように構成される。
【0055】
例示的な実施形態では、入力端子38は電力増幅器16aに接続可能であり、出力端子58は生成器10の出力ポートに接続される。複数のn個の電力増幅器16a~16nからの並列電力信号を合成するために、電力合成器は、
図5に示される構成に従って、n個のインピーダンス整合回路ブランチ30a~30nを含むように構成される。インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nは、いくつかの実施形態では、共通の絶縁基板66上に配置され、他の実施形態では、それぞれの絶縁基板66上に配置される。インピーダンス整合回路ブランチ30a~30nは、いくつかの実施形態では、絶縁基板66の平面に沿って互いに隣接して配置され、他の実施形態では、互いに対して重ねて配置される。電力増幅器16a~16nは、それぞれの入力端子38aに接続され、共通平衡端子46は、共通平衡点44を提供するように、それぞれ別の共通平衡端子46に接続される。出力端子58は互いに接続されるとともに共通出力に接続され、これにより、出力コネクタ40に合成出力電力信号を提供する。開示されたプリント回路基板が前述の回路のそれぞれを含むことができることは、当業者には自明である。
【0056】
図6(a)は、
図3の電力合成器の入力から出力への伝送を示すグラフであり、
図6(b)は、
図3の電力合成器の入力38a、38bの1つでの反射係数を示している。
図6(a)および
図6(b)のグラフは、13.56MHzまでの電力合成器のSパラメータ(S-Parameter)に基づいて生成されている。図示の実施形態では、電力合成器20Bの±5%の帯域幅が達成される。帯域幅は、反射係数が-30dB未満であり、伝送変動が0.05dB未満を有するものとして定義される。本発明の前述の詳細な説明では、少なくとも1つの例示的な態様が提示されたが、多くの変形例が存在することを理解されたい。また、1つまたは複数の例示的な態様は例示に過ぎず、本発明の範囲、適用可能性、または構成を何ら限定することを意図するものではないことも理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な態様を実施するための便利なロードマップを当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な態様で説明される要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることを理解されたい。