(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】建築物の施工管理方法及び施工管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240117BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20240117BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20240117BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06F30/13
G06F30/10
(21)【出願番号】P 2019221244
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲矢
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-249804(JP,A)
【文献】特開2002-187533(JP,A)
【文献】特開2003-162665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 30/13
G06F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される建築物の施工管理方法であって、
前記建築物に関する建築物情報及び当該建築物を構成する建築空間に関する建築空間情報を含む当該建築物の設計図書情報を、当該建築物を特定する建築物識別番号情報及び当該建築空間を特定する建築空間識別番号情報に関連付けて記憶し、
前記建築空間情報の更新に伴い前記建築空間識別番号情報に関連付けて前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする建築物の施工管理方法。
【請求項2】
前記建築空間の工事又は当該工事に伴う工程の完了後、当該工事又は当該工事に伴う工程の完了又は未完了を判別するために前記建築空間情報のチェック項目を演算して前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の建築物の施工管理方法。
【請求項3】
前記建築空間の工事に伴う工程完了後に当該建築空間の建材の現在地に関する場所情報及び/又は作業員に関する作業員情報並びに当該建材の属性に関する建材情報を取得し、
前記建材毎に前記場所情報及び/又は前記作業員情報と前記工程に関する工程情報とを関連付けて当該工程の出来高情報を演算し、
演算した前記工程の出来高情報に基づいて前記建築空間情報のチェック項目を演算して前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする請求項2に記載の建築物の
施工管理方法。
【請求項4】
前記工程の出来高情報に基づいて演算した前記建築空間の工事の出来高情報を当該工程の出来高情報に関連付けて記憶し、
演算した前記工事の出来高情報に基づいて前記建築空間情報のチェック項目を演算して前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする請求項3に記載の建築物の施工管理方法。
【請求項5】
コンピュータによって実行される建築物の施工管理システムであって、
前記建築物に関する建築物情報及び当該建築物を構成する建築空間に関する建築空間情報を含む当該建築物の設計図書情報を、当該建築物を特定する建築物識別番号情報及び当該建築空間を特定する建築空間識別番号情報に関連付けて記憶する第1記憶手段と、
前記建築空間情報の更新に伴い前記建築空間識別番号情報に関連付けて前記設計図書情報を更新する更新手段と、を備えている
ことを特徴とする建築物の施工管理システム。
【請求項6】
前記建築空間の工事又は当該工事に伴う工程の完了後、当該工事又は当該工事に伴う工程の完了又は未完了を判別するために前記建築空間情報のチェック項目を演算する第1演算手段をさらに備え、
前記更新手段が、前記第1演算手段で演算された前記建築空間情報の更新に伴い前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする請求項5に記載の建築物の施工管理システム。
【請求項7】
前記建築空間の工事に伴う工程完了後に当該建築空間の建材の現在地に関する場所情報及び/又は作業員に関する作業員情報並びに当該建材の属性に関する建材情報を取得する情報取得手段と、
前記建材毎に前記場所情報及び/又は前記作業員情報と前記工程に関する工程情報とを関連付けて当該工程の出来高情報を演算する第2演算手段と、をさらに備え、
前記更新手段が、前記第2演算手段で演算された前記工程の出来高情報に基づいて前記第1演算手段で演算された前記建築空間情報の更新に伴い前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする請求項6に記載の建築物の
施工管理システム。
【請求項8】
前記
第2演算手段が前記工程の出来高情報に基づいて演算した前記建築空間の工事の出来高情報を当該工程の出来高情報に関連付けて記憶する第2記憶手段をさらに備え、
前記更新手段が、演算された前記工事の出来高情報に基づいて前記第1演算手段で演算された前記建築空間情報の更新に伴い前記設計図書情報を更新する
ことを特徴とする
請求項7に記載の建築物の
施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータによって実行される建築物の施工管理方法及び施工管理システムに関し、詳細には、居室等の建築空間を複数有する集合住宅等に伴う複数の設計図書を一元管理し、上記建築空間の各々及び建築物全体の施工を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、あらゆる建築物の施工において、仕様や図面を含む設計図書が関係者の間で共有されていた。例えば、集合住宅を構成する階数の異なる縦列の居室では、共通の基本的な設計内容と居室毎に異なる個別の設計内容とを一つにまとめ、居室毎に設計図書を管理していた。このため、居室の販売時に購入者の要望に応じるために個別の設計内容が変更された場合、変更後の設計図書を再共有する手間がかかっていた。
【0003】
さらに、施工の進捗に対して変更後の設計図書の再共有が遅れてしまうと、変更前後の設計図書が混在する事態が生じていた。すなわち、変更前の設計図書に基づいて施工が進んでしまった場合、工事完了後に変更後の設計図書に基づいて建材の取り換えや再工事等が生じてしまうこともあった。これらは設計図書の更新が手作業で行われていたことも要因と考えられていた。
【0004】
そこで、特許文献1では、設計図書の管理支援システムとして、所定の文字列からなる図書番号によりサーバ上で設計図書を一元的に管理する技術が開示されている。詳細には、001~999までの連番からなる図書番号を各社作成の成果物に付し、これを共有データとしてサーバにアップロードすることで、自社以外の成果物を適時共有することができるものである。図書番号は不変としている。
【0005】
また、設計図書の管理とは別に、集合住宅等の建築物の建設現場では、手書きのチェックシートや星取表等を用いて、担当者が作業の進捗や作業者の工数等の出来高を管理していた。しかしながら、多数の部材や施工業者の出入りが頻繁に生じ、複数の工程を含む複数の工事も所々で行われているため、最新の設計図書と出来高との整合性を正確に把握することのみならず、これらを一元的に管理するのは容易でなかった。
【0006】
そこで、特許文献2では、資材情報がICタグに書き込まれ、建築現場又は建築現場に至る流通の過程で、ICタグから資材情報が読み取られて、資材の確認又は認証が行われる住宅資材発注納入管理方法であり、建築現場に確実に納入されるようにして、建築現場に納入された資材と指定資材との間で、品番違い等の様々な点での不一致を生ずることがなく、現場でのトラブルや工期の遅れをなくすことに関する技術が開示されている。
【0007】
特許文献3では、資材に取り付けられ所定の情報が記録される記憶媒体と、その記憶媒体に記録されている情報を読み取るリーダと、資材の情報を記録する資材データベースと、資材データベースに記録される情報と、リーダにより読み取られる情報との対比判断を行う情報処理部を有する資材・工程管理システムであり、構築物の建設に使用される資材の使用状態を正確に把握することができることに関する技術が開示されている。
【0008】
特許文献4では、品目名、コード、サイズ等の各種情報を記録したラベルを読み取ることにより、仮設配管ユニット等の管理が徹底され、過不足や誤出庫を生じるということがなく、撤去後もラベルを読み取るだけでシステムへ反映されるため、出来高精算も迅速に処理し、仮設配管ユニット等を個別管理できるので、使用回数、使用期間、使用状況等の使用履歴がデータ化されて品質管理がより一層向上することになるという技術が開示されている。
【0009】
特許文献5では、携帯端末機と、サーバと、設計図を表す画像データなどのデータ群をサーバから読み出して受渡ファイルを作成し、作業班の携帯端末機に送信し、携帯端末機に登録された出来高情報を集約して出来高管理を行う出来高管理装置で、画面に、設計図と重なる線分若しくは線分で囲む領域により施工箇所を表示する一方、タッチ操作して登録された出来高情報を出来高管理装置に送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2011-128914号公報
【文献】特開2004-59249号公報
【文献】特開2006-127386号公報
【文献】特開2012-122209号公報
【文献】特開2013-206099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1では、設計図書を含む共有データの内容を更新(上書き)できず、内容を変更するには変更後の共有データに図書番号とは別の改訂データを付与し、上記共有データとは別の共有データとしてアップロードする手間がかかるのみならず、サーバ上には、常時又は随時、変更前後の共有データが複数格納されていることから、共有データの選択を間違えるおそれがある。
【0012】
また、特許文献2~5では、建築物の建設着工前から完了までに渡って、最新の設計図書と共に個々の建材の状況を把握することは困難である。すなわち、公知の従来技術は、仕様の設計から各居室への取り付けまでの間で、個々の建材がいつどこでどうなっているかを容易かつ一元的に管理するものではない。したがって、最新の設計図書との整合性を保ちつつ、工事毎の複数の工程のみならず、複数の工事の出来高を建材の状況に基づいて管理することはできない。
【0013】
建築物の出来高を含む施工を管理する手法は多数開示されているものの、構成が複雑なため、現実的には実施しにくく、効果も期待しがたい。その点に鑑みれば、設計図書や建材の現在地を時間と共に正確に把握することで、設計から建築空間への取り付けに至るまでの工程や工事の進捗のみならず、作業員の工数も自動的に管理することができるうえに、リフォーム等に伴う建材の交換の有無も管理することができるようになる。
【0014】
一方、建材は多種多様であり、かつ順不同に流通するため、建築物の出来高を管理するために必要な建材に関する情報の取り扱いを工夫すべきである。すなわち、少なくとも建材の現在地に関する情報を適時かつ容易に取得し、一元的に保管し、参照することができれば、建築物の出来高管理のために手間のかかる作業や属人的な判断が不要となるため、管理効率の向上も期待できる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、建築物を構成する空間毎に存在する複数の設計図書を常時最新かつ参照可能な状態に一元管理することができる建築物の施工管理方法及び施工管理システムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の別の目的は、建築物の建設着工前から完了までに渡って適時かつ容易に取得した建材の現在地に関する情報及び/又は作業員に関する情報に基づいて複数の工程や工事における作業の進捗や作業員の工数を最新の設計図書との整合性を保って把握すると共に、建築物の完了後に生じるリフォーム等での建材交換時にも活用できる建築物の施工管理方法及び施工管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、コンピュータによって実行される建築物の施工管理方法であって、上記建築物に関する建築物情報及び上記建築物を構成する建築空間に関する建築空間情報を含む上記建築物の設計図書情報を、上記建築物を特定する建築物識別番号情報及び上記建築空間を特定する建築空間識別番号情報に関連付けて記憶し、上記建築空間情報の更新に伴い上記建築空間識別番号情報に関連付けて上記設計図書情報を更新することを特徴とする。
【0018】
また、上記建築空間の工事又は上記工事に伴う工程の完了後、上記工事又は上記工事に伴う工程の完了又は未完了を判別するために上記建築空間情報のチェック項目を演算して上記設計図書情報を更新することが望ましい。
【0019】
また、上記建築空間の工事に伴う工程完了後に上記建築空間の建材の現在地に関する場所情報及び/又は作業員に関する作業員情報並びに上記建材の属性に関する建材情報を取得し、上記建材毎に上記場所情報及び/又は上記作業員情報と上記工程に関する工程情報とを関連付けて上記工程の出来高情報を演算し、演算した上記工程の出来高情報に基づいて上記建築空間情報のチェック項目を演算して上記設計図書情報を更新することが望ましい。
【0020】
また、上記工程の出来高情報に基づいて演算した上記建築空間の工事の出来高情報を上記工程の出来高情報に関連付けて記憶し、演算した上記工事の出来高情報に基づいて上記建築空間情報のチェック項目を演算して上記設計図書情報を更新することが望ましい。
【0021】
さらに、本発明は、コンピュータによって実行される建築物の施工管理システムであって、上記建築物に関する建築物情報及び上記建築物を構成する建築空間に関する建築空間情報を含む上記建築物の設計図書情報を、上記建築物を特定する建築物識別番号情報及び上記建築空間を特定する建築空間識別番号情報に関連付けて記憶する第1記憶手段と、上記建築空間情報の更新に伴い上記建築空間識別番号情報に関連付けて上記設計図書情報を更新する更新手段と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
また、上記建築空間の工事又は上記工事に伴う工程の完了後、上記工事又は上記工事に伴う工程の完了又は未完了を判別するために上記建築空間情報のチェック項目を演算する第1演算手段をさらに備え、上記更新手段が、上記第1演算手段で演算された上記建築空間情報の更新に伴い上記設計図書情報を更新することが望ましい。
【0023】
また、上記建築空間の工事に伴う工程完了後に上記建築空間の建材の現在地に関する場所情報及び/又は作業員に関する作業員情報並びに上記建材の属性に関する建材情報を取得する情報取得手段と、上記建材毎に上記場所情報及び/又は上記作業員情報と上記工程に関する工程情報とを関連付けて上記工程の出来高情報を演算する第2演算手段と、をさらに備え、上記更新手段が、上記第2演算手段で演算された上記工程の出来高情報に基づいて上記第1演算手段で演算された上記建築空間情報の更新に伴い上記設計図書情報を更新することが望ましい。
【0024】
上記第2演算手段が上記工程の出来高情報に基づいて演算した上記建築空間の工事の出来高情報を上記工程の出来高情報に関連付けて記憶する第2記憶手段をさらに備え、上記更新手段が、演算された上記工事の出来高情報に基づいて上記第1演算手段で演算された上記建築空間情報の更新に伴い上記設計図書情報を更新することが望ましい。
【0025】
以下に、本発明を構成する各要件の定義、意味、又は具体例を示す。
【0026】
「設計図書」とは、例えば建築物・建築空間毎の工事に関する内容、建築空間毎の工事に伴う工程に関する内容、図面、その他取捨選択された建築物・建築空間の施工に必要な内容を記すものである。「設計図書情報」とは、上記設計図書に関する電子データが該当する。
【0027】
「建築物」とは、例えば集合住宅,商業施設が該当し、複数の建築空間で構成される建築物であればいずれでもよい。「建築物情報」とは、上記設計図書情報に含まれ、例えば上記建築物に関わる管理会社・各施工会社,住所,部屋数・施工着手年月日,完成予定年月日,建築に関する仕様・図面,その他上記建築物を特定する情報に関する電子データが該当する。「建築物識別番号情報」とは、上記建築物情報と紐づいて上記建築物を特定するもので、例えば所定の桁数の文字列やRFID(Radio Frequency Identifier)・バーコード・QRコード(登録商標)に変換された無線で読み取り可能なものも該当する。
【0028】
「建築空間」とは、例えば住戸,管理人室,エントランス,屋上,共用廊下,エレベータ,階段,その他部屋番号が付与される前後の居室や共用部,同一の階層にある全部又は一部の居室や共用部の集合体等で、上記建築物を構成するための空間が該当する。「建築空間情報」とは、上記設計図書情報に含まれ、例えば上記建築空間に関わる管理会社や施工業者,階数,間取り・内装・広さ・建材・部屋番号を含む居室の仕様,デザイン・広さ・建材等を含む共用部の仕様,各種図面に関する電子データが該当する。居室に関する建築空間情報は、メニュー形式で適宜選択,変更,更新されるものでもよい。「建築空間識別番号情報」とは、上記建築空間情報と紐づいて上記建築空間を特定するもので、例えば所定の桁数の文字列やRFID(Radio Frequency Identifier)・バーコード・QRコード(登録商標)に変換された無線で読み取り可能なものも該当する。
【0029】
「建築空間情報のチェック項目」とは、上記建築空間の工事又は工事に伴う工程の完了・未完了等の進捗を示すもので、例えば上記建築空間情報の各々に関連付いたチェック欄が該当し、建築空間の出来高情報としてもよい。「建築空間の工事」とは、例えば外装工事,ガラス工事,設備工事,内装仕上工事が該当し、複数の建材で構成される建築空間の構築やリフォームに採用される一般的な工事であればいずれでもよい。「工事情報」とは、上記工事に関する電子データが該当する。「建築空間の工事に伴う工程」とは、例えば上記建材の設計,製造,出荷,納品,仮置き場設置,間配り,取り付けが該当し、上記工事に採用される一般的な工程であればいずれもよい。「工程情報」とは、上記工程に関する電子データが該当する。
【0030】
「建材」とは、例えばドア,便器,洗面台,サッシ,窓,棚,壁,タイル,各種配線や配管が該当し、建築空間の構築やリフォームに採用される一般的な建材であればいずれでもよい。「建材情報」とは、例えばタグコード,出荷や納品等の上記工事又は上記工程に関する予定日,建築空間の階層,建築空間の部屋番号,品名,製品コード,1ロットあたりの個数,直近に完了した上記工事又は上記工程,上記工事又は上記工程の完了年月日時、供給先である建物名に関する電子データが該当し、上記工事や上記工程の作業進捗や作業工数の管理のために用いる一般的な建材の属性に関する情報であればいずれもよい。
【0031】
「建材の現在地」とは、例えば製造工場内の搬送用エレベータ前や出荷場,配送車の車種や車両番号,建設中の建築物の敷地内・建築空間内・建築空間内かつ建材の取り付け場所又はその近辺が該当し、上記工程完了時に認識できる拠点であればいずれでもよい。「場所情報」とは、上記現在地に関する電子データが該当する。「作業員」とは、例えば上記建材の現在地にいて上記工事や上記工程に関する実働や管理を行うヒトやロボットが該当し、上記場所情報,上記建材情報,上記作業員情報の取得を実行可能な手段であればいずれでもよい。「作業員情報」とは、上記作業員に関する電子データが該当し、上記場所情報を含んでいてもよい。
【0032】
「工程の出来高情報」とは、例えば上記工程情報の各々に紐付く上記建材情報(例えば、上記工程の各々の完了年月日時)並びに上記場所情報及び/又は上記作業員情報が該当し、上記工程の各々の完了又は未完了を示す情報であればいずれでもよい。「工事の出来高情報」とは、例えば上記工事情報毎の各々に紐付く上記工程の出来高情報の各々が該当し、上記工事の各々の完了又は未完了を示す情報であればいずれでもよい。「建築物の出来高情報」とは、例えば順調・遅延等の建築の進度を把握する指標が該当し、上記建築物の状況を示す情報であればいずれでもよい。「工事の出来高情報」「工程の出来高情報」、及び「建築物の出来高情報」の「可視化」とは、例えば表化,グラフ化,図化,地図化,各種情報間の呼び出し機能に応じた表示(コンピュータ上のウィンドウの立上げやポップアップ等)が該当する。
【0033】
「施工管理システム」とは、少なくとも2つ以上のコンピュータ同士がネットワークを介して接続して電子データの送受信を行う集合体が該当する。コンピュータとは、例えばサーバ装置,パーソナルコンピュータ,タブレット端末,スマートフォン,ハンディ端末,マイクロプロセッサ,電動式据え置き型ゲートが該当し、電子データの取得,記録,送受信等を行う装置であればいずれでもよい。「情報取得手段」とは、例えばRFID(Radio Frequency Identifier),バーコード,QRコード(登録商標)を無線で読み取って所定の電子データを取得したり他のコンピュータに送信したりするハンディ端末や電動式据え置き型ゲートが該当し、所定の媒体に暗号化された情報の読取及び送信を行う携帯式のコンピュータであればいずれも該当する。「演算手段」及び「表示制御手段」とは、例えばコンピュータに内蔵してある所定のプログラムを搭載したマイクロプロセッサが該当し、所定のコンピュータに接続している別のコンピュータでもよい。「記憶手段」とは、例えばコンピュータに内蔵又は外付けしてあるメモリ機能を搭載した媒体が該当し、所定のコンピュータに接続している別のコンピュータでもよく、「第1記憶手段」及び「第2記憶手段」は同等の媒体内で記憶領域をそれぞれ区画したものでも異なる媒体でもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、建築空間毎に存在する複数の設計図書を常時最新かつ適時参照可能な状態に一元管理することができる。すなわち、建築物の建設着工前から完了までに渡って随時更新され、かつ常時共有される最新の設計図書情報に基づいて建築空間を含む建築物の施工を管理することができるため、建材の搬入や取り付けに関するミスを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態における建築物の施工管理システムの構成を概念的に示す図である。
【
図2】上記施工管理システムによる施工管理の流れの一例を示す図である。
【
図3】上記施工管理システムによる施工管理の流れの一例を示す図である。
【
図4a】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図4b】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図4c】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図5a】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図5b】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図6】上記施工管理システムによる施工管理の流れの一例を示す図である。
【
図7a】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図7b】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図7c】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【
図7d】上記施工管理の流れで登場する一手段による画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、
図1~
図7cを参照しつつ、本発明の一実施形態における建築物の施工管理システム(以下、「本施工管理システム」ともいう。)について説明する。
なお、これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線を破線や想像線(二点鎖線)で示した部分もある。
【0037】
本施工管理システムは、単数又は複数の建築物に関する事業会社の研究,開発,設計,製造,物流等に関する拠点、並びに、建築物の建築現場の敷地内、建築物内、及び各建築空間内に備わるコンピュータから通信ネットワークを介して接続し、設計図書に関連付けて管理するものである。
【0038】
まず、
図1を参照しつつ、本施工管理システムを構成する各部について説明する。
本施工管理システムは、サーバ装置1と、サーバ装置1と通信ネットワークNを介して接続している複数のハンディ端末2とを備えている。ハンディ端末2の代わりに、又はハンディ端末2と共に、図示しない電動式据え置き型ゲートを備えていてもよい。
なお、サーバ装置1やハンディ端末2は、一般的なコンピュータでもよい。コンピュータに搭載されたCPU(Central Processing Unit)は、ROM(Read Only Memory)にロードされたプログラム,ソフトウェア,アプリケーションに従って各種処理を実行してもよい。RAM(Random Access Memory)には、CPUが各種処理を実行する上で必要な電子データが適宜記憶されていてもよい。CPU・ROM・RAMは、バスを介して相互に接続されていてもよい。バスには、入出力インターフェースが接続されていてもよい。入出力インターフェースには、入力機器(例えば、キーボード,マウス,タッチパネル,音声認識ソフト又は音声認識ソフトを搭載した機器)、出力機器(例えば、画面,スピーカー)、記憶機器(例えば、ハードディスクドライブ,フラッシュメモリ)、通信機器が接続されていてもよい。入出力インターフェースには、メディアドライブが接続されていてもよく、リムーバブルメディア(例えば、磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク,半導体メモリ)が適宜装着され、所定の電子データの書き込みや読み出しが行われてもよい。コンピュータ間では、通信機器を介して電子データ,プログラム,ソフトウェア,アプリケーションのアップロードやダウンロードが行われたり、リムーバブルメディアを介してこれらの受け渡しが行われたりしてもよい。通信ネットワークNは、例えば、インターネット,イントラネット,エキストラネット,LAN,CATV通信網,VPN,電話回線,移動体通信網,衛星通信網でもよい。通信ネットワークNの全部又は一部を構成する伝送媒体は、有線(例えば、IEEE1394,USB,電力線搬送,電話線)や無線(例えば、IrDA,ブルートゥース(登録商標),802.11無線,携帯電話網,衛星回線,地上波デジタル網)でも利用可能である。
【0039】
サーバ装置1は、入力された所定の情報を所定の命令に従って演算する演算手段11と、演算手段11が出力した情報を可視化する表示制御手段12と、所定の情報を記憶する記憶手段13、内容が変更された所定の情報を更新(上書き)する更新手段14とを備えている。
【0040】
演算手段11は、建築空間の工事又は工事に伴う工程の完了後に、工事又は工事に伴う工程の完了又は未完了を判別するための建築空間情報のチェック項目を演算する。具体的には、演算手段11は、建築空間識別番号情報に関連付けて記憶手段13から記憶済みの設計図書情報を呼び出し、設計図書情報に含まれる建築空間情報に関する工事又は工事に伴う工程が完了している場合、完了している工事又は工事に伴う工程に関連する建築空間情報のチェック欄にチェックする演算をする。
なお、演算手段11は、所定のアプリケーションを介して記憶手段13から設計図書情報を呼び出してもよく、建築空間情報のチェック欄は上記アプリケーションの機能であってもよい。
【0041】
演算手段11は、建築物の建材毎に、建材の現在地に関する場所情報及び/又は作業員に関する作業員情報と建築空間の工事に伴う工程に関する工程情報とを関連付けて工程の出来高情報を演算し、かつ、別の場所情報及び/又は作業員情報と別の工程情報とを関連付けて別の工程の出来高情報を順不同で演算する。換言すれば、演算手段11は、複数の建材毎に建材の場所情報及び/又は作業員情報と工程情報とを関連付けて工程の出来高情報を複数かつ適時演算する。
【0042】
演算手段11は、ハンディ端末2から送られてきた場所情報及び/又は作業員情報並びに建材情報が工程の出来高情報の演算に適しているか否かを、記憶手段13に記憶済みの場所情報、作業員情報、建材情報、及び/又は工程の出来高情報に基づいて判断する。判断の基準は、例えば、送られてきた場所情報及び/又は建材情報が現時点の工程の出来高情報を演算するのに適した順番又は状況(ステータス)か否か、送られてきた場所情報及び/又は建材情報が記憶部13に記憶済みであるか否かである。
【0043】
演算手段11は、演算した工程の出来高情報に基づいて建築空間の工事の出来高情報を演算して上記工程の出来高情報に関連付けて記憶手段13に記憶し、上記工事の出来高情報に基づいて建築物の出来高情報を演算して建築物情報と関連付けて記憶手段13に記憶する。
なお、演算手段11は、工程の出来高情報に基づいて作業員毎に作業員の出来高情報を演算してもよい。
【0044】
表示制御手段12は、記憶手段13に記憶されている設計図書情報、上記設計図書情報を更新手段14が更新した設計図書情報、演算手段11が演算して更新手段14が更新した設計図書情報を可視化する。換言すれば、表示制御手段12は、記憶部13から呼び出された、又は更新された最新の設計図書情報を、適宜可視化する。
【0045】
表示制御手段12は、工程の出来高情報を時系列で可視化すると共に、別の出来高情報と別々に時系列で可視化し、さらに、工事の出来高情報を可視化し、かつ記憶手段13に記憶された工事の出来高情報から工程の出来高情報を呼び出して可視化し、さらに、単数又は複数の建築物の出来高情報を可視化する。換言すれば、表示制御手段12は、複数の工程の出来高情報を時系列で可視化し、複数の工事の出来高情報の各々から複数の工程の出来高情報や建築物の出来高情報を呼び出して可視化する。
なお、表示制御手段12は、例えば表化、グラフ化、図化、地図化して各情報を可視化すると共に、コンピュータ上のウィンドウの立上げやポップアップ等で各情報を可視化してもよい。
【0046】
記憶手段13は、設計図書情報、建築物情報、建築空間情報、建築物識別番号情報、建築空間識別番号情報、場所情報、作業員情報、建材情報、工事情報、工程情報、工事の出来高情報、及び工程の出来高情報を記憶すると共に、建築物識別番号情報及び建築空間識別番号情報に関連付けて設計図書情報を記憶し、建築空間情報のチェック項目にチェックされた更新後の設計図書情報を記憶する。
【0047】
記憶手段13は、工程完了後に場所情報及び建材情報をハンディ端末2から受け取って記憶し、別の工事に伴う工程完了後に場所情報及び建材情報と別の場所情報及び建材情報を順不同でハンディ端末2から取得して記憶し、工程の出来高情報に基づいて演算された建築空間の工事の出来高情報を工程の出来高情報に関連付けて記憶し、工事の出来高情報に基づいて演算した建築物の出来高情報を建築物情報と関連付けて記憶する。
【0048】
更新手段14は、設計図書情報に含まれる建築物情報及び/又は建築空間情報の内容が変更された場合、建築空間識別番号情報に関連付けて設計図書情報を更新する。換言すれば、変更の前後において、設計図書情報には同等かつ固有の建築空間識別番号情報が付与される。
なお、更新手段14は、所定のアプリケーションとして機能する表示制御手段13を介して設計図書情報を更新してもよい。
【0049】
ハンディ端末2は、バーコードやタグに付されたRFIDから所定の情報を読み取る読取手段21と、読取手段21が読み取った情報をサーバ装置1に提供する情報処理手段22とを備えている。
【0050】
読取手段21は、建築空間に付与された紙面等に出力された建築空間識別番号情報を取得し、また、各拠点に固定された場所情報及び/又は各作業員に付与された作業員情報を有するRFIDタグと、一ヶ所に集中又は各箇所に分散している建材に付された建材情報を有するRFIDタグとを近距離又は遠距離から読み取って場所情報及び/又は作業員情報と建材情報とを取得し、情報処理手段22に提供する。
【0051】
情報処理手段22は、読取手段21が取得した建築空間識別番号情報を、演算手段11により建築空間識別番号情報に関連付く設計図書情報を呼び出すために、サーバ装置1に送信する。
なお、情報処理手段22は、演算手段11と同等の機能のアプリケーションを備え、読取手段21が取得した建築空間識別番号情報に関連付く設計図書情報を記憶手段13から呼び出してハンディ端末2に表示してもよい。
【0052】
情報処理手段22は、読取手段21が取得した場所情報及び/又は作業員情報並びに建材情報、及び場所情報に紐づく工程情報を含む工程の出来高情報を演算するための各種情報を出力するアプリケーションを備えている。
【0053】
情報処理手段22は、読取手段21が取得した場所情報及び建材情報を一時的に記憶してサーバ装置1に送信するが、上記場所情報及び上記建材情報が適していない場合、サーバ装置1からその旨の情報を受信した後に上記建材情報及び上記場所情報を削除する。
【0054】
次に、
図1及び
図2を参照しつつ、本施工管理システムにおける設計図書情報に基づく施工管理の一例について説明する。
【0055】
まず、
図2に示す識別番号情報の付与及び設計図書情報の格納ステップ(S1)では、所定の番号体系からなる建築物識別番号情報と建築空間識別番号情報とを合体した固有情報を、所定の設計図書情報に付与すると共に、建築空間識別番号情報に関連付けて呼び出し可能な状態でサーバ装置1の記憶部13に格納する。
これによれば、建築物の基本設計に関する建築物情報のみならず、建築空間毎の個別設計に関する建築空間情報を含む複数の設計図書情報を、建築空間識別番号情報と関連付けて建築空間毎に管理することができるため、複数の関係者が所望の設計図書情報にアクセスしやすくなる。
【0056】
次に、
図2に示す設計図書情報の呼び出しステップ(S2)では、ネットワークNを介してサーバ装置1の記憶部13にアクセスし、建築空間識別番号情報に関連付けて設計図書情報を呼び出す。具体的には、実際の建築空間に付与されたバーコード等に変換済みの建築空間識別番号情報をハンディ端末2の読取手段21で読み取ってサーバ装置1の記憶部13に送信し、情報処理手段22が備えたアプリケーション上の画面を介して表示する。
これによれば、工事中の建築空間にて最新の設計図書情報を閲覧することができるため、工事直前で建材の配送ミスや取り付けミスを回避することができる。
【0057】
そして、
図2に示す設計図書情報の更新ステップ(S3)では、ネットワークNを介してアクセスされた設計図書情報に含まれるメニュー形式の建築空間情報が変更された場合、更新手段14が変更後の建築空間情報を建築空間識別番号情報に関連付けて記憶部13に再格納する。例えば、居室の内装を4LDKから3LDKに変更する間取りメニュープラン,ナチュラル・モダン等の模様・色調を選択する内装メニュープラン,有償で建材をグレードアップするオプションメニュープラン,寸法や素材等の仕様を選択する建材メニュープランにて適宜変更される建築空間情報を含む設計図書情報を更新する。また、建築空間の工事又は工事に伴う工程が完了した場合、工事又は工事に伴う工程の完了又は未完了を判別するために、更新手段14が建築空間情報のチェック項目を演算し、設計図書情報を更新する。
これによれば、更新後の設計図書情報を、設計部門や施工部門等の複数の関係者で共有することができるため、総合的に建築空間の施工効率を向上させることが期待できる。
【0058】
次に、
図1、
図3~
図5bを参照しつつ、本施工管理システムでの工程の出来高管理の一例として、建築物の建材を製造する事業会社の物流拠点から建築現場内に建材を配送する工程について説明する。
【0059】
まず、
図3に示す場所情報・建材情報の送信ステップ(S10)では、拠点内の搬送用エレベータ前に付与されたRFIDタグを
図1に示すハンディ端末2の読取手段21が読み取ると、
図4aに示すとおり情報処理手段22が備えたアプリケーション上の画面G10を介して工程情報表示部G101で「製造完了」、場所情報表示部G102で「搬送用エレベータ前」を表示する。
なお、読取手段21が作業員の所有物(ヘルメットや作業服等)に付与されたRFIDタグを読み取り、情報処理手段22が備えたアプリケーション上の画面を介して作業員情報表示部を表示してもよい。工程情報表示部G101に出力される工程情報は、場所情報表示部G102に表示される現在地に紐付けて情報処理手段22に記憶してあるか、又はサーバ装置1の記憶手段13から受け取ってもよい。場所情報表示部G102及び作業員情報表示部には、文字入力により現在地の場所情報や作業員情報が入力されてもよい。
【0060】
そして、搬送用エレベータ前に積まれた製造完了後の建材の各々に付与されたRFIDタグを読取手段21が読み取ると、
図4bに示すとおり、画面G10を介して建材情報表示部G103で上記建材のタグコードを表示する。その後、情報送信部G104で
図1に示すサーバ装置1に場所情報及び建材情報を送信する。
なお、建材情報表示部G103に出力される情報は、建材を識別できるものであれば、いずれかでもよい。
【0061】
送信された場所情報及び建材情報を、サーバ装置1が適していると判断すれば送信完了となり、サーバ装置1が適していないと判断すればサーバ装置1からその旨の情報を情報処理手段22が受信する。サーバ装置1の判断は、記憶部13に格納された設計図書情報に基づいてもよい。具体的には、
図4cに示すとおり、画面G10とは別の画面G20を介して、エラー情報として情報処理手段22が送信したタグコード(A01・A02・A03)並びに上記タグコードに紐付けてサーバ装置1の記憶手段13が記憶している品名(引き戸扉)及び工程の出来高情報(出荷済み・納品済み)を表示する。その後、エラー原因(エラー情報)を除去して上記エラー情報に関するタグコードを、
図4bに示す画面G10を介してクリア部G105で削除する。
これによれば、所定の時点かつ所定の現在地にあるべき建材か否かが、上記時点かつ現在地で発覚するため、建材の配送ミスや取り付けミスを回避することができ、出来高管理の精度の向上が期待できる。
なお、サーバ装置1に送信したタグコードを全て削除し、エラー原因(エラー情報)を除去した上で、新たにタグコードを読み取り送信するようにしてもよい。場所情報が配送車の車種及び車両番号の場合、これらに紐付く配送先に関する情報(例えば、建築物の名称や住所、建築物に関するプロジェクト名等)を、情報処理手段22にて適宜選択するようにしてもよい。
【0062】
次に、
図3に示す工程の出来高情報の演算ステップ(S20)では、サーバ装置1が
図1に示すハンディ端末2から提供された場所情報及び建材情報を記憶手段13に記憶すると共に、演算手段11が上記場所情報及び上記建材情報と、記憶手段13に記憶済みの場所情報、建材情報、工事情報、工程情報、工事の出来高情報、及び工程の出来高情報のいずれか又は二つ以上の組合せとに基づいて、新規に工程の出来高情報を演算又は既存の工程の出来高情報をアップデートするために演算する。
【0063】
そして、
図3に示す工程の出来高情報の可視化ステップ(S30a)では、演算手段11の演算結果に基づいて、
図5aに示すとおり、表示制御手段12が、画面G30を介して記憶手段11に記憶されている工程の出来高管理情報を可視化する。具体的には、表示制御手段12が、建築物選択部G301で建物名(例えば、「港区1丁目A」)を選択し、建材情報検索部G302で上記建物名に紐付く建材情報を記憶手段13から呼び出し、建材情報一覧表示部G303で上記建材情報を一覧表として出力する。上記一覧表は、連番で付される「No」、個々の建材に付されている「タグコード」、建材が上記建物名の建物に供給される「納品予定日」、建材が供給される上記建物の「階数」・「室番」、及び建材の「品名」・「製品コード」・「梱包No」・「梱包数」・「ステータス」・「ステータス完了日」に関するカラムを有する。「ステータス」とは、直近に完了した工程に関する工程情報が該当する。
なお、表示制御手段12は、例えば、上記建物の「棟・フロア(階数)」、上記建材の「納品予定日」、又は上記建材の「ステータス」で検索条件を限定する建材情報選択部G304を備えていてもよい。表示制御手段12は、削除部(符番しない)で建材情報を建材情報一覧表示部G303から削除してもよい。表示制御手段12は、上記一覧表の背景色により個々の建材の状況を示してもよく、例えば、出荷日(納品予定日-1日)又は納品日(納品予定日)を過ぎているのに出荷済み又は納品済みでない建材が表示される行の背景色を変えてもよい。
【0064】
また、表示制御手段12が、建材別工程出来高情報呼出部G305で建材情報一覧表示部G303を介して記憶手段13から建材毎に工程の出来高情報を呼び出す。具体的には、建材別工程出来高情報呼出部G305が、建材情報一覧表示部G303に表示される「ステータス」や「ステータス完了日」等に該当する建材情報と記憶手段13に記憶されている建材情報とをリンクさせ、所定のアクション(例えば、クリック操作やタッチパネルへのプッシュ操作)で記憶手段13から上記建材情報に紐付く工程の出来高情報を呼び出す。
【0065】
そして、
図5bに示すとおり、表示制御手段12が、画面G40を介して建材別工程出来高情報呼出部G305で呼び出した建材情報に紐付く工程の出来高情報を可視化する。具体的には、表示制御手段12が、
図5aに示す建材情報一覧表示部G303に表示された建材情報の連番及びタグコードを建材情報参照部G401に一覧表として出力すると共に、工程出来高情報表示部G402で上記建材情報に関する建材の工程の出来高情報を一覧表として出力する。上記一覧表は、工程情報を示す「工程」、上記工程の「完了日」、及び上記工程が完了した「場所」に関するカラムを有する。換言すれば、表示制御手段12が、
図1に示すハンディ端末2からサーバ装置1に提供された場所情報及び建材情報に基づいて、上記建材情報毎の工程の出来高情報を工程出来高情報表示部G402に可視化する。
これによれば、建材毎の工程の出来高情報を可視化することで、個々の建材のステータス及びステータスの完了日を容易かつ一元的に管理することができる。すなわち、建材がどの工程を終え、どの工程を向かえようとしているのかを常時把握することができることから、出来高管理の効率の向上が期待できる。
【0066】
また、
図3に示す工程の出来高情報の演算ステップ(S20)にて、建材に伴う工程が完了した場合、設計図書情報の更新ステップ(S30b)として、サーバ装置1の演算手段11が、上記工程の出来高情報に基づき、設計図書情報に含まれる所定の建築空間情報に関する工程が完了した建材情報に付属のチェック項目をチェックする演算をし、更新手段14が上記演算にて変更された建築空間情報と共に設計図書情報を更新する。
これによれば、最新の設計図書と工事に伴う工程の出来高との整合性を維持できる共に、建材の搬入や取り付けを間違えたとしても、最新の設計図書に基づき早期に発見することができる。
【0067】
次に、
図1、
図6~
図7cを参照しつつ、本出来高管理システムでの工事の出来高管理の一例として、居室毎の工事の出来高管理及び上記工事毎の工程の出来高管理について説明する。
【0068】
まず、
図6に示す工事の出来高情報の演算ステップ(S110)では、
図1に示すサーバ装置1の演算手段11が、前述のとおり演算された工程の出来高情報に基づき、又は記憶手段13に記憶済みの場所情報、建材情報、工事情報、工程情報、工事の出来高情報、及び工程の出来高情報のいずれか又は二つ以上の組合せとに基づいて、新規に居室毎の工事の出来高情報を演算又は既存の工事の出来高情報をアップデートするために演算する。
【0069】
そして、
図6に示す工事の出来高情報の可視化ステップ(S120a)では、演算手段11の演算結果に基づいて、
図7aに示すとおり、表示制御手段12が、画面G50を介して記憶手段11に記憶されている工事の出来高管理情報を可視化する。具体的には、表示制御手段12が、建築物疑似表示部G501で疑似的に表示した建築中の建物の居室毎に工事の出来高情報を円グラフ状に表示する。同図では、4階建てかつ各階層に5つの居室を有する建築中の集合住宅における居室毎の工事の出来高管理情報を例示しており、上記工事の総数は4つである。建築物疑似表示部G501が、工程の出来高情報に基づいて演算された居室毎の工事の出来高情報に応じて円グラフの一部又は全部を着色する。例えば、105号室に関する工事は全て完了しているため円グラフの全てが黒色であり、405号室に関する工事は一つも完了していないため円グラフの全てが無着色である。
なお、円グラフではなく
図7dに示すような積み上げ式棒グラフでもよく、工事の種類及び数、並びにグラフの形状、色及び着色の順序に限定はなく、色によって工事毎の出来高を可視化してもよい。
【0070】
また、表示制御手段12が、工事出来高情報呼出部G502で建築物疑似表示部G501を介して記憶手段13から居室毎の工事の出来高情報を呼び出す。具体的には、居室別工事出来高情報呼出部G502が、建築物疑似表示部G501に表示される居室毎の工事の出来高情報と記憶手段13に記憶されている居室毎の工事の出来高情報及びこれに紐付く工程の出来高情報とをリンクさせ、所定のアクション(例えば、クリック操作やタッチパネルへのプッシュ操作)で記憶手段13から上記居室毎の工事の出来高情報及びこれに紐付く工程の出来高情報を呼び出す。
なお、所定のアクションにより呼び出す際、コンピュータのポップアップ機能により建築物疑似表示部G501の上に重なって呼び出してもよい。
【0071】
そして、
図7bに示すとおり、表示制御手段12が、画面G60を介して居室毎の工事の出来高情報及びこれに紐付く工程の出来高情報を可視化する。具体的には、表示制御手段12が、居室別工事出来高情報表示部G601で上記居室毎の工事の出来高情報を一覧表として出力する。上記一覧表は、工事情報を示す「工事」、上記工事に伴う工程名(例えば、「出荷」、「納品」等)、及び各工事に関する「担当者」に関するカラムを有する。換言すれば、表示制御手段12が、サーバ装置1に記憶された工事毎の工程の出来高情報に基づいて居室毎の工事の出来高情報を表示する。
【0072】
また、表示制御手段12が、居室別工事出来高情報表示部G601を介して工事別工程出来高情報呼出部G602で記憶手段13から工事毎に工程の出来高情報を呼び出す。具体的には、工事別工程出来高情報呼出部G602が、居室別工事出来高情報表示部G601に表示される工事毎の工程の出来高情報と記憶手段13に記憶されている工事毎の工程の出来高情報とをリンクさせ、所定のアクション(例えば、クリック操作やタッチパネルへのプッシュ操作)で記憶手段13から上記工事毎の工程の出来高情報を呼び出す。
なお、所定のアクションにより呼び出す際、コンピュータのポップアップ機能により
図7aに示す建築物疑似表示部G501及び/又は居室別工事出来高情報表示部G601の上に重なって呼び出してもよい。
【0073】
そして、
図7cに示すとおり、表示制御手段12が、画面G70を介して工事毎の工程の出来高情報を可視化する。具体的には、表示制御手段12が、工事別工程出来高情報表示部G701で上記工事毎の工程の出来高情報として、完了及び/又は未完了の工程名、及び納品済み及び/又は未済みの建材情報を出力する。同図は、203号室の管工事にて納品未完了の要因が製品コードXYZ10であることを示している。
【0074】
これによれば、建材毎の工程の出来高情報と紐付けて工事毎の工程の出来高情報を可視化することで、個々の工事が完了したか否かを容易かつ一元的に管理することができる。すなわち、工事の進捗を各工程における建材の状況から常時把握することができることから、出来高管理の効率のさらなる向上が期待できる。
【0075】
また、
図6に示す工事の出来高情報の演算ステップ(S110)にて、個々の工事が完了した場合、設計図書情報の更新ステップ(S120b)として、サーバ装置1の演算手段11が、上記工事の出来高情報に基づき、設計図書情報に含まれる所定の建築空間情報に関する工事が完了した建材情報に付属のチェック項目をチェックする演算をし、更新手段14が上記演算にて変更された建築空間情報と共に設計図書情報を更新する。
これによれば、最新の設計図書と工事の出来高との整合性を維持できると共に、建材の搬入や取り付けを間違えたとしても、最新の設計図書に基づき早期に発見することができる。
【0076】
また、図示しないが、表示制御手段12が、画面を介して建築物の出来高情報を可視化する。具体的には、表示制御手段12が、建築物出来高情報表示部で建築物の出来高情報として、建築の進度を可視化する。より具体的には、表示制御手段12が、住所等の建築物情報に関連付けて地図化した建築物出来高情報表示部上で複数の建築物の出来高情報の表示位置を特定して所定の表示形式(例えば、色別、大きさ別)で建築の進度を可視化する。
さらに、表示制御手段12が、建築物出来高情報表示部を介して建築物別工事出来高情報呼出部で記憶部13から工事の出来高情報及びこれに紐付く工程の出来高情報とを呼び出す。具体的には、建築物別工事出来高情報呼出部が、建築物出来高情報表示部に表示される建築物の出来高情報と記憶手段13に記憶されている建築物毎の工事の出来高情報及び工事毎の工程の出来高情報とをリンクさせ、所定のアクション(例えば、クリック操作やタッチパネルへのプッシュ操作)で記憶手段13から上記居室毎の工事の出来高情報及びこれに紐付く工程の出来高情報を呼び出す。
なお、所定のアクションにより呼び出す際、コンピュータのポップアップ機能により建築物出来高情報表示部の上に重なって呼び出してもよい。
【0077】
これによれば、複数の建築物の出来高情報を単一のサーバ装置で一元管理することが実現する。すなわち、工事の出来高情報に基づいて解析された建築の進度を建築物毎に確認できるのみならず、建築物の出来高情報に紐付く建築物毎の工事の出来高情報及び工事毎の工程の出来高情報を建築物出来高情報表示部から呼び出して確認できるので、例えば建築材の納品状況の異常に対する優先的な納品対応や効率的な作業員の配置の実現が期待できる。
【符号の説明】
【0078】
1 サーバ装置
11 演算手段
12 表示制御手段
13 記憶手段
14 更新手段
2 ハンディ端末(情報取得手段)
21 読取手段
22 情報処理手段