(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】遺言管理システム及び遺言管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240117BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019231135
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】日野 茂樹
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-064767(JP,A)
【文献】特開2017-156976(JP,A)
【文献】特開2005-115406(JP,A)
【文献】特開2002-049708(JP,A)
【文献】特開2019-121366(JP,A)
【文献】特開2012-007883(JP,A)
【文献】特開平10-177594(JP,A)
【文献】国際公開第2005/045731(WO,A1)
【文献】特開2019-197437(JP,A)
【文献】特開2018-036927(JP,A)
【文献】特開2004-021955(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0108996(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺言者に関する遺言者情報を、当該遺言者による遺言の内容を構成する遺言情報として記憶する遺言記憶部と、
前記遺言記憶部に記憶される前に前記遺言者情報を一時的に記憶する一時記憶部と、
前記遺言者からの指示に基づいて、前記一時記憶部に記憶されている前記遺言者情報を前記遺言記憶部に移動させる移動手段と
、
前記遺言者によって生成された前記遺言者情報を取得する第1取得手段と
を備え
、
前記一時記憶部は、前記第1取得手段によって取得された前記遺言者情報を記憶し、
前記移動手段は、前記取得された前記遺言者情報のうち、所定期間以内に取得された前記遺言者情報を、前記遺言者からの指示を受けることなく、前記一時記憶部から前記遺言記憶部に移動させる、
遺言管理システム。
【請求項2】
前記第1取得手段によって取得されて前記一時記憶部に記憶されている前記遺言情報を、前記遺言者からの指示に基づいて編集する編集手段を
さらに備え、
前記一時記憶部は、前記編集手段によって編集された前記遺言者情報を記憶する、
請求項
1に記載の遺言管理システム。
【請求項3】
前記遺言者とは異なる第三者によって生成され、前記遺言者によって承認された前記遺言者情報を取得する第2取得手段を
さらに備え、
前記一時記憶部は、前記第2取得手段によって取得された前記遺言者情報を記憶する、
請求項
1又は2に記載の遺言管理システム。
【請求項4】
前記移動手段は、前記第2取得手段によって取得された前記遺言者情報を、前記遺言者からの指示を受けることなく、前記一時記憶部から前記遺言記憶部に移動させる、
請求項
3に記載の遺言管理システム。
【請求項5】
前記遺言者からの指示にしたがって、前記遺言記憶部に記憶された前記遺言者情報を前記一時記憶部へ戻す復帰手段
をさらに備える、
請求項1乃至
4の何れかに記載の遺言管理システム。
【請求項6】
遺言者に関する遺言者情報を、当該遺言者による遺言を構成する遺言情報として記憶する
遺言記憶部、及び前記遺言者によって生成された前記遺言者情報を取得する第1取得手段を備える遺言記憶装置と通信可能に接続され、
前記遺言記憶部に記憶される前に前記遺言者情報を一時的に記憶する一時記憶部と、
前記遺言者からの指示に基づいて、前記一時記憶部に記憶されている前記遺言者情報を前記遺言記憶部に移動させる移動手段と
を備え、
前記一時記憶部は、前記第1取得手段によって取得された前記遺言者情報を記憶し、
前記移動手段は、前記取得された前記遺言者情報のうち、所定期間以内に取得された前記遺言者情報を、前記遺言者からの指示を受けることなく、前記一時記憶部から前記遺言記憶部に移動させる、
遺言管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺言者による遺言を管理する遺言管理システム及び遺言管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遺言者による遺言の内容を電子的に登録することが可能な遺言管理システムが提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-78883号公報
【文献】特開2014-230267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような遺言管理システムに登録された情報は遺言の内容を構成することになるため、不用意な登録は回避すべきである一方、登録をし忘れると遺言として取り扱われないことになるため、必要な情報は確実に登録しておくことが望ましい。しかしながら、これらの要望に同時に応えることができる技術はこれまで提案されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上述した要望に応えることが可能な遺言管理システム及び遺言管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の遺言管理システムは、遺言者に関する遺言者情報を、当該遺言者による遺言の内容を構成する遺言情報として記憶する遺言記憶部と、前記遺言記憶部に記憶される前に前記遺言者情報を一時的に記憶する一時記憶部と、前記遺言者からの指示に基づいて、前記一時記憶部に記憶されている前記遺言者情報を前記遺言記憶部に移動させる移動手段とを備える。
【0007】
前記態様において、前記遺言者によって生成された前記遺言者情報を取得する第1取得手段をさらに備え、前記一時記憶部は、前記第1取得手段によって取得された前記遺言者情報を記憶するようにしてもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記第1取得手段によって取得されて前記一時記憶部に記憶されている前記遺言情報を、前記遺言者からの指示に基づいて編集する編集手段をさらに備え、前記一時記憶部は、前記編集手段によって編集された前記遺言者情報を記憶するようにしてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記遺言者とは異なる第三者によって生成され、前記遺言者によって承認された前記遺言者情報を取得する第2取得手段をさらに備え、前記一時記憶部は、前記第2取得手段によって取得された前記遺言者情報を記憶するようにしてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記移動手段は、前記第2取得手段によって取得された前記遺言者情報を、前記遺言者からの指示を受けることなく、前記一時記憶部から前記遺言記憶部に移動させるようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記移動手段は、前記取得された前記遺言者情報のうち、所定期間以内に取得された前記遺言者情報を、前記遺言者からの指示を受けることなく、前記一時記憶部から前記遺言記憶部に移動させるようにしてもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記遺言者からの指示にしたがって、前記遺言記憶部に記憶された前記遺言者情報を前記一時記憶部へ戻す復帰手段をさらに備えていてもよい。
【0013】
また、本発明の一の態様の遺言管理装置は、遺言者に関する遺言者情報を、当該遺言者による遺言を構成する遺言情報として記憶する遺言記憶装置と通信可能に接続され、前記遺言記憶部に記憶される前に前記遺言者情報を一時的に記憶する一時記憶部と、前記遺言者からの指示に基づいて、前記一時記憶部に記憶されている前記遺言者情報を前記遺言記憶部に移動させる移動手段とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、必要な情報を遺言として確実に登録することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1の遺言管理システム及びその通信先の構成を示すブロック図。
【
図6】一時登録処理の他の例の手順を示すフローチャート。
【
図11】第2移動処理の手順を示すフローチャート。
【
図14】実施の形態2の遺言管理システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の遺言管理システム及びその通信先の構成を示すブロック図である。本実施の形態の場合、遺言管理サーバ1によって遺言管理システムが構成されている。
図1に示すように、遺言管理サーバ1は、インターネットを含む通信ネットワーク101と通信可能に接続されている。この通信ネットワーク101には、遺言者である利用者によって用いられる利用者端末2が通信可能に接続されている。
【0018】
[遺言管理サーバの構成]
図2は、実施の形態1の遺言管理サーバの詳細な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、遺言管理サーバ1は、CPU11、ROM12、RAM13、入力部14、表示部15、ハードディスク16、及び通信インタフェース(I/F)17を備えており、これらの各要素はバス18によって接続されている。
【0019】
CPU11は、ROM12及びハードディスク16に記憶されているコンピュータプログラムを実行する。これにより、遺言管理サーバ1は、後述するような動作を実行することが可能になる。
【0020】
ROM12は、CPU11によって実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いられるデータなどを記憶している。また、RAM13は、ハードディスク16に記憶されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。
【0021】
入力部14は、キーボード及びマウスなどから構成されており、USBなどから構成される入出力インタフェースを介してバス18に接続されている。また、表示部15は、LCD又はCRTなどで構成されており、画像出力インタフェースを介してバス18に接続されている。この表示部15は、CPU11から与えられる画像データに応じた映像信号にしたがって画像を表示する。
【0022】
ハードディスク16には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを含む種々のコンピュータプログラム、並びにそれらのコンピュータプログラムの実行に用いられるデータなどがインストールされている。また、このハードディスク16には、遺言データベース(以下「DB」)161、一時記憶DB162、及び利用者DB163が設けられている。これらのデータベースの詳細については後述する。
【0023】
なお、本実施の形態では、遺言DB161、一時記憶DB162、及び利用者DB163が遺言管理サーバ1の内部に設けられているが、遺言管理サーバ1がアクセス可能であれば、これらのデータベースのうちの少なくとも一部が外部の他の装置に設けられていてもよい。
【0024】
[データベースの詳細]
以下、各データベースの詳細について説明する。
(1)遺言DB161
遺言DB161には、遺言者による遺言の内容を構成する遺言情報が格納されている。この遺言情報には、相続に関する情報、遺産の処分に関する情報、及び遺言の執行に関する情報など、所謂遺言書に記載される情報の他、家族との思い出である写真・動画、及び家族などに対する感謝の気持ちなど、遺言者に関する様々な情報が含まれる。
【0025】
(2)一時記憶DB162
一時記憶DB162には、遺言DB161に格納される前に一時的に記憶される情報が格納されている。上記のとおり、遺言DB161には遺言者に関する様々な情報が格納されるが、当該情報はまず一時記憶DB162に格納され、その後その一部が後述する手順にしたがって遺言DB161に格納されることになる。すなわち、一時記憶DB162は、各種情報の遺言DB161への登録にあたって一時的に用いられるワークエリアとして機能する。
【0026】
なお、以下では、遺言者に関する情報のうち、一時記憶DB162に一時的に記憶されているものを遺言者情報といい、一時記憶162から遺言DB161に移動されたものを遺言情報という。
【0027】
(3)利用者DB163
利用者DB163には、利用者を特定するための各種情報が格納されている。具体的には、利用者の氏名、年齢、性別、住所・電話番号・電子メールアドレスなどの連絡先、利用者ID、及び利用者に対して設定されたパスワードなどの情報が格納されている。
【0028】
[利用者端末の構成]
利用者端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの携帯電話機、又はタブレット端末等で構成される。以下、利用者端末2の一例の詳細な構成について説明する。
【0029】
図3は、利用者端末2の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、利用者端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、表示部25と、マイク26と、スピーカ27とを備えている。
【0030】
制御部21は、図示しないCPUと、SRAM又はDRAM等のRAMとを備えている。制御部21のCPUが、RAMにロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。
【0031】
記憶部22は、フラッシュメモリ等で構成されており、制御部21にて実行されるオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の各種のコンピュータプログラム、並びにその実行の際に用いられるデータ等を記憶する。このコンピュータプログラムには、後述する一時登録処理の際に作動する認証プログラム22Aが含まれている。
【0032】
通信部23は、3G(Generation)、4G、及びLTE(Long Term Evolution)等の長距離無線通信方式、並びにNFC(Near Field Communication)、Wi-Fi(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線通信方式に対応する通信モジュールで構成されている。利用者端末2は、この通信部23を介して、遺言管理サーバ1との間で通信を行う。
【0033】
入力部24は、静電容量方式のタッチパネル等で構成されており、利用者からの入力を受け付け、その入力に基づく電気信号を制御部21に出力する。利用者は、入力部24を用いることにより、利用者端末2に対して必要な操作を行う。
【0034】
表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成されており、制御部21から入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0035】
マイク26は、外部から音声の入力を受け付けて、その入力に基づく電気信号を制御部21に出力する。上記の入力部24による入力に代えて、マイク26による音声入力を行うことも可能である。
【0036】
スピーカ27は、制御部21からの指示にしたがって、外部に音声を出力する。上記の表示部25による表示の代わりに、スピーカ27による音声出力によって各種のメッセージ等を出力することができる。
【0037】
[システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の遺言管理サーバ1を含む装置の動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。以下では、(1)遺言者に関する遺言者情報を一時記憶DB162に登録する一時登録を行うための一時登録処理、(2)一時記憶DB162から遺言DB161へ情報を移動させるための移動処理、及び(3)遺言DB161に格納されている情報を一時記憶DB162に戻すための復帰処理の各処理について説明する。
【0038】
(1)一時登録処理
利用者は利用者端末2を用いて、遺言者情報の一時登録を行う。その際、以下に示す一時登録処理が実行される。
【0039】
図4は、遺言管理サーバ1及び利用者端末2によって実行される一時登録処理の手順を示すフローチャートである。まず、利用者端末2は、利用者の指示にしたがって、遺言者情報の一時登録要求を遺言管理サーバ1に対して送信する(S101)。この一時登録要求には、利用者の利用者ID及びパスワードが含まれている。
【0040】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された一時登録要求を受信すると(S201)、その一時登録要求に含まれている利用者ID及びパスワードと利用者DB163に格納されている利用者ID及びパスワードとを照合することによって、認証処理を実行する(S202)。この認証処理の結果、利用者の認証に失敗した場合、その旨を示すメッセージが遺言管理サーバ1から利用者端末2に対して送信され、一時登録処理が終了する。他方、利用者の認証に成功した場合、遺言管理サーバ1は、遺言者情報の一時登録を行うための一時登録画面を示す一時登録画面情報を利用者端末2に対して送信する(S203)。
【0041】
利用者端末2は、遺言管理サーバ1から送信された一時登録画面情報を受信した場合(S102)、その一時登録画面情報によって示される一時登録画面を表示部25に表示する(S103)。
【0042】
図5は、利用者端末2の表示部25に表示される一時登録画面の一例を示す図である。
図5に示すように、一時登録画面には、遺言者情報が属するカテゴリーの名称が複数表示されるとともに、遺言者情報の入力を受け付ける入力欄が表示されている。また、各カテゴリーを選択するためのチェックボックスが、各カテゴリーの名称と対応付けて設けられている。さらに、一時登録を指示するためのボタン200が設けられている。
【0043】
図5に示す例では、遺言者情報が属するカテゴリーとして、「銀行口座残高」、「生命保険」、「同窓会」、「自動車保険」、「家族との写真」、及び「感謝の気持ち」の6つが示されている。「銀行口座残高」には遺言者が所有している銀行口座の残高に関する情報が、「生命保険」には遺言者が契約している生命保険の内容を示す情報が、「同窓会」には遺言者が所属している各種同窓会に関する情報が、「自動車保険」には遺言者が契約している自動車保険の内容を示す情報が、それぞれ属することになる。また、「家族との写真」には遺言者とその家族とに関連する写真の画像情報が、「感謝の気持ち」は遺言者が特定の人に宛てた感謝の気持ちを示す情報が、それぞれ属することになる。もちろん、これらのカテゴリー以外にも、相続又は遺産の処分に関する各種情報が属するカテゴリーなど、様々なものが想定される。
【0044】
利用者は、利用者端末2の入力部24を用いた文字入力又はマイク26を用いた音声入力によって、一時登録画面に対して遺言者情報の入力を行う。具体的には、特定のカテゴリーに対応するチェックボックスにチェックを入れた上で、入力欄に対して遺言者情報を入力し、ボタン200をクリックする。
【0045】
利用者端末2は、上記のようにして利用者による遺言者情報の入力を受け付けた場合(S104)、その入力された遺言者情報を、選択されたカテゴリーとともに遺言管理サーバ1に対して送信する(S105)。
【0046】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された遺言者情報を受信すると(S204)、その遺言者情報を、カテゴリーが識別可能な形式で一時記憶DB162に格納し(S205)、一時登録処理を終了させる。
【0047】
なお、上記の一時登録処理は、遺言者により生成された遺言者情報を一時記憶DB162に登録するための処理であるが、その他にも、遺言者とは異なる第三者によって生成された遺言者情報を登録するための処理がある。以下、この処理について、
図6を参照しながら説明する。
【0048】
図6は、一時登録処理の他の例の手順を示すフローチャートである。この例では、利用者がオンラインバンクで取引を行った際に実行される一時登録処理について説明する。まず、利用者端末2は、オンラインバンクでの取引処理(残高確認処理、振込処理など)を実行すると(S301)、その処理の結果を示す処理結果画面を表示部25に表示する(S302)。
【0049】
図7は、利用者端末2の表示部25に表示される処理結果画面の一例を示す図である。
図7に示すように、この処理結果画面には、利用者が所有する銀行口座の残高が表示されており、さらに、その残高に関する情報を一時記憶DB162に登録するためのボタン201が設けられている。
【0050】
利用者は、この残高を確認した上で、当該残高に関する情報の一時記憶DB162への登録を承認するか否かを判断する。ここで承認した場合、利用者は入力部24を用いてボタン201をクリックする。
【0051】
利用者端末2は、ボタン201のクリックを検出した場合、認証プログラム22Aを作動させて認証処理を実行する(S304)。この認証処理では、利用者によって予め設定されている認証情報(パスワード・生体認証情報など)の照合によって、当該利用者が真の利用者であるか否かが判定される。この認証処理の結果、利用者の認証に失敗した場合、その旨を示すメッセージが表示部25に表示され、一時登録処理が終了する。他方、利用者の認証に成功した場合、利用者端末2は、当該銀行口座の残高を含む遺言者情報を遺言管理サーバ1に対して送信する(S305)。この場合、利用者端末2は、所定のカテゴリー(この例では「銀行口座残高」)も併せて送信する。
【0052】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された遺言者情報を受信すると(S401)、その遺言者情報を、カテゴリーが識別可能な形式で一時記憶DB162に格納し(S402)、一時登録処理を終了させる。
【0053】
上記以外にも、例えば、利用者端末2が書面に印刷されたQRコード(登録商標)などの二次元コードを読み取ることによって、当該書面に記載された内容を第三者によって生成された遺言者情報として遺言管理サーバ1に対して送信するような処理があり得る。この場合、利用者が利用者端末2に二次元コードを読み取らせる行為によって遺言者情報の承認が行われたことになる。また、上記と同様の認証処理を実行することによって、当該利用者が真の利用者である場合にのみ、遺言者情報が遺言管理サーバ1に送られることになる。
【0054】
なお、遺言管理サーバ1は、フラグなどを用いることによって、遺言者によって生成された遺言者情報であるのか、それとも第三者によって生成された遺言者情報であるのかの区別が可能なように、利用者端末2から受信した遺言者情報を一時記憶DB162に格納する。
【0055】
本実施の形態の場合、上記のように遺言者情報はまず一時記憶DB162に登録され、遺言DB161に直接登録されることはない。これによって、遺言者情報を遺言として残すか否かを精査する機会を利用者に与えることができる。その精査の結果、利用者がその遺言者情報を遺言として残すことを決定した場合、後述するようにして遺言DB161への移動が行われる。また、後述するように所定の条件を満たした場合にも遺言DB161への移動が行われる。
【0056】
(2)移動処理
次に、上述したようにして一時記憶DB162に格納された遺言者情報を遺言DB161へ移動させるための移動処理について説明する。この移動処理には、利用者からの指示にしたがって移動を行う第1移動処理と、利用者からの指示を受けることなく移動を行う第2移動処理とがある。
【0057】
(2-1)第1移動処理
図8は、遺言管理サーバ1及び利用者端末2によって実行される第1移動処理の手順を示すフローチャートである。まず、利用者端末2は、利用者の指示にしたがって、遺言者情報の遺言DB161への移動要求を遺言管理サーバ1に対して送信する(S501)。この移動要求には、利用者の利用者ID及びパスワードが含まれている。
【0058】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された移動要求を受信すると(S601)、その移動要求に含まれている利用者ID及びパスワードと利用者DB163に格納されている利用者ID及びパスワードとを照合することによって、認証処理を実行する(S602)。この認証処理の結果、利用者の認証に失敗した場合、その旨を示すメッセージが遺言管理サーバ1から利用者端末2に対して送信され、第1移動処理が終了する。他方、利用者の認証に成功した場合、遺言管理サーバ1は、遺言者情報の移動を指示するための移動指示画面を示す移動指示画面情報を利用者端末2に対して送信する(S603)。
【0059】
利用者端末2は、遺言管理サーバ1から送信された移動指示画面情報を受信した場合(S502)、その移動指示画面情報によって示される移動指示画面を表示部25に表示する(S503)。
【0060】
図9は、利用者端末2の表示部25に表示される移動指示画面の一例を示す図である。
図9に示すように、移動指示画面には、遺言者情報のカテゴリーの一覧が表示されており、そのうち一時記憶DB162に遺言者情報が記憶されているカテゴリーについては、選択するためのチェックボックスと詳細を表示させるためのリンク(詳細リンク)とが表示されている。また、編集可能なカテゴリーについては、編集画面を表示させるためのリンク(編集リンク)がさらに表示されている。さらに、この移動指示画面には、移動を指示するための転送ボタン202が設けられている。
【0061】
図9に示す例では、カテゴリー「同窓会」のみ一時記憶DB162に遺言者情報が記憶されていないためにチェックボックス及び詳細リンクが表示されておらず、また、カテゴリー「感謝の気持ち」のみ編集リンクが表示されている。
【0062】
利用者は、利用者端末2の入力部24を用いて、遺言DB161への移動を希望するカテゴリーに対応するチェックボックスにチェックを入れる。このとき、内容の詳細を確認する必要がある場合、利用者は詳細リンクをクリックする。その場合、
図10Aに示すように、そのカテゴリーについて一時記憶DB162に登録されている遺言者情報の詳細が示された詳細画面が表示される。その後、戻るボタン203がクリックされると、元の移動指示画面に表示が切り替わる。
【0063】
また、利用者は、編集を希望するカテゴリーがある場合、利用者端末2の入力部24を用いて、そのカテゴリーに設けられている編集リンクをクリックする。その場合、
図10Bに示すように、そのカテゴリーについて一時記憶DB162に登録されている遺言者情報を編集可能な編集画面が表示される。この編集画面を用いて利用者が編集を行い、更新ボタン204がクリックされた場合、編集後の内容が一時記憶DB162に格納され、元の移動指示画面に表示が切り替わる。
【0064】
上記のようにして必要に応じて遺言者情報の詳細確認及び/又は編集が行われた後、利用者は、
図9に示す移動指示画面において、遺言として確定することを希望するカテゴリーのチェックボックスにチェックを入れ、転送ボタン202をクリックする。
【0065】
利用者端末2は、上記のようにして利用者による移動対象の遺言者情報の選択を受け付けた場合(S504)、その選択の内容を示す選択情報を遺言管理サーバ1に対して送信する(S505)。
【0066】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された選択情報を受信した場合(S604)、その選択情報に示される遺言者情報を遺言DB161に遺言情報として格納(S605)するとともに、一時記憶DB162から削除し(S606)、第1移動処理を終了させる。
【0067】
上記の第1移動処理によって、一時記憶DB162に一時的に記憶させている遺言者情報のうち利用者が遺言として確定させたいと考えたものを、遺言DB161に登録することができる。
【0068】
(2-2)第2移動処理
図11は、遺言管理サーバ1によって実行される第2移動処理の手順を示すフローチャートである。この第2移動処理は、所定の時間間隔(例えば、半年毎など)で繰り返し自動的に実行される。
図11に示すように、遺言管理サーバ1はまず、利用者DB163を参照して処理対象となる利用者を特定する(S701)。
【0069】
次に、遺言管理サーバ1は、処理対象の利用者に係る遺言者情報のうち、第三者によって生成された遺言者情報(以下、「第三者生成情報」という)を、一時記憶DB162から抽出する(S702)。
【0070】
次に、遺言管理サーバ1は、処理対象の利用者に係る遺言者情報であって且つ利用者によって生成された遺言者情報のうち、1ヵ月以内又は3ヵ月以内など所定期間以内に利用者端末2から取得して一時記憶DB162に登録された遺言者情報(以下、「直近登録情報」という)を、一時記憶DB162から抽出する(S703)。
【0071】
遺言管理サーバ1は、ステップS702及びS703によってそれぞれ抽出された第三者生成情報及び直近登録情報を、遺言DB161に格納する(S704)。このように、第2移動処理では、利用者からの指示を受けることなく一時記憶DB162から遺言DB161への遺言者情報の移動が行われる。
【0072】
上記の第三者生成情報は、第三者が事実に基づいて生成したものであるため、利用者によって生成された遺言者情報と比べると、その内容を利用者が精査する必要性は小さい。そのため、上記のとおり遺言DB161への移動を自動的に行っても、利用者にとって問題が生じることは少ない。
【0073】
また、上記の直近登録情報は、比較的最近登録されたものであるため、それよりも前に登録された遺言者情報と比べると、その内容は利用者の意思を反映したものである可能性が高い。そのため、上記のとおり遺言DB161への移動を自動的に行っても、利用者にとって問題が生じることは少ない。
【0074】
(3)復帰処理
図12は、遺言管理サーバ1及び利用者端末2によって実行される復帰処理の手順を示すフローチャートである。まず、利用者端末2は、利用者の指示にしたがって、遺言DB161から一時記憶DB162への復帰要求を遺言管理サーバ1に対して送信する(S801)。この復帰要求には、利用者の利用者ID及びパスワードが含まれている。
【0075】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された復帰要求を受信すると(S901)、その復帰要求に含まれている利用者ID及びパスワードと利用者DB163に格納されている利用者ID及びパスワードとを照合することによって、認証処理を実行する(S902)。この認証処理の結果、利用者の認証に失敗した場合、その旨を示すメッセージが遺言管理サーバ1から利用者端末2に対して送信され、復帰処理が終了する。他方、利用者の認証に成功した場合、遺言管理サーバ1は、一時記憶DB162への復帰を指示するための復帰指示画面を示す復帰指示画面情報を利用者端末2に対して送信する(S903)。
【0076】
利用者端末2は、遺言管理サーバ1から送信された復帰指示画面情報を受信した場合(S802)、その復帰指示画面情報によって示される復帰指示画面を表示部25に表示する(S803)。
【0077】
図13は、利用者端末2の表示部25に表示される復帰指示画面の一例を示す図である。
図13に示すように、復帰指示画面には、遺言者情報のカテゴリーの一覧が表示されており、そのうち遺言DB161に遺言情報として記憶されているカテゴリーについては、選択するためのチェックボックスと詳細を表示させるためのリンク(詳細リンク)とが表示されている。また、一時記憶DB162への復帰、すなわち遺言DB161からの削除を指示するための削除ボタン205が設けられている。
【0078】
図13に示す例では、カテゴリー「同窓会」及び「自動車保険」については遺言DB161に記憶されていないためにチェックボックス及び詳細リンクが表示されていない。詳細リンクが表示されているカテゴリーについては、詳細リンクがクリックされると、
図10Aに示す詳細画面と同様の詳細画面が表示部25に表示され、利用者がその内容を確認することが可能になる。
【0079】
必要に応じて遺言者情報の詳細確認が行われた後、利用者は、
図13に示す復帰指示画面において、遺言DB161からの削除を希望するカテゴリーのチェックボックスにチェックを入れ、削除ボタン205をクリックする。
【0080】
利用者端末2は、上記のようにして利用者による復帰対象の遺言者情報の選択を受け付けた場合(S804)、その選択の内容を示す選択情報を遺言管理サーバ1に対して送信する(S805)。
【0081】
遺言管理サーバ1は、利用者端末2から送信された選択情報を受信した場合(S904)、その選択情報に示される遺言者情報を一時記憶DB162に格納(S905)するとともに、遺言DB161から削除し(S906)、復帰処理を終了させる。
【0082】
上記の復帰処理によって、遺言DB161に登録した情報であっても、遺言として扱われないようにしたり、再度精査した結果遺言DB161に再登録したり、さらに編集等を加えた上で遺言DB161に再登録したりすることが可能になる。
【0083】
(実施の形態2)
実施の形態1では遺言管理サーバ1が遺言DB161及び一時記憶DB162を備えているが、これらのデータベースのうちの一時記憶DBが利用者端末2側に設けられていてもよい。実施の形態2は、一時記憶DBを有する利用者端末2を備える遺言管理システムである。以下、装置の構成及びその動作について説明する。
【0084】
図14は、本実施の形態の遺言管理システムの構成を示すブロック図である。
図14に示すように、本実施の形態の遺言管理システムは利用者端末2と遺言DB100とで構成されている。ここで、遺言DB100は、実施の形態1において遺言管理サーバ1に設けられている遺言DB161と同様のデータベースであって、通信ネットワーク101を介して利用者端末2と通信可能に接続される装置である。
【0085】
図15は、本実施の形態の利用者端末の詳細な構成を示すブロック図である。本実施の形態の利用者端末2の記憶部22には、実施の形態1における一時記憶DB162と同様のデータベースである一時記憶DB22Bが設けられている。この利用者端末2のその他の構成については、実施の形態1の場合と同様に構成されているため、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
本実施の形態の場合、一時登録処理は利用者端末2のみで実施され、利用者又は第三者によって生成された遺言者情報が一時記憶DB22Bに格納される。その後、第1移動処理及び第2移動処理と同様の処理が実行されることによって、利用者の指示によって、または自動的に、一時記憶DB22Bから遺言DB100へ情報が移動する。これにより、遺言として確定した情報が遺言DB100に蓄積されることになる。
【0087】
なお、本実施の形態でも実施の形態1の場合と同様に復帰処理を行うことができる。その場合、遺言DB100から利用者端末2の一時記憶DB22Bへ情報が戻されることになる。
【0088】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、第1移動処理及び第2移動処理によって一時記憶DBから遺言DBへの情報の移動を行っているが、これらの処理を実行する前に、利用者に移動指示を促すために、一時記憶DBに登録されている各情報を遺言DBへ移動させるか否かを確認する問い合わせを利用者に対して行うようにしてもよい。この問い合わせは各種の手段で実現することが可能である。例えば、遺言管理サーバ1が電子メールなどによって電子的に利用者に問い合わせてもよく、また郵便などによって利用者に問い合わせてもよい。
【0089】
また、上記の実施の形態では、遺言管理サーバ1が1台のコンピュータによって構成されているが、これに限定されるわけではなく、複数のコンピュータによる分散システムによって構成されていてもよい。利用者端末2についても同様である。
【符号の説明】
【0090】
1 遺言管理サーバ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 入力部
15 表示部
16 ハードディスク
161 遺言データベース
162 一時記憶データベース
163 利用者データベース
17 通信インタフェース
18 バス
2 利用者端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 カメラ
25 入力部
26 表示部
27 マイク
28 スピーカ
22A 認証プログラム
22B 一時記憶データベース
100 遺言データベース
101 通信ネットワーク