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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ダイシング用基体フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240117BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240117BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H01L21/78 M
C09J7/38
C09J201/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019538045
(86)(22)【出願日】2018-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2018029385
(87)【国際公開番号】W WO2019039253
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-05-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2017162613
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】末藤 壮一
(72)【発明者】
【氏名】塚田 章一
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】中野 浩昌
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052444(WO,A1)
【文献】特開2015-185591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/301
C09J7/38
C09J201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステルスダイシングフィルムの製造に用いられるダイシング用基体フィルムであって、
前記ステルスダイシングフィルムは、-15~5℃の低温条件でのエキスパンドを実施する際に用いられ、
前記ダイシング用基体フィルムは、表層/中間層/裏層の順に積層された構成を含み、
前記表層及び前記裏層は、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、
前記中間層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を含む樹脂組成物からなり、
前記ステルスダイシングフィルムにおいては、前記ダイシング用基体フィルムの表層側に、粘着剤層とダイボンド層とがこの順に設けられ、
前記中間層は、0~25重量%のポリエチレン系樹脂と残量の熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を含む樹脂組成物からなり、
引張速度を200mm/minとし、チャック間距離を40mmとし、サンプル幅を10mmとする引張試験による、MD及びTD方向の伸び率が100%以上であり、25%モジュラス比(MD/TD)が1.5未満であり、
引張速度を250mm/secとし、チャック間距離を10mmとし、サンプル幅を25mmとし、環境温度を-15±2℃とする引張試験による、MD及びTD方向の破断引張伸びが120%以上であり、
引張速度を200mm/minとし、チャック間距離を40mmとし、サンプル幅を10mmとし、環境温度を-15±2℃とする引張試験により、長さ100mmのサンプルを200%伸長させた状態で10秒間保持した後、当該サンプルを80℃にて5秒間加熱する収縮試験を実施した場合の、MD及びTD方向の回復率が70%以上であり、MD方向の回復率とTD方向の回復率との比(MD/TD)が1.2未満である、
ダイシング用基体フィルム。
【請求項2】
前記表層及び/又は裏層が、単層又は複層である、請求項1記載のダイシング用基体フィルム。
【請求項3】
前記ポリエチレン系樹脂が、分岐鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、及びアイオノマー樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1又は2に記載のダイシング用基体フィルム。
【請求項4】
前記中間層の樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を50重量%~100重量%の範囲で含む、請求項1~3のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
【請求項5】
前記ダイシング用基体フィルム全厚さに対する、前記中間層の厚さの割合は、20%以上、30/90以下である、請求項1~4のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)の密度は、1.1~1.3g/cm 3 である、請求項1~5のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項記載のダイシング用基体フィルムの表層側に、粘着剤層とダイボンド層とをこの順に設けたステルスダイシングフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハをチップ状にダイシングする際に、半導体ウェハに貼着して固定し使用される、ダイシング用基体フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを製造する方法として、半導体ウェハを予め大面積で製造し、次いでその半導体ウェハをチップ状にダイシング(切断分離)し、最後にダイシングされたチップをピックアッップする方法がある。半導体ウェハの切断方法として、近年、レーザー加工装置を用い、半導体ウェハに接触することなく半導体ウェハを切断(分断)するステルスダイシング(登録商標)が知られている。
【0003】
ステルスダイシング(登録商標)による半導体ウェハの切断性(分断性)を向上させる方法として、-15~5℃の低温条件下でエキスパンドを実施することによって、ダイシングテープ上に設けたダイボンドフィルムの伸びを抑制し、且つ応力を増加させる方法で、半導体ウェハとダイボンドフィルムとが一括して良好に切断(分断)されるウェハ加工用テープが知られている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-185584号公報
【文献】特開2015-185591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱による復元性が高く、ラック回収性に優れたダイシング用基体フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、更に、低温条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、均一に伸張するダイシング用基体フィルムを提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、更に、ステルスダイシング(登録商標)(レーザーダイシング)後、半導体ウェハとダイボンド層を切断(分断)する場合に、低温条件(-15~5℃)及び高速条件でエキスパンドを実施しても、良好に伸張するダイシング用基体フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
半導体製造ラインでは、エキスパンド工程後に加工途中の製品が残ったシート(ダイシング用基体フィルムを含むダイシングフィルム)を、ラックにおいて一時的に保管することが望まれている。その際に、シートにたるみが残ったままであると、ラックに良好に収納できない、製品同士が衝突し欠陥が生じる等の問題に繋がる傾向があった。該ラックは、当業界で用いられる名称であり、他にジッパーやケース等とも呼ばれている。
【0009】
これを解決するためには、エキスパンド工程後にシートのたるみを解消する必要がある。その方法として、ヒートシュリンク技術(加熱収縮復元技術)が存在する。これは、エキスパンド工程によって生じたたるみ部を加熱することでその部分を収縮させ、たるみを解消するというもの(加熱収縮による復元率が高いということ)である。
【0010】
例えば-15~5℃の低温条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが均一に伸張し、半導体ウェハが良好に切断されることが求められている。
【0011】
更に、例えばステルスダイシング(登録商標)後、前記低温条件に加えて、高速条件でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが良好に伸張し、半導体ウェハとダイボンド層が良好に切断(分断)されることが求められている。
【0012】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。
【0013】
ダイシング用基体フィルムが、下記の表層/中間層/裏層の順に積層された構成を含み、中間層にポリウレタン系樹脂を用いることで、エキスパンド工程後のシート(ダイシング用基体フィルムを含むダイシングフィルム)のたるみが、ヒートシュリンク技術(加熱収縮復元技術)により良好に解消されることを見出した。
【0014】
前記ダイシング用基体フィルムは、低温条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが均一に伸張することを見出した。前記ダイシング用基体フィルムは、低温条件に加えて、高速条件でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが良好に伸張することを見出した。
【0015】
項1.
表層/中間層/裏層の順に積層された構成を含むダイシング用基体フィルムであって、 表層及び裏層はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなり、
中間層はポリウレタン系樹脂を含む樹脂組成物からなる、
ダイシング用基体フィルム。
【0016】
項2.
前記表層及び/又は裏層が、単層又は複層である、前記項1記載のダイシング用基体フィルム。
【0017】
項3.
前記ポリエチレン系樹脂が、分岐鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、及びアイオノマー樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、前記項1又は2に記載のダイシング用基体フィルム。
【0018】
項4.
前記ポリウレタン系樹脂が、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)である、前記項1~3のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
【0019】
項5.
前記項1~4のいずれか1項記載のダイシング用基体フィルムの表層側に、粘着剤層とダイボンド層とをこの順に設けたダイシングフィルム。
【発明の効果】
【0020】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、使用済みのダイシングフィルムのラックへの回収が、より迅速にかつ簡便に行える。つまり、本発明のダイシング用基体フィルムは、熱による復元性が高く、つまりヒートシュリンク性が良好に発揮され、ラック回収性に優れている。
【0021】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、低温条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが均一に伸張する。
【0022】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、例えばステルスダイシング(登録商標)後、半導体ウェハとダイボンド層を切断(分断)する場合に、低温条件及び高速条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが良好に伸張する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ダイシング用基体フィルムに関する。
【0024】
更に本発明は、ダイシング用基体フィルム上に粘着剤層とダイボンド層をこの順に設けたダイシングフィルムに関する。
【0025】
(1)ダイシング用基体フィルム
本発明のダイシング用基体フィルムは、
表層/中間層/裏層の順に積層された構成を含むことを特徴とする。
【0026】
前記表層及び/又は裏層が、単層又は複層であることが好ましい。
【0027】
以下、本発明のダイシング用基体フィルムを構成する各層について詳細に説明する。
【0028】
(1-1)表層
表層は、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる。
【0029】
表層に含まれるポリエチレン系樹脂として、分岐鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、及びアイオノマー樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を用いることが好ましい。
【0030】
表層は、これら少なくとも1種の成分を含む樹脂組成物からなることで、ダイシング用基体フィルムのエキスパンド性、即ち、基材の引張物性に優れる。
【0031】
その他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリプロピレン系樹脂を配合しても良い。
【0032】
エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、30g/10分程度以下であれば良く、20g/10分程度以下が好ましく、15g/10分程度以下がより好ましく、10g/10分程度以下が更に好ましい。上記MFRを10g/10分以下に設定することにより、中間層との粘度差を抑制できるため、安定した製膜が可能となる。
【0033】
また、EVAのMFRは、樹脂の押出しを容易にするため、0.1g/10分程度以上が好ましく、0.3g/10分程度以上がより好ましい。
【0034】
EVAの密度は、0.9~0.96g/cm3程度が好ましく、0.92~0.94g/cm3程度がより好ましい。
【0035】
分岐鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、10g/10分程度以下が好ましく、6g/10分程度以下がより好ましい。上記MFRを10g/10分以下に設定することにより、中間層との粘度差を抑制できるため、安定した製膜が可能となる。
【0036】
また、LDPEのMFRは、樹脂の押出しを容易にするため、0.1g/10分程度以上が好ましく、0.3g/10分程度以上がより好ましい。
【0037】
LDPEの密度は、0.9~0.94g/cm3程度が好ましく、0.91~0.93g/cm3程度がより好ましい。
【0038】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、10g/10分程度以下が好ましく、6g/10分程度以下がより好ましい。上記MFRを10g/10分以下に設定することにより、中間層との粘度差を抑制できるため、安定した製膜が可能となる。
【0039】
また、LLDPEのMFRは、樹脂の押出しを容易にするため、0.1g/10分程度以上が好ましく、0.3g/10分程度以上がより好ましい。
【0040】
LLDPEの密度は、0.9~0.94g/cm3程度が好ましく、0.91~0.93g/cm3程度がより好ましい。
【0041】
ここで、メルトフローレート(MFR)はISO 1133に準拠して求めたものであり、密度はISO 1183-1:2004に準拠して求めたものである。
【0042】
表層には、必要に応じ、更に帯電防止剤を含んでいても良い。前記表層で使用できる帯電防止剤を、表層においても使用できる。表層で用いられる帯電防止剤としては、アニオン系,カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤を選択できるが、とりわけ持続性、耐久性の点から、PEEA樹脂、親水性PO樹脂等のノニオン系界面活性剤が好適である。
【0043】
表層が帯電防止剤を含む場合、帯電防止剤の含有量は、表層の樹脂組成物中、帯電防止剤を5~25重量%程度が好ましく、7~22重量%程度がより好ましい。帯電防止剤を前記範囲で配合することにより、エキスパンドリングと接して一様にエキスパンドされる場合の表層の滑り性を損なうことがない。
【0044】
また、有効に半導電性が付与されるため、発生する静電気を素早く除電することが可能となる。例えば、上記した範囲で帯電防止剤を含有させた本発明のダイシング用基体フィルムは、その裏面の表面抵抗率が107~1012Ω/□程度となるため好ましい。
【0045】
表層には、更にアンチブロッキング剤等を加えても良い。アンチブロッキング剤を添加することにより、ダイシング用基体フィルムをロール状に巻き取った場合等のブロッキングが抑えられ好ましい。アンチブロッキング剤としては、無機系又は有機系の微粒子を例示することができる。
【0046】
(1-2)裏層
裏層は、表層と同様に、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる。
【0047】
表層に用いられるポリエチレン系樹脂を使用してもよく、表層とは異なるポリエチレン系樹脂を使用してもよい。
【0048】
また、必要に応じて、表層と同様、帯電防止剤やアンチブロッキング剤を含んでいても良い。
【0049】
本発明のダイシング用基体フィルムは、前記表層及び/又は裏層が、単層であっても良いし、複層であっても良い。本発明のダイシング用基体フィルムは、必要に応じて、表層及び/又は裏層を複数層設けることができる。
【0050】
表層及び/又は裏層を複層とする場合、最表層側から順に表層-1、表層-2、表層-3、・・・と表し、また、最裏層側から順に裏層-1、裏層-2、裏層-3、・・・と表す。
【0051】
(1-3)中間層
中間層は、ポリウレタン系樹脂(PU)を含む樹脂組成物からなる。
【0052】
前記PUは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)であることが好ましい。
【0053】
ダイシング用基体フィルムが、ポリウレタン系樹脂(PU)を含む樹脂組成物からなる中間層を有することにより、エキスパンド性を向上させることが可能である。
【0054】
ダイシング用基体フィルムが、ポリウレタン系樹脂(PU)を含む樹脂組成物からなる中間層を有することにより、例えばステルスダイシング(登録商標)後、半導体ウェハとダイボンド層を切断(分断)する場合に、低温条件及び高速条件でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが良好に伸張する。
【0055】
(i)ポリウレタン系樹脂(PU)
ポリウレタン系樹脂(PU)として、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を用いることが好ましい。TPUとしては、ポリイソシアネート、ポリオール及び鎖伸長剤を反応させることにより得られるものであり、ポリオールとポリイソシアネートの反応によってできたソフトセグメントと鎖伸長剤とポリイソシアネートの反応によってできたハードセグメントとからなるブロックコポリマーである。
【0056】
ポリイソシアネートとしては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はヘキサメチレンジイソシアネートが、熱可塑性ポリウレタン樹脂の耐擦過傷性の点で好ましい。
【0057】
ポリオールとしては、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールは、ジカルボン酸とジオールの重縮合反応により得られる。
【0058】
ポリエステルポリオールの製造に用いられるジオールは具体的には、エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、これらの単独、或いは併用したものである。
【0059】
また、本発明に用いられるジカルボン酸は、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらの単独、或いは併用したものである。
【0060】
これらのポリオールのうち、熱可塑性ポリウレタン樹脂が高い反発弾性が得られるという点で、ポリテトラメチレンエーテルグリコールであることが好ましい。また、かかるポリオールの数平均分子量は、1,000~4,000であるのが好ましく、数平均分子量が2,000~3,000であるものが特に好ましい。
【0061】
また、鎖伸長剤としては、例えばエタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の炭素原子数が2~6の脂肪族直鎖ジオール、1,4-ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等が挙げられる。ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トリレンジアミン、モノエタノールアミン等のようなアミン類も一部併用して用いることができる。これらのうち、熱可塑性ポリウレタン樹脂の耐擦過傷性の点で炭素原子数が2~6の脂肪族直鎖ジオールが好ましい。
【0062】
熱可塑性ポリウレタン樹脂の密度は、1.1~1.5g/cm3程度が好ましく、1.1~1.3g/cm3程度がより好ましい。
【0063】
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記の原料をワンショット法、プレポリマー法等の公知の方法を用いて製造できる。
【0064】
PUとしては、例えば、ディーアイシーコベストロポリマー(株)製のパンデックス、日本ミラクトラン(株)製のミラクトラン等が挙げられる。
【0065】
中間層は、構成する樹脂組成物が、前記(i)PUに加えて、(ii)ポリエチレン系樹脂を含んでも良い。
【0066】
(ii)ポリエチレン系樹脂
ポリエチレン系樹脂は、表層で使用可能な樹脂を用いることができる。
【0067】
表層で使用されているポリエチレン系樹脂と同じ樹脂を中間層に用いてもよく、表層で使用されているポリエチレン系樹脂と異なる樹脂を用いてもよい。ポリエチレン系樹脂として、上記PUと共に、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)を用いることが好ましい。
【0068】
中間層にポリエチレン系樹脂を含む場合の含有割合は、0~80重量%が好ましく、0~70重量%が好ましい。
【0069】
ポリエチレン系樹脂が0~80重量%の範囲であれば、ダイシング用基体フィルムのエキスパンド性、すなわち引張物性が良好である。
【0070】
(1-4)ダイシング用基体フィルムの層構成
本発明のダイシング用基体フィルムは、表層/中間層/裏層の順に積層された構成を含む。
【0071】
表層は、ウェハ接触側であり、粘着層と接する層である。
【0072】
中間層は、各樹脂単独で層(単層)を形成しても良いし、樹脂の混合物で層(単層)を形成しても良いし、樹脂毎に層(多層)を形成しても良い。
【0073】
本発明のダイシング用基体フィルムでは、前記表層及び/又は裏層が、単層又は複層であることが好ましい。表裏層は、LDPE、EVA等が、各樹脂で層(単層)を形成しても良いし、樹脂の混合物で層(単層)を形成しても良いし、樹脂毎に層(多層)を形成しても良い。
【0074】
本発明のダイシング用基体フィルムの全体の厚さとしては、50~300μm程度が好ましく、70~200μm程度がより好ましく、80~150μm程度が更に好ましい。ダイシング用基体フィルムの全体の厚さを50μm以上に設定することにより、半導体ウェハをダイシングする際に、半導体ウェハを衝撃から保護することが可能となる。
【0075】
ダイシング用基体フィルム全厚さに対し、表層及び裏層の厚さの割合は4~80%程度が好ましく、10~60%程度がより好ましい。
【0076】
ダイシング用基体フィルム全厚さに対し、中間層の厚さの割合は20~96%程度が好ましく、40~90%程度がより好ましい。
【0077】
ダイシング用基体フィルムの具体例として、ダイシング用基体フィルムの全厚さが60~100μm程度の場合を説明する。
【0078】
表層及び裏層の厚さは、各2~44μm程度が好ましく、各10~38μm程度がより好ましい。表層及び裏層が複層である時は、総厚さとして、上記の厚み範囲内で各層を形成すればよい。
【0079】
中間層の厚さは12~96μm程度が好ましく、24~80μm程度がより好ましい。中間層が複層である時は、総厚さとして、上記の厚み範囲内で各層を形成すればよい。
【0080】
3種5層とする例(表層-1/表層-2/中間層/裏層-2/裏層-1)
3種5層とする例では、上述したとおり、表層-1と表層-2の総厚さが上記表層の厚さの範囲となり、同様に、裏層-1と裏層-2の総厚さが上記裏層の厚さの範囲となる。
【0081】
表層-1と表層-2は、同種のポリエチレン系樹脂を用いてもよく、異種のポリエチレン系樹脂を用いてもよい。
【0082】
裏層-1と裏層-2は、同種のポリエチレン系樹脂を用いてもよく、異種のポリエチレン系樹脂を用いてもよい。
【0083】
同種のポリエチレン系樹脂を用いる場合として、例えば、EVAを用いる場合、表層-2及び裏層-2に用いるEVAは、表層-1及び裏層-1に用いるEVAに比べ、ビニル基の含有量(VA含有量)が高いEVAを用いることが好ましい。
【0084】
表層-1及び裏層-1では、VA含有量が5~15重量%程度のEVAを用いることが好ましく、7~13重量%程度のEVAを用いることがより好ましい。
【0085】
表層-2及び裏層-2では、VA含有量が15~33重量%程度のEVAを用いることが好ましく、28~33重量%程度のEVAを用いることがより好ましい。
【0086】
また、MFRの観点では、表層-2及び裏層-2に用いるEVAは、表層-1及び裏層-1に比べて、メルトフローレート(MFR)が高いEVAを用いることが好ましい。
【0087】
表層-1及び裏層-1では、EVAの190℃におけるMFRは0.1g/10分~10g/10分程度が好ましく、5g/10分~10g/10分程度がより好ましい。
【0088】
表層-2及び裏層-2では、EVAの190℃におけるMFRは、10g/10分~40g/10分程度が好ましく、12g/10分~35g/10分程度がより好ましい。
【0089】
(2)ダイシング用基体フィルムの製法
表層/中間層/裏層のダイシング用基体フィルムは、表層、中間層、及び裏層用の樹脂組成物を多層共押出成形して製造することができる。具体的には、前記表層用樹脂組成物、中間層用樹脂組成物、及び裏層用樹脂組成物を、表層/中間層/裏層の順に積層されるよう共押出成形することにより製造することができる。
【0090】
更に、表層及び裏層を複層構成にする場合には、各表層及び裏層用の樹脂組成物を夫々の押出機に投入し、例えば、表層-1/表層-2/中間層/裏層-2/裏層-1の順に積層されるように共押出成形することにより製造することができる。
【0091】
表層を構成する樹脂組成物には、必要に応じて更に帯電防止剤を加えることができる。裏層も同様である。
【0092】
上記した各層用樹脂を夫々この順でスクリュー式押出機に供給し、180~240℃で多層Tダイからフィルム状に押出し、これを30~70℃の冷却ロ-ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。或いは、各層用樹脂を一旦ペレットとして取得した後、上記の様に押出成形してもよい。
【0093】
引き取りの際に実質的に無延伸とするのは、ダイシング後に行うフィルムの拡張を有効に行うためである。この実質的に無延伸とは、無延伸、或いは、ダイシングフィルムの拡張に悪影響を与えない程度の僅少の延伸を含むものである。通常、フィルム引き取りの際に、たるみの生じない程度の引っ張りであれば良い。
【0094】
(3)ダイシングフィルムの製造
本発明のダイシングフィルムは、周知の技術に沿って製造することができる。例えば、粘着剤層を構成する粘着剤を有機溶剤等の溶媒に溶解させ、これをダイシング用基体フィルム上に塗布し、溶媒を除去することにより基体フィルム/粘着剤層の構成のフィルムを得ることができる。
【0095】
ダイボンド層を構成する樹脂組成物を、有機溶剤等の溶媒に溶解させ、別のフィルム(剥離フィルム)上に塗布し、溶媒を除去することによって、ダイボンドフィルムを作製する。
【0096】
更に、前記粘着剤層とダイボンド層を対向するように重ね合わせることにより、ダイシングフィルムを作製する。これにより、基体フィルム/粘着剤層/ダイボンド層の構成のフィルムを得ることができる。この段階ではダイボンド層は、半導体ウェハと粘着層と弱く(擬似)接着した状態で、貼り合わされている。
【0097】
エキスパンド後、分断された半導体チップとダイボンド層は、所定のパッケージ又は半導体チップを積層させて、ダイボンド層が強く接着する温度まで過熱し、接着させる。
【実施例
【0098】
以下に、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0099】
(1)ダイシング用基体フィルムの原料
表1にダイシング用基体フィルムの原料を示した。
【0100】
【表1】
【0101】
[略称の説明]
PE-1~9:ポリエチレン系樹脂1~9
SEBS:スチレン-ブタジエン共重合体水素添加物
(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)
TPU:熱可塑性ポリウレタン(PU)
非晶性PO:非晶性ポリオレフィン
LDPE:分岐状低密度ポリエチレン
EVA:エチレン-酢酸ビニル共重合体
VA含量:酢酸ビニル含有割合
EMAA:エチレン-メタクリル酸共重合体
MAA含量:メタクリル酸含有量
St含量:スチレン含有割合
(ビニル芳香族炭化水素系樹脂中のビニル芳香族炭化水素(St)成分の含有量)
【0102】
(2)表層/中間層/裏層のダイシング用基体フィルムの製造
表2に記載の表層/中間層/裏層(3層)となるように、各成分及び組成で樹脂組成物を配合し、ダイシング用基体フィルムを作製した。
【0103】
各層を構成する樹脂組成物を、220℃に調整された夫々の押出機に投入し表層/中間層/裏層の順序になるように、220℃のTダイスにより押出し、積層し、30℃の冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の3層フィルムを得た。
【0104】
【表2】
【0105】
(3)表層-1/表層-2/中間層/裏層-2/裏層-1のダイシング用基体フィルムの製造
表3及び4に記載の表層-1/表層-2/中間層/裏層-2/裏層-1(5層)となるように、各成分及び組成で樹脂組成物を配合し、ダイシング用基体フィルムを作製した。
【0106】
各層を構成する樹脂組成物を、220℃に調整された夫々の押出機に投入し表層-1/表層-2/中間層/裏層-2/裏層-1の順序になるように、220℃のTダイスにより押出し、積層し、30℃の冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
(4)ダイシング用基体フィルムの評価
(4-1)低温エキスパンド性(Ex性)
<評価方法>
(引張伸度の測定)
フィルムのMD方向(フィルム成形の押出方向)及びTD方向(フィルム成形により成形されたフィルムの幅方向)について、200mm/minの引張速度で、10mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを用いて、フィルムの引張伸度測定を行った。
【0110】
(25%モジュラスの測定)
フィルムのMD方向(フィルム成形の押出方向)及びTD方向(フィルム成形により成形されたフィルムの幅方向)について、200mm/minの引張速度で、10mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを用いて、SSカーブ(応力-ひずみ曲線)を得た。
【0111】
得られたSSカーブの、伸び率25%における応力値を夫々読み取った。
【0112】
<評価基準>
(ア)低温エキスパンド性(低温Ex性)
○:引張試験を行った際に、伸び率が100%以上である。
×:引張試験を行った際に、フィルム伸び率が100%未満である。
【0113】
(イ)均一エキスパンド性(均一Ex性)
MD方向の伸び率25%における応力値と、TD方向の伸び率25%における応力値の比を求め、モジュラス比(MD/TD)とした。
○:モジュラス比(MD/TD)が1.5未満である。
×:モジュラス比(MD/TD)が1.5以上である。
【0114】
モジュラス比(MD/TD)が、前記範囲にあることで、ダイシング用基体フィルムは、-15~5℃の低温条件下で、良好な均一エキスパンド性(均一Ex性)を発揮する。
【0115】
(4-2)低温高速エキスパンド性(低温高速Ex性)
<評価方法>
(破断伸び(最大伸び)(%)の測定)
引張試験:株式会社島津製作所製「HYDROSHOT・HITS-T10」を用いて、-15±2℃環境下で、250mm/secの引張速度で、25mm幅でチャック間距離が10mmになるように加工したフィルムサンプルを、MD方向及びTD方向に、破断するまで伸ばした。
【0116】
荷重と伸びのデータプロットより、SSカーブ(応力-ひずみ曲線)を作成し、破断伸び(最大伸び)を算出した。
【0117】
<評価基準>
(高速引張試験評価(機械特性))
○:MD及びTD方向の破断引張伸びが120%以上である。
×:MD及びTD方向の破断引張伸びが120%未満である。
【0118】
この評価方法では、引張速度を250mm/secに設定して、引張試験を行うことで、低温条件に加えて、高速条件でのエキスパンド性を評価している。そして、フィルムのMD及びTD方向の破断引張伸びが120%以上であることで、例えばステルスダイシング(登録商標)後、低温条件(-15~5℃)及び高速条件でのエキスパンドを実施する際に、フィルムが良好に伸張する。
【0119】
(4-3)ヒートシュリンク性(HS性)
条件1-引張試験:株式会社島津製作所製「オートグラフAG-500NX TRAPEZIUM X」を用いて、-15±2℃環境下で、200mm/minの引張速度で、10mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを、MD方向及びTD方向に、夫々200%伸ばした。
【0120】
条件2-収縮試験:三菱重工冷熱株式会社製「恒湿器TBP105DA」を用いて、設定温度80℃にて5秒間サンプルを加熱させた。
【0121】
<評価方法>
長さ100mm(標線間隔40mm+つかみシロ(上下に30mmずつ))、幅10mmの大きさのフィルム短冊サンプルを作成し、上記条件1にて伸長させた。
【0122】
200%伸長させた状態にて10秒間保持した後、チャックを元の位置に戻し、チャックを開放し、サンプルを上記条件2にて収縮させた。
【0123】
収縮後の標線間隔L[mm]を測定し、下記計算式にて、回復率を算出した。
【0124】
回復率[%]={(120-L)/80}×100
MD方向及びTD方向共に、回復率を測定し、これをヒートシュリンク性(HS性)と表した。
【0125】
<評価基準>
(ア)ヒートシュリンク性(HS性)
○:ヒートシュリンクにより、回復率が70%以上である。
回復率は、90~110%であることがより好ましい。
×:ヒートシュリンクにより、回復率が70%未満である。
【0126】
MD及びTD方向の回復率が、前記範囲にあることで、ダイシング用基体フィルムは、80℃環境下で、良好なヒートシュリンク性(HS性)を発揮する。
【0127】
(イ)均一ヒートシュリンク性(均一HS性)
○:MD方向の回復率とTD方向の回復率との比(MD/TD)が1.2未満である。
回復率の比(MD/TD)は、0.9~1.15であることがより好ましい。
×:回復率の比(MD/TD)が1.2以上である。
【0128】
回復率の比(MD/TD)が、前記範囲にあることで、ダイシング用基体フィルムは、80℃の条件下で、良好な均一ヒートシュリンク性(均一HS性)を発揮する。
【0129】
【表5】
【0130】
【表6】
【0131】
本発明のダイシング用基体フィルム(実施例1~12)は、低温条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、ダイシングフィルムが均一に伸張した。
【0132】
【表7】
【0133】
本発明(実施例)のダイシング用基体フィルムは、比較例に比べて、ヒートシュリンク性(HS性)の数値が有意に大きな値となった。つまり、本発明のダイシング用基体フィルムは、ヒートシュリンク性がより良好であった。
【0134】
低温エキスパンド性(Ex性)は、本発明(実施例)及び比較例のダイシング用基体フィルムで、どちらも許容範囲であった。
【0135】
本発明(実施例)のダイシング用基体フィルムは、比較例に比べて、低温高速エキスパンド性(低温高速Ex性)が良好であった。
【0136】
(5)考察
ヒートシュリンク性
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、ダイシングフィルム(シート)は、エキスパンド工程を経た後でも、生じたたるみ部を加熱することでその部分を収縮させ、たるみを解消することができる。
【0137】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、特にダイシングフィルム(シート)は、加熱収縮による復元率が高い。
【0138】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、使用済みのダイシングフィルムのラックへの回収が、より迅速にかつ簡便に行える。つまり、本発明のダイシング用基体フィルムは、熱による復元性が高く、しかもダイシングフィルムが均一に回復する。つまりヒートシュリンク性が良好に発揮され、ラック回収性に優れている。また、本発明のダイシング用基体フィルムを用いた製品同士は衝突せず欠陥が生じない。
【0139】
エキスパンド性
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、低温条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、エキスパンド性は良好で、しかもダイシングフィルムが均一に伸張する。本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、低温条件下で実施されるエキスパンドにおいて、半導体ウェハとダイボンド層が一括して良好に切断(分断)される。
【0140】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、特に、ステルスダイシング(登録商標)後、半導体ウェハとダイボンド層を切断(分断)する場合に、低温条件及び高速条件下でエキスパンドを実施した場合であっても、エキスパンド性が良好であり、ダイシングフィルムが良好に伸張する。本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、低温条件及び高速条件下で実施されるエキスパンドにおいて、半導体ウェハとダイボンド層が一括して良好に切断(分断)される。
【0141】
本発明のダイシング用基体フィルムを用いると、半導体製品の小型化が進み、シートにおいてより拡張すること(エキスパンド性)が求められる中で、より拡張性・収縮性が高いシートとなる。