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特許7421359印刷装置および印刷時間表示用のコンピュータプログラム
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  • 特許-印刷装置および印刷時間表示用のコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷時間表示用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240117BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/42 F
B41J29/38 205
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020019537
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021123061
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 成一
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-144699(JP,A)
【文献】特開2002-234237(JP,A)
【文献】特開2015-093403(JP,A)
【文献】特開2017-114047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から印刷データを受信する受信部と、
前記印刷データに基づいて、被印刷物に印刷を行う印刷制御部と、
前記印刷制御部が実際に印刷を行った時間である実印刷時間を計測する実印刷時間計測部と、
前記実印刷時間を前記印刷データのファイル名と対応付けて保存する実印刷時間保存部と、
前記印刷データのファイル名に基づいて、前記印刷データの印刷が初めてか否かを判定する印刷回数判定部と、
前記印刷回数判定部によって前記印刷データの印刷が初めてではないと判定された場合に、前記印刷データのファイル名と対応付けて保存されている前記実印刷時間に基づいて、表示画面に印刷時間を表示する印刷時間表示部と、
を備える印刷装置であって、
前記印刷制御部が前記印刷を行っている際に、前記印刷装置のステータス情報を取得するステータス取得部と、
前記ステータス取得部によってエラー発生の情報が取得された場合に、エラーが発生したと判定するエラー判定部と、
をさらに備え、
前記実印刷時間保存部は、前記エラー判定部によってエラーが発生しなかったと判定された場合に前記実印刷時間を保存し、前記エラー判定部によってエラーが発生したと判定された場合に前記実印刷時間を保存しないように構成されている、
印刷装置。
【請求項2】
前記印刷時間は、前記印刷が完了するまでの残り時間である、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷時間表示部は、前記印刷回数判定部によって前記印刷データの印刷が初めてであると判定された場合に計測された前記実印刷時間に基づいて、前記印刷時間を表示するように構成されている、
請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記表示画面は、前記印刷装置に設けられている、
請求項1からまでの何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記表示画面は、前記印刷装置と通信可能に接続された通信機器に設けられている、
請求項1からまでの何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記被印刷物が載置されるテーブルと、
前記テーブルに載置された前記被印刷物に対してインクを吐出するインクヘッドと、
をさらに備える、
請求項1からまでの何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷データに基づいて印刷制御部が被印刷物に印刷を行う印刷装置において、コンピュータを、
実際に前記印刷を行った時間である実印刷時間を計測する実印刷時間計測部と、
前記実印刷時間を前記印刷データのファイル名と対応付けて保存する実印刷時間保存部と、
前記印刷データのファイル名に基づいて、前記印刷データの印刷が初めてか否かを判定する印刷回数判定部と、
前記印刷回数判定部によって前記印刷データの印刷が初めてではないと判定された場合に、前記印刷データのファイル名と対応付けて保存されている前記実印刷時間に基づいて、表示画面に印刷時間を表示する印刷時間表示部と、
前記印刷制御部が前記印刷を行っている際に、前記印刷装置のステータス情報を取得するステータス取得部と、
前記ステータス取得部によってエラー発生の情報が取得された場合に、エラーが発生したと判定するエラー判定部と、
して動作させ
前記実印刷時間保存部は、前記エラー判定部によってエラーが発生しなかったと判定された場合に、前記実印刷時間を保存し、前記エラー判定部によってエラーが発生したと判定された場合には、前記実印刷時間を保存しないように構成されている、
印刷時間表示用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷時間表示用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被印刷物が載置されるテーブルと、テーブル上の被印刷物にインクを吐出するインクヘッドと、を備え、立体形状を有する被印刷物に所望の画像を印刷する印刷装置が知られている。近年、こうした印刷装置は、大量の被印刷物(例えば携帯電話ケース等)に連続して印刷を行うマスプロダクション(量産)で利用されている。
【0003】
印刷装置を用いて印刷成果物を量産する場合、ユーザは、テーブル上に被印刷物を載置した後、例えばホストコンピュータ等の外部機器から印刷装置に印刷データを送信して、印刷を開始させる。そして、印刷が完了したら被印刷物を入れ替え、再び印刷装置に印刷データを送信して、印刷を再開させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-216360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
量産の生産効率を高める観点からは、印刷が完了したら直ちに被印刷物を入れ替え、印刷を再開させることが好ましい。すなわち、印刷待機時間をなるべく短くすることが好ましい。しかし、印刷に要する時間がわからないと、ユーザは、印刷を行っている間、その場から離れられず、印刷装置の近くに常駐して、印刷の進捗状況を何度も確認する必要がある。このため、ユーザからは印刷に要する時間を把握して、印刷が完了するまでの間、別の作業を行うことで作業を効率化したい要望があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷成果物を量産する場合に、ユーザが印刷に要する時間を把握することができる印刷装置および印刷時間表示用のコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、外部機器から印刷データを受信する受信部と、前記印刷データに基づいて、被印刷物に印刷を行う印刷制御部と、前記印刷制御部が実際に印刷を行った時間である実印刷時間を計測する実印刷時間計測部と、前記実印刷時間を前記印刷データのファイル名と対応付けて保存する実印刷時間保存部と、前記印刷データのファイル名に基づいて、前記印刷データの印刷が初めてか否かを判定する印刷回数判定部と、前記印刷回数判定部によって前記印刷データの印刷が初めてではないと判定された場合に、前記印刷データのファイル名と対応付けて保存されている前記実印刷時間に基づいて、表示画面に印刷時間を表示する印刷時間表示部と、を備える、印刷装置が提供される。
【0008】
また、本発明により、印刷データに基づいて被印刷物に印刷を行う印刷装置において、コンピュータを、実際に前記印刷を行った時間である実印刷時間を計測する実印刷時間計測部と、前記実印刷時間を前記印刷データのファイル名と対応付けて保存する実印刷時間保存部と、前記印刷データのファイル名に基づいて、前記印刷データの印刷が初めてか否かを判定する印刷回数判定部と、前記印刷回数判定部によって前記印刷データの印刷が初めてではないと判定された場合に、前記印刷データのファイル名と対応付けて保存されている前記実印刷時間に基づいて、表示画面に印刷時間を表示する印刷時間表示部と、して動作させるように構成されている、印刷時間表示用のコンピュータプログラムが提供される。
【0009】
上記印刷装置および上記印刷時間表示用のコンピュータプログラムによれば、印刷成果物を量産する場合に、2回目以降の印刷時において、それ以前に計測、保存された実印刷時間に基づき、印刷時間が示される。これにより、ユーザは印刷に要する時間を把握することができる。そのため、ユーザは印刷が完了するまで心置きなく印刷装置から離れることができ、自由に別の作業を行うことができる。したがって、ユーザは印刷が完了するまでの時間を有効に活用することができる。
【0010】
なお、印刷に要する時間を予測し、それに基づいてプリンタの表示部に印刷終了時間を表示する従来技術文献としては、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、プリンタドライバを有するコンピュータと、コンピュータに接続されたプリンタと、を備える印刷システムにおいて、コンピュータが、ページ記述言語(Page description language:PDL)に基づいて印刷に要する時間を計算し、予測することが記載されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷成果物を量産する場合に、ユーザが印刷に要する時間を把握することができる印刷装置および印刷時間表示用のコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の斜視図である。
図2図1の印刷装置の正面図である。
図3図1の印刷装置の平面図である。
図4】キャリッジの拡大図である。
図5】制御部の機能ブロック図である。
図6】印刷動作の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0014】
図1は、印刷装置10の斜視図である。図2は、印刷装置10の正面図である。図3は、印刷装置10の平面図である。なお、以下の説明において、左、右、上、下とは、印刷装置10の正面にいるユーザ(印刷装置10の使用者)から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、印刷装置10からユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。また、図面中の符号X、Y、Zは、それぞれ前後方向、左右方向、上下方向を表す。ただし、これは説明の便宜上の方向に過ぎず、印刷装置10の設置形態を何ら限定するものではない。
【0015】
印刷装置10は、ホストコンピュータ等の外部機器1(図1参照)から印刷データを受信し、当該印刷データに基づいて被印刷物70(図3参照)に画像を印刷する装置である。なお、本明細書において「画像」とは、被印刷物70の上に形成される像のことであり、その内容は特に限定されない。画像には、文字、数字、記号、図形、絵柄、模様等が含まれる。また、被印刷物70の形状や材質は、特に限定されない。被印刷物70は、例えば、印刷紙や転写紙、カード等の平面素材であってもよいし、携帯電話ケース等の各種ケース、電子タバコ等の小型電子機器、キーホルダ、フォトフレーム等の部品小物、万年筆、ボールペン等の文房具、日用品、コスメ、アクセサリ等の立体素材であってもよい。
【0016】
被印刷物70の材質は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類はもちろんのこと、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体等の樹脂類、織布や不織布等の布帛、皮革、アルミニウムやステンレス鋼等の金属類、カーボン、陶器、セラミック、ガラス、ゴム等であってもよい。
【0017】
印刷装置10は、ここでは光硬化型のインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)である。なお、本明細書において「インクジェットプリンタ」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式等の連続方式や、サーマル方式、あるいは圧電素子方式等の各種のオンデマンド方式を利用した印刷装置全般をいう。
【0018】
図2に示すように、印刷装置10は、所謂、フラットベッドタイプのプリンタである。印刷装置10は、左右方向Yに延びた箱状に形成されている。印刷装置10は、開口11を有するケーシング12と、開口11を開閉自在に覆うフロントカバー13と、を備えている。フロントカバー13は、後端を軸にして回転可能なように、ケーシング12に支持されている。フロントカバー13の後端を軸にしてフロントカバー13が上方に開かれることにより、ケーシング12の内部空間と外部空間とが連通される。
【0019】
図3に示すように、印刷装置10の上面には、操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、ユーザが印刷に関する操作を行ったり、印刷装置10のステータス情報を確認したりするためのものである。操作パネル14は、ここではケーシング12の右端部に設けられている。ただし、操作パネル14の位置は特に限定されない。操作パネル14には、表示部15と、ユーザによって操作される入力キー16と、が設けられている。表示部15は、表示画面の一例である。なお、図3は、フロントカバー13を取り外した状態を表している。
【0020】
図2に示すように、印刷装置10は、テーブル20と、第1テーブル移動機構21と、第2テーブル移動機構22と、キャリッジ30と、キャリッジ移動機構31と、インクヘッド40(図4参照)と、インクタンク41、42と、光照射装置50(図4参照)と、制御部60(図5も参照)と、を備えている。以下、各構成要素について説明する。
【0021】
テーブル20は、ケーシング12の内部空間に配置されている。テーブル20は、印刷動作時に被印刷物70が載置される台である。テーブル20は、キャリッジ30よりも下方に設けられている。テーブル20は、平板状の部材である。図2に示すように、正面視において、テーブル20の表面はフラットである。図3に示すように、平面視において矩形状の部材である。テーブル20は、後述する第1テーブル移動機構21によって、前後方向Xに移動可能に構成されている。テーブル20は、後述する第2テーブル移動機構22によって、上下方向Zに移動可能に構成されている。
【0022】
第1テーブル移動機構21は、テーブル20を前後方向Xに移動させる機構である。図2に示すように、第1テーブル移動機構21は、テーブル20の真下に配置されている。第1テーブル移動機構21は、スライドレール21a、21bと、搬送部材21cと、前後移動用モータ21d(図5参照)と、を備えている。図3に示すように、スライドレール21a、21bは、前後方向Xに延びている。スライドレール21a、21bは、平行に配置されている。搬送部材21cは、スライドレール21a、21bに対して摺動自在に設けられている。搬送部材21cの上方には、第2テーブル移動機構22を介して、テーブル20が支持されている。前後移動用モータ21dは、制御部60と電気的に接続されており、制御部60によって制御される。前後移動用モータ21dが駆動すると、スライドレール21a、21bに沿って搬送部材21cが前後方向Xに移動する。これにより、テーブル20が、前後方向Xに移動する。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、第1テーブル移動機構21の構成は特に限定されない。
【0023】
第2テーブル移動機構22は、テーブル20を上下方向Zに移動させる機構である。図2に示すように、第2テーブル移動機構22は、テーブル20の真下に配置されている。第2テーブル移動機構22は、第1テーブル移動機構21によって下方から支持されている。第2テーブル移動機構22は、高さ調整部材22aと、上下移動用モータ22b(図5参照)と、を備えている。高さ調整部材22aは、高さが可変可能な部材である。高さ調整部材22aは、テーブル20の下面に取り付けられている。高さ調整部材22aは、上下移動用モータ22bに接続されている。上下移動用モータ22bは、制御部60と電気的に接続されており、制御部60によって制御される。上下移動用モータ22bが駆動すると、高さ調整部材22aの高さが変化して、テーブル20の上下方向Zの位置が調整される。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、第2テーブル移動機構22の構成は特に限定されない。
【0024】
図3に仮想線で示すように、複数の被印刷物70に対して一度にまとめて印刷を行う場合等には、テーブル20の上にパレット80が着脱可能に取り付けられる。パレット80は、被印刷物70の印刷装置10に対する位置合わせを行うための冶具である。パレット80は、複数の被印刷物70の互いの位置がずれないように、複数の被印刷物70を収納するものである。パレット80の外形形状は特に限定されないが、ここではテーブル20と同形状であり、平面視において矩形状の部材である。
【0025】
パレット80には、被印刷物70の外形に対応した形状の配置孔80hが複数形成されている。複数の配置孔80hは、ここでは同形状、同サイズである(加工誤差は許容し得る)。配置孔80hの形状は特に限定されないが、ここでは平面視において矩形状である。ただし、配置孔80hの形状は、例えば三角形や正方形などの多角形、円形、星形などであってもよい。配置孔80hは、ここではパレット80に対して高さ方向Zに貫通した貫通孔である。ただし、配置孔80hは、例えば、パレット80の上部が凹状などに切り抜かれた孔であってもよいし、平板状のパレット80に対して凸状に突出した枠で形成されてもよいし、平板状のパレット80の表面に描かれた線や図形などであってもよい。
【0026】
配置孔80hの数は特に限定されないが、ここでは、パレット80の左右方向Yに6個、前後方向Xに2個が並び、計12個の配置孔80hが形成されている。ただし、配置孔80hの数は1つであってもよい。本実施形態において、パレット80の配置孔80hには、それぞれ、種類および大きさが同じ被印刷物70が配置されている。
【0027】
キャリッジ30は、テーブル20よりも上方に設けられている。キャリッジ30は、後述するキャリッジ移動機構31によって左右方向(主走査方向)Yに移動可能に構成されている。図4は、キャリッジ30の拡大図である。図4に示すように、キャリッジ30には、複数のインクヘッド40と、複数の光照射装置50と、が搭載されている。インクヘッド40は、光照射装置50の間に配置されている。光照射装置50は、インクヘッド40を左右両端から挟み込むように配置されている。ただし、これらの位置関係は特に限定されるものではない。本実施形態において、インクヘッド40と光照射装置50とは、キャリッジ30と一体になって左右方向Yに移動する。
【0028】
キャリッジ移動機構31は、キャリッジ30を左右方向Yに移動させる機構である。図2に示すように、キャリッジ移動機構31は、ガイドレール32と、図示しないベルトと、図示しない左右のプーリと、左右移動用モータ33(図5参照)と、を備えている。ガイドレール32は、ケーシング12に固定され、左右方向Yに延びている。ガイドレール32は、テーブル20よりも上方に設けられている。ガイドレール32には、キャリッジ30が摺動自在に係合している。ガイドレール32は、キャリッジ30の左右方向Yの移動を案内する。キャリッジ30には、無端状のベルトが固定されている。ベルトは、ガイドレール32の左右に配置されたプーリに巻き掛けられている。一方のプーリには、左右移動用モータ33が取り付けられている。左右移動用モータ33は制御部60と電気的に接続されており、制御部60によって制御される。左右移動用モータ33が駆動するとプーリが回転し、ベルトが走行する。これにより、キャリッジ30は、ガイドレール32に沿って左右方向Yに移動する。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、キャリッジ移動機構31の構成は特に限定されない。
【0029】
インクヘッド40は、被印刷物70に向かってインクを吐出するものである。図4に示すように、インクヘッド40はキャリッジ30に設けられている。インクヘッド40は、ここでは6つである。ただし、インクヘッド40の数は一例に過ぎず、特に限定されない。6つのインクヘッド40は、左右方向Yに並んで、所謂インライン配列で配置されている。ただし、インクヘッド40の配置は特に限定されない。インクヘッド40は、例えば、複数のインクヘッドを互いに前後にずらした、所謂スタガー配列で配置されていてもよい。インクヘッド40は、制御部60と電気的に接続されている。インクヘッド40からのインクの吐出は、制御部60によって制御される。インクヘッド40は、可撓性を有するインクチューブ(図示せず)によって、インクタンク41、42と連通されている。
【0030】
インクタンク41、42は、インクを貯留する容器である。インクタンク41、42は、キャリッジ30には搭載されず、ケーシング12の内部空間に静置されている。インクタンク41、42は、例えば中身のインクが無くなる(空になる)と新しいものに交換されるインクカートリッジである。本実施形態において、インクタンク41、42には、それぞれ、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型のインクが貯留されている。
【0031】
インクタンク41は、ここでは4つである。インクタンク41には、それぞれ色材の異なる画像形成用のインクが貯留されている。具体的には、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクのプロセスカラーインク(CMYK)が貯留されている。インクタンク42は、ここでは2つである。インクタンク42には、それぞれ、画像の下地または裏地を形成するための前処理用のプライマインク、画像の表面に光沢を付与するための後処理用のクリアインク(グロスインク)が貯留されている。ただし、インクタンク41、42の数やインクの種類は一例に過ぎず、特に限定されない。
【0032】
光照射装置50は、被印刷物70上に吐出されたインクを硬化させる装置である。図4に示すように、光照射装置50はキャリッジ30に設けられている。光照射装置50は、ここでは2つである。ただし、光照射装置50の数は一例に過ぎず、特に限定されない。光照射装置50は1つであってもよいし3つ以上であってもよい。本実施形態において、光照射装置50は紫外線を照射する紫外線ランプである。光照射装置50は、例えば紫外線硬化型のインクを硬化可能な波長の紫外線を発生させるLEDランプである。光照射装置50は、制御部60と電気的に接続されており、制御部60によって制御される。
【0033】
制御部60は、ホストコンピュータ等の外部機器1から印刷データを受信し、印刷装置10の動作を制御するように構成されている。本実施形態において、制御部60はケーシング12の内部に配置された印刷装置10専用のコンピュータである。制御部60は、例えばマイクロコンピュータである。ただし、制御部60の機能の一部または全部は、ケーシング12の外部に配置され、有線または無線を介して印刷装置10と通信可能に接続された汎用のパーソナルコンピュータ等で実行されてもよい。制御部60は、印刷時間表示用のコンピュータの一例である。
【0034】
制御部60のハードウェア構成は特に限定されない。制御部60は、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記録装置と、を備えている。
【0035】
図5は、制御部60の機能ブロック図である。図5に示すように、制御部60は、第1テーブル移動機構21の前後移動用モータ21dと、第2テーブル移動機構22の上下移動用モータ22bと、キャリッジ移動機構31の左右移動用モータ33と、インクヘッド40と、光照射装置50とに、それぞれ通信可能に接続されており、これらを制御するように構成されている。
【0036】
制御部60は、送受信部61と、印刷制御部62と、印刷回数判定部63と、実印刷時間計測部64と、ステータス取得部65と、エラー判定部66と、実印刷時間保存部67と、印刷時間表示部68と、記憶部69と、を備えている。ただし、ステータス取得部65と、エラー判定部66とは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。制御部60の各部は、相互に通信可能に構成されている。制御部60の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば上述した各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。制御部60の各部は、ここではネイティブアプリケーションで構成されている。ただし、制御部60の一部または全部は、ウェブアプリケーションで構成されていてもよい。
【0037】
送受信部61は、外部機器1から印刷データを受信する制御部である。印刷データは、例えば外部機器1で作成される。印刷データは、コンピュータ等で作成された様々な形式の画像ファイルを、ラスターイメージプロセッサー(Raster Image Processor)等のコンピュータプログラムで印刷装置10が読み込み可能な形式に変換(ラスタライズ)したものである。印刷データは、例えばラスター形式のデータである。印刷データは、被印刷物70に印刷する画像のデータ(画像データ)を含んでいる。印刷データには、固有の名前(ファイル名)が付与されている。印刷データのファイル名は、印刷動作の後に、後述する実印刷時間と共に記憶部69に記憶されうる。なお、印刷成果物を量産する場合、初回の印刷時に作成した印刷データを、2回目以降の印刷ではそのまま利用することができる。送受信部61は、受信部の一例である。
【0038】
印刷データは、さらに印刷情報を含んでいてもよい。印刷情報は、例えば、印刷に使用するインクの種類の情報、印刷品質の情報、被印刷物70の個数やサイズの情報等であってもよい。印刷情報は、画像データと共に記憶部69に記憶されてもよい。
【0039】
印刷制御部62は、送受信部61が受信した印刷データに基づいて、テーブル20上の被印刷物70に対して画像を印刷する印刷動作を実行する制御部である。印刷制御部62は、第1テーブル移動機構21の前後移動用モータ21dと、第2テーブル移動機構22の上下移動用モータ22bとを制御して、テーブル20を前後方向Xおよび上下方向Zに移動させる。印刷制御部62は、キャリッジ移動機構31の左右移動用モータ33を制御して、キャリッジ30を左右方向Yに移動させる。印刷制御部62は、インクヘッド40を制御して、被印刷物70に向かってインクを吐出させる。印刷制御部62は、インクヘッド40からインクを吐出した後に光照射装置50を制御して、被印刷物70上のインクに向かって光を照射する。
【0040】
印刷回数判定部63は、送受信部61が受信した印刷データについての印刷が初めてか否か(初回の印刷か否か)を判定する制御部である。印刷回数判定部63は、印刷制御部62が印刷動作を実行する前か、あるいは印刷制御部62が印刷動作を実行するのと略同時に、上記判定を行うとよい。初回の印刷か否かの判定は、送受信部61が受信した印刷データのファイル名が記憶部69に記憶されているか否かに基づいて行われる。
【0041】
すなわち、印刷回数判定部63は、送受信部61が受信した印刷データのファイル名を、記憶部69に記憶されている印刷データのファイル名と対比する。そして、送受信部61が受信した印刷データのファイル名が記憶部69に記憶されていない場合に、初回の印刷であると判定する。一方、送受信部61が受信した印刷データのファイル名が記憶部69に既に記憶されている場合に、初回の印刷ではない(言い換えれば、以前に同じ印刷データを印刷したことがある(2回目以降の印刷である))と判定する。
【0042】
実印刷時間計測部64は、印刷制御部62が実際に印刷動作を行った時間である実印刷時間を計測する制御部である。実印刷時間計測部64は、例えば、印刷制御部62が印刷動作を開始した印刷開始時刻と印刷制御部62が印刷動作を終了した印刷終了時刻とを記録し、その差分から実印刷時間を計測する。実印刷時間計測部64は、初回の印刷の際にのみ実印刷時間を計測してもよいし、初回および2回目以降の印刷の際に実印刷時間を計測してもよいし、例えば数回印刷を行う毎に定期的に実印刷時間を計測してもよい。実印刷時間計測部64は、後述するステータス取得部65が取得したステータス情報に基づいて、実印刷時間を計測してもよい。
【0043】
ステータス取得部65は、印刷装置10のステータス情報を取得する制御部である。ステータス情報は、印刷装置10の機器状態や印刷の進捗状況等についての情報であり、エラー発生の情報を含んでいる。ステータス情報は、例えば、印刷待機、印刷動作、エラー発生(異常停止、ユーザの自発的な強制終了を含む。)、印刷終了等で表される。ステータス取得部65は、少なくとも印刷制御部62が印刷動作を行っている際に、印刷装置10のステータス情報を取得する。ステータス情報の取得は、例えば連続的に行ってもよく、所定時間が経過するごとに定期的に行ってもよい。所定時間は、記憶部69に予め記憶されていてもよい。
【0044】
エラー判定部66は、エラーが発生したか否かを判定する制御部である。エラー判定部66は、少なくとも印刷制御部62が印刷動作を行っている際に、エラーが発生したか否かを判定する。印刷制御部62が印刷動作を行っている際にエラーが発生したか否かの判定は、ステータス取得部65でエラー発生の情報が取得されたか否かに基づいて行われる。すなわち、印刷制御部62が印刷動作を行っている際に、ステータス取得部65でエラー発生の情報が取得されない場合に、エラーが発生しなかった(言い換えれば、印刷動作が正常に終了した)と判定する。一方、印刷制御部62が印刷動作を行っている際に、ステータス取得部65でエラー発生の情報が取得された場合に、エラーが発生したと判定する。
【0045】
実印刷時間保存部67は、実印刷時間計測部64で計測された実印刷時間を記憶部69に保存する制御部である。実印刷時間保存部67は、送受信部61が受信した印刷データのファイル名と1:1で対応付けした状態で、記憶部69に実印刷時間を保存する。実印刷時間保存部67は、エラー判定部66でエラーが発生しなかったと判定された場合にのみ、実印刷時間を記憶部69に保存してもよい。言い換えれば、エラー判定部66でエラーが発生したと判定された場合には、実印刷時間を記憶部69に保存しなくてもよい。
【0046】
印刷時間表示部68は、ユーザが視認可能なように印刷時間を表示する制御部である。印刷時間表示部68は、以前に実印刷時間計測部64で計測された実印刷時間に基づいて、2回目以降の印刷時に印刷時間を表示する。具体的には、まず、記憶部69に記憶されている印刷データのファイル名を参照する。そして、当該ファイル名と対応付けされている実印刷時間に基づいて、印刷時間を表示する。本実施形態において、印刷時間表示部68は、操作パネル14の表示部15に印刷時間を表示する。印刷時間の表示方法は、特に限定されない。印刷時間は、具体的な数値(分、秒、時間)で表示してもよいし、例えば印刷終了予定時間として、具体的な時刻で表示してもよい。印刷時間を数値で表示する場合は、例えば、印刷が完了するまでの残り時間(印刷残り時間)をカウントダウン表示してもよいし、カウントダウン表示と実印刷時間とを組合せて表示してもよい。また、印刷時間に加えて、印刷データに含まれる印刷情報のうちの少なくとも1つをあわせて表示してもよい。
【0047】
次に、ユーザが印刷装置10を用いて被印刷物70に所望の画像を印刷する手順について説明する。図6は、印刷動作の制御手順の一例を示すフローチャートである。この制御手順は、印刷データ受信処理(ステップS1)と、印刷回数判定処理(ステップS2)と、印刷開始処理(ステップS3、S9)と、実印刷時間計測処理(ステップS4)と、ステータス取得処理(ステップS5)と、印刷終了処理(ステップS6、S11)と、エラー判定処理(ステップS7)と、実印刷時間保存処理(ステップS8)と、印刷時間表示処理(ステップS10)と、を包含する。ただし、他の実施形態において、このうちの一部を省略することもできる。また、任意の段階において、他の処理を包含することもできる。
【0048】
まず、準備段階として、ユーザは、テーブル20上のパレット80を取り付け、パレット80の配置孔80hに被印刷物70を載置する。この状態で、ユーザは、外部機器1と印刷装置10とを起動させて、外部機器1から印刷装置10に印刷データを送信する。ステップS1では、印刷データを受信する印刷データ受信処理が実行される。印刷装置10の送受信部61は、印刷データ受信処理を実行するように構成またはプログラムされている。そして、ステップS2に進む。
【0049】
ステップS2では、送受信部61で受信した印刷データが初めて(初回)の印刷か否かを判定する印刷回数判定処理が実行される。印刷回数判定部63は、印刷回数判定処理を実行するように構成またはプログラムされている。印刷回数判定部63は、送受信部61が受信した印刷データのファイル名が記憶部69に記憶されているか否かに基づいて、初回の印刷か否かを判定する。そして、送受信部61が受信した印刷データのファイル名が記憶部69に記憶されていない場合には、初回の印刷である、すなわちステップS2がYESと判定され、ステップS3に進む。
【0050】
ステップS3では、印刷動作を開始する印刷開始処理が実行される。印刷制御部62は、印刷開始処理を実行するように構成またはプログラムされている。印刷制御部62は、印刷データに基づき、前後移動用モータ21dと、上下移動用モータ22bと、左右移動用モータ33と、インクヘッド40と、光照射装置50と、を制御して、テーブル20上に載置された被印刷物70に対して印刷動作を開始する。そして、ステップS4に進む。
【0051】
ステップS4では、実印刷時間を計測する実印刷時間計測処理が実行される。実印刷時間計測部64は、実印刷時間計測処理を実行するように構成またはプログラムされている。実印刷時間計測部64は、印刷動作の開始時刻を記録する。開始時刻は、例えば、前後移動用モータ21d、上下移動用モータ22b、および左右移動用モータ33のうちの少なくとも1つが駆動を開始した時刻であってもよいし、インクヘッド40からのインクの吐出が開始された時刻であってもよい。そして、ステップS5に進む。
【0052】
ステップS5では、印刷装置10のステータス情報を取得するステータス取得処理が実行される。ステータス取得部65は、ステータス取得処理を実行するように構成またはプログラムされている。ステータス取得部65は、ここでは印刷制御部62が印刷動作を行っている間、所定の時間間隔で、定期的にステータス情報を取得する。そして、ステップS6に進む。
【0053】
ステップS6では、印刷動作を終了する印刷終了処理が実行される。印刷制御部62は、印刷終了処理を実行するように構成またはプログラムされている。印刷制御部62は、画像の印刷を完了して、印刷動作を終了する。そして、ステップS7に進む。
【0054】
ステップS7では、印刷動作の際にエラーが発生したか否かを判定するエラー判定処理が実行される。エラー判定部66は、エラー判定処理を実行するように構成またはプログラムされている。エラー判定部66は、ステータス取得部65でエラー発生の情報が取得されたか否かに基づいて、エラーが発生したか否かを判定する。そして、ステータス取得部65でエラー発生の情報が取得された場合には、エラーの発生がある、すなわちステップS7がYESと判定され、制御を終了する。一方、ステータス取得部65でエラー発生の情報が取得されなかった場合には、エラーの発生がない、すなわちステップS7がNOと判定され、ステップS8に進む。
【0055】
ステップS8では、実印刷時間を保存する実印刷時間保存処理が実行される。実印刷時間保存部67は、実印刷時間保存処理を実行するように構成またはプログラムされている。実印刷時間保存部67は、送受信部61が受信した印刷データのファイル名と共に、実印刷時間を記憶部69に保存する。印刷データのファイル名と実印刷時間とは1:1で紐付けされる。そして、制御を終了する。
【0056】
一方、ステップS2において、送受信部61が受信した印刷データのファイル名が記憶部69に既に記憶されている場合には、初回の印刷ではない、すなわちステップS2がNoと判定され、ステップS9に進む。ステップS9では、ステップS3と同様に、印刷制御部62によって印刷開始処理が実行される。そして、ステップS10に進む。
【0057】
ステップS10では、表示部15に印刷時間を表示する印刷時間表示処理が実行される。印刷時間表示部68は、印刷時間表示処理を実行するように構成またはプログラムされている。印刷時間表示部68は、記憶部69に記憶されている実印刷時間に基づいて、例えば印刷残り時間を、表示部15に表示する。そして、ステップS11に進む。ステップS11では、ステップS6と同様に、印刷制御部62によって印刷終了処理が実行される。そして、制御を終了する。
【0058】
以上のように、印刷装置10によれば、印刷成果物を量産する場合に、初回(1回目)の印刷時には、実印刷時間が計測、記憶され、2回目以降の印刷時において、当該実印刷時間に基づきユーザに印刷時間が示される。これにより、2回目の印刷以降、ユーザは印刷に要する時間を正確に把握することができる。そのため、ユーザは印刷が完了するまで心置きなく印刷装置10から離れることができ、例えば自由に別の作業を行ったり、印刷装置10とは別の部屋に移動したり、外出したりすることができる。したがって、ユーザは、印刷が完了するまでの時間を有効に活用することができる。加えて、印刷時間を把握できることで、好ましくは印刷待機時間を減らして、量産の生産効率を高めることができる。
【0059】
本実施形態の印刷装置10では、印刷時間は、印刷が完了するまでの残り時間(印刷残り時間)で表示される。これにより、ユーザの利便性を向上することができる。
【0060】
本実施形態の印刷装置10では、印刷時間表示部68は、印刷回数判定部63によって印刷データの印刷が初めてであると判定された場合に計測された実印刷時間に基づいて、前印刷時間を表示するように構成されている。これにより、2回目以降の印刷時において、制御がシンプルになり、制御部60の負荷を軽減することができる。
【0061】
本実施形態の印刷装置10では、印刷制御部62が印刷を行っている際に、印刷装置10のステータス情報を取得するステータス取得部65と、ステータス取得部65によってエラー発生の情報が取得された場合に、エラーが発生したと判定するエラー判定部66と、をさらに備え、実印刷時間保存部67は、エラー判定部66によってエラーが発生しなかったと判定された場合にのみ、実印刷時間を保存するように構成されている。これにより、表示する印刷時間の精度を高めることができる。
【0062】
本実施形態の印刷装置10では、表示部15(表示画面)は、印刷装置10に設けられている。これにより、ユーザは、印刷開始時にすぐさま印刷時間を確認することができる。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0063】
本実施形態の印刷装置10では、被印刷物70が載置されるテーブル20と、テーブル20に載置された被印刷物70に対してインクを吐出するインクヘッド40と、をさらに備える。これにより、大量の印刷成果物を効率的に量産することができる。
【0064】
また、本実施形態には、印刷データに基づいて被印刷物70に印刷を行う印刷装置において、コンピュータを、印刷回数判定部63、実印刷時間計測部64、ステータス取得部65、エラー判定部66、実印刷時間保存部67、印刷時間表示部68、として動作させるための印刷時間表示用のコンピュータプログラムが含まれる。なお、ステータス取得部65と、エラー判定部66とは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0065】
印刷時間表示用のコンピュータプログラムは、例えば記憶装置に記録されていてもよい。言い換えれば、ここに開示される技術によって、上記コンピュータプログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な記憶装置が提供される。上記コンピュータプログラムは、例えば不揮発性メモリに記録されていてもよい。言い換えれば、ここに開示される技術によって、上記プログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な不揮発性メモリが提供される。不揮発性メモリとしては、例えば、半導体記憶装置(例えば、ROM、メモリーカード)、光記憶装置(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD)、磁気記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク)等が例示される。また、上記コンピュータプログラムは、上記記憶装置あるいはインターネット等のネットワークを介して、クラウドサーバーに送信することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらに限定されない。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、上記した実施形態と以下の変形態様とを適宜組み合わせることもできる。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0067】
例えば、上記した実施形態では、印刷時間を操作パネル14の表示部15に表示していたが、これには限定されない。例えば送受信部61は、印刷装置10と有線または無線によって通信可能に接続された通信機器に、印刷時間を送信可能なように構成されていてもよい。通信機器は、例えば、インターネット等のネットワークを通じて印刷装置10と通信可能に接続された携帯電話機やタッチパネル等であってもよい。これにより、ユーザは印刷装置10を監視できない場所にいたとしても、通信機器を介して印刷時間をリアルタイムに把握することができる。したがって、安心して印刷装置10から離れ、印刷装置10が設置された部屋とは別の部屋に移動したり、外出したりすることができる。
【0068】
すなわち、本実施形態の印刷装置10において、表示画面は、印刷装置10と通信可能に接続された通信機器に設けられていてもよい。これにより、ユーザは、印刷装置10から離れた場所から印刷時間を確認することができる。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0069】
また、上記した実施形態では、実印刷時間計測部64が初回の印刷時に実印刷時間を計測し、2回目以降の印刷時には、印刷時間表示部68が初回に計測した実印刷時間に基づいて印刷時間を表示していたが、これには限定されない。実印刷時間計測部64は、例えば2回目以降の印刷時にも、初回の印刷時と同様に実印刷時間を計測してもよい。その場合、実印刷時間保存部67は、記憶部69に印刷データのファイル名と対応付けされて記憶されている実印刷時間を、都度更新するように構成されていてもよい。また、印刷時間表示部68は、2回目以降に計測した実印刷時間に基づいて、印刷時間を表示するように構成されていてもよい。例えば、最新の実印刷時間に基づいて、印刷時間を表示するように構成されていてもよい。
【0070】
また、上記した実施形態では、印刷装置10がインクジェットプリンタであったが、これには限定されない。印刷装置10は、インクジェット以外の印刷方式を採用したものであってもよい。印刷装置10は、例えば、熱転写プリンタ(昇華型プリンタを含む)、レーザープリンタ、ドットインパクトプリンタ、感熱式プリンタ、放電破壊式プリンタ等であってもよい。印刷装置10は、例えば、メタリック箔や顔料箔等の箔シートを被印刷物に押し付ける、所謂箔押し印刷を行う箔押し装置であってもよい。
【0071】
また、印刷装置10の構成は特に限定されない。印刷装置10は、例えば、以下の構成のうち少なくとも1つ:被印刷物をカットするカッティングヘッド;箔シート(転写箔)を被印刷物に箔転写する箔押し用ツール;打刻および彫刻の少なくとも1つを被印刷物に施す加飾ツール;を備えていてもよい。
【0072】
また、上記した実施形態では、インクヘッド40がキャリッジ30に搭載され、左右方向Yに往復移動(シャトル移動)しながら印刷動作が行われる、所謂シャトルタイプ(シリアルタイプ)の印刷装置10について説明したが、これには限定されない。ここに開示される技術は、ラインヘッドを備え、ラインヘッドが固定された状態で印刷動作が行われる、所謂ラインタイプのプリンタにも同様に適用することができる。
【0073】
また、上記した実施形態では、印刷装置10のキャリッジ30が左右方向Yに移動し、テーブル20が前後方向Xに移動するように構成されていたが、これには限定されない。キャリッジ30とテーブル20との移動は相対的なものであり、そのどちらが左右方向Yまたは前後方向Xに移動してもよい。また、例えば、キャリッジ30は移動不能に配置され、テーブル20が左右方向Yおよび前後方向Xの両方向に移動可能なように構成されていてもよい。
【0074】
また、上記した実施形態では、インクヘッド40と光照射装置50とが同じキャリッジ30に搭載され、一体となって左右方向Yに移動していたが、これには限定されない。インクヘッド40と光照射装置50とは、別のキャリッジに搭載され、それぞれ独立して左右方向Yに移動するように構成されていてもよい。
【0075】
また、上記した実施形態では、印刷装置10が光照射装置50を備えていたが、光照射装置50は必須ではなく、省略することもできる。その場合、インクタンク41、42には、紫外線硬化型以外のインクが貯留されていてもよい。インクタンク41、42に貯留されているインクは、例えばソルベント系インク(溶剤系インク)や水系インクであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 印刷装置(プリンタ)
20 テーブル
40 インクヘッド
60 制御部
61 送受信部
62 印刷制御部
63 印刷回数判定部
64 実印刷時間計測部
67 実印刷時間保存部
68 印刷時間表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6