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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/14 20060101AFI20240117BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J2/01 305
B41J2/01 303
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020020632
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021126771
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 崇
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109360(JP,A)
【文献】特開2000-141791(JP,A)
【文献】特開2015-229249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0343813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/14
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを載置する載置面を有する載置台と、
前記載置面に対向し複数のノズルが形成される平面状のノズル面を有し、複数の前記ノズルから前記載置面に向けて液滴を吐出するヘッドと、
前記載置面に沿って前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対駆動部と、
前記相対駆動部によって前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させたとき、前記ヘッド又は前記ヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所と前記メディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように前記載置台の姿勢を調整可能な載置台調整機構と
を備え
前記載置台調整機構は、前記載置面に載置された状態の前記メディアのうち前記ノズル面に対向する表面が前記ノズル面を含む吐出平面に平行になるように前記載置台の姿勢を調整可能であり、
前記メディアは、前記相対駆動部による前記移動の方向において、前記載置台に接する下面と前記メディアの表面との鉛直方向の距離が異なるものである
印刷装置。
【請求項2】
床面に載置され、前記床面に対応する基準面を有し、前記載置台を支持するベースを更に備え、
前記ノズル面は、前記基準面に平行に配置される
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記距離を検出可能な距離検出部を備え、
前記載置台調整機構は、前記距離検出部の検出結果に基づいて前記載置台の姿勢を調整可能である
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記載置台のうち複数の箇所に配置されて個別に昇降可能な昇降機構を有する昇降駆動部を更に備え、
前記載置台調整機構は、前記昇降駆動部を含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
メディアを載置する載置面を有する載置台と、
前記載置面に対向し複数のノズルが形成される平面状のノズル面を有し、複数の前記ノズルから前記載置面に向けて液滴を吐出するヘッドと、
前記載置面に沿って前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対駆動部と、
前記相対駆動部によって前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させたとき、前記ヘッド又は前記ヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所と前記メディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように前記載置台の姿勢を調整可能な載置台調整機構と
を備え、
複数の回転軸を中心として前記載置台を回転可能な回転駆動部を更に備え、
前記載置台調整機構は、前記回転駆動部を含む
刷装置。
【請求項6】
メディアを載置する載置面を有する載置台と、
前記載置面に対向し複数のノズルが形成される平面状のノズル面を有し、複数の前記ノズルから前記載置面に向けて液滴を吐出するヘッドと、
前記載置面に沿って前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対駆動部と、
前記相対駆動部によって前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させたとき、前記ヘッド又は前記ヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所と前記メディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように前記載置台の姿勢を調整可能な載置台調整機構と
を備え、
前記載置台調整機構は、前記載置面に載置された状態の前記メディアのうち前記ノズル面に対向する表面が前記ノズル面を含む吐出平面に平行になるように前記載置台の姿勢を調整可能であり、
前記相対駆動部は、前記ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部と、前記載置台と前記ヘッドとを前記主走査方向に直交する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、を有し、
前記載置台調整機構は、前記副走査方向についての、前記吐出平面に対する前記載置台の傾きを調整可能である
印刷装置。
【請求項7】
載置台の載置面にメディアを載置し、
前記載置台と前記載置面に対向し複数のノズルが形成される平面状のノズル面を有するヘッドとを相対的に移動させる場合に前記ヘッド又は前記ヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所と前記メディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように前記載置台の姿勢を調整し、
前記載置台の姿勢が調整された状態で、前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させつつ、前記ヘッドから液滴を吐出し、
前記載置面に載置された状態の前記メディアのうち前記ノズル面に対向する表面が前記ノズル面を含む吐出平面に平行になるように前記載置台の姿勢を調整し、
前記メディアは、前記相対的に移動される方向において、前記載置台に接する下面と前記メディアの表面との鉛直方向の距離が異なるものである
印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メディアに対して印刷を行う印刷装置として、例えばヘッドからメディアに液滴を噴射するインクジェット型の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような印刷装置は、例えばメディアを載置可能な載置台と、当該載置台上を主走査方向に往復移動させつつメディアの表面に向けて液滴を噴射するヘッドとを備えている。この印刷装置は、ヘッドを主走査方向に移動させつつ液滴を噴射させた後、主走査方向に交差する副走査方向にヘッドを所定距離だけ送り、再度主走査方向への往復移動及び液滴の噴射を行う。この動作を繰り返すことにより、メディア全体に1列又は複数列ずつ画像を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2017-109360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような印刷装置では、メディアのうちヘッドギャップが大きい箇所において印刷品質が低下するため、ヘッドギャップを一定に調整することが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置では、主走査方向についてのヘッドギャップについては調整可能であるが、副走査方向についてのヘッドギャップについては調整できない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、主走査方向及び副走査方向についてヘッドギャップを一定に調整することが可能な印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、メディアを載置する載置面を有する載置台と、前記載置面に対向し複数のノズルが形成される平面状のノズル面を有し、複数の前記ノズルから前記載置面に向けて液滴を吐出するヘッドと、前記載置面に沿って前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対駆動部と、前記相対駆動部によって前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させたとき、前記ヘッド又は前記ヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所と前記メディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように前記載置台の姿勢を調整可能な載置台調整機構とを備える。
【0007】
この構成によれば、相対駆動部により載置台とヘッドとを相対的に移動させた場合に、載置台調整機構によってヘッド又はヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所とメディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように載置台の姿勢が調整される。これにより、主走査方向及び副走査方向についてヘッドギャップを一定に調整することが可能となる。
【0008】
上記の印刷装置は、床面に載置され、前記床面に対応する基準面を有し、前記載置台を支持するベースを更に備え、前記ノズル面は、前記基準面に平行に配置されてもよい。
【0009】
この構成によれば、ノズル面が基準面に平行に配置されるため、当該ノズル面を含む吐出平面が基準面に対して規定されることになる。これにより、載置台の姿勢を調整する際に基準面を基準とすることで、容易かつ高精度に姿勢を調整可能である。
【0010】
上記の印刷装置は、前記距離を検出可能な距離検出部を備え、前記載置台調整機構は、前記距離検出部の検出結果に基づいて前記載置台の姿勢を調整可能であってもよい。
【0011】
この構成によれば、距離検出部により検出した検出結果に基づいて載置台の姿勢を自動的に調整するため、容易かつ高精度に載置台の姿勢を調整可能である。
【0012】
上記の印刷装置は、前記載置台のうち複数の箇所に配置されて個別に昇降可能な昇降機構を有する昇降駆動部を更に備え、前記載置台調整機構は、前記昇降駆動部を含んでもよい。
【0013】
この構成によれば、載置台のうち複数の箇所に配置されて個別に昇降可能な昇降機構を有する昇降駆動部により載置台の姿勢を調整するため、効率的かつ容易に載置台を調整可能である。
【0014】
上記の印刷装置は、複数の回転軸を中心として前記載置台を回転可能な回転駆動部を更に備え、前記載置台調整機構は、前記回転駆動部を含んでもよい。
【0015】
この構成によれば、回転駆動部により載置台の姿勢を調整するため、効率的かつ容易に載置台を調整可能である。
【0016】
上記の印刷装置において、前記載置台調整機構は、前記載置面に載置された状態の前記メディアのうち前記ノズル面に対向する表面が前記ノズル面を含む吐出平面に平行になるように前記載置台の姿勢を調整可能である。
【0017】
この構成によれば、載置面に載置された状態のメディアのうちノズル面に対向する表面が吐出平面に平行になるように載置台の姿勢を調整することでヘッドギャップを調整するため、容易にヘッドギャップを調整可能である。
【0018】
上記の印刷装置において、前記相対駆動部は、前記ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部と、前記載置台と前記ヘッドとを前記主走査方向に直交する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、を有し、前記載置台調整機構は、前記副走査方向についての、前記吐出平面に対する前記載置台の傾きを調整可能であってもよい。
【0019】
この構成により、副走査方向について吐出平面に対する載置台の傾きを調整可能であるため、副走査方向についてのヘッドギャップを容易に調整可能となる。
【0020】
本発明に係る印刷方法は、載置台の載置面にメディアを載置し、前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させる場合に前記ヘッド又は前記ヘッドと一体で移動する移動体の所定箇所と前記メディアの表面との距離がいずれの位置でも等しくなるように前記載置台の姿勢を調整し、前記載置台の姿勢が調整された状態で、前記吐出平面に沿って前記載置台と前記ヘッドとを相対的に移動させつつ、前記ヘッドから前記液滴を吐出する。
【0021】
この構成によれば、主走査方向及び副走査方向についてヘッドギャップを一定に調整した後に、メディアに対して液滴を吐出することができる。これにより、メディアに高精度の画像を印刷することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、主走査方向及び副走査方向についてヘッドギャップを一定に調整することが可能な印刷装置及び印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る印刷装置の概略構成例を示す模式図である。
図2図2は、印刷方法における一工程の例を示す工程図である。
図3図3は、印刷方法における一工程の例を示す工程図である。
図4図4は、印刷方法における一工程の例を示す工程図である。
図5図5は、印刷方法における一工程の例を示す工程図である。
図6図6は、印刷方法における一工程の例を示す工程図である。
図7図7は、印刷方法における印刷装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、変形例に係る印刷装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る印刷装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
図1は、本実施形態に係る印刷装置100の概略構成例を示す模式図である。本実施形態では、印刷装置100として、例えばフィルム、板材等のメディアMに画像を形成する画像形成装置を例に挙げて説明する。図1に示すように、印刷装置100は、メディア支持部10と、液滴吐出部20と、相対駆動部30と、制御部50とを有する。
【0026】
メディア支持部10は、メディアMを支持する。メディア支持部10は、ベース11と、載置台12とを有する。
【0027】
ベース11は、床面に載置される。ベース11は、例えば矩形の台状であり、基準面11aを有する。基準面11aは、例えば印刷装置100が載置される床面に対応するように形成される。本実施形態において、基準面11aは、例えば平面状であり、印刷装置100を載置する床面に平行になるように形成される。
【0028】
載置台12は、例えば矩形の板状であり、メディアMを載置する載置面12aを有する。載置台12の形状は、矩形に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。載置面12aは、平面状である。載置台12は、載置面12aが鉛直方向の上方を向いた状態で配置される。載置台12は、副走査駆動部32によりX方向及びZ方向に移動可能である。
【0029】
液滴吐出部20は、Yバー21と、キャリッジ22と、ヘッド23と、紫外線照射部24とを有する。
【0030】
Yバー21は、載置台12の鉛直方向上側に所定の間隔をあけて設けられる。Yバー21は、図1に示すY軸方向に平行な主走査方向に沿って直線状に設けられる。Yバー21は、キャリッジ22の主走査方向に沿った往復移動をガイドする。
【0031】
キャリッジ22は、Yバー21に支持され、当該Yバー21に沿って主走査方向であるY方向に往復移動可能である。キャリッジ22には、ヘッド23及び紫外線照射部24が搭載される。
【0032】
ヘッド23は、載置面12aに対向するノズル面23aを有する。ノズル面23aは、例えば平面状である。ノズル面23aには、インクを吐出する複数の不図示のノズルが設けられる。インクとしては、例えば紫外線硬化型インクが挙げられる。紫外線硬化インクの種類としては、例えば、メディアMに形成する画像の色彩等に応じて、白色インク、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及び黒色(K)等の着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。ヘッド23は、制御部50と電気的に接続され、制御部50によってその駆動が制御される。ヘッド23は、不図示のインク供給装置に接続され、当該インク供給装置からインクの供給を受ける。ヘッド23は、キャリッジ22と一体で主走査方向に移動可能である。ヘッド23は、主走査方向に沿って往復移動しながら載置面12aに向けてインクを吐出する。
【0033】
紫外線照射部24は、載置面12aに吐出された紫外線硬化インクに対して紫外線を照射する。紫外線照射部24は、例えば、紫外線を照射可能なLEDモジュール等により構成される。紫外線照射部24は、キャリッジ22に搭載され、キャリッジ22の主走査方向に沿う移動に伴って、主走査方向に往復移動可能となっている。紫外線照射部24は、制御部50と電気的に接続され、制御部50によってその駆動が制御される。
【0034】
相対駆動部30は、載置面12aに沿って載置台12とヘッド23とを相対的に移動させる。本実施形態において、相対駆動部30は、ノズル面23aを含む吐出平面S(図2図6等参照)に沿って載置台12とヘッド23とを相対的に移動させる。相対駆動部30は、主走査駆動部31と、副走査駆動部32と、昇降駆動部(載置台調整機構)33とを有する。
【0035】
主走査駆動部31は、Yバー21に対して、キャリッジ22を主走査方向に沿って往復移動(走査)させる。主走査駆動部31は、例えば、キャリッジ22に連結された搬送ベルト等の伝達機構、搬送ベルトを駆動する電動機等の駆動源を有する。主走査駆動部31は、制御部50と電気的に接続され、制御部50によってその駆動が制御される。
【0036】
副走査駆動部32は、載置台12のZ方向の位置及び姿勢を維持したまま、載置台12をX方向に移動させる。副走査方向移動部42は、載置台12に連結された搬送ベルト、ギア等の伝達機構と、当該伝達機構を駆動する電動機等の駆動源とを有する。
【0037】
昇降駆動部33は、載置台12を鉛直方向であるZ方向に移動させる。昇降駆動部33は、載置台12に設けられたナット33aと、当該ナット33aとネジ接合されたリードスクリュー33bとを有する。ナット33aは、載置台12の4つの角部に対応する位置にそれぞれ設けられる。リードスクリュー33bは、不図示のモータ等の回転駆動源に接続され、Z方向に平行な中心軸を中心として回転可能である。
【0038】
昇降駆動部33は、リードスクリュー33bが回転することにより、当該リードスクリュー33bとネジ接合されたナット33aがZ方向に移動するようになっている。昇降駆動部33は、4つのリードスクリュー33bを連動して回転を制御可能である。また、昇降駆動部33は、4つのリードスクリュー33bについて個別に回転を制御可能である。昇降駆動部33は、4つのリードスクリュー33bを個別に回転させることにより、4つのナット33aのZ方向への移動を個別に制御可能である。4つのナット33aのZ方向への移動を個別に制御することにより、載置台12の載置面12aの姿勢を調整可能である。例えば、昇降駆動部33は、相対駆動部30によって載置台12とヘッド23とを相対的に移動させたとき、互いに対向したメディアMの表面Maとノズル面23aとの距離であるヘッドギャップがいずれの位置でも等しくなるように載置台12の載置面12aの姿勢を調整可能である。
【0039】
距離検出部40は、吐出平面SとメディアMの表面Maとの間の距離(ヘッドギャップ)を検出する。距離検出部40は、例えばヘッド23に設けられる。距離検出部40としては、例えば光センサ等を用いることができる。距離検出部40は、ヘッド23と、メディアMを載置した状態の載置台12とが相対移動することにより、メディアMの表面Maの全面についてヘッドギャップを検出可能である。距離検出部40は、検出結果を制御部50に送信する。
【0040】
制御部50は、各種処理を実行するコントローラとして機能するCPU(Central Processing Unit)や、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。
【0041】
制御部50は、ヘッド23及び紫外線照射部24の動作を制御する。制御部50の制御により、ヘッド23のノズルからインクが吐出される。また、制御部50の制御により、紫外線照射部24から紫外線が照射される。
【0042】
制御部50は、距離検出部40の検出結果を受信する。制御部50は、距離検出部40の検出結果を不図示の記憶部に記憶させる。
【0043】
制御部50は、相対駆動部30の動作を制御する。制御部50の制御により、キャリッジ22が主走査方向であるY方向に移動する。また、制御部50の制御により、載置台12が副走査方向であるX方向に移動する。例えばキャリッジ22及び載置台12の移動速度、移動方向、移動のタイミング等を規定したプログラム等を予め作成して記憶部50に記憶させておき、相対駆動部30が当該プログラムを実行することで、キャリッジ22及び載置台12の移動を制御することができる。また、制御部50の制御により、載置台12が昇降方向であるZ方向に移動する。制御部50が4つの昇降駆動部33を個別に制御することにより、載置台12の載置面12aの姿勢を制御可能である。制御部50は、距離検出部40の検出結果に基づいて、載置台12の載置面12aの姿勢を制御可能である。
【0044】
次に、本実施形態に係る印刷方法の一例を説明する。図2から図6は、印刷方法における一工程の例を示す工程図である。図7は、印刷方法における印刷装置100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図2から図6では、昇降駆動部33のリードスクリュー33bの図示を省略している。また、図2から図6では、メディアMの厚さの変化及び載置台12の傾きについては、誇張して示している。
【0045】
まず、作業者は、載置台12の載置面12aにメディアMを載置する。本実施形態で例に挙げるメディアMは、図2及び図3に示すように、載置台12の載置面12aに載置した状態において、ヘッド23に対向する表面Maが平面状であり、Y方向の一方から他方にかけて厚さが徐々に薄くなり、かつ、X方向の一方から他方にかけて徐々に厚さが薄くなるように形成される。
【0046】
メディアMを載置面12aに載置した後、作業者は、不図示の入力装置等を介して、印刷装置100に対して所定の動作を行うように操作を入力する。制御部50は、当該操作が入力された場合、ヘッド23のノズル面23aを含む吐出平面Sと、メディアMの表面Maとの間の距離であるヘッドギャップを検出する(ステップS10)。ヘッドギャップを検出する際、制御部50は、図2及び図3に示すように、相対駆動部30によりヘッド23を主走査方向に移動させ、載置台12を副走査方向に移動させながら、距離検出部40によりメディアMの表面Maの全体に亘ってヘッドギャップを検出させる。距離検出部40は、検出結果を制御部50に送信する。
【0047】
ヘッドギャップを検出した後、制御部50は、載置台12の姿勢を調整する必要があるか否かを判定する(ステップS20)。距離検出部40の検出の結果、ヘッドギャップが均一な場合、制御部50は、載置台12の姿勢の調整が不要であると判定する(ステップS20のNo)。この場合、ステップS30及びステップS40の処理を飛ばしてステップS50の処理を行う。
【0048】
一方、距離検出部40の検出の結果、ヘッドギャップが均一ではない場合、制御部50は、載置台12の姿勢の調整が必要であると判定する。載置台12の姿勢の調整が必要であると判定した場合(ステップS20のYes)、制御部50は、図4に示すように、載置台12を基準高さ位置までZ方向に移動させる(ステップS30)。本実施形態において、基準高さ位置は、ベース11の基準面11aによって規定される高さ位置である。つまり、制御部50は、載置台12を基準面11a上に移動させる。載置台12が基準面11a上に配置されることで、載置面12aが基準面11aに平行な状態となる。
【0049】
載置台12を基準高さ位置まで移動した後、制御部50は、距離検出部40の検出結果に基づいて、図5に示すように、4つの昇降駆動部33を個別に調整して、載置台12の姿勢を調整する(ステップS40)。この調整において、制御部50は、1つのナット33aの高さ位置が他のナット33aの高さ位置に対してずれ過ぎないように、4つの昇降駆動部33を少しずつ調整しながら載置台12の姿勢を調整することができる。
【0050】
載置台12の姿勢が目標となる姿勢に調整された場合、図6に示すように、ヘッドギャップが均一な状態、つまり、吐出平面SとメディアMの表面Maとが平行な状態となる。このように、載置台12の姿勢を調整する場合、一旦載置台12を基準面11a上に配置してから姿勢を調整することにより、正確に姿勢を調整可能となる。載置台12の姿勢を目標となる姿勢に調整した後、制御部50は、載置台12の姿勢を維持した状態で当該載置台12をZ方向の上方に移動させることにより、メディアMの表面Maの高さを調整する。
【0051】
メディアMの表面Maの高さを調整した後、外部から印刷動作の指示が入力された場合、制御部50は、印刷動作を行う(ステップS50)。ステップS50の印刷動作において、制御部50は、ヘッド23と載置台12とを主走査方向であるY方向及び副走査方向であるX方向に相対移動させつつ、ヘッド23からインクを吐出させる。これにより、メディアMの表面Maに画像が形成される。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る印刷装置100は、メディアMを載置する載置面12aを有する載置台12と、載置面12aに対向し複数のノズルが形成される平面状のノズル面23aを有し、複数のノズルから載置面12aに向けて液滴を吐出するヘッド23と、載置面12aに沿って載置台12とヘッド23とを相対的に移動させる相対駆動部30と、相対駆動部30によって載置台12とヘッド23とを相対的に移動させたとき、ヘッド23又はヘッド23と一体で移動する移動体の所定箇所とメディアMの表面Maとの距離がいずれの位置でも等しくなるように載置台12の姿勢を調整可能な昇降駆動部33とを備える。
【0053】
この構成によれば、載置面12aに載置された状態のメディアMのうちノズル面23aに対向する表面Maが吐出平面Sに平行になるように載置台12の姿勢を調整することができる。これにより、主走査方向及び副走査方向についてヘッドギャップを一定に調整することが可能となる。
【0054】
本実施形態に係る印刷装置100は、床面に載置され、床面に対応する基準面11aを有し、載置台12を支持するベース11を更に備え、ノズル面23aは、基準面11aに平行に配置されてもよい。
【0055】
この構成によれば、ノズル面23aが基準面11aに平行に配置されるため、当該ノズル面23aを含む吐出平面Sが基準面11aに対して規定されることになる。これにより、載置台12の姿勢を調整する際に基準面11aを基準とすることで、容易かつ高精度に姿勢を調整可能である。
【0056】
本実施形態に係る印刷装置100は、吐出平面SとメディアMの表面Maとの距離を検出可能な距離検出部を備え、昇降駆動部33は、距離検出部40の検出結果に基づいて載置台12の姿勢を調整可能であってもよい。
【0057】
この構成によれば、距離検出部40により検出した検出結果に基づいて載置台12の姿勢を自動的に調整するため、容易かつ高精度に載置台12の姿勢を調整可能である。
【0058】
本実施形態に係る印刷装置100は、載置台12のうち複数の箇所に配置されて個別に昇降可能な昇降機構を有する昇降駆動部を更に備え、昇降駆動部33は、昇降駆動部を含んでもよい。
【0059】
この構成によれば、載置台12のうち複数の箇所に配置されて個別に昇降可能な昇降機構であるナット33a及びリードスクリュー33bを有する昇降駆動部33により載置台12の姿勢を調整するため、効率的かつ容易に載置台12を調整可能である。
【0060】
上記の印刷装置100において、昇降駆動部33は、載置面12aに載置された状態のメディアMのうちノズル面23aに対向する表面Maが吐出平面Sに平行になるように載置台12の姿勢を調整可能である。
【0061】
この構成によれば、載置面12aに載置された状態のメディアMのうちノズル面23aに対向する表面Maが吐出平面Sに平行になるように載置台12の姿勢を調整することでヘッドギャップを調整するため、容易にヘッドギャップを調整可能である。
【0062】
本実施形態に係る印刷装置100において、相対駆動部30は、ヘッド23を主走査方向に移動させる主走査駆動部と、載置台12とヘッド23とを主走査方向に直交する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、を有し、昇降駆動部33は、副走査方向についての、吐出平面Sに対する載置台12の傾きを調整可能であってもよい。
【0063】
この構成により、副走査方向について吐出平面Sに対する載置台12の傾きを調整可能であるため、副走査方向についてのヘッドギャップを容易に調整可能となる。
【0064】
本実施形態に係る印刷方法は、載置台12の載置面12aにメディアMを載置し、載置面12aに載置された状態のメディアMのうち、当該液滴を吐出するノズルが形成されるノズル面23aを有するヘッド23のノズル面23aに対向する表面Maが、ノズル面23aを含む吐出平面Sに平行になるように載置台12の姿勢を調整し、載置台12の姿勢が調整された状態で、吐出平面Sに沿って載置台12とヘッド23とを相対的に移動させつつ、ヘッド23から液滴を吐出する。
【0065】
この構成によれば、主走査方向及び副走査方向についてヘッドギャップを一定に調整した後に、メディアに対して液滴を吐出することができる。これにより、メディアに高精度の画像を印刷することができる。
【0066】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、載置台調整機構が相対駆動部30のうち昇降駆動部33を含む構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0067】
図8は、変形例に係る印刷装置100の一例を示す図である。図8に示すように、印刷装置100Aは、上記した昇降駆動部33とは別個に、載置台調整機構として、回転駆動部34、35を有する。なお、図8では、載置台12、回転駆動部34、35及び制御部50以外の構成については省略している。
【0068】
回転駆動部34は、X方向に平行な回転軸を中心として載置台12を回転させる。回転駆動部35は、Y方向に平行な回転軸を中心として載置台12を回転させる。制御部50は、回転駆動部34、35を制御する。制御部50が回転駆動部34、35を制御することにより、載置台12は、X方向及びY方向にそれぞれ平行な回転軸を中心として回転する。これにより、載置台12の姿勢が調整可能となる。
【0069】
このように、印刷装置100は、複数の回転軸を中心として載置台12を回転可能な回転駆動部34、35を更に備え、載置台調整機構が回転駆動部34、35を含む構成である。この構成によれば、回転駆動部34、35により載置台12の姿勢を調整するため、効率的かつ容易に載置台12を調整可能である。
【0070】
また、上記実施形態では、載置面12aに載置された状態のメディアMの表面Maが吐出平面Sに平行になるように載置台12の姿勢を調整することでヘッドギャップを調整する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。昇降駆動部33は、相対駆動部30によって載置台12とヘッド23とを相対的に移動させたとき、互いに対向したメディアMの表面Maとノズル面23aとの距離であるヘッドギャップがいずれの位置でも等しくなるように載置台12の載置面12aの姿勢を調整可能な構成であれば、他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
M…メディア、S…吐出平面、Ma…表面、10…メディア支持部、11…ベース、11a…基準面、12…載置台、12a…載置面、20…液滴吐出部、21…Yバー、22…キャリッジ、23…ヘッド、23a…ノズル面、24…紫外線照射部、30…相対駆動部、31…主走査駆動部、32…副走査駆動部、33…昇降駆動部、33a…ナット、33b…リードスクリュー、34,35…回転駆動部、40…距離検出部、42…副走査方向移動部、50…制御部,記憶部、100,100A…印刷装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8