(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】延長ハンドル
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240117BHJP
B25G 1/00 20060101ALI20240117BHJP
B25G 1/04 20060101ALI20240117BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240117BHJP
B25B 25/00 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
B25F5/02
B25G1/00 D
B25G1/04 C
B25F5/00 H
B25B25/00 A
(21)【出願番号】P 2020035334
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019148419
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 聖展
(72)【発明者】
【氏名】町田 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】多田 祥朗
(72)【発明者】
【氏名】服部 和則
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205224619(CN,U)
【文献】米国特許第05598892(US,A)
【文献】特開2009-195252(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020245(JP,U)
【文献】特開平07-298817(JP,A)
【文献】特開2008-241859(JP,A)
【文献】特開2016-215348(JP,A)
【文献】登録実用新案第3096041(JP,U)
【文献】実開昭63-186579(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
B25G1/00-3/38
B25B25/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具に取り付けて使用される延長ハンドルであって、
前記電動工具を保持する延長部と、
前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材
と、前記把持部材に対する位置が固定された支持部材を備える中継部と、
前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、
前記ユーザの腕に当接するカフ部材
と、前記カフ部材が固定された支持梁を備える腕支持部
と、
前記支持梁と前記中継部を連結する連結部を備え
ており、
前記連結部が、
前記支持梁の外周面を部分的に覆う形状を有するシース部と、前記シース部の周方向の一方の端部から伸びる第1突出部と、前記シース部の周方向の他方の端部から伸びる第2突出部を備える連結部材と、
前記支持部材と、前記第1突出部と、前記第2突出部を挟持する、第1調整部材と第2調整部材を備える調整部材を備えており、
前記連結部材が、
前記把持部材に設けられた回動軸周りに回動可能に前記把持部材に支持されており、
前記第1調整部材と前記第2調整部材の間隔を広げた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の長手方向に沿った移動が許容され、かつ前記支持梁の前記中継部に対する前記回動軸周りの回動が許容され、
前記第1調整部材と前記第2調整部材の間隔を狭めた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の長手方向に沿った移動が禁止され、かつ前記支持梁の前記中継部に対する前記回動軸周りの回動が禁止される、延長ハンドル。
【請求項2】
前記支持部材が、前記把持部材と前記電動工具の間に配置されている、請求項
1の延長ハンドル。
【請求項3】
前記電動工具が、鉄筋結束機である、請求項
1または2の延長ハンドル。
【請求項4】
前記中継部に着脱可能に取り付けられており、前記ユーザの前記把持部材を把持する手とは別の手で把持される補助グリップをさらに備える、請求項1から
3の何れか一項の延長ハンドル。
【請求項5】
前記延長部の長手方向から前記延長ハンドルを見た時に、前記補助グリップが、前記延長部から見て前記把持部材の反対側に配置されている、請求項
4の延長ハンドル。
【請求項6】
電動工具に取り付けて使用される延長ハンドルであって、
前記電動工具を保持する
工具ホルダと、
前記
工具ホルダに連結
される延長部と、
前記延長部に対して、前後方向に移動可能なハンドルハウジングと、
前記
ハンドルハウジングに設けられており、前記電動工具を動作させるため
のユーザからの操作を受け入れる操作部と、
前記ハンドルハウジングに対して、前後方向に移動可能な支持梁と、
前記支持梁に連結され、前記ユーザの腕に当接するカフ部材
と、を備え
、
前記ハンドルハウジングは、前記延長部を支持する固定部と、前記固定部の後部から下方に延び、前記操作部が配置される把持部と、前記固定部の前部から下方に延びる支持部と、前記把持部の下部と前記支持部の下部をつなぎ、前記支持梁を支持する接続部と、を有する、延長ハンドル。
【請求項7】
前記ハンドルハウジングに保持される六角レンチをさらに備える、請求項6の延長ハンドル。
【請求項8】
前記固定部の上面に着脱可能であって、前記固定部から上方に延び、前記延長部から見て前記把持部の反対側に配置される補助グリップをさらに備える、請求項6または7の延長ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、延長ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動工具に取り付けて使用される延長ハンドルが開示されている。前記延長ハンドルは、前記電動工具を保持する延長部と、前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材を備える中継部と、前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、前記中継部に連結しており、前記ユーザの腕に当接するカフ部材を備える腕支持部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の延長ハンドルでは、中継部に対する腕支持部の位置や角度を調整することができないので、把持部材とカフ部材の相対的な位置関係が固定されている。このため、ユーザの体格や作業時の姿勢によっては、ユーザが把持部材を把持して作業を行う際に、カフ部材がユーザの腕にうまく当接せず、安定して作業を行うことができない場合がある。本明細書では、電動工具に取り付けて使用される延長ハンドルにおいて、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を変更することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、延長ハンドルを開示する。前記延長ハンドルは、電動工具に取り付けて使用されてもよい。前記延長ハンドルは、前記電動工具を保持する延長部と、前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材を備える中継部と、前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、前記中継部に回動可能に連結しており、前記ユーザの腕に当接するカフ部材を備える腕支持部を備えていてもよい。
【0006】
上記の延長ハンドルによれば、中継部に対して腕支持部を回動させることによって、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材を把持して作業を行う際に、カフ部材がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を調整することができる。
【0007】
本明細書は、別の延長ハンドルも開示する。前記延長ハンドルは、電動工具に取り付けて使用されてもよい。前記延長ハンドルは、前記電動工具を保持する延長部と、前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材を備える中継部と、前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、前記ユーザの腕に当接するカフ部材を備える腕支持部であって、当該腕支持部の長手方向に沿って移動可能に前記中継部に連結された腕支持部を備えていてもよい。
【0008】
上記の延長ハンドルによれば、腕支持部の長手方向に沿って中継部に対して腕支持部を移動させることによって、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材を把持して作業を行う際に、カフ部材がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1に係る延長ハンドル100を鉄筋結束機2に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】実施例1に係る鉄筋結束機2を左上後方から見た斜視図である。
【
図3】実施例1に係る鉄筋結束機2の本体部4の内部構造を右上後方から見た斜視図である。
【
図4】実施例1に係る鉄筋結束機2の本体部4の前方部分の断面図である。
【
図5】実施例1に係る鉄筋結束機2の本体部4および把持部6の上部の内部構造を左上前方から見た斜視図である。
【
図6】実施例1に係る延長ハンドル100の延長パイプ104の前端近傍の断面図である。
【
図7】実施例1に係る延長ハンドル100のハンドルハウジング108の近傍の断面図である。
【
図8】実施例1に係る延長ハンドル100の連結部111と支持パイプ112の斜視図である。
【
図9】実施例1に係る延長ハンドル100の連結部111の近傍の断面図である。
【
図10】実施例1に係る延長ハンドル100における、把持部材142とカフ部材114の相対的な位置関係の例を示す側面図である。
【
図11】実施例1に係る延長ハンドル100における、把持部材142とカフ部材114の相対的な位置関係の別の例を示す側面図である。
【
図12】実施例1に係る延長ハンドル100における、把持部材142とカフ部材114の相対的な位置関係のさらに別の例を示す側面図である。
【
図13】実施例1に係る延長ハンドル100における、把持部材142とカフ部材114の相対的な位置関係のさらに別の例を示す側面図である。
【
図14】実施例2に係る延長ハンドル200を鉄筋結束機2に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図15】実施例2に係る延長ハンドル200の把持部材212と連結部205と支持パイプ112の斜視図である。
【
図16】実施例2に係る延長ハンドル200の連結部205の近傍の断面図である。
【
図17】実施例2に係る延長ハンドル200における、把持部材212とカフ部材114の相対的な位置関係の例を示す側面図である。
【
図18】実施例2に係る延長ハンドル200における、把持部材212とカフ部材114の相対的な位置関係の別の例を示す側面図である。
【
図19】実施例2に係る延長ハンドル200における、把持部材212とカフ部材114の相対的な位置関係のさらに別の例を示す側面図である。
【
図20】実施例2に係る延長ハンドル200における、把持部材212とカフ部材114の相対的な位置関係のさらに別の例を示す側面図である。
【
図21】実施例1に係る延長ハンドル100の前端近傍の斜視図である。
【
図22】実施例1の変形例に係る延長ハンドル100を鉄筋結束機2に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図23】実施例1の変形例に係る延長ハンドル100の前端近傍の斜視図である。
【
図24】実施例1の変形例に係る延長ハンドル100の後端近傍の側面図である。
【
図25】実施例1の変形例に係る延長ハンドル100の延長パイプ104と、ハンドルハウジング108と、補助グリップ190の位置関係を示す背面図である。
【
図26】実施例1の別の変形例に係る延長ハンドル100の後端近傍の斜視図である。
【
図27】実施例1のさらに別の変形例に係る延長ハンドル100の後端近傍の斜視図である。
【
図28】実施例1のさらに別の変形例に係る延長ハンドル100の後端近傍の斜視図である。
【
図29】実施例1のさらに別の変形例に係る延長ハンドル100の後端近傍の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態において、延長ハンドルは、電動工具に取り付けて使用されてもよい。前記延長ハンドルは、前記電動工具を保持する延長部と、前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材を備える中継部と、前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、前記中継部に回動可能に連結しており、前記ユーザの腕に当接するカフ部材を備える腕支持部を備えていてもよい。
【0011】
上記の延長ハンドルによれば、中継部に対して腕支持部を回動させることによって、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材を把持して作業を行う際に、カフ部材がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を調整することができる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記腕支持部は、前記腕支持部の長手方向に沿って移動可能に前記中継部に連結していてもよい。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、延長ハンドルは、電動工具に取り付けて使用されてもよい。前記延長ハンドルは、前記電動工具を保持する延長部と、前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材を備える中継部と、前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、前記ユーザの腕に当接するカフ部材を備える腕支持部であって、当該腕支持部の長手方向に沿って移動可能に前記中継部に連結された腕支持部を備えていてもよい。
【0014】
上記の延長ハンドルによれば、腕支持部の長手方向に沿って中継部に対して腕支持部を移動させることによって、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材を把持して作業を行う際に、カフ部材がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を調整することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記腕支持部は、前記カフ部材が固定された支持梁をさらに備えていてもよい。前記支持梁は、前記支持梁の長手方向に沿って移動可能に前記中継部に連結していてもよい。
【0016】
仮に、カフ部材が支持梁に対して移動可能な構成とした場合、カフ部材を把持部材に近づく方向に移動させた時に、支持梁がカフ部材を超えてユーザの身体に近い側に突出してしまい、ユーザの作業の邪魔になるおそれがある。上記のように、カフ部材が支持梁に対して固定されており、支持梁が中継部に対して移動可能な構成とすると、カフ部材を把持部材に近づく方向に移動させた時に、支持梁が中継部を超えてユーザの身体から遠い側に突出するので、ユーザの作業の邪魔になることがない。ユーザの利便性を向上することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記延長ハンドルは、前記支持梁と前記中継部を連結する連結部をさらに備えていてもよい。前記連結部は、前記支持梁の外周面を部分的に覆う形状を有するシース部と、前記シース部の周方向の一方の端部から伸びる第1突出部と、前記シース部の周方向の他方の端部から伸びる第2突出部を備える連結部材と、前記第1突出部と前記第2突出部の間隔を調整する調整部材を備えていてもよい。前記調整部材によって前記第1突出部と前記第2突出部の間隔を広げた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の前記長手方向に沿った移動が許容されてもよい。前記調整部材によって前記第1突出部と前記第2突出部の間隔を狭めた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の前記長手方向に沿った移動が禁止されてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、第1突出部と第2突出部の間隔を調整することで、シース部と支持梁の間に作用する摩擦力の大きさを切り換えることができる。簡素な構成によって支持梁が中継部に対して移動可能な状態と移動不能な状態を切り換えることができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記把持部材は、前記連結部材を回動可能に支持していてもよい。前記中継部は、前記把持部材に対する位置が固定された支持部材をさらに備えていてもよい。前記調整部材は、前記支持部材と、前記第1突出部と、前記第2突出部を挟持する、第1調整部材と第2調整部材を備えていてもよい。前記第1調整部材と前記第2調整部材の間隔を広げた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の前記長手方向に沿った移動が許容されてもよく、かつ前記支持梁の前記中継部に対する回動が許容されてもよい。前記第1調整部材と前記第2調整部材の間隔を狭めた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の前記長手方向に沿った移動が禁止されてもよく、かつ前記支持梁の前記中継部に対する回動が禁止されてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第1調整部材と第2調整部材の間隔を調整することで、支持梁の回動と、支持梁の長手方向に沿った移動の両方を許容する状態と、支持梁の回動と、支持梁の長手方向に沿った移動の両方を禁止する状態を切り換えることができる。また、上記の構成によれば、連結部材が把持部材に対して回動可能であり、かつ連結部材を固定するための摩擦力が支持部材から作用するので、回動軸の位置と摩擦力が作用する位置を離して配置することができる。これによって、支持梁を中継部に対して固定した状態において、支持梁に大きなモーメントが作用した場合でも、支持梁が中継部に対して回動してしまうことを防ぐことができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記支持部材は、前記把持部材と前記電動工具の間に配置されていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、ユーザが作業を行う際に、把持部材を把持しているユーザの手を、支持部材によって保護することができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記把持部材は、前記連結部材を回動可能に支持していてもよい。前記調整部材は、前記把持部材と、前記第1突出部と、前記第2突出部を挟持する、第1調整部材と第2調整部材を備えていてもよい。前記第1調整部材と前記第2調整部材の間隔を広げた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の前記長手方向に沿った移動が許容されてもよく、かつ前記支持梁の前記中継部に対する回動が許容されてもよい。前記第1調整部材と前記第2調整部材の間隔を狭めた場合に、前記支持梁の前記中継部に対する前記支持梁の前記長手方向に沿った移動が禁止されてもよく、かつ前記支持梁の前記中継部に対する回動が禁止されてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、第1調整部材と第2調整部材の間隔を調整することで、支持梁の回動と、支持梁の長手方向に沿った移動の両方を許容する状態と、支持梁の回動と、支持梁の長手方向に沿った移動の両方を禁止する状態を切り換えることができる。また、上記の構成によれば、中継部および連結部の構成を簡素化することができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、鉄筋結束機であってもよい。
【0026】
鉄筋結束機に延長ハンドルを取り付けて下向きに使用する場合、結束作業の度に、延長ハンドルを振り上げる必要がある。上記の延長ハンドルによれば、カフ部材がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材に対するカフ部材の相対的な位置関係を調整することができるので、延長ハンドルの振り上げを容易に行うことができる。
【0027】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記延長ハンドルは、前記中継部に着脱可能に取り付けられており、前記ユーザの前記把持部材を把持する手とは別の手で把持される補助グリップをさらに備えていてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、ユーザは、一方の手で把持部材を把持し、他方の手で補助グリップを把持することができるので、把持部材を把持する側の手の負担を軽減することができる。また、ユーザの腕にカフ部材が当たらない状態で延長ハンドルを使用する場合でも、ユーザは、一方の手で把持部材を把持し、他方の手で補助グリップを把持することができるので、延長ハンドルを安定して保持することができる。
【0029】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記延長部の長手方向から前記延長ハンドルを見た時に、前記補助グリップが、前記延長部から見て前記把持部材の反対側に配置されていてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、ユーザが、一方の手で把持部材を把持して、他方の手で補助グリップを把持する場合に、延長ハンドルを安定して保持することができる。
【0031】
1つまたはそれ以上の実施形態において、延長ハンドルは、電動工具に取り付けて使用されてもよい。前記延長ハンドルは、前記電動工具を保持する延長部と、前記延長部に連結しており、ユーザによって把持される把持部材を備える中継部と、前記把持部材の近傍に設けられており、前記電動工具を動作させるための前記ユーザからの操作を受け入れる操作部と、前記中継部に着脱可能に取り付けられており、前記ユーザの前記把持部材を把持する手とは別の手で把持される補助グリップをさらに備えていてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、ユーザは、一方の手で把持部材を把持し、他方の手で補助グリップを把持することができるので、把持部材を把持する側の手の負担を軽減することができる。
【0033】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例の延長ハンドル100は、鉄筋結束機2に取り付けて使用される。
【0034】
(鉄筋結束機2の構成)
図2に示すように、鉄筋結束機2は、被結束物である複数の鉄筋Rを、結束線であるワイヤWによって結束するための電動工具である。鉄筋結束機2は、ハウジング3を備えている。ハウジング3は、本体部4と、本体部4の下部に設けられた把持部6と、把持部6の下部に設けられたバッテリ取付部8を備えている。バッテリ取付部8の下部には、バッテリBが着脱可能に取り付けられている。本体部4と、把持部6と、バッテリ取付部8は、一体的に形成されている。
【0035】
図3に示すように、本体部4の後方上部には、ワイヤWが巻回されたリール10が着脱可能に収容されている。
図2に示すように、ハウジング3は、リール10の上方を覆う形状のリールカバー5を備えている。リールカバー5は、本体部4の後方左部および後方右部に設けられたカバー保持部7に、回動可能に保持されている。リールカバー5は、本体部4に対して回動することで開閉する。
【0036】
図3-
図5に示すように、鉄筋結束機2は、送り機構12と、案内機構14と、ブレーキ機構16と、切断機構18と、捩り機構20を備えている。
【0037】
図3に示すように、送り機構12は、リール10から供給されるワイヤWを、本体部4の前方の案内機構14へと送り出す。送り機構12は、送りモータ22と、主動ローラ24と、従動ローラ26を備えている。主動ローラ24と従動ローラ26の間に、ワイヤWが挟持される。送りモータ22は、直流ブラシ付きモータである。送りモータ22は、主動ローラ24を回転させる。送りモータ22が主動ローラ24を回転させると、従動ローラ26が逆方向に回転するとともに、主動ローラ24と従動ローラ26により挟持されたワイヤWが案内機構14へと送り出され、リール10からワイヤWが引き出される。
【0038】
図4に示すように、案内機構14は、送り機構12から送られたワイヤWを、鉄筋Rの周囲に円環状に案内する。案内機構14は、案内パイプ28と、上側カールガイド30と、下側カールガイド32を備えている。案内パイプ28の後方側の端部は、主動ローラ24と従動ローラ26の間の空間に向けて開口している。送り機構12から送られたワイヤWは、案内パイプ28の内部へと送り込まれる。案内パイプ28の前方側の端部は、上側カールガイド30の内部に向けて開口している。上側カールガイド30には、案内パイプ28から送られるワイヤWを案内するための第1案内通路34と、下側カールガイド32から送られるワイヤWを案内するための第2案内通路(図示せず)が設けられている。
【0039】
図4に示すように、第1案内通路34には、ワイヤWに下向きの巻きぐせをつけるようにワイヤWを案内する複数の案内ピン38と、後述する切断機構18の一部を構成するカッタ40が設けられている。案内パイプ28から送られたワイヤWは、第1案内通路34において案内ピン38で案内され、カッタ40を通過して、上側カールガイド30の前端から下側カールガイド32に向けて送り出される。
【0040】
図5に示すように、下側カールガイド32には、送り返し板42が設けられている。送り返し板42は、上側カールガイド30の前端から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド30の第2案内通路の後端に向けて送り返す。
【0041】
上側カールガイド30の第2案内通路は、第1案内通路34に隣接して配置されている。第2案内通路は、下側カールガイド32から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド30の前端から下側カールガイド32に向けて送り出す。
【0042】
上側カールガイド30と下側カールガイド32によって、送り機構12から送られたワイヤWは、鉄筋Rの周囲に円環状に巻回される。鉄筋Rの周囲でのワイヤWの巻き数は、ユーザが予め設定しておくことができる。送り機構12は、設定された巻き数に対応する送り量のワイヤWを送り出すと、送りモータ22を停止してワイヤWの送り出しを停止する。
【0043】
図3に示すブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止するのと連動して、リール10の回転を停止する。ブレーキ機構16は、ソレノイド46と、リンク48と、ブレーキアーム50を備えている。リール10には、ブレーキアーム50が係合する係合部10aが、径方向に所定の角度間隔で形成されている。ソレノイド46への通電がされていない状態では、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aから離反している。ソレノイド46への通電がされた状態では、リンク48を介してブレーキアーム50が駆動されて、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aに係合する。ブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを行なう際には、ソレノイド46へ通電せずに、ブレーキアーム50をリール10の係合部10aから離反させている。これにより、リール10は自由に回転することができ、送り機構12はリール10からワイヤWを引き出すことができる。また、ブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止すると、ソレノイド46へ通電して、ブレーキアーム50をリール10の係合部10aに係合させる。これにより、リール10の回転が禁止される。これによって、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止した後も、リール10が慣性により回転し続け、リール10と送り機構12の間でワイヤWが弛んでしまうことを防ぐことができる。
【0044】
図4、
図5に示す切断機構18は、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回した状態で、ワイヤWを切断する。切断機構18は、カッタ40と、リンク52を備えている。リンク52は、後述する捩り機構20と連動して、カッタ40を回転させる。カッタ40が回転することによって、カッタ40の内部を通過するワイヤWが切断される。
【0045】
図5に示す捩り機構20は、鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩ることで、鉄筋RをワイヤWで結束する。捩り機構20は、捩りモータ54と、減速機構56と、スクリューシャフト58(
図4参照)と、スリーブ60と、プッシュプレート61と、一対のフック62を備えている。
【0046】
捩りモータ54は、直流ブラシレスモータである。捩りモータ54の回転は、減速機構56を介して、スクリューシャフト58に伝達される。捩りモータ54は、順方向および逆方向に回転可能であり、それに応じて、スクリューシャフト58も、順方向および逆方向に回転可能である。スリーブ60はスクリューシャフト58の周囲を覆うように配置されている。スリーブ60の回転が禁止されている状態では、スクリューシャフト58が順方向に回転すると、スリーブ60が前方に向けて移動し、スクリューシャフト58が逆方向に回転すると、スリーブ60が後方に向けて移動する。プッシュプレート61は、スリーブ60の前後方向の移動に応じて、スリーブ60と一体的に前後方向に移動する。また、スリーブ60の回転が許容されている状態で、スクリューシャフト58が回転すると、スリーブ60はスクリューシャフト58と共に回転する。
【0047】
スリーブ60が初期位置から所定の位置まで前進すると、プッシュプレート61が切断機構18のリンク52を駆動して、カッタ40を回転させる。一対のフック62はスリーブ60の前端に設けられており、スリーブ60の前後方向の位置に応じて開閉する。スリーブ60が前方に移動すると、一対のフック62が閉じて、ワイヤWを把持する。その後、スリーブ60が後方に移動すると、一対のフック62が開いて、ワイヤWを解放する。
【0048】
捩り機構20は、鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回された状態で、捩りモータ54を回転させる。この際、スリーブ60の回転は禁止されており、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が前進するとともにプッシュプレート61と一対のフック62が前進し、一対のフック62が閉じてワイヤWを把持する。そして、スリーブ60の回転が許容されると、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が回転するとともに一対のフック62が回転する。これによって、ワイヤWが捩られて、鉄筋Rが結束される。
【0049】
捩り機構20は、ワイヤWの捩りが終了すると、捩りモータ54を逆方向に回転させる。この際、スリーブ60の回転は禁止されており、一対のフック62が開いてワイヤWが解放された後、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が後退するとともにプッシュプレート61と一対のフック62が後退する。スリーブ60が後退することによって、プッシュプレート61が切断機構18のリンク52を駆動して、カッタ40を初期姿勢に復帰させる。その後、スリーブ60が初期位置まで後退すると、スリーブ60の回転が許容されて、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60と一対のフック62が回転して、初期角度に復帰する。
【0050】
図2に示すように、本体部4の上部には、第1操作部64が設けられている。第1操作部64には、主電源のオン/オフを切り換えるメインスイッチ74、主電源のオン/オフの状態を表示する主電源LED76等が設けられている。
【0051】
バッテリ取付部8の前方上面には、第2操作部90が設けられている。ユーザは、第2操作部90を介して、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際のトルクしきい値等を設定することができる。第2操作部90には、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際のトルクしきい値を設定する設定スイッチ98、現在の設定内容を表示する表示用LED96等が設けられている。
【0052】
図2-
図5に示すように、鉄筋結束機2に延長ハンドル100が取り付けられていない場合、ユーザは、把持部6を把持した状態で鉄筋結束機2を使用する。把持部6の前方上部には、ユーザが引き操作可能なトリガ84が設けられている。
図5に示すように、把持部6の内部には、トリガ84のオン/オフを検出するトリガスイッチ86が設けられている。ユーザがトリガ84を引き操作して、トリガスイッチ86がオンとなると、鉄筋結束機2は、送り機構12、案内機構14およびブレーキ機構16によって、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回するとともに、切断機構18および捩り機構20によって、ワイヤWを切断して、鉄筋Rに巻回されたワイヤWを捩る、一連の動作を実行する。
【0053】
(延長ハンドル100の構成)
図1に示すように、延長ハンドル100は、工具ホルダ102と、延長パイプ104と、リンク機構106と、ハンドルハウジング108と、ブラケット110と、支持パイプ112と、カフ(Cuff)部材114を備えている。
【0054】
工具ホルダ102は、延長パイプ104の前端近傍に固定されている。工具ホルダ102は、鉄筋結束機2の把持部6に着脱可能に取り付けられて、鉄筋結束機2を保持する。
図21に示すように、工具ホルダ102は、右側ホルダ170と、左側ホルダ172と、ヒンジ174と、締付レバー176を備えている。右側ホルダ170は、鉄筋結束機2の把持部6の右面と、前面の右半分と、後面の右半分に対応する形状を有する挟持部170aと、挟持部170aの後端から後方に延びるロック部170bと、挟持部170aの上端に連結しており、延長パイプ104に固定された固定部170cを備えている。左側ホルダ172は、鉄筋結束機2の把持部6の左面と、前面の左半分と、後面の左半分に対応する形状を有する挟持部172aと、挟持部172aの後端から後方に延びるロック部172bを備えている。ロック部172bには、切欠き172cが形成されている。右側ホルダ170の挟持部170aの前端と、左側ホルダ172の挟持部172aの前端は、ヒンジ174を介して回動可能に連結されている。右側ホルダ170のロック部170bには、左側ホルダ172のロック部172bの切欠き172cを通過して左方向に延びる雄ネジ170dが設けられている。締付レバー176は、右側ホルダ170のロック部170bとの間に左側ホルダ172のロック部172bを挟み込んだ状態で、雄ネジ170dに螺合している。鉄筋結束機2を工具ホルダ102に取り付ける際には、締付レバー176を取り外して、左側ホルダ172を右側ホルダ170に対して回動させて開いた状態とする。この状態で、鉄筋結束機2の把持部6を右側ホルダ170の挟持部170aに位置合わせし、左側ホルダ172を右側ホルダ170に対して回動させて閉じた状態とし、締付レバー176を取り付ける。その後、締付レバー176を締め付けて、右側ホルダ170のロック部170bと左側ホルダ172のロック部172bの間隔を狭めることで、右側ホルダ170の挟持部170aと左側ホルダ172の挟持部172aが鉄筋結束機2の把持部6に押し付けられて、鉄筋結束機2が工具ホルダ102に固定される。
【0055】
なお、工具ホルダ102においては、右側ホルダ170の挟持部170aに、剛性を低減するための開口170eが形成されており、左側ホルダ172の挟持部172aに、剛性を低減するための開口172dが形成されている。これによって、締付レバー176を雄ネジ170dに強く締め付けて、右側ホルダ170のロック部170bと左側ホルダ172のロック部172bの間隔がより狭まった場合でも、鉄筋結束機2の把持部6が挟持部170a,172aから過剰に押圧されることを抑制することができる。
【0056】
延長パイプ104は、円筒形状を有しており、前後方向に伸びている。工具ホルダ102の延長パイプ104に対する位置は固定されている。なお、工具ホルダ102の延長パイプ104に対する固定位置は、前後方向に調整可能であってもよい。以下の説明では、工具ホルダ102と延長パイプ104を総称して、延長部103ともいう。
【0057】
リンク機構106は、延長パイプ104の前端近傍に配置された前方リンク120(
図6参照)と、延長パイプ104の後端近傍に配置された後方リンク122(
図7参照)と、延長パイプ104の内部を前後方向に伸びており、前端に前方リンク120が固定されており、後端に後方リンク122が固定されているシャフト124(
図6、
図7参照)と、延長パイプ104の内部に収容されており、延長パイプ104に対して前方リンク120を前方に向けて付勢する圧縮バネ126(
図6)を備えている。
【0058】
図6に示すように、前方リンク120は、スライダ128と、ボルト130を備えている。スライダ128は、前後方向に摺動可能に、延長パイプ104の内部に収容されている。スライダ128には、前後方向に伸びる貫通孔128aと、スライダ128の外側面から貫通孔128aに連通するネジ孔128bが形成されている。シャフト124はスライダ128の貫通孔128aを貫通している。延長パイプ104の前端近傍の左面には、前後方向に伸びる長孔104aが形成されている。ボルト130は、長孔104aを介して、延長パイプ104の外側からスライダ128のネジ孔128bに螺合している。ボルト130をスライダ128に対して緩めた状態では、スライダ128はシャフト124に対して前後方向に摺動可能であり、スライダ128のシャフト124に対する位置を調整することができる。ボルト130をスライダ128に対して締め付けると、ボルト130の先端がシャフト124を押圧することで、スライダ128のシャフト124に対する位置が固定される。
図1に示すように、鉄筋結束機2に延長ハンドル100を取り付けた状態では、ボルト130は、鉄筋結束機2のトリガ84よりも前方で、左右方向に沿って配置される。
【0059】
図7に示すように、後方リンク122は、スライダ132と、ボルト134と、スリーブ136を備えている。スライダ132は、前後方向に摺動可能に、延長パイプ104の内部に収容されている。スライダ132には、前後方向に伸びる貫通孔132aと、スライダ132の外側面から貫通孔132aに連通するネジ孔132bが形成されている。シャフト124はスライダ132の貫通孔132aを貫通している。延長パイプ104の下面には、前後方向に伸びる長孔104bが形成されている。スリーブ136は、ボルト134の頭部134aおよび軸部134bの外周面を覆うように、ボルト134に取り付けられている。ボルト134は、長孔104bを介して、延長パイプ104の外側からスライダ132のネジ孔132bに螺合している。ボルト134をスライダ132に対して緩めた状態では、スライダ132はシャフト124に対して前後方向に摺動可能であり、スライダ132のシャフト124に対する位置を調整することができる。ボルト134をスライダ132に対して締め付けると、ボルト134の先端がシャフト124を押圧することで、スライダ132のシャフト124に対する位置が固定される。
【0060】
図1に示す延長ハンドル100においては、ユーザがスリーブ136を後方に引き操作することで、後方リンク122と、シャフト124と、前方リンク120が一体的に後方に移動し、鉄筋結束機2のトリガ84が引き操作される。ユーザがスリーブ136から手を離すと、圧縮バネ126の付勢力によって、前方リンク120と、シャフト124と、後方リンク122が一体的に前方に移動し、鉄筋結束機2のトリガ84に対する引き操作が解除される。
【0061】
図7に示すように、ハンドルハウジング108は、延長パイプ104の後端近傍に固定された固定部材140と、リンク機構106のスリーブ136よりも後方において、固定部材140の下面から下方に伸びる把持部材142と、リンク機構106のスリーブ136よりも前方において、固定部材140の下面から下方に伸びる支持部材144を備えている。固定部材140と、把持部材142と、支持部材144は、一体的に形成されている。固定部材140の延長パイプ104に対する固定位置は、前後方向に調整可能である。
【0062】
図1に示すように、ハンドルハウジング108の支持部材144の左面には、レンチ取付溝144cが形成されている。レンチ取付溝144cには、六角レンチ145が着脱可能に取り付けられている。六角レンチ145は、短辺145aが前後方向に沿って配置され、長辺145bが上下方向に沿って配置されるように、レンチ取付溝144cに取り付けられている。ユーザは、六角レンチ145を用いて、ボルト130、ボルト134を緩めたり、締め付けたりすることができる。なお、延長ハンドル100は、六角レンチ145やレンチ取付溝144cを備えていなくてもよい。
【0063】
図8に示すように、ブラケット110は、支持パイプ112に取り付けられている。ブラケット110は、支持パイプ112の下方を覆う下壁146と、支持パイプ112の右方を覆う右壁148と、支持パイプ112の左方を覆う左壁150を備えている。なお、以下ではブラケット110の下壁146と、右壁148と、左壁150を総称して、シース部151ともいう。ブラケット110はさらに、ブラケット110の前端近傍に配置された右側突出部152および左側突出部154を備えている。右側突出部152は、右壁148から上方に向けて延在しており、左側突出部154は、左壁150から上方に向けて延在している。ブラケット110はさらに、ブラケット110の後端近傍に配置された上壁156およびヒンジ部158を備えている。上壁156は、右壁148と左壁150を接続しており、支持パイプ112の上方を覆っている。ヒンジ部158は、上壁156から上方に向けて延在している。
【0064】
図7に示すように、ブラケット110のヒンジ部158は、左右方向に伸びるヒンジピン159を介して、ハンドルハウジング108の把持部材142に保持されている。このため、ブラケット110は、ハンドルハウジング108に対して、ヒンジピン159の中心軸を回動軸RXとして、回動可能である。
【0065】
図9に示すように、ブラケット110の右側突出部152と左側突出部154は、締結部材160によって、ハンドルハウジング108の支持部材144に固定されている。締結部材160は、ボルト162と、ワッシャ164と、グリップナット166を備えている。支持部材144の下部には、ブラケット110が摺動可能な凹溝144aが形成されている。また、支持部材144の右面には、凹溝144aに連通する長孔144bが形成されている。
図10に示すように、長孔144bは、ヒンジ部158の回動軸RXを中心とする円弧に沿って伸びている。
図9に示すように、ボルト162の頭部162aは、ブラケット110の左側突出部154に保持されている。ボルト162の軸部162bは、左側突出部154と右側突出部152を貫通して、さらに長孔144bを貫通して、支持部材144の外部まで突出している。グリップナット166は、ワッシャ164を介して、支持部材144の外側からボルト162に螺合している。なお、以下の説明では、ブラケット110と締結部材160を総称して、連結部111ともいう。
【0066】
グリップナット166をボルト162に対して締め付けると、ボルト162の頭部162aとグリップナット166の間隔が狭まり、ボルト162の頭部162aとグリップナット166によって、右側突出部152と、左側突出部154と、支持部材144が挟持される。これによって、右側突出部152と左側突出部154の間隔が狭まり、ブラケット110のシース部151が支持パイプ112の外周面を押圧することで、ブラケット110が支持パイプ112に対して固定される。また、右側突出部152が支持部材144を押圧することで、ブラケット110が支持部材144に対して固定される。
【0067】
図10に示すように、支持パイプ112は、円筒形状を有しており、直線状に伸びている。カフ部材114は、支持パイプ112の後端に固定されている。
図1に示すように、カフ部材114は、U字状に湾曲した帯板形状を有している。以下の説明では、支持パイプ112とカフ部材114を総称して、腕支持部113ともいう。
【0068】
延長ハンドル100を取り付けた状態で鉄筋結束機2を使用する場合、ユーザは、ハンドルハウジング108の把持部材142を把持した状態で、鉄筋Rが上側カールガイド30と下側カールガイド32の間に入るように鉄筋結束機2をセットし、スリーブ136を引き操作する。これによって、鉄筋RがワイヤWによって結束される。例えば、鉄筋Rがユーザの下方に位置している場合でも、ユーザは腰を屈めることなく、結束作業を行うことができる。また、延長ハンドル100を取り付けた状態で鉄筋結束機2を使用する場合、ユーザの前腕がカフ部材114に当接するので、安定して作業を行うことができる。特に、鉄筋Rがユーザの下方に位置しており、鉄筋結束機2を下方に向けて使用する場合、結束作業が完了する度に、延長ハンドル100を振り上げる必要が生じる。このような場合でも、ユーザの前腕にカフ部材114が当接しているので、延長ハンドル100の振り上げを容易に行うことができる。
【0069】
延長ハンドル100では、グリップナット166をボルト162に対して緩めた状態とすることで、把持部材142に対する支持パイプ112の取付位置や、把持部材142に対する支持パイプ112の取付角度を調整することができる。例えば、
図10に示す状態から、支持パイプ112の長手方向に沿って支持パイプ112をブラケット110に対して移動させることで、
図11に示すように、カフ部材114を把持部材142に近づけた位置とすることができる。あるいは、
図10に示す状態から、支持パイプ112をハンドルハウジング108に対して回動させることで、
図12に示すように、カフ部材114を把持部材142に対して上方に移動させた位置とすることができる。さらに、
図12に示す状態から、支持パイプ112の長手方向に沿って支持パイプ112をブラケット110に対して移動させることで、
図13に示すように、カフ部材114を把持部材142に近づけた位置とすることができる。把持部材142に対する支持パイプ112の取付位置や、把持部材142に対する支持パイプ112の取付角度を調整した後、グリップナット166をボルト162に対して締め付けることで、支持パイプ112をハンドルハウジング108に対して固定することができる。
【0070】
なお、
図22、
図23に示すように、延長ハンドル100において、前方リンク120に、ボルト130の外側を覆う角筒状のカバー131を設けてもよい。この場合、ボルト130の代わりに、カバー131がトリガ84に当接するので、前方リンク120によるトリガ84の引き操作をより安定して行うことができる。
【0071】
図22、
図23に示すように、延長ハンドル100において、工具ホルダ102の代わりに、工具ホルダ180を用いて、鉄筋結束機2を保持してもよい。
図23に示すように、工具ホルダ180は、右側ホルダ182と、左側ホルダ184と、ヒンジ186と、締付レバー188を備えている。右側ホルダ182は、鉄筋結束機2の把持部6の右面と、後面に対応する形状を有する挟持部182aと、挟持部182aの左後端から後方に延びるロック部182bと、挟持部182aの上端に連結しており、延長パイプ104に固定された固定部182cを備えている。左側ホルダ184は、鉄筋結束機2の把持部6の左面と、前面に対応する形状を有する挟持部184aと、挟持部184aの左後端から後方に延びるロック部184bを備えている。ロック部184bには、切欠き184cが形成されている。右側ホルダ182の前右端と、左側ホルダ184の前右端は、ヒンジ186を介して回動可能に連結されている。右側ホルダ182のロック部182bには、左側ホルダ184のロック部184bの切欠き184cを通過して左方向に延びる雄ネジ182dが設けられている。締付レバー188は、右側ホルダ182のロック部182bとの間に左側ホルダ184のロック部184bを挟み込んだ状態で、雄ネジ182dに螺合している。鉄筋結束機2を工具ホルダ180に取り付ける際には、締付レバー188を取り外して、左側ホルダ184を右側ホルダ182に対して回動させて開いた状態とする。この状態で、鉄筋結束機2の把持部6を右側ホルダ182の挟持部182aに位置合わせし、左側ホルダ184を右側ホルダ182に対して回動させて閉じた状態とし、締付レバー188を取り付ける。その後、締付レバー188を締め付けて、右側ホルダ182のロック部182bと左側ホルダ184のロック部184bの間隔を狭めることで、右側ホルダ182の挟持部182aと左側ホルダ184の挟持部184aが鉄筋結束機2の把持部6に押し付けられて、鉄筋結束機2が工具ホルダ180に固定される。
【0072】
なお、工具ホルダ180においては、右側ホルダ182の挟持部182aに、剛性を低減するための開口182eが形成されており、左側ホルダ184の挟持部184aに、剛性を低減するための開口184dが形成されている。これによって、締付レバー188を雄ネジ182dに強く締め付けて、右側ホルダ182のロック部182bと左側ホルダ184のロック部184bの間隔がより狭まった場合でも、鉄筋結束機2の把持部6が挟持部182a,184aから過剰に押圧されることを抑制することができる。また、工具ホルダ180においては、ヒンジ186が右側ホルダ182の前右端と左側ホルダ184の前右端を連結しており、鉄筋結束機2の把持部6の後面は右側ホルダ182の挟持部182aに当接し、鉄筋結束機2の把持部6の前面は左側ホルダ184の挟持部184aに当接する。このような構成とすることによって、前後方向に関して、鉄筋結束機2の把持部6と、挟持部182a,184aの間に隙間が生じることを抑制することができ、鉄筋結束機2が工具ホルダ180に対して前後方向にガタつくことを抑制することができる。さらに、工具ホルダ180においては、左側ホルダ184の挟持部184aに、把持部6の前面に向けて突出する爪184eが形成されている。このような構成とすることによって、前後方向に関して、鉄筋結束機2の把持部6と、挟持部182a,184aの間に隙間が生じることをさらに抑制することができ、鉄筋結束機2が工具ホルダ180に対して前後方向にガタつくことをさらに抑制することができる。
【0073】
図22に示すように、延長ハンドル100において、ハンドルハウジング108が、把持部材142の下端と、支持部材144の下端を接続する接続部材143を備えていてもよい。接続部材143は、把持部材142および支持部材144と一体的に形成されている。接続部材143は、支持パイプ112の上面と、ブラケット110の右面および左面を覆う形状を有している。
【0074】
図22に示すように、延長ハンドル100に、補助グリップ190が着脱可能に取り付けられていてもよい。補助グリップ190は、固定部材140の上面に設けられた補助グリップ取付部108aに螺合することで、ハンドルハウジング108に取り付けられている。ハンドルハウジング108に取り付けられた状態では、補助グリップ190は、把持部材142の上方において、固定部材140の上面から上方に向けて延びている。ユーザは、一方の手(例えば右手)で把持部材142を把持して、他方の手(例えば左手)で補助グリップ190を把持することで、把持部材142を把持している側の手(例えば右手)の負担を軽減することができる。また、
図22に示すように、カフ部材114を把持部材142に近づけた位置として、ユーザの前腕にカフ部材114が当たらない状態とした場合でも、一方の手で把持部材142を把持して、他方の手で補助グリップ190を把持することで、延長ハンドル100の振り上げを容易に行うことができる。
【0075】
図24に示すように、補助グリップ190は、延長ハンドル100を側方から見た時に、延長パイプ104から見て把持部材142の反対側に配置されている。また、
図25に示すように、補助グリップ190は、延長ハンドル100を後方から、すなわち延長パイプ104の長手方向から見た時に、延長パイプ104から見て把持部材142の反対側に配置されている。このような構成とすることで、一方の手で把持部材142を把持して、他方の手で補助グリップ190を把持する場合に、延長ハンドル100を安定して保持することができる。
【0076】
なお、補助グリップ190は、
図22とは異なる形態で、延長ハンドル100に取り付けられていてもよい。例えば、
図26に示すように、補助グリップ190は、ハンドルハウジング108に取り付けられた時に、支持部材144の上方において、固定部材140の上面から上方に延びるように、ハンドルハウジング108に取り付けられていてもよい。あるいは、
図27に示すように、補助グリップ190は、ハンドルハウジング108に取り付けられた時に、把持部材142の上方において、固定部材140の側面(例えば左面)から側方(例えば左方)に向けて延びるように、ハンドルハウジング108に取り付けられていてもよい。あるいは、
図28に示すように、補助グリップ190は、ハンドルハウジング108に取り付けられた時に、支持部材144の上方において、固定部材140の側面(例えば左面)から側方(例えば左方)に向けて延びるように、ハンドルハウジング108に取り付けられていてもよい。あるいは、
図29に示すように、補助グリップ190は、ブラケット110に取り付けられていてもよい。
図29に示す例では、補助グリップ190は、ブラケット110の下面から下方に伸びるように、ブラケット110に取り付けられている。
【0077】
図24に示すように、ハンドルハウジング108に、レンチ取付溝144cの代わりに、レンチ取付溝144dが形成されていてもよい。レンチ取付溝144dは、ハンドルハウジング108の支持部材144の右面に形成されており、上端にハンドルハウジング108の内部に連通する貫通孔(図示せず)を有している。
図24に示す例では、六角レンチ145は、短辺145aがレンチ取付溝144dの貫通孔に差し込まれ、長辺145bが支持部材144の長手方向に沿って配置されるように、レンチ取付溝144dに着脱可能に取り付けられている。
【0078】
以上のように、本実施例において、延長ハンドル100は、鉄筋結束機2(電動工具の例)に取り付けて使用される。延長ハンドル100は、鉄筋結束機2を保持する延長部103と、延長部103に連結しており、ユーザによって把持される把持部材142を備えるハンドルハウジング108(中継部の例)と、把持部材142の近傍に設けられており、鉄筋結束機2を動作させるためのユーザからの操作を受け入れるスリーブ136(操作部の例)と、ハンドルハウジング108に回動可能に連結しており、ユーザの腕に当接するカフ部材114を備える腕支持部113を備えている。
【0079】
上記の延長ハンドル100によれば、ハンドルハウジング108に対して腕支持部113を回動させることによって、把持部材142に対するカフ部材114の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材142を把持して作業を行う際に、カフ部材114がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材142に対するカフ部材114の相対的な位置関係を調整することができる。
【0080】
本実施例において、腕支持部113は、腕支持部113の長手方向に沿って移動可能にハンドルハウジング108に連結している。
【0081】
本実施例において、延長ハンドル100は、鉄筋結束機2(電動工具の例)に取り付けて使用される。延長ハンドル100は、鉄筋結束機2を保持する延長部103と、延長部103に連結しており、ユーザによって把持される把持部材142を備えるハンドルハウジング108(中継部の例)と、把持部材142の近傍に設けられており、鉄筋結束機2を動作させるためのユーザからの操作を受け入れるスリーブ136(操作部の例)と、ユーザの腕に当接するカフ部材114を備える腕支持部113を備えている。腕支持部113は、腕支持部113の長手方向に沿って移動可能にハンドルハウジング108に連結されている。
【0082】
上記の延長ハンドル100によれば、腕支持部113の長手方向に沿ってハンドルハウジング108に対して腕支持部113を移動させることによって、把持部材142に対するカフ部材114の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材142を把持して作業を行う際に、カフ部材114がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材142に対するカフ部材114の相対的な位置関係を調整することができる。
【0083】
本実施例において、腕支持部113は、カフ部材114が固定された支持パイプ112(支持梁の例)をさらに備えている。支持パイプ112は、支持パイプ112の長手方向に沿って移動可能にハンドルハウジング108に連結している。
【0084】
仮に、カフ部材114が支持パイプ112に対して移動可能な構成とした場合、カフ部材114を把持部材142に近づく方向に移動させた時に、支持パイプ112がカフ部材114を超えてユーザの身体に近い側に突出してしまい、ユーザの作業の邪魔になるおそれがある。上記のように、カフ部材114が支持パイプ112に対して固定されており、支持パイプ112がハンドルハウジング108に対して移動可能な構成とすると、カフ部材114を把持部材142に近づく方向に移動させた時に、支持パイプ112がハンドルハウジング108を超えてユーザの身体から遠い側に突出するので、ユーザの作業の邪魔になることがない。ユーザの利便性を向上することができる。
【0085】
本実施例において、延長ハンドル100は、支持パイプ112とハンドルハウジング108を連結する連結部111をさらに備えている。連結部111は、支持パイプ112の外周面を部分的に覆う形状を有するシース部151と、シース部151の周方向の一方の端部から伸びる右側突出部152(第1突出部の例)と、シース部151の周方向の他方の端部から伸びる左側突出部154(第2突出部の例)を備えるブラケット110(連結部材の例)と、右側突出部152と左側突出部154の間隔を調整する締結部材160(調整部材の例)を備えている。締結部材160によって右側突出部152と左側突出部154の間隔を広げた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング108に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が許容される。締結部材160によって右側突出部152と左側突出部154の間隔を狭めた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング108に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が禁止される。
【0086】
上記の構成によれば、右側突出部152と左側突出部154の間隔を調整することで、シース部151と支持パイプ112の間に作用する摩擦力の大きさを切り換えることができる。簡素な構成によって支持パイプ112がハンドルハウジング108に対して移動可能な状態と移動不能な状態を切り換えることができる。
【0087】
本実施例において、把持部材142は、ブラケット110を回動可能に支持している。ハンドルハウジング108は、把持部材142に対する位置が固定された支持部材144をさらに備えている。締結部材160は、支持部材144と、右側突出部152と、左側突出部154を挟持する、ボルト162の頭部162a(第1調整部材の例)とグリップナット166(第2調整部材の例)を備えている。ボルト162の頭部162aとグリップナット166の間隔を広げた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング108に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が許容され、かつ支持パイプ112のハンドルハウジング108に対する回動が許容される。ボルト162の頭部162aとグリップナット166の間隔を狭めた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング108に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が禁止され、かつ支持パイプ112のハンドルハウジング108に対する回動が禁止される。
【0088】
上記の構成によれば、ボルト162の頭部162aとグリップナット166の間隔を調整することで、支持パイプ112の回動と、支持パイプ112の長手方向に沿った移動の両方を許容する状態と、支持パイプ112の回動と、支持パイプ112の長手方向に沿った移動の両方を禁止する状態を切り換えることができる。また、上記の構成によれば、ブラケット110が把持部材142に対して回動可能であり、かつブラケット110を固定するための摩擦力が支持部材144から作用するので、回動軸の位置と摩擦力が作用する位置を離して配置することができる。これによって、支持パイプ112をハンドルハウジング108に対して固定した状態において、支持パイプ112に大きなモーメントが作用した場合でも、支持パイプ112がハンドルハウジング108に対して回動してしまうことを防ぐことができる。
【0089】
本実施例において、支持部材144は、把持部材142と鉄筋結束機2の間に配置されている。
【0090】
上記の構成によれば、ユーザが作業を行う際に、把持部材142を把持しているユーザの手を、支持部材144によって保護することができる。
【0091】
本実施例において、延長ハンドル100が取り付けられる電動工具は、鉄筋結束機2である。
【0092】
鉄筋結束機2に延長ハンドル100を取り付けて下向きに使用する場合、結束作業の度に、延長ハンドル100を振り上げる必要がある。上記の延長ハンドル100によれば、カフ部材114がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材142に対するカフ部材114の相対的な位置関係を調整することができるので、延長ハンドル100の振り上げを容易に行うことができる。
【0093】
本実施例において、延長ハンドル100は、ハンドルハウジング108に着脱可能に取り付けられており、ユーザの把持部材142を把持する手とは別の手で把持される補助グリップ190をさらに備えている。
【0094】
上記の構成によれば、ユーザは、一方の手で把持部材142を把持し、他方の手で補助グリップ190を把持することができるので、把持部材142を把持する側の手の負担を軽減することができる。また、ユーザの腕にカフ部材114が当たらない状態で延長ハンドル100を使用する場合でも、ユーザは、一方の手で把持部材142を把持し、他方の手で補助グリップ190を把持することができるので、延長ハンドル100を安定して保持することができる。
【0095】
本実施例において、延長部103の長手方向(すなわち前後方向)から延長ハンドル100を見た時に、補助グリップ190は、延長部103から見て把持部材142の反対側に配置されている。
【0096】
上記の構成によれば、ユーザが、一方の手で把持部材142を把持して、他方の手で補助グリップ190を把持する場合に、延長ハンドル100を安定して保持することができる。
【0097】
本実施例において、延長ハンドル100は、鉄筋結束機2(電動工具の例)に取り付けて使用される。延長ハンドル100は、鉄筋結束機2を保持する延長部103と、延長部103に連結しており、ユーザによって把持される把持部材142を備えるハンドルハウジング108(中継部の例)と、把持部材142の近傍に設けられており、鉄筋結束機2を動作させるためのユーザからの操作を受け入れるスリーブ136(操作部の例)と、ハンドルハウジング108に着脱可能に取り付けられており、ユーザの把持部材142を把持する手とは別の手で把持される補助グリップ190をさらに備えている。
【0098】
上記の構成によれば、ユーザは、一方の手で把持部材142を把持し、他方の手で補助グリップ190を把持することができるので、把持部材142を把持する側の手の負担を軽減することができる。
【0099】
(実施例2)
図14に示すように、本実施例の延長ハンドル200は、鉄筋結束機2に取り付けて使用される。本実施例の延長ハンドル200は、実施例1の延長ハンドル100と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例の延長ハンドル200について、実施例1の延長ハンドル100と相違する点について説明する。
【0100】
(延長ハンドル200の構成)
延長ハンドル200は、工具ホルダ102と、延長パイプ104と、リンク機構106と、ハンドルハウジング202と、ブラケット204と、支持パイプ112と、カフ部材114を備えている。
【0101】
ハンドルハウジング202は、延長パイプ104の後端近傍に固定された固定部材210と、リンク機構106のスリーブ136よりも後方において、固定部材210の下面から下方に伸びる把持部材212を備えている。固定部材210と、把持部材212は、一体的に形成されている。固定部材210の延長パイプ104に対する固定位置は、前後方向に調整可能である。
【0102】
図15に示すように、ブラケット204は、支持パイプ112に取り付けられている。ブラケット204は、支持パイプ112の下方、右方および左方を覆う、略半円筒形状のシース部216と、シース部216の右側の端部から上方に向けて延在する右側突出部218と、シース部216の左側の端部から上方に向けて延在する左側突出部220を備えている。
【0103】
図16に示すように、把持部材212の下部には、取付部212aが形成されている。取付部212aの右面と左面には、ラバーワッシャ222、224が取り付けられている。ブラケット204の右側突出部218と左側突出部220は、締結部材226によって、取付部212aに固定されている。締結部材226は、ボルト228と、グリップナット230を備えている。ボルト228の頭部228aは、左側突出部220に保持されている。ボルト228の軸部228bは、左側突出部220、ラバーワッシャ224、取付部212a、ラバーワッシャ222、右側突出部218を貫通して、ブラケット204の外部まで突出している。グリップナット230は、ブラケット204の外側からボルト228に螺合している。グリップナット230をボルト228に対して緩めた状態では、ブラケット204は把持部材212に対して、ボルト228の中心軸を回動軸RXとして、回動可能である。なお、以下の説明では、ブラケット204と締結部材226を総称して、連結部205ともいう。
【0104】
グリップナット230をボルト228に対して締め付けると、ボルト228の頭部228aとグリップナット230の間隔が狭まり、ボルト228の頭部228aとグリップナット230によって、右側突出部218と、把持部材212と、左側突出部220が挟持される。これによって、右側突出部218と左側突出部220の間隔が狭まり、ブラケット204のシース部216が支持パイプ112の外周面を押圧することで、ブラケット204が支持パイプ112に対して固定される。また、右側突出部218と左側突出部220が把持部材212を押圧することで、ブラケット204が把持部材212に対して固定される。
【0105】
図14に示すように、延長ハンドル200を取り付けた状態で鉄筋結束機2を使用する場合、ユーザは、ハンドルハウジング202の把持部材212を把持した状態で、鉄筋Rが上側カールガイド30と下側カールガイド32の間に入るように鉄筋結束機2をセットし、スリーブ136を引き操作する。これによって、鉄筋RがワイヤWによって結束される。例えば、鉄筋Rがユーザの下方に位置している場合でも、ユーザは腰を屈めることなく、結束作業を行うことができる。また、延長ハンドル200を取り付けた状態で鉄筋結束機2を使用する場合、ユーザの前腕がカフ部材114に当接するので、安定して作業を行うことができる。特に、鉄筋Rがユーザの下方に位置しており、鉄筋結束機2を下方に向けて使用する場合、結束作業が完了する度に、延長ハンドル200を振り上げる必要が生じる。このような場合でも、ユーザの前腕にカフ部材114が当接しているので、延長ハンドル200の振り上げを容易に行うことができる。
【0106】
延長ハンドル200では、グリップナット230をボルト228に対して緩めた状態とすることで、把持部材212に対する支持パイプ112の取付位置や、把持部材212に対する支持パイプ112の取付角度を調整することができる。例えば、
図17に示す状態から、支持パイプ112をハンドルハウジング202に対して回動させることで、
図18に示すように、カフ部材114を把持部材212に対して下方に移動させた位置とすることができる。あるいは、
図17に示す状態から、支持パイプ112の長手方向に沿って支持パイプ112をブラケット204に対して移動させることで、
図19に示すように、カフ部材114を把持部材212に近づけた位置とすることができる。さらに、
図19に示す状態から、支持パイプ112をハンドルハウジング202に対して回動させることで、
図20に示すように、カフ部材114を把持部材212に対して下方に移動させた位置とすることができる。把持部材212に対する支持パイプ112の取付位置や、把持部材212に対する支持パイプ112の取付角度を調整した後、グリップナット230をボルト228に対して締め付けることで、支持パイプ112をハンドルハウジング202に対して固定することができる。
【0107】
なお、本実施例の延長ハンドル200においても、実施例1の延長ハンドル100と同様に、ハンドルハウジング202やブラケット204に、補助グリップ190が着脱可能に取り付けられてもよい。
【0108】
以上のように、本実施例において、延長ハンドル200は、鉄筋結束機2(電動工具の例)に取り付けて使用される。延長ハンドル200は、鉄筋結束機2を保持する延長部103と、延長部103に連結しており、ユーザによって把持される把持部材212を備えるハンドルハウジング202(中継部の例)と、把持部材212の近傍に設けられており、鉄筋結束機2を動作させるためのユーザからの操作を受け入れるスリーブ136(操作部の例)と、ハンドルハウジング202に回動可能に連結しており、ユーザの腕に当接するカフ部材114を備える腕支持部113を備えている。
【0109】
上記の延長ハンドル200によれば、ハンドルハウジング202に対して腕支持部113を回動させることによって、把持部材212に対するカフ部材114の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材212を把持して作業を行う際に、カフ部材114がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材212に対するカフ部材114の相対的な位置関係を調整することができる。
【0110】
本実施例において、腕支持部113は、腕支持部113の長手方向に沿って移動可能にハンドルハウジング202に連結している。
【0111】
本実施例において、延長ハンドル200は、鉄筋結束機2(電動工具の例)に取り付けて使用される。延長ハンドル200は、鉄筋結束機2を保持する延長部103と、延長部103に連結しており、ユーザによって把持される把持部材212を備えるハンドルハウジング202(中継部の例)と、把持部材212の近傍に設けられており、鉄筋結束機2を動作させるためのユーザからの操作を受け入れるスリーブ136(操作部の例)と、ユーザの腕に当接するカフ部材114を備える腕支持部113を備えている。腕支持部113は、腕支持部113の長手方向に沿って移動可能にハンドルハウジング202に連結されている。
【0112】
上記の延長ハンドル200によれば、腕支持部113の長手方向に沿ってハンドルハウジング202に対して腕支持部113を移動させることによって、把持部材212に対するカフ部材114の相対的な位置関係を変更することができる。ユーザの体格や作業時の姿勢がどのようなものであっても、ユーザが把持部材212を把持して作業を行う際に、カフ部材114がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材212に対するカフ部材114の相対的な位置関係を調整することができる。
【0113】
本実施例において、腕支持部113は、カフ部材114が固定された支持パイプ112(支持梁の例)をさらに備えている。支持パイプ112は、支持パイプ112の長手方向に沿って移動可能にハンドルハウジング202に連結している。
【0114】
仮に、カフ部材114が支持パイプ112に対して移動可能な構成とした場合、カフ部材114を把持部材212に近づく方向に移動させた時に、支持パイプ112がカフ部材114を超えてユーザの身体に近い側に突出してしまい、ユーザの作業の邪魔になるおそれがある。上記のように、カフ部材114が支持パイプ112に対して固定されており、支持パイプ112がハンドルハウジング202に対して移動可能な構成とすると、カフ部材114を把持部材212に近づく方向に移動させた時に、支持パイプ112がハンドルハウジング202を超えてユーザの身体から遠い側に突出するので、ユーザの作業の邪魔になることがない。ユーザの利便性を向上することができる。
【0115】
本実施例において、延長ハンドル200は、支持パイプ112とハンドルハウジング202を連結する連結部205をさらに備えている。連結部205は、支持パイプ112の外周面を部分的に覆う形状を有するシース部216と、シース部216の周方向の一方の端部から伸びる右側突出部218(第1突出部の例)と、シース部216の周方向の他方の端部から伸びる左側突出部220(第2突出部の例)を備えるブラケット204(連結部材の例)と、右側突出部218と左側突出部220の間隔を調整する締結部材226(調整部材の例)を備えている。締結部材226によって右側突出部218と左側突出部220の間隔を広げた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング202に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が許容される。締結部材226によって右側突出部218と左側突出部220の間隔を狭めた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング202に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が禁止される。
【0116】
上記の構成によれば、右側突出部218と左側突出部220の間隔を調整することで、シース部216と支持パイプ112の間に作用する摩擦力の大きさを切り換えることができる。簡素な構成によって支持パイプ112がハンドルハウジング202に対して移動可能な状態と移動不能な状態を切り換えることができる。
【0117】
本実施例において、把持部材212は、ブラケット204を回動可能に支持している。締結部材226は、把持部材212と、右側突出部218と、左側突出部220を挟持する、ボルト228の頭部228a(第1調整部材の例)とグリップナット230(第2調整部材の例)を備えている。ボルト228の頭部228aとグリップナット230の間隔を広げた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング202に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が許容され、かつ支持パイプ112のハンドルハウジング202に対する回動が許容される。ボルト228の頭部228aとグリップナット230の間隔を狭めた場合に、支持パイプ112のハンドルハウジング202に対する支持パイプ112の長手方向に沿った移動が禁止され、かつ支持パイプ112のハンドルハウジング202に対する回動が禁止される。
【0118】
上記の構成によれば、ボルト228の頭部228aとグリップナット230の間隔を調整することで、支持パイプ112の回動と、支持パイプ112の長手方向に沿った移動の両方を許容する状態と、支持パイプ112の回動と、支持パイプ112の長手方向に沿った移動の両方を禁止する状態を切り換えることができる。また、上記の構成によれば、ハンドルハウジング202およびブラケット204の構成を簡素化することができる。
【0119】
本実施例において、延長ハンドル200が取り付けられる電動工具は、鉄筋結束機2である。
【0120】
鉄筋結束機2に延長ハンドル200を取り付けて下向きに使用する場合、結束作業の度に、延長ハンドル200を振り上げる必要がある。上記の延長ハンドル200によれば、カフ部材114がユーザの腕に適切に当接するように、把持部材212に対するカフ部材114の相対的な位置関係を調整することができるので、延長ハンドル200の振り上げを容易に行うことができる。
【0121】
なお、上記の実施例1,2では、延長ハンドル100,200を鉄筋結束機2に取り付けて使用する場合について説明したが、延長ハンドル100,200は、他の種類の電動工具に取り付けて使用してもよい。また、上記の実施例1,2において、延長ハンドル100,200は、支持パイプ112とカフ部材114を備えていなくてもよい。
【0122】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0123】
2 :鉄筋結束機
3 :ハウジング
4 :本体部
5 :リールカバー
6 :把持部
7 :カバー保持部
8 :バッテリ取付部
10 :リール
10a :係合部
12 :送り機構
14 :案内機構
16 :ブレーキ機構
18 :切断機構
20 :捩り機構
22 :送りモータ
24 :主動ローラ
26 :従動ローラ
28 :案内パイプ
30 :上側カールガイド
32 :下側カールガイド
34 :第1案内通路
38 :案内ピン
40 :カッタ
42 :送り返し板
46 :ソレノイド
48 :リンク
50 :ブレーキアーム
52 :リンク
54 :捩りモータ
56 :減速機構
58 :スクリューシャフト
60 :スリーブ
61 :プッシュプレート
62 :フック
64 :第1操作部
74 :メインスイッチ
76 :主電源LED
84 :トリガ
86 :トリガスイッチ
90 :第2操作部
96 :表示用LED
98 :設定スイッチ
100 :延長ハンドル
102 :工具ホルダ
103 :延長部
104 :延長パイプ
104a :長孔
104b :長孔
106 :リンク機構
108 :ハンドルハウジング
108a :補助グリップ取付部
110 :ブラケット
111 :連結部
112 :支持パイプ
113 :腕支持部
114 :カフ部材
120 :前方リンク
122 :後方リンク
124 :シャフト
126 :圧縮バネ
128 :スライダ
128a :貫通孔
128b :ネジ孔
130 :ボルト
131 :カバー
132 :スライダ
132a :貫通孔
132b :ネジ孔
134 :ボルト
134a :頭部
134b :軸部
136 :スリーブ
140 :固定部材
142 :把持部材
143 :接続部材
144 :支持部材
144a :凹溝
144b :長孔
144c :レンチ取付溝
144d :レンチ取付溝
145 :六角レンチ
145a :短辺
145b :長辺
146 :下壁
148 :右壁
150 :左壁
151 :シース部
152 :右側突出部
154 :左側突出部
156 :上壁
158 :ヒンジ部
159 :ヒンジピン
160 :締結部材
162 :ボルト
162a :頭部
162b :軸部
164 :ワッシャ
166 :グリップナット
170 :右側ホルダ
170a :挟持部
170b :ロック部
170c :固定部
170d :雄ネジ
170e :開口
172 :左側ホルダ
172a :挟持部
172b :ロック部
172c :切欠き
172d :開口
174 :ヒンジ
176 :締付レバー
180 :工具ホルダ
182 :右側ホルダ
182a :挟持部
182b :ロック部
182c :固定部
182d :雄ネジ
182e :開口
184 :左側ホルダ
184a :挟持部
184b :ロック部
184c :切欠き
184d :開口
186 :ヒンジ
188 :締付レバー
190 :補助グリップ
200 :延長ハンドル
202 :ハンドルハウジング
204 :ブラケット
205 :連結部
210 :固定部材
212 :把持部材
212a :取付部
216 :シース部
218 :右側突出部
220 :左側突出部
222 :ラバーワッシャ
224 :ラバーワッシャ
226 :締結部材
228 :ボルト
228a :頭部
228b :軸部
230 :グリップナット