(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
G05G 9/00 20060101AFI20240117BHJP
B60Q 1/52 20060101ALI20240117BHJP
H01H 3/04 20060101ALI20240117BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240117BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G05G9/00 Z
B60Q1/52
H01H3/04 A
B60R16/02 630A
G05G5/05
(21)【出願番号】P 2020045113
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】山田 一
(72)【発明者】
【氏名】富田 悟
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-273208(JP,A)
【文献】実用新案登録第2515658(JP,Y2)
【文献】特開平7-156710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 9/00
B60Q 1/52
H01H 3/04
B60R 16/02
G05G 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源を始動させる際に特定の位置から第一方向に操作される操作部を備え、
前記操作部は、前記第一方向に操作された後に自動で前記特定の位置に復帰するよう構成されると共に、車両から所定の報知情報を出力させる際に前記特定の位置から前記第一方向とは異なる方向である第二方向に操作可能なよう構成されて
おり、さらに、前記特定の位置から前記第二方向に操作された後に当該第二方向に操作された位置で留まるよう構成されると共に、前記報知情報の出力を停止させる際に前記第二方向に操作された位置から前記特定の位置に操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のスイッチ装置であって、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された後に前記特定の位置に操作された際に、前記報知情報の出力を停止させる信号を出力するよう構成されている、
スイッチ装置。
【請求項3】
車両の動力源を始動させる際に特定の位置から第一方向に操作される操作部を備え、
前記操作部は、前記第一方向に操作された後に自動で前記特定の位置に復帰するよう構成され
ており、車両から所定の報知情報を出力させる
と共に当該車両の動力源を停止させる際に前記特定の位置から前記第一方向とは異なる方向である第二方向に操作可能なよう構成さ
れ、さらに、前記報知情報の出力を停止させると共に車両の動力源を始動させる際に前記第二方向に操作された位置から前記特定の位置に操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
【請求項4】
請求項
3に記載のスイッチ装置であって、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された際に、車両から前記報知情報を出力させる信号を出力すると共に、車両の動力源を停止させる信号を出力し、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された後に前記特定の位置に操作された際に、前記報知情報の出力を停止させる信号を出力すると共に、車両の動力源を始動させる信号を出力するよう構成されている、
スイッチ装置。
【請求項5】
請求項1
乃至4のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置を基準として、相互に反対方向である前記第一方向と前記第二方向とに操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
【請求項6】
請求項1
乃至5のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記第一方向と前記第二方向とに操作可能なレバー部材にて構成されている、
スイッチ装置。
【請求項7】
請求項1
乃至6のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置を基準として、車両下方または前方である前記第一方向と車両上方または後方である前記第二方向とに操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
【請求項8】
請求項1
乃至7のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置から前記第二方向側に位置する複数の位置でそれぞれ留まるよう操作可能に構成されている、
スイッチ装置。
【請求項9】
請求項1
乃至8のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部が前記特定の位置から前記第一方向に操作された際に、車両の動力源を始動させる信号を出力すると共に、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された際に、車両から前記報知情報を出力させる信号を出力するよう構成されている、
スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動力源の始動を行うスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配達物の増加に伴い、配達車の一時的な停車の頻度が増加している。このとき、配達車の運転者は、配達車が停車していることを周囲に報知するために、例えば非常点滅表示灯を点滅させることが多々ある。このため、配達物の配達を行う運転者にとっては、非常点滅表示灯を表示させる操作の頻度が高くなる。
【0003】
ここで、特許文献1に、上述したように配達物の配達を行う運転者が停車時に非常点滅表示灯を頻繁に操作することを考慮したハザードランプ装置が記載されている。具体的に、特許文献1の技術では、まず、イグニッションスイッチにイグニッションキーを挿入して一方向(時計回り方向)に所定の角度だけ捻ることで、イグニッションスイッチの操作位置をエンジンスタートの操作位置(ONI)にすると、エンジンスタート状態となり、走行可能となる。そして、さらにイグニッションキーをエンジンスタート時と同じ方向つまり時計回りに回転させることで、停車の操作位置(ONII)にすると、エンジンはアイドリング状態のまま非常点滅表示灯が点滅し、かつ、イグニッションキーを抜くことができる状態となる。このように構成することで、停車時に非常点滅表示灯を容易に点滅させることができ、イグニッションキーも抜くことができるため、配達作業の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、エンジンスタート時の操作と停車時の操作とが、イグニッションキーを同一方向に捻るといった操作となるため、誤操作が生じやすい、という問題が生じる。例えば、エンジンスタート時に、イグニッションキーを停車の操作位置まで回転させてしまう恐れがあり、その場合には意図せず非常点滅表示灯が点滅することとなってしまう。そして、このような誤操作の問題は、エンジン駆動の車両に限らず、電気自動車などのあらゆる車両においても生じうる。
【0006】
このため、本発明の目的は、運転者による報知情報の出力操作における誤操作を抑制することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態であるスイッチ装置は、
車両の動力源を始動させる際に特定の位置から第一方向に操作される操作部を備え、
前記操作部は、前記第一方向に操作された後に自動で前記特定の位置に復帰するよう構成されると共に、車両から所定の報知情報を出力させる際に前記特定の位置から前記第一方向とは異なる方向である第二方向に操作可能なよう構成されている、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、運転者による報知情報の出力操作における誤操作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態におけるスイッチ装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1に開示したスイッチ装置の動作の様子を示す図である。
【
図3】
図1に開示したスイッチ装置の動作の様子を示す図である。
【
図4】
図1に開示したスイッチ装置の動作の様子を示す図である。
【
図5】
図1に開示したスイッチ装置を含む車両の構成の概略を示すブロック図である。
【
図6】
図1に開示したスイッチ装置を操作したときの車両の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図1に開示したスイッチ装置の他の動作の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図7を参照して説明する。
図1、
図5は、スイッチ装置の構成を説明するための図であり、
図2乃至
図4、
図6は、スイッチ装置の動作を説明するための図である。
【0011】
[構成]
本実施形態におけるスイッチ装置10は、自動車といった車両に設置されており、エンジンを始動/停止させる際に操作するものである。つまり、本実施形態におけるスイッチ装置10は、車両の運転座席の前方に位置するインストルメントパネルに設けられるエンジンスタートスイッチである。但し、スイッチ装置10は、必ずしもエンジンを始動/停止させる際に操作するものであることに限定されない。例えば、スイッチ装置10は、電気自動車における電源といった動力源をオン/オフする際に操作するものであってもよく、その他の車両において動力源をオン/オフする際に操作するものであってもよい。つまり、スイッチ装置は、車両における種々の機器に対する動力源、並びに、内燃機関及びモーター等の動力源をオン/オフする際に操作するものであれば良い。また、本実施形態におけるスイッチ装置10は、必ずしもインストルメントパネルに設けられていることに限定されず、車両のいかなる箇所に設けられていてもよい。
【0012】
図1に示すように、本実施形態におけるスイッチ装置10は、車両のインストルメントパネルに設置されるスイッチケース11と、スイッチケース11に対して回転自在に装備されるスイッチ本体12と、を備えて構成されている。
【0013】
具体的に、スイッチケース11は、略矩形の枠体であって、中央部分が空洞に形成され、かかる空洞部分にスイッチ本体12を収容するよう構成されている。そして、スイッチ本体12は、
図1や
図3に示すように、略長方形状の略平坦な平面部12aを有し、かかる平面部12aの裏面側に円弧状に突出した円弧状部12bを有して形成されている。つまり、スイッチ本体12は、略円柱形状の部材を所定の弦部分で切断した形状となっており、かかる切断した面が平面部12aを形成した形状となっている。また、スイッチ本体12は、当該スイッチ本体12の平面部12aの所定箇所から所定の長さだけ突出したレバー部12cを有している。つまり、スイッチ本体12は、
図1に示すように、平面部12aが表面側に位置する状態では、当該平面部12aの下端部分がさらに下方に延びる延設部を有しており、かかる延設部がレバー部12c(レバー部材)を形成している。このレバー部12cは、後述するように、運転者によって操作される操作部として機能する。
【0014】
また、スイッチ本体12は、スイッチケース11の内部で回転自在に支持されている。具体的に、スイッチ本体12は、
図1の矢印に示すように、レバー部12cが回転端となるよう、円弧状部12bの側面の所定箇所がスイッチケース11の内部で回転自在に支持されている。これにより、スイッチ装置10が上述したように車両のインストルメントパネルに設けられている場合には、スイッチ本体12のレバー部12cが、
図1に示す特定の位置から、車両の下方方向である第一方向Y1と、車両の上方方向である第二方向Y2と、に回転可能に構成されている。つまり、スイッチ本体12は、レバー部12cが、相互に反対方向に回転操作可能なよう構成されている。なお、第一方向Y1は、車両の前方方向ともいえ、第二方向Y2は、車両の後方方向ともいえる。
【0015】
より具体的に、スイッチ本体12は、運転者によるレバー部12cの操作により、
図2乃至
図4に示すように回転可能である。まず、スイッチ本体12のレバー部12cは、何ら操作をしない場合には、
図2の左図に示すように、特定の位置である中立位置に位置することとする。この中立位置にある状態で、
図2の中央図の矢印Y3に示すように、運転者がレバー部12cを車両の下方方向である第一方向に押し下げることで、さらにレバー部12cが下方に位置する押し下げ位置に位置することとなる。ここで、スイッチ装置10は、スイッチ本体12を押し下げ位置から自動的に中立位置に復帰するよう回転力を付勢する付勢手段を備えている。このため、運転者がレバー部12cを押し下げる操作をやめることで、
図2の右図の矢印Y4に示すように、レバー部12cが押し下げ位置から中立位置に復帰するようスイッチ本体12が自動的に回転されることとなる。なお、スイッチ本体12に回転力を付勢する付勢手段は、スイッチケース11の内部に装備されている。そして、上述したレバー部12cを押し下げる操作は、運転者が車両のエンジン(動力源)を始動するときに行われる。また、かかるレバー部12cを押し下げる操作は、車両のエンジンが始動している状態で、運転者が車両のエンジン(動力源)を停止するときにも行われる。
【0016】
ここで、スイッチ装置10は、
図5のブロック図に示すように、車両に搭載された制御装置20と電気的に接続されている。そして、スイッチ装置10は、電子回路(図示せず)を搭載されており、かかる電子回路の機能により、レバー部12cの操作に伴うスイッチ本体12の回転位置に応じた信号を制御装置20に出力するよう構成されている。例えば、スイッチ装置10は、上述したようにレバー部12cが押し下げ位置に操作された際には、エンジン30を始動させる信号を制御装置20に出力する。これに伴い、制御装置20は、エンジン30を始動するよう制御する。なお、車両のエンジンが始動している状態で上述同様にレバー部12cが押し下げ位置に操作された際には、スイッチ装置10は始動しているエンジン30を停止させる信号を制御装置20に出力する。これに伴い、制御装置20は、エンジン30を停止するよう制御する。なお、スイッチ装置10は、エンジン30に対して直接信号を出力してもよい。但し、スイッチ装置10は、上述した押し下げ位置への操作時に、必ずしもエンジンを始動/停止させる信号を出力することに限定されない。例えば、スイッチ装置10は、押し下げ位置への操作時に、車両の動力源を始動/停止する信号を出力してもよい。
【0017】
また、スイッチ本体12は、レバー部12cが中立位置にある状態で、
図3の左図の矢印Y5に示すように、運転者がレバー部12cを車両の上方方向である第二方向に引き上げることで、レバー部12cが上方に位置する引き上げ位置に位置する状態となる。ここで、スイッチ装置10は、スイッチ本体12を引き上げた位置で留まるよう係止させる係止手段を備えている。このため、運転者がレバー部12cを引き上げる操作をやめることで、
図3の右図に示すように、レバー部12cが引き上げられた位置で留まる。なお、スイッチ本体12を引き上げ位置で係止する係止手段は、スイッチケース11の内部に装備されている。このとき、スイッチ本体12は、平面部12aがスイッチケース11の内部側に位置し、当該平面部12aの裏面側に位置する円弧状部12bの円弧面が、スイッチ装置10の表面側に位置する状態となる。そして、上述したレバー部12cを引き上げる操作は、運転者が車両のエンジンを始動させた後に、車両の非常点滅表示灯を点滅表示させると共に、車両のエンジンを停止させるときに行われる。
【0018】
そして、スイッチ装置10は、上述したようにレバー部12cが引き上げ位置に操作された際には、非常点滅表示灯40を点滅表示させる信号と、始動しているエンジン30を停止させる信号と、を制御装置20に出力する。これに伴い、制御装置20は、非常点滅表示灯40を点滅表示するよう制御すると共に、始動しているエンジン30を停止するよう制御する。なお、スイッチ装置10は、非常点滅表示灯40やエンジン30に対して直接信号を出力してもよい。但し、スイッチ装置10は、上述した引き上げ位置への操作時に、必ずしも非常点滅表示灯40を点滅表示させる信号を出力することに限定されない。例えば、スイッチ装置10は、引き上げ操作位置への操作時に、車両の他の表示灯を点灯表示させるためや、車両から音情報を出力するためなど、車両の周囲に何らかの報知装置から報知情報を出力させるための信号を出力してもよい。また、スイッチ装置10は、引き上げ位置への操作時に、必ずしも車両のエンジンを停止させる信号を出力することに限定されない。例えば、スイッチ装置10は、引き上げ操作位置への操作時に、非常点滅表示灯40を点滅表示させる信号を出力するものの、車両のエンジンを停止する信号は出力せず、エンジンを始動させたままとしてもよい。
【0019】
また、スイッチ本体12は、レバー部12cが引き上げ位置にある状態で、
図4の左図の矢印Y6に示すように、運転者がレバー部12cを車両の下方方向である第一方向に押し下げることで、レバー部12cが再び中立位置に位置する状態となる。そして、引き上げ位置にあるレバー部12cを押し下げて中立位置に位置させる操作は、運転者が車両の非常点滅表示灯を消灯させると共に、車両のエンジンを再度始動させるときに行われる。
【0020】
そして、スイッチ装置10は、上述したように引き上げ位置にあるレバー部12cが押し下げられて中立位置に位置するよう操作された際には、点滅表示されている非常点滅表示灯40を消灯させる信号と、エンジン30を始動させる信号と、を制御装置20に出力する。これに伴い、制御装置20は、点滅表示している非常点滅表示灯40を消灯するよう制御すると共に、エンジン30を始動するよう制御する。なお、スイッチ装置10は、非常点滅表示灯40やエンジン30に対して直接信号を出力してもよい。但し、スイッチ装置10は、上述した中立位置への操作時に、必ずしも車両のエンジンを始動させる信号を出力することに限定されない。例えば、スイッチ装置10は、中立位置への操作時に、非常点滅表示灯40を消灯させる信号を出力するものの、車両のエンジンを始動する信号は出力せず、エンジンを停止させたままとしてもよい。また、制御装置20は、エンジン30を始動するよう制御する際に、運転者がブレーキを踏んでいるなど他の操作を条件としてエンジン30を始動するよう制御してもよい。
【0021】
[動作]
次に、上述したスイッチ装置10及び車両の動作を、
図2乃至
図4のスイッチ装置10の動作図と、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
はじめに、スイッチ装置10は、
図2の左図に示すように、スイッチ本体12の平面部12aが表面側に位置し、レバー部12cの先端が斜め下方を向いた状態である中立位置の状態にある。この状態で、運転者は、エンジンを始動させる際には、
図2の中央図の矢印Y3に示すように、レバー部12cを車両の下方方向である第一方向に押し下げる(ステップS1でYes)。すると、スイッチ装置10は、エンジン30を始動させる信号を制御装置20に出力し、これにより、エンジン30が始動する(ステップS2)。そして、運転者は、スイッチ装置10に対してレバー部12cから手を離し、当該レバー部12cを押し下げる操作をやめると、
図2の右図の矢印Y4に示すように、レバー部12cが押し下げ位置から中立位置に復帰し、スイッチ装置10が中立位置に戻ることとなる(ステップS3)。
【0023】
その後、運転者は、エンジンを停止する際には、上述同様にレバー部12cを車両の下方方向である第一方向に押し下げる操作を行う(ステップS4でYes)。すると、スイッチ装置10は、始動しているエンジン30を停止させる信号を制御装置20に出力し、これにより、エンジン30が停止する(ステップS5)。そして、運転者は、スイッチ装置10に対してレバー部12cを押し下げる操作をやめると、レバー部12cが押し下げ位置から中立位置に復帰し、スイッチ装置10が中立位置に戻ることとなる。
【0024】
また、運転者は、エンジンが始動しているときに、停車して車両の非常点滅表示灯を点滅表示させると共に、車両のエンジンを停止させる際には、
図3の左図の矢印Y5に示すように、中立位置にあるレバー部12cを車両の上方方向である第二方向に引き上げる操作を行う(ステップS4でNo、ステップS6でYes)。すると、スイッチ装置10は、非常点滅表示灯40を点滅表示させる信号と、始動しているエンジン30を停止させる信号と、を制御装置20に出力し、これにより、非常点滅表示灯40が点滅表示し、始動しているエンジン30が停止する(ステップS7)。そして、スイッチ装置10は、
図3の右図に示すように、レバー部12cが引き上げ位置に位置する状態となる(ステップS8)。
【0025】
その後、運転者は、停車している車両において、非常点滅表示灯の点滅表示を停止させ、再度エンジンを始動させる際には、
図4の左図の矢印Y6に示すように、引き上げ位置にあるレバー部12cを車両の下方方向である第一方向に押し下げる操作を行う(ステップS9でYes)。すると、スイッチ装置10は、点滅表示している非常点滅表示灯40を消灯させる信号と、エンジン30を始動させる信号と、を制御装置20に出力し、これにより、非常点滅表示灯40が消灯し、エンジン30が始動する(ステップS10)。そして、スイッチ装置10は、
図4の右図に示すように、中立位置に戻る(ステップS3)。
【0026】
以上のように、本実施形態におけるスイッチ装置10によると、エンジンを始動させる操作の方向と、非常点滅表示灯を点滅表示させる操作の方向とが、それぞれ異なる方向であるため、運転者による誤操作を抑制することができる。
【0027】
なお、上記では、
図1に示すように、エンジンを始動させる操作の方向(Y1)と、非常点滅表示灯を点滅表示させる操作の方向(Y2)とが、相互に反対方向である場合を例示したが、各操作方向は必ずしも反対方向であることに限定されない。例えば、エンジンを始動させる操作の方向と、非常点滅表示灯を点滅表示させる操作の方向とを、相互に90度異なる方向とするなど、相互に異なる方向であればよい。また、上記では、スイッチ装置10は、操作される操作部がレバー部12cである場合を例示したが、操作部はいかなる形状や構造のものであってもよい。
【0028】
なお、スイッチ装置10は、
図1の矢印Y2に示すように、中立位置からレバー部12cが引き上げ方向(第二方向)に引き上げ操作される際に、レバー部12cが引き上げ方向の複数の位置で留まるよう構成されていてもよい。例えば、スイッチ装置10は、レバー部12cが中立位置にある状態で、
図7の左図の矢印Y7に示すように、運転者がレバー部12cを車両の上方方向である第二方向の途中まで引き上げることで、引き上げ途中でスイッチ本体12の回転が係止され、
図7の中央図に示すようレバー部12cが引き上げ途中位置で留まる状態となる。このとき、スイッチ装置10は、引き上げ途中位置に対応して設定された、車両の所定の装置を操作する信号を出力する。また、スイッチ装置10は、レバー部12cが引き上げ途中位置にある状態で、
図7の中央図の矢印Y8に示すように、運転者がレバー部12cを車両の上方方向である第二方向の最上部まで引き上げることで、
図7の右図に示すようレバー部12cが引き上げ位置で留まる状態となる。このとき、スイッチ装置10は、引き上げ位置に対応して設定された、車両の所定の装置を操作する信号を出力する。なお、スイッチ装置10は、レバー部12cが引き上げ途中位置と引き上げ位置とに位置するときに、それぞれ異なる操作を行う信号を出力するよう構成される。
【0029】
ここで、上述した
図7に示す例では、スイッチ装置10は、中立位置から引き上げ方向に引き上げた際に、2つの位置(
図7の中央図に示す引き上げ途中位置、
図7の右図に示す引き上げ位置)で留まるよう構成されている場合を例示したが、3つ以上の位置にとどまるよう構成されていてもよい。そして、この場合、スイッチ装置10は、それぞれに位置に対応してそれぞれ異なる操作を行うための信号を出力するよう構成されてもよい。
【0030】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるスイッチ装置の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
車両の動力源を始動させる際に特定の位置から第一方向に操作される操作部を備え、
前記操作部は、前記第一方向に操作された後に自動で前記特定の位置に復帰するよう構成されると共に、車両から所定の報知情報を出力させる際に前記特定の位置から前記第一方向とは異なる方向である第二方向に操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記2)
付記1に記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置を基準として、相互に反対方向である前記第一方向と前記第二方向とに操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記3)
付記1又は2に記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記第一方向と前記第二方向とに操作可能なレバー部材にて構成されている、
スイッチ装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置を基準として、車両下方または前方である前記第一方向と車両上方または後方である前記第二方向とに操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置から前記第二方向に操作された後に当該第二方向に操作された位置で留まるよう構成されると共に、前記報知情報の出力を停止させる際に前記第二方向に操作された位置から前記特定の位置に操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、車両から前記報知情報を出力させると共に当該車両の動力源を停止させる際に、前記特定の位置から前記第二方向に操作可能なよう構成され、さらに、前記報知情報の出力を停止させると共に車両の動力源を始動させる際に前記第二方向に操作された位置から前記特定の位置に操作可能なよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部は、前記特定の位置から前記第二方向側に位置する複数の位置でそれぞれ留まるよう操作可能に構成されている、
スイッチ装置。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記操作部が前記特定の位置から前記第一方向に操作された際に、車両の動力源を始動させる信号を出力すると共に、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された際に、車両から前記報知情報を出力させる信号を出力するよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記9)
付記5又は8に記載のスイッチ装置であって、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された後に前記特定の位置に操作された際に、前記報知情報の出力を停止させる信号を出力するよう構成されている、
スイッチ装置。
(付記10)
付記6、8又は9に記載のスイッチ装置であって、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された際に、車両から前記報知情報を出力させる信号を出力すると共に、車両の動力源を停止させる信号を出力し、
前記操作部が前記特定の位置から前記第二方向に操作された後に前記特定の位置に操作された際に、前記報知情報の出力を停止させる信号を出力すると共に、車両の動力源を始動させる信号を出力するよう構成されている、
スイッチ装置。
【0031】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 スイッチ装置
11 スイッチケース
12 スイッチ本体
12a 平面部
12b 円弧状部
12c レバー部
20 制御装置
30 エンジン
40 非常点滅表示灯