(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】端子装置及び電力量計
(51)【国際特許分類】
G01R 11/04 20060101AFI20240117BHJP
G01R 22/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G01R11/04 B
G01R22/06 130H
(21)【出願番号】P 2020070493
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大舘 義雄
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141946(WO,A1)
【文献】特開2009-229179(JP,A)
【文献】特開2006-029470(JP,A)
【文献】特開平09-296816(JP,A)
【文献】特開2018-128122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/04
G01R 22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型のベースと、
前記ベース
上に、前記ベースの一方の対向する一対の側壁に沿ってそれぞれ搭載され、その長辺方向の両端部の、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に対応する部分に、それぞれ、当該他方の対向する一対の側壁に沿う方向に形成された長穴を有する矩形状の2つの第1の電流端子金具と、
前記2つの第1の電流端子金具の各長穴に対して、それぞれ移動可能に挿通される4つの第1のねじと、
前記2つの第1の電流端子金具を介して、前記4つの第1のねじとそれぞれ螺合する4つの第1のナットと、
前記ベース
上に、前記2つの第1の電流端子金具とそれぞれ所定の間隔を置いて搭載され、その両端部の、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に対応する部分に、それぞれ、丸孔を有する矩形状の1つの第2の電流端子金具と、
前記1つの第2の電流端子金具の各丸孔に対して、それぞれ挿通される2つの第2のねじと、
前記1つの第2の電流端子金具を介して、前記2つの第2のねじとそれぞれ螺合する2つの第2のナットと、
前記ベースの他方の対向する一対の側壁に対応する部分にそれぞれ配置され、前記4つの第1のナットをそれぞれ搭載する凹状のナット搭載部を備えるとともに、搭載した前記4つの第1のナットを、それぞれ、前記2つの第1の電流端子金具の各長穴に沿ってスライド可能な4つのナットホルダーと、
を備えることを特徴とする端子装置。
【請求項2】
前記4つのナットホルダー
は、
前記ベース
と対向する部位に、それぞれ搭載する前記4つの第1のナットをスライド移動させる際に、ガイドするための凸状のスライドガイド部を備え、
前記ベースは、
前記4つのナットホルダーを
、前記ベースの他方の対向する一対の側壁より露出させるようにして、それぞれ搭載する4つのナットホルダー搭載部を備え、
前記4つのナットホルダー搭載部
は、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に沿って、前記スライドガイド部と
それぞれ嵌合する
凹状のスライドガイド嵌合部を備えることを特徴とする請求項1
に記載の端子装置。
【請求項3】
前記4つのナットホルダー
は、
前記4つのナットホルダー搭載部に対向するそれぞれの部位に、前記スライドガイド部
の前記スライドガイド嵌合部に沿う方向へのスライド移動
を、それぞれ所定の位置で停止
させるための突起状の位置決め部を備え、
前記
4つのナットホルダー搭載部は、
前記4つのナットホルダーに対向するそれぞれの部位に、前記スライドガイド部の
前記スライドガイド嵌合部に沿う方向へのスライド移動に応じて
、前記位置決め部と
それぞれ嵌合する複数の位置決め嵌合部を備えることを特徴とする請求項2
に記載の端子装置。
【請求項4】
前記4つのナットホルダーは、前記位置決め部の近傍に、スライド移動の方向に沿って設けられた、前記位置決め部を撓ませるための細長い溝からなる空間部を備えることを特徴とする請求項3
に記載の端子装置。
【請求項5】
前記4つのナットホルダー
は、前記ベースの他方の対向する一対の側壁より露出する部位に、それぞれ前記ナットホルダーを指でスライド移動させる際の前記指の滑りを止めるための
凹凸状の滑り止め部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項
に記載の端子装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の端子装置を備えた電力量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーカ型の電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーカ型の電力量計においては、配電盤により配電盤内のピッチと端子ピッチとが合わない場合がある。この場合には、電力量計の設置の際にブスバーを曲げてピッチを変換する必要があった。
【0003】
また、従来のブレーカ型の電力量計としては、特許文献1に記載された電力量計が知られている。この電力量計は、外部機器の端子部の端子ピッチに応じて外部端子間のピッチを容易に変更できる端子装置及び電力量計である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のブレーカ型の電力量計では、ブスバーを曲げる作業が必要で、作業が大変であった。
【0006】
また、特許文献1に記載された電力量計では、外部端子間のピッチを可変できるが、可動導体(電流端子金具)が移動しているため、入口の端子ピッチと出口の端子ピッチは同じである。このため、端子ピッチを4端子(入口の2端子、出口の2端子)独立に可変できなかった。
【0007】
本発明の課題は、4端子独立に端子ピッチを可変でき、異なるピッチ間にも容易に対応することができる端子装置及び電力量計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の端子装置は、箱型のベースと、前記ベース上に、前記ベースの一方の対向する一対の側壁に沿ってそれぞれ搭載され、その長辺方向の両端部の、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に対応する部分に、それぞれ、当該他方の対向する一対の側壁に沿う方向に形成された長穴を有する矩形状の2つの第1の電流端子金具と、前記2つの第1の電流端子金具の各長穴に対して、それぞれ移動可能に挿通される4つの第1のねじと、前記2つの第1の電流端子金具を介して、前記4つの第1のねじとそれぞれ螺合する4つの第1のナットと、前記ベース上に、前記2つの第1の電流端子金具とそれぞれ所定の間隔を置いて搭載され、その両端部の、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に対応する部分に、それぞれ、丸孔を有する矩形状の1つの第2の電流端子金具と、前記1つの第2の電流端子金具の各丸孔に対して、それぞれ挿通される2つの第2のねじと、前記1つの第2の電流端子金具を介して、前記2つの第2のねじとそれぞれ螺合する2つの第2のナットと、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に対応する部分にそれぞれ配置され、前記4つの第1のナットをそれぞれ搭載する凹状のナット搭載部を備えるとともに、搭載した前記4つの第1のナットを、それぞれ、前記2つの第1の電流端子金具の各長穴に沿ってスライド可能な4つのナットホルダーと、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の端子装置では、前記4つのナットホルダーは、前記ベースと対向する部位に、それぞれ搭載する前記4つの第1のナットをスライド移動させる際に、ガイドするための凸状のスライドガイド部を備え、前記ベースは、前記4つのナットホルダーを、前記ベースの他方の対向する一対の側壁より露出させるようにして、それぞれ搭載する4つのナットホルダー搭載部を備え、前記4つのナットホルダー搭載部は、前記ベースの他方の対向する一対の側壁に沿って、前記スライドガイド部とそれぞれ嵌合する凹状のスライドガイド嵌合部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3の端子装置では、前記4つのナットホルダーは、前記4つのナットホルダー搭載部に対向するそれぞれの部位に、前記スライドガイド部の前記スライドガイド嵌合部に沿う方向へのスライド移動を、それぞれ所定の位置で停止させるための突起状の位置決め部を備え、前記4つのナットホルダー搭載部は、前記4つのナットホルダーに対向するそれぞれの部位に、前記スライドガイド部の前記スライドガイド嵌合部に沿う方向へのスライド移動に応じて、前記位置決め部とそれぞれ嵌合する複数の位置決め嵌合部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4の端子装置は、前記4つのナットホルダーは、前記位置決め部の近傍に、スライド移動の方向に沿って設けられた、前記位置決め部を撓ませるための細長い溝からなる空間部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5の端子装置は、前記4つのナットホルダーは、前記ベースの他方の対向する一対の側壁より露出する部位に、それぞれ前記ナットホルダーを指でスライド移動させる際の前記指の滑りを止めるための凹凸状の滑り止め部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6の電力量計は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の端子装置を備える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、4つのナットホルダーの各々は、ナットを搭載し、端子装置の外側からスライドできるので、ナットとねじとを自在に移動できる。このため、固定のねじと移動可能なねじとの端子ピッチを可変することができる。また、4つのナットホルダーを用いることで、4端子独立に端子ピッチを可変でき、異なるピッチ間にも容易に対応することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ナットホルダーに設けられたスライドガイド部とベースに設けられたガイド嵌合部とが嵌合するので、ナットホルダーのスライドガイド部がベースのガイド嵌合部をスライドできる。
【0016】
請求項3の発明によれば、ナットホルダーに設けられた位置決め部がベースに設けられた複数の位置決め嵌合部に嵌合するので、ナットホルダーが位置決め嵌合部で位置決めされて停止する。
【0017】
請求項4の発明によれば、空間部により位置決め部を撓ませることで、位置決め部を複数の位置決め嵌合部に容易に嵌合することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、ナットホルダーに設けた滑り止め部によりナットホルダーの滑りを止めることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、端子装置を電力量計に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る端子装置のベース、電流端子金具を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る端子装置の電流端子金具の詳細図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る端子装置のナットホルダーの詳細図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る端子装置のベースに設けられたナットホルダー搭載部を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る端子装置のナットホルダーの移動を説明する図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る端子装置のベース、電流端子金具、ナットホルダーの移動を説明する図である。
【
図7】第1の実施形態に係る端子装置のナットホルダーのスライドで端子ピッチを可変できる状態を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る端子装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る端子装置及び端子装置を含む電力量計について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る端子装置を示す図である。
図1に示す端子装置は、単相3線式、三相3線式の計器に対応したものである。
図1(a)は、端子装置の斜視図である。
図1(b)は、電力量計(計器1)のベース2に電流端子金具、ねじが組み込まれた状態を示す図である。
図1(c)は、電流端子金具の長穴とナットとナットホルダーとの関係を示す図である。
【0023】
端子装置は、6つのねじ3a、ベース2の左右に配置された2つの電流端子金具4-1,4-2、ベース2の中央に配置された電流端子金具4A、6つのナット3b、6つのナット3bを搭載する4つのナットホルダー5を備えている。
【0024】
6つのねじ3aの内のベース2の四隅に配置された4つのねじ3aは、ナット3bの移動により移動可能である。ベース2の略中央に配置された2つのねじ3aは、固定に配置される。
【0025】
電流端子金具4-1(第1の電流端子金具に対応)は、1側用の電流端子であり、
図2に示すように、両端部の各々に長穴からなる端子ねじ部4aを有し、2つの端子ねじ部4aは、2つのねじ3aを挿通する。
【0026】
電流端子金具4-2(第1の電流端子金具に対応)は、3側用の電流端子であり、
図2に示すように、両端部の各々に長穴からなる端子ねじ部4aを有し、2つの端子ねじ部4aは、2つのねじ3aを挿通する。電流端子金具4-1,4-2の各々は、ベース2に搭載されたとき、固定である。
【0027】
端子ねじ部4aの近くには、丸穴からなる電圧取り出し部4bが形成されている。電流端子金具4-1,4-2の中央付近には凹部4dが形成され、この凹部4dに対応する箇所にセンサ搭載部4cが配置されている。
【0028】
電流端子金具4A(第2の電流端子金具に対応)は、2側用の電流端子であり、両端部の各々に穴が形成され、2つのねじ3aを穴に挿通する。電流端子金具4Aの中央付近は、両端に対して略直角に折り曲げられている。電流端子金具4Aは、ベース2に搭載されたとき、固定である。
【0029】
6つのナット3bは、4つのねじ3a及び2つのねじ3aに対向して配置され、ねじ3aと螺合する。4つのナットホルダー5は、4つのねじ3aと螺合した4つのナット3bを搭載し、ベース2の外側から指等でスライドできる。
【0030】
ベース2は、4つのナットホルダー5と電流端子金具4-1,4-2,4Aとナット3bとねじ3aを組み込んでいる。
【0031】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る端子装置のナットホルダー5の詳細図である。ナットホルダー5には、
図3(a)に示すように、例えば六角形のナット3bを搭載する凹部からなるナット搭載部5a1が形成され、
図3(c)に示すように、ナット搭載部5a1の4つの角部には突起状の肉盛り部5a2が形成されている。肉盛り部5a2は、4つの角部にナット3bを手で圧入するため、ナット3bがナット搭載部5a1に固定される。このため、ナット3bがナット搭載部5a1から落ちなくなる。
【0032】
また、ナットホルダー5のナット搭載部5a1の底面には、ねじ3aの先端部を逃がすための円状の開口からなるねじの逃げ穴部5bが形成されている。
図3(b)の斜視図、
図3(d)の断面図に示すように、ナットホルダー5の底面で、ねじの逃げ穴部5bの左右には、ベース2に対してスライドする細長い凸部からなるスライドガイド部5cが形成されている。
【0033】
ナットホルダー5の一側面には、スライドガイド部5cがベース2をスライドした時に所定の位置で停止する突起状の位置決め用凸部5dが形成されている。
【0034】
ナットホルダー5の一側面に対向する他の一側面には、凹凸からなる滑り止め部5eが形成されている。滑り止め部5eは、ナットホルダー5を指でスライドさせるときに、ナットホルダー5の滑りを止める。
【0035】
位置決め用凸部5dの近傍には、位置決め用凸部5dを撓ませる細長い溝からかなる空間部5fが形成されている。
【0036】
図4(a)は、ベース2に設けられたナットホルダー搭載部2aを示す図である。ベース2の四隅には、ナットホルダー5を搭載するナットホルダー搭載部2aが形成されている。
【0037】
ナットホルダー搭載部2aには、
図4(b)に示すように、ナットホルダー5の凸部からなるスライドガイド部5cに嵌合するスライドガイド凹部2b(スライドガイド嵌合部に対応)が上下に2箇所形成されている。
【0038】
また、ナットホルダー搭載部2aには、
図4(b)に示すように、ナットホルダー5の位置決め用凸部5dと嵌合する2つの位置決め凹部2c1,2c2が設けられている。互いに異なる位置の位置決め凹部2c1と位置決め凹部2c2とは、スライドガイド凹部2bのスライド方向に沿って設けられている。なお、この例では、2つの位置決め凹部2c1,2c2としたが、3つ以上の位置決め凹部を設けてもよい。
【0039】
図5(a)はベース2にナットホルダー5を搭載しナットホルダー5を左側に指で移動させたときの各部の状態を示す図である。
図5(a)に示すように、ベース2のナットホルダー搭載部2aにナットホルダー5を搭載し、ナットホルダー5の滑り止め部5eを左側に指で移動させる。
【0040】
このとき、ナットホルダー5のスライドガイド部5cがナットホルダー搭載部2aのスライドガイド凹部2bをスライドし、ナットホルダー5の位置決め用凸部5dがナットホルダー搭載部2aの位置決め凹部2c1に嵌合して停止する。
【0041】
図5(b)はベース2にナットホルダー5を搭載しナットホルダー5を右側に指で移動させたときの各部の状態を示す図である。
図5(b)に示すように、ナットホルダー5の滑り止め部5eを右側に指で移動させる。
【0042】
このとき、ナットホルダー5のスライドガイド部5cがナットホルダー搭載部2aのスライドガイド凹部2bをスライドし、ナットホルダー5の位置決め用凸部5dがナットホルダー搭載部2aの位置決め凹部2c2に嵌合して停止する。
【0043】
従って、ナットホルダー5をスライドした時に位置決め用凸部5dによりクリック感を出すことができる。また、位置決め用凸部5dによりナットホルダー5が勝手に動かないように仮止め効果もある。
【0044】
図6(a)はベース2の四隅にナット3b及びナットホルダー5を搭載した状態を示す図である。
図6(b)はベース2の左右に電流端子金具4-1,4-2、ベース2の中央に電流端子金具4Aを搭載した状態を示す図である。
図6(c)はナットホルダー5を左側に指で移動させたときの状態を示す図である。
図6(d)はナットホルダー5を右側に指で移動させたときの状態を示す図である。
【0045】
図5(a)、
図5(b)、
図6(c)、
図6(d)からもわかるように、ナット3b及びナットホルダー5を、位置決め凹部2c1と位置決め凹部2c2との差分距離だけ移動できる。
【0046】
このため、
図7(a)に示すように、4つのナット3bに螺合する4つのねじ3a-1~3a-4の各々のねじを、ベース2の中央の2つの固定のねじ3aに対して、位置決め凹部2c1と位置決め凹部2c2との差分距離だけ移動できる。
【0047】
従って、
図7(a)に示すように、ねじ3a-1とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-2とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-3とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-4とねじ3aとの端子ピッチを全てL1とすることができる。
【0048】
また、
図7(b)に示すように、ねじ3a-1とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-2とねじ3aとの端子ピッチをL1とし、ねじ3a-3とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-4とねじ3aとの端子ピッチをL2とすることもできる。
【0049】
あるいは、図示していないが、ねじ3a-1とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-2とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-3とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-4とねじ3aとの端子ピッチを全てL2とすることもできる。
【0050】
また、図示していないが、ねじ3a-1とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-2とねじ3aとの端子ピッチをL2とし、ねじ3a-3とねじ3aとの端子ピッチ、ねじ3a-4とねじ3aとの端子ピッチをL1とすることもできる。
【0051】
このように第1の実施形態に係る端子装置及び電力量計によれば、4つのナットホルダー5の各々は、ナット3bを搭載し、ベース2の外側からスライドできるので、ベース2の四隅に配置された4つのナット3bに螺合する4つのねじ3a-1~3a-4の各々を独立に移動することができる。
【0052】
このため、固定のねじ3aと移動可能なねじ3a-1~3a-4との端子ピッチを可変することができる。また、4つのナットホルダー5を用いることで、4端子独立に端子ピッチを可変でき、異なるピッチ間にも容易に対応することができる。
【0053】
また、ナットホルダー5に設けられたスライドガイド部5cとベース2に設けられたスライドガイド凹部2bとが嵌合するので、ナットホルダー5のスライドガイド部5cがベース2のスライドガイド凹部2bをスムーズにスライドできる。
【0054】
また、ナットホルダー5に設けられた位置決め用凸部5dがベースに設けられた複数の位置決め凹部2c1,2c2に嵌合するので、ナットホルダー5が位置決め凹部2c1,2c2で位置決めされて停止することができる。
【0055】
また、空間部5fにより位置決め用凸部5dを撓ませることで、位置決め用凸部5dを複数の位置決め凹部2c1,2c2に嵌合することができる。
【0056】
また、ナットホルダー5に設けた滑り止め部5eによりナットホルダー5の滑りを止めることができる。また、端子装置を電力量計に適用することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る端子装置を示す図である。
図8に示す端子装置は、3線式計器に対応したものであり、第1の実施形態のナットホルダー5を配電盤ブスバー7に置き換え、ベース2に電流端子金具4-1,4-2,4A、ねじ3a,3a-1~3a-4、ナット3bを組み込んでいる。
【0058】
電源3線として2つの配電盤ブスバー7-1,7-2を、ねじ3a-1,3a-2に接続し、出力2線として2つの配電盤ブスバー7-3,7-4をねじ3a-3,3a-4に接続する。
【0059】
この場合、ねじ3a-1~3a-4を締める前に、電流端子金具4-1,4-2の端子ねじ部4aの長穴の範囲で配電盤ブスバー7を左右に移動させる。これにより、配電盤ブスバー7-1と配電盤ブスバー7Aとのピッチ、配電盤ブスバー7-2と配電盤ブスバー7Aとのピッチ、配電盤ブスバー7-3と配電盤ブスバー7Aとのピッチ、配電盤ブスバー7-4と配電盤ブスバー7Aとのピッチをそれぞれ可変することができる。即ち、端子ピッチを可変させることができる。
【0060】
また、2線式計器に対しても、ベース2の共通化を図ることができる。また、2線式計器を設置後にも端子ピッチを可変させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 計器
2 ベース
2a ナットホルダー搭載部
2b スライドガイド凹部
2c1,2c2 位置決め凹部
3a,3a-1~3a-4 ねじ
3b ナット
4-1,4-2,4A 電流端子金具
4a 端子ねじ部
4b 電圧取り出し部
4c センサ搭載部
4d 凹部
5 ナットホルダー
5a1 ナット搭載部
5a2 肉盛り部
5b ねじの逃げ穴部
5c スライドガイド部
5d 位置決め用凸部
5e 滑り止め部
5f 空間部
7A,7-1~7-4 配電盤ブスバー