(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/321 20170101AFI20240117BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20240117BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20240117BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240117BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20240117BHJP
【FI】
B29C64/321
B29C64/165
B29C64/241
B33Y30/00
B33Y40/00
(21)【出願番号】P 2020078083
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋一郎
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-022981(JP,A)
【文献】特開2013-056466(JP,A)
【文献】特表2006-526524(JP,A)
【文献】特開2005-059477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B22F 10/00-12/90
B28B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材料を硬化させて硬化層を形成し、これを順次積層することによって三次元造形物を造形する三次元造形装置であって、
造形された前記三次元造形物が収容される本体部と、
前記本体部に設けられ、前記粉末材料が収容されかつ前記三次元造形物が造形される造形空間を有する造形槽と、
前記造形槽に配置され、前記粉末材料が載置される第1テーブルと、
前記造形槽に配置され、前記第1テーブルを上昇および下降させる第1昇降装置と、
前記本体部に設けられ、前記造形槽に供給される前記粉末材料が貯留される貯留空間を有する供給槽と、
前記供給槽に配置され、前記粉末材料が載置される第2テーブルと、
前記供給槽に配置され、前記第2テーブルを上昇および下降させる第2昇降装置と、
前記第2テーブルに載置された前記粉末材料を前記造形槽に搬送しかつ前記粉末材料を前記造形空間に敷詰める第1敷詰め部材と、
前記造形空間に収容された前記粉末材料に硬化液を吐出する吐出ヘッドと、
前記供給槽の上部に着脱自在に設けられ、かつ、前記貯留空間に前記粉末材料を供給する供給装置と、を備え、
前記供給装置は、
前記貯留空間と連通する開口を有し、前記供給槽の上に位置するベース部と、
平面視で前記開口と重なり、かつ、前記ベース部に対して回転可能に設けられ、かつ、定幅形状を有し、かつ、前記貯留空間に前記粉末材料を供給する供給口が形成された回転部と、
前記供給口を囲うように前記回転部の表面に設けられ、前記粉末材料を貯留する貯留部と、を備え、
前記供給口は、前記回転部の径方向に延びる矩形状に形成され、かつ、前記回転部の中心から偏倚している、三次元造形装置。
【請求項2】
前記供給装置は、前記回転部の裏面から下方に突出し、前記径方向に延びる第2敷詰め部材を備え、
前記第2敷詰め部材は、前記供給口から前記貯留空間に供給された前記粉末材料を前記貯留空間に敷き詰めるように構成されている、請求項1に記載の三次元造形装置。
【請求項3】
前記第2敷詰め部材の前記径方向の長さは、前記供給口の前記径方向の長さより長い、請求項2に記載の三次元造形装置。
【請求項4】
前記第2敷詰め部材は、上下方向に移動可能に構成され、
前記供給装置は、
前記回転部に設けられ、かつ、前記第2敷詰め部材の上下方向の移動を案内するガイド部材と、
前記ガイド部材および前記第2敷詰め部材に接続され、かつ、上下方向に弾性変形可能に構成され、かつ、前記第2敷詰め部材を下方に向けて付勢可能な付勢部材と、を備えている、請求項2または3に記載の三次元造形装置。
【請求項5】
前記第2敷詰め部材は、上下方向に移動可能に構成され、
前記供給装置は、
前記回転部に形成され、かつ、前記第2敷詰め部材の上下方向の移動を案内するガイド孔と、
前記第2敷詰め部材に連結され、一部が前記ガイド孔に摺動可能に設けられた連結部材と、
前記回転部および前記連結部材に接続され、かつ、上下方向に弾性変形可能に構成され、かつ、前記第2敷詰め部材を下方に向けて付勢可能な付勢部材と、を備えている、請求項2または3に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
前記供給口のうち、前記径方向の外側を構成する外側辺の長さは、前記径方向の内側を構成する内側辺の長さよりも長い、請求項1から5のいずれか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
前記供給口は、前記径方向の外側に行くほど上方に傾斜している、請求項1から6のいずれか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項8】
前記開口は、正方形状に形成され、
前記回転部は、ルーローの三角形状に形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項9】
前記供給装置は、
前記回転部の外周部分に設けられ、上方に向けて延びる複数の第1突起と、
水平方向に延び、かつ、前記第1突起と噛み合う複数の第2突起と、
前記ベース部に回転可能に設けられ、前記第2突起を保持する回転体と、を備え、
前記回転体を回転させることによって、前記回転部が回転するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項10】
前記回転体には、手動により操作されるレバーが設けられている、請求項9に記載の三次元造形装置。
【請求項11】
前記回転体には、モータが接続されている、請求項9に記載の三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末材料に硬化液を吐出して所望の断面形状を有する薄い硬化層を形成し、硬化層を順次積層することによって三次元造形物を造形する方法が知られている。かかる方法で三次元造形物を造形するときには、形成された硬化層を含む粉末材料層の上に、粉末材料を供給して新しい粉末材料層を形成する。
【0003】
例えば、特許文献1には、三次元造形物が造形される造形槽と、造形槽に供給される粉末材料が貯留される供給槽と、供給槽の粉末材料を造形槽に敷詰める敷詰め部材(ここでは平坦化ローラ)とを備えた三次元造形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、供給槽には三次元造形物を造形する前に予め粉末材料が供給される。従来は、袋等の容器に収容された粉末材料をユーザが供給槽の上方から供給槽内に落下させて供給していた。三次元造形に用いられる粉末材料は一般的に安息角が大きいため、供給槽に供給された粉末材料は円錐形状をなしていた。このため、ユーザは供給槽の広範囲に粉末材料が行き渡るように粉末材料を手作業で広げる必要があり、ユーザの負担が大きかった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、供給槽の貯留空間に粉末材料を容易かつ広範囲に供給することができる三次元造形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る三次元造形装置は、粉末材料を硬化させて硬化層を形成し、これを順次積層することによって三次元造形物を造形する三次元造形装置である。三次元造形装置は、造形された前記三次元造形物が収容される本体部と、前記本体部に設けられ、前記粉末材料が収容されかつ前記三次元造形物が造形される造形空間を有する造形槽と、前記造形槽に配置され、前記粉末材料が載置される第1テーブルと、前記造形槽に配置され、前記第1テーブルを上昇および下降させる第1昇降装置と、前記本体部に設けられ、前記造形槽に供給される前記粉末材料が貯留される貯留空間を有する供給槽と、前記供給槽に配置され、前記粉末材料が載置される第2テーブルと、前記供給槽に配置され、前記第2テーブルを上昇および下降させる第2昇降装置と、前記第2テーブルに載置された前記粉末材料を前記造形槽に搬送しかつ前記粉末材料を前記造形空間に敷詰める第1敷詰め部材と、
前記造形空間に収容された前記粉末材料に硬化液を吐出する吐出ヘッドと、前記供給槽の上部に着脱自在に設けられ、かつ、前記貯留空間に前記粉末材料を供給する供給装置と、を備えている。前記供給装置は、前記貯留空間と連通する開口を有し、前記供給槽の上に位置するベース部と、平面視で前記開口と重なり、かつ、前記ベース部に対して回転可能に設けられ、かつ、定幅形状を有し、かつ、前記貯留空間に前記粉末材料を供給する供給口が形成された回転部と、前記供給口を囲うように前記回転部の表面に設けられ、前記粉末材料を貯留する貯留部と、を備えている。前記供給口は、前記回転部の径方向に延びる矩形状に形成され、かつ、前記回転部の中心から偏倚している。
【0008】
本発明の三次元造形装置によると、供給装置の回転部に形成された供給口から供給槽の貯留空間に粉末材料を供給することができる。ここで、供給口は回転部の径方向に延びる矩形状に形成されかつ回転部の中心から偏倚しているため、回転部を回転させながら供給口から粉末材料を供給することで、貯留空間の広範囲に亘って粉末材料が供給される。また、粉末材料を供給口から貯留空間に供給するときに、粉末材料が空気中に舞ってしまう虞があるが、貯留空間の上方には供給装置のベース部および回転部が位置するため、粉末材料が供給槽から外部に舞い上がることが抑制される。さらに、供給装置は供給槽の上部に着脱自在に設けられているため、三次元造形物を造形するときには供給装置を供給槽から取り外すことで、第1敷詰め部材によって供給槽から造形槽の造形空間に粉末材料を搬送することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、供給槽の貯留空間に粉末材料を容易かつ広範囲に供給することができる三次元造形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る三次元造形装置の断面図である。
【
図2】一実施形態に係る三次元造形装置の平面図である。
【
図3】一実施形態に係る三次元造形装置の断面図であり、供給槽の上部に供給装置が取り付けられた状態を示す図である。
【
図8】一実施形態に係るガイド部材の周辺の構造を示す斜視図である。
【
図9】一実施形態に係る三次元造形装置の制御系のブロック図である。
【
図10】一実施形態に係る供給装置の正面図であり、供給槽の上部に供給装置が取り付けられた状態を示す。
【
図11】一実施形態に係る供給装置の正面図であり、第2テーブルを所定量だけ降下させた状態を示す。
【
図12A】一実施形態に係る供給装置において、回転部が初期位置に位置する状態を示す底面図である。
【
図12B】一実施形態に係る供給装置において、回転部が初期位置から90°回転した状態を示す底面図である。
【
図12C】一実施形態に係る供給装置において、回転部が初期位置から180°回転した状態を示す底面図である。
【
図12D】一実施形態に係る供給装置において、回転部が初期位置から270°回転した状態を示す底面図である。
【
図13】一実施形態に係る供給装置の正面図であり、貯留空間の一部に粉末材料を敷詰めた状態を示す。
【
図14】一実施形態に係る供給装置の正面図であり、第2テーブルを所定量だけさらに降下させた状態を示す。
【
図15】他の一実施形態に係る第2敷詰め部材の周辺の構造を示す斜視図である。
【
図16】他の一実施形態に係る第2敷詰め部材の周辺の構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る三次元造形装置について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0012】
図1は、本実施形態に係る三次元造形装置10の断面図である。
図2は、本実施形態に係る三次元造形装置10の平面図である。図面中の符号Fは、前方を示し、符号Rrは、後方を示している。本実施形態では、符号Fの方向から三次元造形装置10を見たときの左、右、上、下が、それぞれ三次元造形装置10の左、右、上、下である。ここでは、図面中の符号L、R、U、Dは、それぞれ左、右、上、下を意味するものとする。本実施形態では、符号Xは走査方向を示している。ここでは、走査方向Xは前後方向である。符号Zは上下方向を示し、上下方向Zが三次元造形における硬化層91の積層方向に一致する。また、三次元造形装置10の後側を上流側と称し、三次元造形装置10の前側を下流側と称する。また、本実施形態では、上流側から下流側へ向かう方向を行き方向X1とし、下流側から上流側へ向かう方向を帰り方向X2とする。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、三次元造形装置10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0013】
図1に示すように、三次元造形装置10は、粉末材料90を硬化液で固めて硬化層91を形成し、これを上下方向Zに順次一体的に積層することによって三次元造形物92を造形する装置である。本実施形態では、三次元造形装置10において、所望の三次元造形物92の断面形状を示す断面画像に基づいて、粉末材料90に硬化液を吐出し、粉末材料90を硬化させて、断面画像に沿った硬化層91を形成する。そして、硬化層91を順次積層することで、所望の三次元造形物92を造形する。
【0014】
ここで、「断面形状」とは、造形する三次元造形物92を所定の方向(例えば水平方向)に所定の厚み(例えば0.1mm。なお、所定の厚みは必ずしも一定の厚みに限定されない。)ごとにスライスしたときの断面の形状である。
【0015】
粉末材料90は、その組成や形態等は特に制限されず、無機材料、金属材料および樹脂材料等の各種の材料から構成された粉体を対象とすることができる。粉末材料90としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機材料や、鉄、アルミニウム、チタンおよびこれらの合金(典型的にはステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金)等の金属材料や、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリアミド等の水溶性の樹脂材料や、半水石膏(α型焼石膏、β型焼石膏)、アパタイト、食塩、澱粉、プラスチック等が挙げられる。粉末材料90は、上記いずれか1種の材料から構成されていてもよいし、2種以上が組み合わされていてもよい。
【0016】
硬化液は、上記粉末材料90同士を固着することが可能な材料であれば特に限定されない。例えば、硬化液としては、粉末材料90に応じて、当該粉末材料90を構成する粒子同士を結着させることが可能な液体(粘性体を含む。)が用いられる。硬化液としては、例えば、水、ワックス、バインダ等を含む液体が挙げられる。粉末材料90が水溶性の樹脂材料を含む場合には、例えば硬化液として水が用いられる。
【0017】
図1に示すように、三次元造形装置10は、本体部11と、造形槽20と、供給槽30と、回収槽40と、第1敷詰め部材50と、ヘッドユニット60と、支持部材70と、制御装置88と、供給装置100(
図3参照)とを備えている。
【0018】
図2に示すように、本体部11は、走査方向Xに長い形状を有する三次元造形装置10の外装体である。本体部11は、箱型形状に形成されている。本体部11には、造形された三次元造形物92が収容される。本体部11には、造形槽20、供給槽30および回収槽40が設けられている。本体部11の上面11Aは平坦であって、上面11Aから凹むように造形槽20、供給槽30および回収槽40が独立に並んで設けられている。本体部11は、支持部材70を支持する。
【0019】
図1に示すように、造形槽20は、本体部11に設けられている。造形槽20は、造形空間20Aを有する。造形空間20Aには、供給槽30から供給された粉末材料90が収容される。造形空間20Aにおいて、粉末材料90に硬化液が吐出され、三次元造形物92が造形される。
【0020】
図1に示すように、三次元造形装置10は、第1テーブル24を備えている。第1テーブル24は、造形槽20に配置されている。第1テーブル24は、造形空間20A内に配置されている。第1テーブル24には、粉末材料90が載置される。第1テーブル24上に三次元造形物92が造形される。第1テーブル24は、上下方向Zに移動可能に構成されている。第1テーブル24の形状は、例えば、平面視において矩形状である。
【0021】
図1に示すように、三次元造形装置10は、第1昇降装置25を備えている。第1昇降装置25は、第1テーブル24を上昇および下降させる装置である。即ち、第1昇降装置25は、第1テーブル24を上下方向Zに移動させる。第1昇降装置25は、本体部11に設けられている。第1昇降装置25の構成は、特に限定されない。第1昇降装置25は、第1支持部材26と、第1駆動モータ27(
図9も参照)と、ボールねじ(図示せず)とを備えている。第1支持部材26は、第1テーブル24の下面に接続されている。第1支持部材26は、第1テーブル24を下方から支持している。第1支持部材26は、上下方向Zに延びる。第1支持部材26は、ボールねじを介して第1駆動モータ27に接続されている。第1駆動モータ27を駆動させることにより、第1支持部材26は上下方向Zに移動する。これにより、第1テーブル24は、上下方向Zに移動する。第1駆動モータ27は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、第1昇降装置25は、制御装置88に制御される。
【0022】
図1に示すように、供給槽30は、本体部11に設けられている。供給槽30は、造形槽20より後方に配置されている。供給槽30は、貯留空間30Aを有する。貯留空間30Aには、造形槽20に供給される粉末材料90が収容される。貯留空間30Aの最大容積は、造形空間20Aの最大容積よりも大きい。即ち貯留空間30Aに収容される粉末材料90は、造形空間20Aに収容される粉末材料90よりも多い。
【0023】
図1に示すように、三次元造形装置10は、第2テーブル34を備えている。第2テーブル34は、供給槽30に配置されている。第2テーブル34は、貯留空間30A内に配置されている。第2テーブル34には、粉末材料90が載置される。第2テーブル34は、上下方向Zに移動可能に構成されている。第2テーブル34の形状は、例えば、平面視において矩形状である。
【0024】
図1に示すように、三次元造形装置10は、第2昇降装置35を備えている。第2昇降装置35は、第2テーブル34を上昇および下降させる装置である。即ち、第2昇降装置35は、第2テーブル34を上下方向Zに移動させる。第2昇降装置35は、本体部11に設けられている。第2昇降装置35の構成は、特に限定されない。第2昇降装置35は、第2支持部材36と、第2駆動モータ37(
図9も参照)と、ボールねじ(図示せず)とを備えている。第2支持部材36は、第2テーブル34の下面に接続されている。第2支持部材36は、第2テーブル34を下方から支持している。第2支持部材36は、上下方向Zに延びる。第2支持部材36は、ボールねじを介して第2駆動モータ37に接続されている。第2駆動モータ37を駆動させることにより、第2支持部材36は上下方向Zに移動する。これにより、第2テーブル34は、上下方向Zに移動する。第2駆動モータ37は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、第2昇降装置35は、制御装置88に制御される。
【0025】
図1に示すように、回収槽40は、本体部11に設けられている。回収槽40は、造形槽20より前方に配置されている。回収槽40は、回収空間40Aを有する。回収空間40Aには、造形空間20Aに敷詰められずに余った粉末材料90が回収される。
【0026】
図2に示すように、本体部11には、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rが設けられている。左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rは、支持部材70の走査方向Xへの移動をガイドする。左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rは、走査方向Xに延びる。左ガイドレール12Lは、右ガイドレール12Rより左方に配置されている。左ガイドレール12Lの前端および右ガイドレール12Rの前端は、回収槽40より前方に位置する。左ガイドレール12Lの後端および右ガイドレール12Rの後端は、供給槽30より後方に位置する。左ガイドレール12Lと右ガイドレール12Rとの間に造形槽20、供給槽30および回収槽40が設けられている。本実施形態では、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rが設けられているが、ガイドレールの設置位置および数は特に限定されない。
【0027】
図2に示すように、支持部材70は、本体部11の上面11Aに配置されている。支持部材70は、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに摺動自在に係合している。支持部材70は、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに沿って走査方向Xに移動可能に構成されている。支持部材70は、左ガイドレール12Lに係合する左脚部70Lと、右ガイドレール12Rに係合する右脚部70Rと、左脚部70Lの上端と右脚部70Rとの上端とを連結する連結部70Cとを備えている。左脚部70Lおよび右脚部70Rは、上下方向Zに延びる。連結部70Cは左右方向に延びる。支持部材70は、後述する移動機構72により左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに沿って走査方向Xに往復移動する。
【0028】
図2に示すように、三次元造形装置10は、移動機構72を備えている。移動機構72は、支持部材70を本体部11に対して走査方向Xに相対的に移動させる機構である。移動機構72は、左ガイドレール12Lの前端側に配置されたプーリ73Fと、左ガイドレール12Lの後端側に配置されたプーリ73Rと、右ガイドレール12Rの前端側に配置されたプーリ74Fと、右ガイドレール12Rの後端側に配置されたプーリ74Rと、プーリ73Fとプーリ74Fとを連結する連結ロッド75Aと、プーリ73Rと、プーリ74Rとを連結する連結ロッド75Bと、プーリ73Fとプーリ73Rとに巻き掛けられた左側ベルト76Lと、プーリ74Fとプーリ74Rとに巻き掛けられた右側ベルト76Rと、連結ロッド75Aを回転させる第1モータ77(
図9参照)と、を備えている。なお、第1モータ77は、連結ロッド75Bを回転させるように構成されていてもよい。左側ベルト76Lは、左脚部70Lに固定されている。右側ベルト76Rは、右脚部70Rに固定されている。第1モータ77は、制御装置88と電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、移動機構72は、制御装置88に制御される。第1モータ77が駆動すると連結ロッド75Aが回転し、左側ベルト76Lおよび右側ベルト76Rが走行する。これにより、支持部材70が左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに沿って走査方向Xに往復移動する。なお、説明の便宜上、
図2においてのみ移動機構72を図示しており、他の図では図示を省略している。
【0029】
図1に示すように、本実施形態では、ヘッドユニット60は、走査方向Xに並ぶ3つのラインヘッド62と、ラインヘッド62を収容するケース64と、を備えている。ラインヘッド62は、造形空間20Aに収容された粉末材料90に硬化液を吐出する装置である。ラインヘッド62は、吐出ヘッドの一例である。ラインヘッド62は、硬化液を吐出する複数のノズル(図示せず)を有する。複数のノズルは、左右方向に直線状に並んでいる。ラインヘッド62における硬化液の吐出機構は特に制限されず、例えばインクジェット方式である。ラインヘッド62は、造形槽20よりも上方に位置するように本体部11に配置されている。ヘッドユニット60は、支持部材70の連結部70Cに固定されている。即ち、ラインヘッド62は、左右方向には移動しない。ラインヘッド62の下端は、ケース64の下面より下方に位置する。ラインヘッド62は、制御装置88に電気的に接続されている。ラインヘッド62のノズルからの硬化液の吐出は、制御装置88によって制御される。
【0030】
図1に示すように、第1敷詰め部材50は、本体部11の上方に配置されている。第1敷詰め部材50の下端50Bは、本体部11の上面11Aとの間に所定のクリアランス(間隙)が形成されるように、本体部11の僅かに上方に設置されている。第1敷詰め部材50は、ラインヘッド62より前方に配置されている。第1敷詰め部材50は、支持部材70に支持されている。より詳細には、第1敷詰め部材50は、左脚部70Lおよび右脚部70Rに回転可能に支持されている。第1敷詰め部材50は、長尺の円筒形状を有している。第1敷詰め部材50は、回転軸が左右方向と平行になるように配置されている。第1敷詰め部材50は、第2テーブル34に載置された粉末材料90を造形槽20に搬送する。第1敷詰め部材50は、粉末材料90を造形空間20Aに敷詰める。第1敷詰め部材50は、第1テーブル24上に供給された粉末材料90の表面を平らに均して均一な粉末材料層を形成する。
図2に示すように、三次元造形装置10は、第2モータ52を備えている。第2モータ52は、左脚部70Lに設けられている。第2モータ52は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。
図1に示すように、第2モータ52を駆動することによって、第1敷詰め部材50は順方向R1または逆方向R2に回転する。本実施形態の第1敷詰め部材50は、支持部材70の移動に伴って走査方向Xに往復移動する。第1敷詰め部材50は、三次元造形物92を造形する場合には、行き方向X1に移動するときに順方向R1に回転する。
【0031】
図3に示すように、供給装置100は、供給槽30の上部に着脱自在に設けられている。供給装置100は、供給槽30の開口を塞ぐように配置される。供給装置100は、供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を供給する。
図4に示すように、供給装置100は、ベース部110と、回転部120と、貯留部130と、ガイド部材140と、付勢部材150と、第2敷詰め部材160とを備えている。
【0032】
図4に示すように、ベース部110は、矩形状(例えば正方形状)に形成されている。ベース部110は、供給槽30の上に位置する。ベース部110の一部は、本体部11の上面11Aに支持される。ベース部110は、貯留空間30A(
図3参照)と連通する開口112を有する。開口112は、矩形状(例えば正方形状)に形成されている。
【0033】
図5に示すように、回転部120は、平面視でベース部110の開口112と重なる。回転部120は、定幅形状を有する。本実施形態では、回転部120は、ルーローの三角形状に形成されている。なお、回転部120は、円形状であってもよい。回転部120は、ベース部110より上方に位置する第1部分121と、第1部分121の下方に位置しかつベース部110の開口112を構成する側壁と接触する第2部分122(
図6参照)とを有する。
図7に示すように、第1部分121の形状と第2部分122の形状は、相似である。第1部分121は、第2部分122より大きい。回転部120は、ベース部110に対して回転可能に設けられている。より詳細には、回転部120の第2部分122がベース部110の開口112を構成する側壁に内接して転がる。
【0034】
図5に示すように、回転部120には、供給槽30の貯留空間30A(
図3参照)に粉末材料90を供給する供給口125が形成されている。供給口125は、回転部120の第1部分121および第2部分122を貫通するように形成されている。供給口125は、回転部120の径方向に延びる。供給口125は、矩形状に形成されている。供給口125のうち、径方向の外側を構成する外側辺125Aの長さLAは、径方向の内側を構成する内側辺125Bの長さLBよりも長い。供給口125は、回転部120の中心120Cから偏倚している。本実施形態では、供給口125は、回転部120の中心120Cから回転部120の頂点側に偏倚している。
【0035】
図7に示すように、回転部120には、第2敷詰め部材160が挿入される貫通孔128(
図4も参照)が形成されている。貫通孔128は、回転部120の第1部分121および第2部分122を貫通するように形成されている。貫通孔128は、回転部120の径方向に延びる。貫通孔128は、矩形状に形成されている。貫通孔128の径方向の長さは、供給口125の径方向の長さより長い。貫通孔128は、回転部120の中心120Cを通る。
【0036】
図4に示すように、貯留部130は、回転部120の表面に設けられている。貯留部130は、回転部120の第1部分121上に設けられている。貯留部130は、回転部120と一体となってベース部110に対して回転する。
図5に示すように、貯留部130は、供給口125を囲うように設けられている。貯留部130は、粉末材料90を貯留する。貯留部130には、外部から貯留部130内に粉末材料90が供給される開口130Aが形成されている。開口130Aは、上方に向けて開口する。例えば、ユーザは、開口130Aを介して袋等の容器に収容された粉末材料90を貯留部130内に適宜供給する。
【0037】
図4に示すように、ガイド部材140は、回転部120の表面に設けられている。ガイド部材140は、回転部120の第1部分121上に設けられている。ガイド部材140は、回転部120と一体となってベース部110に対して回転する。ガイド部材140は、平面視で貫通孔128と重なる。ガイド部材140は、第2敷詰め部材160の上下方向の移動を案内する。ガイド部材140は、回転部120から上方に延びる一対の縦壁141と、一対の縦壁141を接続しかつ水平方向に延びる横壁142とを有する。ガイド部材140は、U字形状に形成されている。縦壁141には、第2敷詰め部材160を案内するガイド溝143が形成されている。ガイド溝143は、上下方向Zに延びる。
【0038】
図4に示すように、付勢部材150は、ガイド部材140および第2敷詰め部材160に接続されている。より詳細には、付勢部材150の上部がガイド部材140の横壁142に接続され、かつ、付勢部材150の下部が第2敷詰め部材160に接続されている。付勢部材150は、上下方向Zに弾性変形可能に構成されている。付勢部材150は、第2敷詰め部材160を下方に向けて付勢可能に構成されている。付勢部材150は、例えば、圧縮バネである。付勢部材150は、例えば、金属材料から形成された板バネである。
【0039】
図8に示すように、第2敷詰め部材160は、回転部120に設けられている。第2敷詰め部材160は、貫通孔128に挿入されている。第2敷詰め部材160は、ガイド部材140に上下方向Zに移動可能に支持されている。第2敷詰め部材160は、回転部120の裏面から下方に突出する。第2敷詰め部材160は、回転部120の第2部分122から下方に突出する。
図7に示すように、第2敷詰め部材160は、回転部120の径方向に延びる。第2敷詰め部材160の回転部120の径方向(第2敷詰め部材160の長手方向)の長さLXは、供給口125の回転部120の径方向(供給口125の長手方向)の長さLYより長い。回転部120を回転させる方向を矢印Tの方向としたとき、供給口125の後を追うように第2敷詰め部材160が回転移動することになる。また、供給口125と第2敷詰め部材160とのなす角αは、例えば、120°である。回転部120が矢印Tの方向に1回転するときに供給口125が描く回転軌跡は、第2敷詰め部材160が描く回転軌跡内に収まる。第2敷詰め部材160は、板状に形成されている。第2敷詰め部材160は、供給口125(
図6参照)から貯留空間30Aに供給された粉末材料90を貯留空間30Aに敷詰める。第2敷詰め部材160は、貯留空間30Aに供給された粉末材料90の表面を平らに均す。第2敷詰め部材160は、粉末材料90と接触するときに付勢部材150によって下方に付勢される。このため、貯留空間30A内の粉末材料90を第2敷詰め部材160によって押し固めることができる。即ち、貯留空間30A内の粉末材料90のかさ密度を大きくすることができる。なお、
図8では、後述する第1突起129の図示を省略している。
【0040】
図4に示すように、供給装置100は、複数の第1突起129と、回転体170と、複数の第2突起179と、レバー180とを備えている。第1突起129は、回転部120の外周部分に設けられている。第1突起129は、回転部120の第1部分121から上方に延びる。第1突起129は、略円柱形状である。複数の第1突起129は、等間隔に並ぶ。回転体170は、ベース部110に回転可能に設けられている。回転体170は、ベース部110の縦壁115に回転可能に設けられている。回転体170は、円板形状に形成されている。回転体170は、複数の第2突起179を保持する。第2突起179は、回転体170の外周部分に設けられている。第2突起179は、回転体170から水平方向に延びる。第2突起179は、略円柱形状である。複数の第2突起179は、等間隔に並ぶ。第2突起179は、第1突起129と噛み合うように構成されている。レバー180は、回転体170に設けられている。レバー180は、手動により操作される。レバー180を操作して回転体170を回転させることによって、回転部120が回転するように構成されている。
【0041】
図9に示すように、三次元造形装置10の全体の動作は、制御装置88によって制御されている。制御装置88の構成は特に限定されない。制御装置88は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。
図1に示すように、制御装置88は、本体部11の内部に設けられている。
【0042】
図9に示すように、制御装置88は、ラインヘッド62、第1駆動モータ27、第2駆動モータ37、第1モータ77および第2モータ52と通信可能に接続しており、これらを制御する。
【0043】
図9に示すように、制御装置88は、ヘッド制御部88Aと、移動制御部88Bと、回転制御部88Cと、第1テーブル制御部88Dと、第2テーブル制御部88Eとを備えている。制御装置88の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置88の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0044】
ヘッド制御部88Aは、ラインヘッド62を制御する。ヘッド制御部88Aは、ラインヘッド62のノズルから吐出される硬化液の量やタイミングを制御する。移動制御部88Bは、第1モータ77を制御して支持部材70を走査方向Xに移動させる。回転制御部88Cは、第2モータ52を制御して第1敷詰め部材50を順方向R1または逆方向R2に回転させる。第1テーブル制御部88Dは、第1駆動モータ27を制御して第1テーブル24を上下方向Zに移動させる。第1テーブル制御部88Dは、三次元造形物92を造形しているときは、第1テーブル24を下方へのみ移動させる。第2テーブル制御部88Eは、第2駆動モータ37を制御して第2テーブル34を上下方向Zに移動させる。第2テーブル制御部88Eは、供給装置100から供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を供給するときは、第2テーブル34を下方へのみ移動させる。第2テーブル制御部88Eは、三次元造形物92を造形しているときは、第2テーブル34を上方へのみ移動させる。
【0045】
以上、三次元造形装置10の構成について説明した。次に、供給装置100から供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を供給するときの動作について説明する。ここでは、供給装置100から貯留空間30Aに粉末材料90を供給する前には、貯留空間30Aに粉末材料90が全く存在しない場合を例に説明するが、貯留空間30Aに粉末材料90が多少存在している場合も同様である。
【0046】
図10に示すように、供給槽30の上部に供給装置100を取り付ける。供給装置100は、通常、三次元造形物92の造形を開始する前に供給槽30の上部に取り付けられる。このとき、第2テーブル制御部88Eは、第2駆動モータ37を制御して第2テーブル34を最も高い位置に上昇させる。この状態で、貯留部130に粉末材料90を供給する。その後、第2テーブル制御部88Eは、第2テーブル34を所定量だけ下降させる(
図11参照)。これにより、供給口125(
図5参照)と第2テーブル34との間に空間ができ、供給口125から貯留空間30Aに粉末材料90が供給される。そして、ユーザは、レバー180を操作して回転部120を
図12Aの矢印Tの方向に複数回(例えば2回~3回程度)回転させる。
図12A~
図12Dに示すように、供給口125はベース部110の開口112の広範囲に亘って移動するため、貯留空間30Aの広範囲に供給口125から粉末材料90を供給することができる。また、
図13に示すように、第2敷詰め部材160が貯留空間30Aに供給された粉末材料90を径方向の外側に押し出すことにより、貯留空間30Aの全体に亘って粉末材料90を敷詰めることができる。このとき、第2敷詰め部材160は付勢部材150によって下方に付勢されているため、粉末材料90は第2敷詰め部材160に適度に押し固められることになる。
図14に示すように、回転部120が矢印Tの方向に複数回回転した後、第2テーブル制御部88Eは、第2テーブル34を所定量だけ下降させる。これにより、供給口125と第2テーブル34上に敷詰められた粉末材料90との間に空間ができ、供給口125から貯留空間30Aにさらに粉末材料90が供給される。そして、ユーザは、上記と同様にレバー180を操作して回転部120を
図12Aの矢印Tの方向に複数回(例えば2回~3回程度)回転させる。これらの動作を複数回繰り返すことによって、供給槽30の貯留空間30Aには三次元造形物92を造形するのに必要な粉末材料90が貯留される。なお、
図12Aは回転部120の初期位置を示しているが、回転部120の初期位置は
図12Aに示す位置に限定されず、例えば、
図12B~
図12Dを含むいずれの位置であってもよい。即ち、供給装置100を供給槽30の上部に取り付けたときの回転部120の位置が初期位置になる。また、
図10、
図11、
図13および
図14では、供給槽30を説明の便宜上簡略化して図示している。
【0047】
以上のように、本実施形態の三次元造形装置10によると、供給装置100の回転部120に形成された供給口125から供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を供給することができる。ここで、供給口125は回転部120の径方向に延びる矩形状に形成されかつ回転部120の中心120Cから偏倚しているため、回転部120を回転させながら供給口125から粉末材料90を供給することで、貯留空間30Aの広範囲に亘って粉末材料90が供給される。また、粉末材料90を供給口125から貯留空間30Aに供給するときに、粉末材料90が空気中に舞ってしまう虞があるが、貯留空間30Aの上方には供給装置100のベース部110および回転部120が位置するため、粉末材料90が供給槽30から外部に舞い上がることが抑制される。さらに、供給装置100は供給槽30の上部に着脱自在に設けられているため、三次元造形物92を造形するときには供給装置100を供給槽30から取り外すことで、第1敷詰め部材50によって供給槽30から造形槽20の造形空間20Aに粉末材料90を搬送することができる。
【0048】
本実施形態の三次元造形装置10によると、供給装置100は、回転部120の裏面から下方に突出し、回転部120の径方向に延びる第2敷詰め部材160を備えている。第2敷詰め部材160は、供給口125から貯留空間30Aに供給された粉末材料90を貯留空間30Aに敷き詰めるように構成されている。これにより、貯留空間30Aの広範囲により均一に粉末材料90を敷き詰めることができる。
【0049】
本実施形態の三次元造形装置10によると、第2敷詰め部材160の径方向の長さLXは、供給口125の径方向の長さLYより長い。これにより、供給口125から貯留空間30Aに供給された粉末材料90をより広範囲に広げることができ、貯留空間30Aの全体に亘って粉末材料90を供給することができる。
【0050】
本実施形態の三次元造形装置10によると、供給装置100は、ガイド部材140および第2敷詰め部材160に接続され、かつ、上下方向に弾性変形可能に構成され、かつ、第2敷詰め部材160を下方に向けて付勢可能な付勢部材150を備えている。これにより、第2敷詰め部材160によって粉末材料90を貯留空間30Aに敷詰めるときに、粉末材料90を第2敷詰め部材160によって押圧することができる。この結果、粉末材料90が押し固められ、貯留空間30Aに敷詰められた粉末材料90のかさ密度を増加させることができる。
【0051】
本実施形態の三次元造形装置10によると、供給口125のうち、径方向の外側を構成する外側辺125Aの長さLAは、径方向の内側を構成する内側辺125Bの長さLBよりも長い。これにより、貯留空間30Aの外側の領域(即ち貯留空間30Aの中心から離れた領域)により多くの粉末材料90を供給することができる。
【0052】
本実施形態の三次元造形装置10によると、開口112は、正方形状に形成され、回転部120は、ルーローの三角形状に形成されている。これにより、貯留空間30Aのより広範囲に亘って粉末材料90が供給される。
【0053】
本実施形態の三次元造形装置10によると、供給装置100は、回転部120の外周部分に設けられ、上方に向けて延びる複数の第1突起129と、水平方向に延び、かつ、第1突起129と噛み合う複数の第2突起179と、ベース部110に回転可能に設けられ、第2突起179を保持する回転体170と、を備えている。回転体170を回転させることによって、回転部120が回転するように構成されている。かかる構成によれば、回転部120を回転させて供給口125から貯留空間30Aに粉末材料90を供給することができる。
【0054】
本実施形態の三次元造形装置10によると、回転体170には、手動により操作されるレバー180が設けられている。ユーザがレバー180を手動により操作することで、容易に貯留空間30Aの広範囲に亘って粉末材料90を供給することができる。
【0055】
図15は、第2実施形態に係る供給装置200の第2敷詰め部材160の周辺の構造を示す斜視図である。
図15に示すように、供給装置200の回転部120には、第2敷詰め部材160の上下方向Zの移動を案内するガイド孔120Hが形成されている。ガイド孔120Hは、第1部分121および第2部分122を上下方向Zに貫通する。供給装置200は、第2敷詰め部材160に連結された連結部材210を備えている。連結部材210は、第2敷詰め部材160に連結された一対のシャフト212と、一対のシャフト212を接続する接続板214とを備えている。一対のシャフト212は、それぞれガイド孔120Hに摺動可能に設けられている。接続板214は、回転部120より上方に位置する。供給装置200は、付勢部材220を備えている。付勢部材220は、回転部120および連結部材210に接続されている。より詳細には、付勢部材220の上部が連結部材210の接続板214に接続され、かつ、付勢部材210の下部が回転部120に設けられた保持部120Xに接続されている。付勢部材220は、上下方向Zに弾性変形可能に構成されている。付勢部材220は、第2敷詰め部材160を下方に向けて付勢可能に構成されている。付勢部材220は、例えば、引っ張りバネである。かかる構成によると、第2敷詰め部材160によって粉末材料90を貯留空間30Aに敷詰めるときに、粉末材料90を第2敷詰め部材160によって押圧することができる。この結果、粉末材料90が押し固められ、貯留空間30Aに敷詰められた粉末材料90のかさ密度を増加させることができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0057】
上述した実施形態では、供給口125は、回転部120の径方向において同じ高さに形成されていたが、これに限定されない。例えば、供給口125は、径方向の外側に行くほど上方に傾斜していてもよい。これにより、貯留空間30Aの外側の領域により多くの粉末材料90を供給することができる。
【0058】
上述した実施形態では、手動により操作されるレバー180によって回転体170を回転させていたが、これに限定されない。例えば、回転体170には、制御装置88によって制御されるモータが接続されていてもよい。モータによって回転体170を自動で回転させることで、容易に貯留空間30Aの広範囲に亘って粉末材料90を供給することができる。これにより、ユーザの負担をより軽減することができる。
【0059】
上述した実施形態では、第2敷詰め部材160は長尺の板状に形成されていたが、これに限定されない。第2敷詰め部材160は、第1敷詰め部材50と同様に長尺の円筒形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 三次元造形装置
20 造形槽
20A 造形空間
24 第1テーブル
30 供給槽
30A 貯留空間
34 第2テーブル
100 供給装置
110 ベース部
112 開口
120 回転部
120C 中心
125 供給口
130 貯留部
140 ガイド部材
150 付勢部材
160 第2敷詰め部材