(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、学習用データの生成方法、学習方法、学習装置、学習済モデルの生成方法、および、学習済モデル
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240117BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H01L21/30 572B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2020080114
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】阿野 誠士
(72)【発明者】
【氏名】小路丸 友則
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06025273(US,A)
【文献】特開2016-072613(JP,A)
【文献】特開2017-073467(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102968003(CN,A)
【文献】特開平10-135182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板を回転可能に保持する基板保持部と、
前記処理対象基板に薬液を供給する薬液供給部と、
前記処理対象基板についての前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報を取得する基板情報取得部と、
前記基板情報に基づいて、学習済モデルから前記処理対象基板についての薬液処理条件を示す薬液処理条件情報を取得する薬液処理条件情報取得部と、
前記薬液処理条件情報取得部において取得された前記薬液処理条件情報に基づいて、前記処理対象基板を薬液で処理するように前記基板保持部および前記薬液供給部を制御する制御部と
を備え、
前記学習済モデルは、硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板について前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した条件を示す薬液処理条件情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した結果を示す処理結果情報とが関連付けられた学習用データを機械学習することで構築される、基板処理装置。
【請求項2】
前記学習済モデルを記憶する記憶部をさらに備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理対象基板および前記学習対象基板のそれぞれについて、前記硬化層厚さ情報は、前記硬化層の高さを示す硬化層高さ情報または前記硬化層の幅を示す硬化層幅情報を含む、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理対象基板および前記学習対象基板のそれぞれについて、前記薬液処理条件情報は、前記薬液の濃度、前記薬液の温度、前記薬液の供給量、前記薬液の吐出パターン、および、前記薬液を供給する際の基板の回転速度のいずれかを示す情報を含む、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記薬液の濃度を示す情報は、前記薬液の濃度が時間とともに変化した濃度プロファイルを示す、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記薬液の温度を示す情報は、前記薬液の温度が時間とともに変化した温度プロファイルを示す、請求項4または5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板を回転可能に保持するステップと、
前記処理対象基板についての前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報を取得するステップと、
前記基板情報に基づいて、学習済モデルから前記処理対象基板の薬液処理条件を示す薬液処理条件情報を取得するステップと、
前記薬液処理条件情報の薬液処理条件に従って前記処理対象基板を薬液で処理するステップと
を包含する、基板処理方法であって、
前記薬液処理条件情報を取得するステップにおいて、前記学習済モデルは、硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板について前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報と、前記学習対象基板に対して行われた薬液処理の条件を示す薬液処理条件情報と、前記学習対象基板に対して行われた薬液処理の結果を示す処理結果情報とが関連付けられた学習用データを機械学習することで構築される、基板処理方法。
【請求項8】
硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板を処理する基板処理装置から出力される時系列データから、前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報を取得するステップと、
前記時系列データから、前記基板処理装置において前記学習対象基板を薬液で処理した条件を示す薬液処理条件情報を取得するステップと、
前記時系列データから、前記基板処理装置において前記学習対象基板を薬液で処理した結果を示す処理結果情報を取得するステップと、
前記学習対象基板について前記基板情報、前記薬液処理条件情報および前記処理結果情報を関連付けて学習用データとして記憶部に記憶するステップと
を包含する、学習用データの生成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の学習用データの生成方法にしたがって生成された学習用データを取得するステップと、
前記学習用データを学習プログラムに入力して前記学習用データを機械学習するステップと
を包含する、学習方法。
【請求項10】
請求項8に記載の学習用データの生成方法にしたがって生成された学習用データを記憶する記憶部と、
前記学習用データを学習プログラムに入力して前記学習用データを機械学習する学習部と
を備える、学習装置。
【請求項11】
請求項8に記載の学習用データの生成方法にしたがって生成された学習用データを取得するステップと、
前記学習用データを機械学習させることで構築された学習済モデルを生成するステップと
を包含する、学習済モデルの生成方法。
【請求項12】
硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板において前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した条件を示す薬液処理条件情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した結果を示す処理結果情報とが関連付けられた学習用データを機械学習させることで構築された学習済モデル
であって、
硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板についての前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報が入力され、
前記処理対象基板を基板処理装置で処理するために、前記処理対象基板についての薬液処理条件を示す薬液処理条件情報を出力する、学習済モデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法、学習用データの生成方法、学習方法、学習装置、学習済モデルの生成方法、および、学習済モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置は、半導体装置の製造等に好適に用いられる。基板の製造時に、所定パターンのレジスト層を形成した後で基板にイオン注入して基板の特性を改質することがある。その場合、イオン注入した後で、レジスト層は薬液で剥離される。基板の製造過程でレジスト層にイオンが注入すると、レジスト層に硬化層または変質層が形成されることが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、硫酸および過酸化水素水に炭酸アルキレンを加えた半導体基板用洗浄剤でレジスト層を剥離・除去することが記載されている。特許文献1によれば、この半導体基板用洗浄剤は、レジスト層を剥離する際に、SPM洗浄剤に匹敵する洗浄力を有する一方で、半導体基板の損傷を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、基板のレジスト層中の硬化層を適切に除去できないことがある。例えば、イオン注入されたレジスト層に対して薬液の使用量が少なすぎると、レジスト層を充分に除去できない。また、イオン注入されたレジスト層に対して薬液の使用量が多すぎると、コストが上昇してしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板のレジスト層中の硬化層を適切に除去可能な基板処理装置、基板処理方法、学習用データの生成方法、学習方法、学習装置、学習済モデルの生成方法、および、学習済モデルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板を回転可能に保持する基板保持部と、前記処理対象基板に薬液を供給する薬液供給部と、前記処理対象基板についての前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報を取得する基板情報取得部と、前記基板情報に基づいて、学習済モデルから前記処理対象基板についての薬液処理条件を示す薬液処理条件情報を取得する薬液処理条件情報取得部と、前記薬液処理条件情報取得部において取得された前記薬液処理条件情報に基づいて、前記処理対象基板を薬液で処理するように前記基板保持部および前記薬液供給部を制御する制御部とを備える。前記学習済モデルは、硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板について前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した条件を示す薬液処理条件情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した結果を示す処理結果情報とが関連付けられた学習用データを機械学習することで構築される。
【0008】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、前記学習済モデルを記憶する記憶部をさらに備える。
【0009】
ある実施形態において、前記処理対象基板および前記学習対象基板のそれぞれについて、前記硬化層厚さ情報は、前記硬化層の高さを示す硬化層高さ情報または前記硬化層の幅を示す硬化層幅情報を含む。
【0010】
ある実施形態において、前記処理対象基板および前記学習対象基板のそれぞれについて、前記薬液処理条件情報は、前記薬液の濃度、前記薬液の温度、前記薬液の供給量、前記薬液の吐出パターン、および、前記薬液を供給する際の基板の回転速度のいずれかを示す情報を含む。
【0011】
ある実施形態において、前記薬液の濃度を示す情報は、前記薬液の濃度が時間とともに変化した濃度プロファイルを示す。
【0012】
ある実施形態において、前記薬液の温度を示す情報は、前記薬液の温度が時間とともに変化した温度プロファイルを示す。
【0013】
本発明の別の局面によれば、基板処理方法は、硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板を回転可能に保持するステップと、前記処理対象基板についての前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報を取得するステップと、前記基板情報に基づいて、学習済モデルから前記処理対象基板の薬液処理条件を示す薬液処理条件情報を取得するステップと、前記薬液処理条件情報の薬液処理条件に従って前記処理対象基板を薬液で処理するステップとを包含する。前記薬液処理条件情報を取得するステップにおいて、前記学習済モデルは、硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板について前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報と、前記学習対象基板に対して行われた薬液処理の条件を示す薬液処理条件情報と、前記学習対象基板に対して行われた薬液処理の結果を示す処理結果情報とが関連付けられた学習用データを機械学習することで構築される。
【0014】
本発明のさらに別の局面によれば、学習用データの生成方法は、硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板を処理する基板処理装置から出力される時系列データから、前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報を取得するステップと、前記時系列データから、前記基板処理装置において前記学習対象基板を薬液で処理した条件を示す薬液処理条件情報を取得するステップと、前記時系列データから、前記基板処理装置において前記学習対象基板を薬液で処理した結果を示す処理結果情報を取得するステップと、前記学習対象基板について前記基板情報、前記薬液処理条件情報および前記処理結果情報を関連付けて学習用データとして記憶部に記憶するステップとを包含する。
【0015】
本発明のさらに別の局面によれば、学習方法は、上記に記載の学習用データの生成方法にしたがって生成された学習用データを取得するステップと、前記学習用データを学習プログラムに入力して前記学習用データを機械学習するステップとを包含する。
【0016】
本発明のさらに別の局面によれば、学習装置は、上記に記載の学習用データの生成方法にしたがって生成された学習用データを記憶する記憶部と、前記学習用データを学習プログラムに入力して前記学習用データを機械学習する学習部とを備える。
【0017】
本発明のさらに別の局面によれば、学習済モデルの生成方法は、上記に記載の学習用データの生成方法にしたがって生成された学習用データを取得するステップと、前記学習用データを機械学習させることで構築された学習済モデルを生成するステップとを包含する。
【0018】
本発明のさらに別の局面によれば、学習済モデルは、硬化層の形成されたレジスト層を有する学習対象基板において前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した条件を示す薬液処理条件情報と、前記学習対象基板を薬液で処理した結果を示す処理結果情報とが関連付けられた学習用データを機械学習させることで構築された学習済モデルである。前記学習済モデルは、硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板についての前記硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または前記レジスト層に前記硬化層を形成したイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む基板情報が入力され、前記処理対象基板を基板処理装置で処理するために、前記処理対象基板についての薬液処理条件を示す薬液処理条件情報を出力する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、処理対象基板のレジスト層中の硬化層を適切に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の基板処理装置を備えた基板処理学習システムの模式図である。
【
図2】本実施形態の基板処理装置を備えた基板処理システムの模式図である。
【
図4】本実施形態の基板処理装置を備えた基板処理システムのブロック図である。
【
図5】(a)は、本実施形態の基板処理方法のフロー図であり、(b)は、本実施形態の基板処理方法における薬液処理のフロー図である。
【
図6】(a)~(c)は、本実施形態の基板処理装置において処理される基板に形成された硬化層の形成プロセスを示す模式図である。
【
図7】(a)~(d)は、本実施形態の基板処理装置において処理される基板に形成された硬化層の形成プロセスを示す模式図である。
【
図8】本実施形態の基板処理装置を備えた基板処理システムおよび学習用データ生成装置のブロック図である。
【
図9】本実施形態の学習用データ生成方法を示すフロー図である。
【
図10】本実施形態の学習用データ生成装置および学習装置のブロック図である。
【
図11】本実施形態の学習方法および学習済モデルの生成方法を示すフロー図である。
【
図12】本実施形態の学習装置に入力される学習用データを示す図である。
【
図13】本実施形態の学習装置に入力される学習用データを示す図である。
【
図14】本実施形態の学習装置に入力される学習用データを示す図である。
【
図15】(a)は、本実施形態の基板処理装置の処理対象となる硬化層の形成されたレジスト層を有する処理対象基板の模式図であり、(b)は、基板情報に基づいて取得された薬液処理条件を示す図である。
【
図16】本実施形態の学習装置に入力される学習用データを示す図である。
【
図17】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図18】本実施形態の学習装置に入力される学習用データを示す図である。
【
図19】本実施形態の基板処理装置のブロック図である。
【
図20】本実施形態の基板処理装置における変換テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置、基板処理方法、学習用データの生成方法、学習方法、学習装置、学習済モデルの生成方法、および、学習済モデルの実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を記載することがある。典型的には、X方向およびY方向は水平方向に平行であり、Z方向は鉛直方向に平行である。
【0023】
まず、
図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を備えた基板処理学習システム200を説明する。まず、
図1を参照して、基板処理学習システム200を説明する。
【0024】
図1は、基板処理学習システム200の模式図である。
図1に示すように、基板処理学習システム200は、基板処理装置100と、基板処理装置100Lと、学習用データ生成装置300と、学習装置400とを備える。
【0025】
基板処理装置100は、処理対象基板を処理する。ここでは、処理対象基板は、硬化層の形成されたレジスト層を有しており、基板処理装置100は、処理対象基板のレジスト層を薬液で処理する。なお、基板処理装置100は、処理対象基板に対して薬液処理以外の処理をしてもよい。基板処理装置100は、処理対象基板を1枚ずつ処理する枚葉型である。典型的には、処理対象基板は略円板状である。
【0026】
基板処理装置100Lは、学習対象基板を処理する。ここでは、学習対象基板は、硬化層の形成されたレジスト層を有しており、基板処理装置100Lは、学習対象基板のレジスト層を薬液で処理する。なお、基板処理装置100Lは、学習対象基板に対して薬液処理以外の処理をしてもよい。学習対象基板の構成は、処理対象基板の構成と同じである。基板処理装置100Lは、処理対象基板を1枚ずつ処理する枚葉型である。典型的には、処理対象基板は略円板状である。基板処理装置100Lの構成は、基板処理装置100の構成と同じである。基板処理装置100Lは、基板処理装置100と同一物であってもよい。例えば、同一の基板処理装置が過去に学習対象基板を処理し、その後、処理対象基板を処理してもよい。あるいは、基板処理装置100Lは、基板処理装置100と同じ構成を有する別の製品であってもよい。
【0027】
本明細書の以下の説明において、学習対象基板を「学習対象基板WL」と記載し、処理対象基板を「処理対象基板Wp」と記載することがある。また、学習対象基板WLと処理対象基板Wpとを区別して説明する必要のないときは、学習対象基板WLおよび処理対象基板Wpを「基板W」と記載することがある。
【0028】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。
【0029】
基板処理装置100Lは、時系列データTDLを出力する。時系列データTDLは、基板処理装置100Lにおける物理量の時間変化を示すデータである。時系列データTDLは、所定期間にわたって時系列に変化した物理量(値)の時間変化を示す。例えば、時系列データTDLは、基板処理装置100Lが学習対象基板に対して行った処理についての物理量の時間変化を示すデータである。あるいは、時系列データTDLは、基板処理装置100Lによって処理された学習対象基板の特性についての物理量の時間変化を示すデータである。または、時系列データTDLは、学習対象基板を基板処理装置100Lで処理する前の製造プロセスを示すデータを含んでもよい。
【0030】
なお、時系列データTDLにおいて示される値は、測定機器において直接測定された値であってもよい。または、時系列データTDLにおいて示される値は、測定機器において直接測定された値を演算処理した値であってもよい。あるいは、時系列データTDLにおいて示される値は、複数の測定機器において測定された値を演算したものであってもよい。
【0031】
学習用データ生成装置300は、時系列データTDLまたは時系列データTDLの少なくとも一部に基づいて学習用データLDを生成する。学習用データ生成装置300は、学習用データLDを出力する。学習用データLDは、学習対象基板WLの基板情報と、学習対象基板WLに対して行われた薬液処理の処理条件を示す薬液処理条件情報と、学習対象基板WLに対して行われた薬液処理の結果を示す処理結果情報とを含む。また、学習対象基板WLの基板情報は、学習対象基板WLが薬液処理される前に測定された学習対象基板WLの基板情報を含む。
【0032】
学習装置400は、学習用データLDを機械学習することによって、学習済モデルLMを生成する。学習装置400は、学習済モデルLMを出力する。
【0033】
基板処理装置100は、時系列データTDを出力する。時系列データTDは、基板処理装置100における物理量の時間変化を示すデータである。時系列データTDは、所定期間にわたって時系列に変化した物理量(値)の時間変化を示す。例えば、時系列データTDは、基板処理装置100が処理対象基板に対して行った処理についての物理量の時間変化を示すデータである。あるいは、時系列データTDは、基板処理装置100によって処理された処理対象基板の特性についての物理量の時間変化を示すデータである。
【0034】
なお、時系列データTDにおいて示される値は、測定機器において直接測定された値であってもよい。または、時系列データTDにおいて示される値は、測定機器において直接測定された値を演算処理した値であってもよい。あるいは、時系列データTDにおいて示される値は、複数の測定機器において測定された値を演算したものであってもよい。または、時系列データTDは、処理対象基板を基板処理装置100で処理する前の製造プロセスを示すデータを含んでもよい。
【0035】
基板処理装置100が使用する物体は、基板処理装置100Lが使用する物体に対応する。従って、基板処理装置100が使用する物体の構成は、基板処理装置100Lが使用する物体の構成と同じである。また、時系列データTDにおいて、基板処理装置100が使用する物体の物理量は、基板処理装置100Lが使用する物体の物理量に対応する。従って、基板処理装置100Lが使用する物体の物理量は、基板処理装置100が使用する物体の物理量と同じである。
【0036】
時系列データTDから、処理対象基板Wpの基板情報Cpが生成される。処理対象基板Wpの基板情報Cpは、学習対象基板WLの基板情報に対応する。処理対象基板Wpの基板情報Cpは、処理対象基板Wpの基板情報を含む。処理対象基板Wpの基板情報は、処理対象基板Wpが薬液処理される前に処理対象基板Wpを測定することによって得られた情報であってもよい。あるいは、処理対象基板Wpの基板情報は、薬液処理前に、処理対象基板Wpに対して行われた処理についての情報であってもよい。
【0037】
学習済モデルLMから、処理対象基板Wpの基板情報Cpに基づいて、基板処理装置100における処理対象基板Wpに適した薬液処理条件を示す薬液処理条件情報Rpが出力される。
【0038】
以上、
図1を参照して説明したように、本実施形態によれば、学習装置400は、機械学習を行う。従って、非常に複雑かつ解析対象が膨大な時系列データTDLから精度の高い学習済モデルLMを生成できる。また、学習済モデルLMに対して、時系列データTDからの基板情報Cpを入力して、学習済モデルLMから、薬液処理条件を示す薬液処理条件情報Rpを出力させる。従って、処理対象基板Wpに応じて薬液処理できる。
【0039】
次に、
図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を備えた基板処理システム10を説明する。
図2は、基板処理システム10の模式的な平面図である。
【0040】
基板処理システム10は、基板Wを処理する。基板処理システム10は、複数の基板処理装置100を備える。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0041】
図1に示すように、基板処理システム10は、複数の基板処理装置100に加えて、流体キャビネット32と、流体ボックス34と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置20とを備える。制御装置20は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。
【0042】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する設置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で設置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理装置100との間で基板Wを搬送する。基板処理装置100の各々は、基板Wに液体を吐出して、基板Wを処理する。液体は、薬液および/またはリンス液を含む。または、液体は、他の処理液を含んでもよい。流体キャビネット32は、液体を収容する。なお、流体キャビネット32は、気体を収容してもよい。
【0043】
具体的には、複数の基板処理装置100は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図2では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理装置100(
図1では3つの基板処理装置100)を含む。流体ボックス34は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット32内の液体は、いずれかの流体ボックス34を介して、流体ボックス34に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置100に供給される。また、流体キャビネット32内の気体は、いずれかの流体ボックス34を介して、流体ボックス34に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置100に供給される。
【0044】
制御装置20は、基板処理システム10の各種動作を制御する。制御装置20は、制御部22および記憶部24を含む。制御部22は、プロセッサーを有する。制御部22は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部22は、汎用演算機を有してもよい。
【0045】
記憶部24は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0046】
記憶部24は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部24はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部22は、記憶部24の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0047】
記憶部24には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されている。基板処理装置100は、コンピュータプログラムに定められた手順に従って動作する。
【0048】
なお、
図2には、基板処理システム10に対して1つの制御装置20を備えるように示しているが、基板処理装置100ごとに制御装置20を備えてもよい。ただし、その場合、基板処理システム10は、複数の基板処理装置100および基板処理装置100以外の装置を制御する別の制御装置を備えることが好ましい。
【0049】
次に、
図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図3は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、ここでは、基板処理装置100の構成を説明するが、基板処理装置100Lも基板処理装置100と同様の構成を有している。
【0050】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、チャンバー110と、基板保持部120と、薬液供給部130と、リンス液供給部140とを備える。チャンバー110は、基板Wを収容する。基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wを回転可能に保持する。
【0051】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー110は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120、薬液供給部130、および、リンス液供給部140のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0052】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wの上面Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0053】
例えば、基板保持部120は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部120は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部120は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0054】
例えば、基板保持部120は、スピンベース121と、チャック部材122と、シャフト123と、電動モータ124とを含む。チャック部材122は、スピンベース121に設けられる。チャック部材122は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース121には、複数のチャック部材122が設けられる。
【0055】
シャフト123は、中空軸である。シャフト123は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wの裏面は、スピンベース121に接触し、基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0056】
スピンベース121は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モータ124は、シャフト123に回転力を与える。電動モータ124は、シャフト123を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。ここでは、回転方向は、反時計回りである。
【0057】
薬液供給部130は、基板Wに薬液を供給する。これにより、基板Wは、薬液で処理される。
【0058】
例えば、薬液は、フッ酸(フッ化水素水:HF)を含む。あるいは、薬液は、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、クエン酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、希アンモニア水、過酸化水素水、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。また、薬液は、上記液を混合した混合液であってもよい。例えば、これらを混合した薬液の例としては、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)等が挙げられる。
【0059】
薬液供給部130は、ノズル132と、配管134と、バルブ136とを含む。ノズル132は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けて薬液を吐出する。配管134は、ノズル132に結合される。ノズル132は、配管134の先端に設けられる。配管134には、供給源から薬液が供給される。バルブ136は、配管134に設けられる。バルブ136は、配管134内の流路を開閉する。
【0060】
薬液供給部130は、ノズル移動部138をさらに含む。ノズル移動部138は、吐出位置と退避位置との間でノズル132を移動する。ノズル132が吐出位置にある場合、ノズル132は、基板Wの上方に位置する。ノズル132が吐出位置にある場合、ノズル132は、基板Wの上面Waに向けて薬液を吐出する。ノズル132が退避位置にある場合、ノズル132は、基板Wよりも基板Wの径方向外側に位置する。
【0061】
ノズル移動部138は、アーム138aと、回動軸138bと、移動機構138cとを含む。アーム138aは、略水平方向に沿って延びる。アーム138aの先端部にはノズル132が取り付けられる。アーム138aは、回動軸138bに結合される。回動軸138bは、略鉛直方向に沿って延びる。移動機構138cは、回動軸138bを略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム138aを略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル132が略水平面に沿って移動する。例えば、移動機構138cは、回動軸138bを回動軸線のまわりに回動させるアーム揺動モータを含む。アーム揺動モータは、例えば、サーボモータである。また、移動機構138cは、回動軸138bを略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム138aを昇降させる。その結果、ノズル132は、略鉛直方向に沿って移動する。例えば、移動機構138cは、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるアーム昇降モータとを含む。アーム昇降モータは、例えば、サーボモータである。
【0062】
リンス液供給部140は、基板Wにリンス液を供給する。リンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0063】
リンス液供給部140は、ノズル142と、配管144と、バルブ146とを含む。ノズル142は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けてリンス液を吐出する。配管144は、ノズル142に結合される。ノズル142は、配管144の先端に設けられる。配管144には、供給源からリンス液が供給される。バルブ146は、配管144に設けられる。バルブ146は、配管144内の流路を開閉する。
【0064】
基板処理装置100は、カップ180をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ180は、基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇できる。また、カップ180は、基板Wの側方から鉛直下方に下降してもよい。
【0065】
制御装置20は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御部22は、基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部140および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部22は、電動モータ124、バルブ136、146、移動機構138cおよび/またはカップ180を制御する。
【0066】
本実施形態の基板処理装置100では、基板Wに対して、薬液処理およびリンス処理できる。
【0067】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図4は、基板処理装置100を備えた基板処理システム10のブロック図である。
【0068】
図4に示すように、制御装置20は、基板処理システム10の各種動作を制御する。制御装置20は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部140およびカップ180を制御する。詳細には、制御装置20は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部140およびカップ180に制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部140およびカップ180を制御する。
【0069】
具体的には、制御部22は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0070】
制御部22は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数のチャンバー110のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wをチャンバー110から受け取って、基板Wを搬出する。
【0071】
制御部22は、基板保持部120を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部22は、基板保持部120を制御して、基板保持部120の回転数を変更することができる。具体的には、制御部22は、基板保持部120の電動モータ124の回転数を変更することによって、基板Wの回転数を変更できる。
【0072】
制御部22は、薬液供給部130のバルブ136、および、リンス液供給部140のバルブ146を制御して、バルブ136、146の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部22は、バルブ136、146を制御して、バルブ136、146を開状態にすることによって、ノズル132、142に向かって配管134、144内を流れる薬液、リンス液を通過させることができる。また、制御部22は、薬液供給部130のバルブ136およびリンス液供給部140のバルブ146を制御して、バルブ136、146を閉状態にすることによって、ノズル132、142に向かって配管134、144内を流れる薬液、リンス液を停止させることができる。
【0073】
また、制御部22は、移動機構138cがアーム138aを水平方向および/または垂直方向に移動させるように制御する。これにより、制御部22は、アーム138aの先端に取り付けられたノズル132を基板Wの上面Waで移動させることができる。また、制御部22は、アーム138aの先端に取り付けられたノズル132を吐出位置と退避位置との間で移動させることができる。本実施形態の基板処理装置100は、半導体装置を形成するために好適に用いられる。
【0074】
本実施形態の基板処理装置100では、記憶部24は、学習済モデルLMおよび制御プログラムPGを記憶する。基板処理装置100は、制御プログラムPGに定められた手順に従って動作する。
【0075】
また、制御部22は、基板情報取得部22aと、薬液処理条件情報取得部22bとを含む。基板情報取得部22aは、処理対象基板Wpの基板情報を取得する。処理対象基板Wpの基板情報は、処理対象基板Wpの硬化層の厚さを示す硬化層厚さ情報または処理対象基板Wpに対して行われたイオン注入の条件を示すイオン注入条件情報を含む。なお、基板情報取得部22aは、記憶部24から、基板情報として、硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報以外の別の情報を取得してもよい。
【0076】
学習済モデルLMは、基板情報に基づいて薬液処理条件情報を生成する。典型的には、学習済モデルLMに対して基板情報を入力すると、基板情報に対応した薬液処理条件情報が出力される。一例では、学習済モデルLMに対して硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報を入力すると、硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報に対応した薬液処理条件情報が出力される。
【0077】
薬液処理条件情報取得部22bは、学習済モデルLMから薬液処理条件情報を取得する。薬液処理条件情報取得部22bは、学習済モデルLMから、処理対象基板Wpの基板情報に対応して薬液処理条件情報を取得する。
【0078】
制御部22は、薬液処理条件情報に示された薬液処理条件に従って基板保持部120および薬液供給部130を制御する。
【0079】
基板処理システム10は、表示部42、入力部44および通信部46をさらに備えることが好ましい。
【0080】
表示部42は画像を表示する。表示部42は、例えば、液晶ディスプレイ、または、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
【0081】
入力部44は、制御部22に対して各種情報を入力するための入力機器である。例えば、入力部44は、キーボードおよびポインティングデバイス、または、タッチパネルである。
【0082】
通信部46は、ネットワークに接続され、外部装置と通信する。本実施形態において、ネットワークは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、公衆電話網、及び、近距離無線ネットワークを含む。通信部46は、通信機であり、例えば、ネットワークインターフェースコントローラーである。
【0083】
さらに、基板処理システム10は、センサー50をさらに備えることが好ましい。典型的には、複数のセンサー50が、基板処理システム10の各部分の状態を検知する。例えば、センサー50の少なくとも一部は、基板処理装置100の各部分の状態を検知する。
【0084】
記憶部24は、センサー50からの出力結果および制御プログラムによる制御パラメータを時系列データTDとして記憶する。典型的には、時系列データは、基板Wごとに分かれて記憶される。
【0085】
センサー50は、1枚の基板Wの処理ごとに、基板Wの処理開始から処理終了までの期間において、基板処理装置100が使用する物体の物理量を検出して、物理量を示す検出信号を制御部22に出力する。そして、制御部22は、基板Wの処理開始から処理終了までの期間においてセンサー50から出力される検出信号によって示される物理量を、1枚の基板Wの処理ごとに、時間と関連付けて時系列データTDとして、記憶部24に記憶させる。
【0086】
制御部22は、センサー50から時系列データTDを取得して、時系列データTDを記憶部24に記憶させる。この場合、制御部22は、時系列データTDを、ロット識別情報、基板識別情報、処理順番情報、及び、ロット間隔情報と関連付けて記憶部24に記憶させる。ロット識別情報は、ロットを識別するための情報(例えば、ロット番号)である。ロットは基板Wの処理単位を示す。1つのロットは、所定数の基板Wによって構成される。基板識別情報は、基板Wを識別するための情報である。処理順番情報は、1つのロットを構成する所定数の基板Wに対する処理の順番を示す情報である。ロット間隔情報は、ロットに対する処理の終了から次のロットに対する処理の開始までの時間間隔を示す情報である。
【0087】
次に、
図1~
図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100による基板処理方法を説明する。
図5(a)は、本実施形態の基板処理装置100における基板処理方法のフロー図であり、
図5(b)は、本実施形態の基板処理方法における薬液処理のフロー図である。
【0088】
図5(a)に示すように、ステップS10において、処理対象基板Wpを基板処理装置100に搬入する。搬入された処理対象基板Wpは、基板保持部120に装着される。典型的には、処理対象基板Wpは、センターロボットCRによって基板処理装置100に搬入される。
【0089】
ステップS20において、処理対象基板Wpを薬液で処理する。薬液供給部130は、処理対象基板Wpに薬液を供給する。薬液供給部130のノズル132から薬液を処理対象基板Wpの上面Waに吐出する。薬液は、処理対象基板Wpの上面Waを覆う。これにより、処理対象基板Wpは薬液で処理される。なお、処理対象基板Wpを薬液で処理する際に、基板Wは基板保持部120によって回転される。処理対象基板Wpの回転は、処理対象基板Wpの搬出する直前まで継続してもよい。
【0090】
ステップS30において、処理対象基板Wpをリンス液でリンスする。リンス液供給部140は、処理対象基板Wpにリンス液を供給する。リンス液供給部140のノズル142からリンス液を処理対象基板Wpの上面Waに吐出する。リンス液は、処理対象基板Wpの上面Waを覆う。これにより、処理対象基板Wpはリンス液で処理される。
【0091】
ステップS40において、基板保持部120から処理対象基板Wpを脱離して処理対象基板Wpを搬出する。典型的には、処理対象基板Wpは、センターロボットCRによって基板処理装置100から搬出される。以上のようにして、処理対象基板Wpを薬液処理できる。
【0092】
本実施形態の基板処理装置100において、
図5(b)に示すように、処理対象基板Wpを薬液処理する。
【0093】
ステップS22において、処理対象基板Wpの基板情報を取得する。基板情報取得部22aは、処理対象基板Wpの基板情報を取得する。基板情報は、処理対象基板Wpの硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報を含む。
【0094】
例えば、制御部22は、記憶部24から処理対象基板Wpの硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報を取得する。なお、処理対象基板Wpにおける硬化層の厚さは、基板処理システム10または基板処理装置100内において測定されてもよい。また、処理対象基板Wpにおける硬化層の厚さは、基板処理システム10または基板処理装置100の外部で測定されてもよい。
【0095】
あるいは、処理対象基板Wpに対するイオン注入は、基板処理システム10または基板処理装置100内において実行されてもよい。また、処理対象基板Wpに対するイオン注入は、基板処理システム10または基板処理装置100の外部で実行されてもよい。なお、制御部22は、硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報以外の基板情報を取得してもよい。
【0096】
ステップS24において、処理対象基板Wpの基板情報を学習済モデルLMに入力する。詳細は後述するが、学習済モデルLMは、学習対象基板WLの基板情報と、学習対象基板WLに対して行われた薬液処理の処理条件を示す薬液処理条件情報と、学習対象基板WLに対して行われた薬液処理の結果を示す処理結果情報とを含む学習用データから構築される。学習済モデルLMは、処理対象基板Wpの基板情報に対応して薬液処理条件情報Rpを出力する。
【0097】
ステップS26において、学習済モデルLMから薬液処理条件情報を取得する。薬液処理条件情報取得部22bは、学習済モデルLMから、基板情報に対応する薬液処理条件情報を取得する。
【0098】
ステップS28において、薬液処理条件情報に従って、基板保持部120および薬液供給部130が処理対象基板Wpに対して薬液処理を実行する。
図3に示した基板処理装置100では、薬液供給部130は、薬液処理条件情報に従って処理対象基板Wpに薬液を供給する。以上のようにして、処理対象基板Wpを薬液処理できる。
【0099】
本実施形態によれば、機械学習によって構築された学習済モデルLMから、処理対象基板Wpの硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報を含む基板情報に対応する薬液処理条件情報を取得し、薬液処理条件情報に示された薬液処理条件にしたがって薬液処理を実行する。本実施形態によれば、処理対象基板Wpにおける硬化層の厚さに応じて薬液処理を適切に実行できる。
【0100】
次に、
図6を参照して本実施形態の基板処理方法の対象となる基板Wに形成された硬化層について説明する。
図6(a)~
図6(c)は、基板Wのレジスト層Rにおける硬化層の形成を説明するための模式図である。
【0101】
図6(a)に示すように、基板Wの上面にレジスト層Rが形成されている。レジスト層Rは、基板Wの主面に対して垂直方向に延びる。レジスト層Rは、所定の形状にパターニングされている。
【0102】
図6(b)に示すように、基板Wに対してイオンを注入する。ここでは、イオンは、基板Wの主面の法線方向に平行な方向に注入される。イオン注入により、基板Wの表面の特性が変質する。このとき、レジスト層Rの表面も変質して硬化層Rcが形成される。なお、レジスト層Rの内部は変質しないままであり、内部層Riとして残る。硬化層Rcは、内部層Riよりも硬い。
【0103】
図6(c)に示すように、硬化層Rcは所定の厚さdを有する。詳細には、硬化層Rcの厚さdは、硬化層Rcの高さdtおよび硬化層Rcの幅dwを含む。レジスト層Rに対して等方的にイオンが注入される場合、高さdtは幅dwとほぼ等しい。
【0104】
一方で、レジスト層Rに対して非等方的にイオンが注入されると、高さdtは幅dwとは異なる。例えば、
図6(b)に示したように、イオンが、基板Wの主面の法線方向に平行な方向から注入されると、高さdtは幅dwよりも大きくなる。
【0105】
次に、
図7を参照して本実施形態の基板処理方法の対象となる基板Wに形成された硬化層について説明する。
図7(a)~
図7(d)は、基板Wのレジスト層Rにおける硬化層の形成を説明するための模式図である。
【0106】
図7(a)に示すように、基板Wの上面にレジスト層Rが形成されている。レジスト層Rは、基板Wの主面に対して垂直方向に延びる。
【0107】
図7(b)に示すように、基板Wに対してイオンを注入する。ここでは、イオンは、基板Wの主面の法線方向に対して一方向(紙面に対して左方向)に傾いた方向から注入される。イオン注入により、基板Wの表面の特性が変質する。このとき、レジスト層Rの表面も変質して硬化層Rcが形成される。この場合、レジスト層Rに対して硬化層Rcの左側は比較的厚い一方で、硬化層Rcの右側は比較的薄い。
【0108】
図7(c)に示すように、基板Wに対してイオンを注入する。ここでは、イオンは、基板Wの主面の法線方向に対して他方向(紙面に対して右方向)に傾いた方向から注入される。イオン注入により、レジスト層Rの表面の変質した硬化層Rcが拡大する。
【0109】
図7(d)に示すように、硬化層Rcは所定の厚さdを有する。詳細には、硬化層Rcの厚さdは、硬化層Rcの高さdtおよび硬化層Rcの幅dwを含む。以上のようして、硬化層Rcを形成できる。
【0110】
なお、
図7(b)および
図7(c)では、イオン注入を、レジスト層Rの左斜め方向および右斜め方向から行うため、硬化層Rcの左側の幅および右側の幅をほぼ等しくできる。また、レジスト層Rに対してイオン注入を斜め方向から行うため、硬化層Rcの高さdtだけでなく硬化層Rcの幅dwも大きくできる。
【0111】
上述したように、硬化層Rcの厚さd、高さdtおよび/または幅dwは、測定機器で測定されてもよい。あるいは、硬化層Rcの厚さd、高さdtおよび/または幅dwは、レジスト層Rの特性(組成、厚さ、幅等)および/またはイオン注入の条件(イオン種、加速エネルギー、注入量および注入方向等)によってほぼ規定される。このため、イオン注入条件から硬化層Rcの厚さd、高さdtおよび/または幅dwを特定できる。
【0112】
図1を参照して上述したように、学習済モデルLMは、学習用データLDから生成され、学習用データLDは、基板処理装置100Lの時系列データTDLから生成される。
【0113】
次に、
図8を参照して、学習用データLDの生成を説明する。
図8は、基板処理装置100Lを備えた基板処理システム10Lおよび学習用データ生成装置300のブロック図である。ここでは、学習用データ生成装置300は、基板処理装置100Lと通信可能に接続される。
図8の基板処理装置100Lを備えた基板処理システム10Lは、制御部22Lが基板情報取得部22aおよび薬液処理条件情報取得部22bを有しておらず、記憶部24Lが学習済モデルLMを記憶せずにテストレシピTRを記憶する点を除いて、
図4に示した基板処理システム10のブロック図と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0114】
基板処理システム10Lは、複数の基板処理装置100Lと、インデクサーロボットIRLと、センターロボットCRLと、制御装置20Lと、表示部42Lと、入力部44Lと、通信部46Lと、センサー50Lを備える。基板処理装置100L、インデクサーロボットIRL、センターロボットCRL、制御装置20L、表示部42L、入力部44Lおよび通信部46Lは、
図4に示した基板処理システム10の基板処理装置100、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、制御装置20、表示部42、入力部44および通信部46と同様の構成を有する。
【0115】
また、基板処理装置100Lは、基板保持部120Lと、薬液供給部130Lと、リンス液供給部140Lと、カップ180Lとを備える。チャンバー110L、基板保持部120L、薬液供給部130L、リンス液供給部140Lおよびカップ180Lは、
図3および
図4に示した基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部140およびカップ180と同様の構成を有することが好ましい。
【0116】
制御装置20Lは、制御部22Lと、記憶部24Lとを有する。記憶部24Lは、制御プログラムPGLを記憶する。基板処理装置100Lは、制御プログラムPGLに定められた手順に従って動作する。
【0117】
また、記憶部24Lは、複数のテストレシピTRを記憶する。複数のテストレシピTRは、薬液処理条件の異なるレシピを含む。このため、制御部22Lが、テストレシピTRに従って学習対象基板WLを処理する場合、異なる学習対象基板WLに対して異なる薬液処理が行われる。
【0118】
記憶部24Lは、学習対象基板WLの時系列データTDLを記憶する。時系列データTDLは、基板処理装置100Lにおける物理量の時間変化を示すデータである。時系列データTDLは、センサー50Lによって検知された複数の物理量を示す。時系列データTDLは、学習対象基板WLを基板処理装置100Lで処理する前の製造プロセスを示すデータを含んでもよい。なお、時系列データTDLは、硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報を含む基板情報、学習対象基板WLに対して行われた薬液処理条件を示す薬液処理条件情報および学習対象基板WLに対して行われた薬液処理の結果を示す処理結果情報を含む。
【0119】
学習用データ生成装置300は、基板処理装置100Lと通信可能に接続される。学習用データ生成装置300は、基板処理装置100Lの時系列データTDLの少なくとも一部を通信する。
【0120】
学習用データ生成装置300は、制御装置320と、表示部342と、入力部344と、通信部346とを備える。学習用データ生成装置300は、通信部346を介して複数の基板処理装置100Lの制御装置20Lと通信可能である。表示部342、入力部344および通信部346は、表示部42、入力部44および通信部46と同様の構成を有している。
【0121】
制御装置320は、制御部322と、記憶部324とを含む。記憶部324は、制御プログラムPG3を記憶する。学習用データ生成装置300は、制御プログラムPG3に定められた手順に従って動作する。
【0122】
制御部322は、基板処理装置100Lから、時系列データTDLの少なくとも一部を受信し、受信した時系列データTDLを記憶部324に記憶させる。記憶部324は、学習対象基板WLの時系列データTDLの少なくとも一部を記憶する。時系列データTDLは、通信部46Lおよび通信部346を介して基板処理装置100Lから学習用データ生成装置300に送信される。制御部322は、送信された時系列データTDLの少なくとも一部を記憶部324に記憶させる。記憶部324に記憶された時系列データTDLは、時系列データTDLの基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報を含む。
【0123】
制御部322は、記憶部324の時系列データTDLから、学習対象基板WLの基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報を取得する。さらに、制御部322は、学習対象基板WLの基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報をまとめて学習用データLDを生成し、記憶部324は、学習用データLDを記憶する。
【0124】
次に、
図8および
図9を参照して、本実施形態の学習用データの生成方法を説明する。
図9は、本実施形態の学習用データの生成方法のフロー図である。学習用データの生成は、学習用データ生成装置300において行われる。
【0125】
図9に示すように、ステップS110において、学習対象基板WLの時系列データTDLを取得する。典型的には、学習用データ生成装置300は、基板処理装置100Lから学習対象基板WLの時系列データTDLの少なくとも一部を受信する。記憶部324は、受信した時系列データTDLを記憶する。
【0126】
ステップS112において、記憶部324に記憶された学習対象基板WLの時系列データTDLから基板情報を抽出する。基板情報は、硬化層厚さ情報またはイオン注入条件情報を含む。制御部322は、記憶部324の時系列データTDLから学習対象基板WLの基板情報を取得する。
【0127】
ステップS114において、記憶部324に記憶された学習対象基板WLの時系列データTDLから学習対象基板WLの薬液処理条件情報を抽出する。制御部322は、記憶部324の時系列データTDLから学習対象基板WLの薬液処理条件情報を取得する。
【0128】
ステップS116において、記憶部324に記憶された学習対象基板WLの時系列データTDLから学習対象基板WLの処理結果情報を抽出する。制御部322は、記憶部324の時系列データTDLから学習対象基板WLの処理結果情報を取得する。
【0129】
ステップS118において、学習対象基板WLの基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報を関連付けて学習用データLDとして生成し、記憶部324は、複数の学習対象基板WLごとに学習用データLDを記憶する。
【0130】
本実施形態において、生成された学習用データは、学習対象基板WLごとに互い関連付けられた基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報を含む。このような学習用データは、学習処理に好適に用いられる。
【0131】
なお、
図8では、学習用データ生成装置300は、1つの基板処理装置100Lと通信可能に接続されたが、本実施形態はこれに限定されない。学習用データ生成装置300は、複数の基板処理装置100Lと通信可能に接続されてもよい。
【0132】
また、
図8および
図9を参照した説明では、基板処理装置100Lで生成された時系列データTDLが通信部46Lおよび通信部346を介して学習用データ生成装置300に送信されたが、本実施形態はこれに限定されない。学習用データ生成装置300の制御装置320は、基板処理装置100Lを備える基板処理システム10の制御装置20に組み込まれており、時系列データTDLがネットワークを転送されることなく、基板処理システム10内にて時系列データTDLから学習用データLDが生成されてもよい。
【0133】
次に、
図10を参照して、本実施形態の学習済モデルLMの生成を説明する。
図10は、本実施形態の学習用データ生成装置300および学習装置400の模式図である。学習用データ生成装置300および学習装置400は互いに通信可能である。
【0134】
学習装置400は、学習用データ生成装置300と通信可能に接続される。学習装置400は、学習用データ生成装置300から学習用データLDを受信する。学習装置400は、学習用データLDに基づいて機械学習を行い、学習済モデルLMを生成する。
【0135】
学習装置400は、制御装置420と、表示部442と、入力部444と、通信部446とを備える。表示部442、入力部444および通信部446は、
図4に示した基板処理システム10の表示部42、入力部44および通信部46と同様の構成を有している。
【0136】
制御装置420は、制御部422および記憶部424を含む。記憶部424は、制御プログラムPG4を記憶する。学習装置400は、制御プログラムPG4に定められた手順に従って動作する。
【0137】
記憶部424は、学習用データLDを記憶する。学習用データLDは、通信部346および通信部446を介して学習用データ生成装置300から学習装置400に送信される。制御部422は、送信された学習用データLDを記憶部424に記憶させる。記憶部424に記憶された学習用データLDでは、時系列データTDLの基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報が互い関連づけられている。
【0138】
記憶部424は、学習プログラムLPGを記憶する。学習プログラムLPGは、複数の学習用データLDの中から一定の規則を見出し、見出した規則を表現する学習済モデルLMを生成するための機械学習アルゴリズムを実行するためのプログラムである。制御部422は、記憶部424の学習プログラムLPGを実行することにより、学習用データLDを機械学習することで推論プログラムのパラメータを調整して学習済モデルLMを生成する。
【0139】
機械学習アルゴリズムは、教師あり学習であれば、特に限定されず、例えば、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、または、ニューラルネットワークである。従って、学習済モデルLMは、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、または、ニューラルネットワークを含む。学習済モデルLMを生成する機械学習において、誤差逆伝搬法を利用してもよい。
【0140】
例えば、ニューラルネットワークは、入力層、単数又は複数の中間層、及び、出力層を含む。具体的には、ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、又は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)であり、ディープラーニングを行う。例えば、ディープニューラルネットワークは、入力層、複数の中間層、及び、出力層を含む。
【0141】
制御部422は、取得部422aと、学習部422bとを含む。取得部422aは、記憶部424から学習用データLDを取得する。学習部422bは、記憶部424の学習プログラムLPGを実行することにより、学習用データLDを機械学習し、学習用データLDから学習済モデルLMを生成する。
【0142】
学習部422bは、学習プログラムLPGに基づいて複数の学習用データLDを機械学習する。その結果、複数の学習用データLDの中から一定の規則が見出されて、学習済モデルLMが生成される。つまり、学習済モデルLMは、学習用データLDを機械学習することで構築される。記憶部424は、学習済モデルLMを記憶する。
【0143】
その後、典型的には、学習済モデルLMは、基板処理システム10に転送され、記憶部24が学習済モデルLMを記憶する。この場合、
図4を参照した上述したように、基板処理システム10における制御装置20の記憶部24が学習済モデルLMを記憶しており、薬液処理条件情報取得部22bは、記憶部24の学習済モデルLMから薬液処理条件を取得する。
【0144】
ただし、本施形態はこれに限定されない。記憶部24は、学習済モデルLMを記憶しておらず、薬液処理条件情報取得部22bは、基板処理システム10の外部から薬液処理条件を取得してもよい。例えば、薬液処理条件情報取得部22bは、通信部46および通信部446を介して学習装置400の学習済モデルLMに処理対象基板Wpの基板情報を送信し、通信部446および通信部46を介して学習装置400から学習済モデルLMにおいて出力された薬液処理条件情報を受信してもよい。
【0145】
次に、
図1~
図11を参照して、本実施形態の学習装置400における学習方法を説明する。
図11は、本実施形態の学習方法のフロー図である。学習用データLDの学習および学習済モデルLMの生成は、学習装置400において行われる。
【0146】
図11に示すように、ステップS122において、学習装置400の取得部422aは、記憶部424から複数の学習用データLDを取得する。学習用データLDでは、学習対象基板WLの基板情報、薬液処理条件情報および処理結果情報が互い関連づけられている。
【0147】
次に、ステップS124において、学習部422bは、学習プログラムLPGに基づいて複数の学習用データLDを機械学習する。
【0148】
次に、ステップS126において、学習部422bは、学習用データLDの機械学習が終了するか否かを判定する。機械学習を終了するか否かは、予め定められた条件にしたがって決定される。例えば、機械学習は、所定数以上の学習用データLDを機械学習すると終了する。
【0149】
機械学習が終了しない場合(ステップS126においてNo)、処理は、ステップS122に戻る。その場合、機械学習が繰り返される。一方、機械学習が終了する場合(ステップS126においてYes)、処理は、ステップS128に進む。
【0150】
ステップS128において、学習部422bは、最新の複数のパラメータ(係数)つまり、複数の学習済パラメータ(係数)を適用したモデル(1以上の関数)を、学習済モデルLMとして出力する。記憶部424は学習済モデルLMを記憶する。
【0151】
以上のようにして、学習方法は終了し、学習済モデルLMが生成される。本実施形態によれば、学習用データLDを機械学習することで、学習済モデルLMを生成できる。
【0152】
なお、
図10では、学習装置400は、1つの学習用データ生成装置300と通信可能に接続されたが、本実施形態はこれに限定されない。学習装置400は、複数の学習用データ生成装置300と通信可能に接続されてもよい。
【0153】
また、
図10および
図11を参照した説明では、学習用データ生成装置300で生成された学習用データLDが通信部346および通信部446を介して学習装置400に送信されたが、本実施形態はこれに限定されない。学習装置400の制御装置420は、学習用データ生成装置300の制御装置320に組み込まれており、学習用データLDがネットワークを転送されることなく、学習用データ生成装置300内にて学習用データLDから学習済モデルLMが生成されてもよい。
【0154】
さらに、
図8~
図11を参照した説明では、基板処理装置100Lで生成された時系列データTDLが通信部46Lおよび通信部346を介して学習用データ生成装置300に送信され、学習用データ生成装置300で生成された学習用データLDが通信部346および通信部446を介して学習装置400に送信されたが、本実施形態はこれに限定されない。学習用データ生成装置300の制御装置320および学習装置400の制御装置420は、基板処理システム10Lの制御装置20に組み込まれており、時系列データTDLおよび学習用データLDがネットワークを転送されることなく、基板処理システム10L内にて時系列データTDLから学習用データLDを介して学習済モデルLMが生成されてもよい。
【0155】
次に、
図12を参照して学習用データLDの一例を説明する。
図12は、学習用データLDの一例を示す図である。
【0156】
図12は、学習対象基板WLの基板情報、学習対象基板WLの薬液処理条件、および、学習対象基板WLの処理結果を示す。ここでは、基板情報は、学習対象基板WLの硬化層厚さ情報である。硬化層の厚さは、学習対象基板WLのレジスト層における硬化層を測定することによって取得できる。薬液処理条件情報は、学習対象基板WLに対して行われた薬液処理の条件を示す。薬液処理条件は、例えば、薬液の濃度、薬液の温度、薬液の供給量および薬液を供給する際の学習対象基板WLの回転速度を含む。処理結果は、薬液処理後の学習対象基板WLの結果を示す。
図12において、学習用データLDは、学習用データLD1から学習用データLD1000を含む。
【0157】
学習用データLD1は、ある学習対象基板WL1の基板情報、薬液処理条件、および、処理結果を示す。ここでは、学習用データLD1において、Ld1は、学習対象基板WL1の硬化層の厚さを示す。また、Lp1は、学習対象基板WL1に対して行われた薬液処理の条件を示す。
【0158】
処理結果情報は、学習対象基板WL1に対して薬液処理の処理結果を示す。処理結果は、学習対象基板WL1において特性の異常が発見されたか否かによって判定されてもよい。学習用データLD1では、薬液処理された学習対象基板の結果は良好であったので、〇と示す。一方、薬液処理された学習対象基板の結果が良好ではない場合、×と示す。
【0159】
学習用データLD2~LD1000は、学習対象基板WL2~WL1000に対応して生成される。学習対象基板WLに対して行われる薬液処理条件は、同じであってもよく、異なってもよい。処理結果は、学習対象基板WLの硬化層の厚さに応じて大きく変動する。
【0160】
図12に示した学習用データLDでは、データの数は1000個であったが、本実施形態はこれに限定されない。データの数は、1000個より小さくてもよく、1000個よりも大きくてもよい。ただし、データの数は、できるだけ多いことが好ましい。
【0161】
なお、学習用データLDにおいて、基板情報は、複数の項目を含むことが好ましい。例えば、硬化層厚さ情報は、硬化層の高さを示す硬化層高さ情報および硬化層の幅を示す硬化層幅情報を含んでもよい。
【0162】
図13は、学習用データLDの一例を示す図である。
図13に示すように、学習用データLDは、学習対象基板WLの基板情報、学習対象基板WLの薬液処理条件情報、および、学習対象基板WLの処理結果情報を含む。
図13の学習用データLDは、学習対象基板WLの基板情報が硬化層高さ情報および硬化層幅情報を含む点を除いて、
図12を参照して上述した学習用データLDと同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0163】
ここでは、基板情報は、学習対象基板WLの硬化層高さ情報および硬化層幅情報である。硬化層の高さおよび幅は、学習対象基板WLのレジスト層における硬化層を測定することによって取得できる。
図13において、学習用データLDは、学習用データLD1~LD1000を含む。
【0164】
学習用データLD1は、ある学習対象基板WL1の基板情報、薬液処理条件、および、処理結果を示す。ここでは、学習用データLD1において、Ldt1は、学習対象基板WL1の硬化層の高さを示す。Ldw1は、学習対象基板WL1の硬化層の幅を示す。
【0165】
学習用データLD2~LD1000は、学習対象基板WL2~WL1000に対応して生成される。処理結果は、学習対象基板WLの硬化層の高さおよび幅に応じて大きく変動する。学習用データLDは、学習対象基板WLの薬液処理の結果の変動に大きく寄与する項目を有することが好ましい。
【0166】
なお、
図12および
図13を参照した上述の説明では、処理結果が良好であるときに〇と示し、処理結果が良好でないときに×と示しており、学習用データLD1~LD1000の処理結果は2値化されていたが、本実施形態はこれに限定されない。処理結果は、3以上の複数の値に分類されてもよい。あるいは、処理結果は、最低値と最大値の間の任意の値に分類されてもよい。例えば、処理結果は、学習対象基板WLの特性に加えて、薬液の使用量(供給量)または薬液処理に要する時間等を考慮して数値化されてもよい。
【0167】
なお、学習用データLDにおいて、薬液処理条件は、複数の項目を含むことが好ましい。例えば、薬液処理条件は、薬液の濃度、温度、供給量、学習対象基板に対する薬液の吐出パターン、薬液処理時の基板保持部120の回転速度を含んでもよい。
【0168】
次に、
図14を参照して、本実施形態の学習方法において用いられる学習用データLDを説明する。
図14は、学習用データLDの一例を示す図である。
【0169】
図14に示すように、学習用データLDは、学習用データLD1~LD1000を含む。学習用データLDは、学習対象基板WLの基板情報、学習対象基板WLの薬液処理条件、および、学習対象基板WLの処理結果情報を示す。ここでは、薬液処理条件は、薬液の濃度、薬液の温度、薬液の供給量、学習対象基板に対する薬液の吐出パターン、および薬液を供給する際の学習対象基板の回転速度を含む。
【0170】
薬液の濃度は、学習対象基板WLに用いられた薬液の濃度を示す。薬液の温度は、学習対象基板WLに用いられた薬液の温度を示す。薬液の供給量は、学習対象基板WLに用いられた薬液の供給量を示す。学習対象基板に対する薬液の吐出パターンは、学習対象基板WLに対して薬液の吐出された経路(ノズル132の移動経路)を示す。学習対象基板の回転速度は、薬液を供給する際の学習対象基板WLの回転速度を示す。また、学習用データLDにおいて、薬液処理された学習対象基板の結果が良好であるときは「〇」と示し、薬液処理された学習対象基板の結果が良好でないときは「×」と示す。
【0171】
学習用データLD1において、Lc1は、学習対象基板WL1に対して用いられた薬液の濃度を示し、Lt1は、学習対象基板WL1に対して用いられた薬液の温度を示す。また、Ls1は、学習対象基板WL1に対して用いられた薬液の供給量を示し、Le1は、学習対象基板WL1に対する薬液の吐出パターンを示し、Lv1は、学習対象基板WL1に対して薬液を供給する際の学習対象基板WL1の回転速度を示す。学習用データLD1では、薬液処理された学習対象基板WL1の処理結果が良好であったため、処理結果は「〇」である。
【0172】
学習用データLD2~LD1000についても同様である。なお、学習対象基板WLに対して行われる薬液処理条件は、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、薬液処理条件の複数の項目の少なくとも一部が、同じであってもよく、異なってもよい。あるいは、薬液処理条件の複数の項目のすべてが、同じであってもよく、異なってもよい。処理結果は、学習対象基板WLの基板状態および薬液処理条件に応じて変動する。
【0173】
次に、
図1~
図15を参照して、本実施形態の基板処理装置100における薬液処理を説明する。
図15(a)は、処理対象基板Wpの模式図を示し、
図15(b)は、学習済モデルLMにおいて生成された薬液処理条件情報Rpを示す。
【0174】
図15(a)に示すように、処理対象基板Wpは、硬化層Rcの形成されたレジスト層Rを有する。ここで、硬化層Rcの高さはdtであり、硬化層Rcの幅はdwである。
【0175】
図15(b)は、薬液処理条件情報Rpを示す図である。薬液処理条件情報Rpは、薬液の濃度、薬液の温度、薬液の供給量、学習対象基板に対する薬液の吐出パターン、および、薬液を供給する際の処理対象基板の回転速度を含む。
【0176】
薬液処理条件情報Rpにおいて、Rc1は、処理対象基板Wpに対して用いられる薬液の濃度を示し、Rt1は、処理対象基板Wpに対して用いられる薬液の温度を示す。また、Rs1は、処理対象基板Wpに対して用いられる薬液の供給量を示し、Pe1は、処理対象基板Wpに対して用いられる薬液の吐出パターンを示し、Rv1は、処理対象基板Wpに対して薬液を供給する際の処理対象基板Wpの回転速度を示す。
【0177】
この場合、制御部22は、薬液処理条件情報Rpに示された薬液処理条件に従って処理対象基板Wpを薬液で処理するように基板保持部120および薬液供給部130を制御する。
【0178】
なお、
図14および
図15を参照した説明では、薬液処理条件は、薬液の濃度、薬液の温度、薬液の供給量、薬液の吐出パターン、および、処理対象基板の回転速度の5つの項目を有したが、本実施形態はこれに限定されない。薬液処理条件は、これらの5項目の1以上のいずれの項目を有してもよい。または、薬液処理条件は、これらの5項目の1以上のいずれかの項目と別の項目との組合せであってもよい。あるいは、薬液処理条件は、これらの5項目とは異なる1以上の項目を有してもよい。
【0179】
なお、
図12~
図15を参照した上述の説明では、学習対象基板WLの基板情報は、硬化層の厚さの測定によって得られる情報であったが、本実施形態はこれに限定されない。学習対象基板WLの基板情報は、硬化層を形成するイオン注入の条件に関する情報を含んでもよい。
【0180】
次に、
図16を参照して、本実施形態の学習方法において用いられる学習用データLDを説明する。
図16は、学習用データLDの一例を示す図である。なお、
図16の学習用データLDは、基板情報が学習対象基板WLの硬化層を形成するためのイオン注入条件を示す点を除いて、
図12を参照して上述した学習用データLDと同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0181】
図16に示すように、学習用データLDは、学習用データLD1~LD1000を含む。学習用データLDは、学習対象基板WLの基板情報、学習対象基板WLの薬液処理条件、および、学習対象基板WLの処理結果情報を示す。ここでは、学習対象基板WLの基板情報は、学習対象基板WLの硬化層を形成するためのイオン注入条件を示すイオン注入条件情報を含む。
【0182】
また、イオン注入条件情報は、イオン種、加速エネルギー、注入量、および、注入方向を含む。イオン種は、イオン注入に用いられたイオン種を示し、加速エネルギーは、イオン注入時のイオン種の加速エネルギーを示す。また、注入量は、イオン注入されたイオン種の量を示し、注入方向は、学習対象基板WLに対してイオンを注入した方向を示す。
【0183】
学習用データLD1において、Lk1は、学習対象基板WL1の硬化層を形成する際のイオン注入に用いられたイオン種を示し、La1は、学習対象基板WL1の硬化層を形成する際のイオン注入時の加速エネルギーを示す。また、Lu1は、学習対象基板WL1の硬化層を形成する際のイオン注入量を示し、Ld1は、学習対象基板WL1の硬化層を形成する際に学習対象基板WLに対してイオンを注入した方向を示す。
【0184】
学習用データLD2~LD1000についても同様である。このように、基板情報は、硬化層の厚さ自体でなく、硬化層を形成するためのイオン注入の条件を示してもよい。なお、イオン注入条件情報は、イオン種、加速エネルギー、注入量、および、注入方向のいずれかの項目であってもよい。また、イオン注入条件情報は、イオン種、加速エネルギー、注入量、および、注入方向のいずれかの項目と別の項目との組合せを有してもよい。あるいは、イオン注入条件情報は、イオン種、加速エネルギー、注入量、および、注入方向以外の1以上の項目を有してもよい。さらには、基板情報は、硬化層厚さ情報とイオン注入条件情報との組合せであってもよい。
【0185】
なお、
図3に示した基板処理装置100では、薬液供給部130は、一定状態の薬液を基板Wに供給したが、本実施形態はこれに限定されない。薬液の濃度・温度は適宜変更されてもよい。
【0186】
次に、
図17を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図17は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、
図17の基板処理装置100は、薬液供給部130から供給される薬液の濃度・温度が調整可能である点を除いて、
図3を参照して上述した基板処理装置100と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0187】
図17に示した本実施形態の基板処理装置100において、薬液供給部130は、基板Wに薬液としてSPMを供給する。SPMは、硫酸と過酸化水素水との混合によって生成される。例えば、薬液供給部130は、SPMの濃度(混合比率)を変更して基板WにSPMを供給できる。これにより、基板Wは、SPMで処理される。
【0188】
薬液供給部130は、ノズル132と、配管134aと、バルブ136aと、調整バルブ137aと、配管134bと、バルブ136bと、調整バルブ137bとを含む。ノズル132は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けて薬液を吐出する。
【0189】
配管134aは、ノズル132に結合される。ノズル132は、配管134aの先端に設けられる。配管134aには、供給源から過酸化水素水が供給される。バルブ136aおよび調整バルブ137aは、配管134aに設けられる。バルブ136aは、配管134a内の流路を開閉する。調整バルブ137aは、配管134a内の流路を通過する過酸化水素水の流量を調整する。
【0190】
配管134bは、ノズル132に結合される。ノズル132は、配管134bの先端に設けられる。配管134bには、供給源から硫酸が供給される。硫酸の温度は、過酸化水素水の温度と同じであってもよく、異なってもよい。バルブ136bおよび調整バルブ137bは、配管134bに設けられる。バルブ136bは、配管134b内の流路を開閉する。調整バルブ137bは、配管134b内の流路を通過する硫酸の流量を調整する。
【0191】
本実施形態によれば、調整バルブ137a、137bを調整することにより、配管134a、134b内を流れる過酸化水素水、硫酸の流量を変更できる。このため、過酸化水素水と硫酸との混合によって生成されるSPMの濃度・温度を調整できる。
【0192】
なお、
図6および
図7を参照して上述したように、基板Wのレジスト層Rを除去する場合、内部層Riは薬液で比較的除去しやすい一方で、硬化層Rcは薬液で比較的除去しにくい。このため、硬化層Rcを除去する際には、SPMの除去能力が高くなるようにSPMの濃度を制御し、内部層Riを除去する際には、SPMの除去能力が低くなるようにSPMの濃度を制御することが好ましい。
【0193】
例えば、硬化層Rcを除去する際には、SPMのうちの過酸化水素水の比率が高くなるようにSPMの濃度を制御し、内部層Riを除去する際には、SPMのうちの過酸化水素水の比率が低くなるようにSPMの濃度を制御する。これにより、レジスト層Rの損傷を抑制しながらレジスト層を除去できる。
【0194】
次に、
図18を参照して、本実施形態の学習方法において用いられる学習用データLDを説明する。
図18は、学習用データLDの一例を示す図である。
図18の学習用データLDは、
図17に示した基板処理装置100の学習済モデルLMを生成するために好適に用いられる。なお、
図18の学習用データLDは、学習用データの少なくとも1つの項目の値が物性値の時間変化を示すプロファイルを示す点を除いて、
図14を参照して上述した学習用データLDと同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0195】
図18に示すように、学習用データLDは、学習用データLD1~LD1000を含む。薬液処理条件は、薬液の濃度プロファイル、薬液の温度プロファイル、薬液の供給量、学習対象基板に対す薬液の吐出パターン、および薬液を供給する際の学習対象基板の回転速度を含む。濃度プロファイルは、薬液処理中のSPMの濃度の時間変化を示す。温度プロファイル、学習対象基板WLに対して用いられたSPMの温度の時間変化を示す。また、供給量は、学習対象基板WLに対して用いられたSPMの供給量を示し、吐出パターンは、学習対象基板WLに対するSPMの吐出パターンおよび吐出タイミングを示す。また、回転速度は、学習対象基板WLに対してSPMを供給する際の学習対象基板WLの回転速度を示す。
【0196】
図17に示した基板処理装置100では、調整バルブ137a、137bにより、SPMのうちの過酸化水素水/硫酸の比率を変更できる。このため、
図18において、薬液の濃度は、学習対象基板WLに対して用いられた薬液の濃度の時間変化を示し、薬液の温度は、学習対象基板WLに対して用いられた薬液の温度の時間変化を示す。
【0197】
学習用データLD1において、Lcp1は、学習対象基板WL1に供給されたSPMの濃度プロファイルを示し、Ltp1は、学習対象基板WL1に供給されたSPMの温度プロファイルを示す。Ls1は、学習対象基板WL1に供給されたSPMの供給量を示し、Le1は、学習対象基板WL1に対するSPMの吐出パターンを示す。また、Lv1は、学習対象基板WL1に対してSPMを供給する際の学習対象基板WLの回転速度を示す。
【0198】
学習用データLD2~LD1000についても同様である。学習対象基板WLについてSPMの濃度プロファイルおよび温度プロファイルに応じて学習対象基板WLの薬液処理の結果は大きく変動する。このため、学習用データLDは、学習対象基板WLの薬液処理の結果の変動に大きく寄与する項目を有することが好ましい。
【0199】
なお、
図1~
図18を参照した上述の説明では、基板処理装置100の記憶部24または学習装置400の記憶部424が機械学習によって構築された学習済モデルLMを記憶していたが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置100の記憶部24または学習装置400の記憶部424は、学習済モデルLMに代えて変換テーブルCTを記憶していてもよい。
【0200】
次に、
図19を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図19の基板処理装置100は、記憶部24が学習済モデルLMに代えて変換テーブルCTを記憶している点を除いて、
図4を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0201】
図19に示すように、基板処理装置100において、記憶部24は、変換テーブルCTを記憶する。変換テーブルCTは、処理対象基板Wpの基板情報と、薬液処理処条件情報とを関連付ける。処理対象基板Wpの基板情報は、例えば、硬化層高さ情報および硬化層幅情報を含む。なお、変換テーブルCTは、学習対象基板WLの基板情報、薬液処理処条件情報および処理結果情報に基づいて作成される。
【0202】
基板情報取得部22aは、記憶部24から、基板情報を取得する。例えば、基板情報取得部22aは、記憶部24から、硬化層高さ情報および硬化層幅情報を取得する。
【0203】
薬液処理条件情報取得部22bは、変換テーブルCTに基づいて、基板情報から薬液処理条件情報を取得する。典型的には、薬液処理条件情報取得部22bは、変換テーブルCTから基板情報に対応する値を抽出し、変換テーブルCTにおいて関連付けられた基板情報と薬液処理処条件情報との関係に基づいて、薬液処理条件情報を取得する。このように、薬液処理条件情報取得部22bは、変換テーブルCTを用いて、基板情報に対応する薬液処理条件情報を取得する。
【0204】
その後、制御部22は、薬液処理条件情報に示された薬液処理条件に従って基板保持部120および薬液供給部130を制御する。
【0205】
図20は、変換テーブルCTの一例を示す図である。
図20に示すように、変換テーブルCTは、処理対象基板Wpの基板情報、および、薬液処理条件を示す。変換テーブルCTにおいて、基板情報は、硬化層に関する情報を含む。ここでは、処理対象基板Wpの基板情報は、硬化層高さ情報および硬化層幅情報を含む。
【0206】
変換テーブルCT1は、ある基板情報と対応する薬液処理条件を示す。ここでは、変換テーブルCT1において、基板情報は、処理対象基板Wpの硬化層高さ情報および硬化層幅情報を含む。dt1は、ある処理対象基板Wpの硬化層の高さを示す。dt2は、ある処理対象基板Wpの硬化層の幅を示す。Rp1は、この処理対象基板Wpに対して行われるべき薬液処理条件を示す。このため、仮に、処理対象基板Wpの硬化層の高さがdt1であり、硬化層の幅がdw1である場合、基板処理装置100は、Rp1で示された薬液処理条件で薬液処理を行う。
【0207】
変換テーブルCD2~CD1000についても同様である。典型的には、変換テーブルCT1~CD1000について、硬化層の高さおよび硬化層の幅の少なくとも一方が異なる。
【0208】
なお、処理対象基板Wpの硬化層の高さおよび硬化層の幅が、変換テーブルCTに示された値と一致しない場合、処理対象基板Wpの薬液処理条件は、変換テーブルCTに示された薬液処理条件の値の線形補間によって決定されてもよい。あるいは、処理対象基板Wpの薬液処理条件は、変換テーブルに示された薬液処理条件の値を多項式で補間することによって決定されてもよい。
【0209】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法、学習用データの生成方法、学習方法、学習装置、学習済モデルの生成方法、および、学習済モデルに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0211】
10 基板処理システム
20 制御装置
22 制御部
22a 基板情報取得部
22b 薬液処理条件情報取得部
24 記憶部
LM 学習済モデル
100 基板処理装置
130 薬液供給部
140 リンス液供給部
200 基板処理学習システム
300 学習用データ生成装置
400 学習装置