(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】位置把握システム及び位置把握プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240117BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2020129950
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】高鳥 明美
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 善夫
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-298285(JP,A)
【文献】特開2010-282283(JP,A)
【文献】特開2017-187989(JP,A)
【文献】特開2015-224943(JP,A)
【文献】特開2018-147081(JP,A)
【文献】特開2002-324300(JP,A)
【文献】特開2006-120137(JP,A)
【文献】特開2020-10370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が通過する、交差を伴う搬送路の近傍の路外にビーコンを設置したシステムであって、
予め特定された複数の搬送路同士が交差する交差箇所の搬送路の近傍の路外に設置された第1のビーコンと、
前記第1のビーコンに対して搬送路の前記交差箇所を挟む反対側の搬送路の近傍の路外に設置された第2のビーコンと、
前記車両に設置され、前記第1のビーコン及び前記第2のビーコンからの電波強度を取得する車載端末と、を備え、
前記車載端末は、前記第1のビーコン及び前記第2のビーコンから取得した電波強度の合計値を算出し、前記合計値が所定値以上である場合に、前記車両が前記交差箇所に接近したと判断する判断手段を有する、ことを特徴とする位置把握システム。
【請求項2】
前記車両が前記交差箇所に接近したことを警報する警報器を備え、
前記車載端末は、前記車両が前記交差箇所に接近したと前記判断手段が判断した場合には、前記警報器を駆動して警報させる、ことを特徴とする請求項1に記載の位置把握システム。
【請求項3】
車両が通過する複数の搬送路が交差する交差箇所に通じる特定の搬送路の近傍の路外に設置された第1のビーコンからの電波強度を取得する過程と、
前記第1のビーコンに対して搬送路の前記交差箇所を挟む反対側の搬送路の近傍の路外に設置された第2のビーコンからの電波強度を取得する過程と、
前記第1のビーコン及び前記第2のビーコンから取得した電波強度の合計値が所定値以上である場合に、前記車両が前記交差箇所に接近したと判断する過程と、
をコンピュータに実行させる位置把握プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置把握システム及び位置把握プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差箇所に緊急車両が接近した場合に、交差箇所よりも手前の道路脇に配置される1つの無線通信機がその緊急車両の信号を受信し、交通信号機を青に切り替える技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
この事例のように、交差箇所より手前側の道路(搬送路)の脇に無線通信機が配置されている場合であって、車両が交差箇所よりも手前側から交差箇所に向かう場合には、無線通信機と車両とが近いため、車両から送信される信号は無線通信機によって早く正確に受信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、交差箇所より奥側の道路(搬送路)の脇に無線通信機が配置されている場合であって、車両が交差箇所よりも手前側から交差箇所に向かう場合には、無線通信機と車両とが遠いため、車両から送信される信号は無線通信機によって早く正確に受信されないことになる。
この信号の受信が早いか遅いかといったことにより、車両が交差箇所に接近したことについて判断精度が低下する。従って、判断精度の向上の余地がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑み、車両がどの搬送路を通って交差箇所に接近しても、車両が交差箇所に接近したことの判断精度を高めることができる位置把握システム及び位置把握プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る位置把握システムは、車両が通過する、交差を伴う搬送路の近傍の路外にビーコンを設置したシステムであって、予め特定された複数の搬送路同士が交差する交差箇所の搬送路の近傍の路外に設置された第1のビーコンと、前記第1のビーコンに対して搬送路の前記交差箇所を挟む反対側の搬送路の近傍の路外に設置された第2のビーコンと、前記車両に設置され、前記第1のビーコン及び前記第2のビーコンからの電波強度を取得する車載端末と、を備え、前記車載端末は、前記第1のビーコン及び前記第2のビーコンから取得した電波強度の合計値を算出し、前記合計値が所定値以上である場合に、前記車両が前記交差箇所に接近したと判断する判断手段を有する、ことを特徴とする。
【0007】
この位置把握システムによれば、第1のビーコンから受信した電波の電波強度と第1のビーコンに対して交差箇所を挟む反対側の第2のビーコンから受信した電波の電波強度とに基づいて車両が交差箇所に接近したかが判断されるので、車両が交差箇所に進入しようとする場合において、第1のビーコン及び第2のビーコンのいずれか一方のビーコンが車両から遠くても第1のビーコン及び第2のビーコンのいずれか他方のビーコンが車両に近くなる。そのため、車両がどの搬送路を通って交差箇所に接近しても、車両が交差箇所に接近したことの判断精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両がどの搬送路を通って交差箇所に接近しても、車両が交差箇所に接近したことの判断精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)本発明の一実施形態に係る位置把握システムが適用される第1のビーコン及び第2のビーコン並びに複数の車両を示す平面図である。(b)位置把握システムのブロック図である。
【
図2】複数の車両が第1のビーコンの電波及び第2のビーコンの電波を受信する様子を示す平面図である。
【
図3】(a)制御部の制御工程を示すフローチャートである。(b)複数の車両が有する車載器毎に得る第1のビーコンのRSSI値、第2のビーコンのRSSI値、並びにそれらのRSSI値の合計値を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る位置把握システム1が適用される第1のビーコン81及び第2のビーコン82並びに複数の車両10,20,30,40を示す平面図である。
図1(b)は、位置把握システム1のブロック図である。
図1(a)に示されるように、この位置把握システム1は、搬送路A,B,C,Dの路外に設置された第1のビーコン81及び第2のビーコン82と、車両10,20,30,40に設置されたビーコン受信機12,22,32,42、警報器13,23,33,43、及び車載器15,25,35,45(車載端末)と、を備える。なお、本実施形態でいう車両10,20,30,40としては、例えばフォークリフト等の搬送車を想定しているが、その他の車両にも適用できる。
【0012】
[第1のビーコン]
第1のビーコン81は、複数の車両10,20,30,40が通過する複数の搬送路A,B,C,D同士が互いに交差する交差箇所Sがある場合に、この交差箇所Sに通じる特定の搬送路A,Bの近傍の路外に、設置されている。本実施形態では、特定の搬送路として搬送路A,Bの場合を例示して説明する。また、第1のビーコン81は、危険と思われる交差箇所Sの周囲に配置される。交差箇所Sは、
図1(a)の点線で囲まれる範囲をいう。
【0013】
なお、搬送路の近傍といった場合には、搬送路から搬送路幅方向に所定距離以内、交差箇所から搬送路の延び方向に所定距離以内(交差箇所から車体前後長さの距離以内(例えば3.5m以内))、又は交差箇所から車両の一時停止設定位置までの距離以内等の範囲が考えられる。例えば、搬送路Aを基準とした場合には、搬送路Aから搬送路幅方向に所定距離P以内に第1のビーコン81が配置されるようにしても良い。または、例えば、交差箇所S及び搬送路Aを基準とした場合には、交差箇所Sから搬送路Aの延び方向に所定距離Q以内に第1のビーコン81が配置されるようにしても良い。車両10としてフォークリフトを使用する場合には、フォークリフトの車体前後方向の長さが3m程度のものが想定されるため、所定距離Qは、3.5m以内としても良い。または、例えば、交差箇所S及び車両10の一時停止設定位置Jを基準とした場合には、交差箇所Sから車両10の一時停止設定位置Jまでの距離R以内としても良い。
【0014】
[第2のビーコン]
第2のビーコン82は、第1のビーコン81に対して搬送路A,Bの交差箇所Sを挟む反対側の搬送路C,Dの近傍の路外に設置されている。本実施形態では、反対側の搬送路として搬送路C,Dの場合を例示して説明する。また、第2のビーコン82は、危険と思われる交差箇所Sの周囲に配置される。
【0015】
なお、搬送路の近傍といった場合には、搬送路から搬送路幅方向に所定距離以内、交差箇所から搬送路の延び方向に所定距離以内(交差箇所から車体前後長さの距離以内(例えば3.5m以内))、又は交差箇所から車両の一時停止設定位置までの距離以内等の範囲が考えられる。例えば、搬送路Dを基準とした場合には、搬送路Dから搬送路幅方向に所定距離P以内に第2のビーコン82が配置されるようにしても良い。または、例えば、交差箇所S及び搬送路Dを基準とした場合には、交差箇所Sから搬送路Dの延び方向に所定距離Q以内に第2のビーコン82が配置されるようにしても良い。車両40としてフォークリフトを使用する場合には、フォークリフトの車体前後方向の長さが3m程度のものが想定されるため、所定距離Qは、3.5m以内としても良い。または、例えば、交差箇所S及び車両40の一時停止設定位置Jを基準とした場合には、交差箇所Sから車両40の一時停止設定位置Jまでの距離R以内としても良い。
【0016】
いずれにしても、例えば、交差箇所Sに進入する前の車両10又は車両20から見て、第1のビーコン81が交差箇所Sよりも手前に配置され、第2のビーコン82が交差箇所Sよりも奥に配置されるという関係が成り立つように、第1のビーコン81及び第2のビーコン82が配置されている。
【0017】
[車両]
図1(b)に示されるビーコン受信機12(22,32,42)は、例えばRSSI(Receive Signal Strength Indication)回路により構成されており、通信相手となる第1のビーコン81及び第2のビーコン82の電波強度を測定し、RSSI値として出力する。本実施形態では、ビーコン受信機12(22,32,42)は、各々の車両10(20,30,40)における電波を受信する強度の平準化のために、各々の車両10(20,30,40)の同一箇所に配置されている。但し、本実施形態のように同一箇所に配置されず、異なる箇所に配置されても良い。
【0018】
警報器13(23,33,43)は、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したことを警報する機器であり、各々の車両10(20,30,40)に取り付けられている。
なお、車載器15(25,35,45)がビーコン受信機12(22,32,42)を含む構成の場合には、車載器15(25,35,45)は、各々の車両10(20,30,40)における電波を受信する強度の平準化のために、各々の車両10(20,30,40)の同一箇所に配置されていても良い。但し、同一箇所に配置されているが、異なる箇所に配置することも可能である。
【0019】
車載器15(25,35,45)の各々は、車両10(20,30,40)に設置されており、制御部60を有する(
図1(b)参照)。制御部60は、電波強度取得部61と、算出判断部62(判断手段)と、を有する。この制御部60は、電波強度取得部61の制御過程と、算出判断部62の制御過程と、をコンピュータに実行させる位置把握プログラムを内蔵している。
【0020】
電波強度取得部61は、ビーコン受信機12(22,32,42)から第1のビーコン81の電波強度としてのRSSI値と第2のビーコン82の電波強度としてのRSSI値とを取得する。
【0021】
算出判断部62は、第1のビーコン81の電波強度としてのRSSI値と第2のビーコン82の電波強度としてのRSSI値との合計値を算出する。
また、算出判断部62は、電波強度としてのRSSI値の合計値が所定値以上である場合に、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したと判断する。この場合の所定値は、本実施形態では、例えば(-80dBM)に設定されている。
【0022】
なお、電波強度としてのRSSI値の合計値の所定値を変更することにより、車両10(20,30,40)が交差箇所Sまで所定距離の位置に接近したことを判断することが調整可能である。
また、算出判断部62によって車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したと判断された場合には、制御部60は警報器13(23,33,43)を駆動して警報させる。
【0023】
次に
図2を参照しつつ、第1のビーコン81の電波強度のRSSI値、第2のビーコン82の電波強度のRSSI値、及びそれらの合計値に関して説明する。
図2は、複数の車両10,40が第1のビーコン81の電波及び第2のビーコン82の電波を受信する様子を示す平面図である。
車両10は、位置Y3、位置Y2、位置Y1の順に走行して交差箇所Sに進入しようとしている。RSSI値は、ビーコンからの距離が近い程に、0に近づき、ビーコンからの距離が遠い程に、小さくなる(すなわち負の方向に大きくなる)。
車両10が位置Y3を走行中には、算出判断部62は、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値を取得せず、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値を取得せず、それらの合計値も算出していない。
【0024】
車両10が位置Y2を走行中には、算出判断部62は、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値(-60dBm)を取得し、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値を取得せず、RSSI値の合計ができないために、合計値も算出していない。車両10が位置Y1を走行中には、算出判断部62は、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値(-20dBm)を取得し、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値(-60dBm)を取得し、RSSI値の合計値(-80dBm)を算出する。
【0025】
また、車両40は、位置X2、位置X1の順に走行して交差箇所Sに進入しようとしている。車両40については、車両40が位置X2を走行中には、算出判断部62は、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値(-60dBm)を取得し、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値を取得せず、RSSI値の合計ができないために、合計値も算出していない。車両40が位置X1を走行中には、算出判断部62は、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値(-20dBm)を取得し、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値(-60dBm)を取得し、RSSI値の合計値(-80dBm)を算出する。
【0026】
なお、このように、車両10が位置Y1に位置し、車両40が位置X1に位置し、車両10と車両40の交差箇所Sからの距離が同じであっても、車両10の車載器15は、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値(-20dBm)を取得し、車両40の車載器45は、第1のビーコン81の電波強度としてRSSI値(-60dBm)を取得する。このときに、車両10の車載器15は、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値(-60dBm)を取得し、車両40の車載器45は、第2のビーコン82の電波強度としてRSSI値(-20dBm)を取得する。
【0027】
次に、本実施形態に係る位置把握システム1の動作について、
図3(a)及び
図3(b)を参照しつつ説明する。
図3(a)は、制御部60の制御工程を示すフローチャートである。
図3(b)は、複数の車両10(20,30,40)が有する車載器15(25,35,45)毎に得る第1のビーコン81のRSSI値、第2のビーコン82のRSSI値、並びにそれらのRSSI値の合計値を示す表である。
図3(a)に示されるように、電波強度取得部61は、ビーコン受信機12に第1のビーコン81の反応があったか否かを判断する(S1)。
【0028】
電波強度取得部61は、第1のビーコン81の反応がなかったと判断した場合(S1:NO)、再びS1の判断をする。電波強度取得部61は、第1のビーコン81の反応があったと判断した場合(S1:YES)、ビーコン受信機12に第2のビーコン82の反応があったか否かを判断する(S2)。
【0029】
電波強度取得部61は、第2のビーコン82の反応がなかったと判断した場合(S2:NO)、再びS1の判断をする。電波強度取得部61は、第2のビーコン82の反応があったと判断した場合(S2:YES)、第1のビーコン81の電波強度としてのRSSI値及び第2のビーコン82の電波強度としてのRSSI値を算出判断部62に出力する。
【0030】
算出判断部62は、第1のビーコン81の電波強度としてのRSSI値及び第2のビーコン82の電波強度としてのRSSI値を合計して、合計値(
図3(b)参照)を算出する(S3)。そして、算出判断部62は、その合計値が所定値(-80dBm)以上であるか否かを判断する(S4)。
【0031】
算出判断部62により合計値が所定値(-80dBm)未満であると判断された場合(S4:NO)、電波強度取得部61が再びS1の判断をする。算出判断部62は、合計値が所定値(-80dBm)以上であると判断した場合(S4:YES)、警報器13を駆動して警報を鳴動させる(S5)。
【0032】
なお、
図3(b)に示されるように、車載器15の算出判断部62は、第1のビーコン81のRSSI値(-20dBm)を取得すると共に、第2のビーコン82のRSSI値(-60dBm)を取得し、合計値(-80dBm)を算出する。これと同様に、車載器25の算出判断部62は、第1のビーコン81のRSSI値(-20dBm)を取得すると共に、第2のビーコン82のRSSI値(-60dBm)を取得し、合計値(-80dBm)を算出する。
【0033】
また、車載器35の算出判断部62は、第1のビーコン81のRSSI値(-60dBm)を取得すると共に、第2のビーコン82のRSSI値(-20dBm)を取得し、合計値(-80dBm)を算出する。これと同様に、車載器45の算出判断部62は、第1のビーコン81のRSSI値(-60dBm)を取得すると共に、第2のビーコン82のRSSI値(-20dBm)を取得し、合計値(-80dBm)を算出する。
【0034】
以上で詳述してきたように、本実施形態の位置把握システム1及びプログラムは、車両10(20,30,40)が通過する、交差を伴う搬送路の近傍の路外にビーコンを設置したシステムであって、予め特定された複数の搬送路A,B同士が交差する交差箇所Sの搬送路の近傍の路外に設置された第1のビーコン81と、第1のビーコン81に対して搬送路の交差箇所Sを挟む反対側の搬送路C,Dの近傍の路外に設置された第2のビーコン82と、車両10(20,30,40)に設置され、第1のビーコン81及び第2のビーコン82からの電波強度としてのRSSI値を取得する車載器15(25,35,45)と、を備え、車載器15(25,35,45)は、第1のビーコン81及び第2のビーコン82から受信した電波強度としてのRSSI値の合計値を算出し、合計値が所定値以上である場合に、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したと判断する算出判断部62と、を有する。
【0035】
こうした構成によれば、第1のビーコン81から取得した電波強度としてのRSSI値と第1のビーコン81に対して交差箇所Sを挟む反対側の第2のビーコン82から取得した電波強度としてのRSSI値とに基づいて車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したかが判断されるので、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに進入しようとする場合において、第1のビーコン81及び第2のビーコン82のいずれか一方のビーコンが車両10(20,30,40)から遠くても第1のビーコン81及び第2のビーコン82のいずれか他方のビーコンが車両10(20,30,40)に近くなる。そのため、車両10(20,30,40)がどの搬送路A,B,C,Dを通って交差箇所Sに接近しても、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したことの判断精度を高めることができる。ひいては、車両10(20,30,40)が交差箇所Sで衝突することも抑制される。
【0036】
また、本実施形態の位置把握システム1は、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したことを警報する警報器13(23,33,43)を備え、車載器15(25,35,45)は、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに接近したと算出判断部62が判断した場合には、警報器13(23,33,43)を駆動して警報させる。そのために、運転者は、車両10(20,30,40)が交差箇所Sに進入する前に交差箇所Sに近づいていることを事前に知ることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、位置把握システム1は、十字路の交差箇所Sに適用されたものを例示したが、この実施形態に限定されなくても良い。例えば、位置把握システム1は、複数の搬送路が3方向から合流する三叉路、T字路、Y字路、複数の搬送路が5方向から合流する五差路、あるいは、複数の搬送路がそれ以上の方向から合流する多差路にも適用されても良い。これらの場合にも、いずれか一つの搬送路の近傍の路外に、第1のビーコン81が設置され、第1のビーコン81に対して交差箇所Sを挟む反対側の搬送路の近傍の路外に、第2のビーコン82が設置される。
【符号の説明】
【0038】
1 :位置把握システム
10,20,30,40 :車両
12,22,32,42 :ビーコン受信機
13,23,33,43 :警報器
15,25,35,45 :車載器(車載端末)
60 :制御部
61 :電波強度取得部
62 :算出判断部(判断手段)
81 :第1のビーコン
82 :第2のビーコン
A,B,C,D :搬送路
S :交差箇所
X1,X2,Y1,Y2,Y3 :位置