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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】荷締め養生材
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/06 20060101AFI20240117BHJP
   B60P 7/08 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B60P7/06 Z
B60P7/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020164633
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056729
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長 幸光
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-200501(JP,A)
【文献】実開昭49-133907(JP,U)
【文献】実開平01-122337(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0777781(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0282057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/00
B60P 3/00
B62D 33/02
B62B 1/00- 5/08
B65D 19/00-19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台幅より幅の広い荷物を、荷締め具を用いて荷締めする際に、当該荷物の下側の角部を養生するための荷締め養生材であって、
角柱形状の芯材と、
前記芯材を荷台側縁部に固定するための固定部材と、を備え、
前記固定部材は、
前記芯材の下面及び前記荷台側縁部の下縁に接する第1の板部と、
前記第1の板部の相対する一辺に連接されて、前記芯材の外側面に接する第2の板部と、
前記第1の板部の相対する他辺に連接されて、前記荷台側縁部の裏側面側に配置される第3の板部と、を備えていることを特徴とする荷締め養生材。
【請求項2】
前記固定部材に、前記荷台側縁部に備えられた緊結用部材を挿通させるための切欠きが設けられている請求項1記載の荷締め養生材。
【請求項3】
前記第1又は第2の板部に、前記荷締め具を緊結させるための凸部が設けられている請求項1記載の荷締め養生材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台幅より幅の広い荷物を、荷締め具を用いて荷締めする際に使用される、当該荷物の下側の角部を保護するための荷締め養生材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10図11に示されるように、一般に、荷物5をトラックなどの車両4の荷台41に荷締めする場合には、ロープやワイヤー、チェーン、ベルトなどの荷締め具6が使用される。
【0003】
荷締め具6は、荷物5の上を荷台41の幅方向にわたされ、荷台側縁部42に設けられたロープフックなどの緊結用部材を用いて両端を緊結されることで、荷物5を固定する。
【0004】
図11(A)に示されるように、荷物の幅が荷台幅より小さい場合は、荷物の下側の角部は荷締め具に直接触れることがない。一方、荷物の上側の角部は荷締め具に当接しているため、輸送時に発生する振動や揺れによって、擦れや破損が生じる可能性がある。そこで、従来、荷締め具と角部との間に緩衝材を挟んで荷物の破損を防止することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
荷物の幅が荷台幅より大きい場合は、図11(B)に示されるように、荷物の上側の角部だけでなく、下側の角部も荷締め具に当接することになる。しかしながら、従来の方法で下側の角部をも保護しようとすると、荷締めする際に緩衝材が落下してしまったり、輸送時の振動などにより緩衝材がズレてしまったりする問題があった。
【0006】
また、緩衝材のズレを防止するために、大きな荷物と荷台との間に緩衝材を挟み込んで固定する作業は、非常に労力を必要とするものであった。
【0007】
本発明の目的は、車両の荷台幅より幅の広い荷物を、荷締め具を用いて荷締めする際に、荷物の下側の角部をより簡便かつ効果的な方法で保護することができる荷締め養生材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、車両の荷台幅より幅の広い荷物を、荷締め具を用いて荷締めする際に、当該荷物の下側の角部を保護するための荷締め養生材であって、角柱形状の芯材と、前記芯材を荷台側縁部に固定するための固定部材と、を備え、前記固定部材は、前記芯材の下面及び前記荷台側縁部の下縁に接する第1の板部と、前記第1の板部の相対する一辺に連接されて、前記芯材の外側面に接する第2の板部と、前記第1の板部の相対する他辺に連接されて、前記荷台側縁部の裏側面側に配置される第3の板部と、を備えていることを特徴とする荷締め養生材を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の荷台幅より幅の広い荷物を、荷締め具を用いて荷締めする際に、荷物の下側の角部をより簡便かつ効果的な方法で保護することができる荷締め養生材を提供することができる。
【0010】
すなわち、本発明の荷締め養生材を荷台側縁部に固定することによって、荷締め具が養生材の上を通って荷締めされるので、荷物の下側の角部が荷締め具に触れることがなく、角部を効果的に保護することが可能となる。
【0011】
また、本発明の荷締め養生材は、芯材を荷台側縁部に固定するための固定部材を備えているため、荷締め作業の際に両手が塞がっていても養生材が落下することがなく、作業性が良いうえに、荷締め作業時や輸送中に養生材がズレる問題もない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態の荷締め養生材の構成を説明する図である。(A)は下方から見た分解斜視図、(B)は断面図である。
図2】本実施の形態の荷締め養生材を荷台に取付けた状態を説明する断面図である。
図3】荷締め養生材の変形例1の構成を説明する断面図である。
図4】荷締め養生材の変形例2の構成を説明する断面図である。
図5】荷締め養生材の変形例3の構成を説明する断面図である。
図6】荷締め養生材の変形例4の構成を説明する断面図である。
図7】荷締め養生材の変形例5の構成を説明する断面図である。
図8】荷締め養生材の変形例6の構成を説明する断面図である。
図9】荷締め養生材の変形例7の構成を説明する断面図である。
図10】従来の方法で荷締めした車両の状態を説明する側面図である。
図11】従来の方法で荷締めした車両の状態を説明する背面図である。(A)は荷台幅より幅が小さい荷物を荷締めした状態、(B)は荷台幅より幅が大きい荷物を荷締めした状態、をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(A)は、本実施の形態の荷締め養生材1の構成を説明するための、下方(地面側)から見た分解斜視図である。図1(B)は、荷締め養生材1の断面図である。図2は、荷締め養生材1を荷台41に取付けた状態を説明する断面図である。
【0014】
本実施の形態の荷締め養生材1は、車両4の荷台41の幅より幅の広い荷物5を、荷締め具6を用いて荷締めする際に、当該荷物5の下側の角部を保護するための荷締め養生材1であって、図1に示されるように、芯材2と、固定部材3と、によって主に構成される(図11(B)参照)。芯材2と固定部材3は、接着剤等によって予め固定されていてもよい。
【0015】
芯材2は、荷締め具6が配置される位置において、荷台側縁部42に沿って延設させることが可能な角柱形状の部材とすることができる。また、芯材2は、荷締め具6により押さえつけられたり引っ張られたりしても変形しないような硬さを有する木材等により構成されている。
【0016】
芯材2の断面は、高さが荷台側縁部42と略同じか若干小さい程度とすることができ、幅は荷物5が荷台側縁部42からはみ出す長さや、後述する変形例のように採用する固定手段によって必要な幅が変わってくる。
【0017】
固定部材3は芯材2を荷台側縁部42に固定するための部材であり、第1の板部31と、第2の板部32と、第3の板部33と、によって主に構成されている。これらの板部(31,32,33)はそれぞれ幅が同一の長方形状であり、第1の板部31の相対する長辺は、一辺が第2の板部32に連接され、他辺が第3の板部33に連接されている。
【0018】
本実施の形態においては、第2の板部32の方が、相対して配置される第3の板部33よりも若干縦長であるが、固定部材3は全体として側面視略コ字形となっている。
【0019】
固定部材3は、荷締め具6により押さえつけられたり引っ張られたりしても破損したり変形したりしないような硬さを有する鋼板等を折り曲げ加工することにより構成されている。
【0020】
固定部材3の幅、つまり荷台41の前後方向における長さは、荷締めする際に荷締め具6が配置される位置の芯材2を覆うことができる長さとすればよい。
【0021】
第1の板部31は、図2に示されるように、芯材2の下面21及び荷台側縁部42の下縁に接し、芯材2を下方から支持するものである。第1の板部31の縦の長さ、つまり荷台41の幅方向における長さは、荷締め養生材1が荷台側縁部42に対して容易に脱着可能となるよう、芯材2の下面21及び荷台側縁部42の下縁を合わせた長さよりも若干大きくなっている。
【0022】
第2の板部32は、図1図2に示されるように、第1の板部31の相対する一辺に連接されて、芯材2の外側面22に接するように設けられている。第2の板部32の高さは、芯材2の断面の高さと略同じか若干小さい程度とすることができる。
【0023】
第3の板部33は、図2に示されるように、第1の板部31の相対する他辺に連接されて、荷台側縁部42の裏側面側に配置されるものである。
【0024】
本実施の形態においては、図1に示されるように、第3の板部33の内側面にクッション材35が貼設されている。このクッション材35は、断面視台形で上方が先細りしていて、優れた復元力と大きな摩擦係数を併せ持つために、荷台側縁部42の裏側面との間の隙間に挟み込ませることで、荷締め養生材1が荷台側縁部42から脱落しないように固定するためのものである。
【0025】
つまり、荷締め養生材1を荷台側縁部42に取付けるにあたり、まず図1に示されるように、芯材2に固定部材3を被せるように装着する。次に図2に示されるように、荷締め養生材1を、芯材2を荷台側縁部42に当接させるように、下方(地面側)から荷台側縁部42に挿し込むように取付ける。
【0026】
このとき、第3の板部33の内側面に貼設されたクッション材35が圧縮変形して、荷台側縁部42の裏側面と第3の板部33との間に介在される。このクッション材35は断面視台形で上方が先細りしているため、荷締め養生材1の取付けが容易となっている。また、クッション材35は優れた復元力と大きな摩擦係数を備えているため、荷締め養生材1が荷台側縁部42から脱落するのを防ぐことができる。なお、後述するように、固定部材3は上記クッション材35以外の他の固定手段を備えているものであってもよい。
【0027】
本実施の形態において、固定部材3は、図1に示されるように、第1の板部31と第2の板部32との連接部の中央付近において、切欠き34が設けられている。この切欠き34は、荷台側縁部42に設けられたロープフック等の緊結用部材43を挿通させるためのものである。もちろん、荷台側縁部42に緊結用部材43が設けられていない箇所であっても、本実施の形態の荷締め養生材1は使用することができる。
【0028】
一般に、トラック等の荷台側縁部には、荷締め具を緊結する際に荷締め具を掛け回すための緊結用部材が複数箇所に設けられている。このような緊結用部材には様々な形状のものがあるため、上記切欠き34は、全ての緊結用部材を挿通させることができる大きさと形状を備えている。
【0029】
例えば本実施の形態では、図2に示されるように、切欠き34が、第1の板部31だけでなく第2の板部32にもわたるように設けられている。そのため、図2に示されるように、荷台側縁部42の下縁に緊結用部材43が設けられている場合だけでなく、荷台側縁部42の裏側に緊結用部材43が設けられている場合にも、同様に使用可能となっている。
【0030】
このようにして取付けられた荷締め養生材1は、荷締め具6で締付けられても変形しない強度を備えており、また、第3の板部33の折返し構造により、荷締め具6で引っ張られても芯材2が上方にズレて荷物5を傷付けることがない。さらに、上記荷締め養生材1は、クッション材35の復元力と摩擦抵抗によって仮固定されているので、荷締め作業の際、手で支えていなくても荷締め養生材1が落下することがなく、作業性に優れている。
【0031】
なお、本実施の形態では、芯材2として図1に示されるような固定部材3の幅と同程度の長さの短尺部材を採用しているが、複数の固定部材3に跨って配置される長尺部材を芯材2として採用してもよい。短尺部材を用いる場合、荷締め養生材1ごとに取付け作業を行うことが可能となる。一方、長尺部材を用いる場合は、部材数を減らすことが可能となる。
【0032】
次に、本実施の形態の荷締め養生材1を使用した荷締め方法及びその作用について説明する。
【0033】
(1)はじめに、図1のようにして、角柱形状の短尺部材である芯材2に、芯材2の長さと同程度の幅を有する固定部材3を被せるようにして装着する。このとき、第1の板部31が芯材2の下面21に接し、第2の板部32が芯材2の外側面22に接し、かつ、第3の板部33が荷台側縁部42の裏側面側に配置されるようにして装着する。芯材2と固定部材3を接着剤等により固定してもよい。
【0034】
(2)次に、車両4の荷台41の上に、荷物5を積載する。荷台側縁部42から荷物5がはみ出す場合は、荷締め具6を掛けたい位置に荷締め養生材1を取付ける。このとき、芯材2の上面が荷物5に接し、芯材2の内側面が荷台側縁部42に当接し、かつ、第3の板部33が荷台側縁部42の裏側面側に配置されるように、荷台側縁部42の下方(地面側)から荷締め養生材1が挿し込まれるようにする(図2参照)。また、荷物5の下側の角部が荷締め養生材1よりも外側に出ないようにする。
【0035】
本実施の形態において、固定部材3は、第1の板部31と第2の板部32との連接部の中央付近において、荷台側縁部42に設けられた緊結用部材43を挿通させるための切欠き34が設けられている(図1参照)。
【0036】
例えば、荷台側縁部42の下縁に緊結用部材43が設けられている箇所に荷締め養生材1を取付ける場合は、当該緊結用部材43を切欠き34に挿通させるようにして、荷締め養生材1を装着する(図2参照)。もちろん、緊結用部材43が設けられていない箇所であっても、荷締め養生材1を取付けることは可能である。
【0037】
一般に、トラック等の荷台側縁部には、荷締め具を緊結する際に使用されるロープフック等の緊結用部材が複数箇所に設けられている。上記切欠き34は、どのような形状の緊結用部材でも挿通させることができる大きさと形状を備えているため、本実施の形態の荷締め養生材1は、荷台側縁部42の所望の位置に取付けることができ、非常に汎用性が高い。
【0038】
このようにして荷締め養生材1を取付けた後は、荷締め具6によって押さえられていなくても、荷締め養生材1は荷台側縁部42から脱落することがない。本実施の形態では、第3の板部33の内側面にクッション材35が貼設されているためである。このクッション材35は、優れた復元力と大きな摩擦係数を併せ持つために、荷台側縁部42の裏側面との間の隙間に挟み込ませることで圧縮変形し、復元しようとする力が第3の板部33と荷台側縁部42の裏側面との間で押し付け力となる。この押し付け力と摩擦抵抗とによって、荷締め養生材1を荷台側縁部42から脱落しないように仮固定することができる。
【0039】
後述するように、荷締め養生材1は、上記クッション材35以外の他の固定手段を備えているものであってもよい。荷締め養生材1が荷台側縁部42より容易に脱落しない構造となっているので、作業者は荷締め養生材1に手を添えている必要がなく、作業性に優れている。
【0040】
(3)一方の荷台側縁部42の必要箇所すべてに荷締め養生材1を取り付けた後は、反対側の荷台側縁部42においても、上記(1)及び(2)を繰り返すことにより、荷締め養生材1の取付固定を行う。
【0041】
(4)車両4の左右の荷台側縁部42,42に荷締め養生材1,・・・を取付固定した後は、ロープ等の荷締め具6を用いて荷物5を荷台41に荷締めする。荷締め方法は従来の一般的な方法で行えばよい。荷物5の下側の角部以外の角部においては、荷締め具6が当たる部分に適宜緩衝材を挟み込んで養生する。
【0042】
例えば図2に示されるように、荷台側縁部42の下縁に緊結用部材43が設けられている場合、荷締め具6を緊結用部材43に掛け回して緊結し、荷締め養生材1の角部(第1の板部31と第2の板部32との連接部)に荷締め具6が当たるようにして荷締めする。荷物5の下側の角部は、荷締め養生材1よりも内側にあるため、荷締め具6が当たることはなく、当該角部の損傷や変形を防ぐことができる。
【0043】
一方、荷締め養生材1は、十分な強度を備えているため、荷締めする際に変形又は損傷することはない。また、固定部材3に設けられた第3の板部33の折返し構造により、荷締め具6で引っ張られても芯材2が上方にズレて荷物5を傷付けるのを防ぐことができる。
【0044】
また、荷締め具6が荷締め養生材1の角部の上を通って荷締めされるとき、荷締め具6により引っ張られる力は、荷締め具6が当たる荷締め養生材1の角部の1点に作用する。荷締め具6から上記1点で作用した応力は、荷台側縁部42に沿って延設された芯材2を介して分散され、荷台側縁部42に伝達される。そのため、荷台側縁部42にかかる負担を減らし、変形や損傷を防ぐことが可能となる。
【0045】
以下、図3図9を参照して、荷締め養生材1の変形例について説明する。上記と同一の構成については記載を省略し、図中において図1図2と同一の符号を付ける。
【0046】
図3は、荷締め養生材1の第1の変形例の構成を説明するための断面図であり、第1の変形例に係る荷締め養生材1Aを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0047】
この第1の変形例に係る荷締め養生材1Aにおいては、第1の板部31の下面側(地面側)に、荷締め具6を緊結させるための凸部36が設けられている。凸部36には、柱部と先端の拡幅部とが設けられており、当該拡幅部によって柱部に掛け回した荷締め具6が簡単に外れないようになっている。
【0048】
このように、第1の変形例に係る荷締め養生材1Aによれば、荷締め具6を緊結させるための凸部36が設けられているので、荷台側縁部42に緊結用部材43が設けられていない箇所においても、所望の箇所において荷締め具6を緊結させることが可能となり、荷締め作業における制約を減らすことができる。
【0049】
図4は、荷締め養生材1の第2の変形例の構成を説明するための断面図であり、第2の変形例に係る荷締め養生材1Bを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0050】
この第2の変形例に係る荷締め養生材1Bにおいては、第2の板部32の外側(荷台側縁部42と反対側)に、荷締め具6を緊結させるための凸部36が設けられている。凸部36の形状は、第1の変形例に係る荷締め養生材1Aにおける凸部36(図3参照)と同様とすることができる。
【0051】
このように、第2の変形例に係る荷締め養生材1Bによれば、荷締め具6を緊結させるための凸部36が設けられているので、荷台側縁部42に緊結用部材43が設けられていない箇所においても、所望の箇所において荷締め具6を緊結させることが可能となり、荷締め作業における制約を減らすことができる。
【0052】
また、第2の変形例に係る荷締め養生材1Bによれば、荷締め具6を緊結させるための凸部36の位置を容易に目視確認できるため、作業者が荷締め作業を行いやすいという利点がある。
【0053】
図5は、荷締め養生材1の第3の変形例の構成を説明するための断面図であり、第3の変形例に係る荷締め養生材1Cを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0054】
この第3の変形例に係る荷締め養生材1Cにおいて、固定部材3は、クッション材35の代わりの固定手段として、長方形状の差込板部37が設けられている。この差込板部37は、第2の板部32における第1の板部31と相対する一辺に連接され、芯材2の上面(荷物5側)に接するように延設されている。差込板部37の幅は、第1、第2及び第3の板部(31,32,33)と同一であるが、その縦の長さ(荷台41の幅方向の長さ)は第1の板部31の縦の長さよりも大きくなっている。また、差込板部37は、第1、第2及び第3の板部(31,32,33)と同一素材により、鋼板の折り曲げ加工により構成されている。
【0055】
このように、第3の変形例に係る荷締め養生材1Cによれば、差込板部37が、第2の板部32における第1の板部31と相対する一辺に連接されて、芯材2の上面(荷物5側)に接するように延設されており、かつ、その縦の長さ(荷台41の幅方向の長さ)は第1の板部31の縦の長さよりも大きい構成となっている。これにより、差込板部37を荷物5と荷台41との間に差込むことで、荷締め養生材1を簡単に固定することが可能となる。
【0056】
ここで、荷締め養生材1Cの取付方法は、最初に荷締め養生材1Cを荷台側縁部42に取付けておいて、その上から、荷物5と荷台41との間に差込板部37を挟み込むようにして、荷物5を載置する方法とすることができる。
【0057】
図6は、荷締め養生材1の第4の変形例の構成を説明するための断面図であり、第4の変形例に係る荷締め養生材1Dを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0058】
この第4の変形例に係る荷締め養生材1Dにおいて、固定部材3は、クッション材35の代わりの固定手段として、第3の板部33の内側面に磁石38が貼設されている。この磁石38は、強力な磁力を有するために、金属製の荷台側縁部42の裏側面側に吸着固定させることで、荷締め養生材1が荷台側縁部42から脱落しないように固定するためのものである。
【0059】
また、図7は、荷締め養生材1の第5の変形例の構成を説明するための断面図であり、第5の変形例に係る荷締め養生材1Eを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0060】
この第5の変形例に係る荷締め養生材1Eにおいて、芯材2は、その荷台側縁部42に接する箇所に、固定手段として第4の変形例と同様の磁石38が貼設されている。この磁石38は、金属製の荷台側縁部42の外側面側に吸着固定させることで、荷締め養生材1が荷台側縁部42から脱落しないように固定するためのものである。また、芯材2と固定部材3は、接着剤等により予め固定されている。
【0061】
このように、第4、第5の変形例に係る荷締め養生材(1D,1E)によれば、第3の板部33又は芯材2において、固定手段として磁石38が貼設された構成となっている。これにより、芯材2に固定部材3を予め装着しておいて、荷台側縁部42の下方(地面側)から荷締め養生材(1D,1E)を挿し込むように取付けることで、磁石38が金属製の荷台側縁部42に吸着固定され、荷締め養生材1を荷台側縁部42に固定することができる。
【0062】
図8は、荷締め養生材1の第6の変形例の構成を説明するための断面図であり、第6の変形例に係る荷締め養生材1Fを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0063】
この第6の変形例に係る荷締め養生材1Fにおいて、クッション材35に代わる固定手段として、第2の板部32の外側面22側から芯材2の内側面側へ向けて、水平方向にボルト39が螺入されている。このボルト39は、第2の板部32の雌ネジ溝が設けられた孔と、芯材2に設けられた水平方向に貫通するボルト穴23と、を通って、ボルト39の回動動作により出し入れ可能となっている。そして、ボルト39の先端部391は、ボルト39を螺入することで前進し、荷台側縁部42の外側面を押すように構成されている。
【0064】
このように、第6の変形例に係る荷締め養生材1Fによれば、ボルト39が、第2の板部32の外側面側から芯材2の内側面側へ向けて、水平方向に螺入された構成となっている。これにより、芯材2に設けられたボルト穴23に、第2の板部32の雌ネジ溝が設けられた孔を合わせるようにして、芯材2に固定部材3を予め装着しておいて、荷台側縁部42の下方(地面側)から荷締め養生材1Fを挿し込んだ後に、ボルト39を螺入して、先端部391を荷台側縁部42に押付けることで、荷締め養生材1を荷台側縁部42に固定することができる。
【0065】
図9は、荷締め養生材1の第7の変形例の構成を説明するための断面図であり、第7の変形例に係る荷締め養生材1Gを荷台側縁部42に取付けた状態を示す。
【0066】
この第7の変形例に係る荷締め養生材1Gにおいて、固定手段である板バネ331が、第3の板部33となる。この板バネ331は、第1の板部31の相対する他辺に連接されて、荷台側縁部42の裏側面側に配置されている。また、板バネ331は、荷台側縁部42の裏側面に接近するように第1の板部31とは鋭角をなして折り曲げられ、その後、荷台側縁部42の裏側面から遠ざかるように折り曲げられることにより側面視V字形をなすV字折曲部332を有している。このV字折曲部332は、その内表面が荷台側縁部42の裏側面を挟圧することで、荷締め養生材1Gを荷台側縁部42に固定することができるように構成されている。
【0067】
このように、第7の変形例に係る荷締め養生材1Gによれば、第3の板部33である板バネ331が、第1の板部31の相対する他辺に連接されて、荷台側縁部42の裏側面側に配置されており、かつ、荷台側縁部42の裏側面に接近するように第1の板部31とは鋭角をなして折り曲げられ、その後、荷台側縁部42の裏側面から遠ざかるように折り曲げられることにより側面視V字形をなすV字折曲部332を有している。これにより、芯材2に固定部材3を予め装着しておいて、荷台側縁部42の下方(地面側)から荷締め養生材1を挿し込むことで、板バネ331のV字折曲部332の内表面が荷台側縁部42の裏側面を挟圧して、荷締め養生材1を荷台側縁部42に固定することができる。
【0068】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0069】
例えば、前実施の形態では、荷締め具6としてロープを使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ベルトやチェーン等の荷締め具を採用することも可能である。
【0070】
また、荷物5の形状は必ずしも図示の形状に限定されず、不定形な荷物など、種々の設計的変更が可能である。
【0071】
さらに、切欠き34の形状は必ずしも図示の四角形状に限定されず、多角形や楕円形など、種々の設計的変更が可能である。
【0072】
そして、車両4も必ずしも図示のトラックに限定されない。工場内の部品の搬送などに用いられる車両に対しても適用可能であるなど、種々の物流の分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 荷締め養生材
2 芯材
3 固定部材
31 第1の板部
32 第2の板部
33 第3の板部
34 切欠き
41 荷台
42 荷台側縁部
43 緊結用部材
5 荷物
6 荷締め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図11