(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】デュアル電源可変速駆動装置のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02P 25/22 20060101AFI20240117BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240117BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H02P25/22
F25B1/00 361D
H02P27/06
(21)【出願番号】P 2020520501
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(86)【国際出願番号】 US2018055269
(87)【国際公開番号】W WO2019075104
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-04
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ジャドリック,アイバン
(72)【発明者】
【氏名】ケーン,アジット・ワサント
(72)【発明者】
【氏名】スロソワー,スコット・ビクター
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-068397(JP,A)
【文献】特開平05-199798(JP,A)
【文献】特開平05-252794(JP,A)
【文献】特開2013-236486(JP,A)
【文献】特表2016-504011(JP,A)
【文献】特開平04-058784(JP,A)
【文献】特開2011-024377(JP,A)
【文献】特開2000-324892(JP,A)
【文献】特開平10-225181(JP,A)
【文献】特開平05-146195(JP,A)
【文献】特許第5370139(JP,B2)
【文献】国際公開第2016/135840(WO,A1)
【文献】特開2016-152682(JP,A)
【文献】特開2010-220434(JP,A)
【文献】特開2010-104189(JP,A)
【文献】特開2017-017898(JP,A)
【文献】特開2016-096709(JP,A)
【文献】特開2015-173554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0083692(US,A1)
【文献】特開平01-321896(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192130(WO,A1)
【文献】特開2014-165957(JP,A)
【文献】特開2012-025373(JP,A)
【文献】特開2013-151206(JP,A)
【文献】特表2014-516240(JP,A)
【文献】特開2016-116447(JP,A)
【文献】特開2013-219869(JP,A)
【文献】特開平08-280192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/22
F25B 1/00
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムであって、
冷媒ループと、
前記冷媒ループ内に配置され、冷媒を前記冷媒ループ内で循環させるように構成された圧縮機と、
前記圧縮機を駆動するように構成された電動機と、
前記電動機に電力を供給するように構成された単一の可変速度駆動装置(VSD)であって、
前記電動機に第1の電力を供給するように構成された第1の電力ポッドであって、前記第1の電力ポッドは、第1の整流器、第1のDCリンク、及び第1のインバータを備える、第1の電力ポッド、及び、
前記電動機に第2の電力を供給するように構成された第2の電力ポッドであって、前記第2の電力ポッドは、第2の整流器、第2のDCリンク、及び第2のインバータを備える、第2の電力ポッドを備える、単一の可変速度駆動装置(VSD)と、
を備え、
前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドのうちの一方が、前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドのうちの他方の停止中に前記電動機に電力を供給するよう動作するように、前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドは互いに独立して動作するように構成されており、
前記電動機は、前記電動機の第1の電気巻線を介して前記第1の電力を受け取り、前記電動機の第2の電気巻線を介して前記第2の電力を受け取るように構成されており、前記第1の電気巻線は、前記第2の電気巻線からガルバニック絶縁されて
おり、
前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドはそれぞれが、前記電動機によって利用される電力の半分を供給するような定格を有する、暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システム。
【請求項2】
前記電動機は回転子及び固定子を備え、前記回転子はスロットのセットを備え、前記第1の電気巻線は前記スロットのセット内に配置され、前記第2の電気巻線は前記スロットのセット内に配置されている、請求項1に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項3】
前記第1の電気巻線は第1のデルタ構成であり、前記第2の電気巻線は第2のデルタ構成である、請求項1に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項4】
マイクロプロセッサを備え、前記マイクロプロセッサは電気信号のセットを出力するように構成され、前記第1の電力ポッドは前記電気信号のセットを受信するように構成され、前記第2の電力ポッドは前記電気信号のセットを受信するように構成されている、請求項1に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項5】
前記電動機は、前記圧縮機への入力として少なくとも1200馬力を供給するように構成されている、請求項1に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項6】
単一の可変速駆動装置(VSD)の第1の電力ポッドを介して電気信号のセットを受信することであって、前記第1の電力ポッドは、第1の整流器、第1の直流(DC)リンク、及び第1のインバータを備える、受信することと、
前記単一のVSDの第2の電力ポッドを介して前記電気信号のセットを受信することであって、前記第2の電力ポッドは、第2の整流器、第2のDCリンク、及び第2のインバータを備える、受信することと、
前記第1の電力ポッドを介して電動機の第1の巻線に第1の電圧を供給することと、
前記第2の電力ポッドを介して前記電動機の第2の巻線に第2の電圧を供給することと、を含み、
前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドのうちの一方が、前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドのうちの他方の停止中に前記電動機に電力を供給するよう動作するように、前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドは互いに独立に動作するように構成されており、
前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドはそれぞれが、前記電動機によって利用される電力の半分を供給するような定格を有し、
前記第1の巻線は、前記第2の巻線からガルバニック絶縁されている、方法。
【請求項7】
前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドは、マイクロプロセッサから前記電気信号のセットを受け取るように構成され、前記マイクロプロセッサは、パルス幅変調を介して前記電気信号のセットを生成するように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の電力ポッドは、前記第1のインバータを介して前記電気信号のセットを受信するように構成され、前記第2の電力ポッドは、前記第2のインバータを介して前記電気信号のセットを受信するように構成され、前記第1のインバータは、前記電気信号のセットに少なくとも部分的に基づいて前記第1の電圧を前記第1の巻線に供給するように構成され、前記第2のインバータは、前記電気信号のセットに少なくとも部分的に基づいて前記第2の電圧を前記第2の巻線に供給するように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の整流器は、電源から第1のAC電圧を受け取り、前記第1のAC電圧を第1のDC電圧に変換するように構成され、前記第2の整流器は、前記電源からの第2のAC電圧を受け取り、前記第2のAC電圧を第2のDC電圧に変換するように構成され、前記第1の電力ポッドの前記第1のDCリンクが、前記第1の整流器から前記第1のDC電圧を受け取るように構成され、前記第2の電力ポッドの前記第2のDCリンクが、前記第2の整流器から前記第2のDC電圧を受け取るように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電力ポッドの前記第1のインバータが、前記第1のDCリンクから前記第1のDC電圧を受け取り、前記第1のDC電圧を第1の
出力AC電圧に変換し、前記第1の
出力AC電圧を前記第1の巻線に供給するように構成され、前記第2の電力ポッドの前記第2のインバータが、前記第2のDCリンクから前記第2のDC電圧を受け取り、前記第2のDC電圧を第2の
出力AC電圧に変換し、前記第2の
出力AC電圧を前記第2の巻線に供給するように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
マイクロコントローラと、
前記マイクロコントローラから電気信号のセットを受信するように構成された単一の可変速駆動装置(VSD)であって、前記単一のVSDは、第1の電力ポッド及び第2の電力ポッドを備え、前記第1の電力ポッドは、第1の整流器、第1の直流(DC)リンク、及び第1のインバータを備え、前記第2の電力ポッドは、第2の整流器、第2のDCリンク、及び第2のインバータを備える、単一の可変速駆動装置(VSD)と、
電動機の第1の巻線を介して前記単一のVSDの前記第1の電力ポッドから第1の電力供給を受け取るとともに、前記電動機の第2の巻線を介して前記単一のVSDの前記第2の電力ポッドから第2の電力供給を受け取るように構成された電動機であって、前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドのうちの一方が、前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドのうちの他方の停止中に前記電動機に電力を供給するよう動作するように、前記第1の電力ポッドは前記第2の電力ポッドとは独立に動作するように構成されており、
前記第1の電力ポッド及び前記第2の電力ポッドはそれぞれが、前記電動機によって利用される電力の半分を供給するような定格を有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は互いにガルバニック絶縁されている、電動機と、
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、二重巻線電動機で使用する可変速駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チラーシステム、又は蒸気圧縮システムは、蒸気圧縮システムの動作に関連して様々な異なる温度及び圧力を受けることに応答して、相を蒸気、液体、及びそれらの組み合わせの間で変化させる、典型的には冷媒と呼ばれる作動流体を利用する。いくつかのチラーシステムでは、可変速駆動装置(VSD)が電動機に電力を供給して、チラーシステムの1つ以上の構成要素を駆動し得る。しかし、従来のVSDは、高出力電動機を必要とするチラーシステムで利用した場合、生産及び運転コストに関して非効率な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一実施形態では、暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムは、冷媒ループと、冷媒ループに沿って配置された圧縮機とを含む。圧縮機は、冷媒ループを通して冷媒を循環させるように構成されている。HVAC&Rシステムはまた、圧縮機を駆動するように構成された電動機、及び電動機に電力を供給するように構成された可変速駆動装置(VSD)を含む。VSDは更に、第1の電力を電動機に供給するように構成された第1の電力ポッド、及び第2の電力を電動機に供給するように構成された第2の電力ポッドを含む。
【0004】
本開示の別の実施形態では、方法は、可変速駆動装置の第1の電力ポッドを介して電気信号のセットを受信すること、可変速駆動装置の第2の電力ポッドを介して電気信号のセットを受信すること、第1の電力ポッドを介して電動機の第1の巻線に第1の電圧を供給すること、及び第2の電力ポッドを介して電動機の第2の巻線に第2の電圧を供給すること、を含む。第1の電力ポッド及び第2の電力ポッドは互いに独立に動作するように構成されている。
【0005】
本開示の別の実施形態では、システムは、マイクロコントローラと、マイクロコントローラから電気信号のセットを受信するように構成された可変速駆動装置(VSD)と、第1の電力供給及び第2の電力供給を、それぞれ第1の巻線及び第2の巻線を介してVSDから受け取るように構成された電動機と、を含む。第1の巻線及び第2の巻線は互いに電気的に絶縁されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一態様による、商業的設定にある暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムを利用し得る建物の実施形態の斜視図である。
【
図2】本開示の態様による、HVAC&Rシステムの実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示の態様による、
図2のHVAC&Rシステムの実施形態の概略図である。
【
図4】本開示の態様による、
図2のHVAC&Rシステムの実施形態の概略図である。
【
図5】本開示の態様による、
図2のHVAC&Rシステムの可変速駆動装置(VSD)と通信状態にある電動機の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムの生産及び運転コストを節約し得る可変速駆動装置システムを含む。例えば、電動機が、ある種のHVAC&Rシステムの1つ以上の運転を駆動する場合がある。電動機は、可変速駆動装置(VSD)によって給電され得る。しかし、ある種のHVAC&Rシステムは、より大きな電流を利用する場合がある、より大きな電動機を利用する場合もある。この目的のために、VSDは、ワイヤ及びインダクタなどの大きな構成要素を利用して、より高い電流を電動機に供給することができる。しかし、そのような大きな構成要素を利用するVSDは、製造及び/又は運転することが非現実的であり、過大な生産/保守コストが発生する場合がある。それに応じて、現在開示されている実施形態は、2つの電力ポッド又は2つの別個の電力供給を有するVSDを利用して、電動機の2つの電気的に分離された巻線に給電することができる。ある種の実施形態では、VSDは、2つの電気的に分離された巻線を有する既存の電動機と共に使用されてもよい。例えば、VSDの本実施形態を、レトロフィット用途で使用して、既存の電動機に電力を提供してもよい。
【0008】
本実施形態によれば、2つの電力ポッドはそれぞれが、電動機によって利用される電力の半分を供給するような定格を有してもよい。従って、各電力ポッドの電力出力が低いことに起因して、VSDはサイズが適切で操作が容易な構成要素を含み、それにより生産及び他のコストを節約することができる。更に、システムの二重性のおかげで、電力ポッドのうちの一方が電力供給を止めた場合、他方の電力ポッドが電動機に電力を供給し続け、それによりHVAC&Rシステムが運転を続けることが可能になり得る。このようにして、システムが生産を休止することに関連するコストを削減することができる。
【0009】
ここで図面に移ると、
図1は、典型的な商業的設定における、建物12内の暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システム10のための環境の一実施形態の斜視図である。HVAC&Rシステム10は、建物12を冷却するために使用され得る冷却された液体を供給する蒸気圧縮システム14を含み得る。HVAC&Rシステム10はまた、建物12を加熱する温かい液体を供給するボイラー16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムとを含み得る。空気分配システムはまた、空気戻りダクト18、空気供給ダクト20、及び/又は空気調和機22を含み得る。いくつかの実施形態では、空気調和機22は、導管24によってボイラー16及び蒸気圧縮システム14に接続された熱交換器を含み得る。空気調和機22の熱交換器は、HVAC&Rシステム10の動作モードに応じて、ボイラー16からの加熱された液体又は蒸気圧縮システム14からの冷たい液体のいずれかを受け取ることができる。HVAC&Rシステム10は、建物12の各フロアに個別の空気調和機を有して示されているが、他の実施形態では、HVAC&Rシステム10は、フロア間で共有され得る空気調和機22及び/又は他の構成要素を含み得る。
【0010】
図2及び
図3は、HVAC&Rシステム10で使用され得る蒸気圧縮システム14の実施形態である。蒸気圧縮システム14は、圧縮機32から続けて回路に冷媒を循環させ得る。回路はまた、凝縮器34、膨張弁又は膨張装置36、及び液体チラー又は蒸発器38を含み得る。蒸気圧縮システム14は、アナログ-デジタル(A/D)変換器42、マイクロプロセッサ44、不揮発性メモリ46、及び/又はインタフェースボード48を有する制御パネル40(例えば、コントローラ)を更に含み得る。
【0011】
蒸気圧縮システム14において冷媒として使用され得る流体のいくつかの例には、例えばR-410A、R-407、R-134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)といったハイドロフルオロカーボン(HFC)ベースの冷媒、アンモニア(NH3)、R-717、二酸化炭素(CO2)、R-744、若しくは炭化水素ベースの冷媒のような「天然」冷媒、水蒸気、又は任意の他の好適な冷媒がある。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、R-134aなどの中圧冷媒に対して低圧冷媒とも呼ばれる1気圧の圧力で摂氏約19度(華氏66度以下)の標準沸点を有する冷媒を効率的に利用するように構成され得る。本明細書で使用する場合、「標準沸点」は、1気圧の圧力で測定された沸点温度を指し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、可変速駆動装置(VSD)52、電動機50、圧縮機32、凝縮器34、膨張弁若しくは膨張装置36、及び/又は蒸発器38のうちの1つ以上を使用し得る。電動機50は、圧縮機32を駆動してもよく、可変速駆動装置(VSD)52により給電されてもよい。VSD52は、AC電源から特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を有する交流(AC)電力を受け取り、可変電圧及び周波数を有する電力を電動機50に提供する。他の実施形態では、電動機50は、AC又は直流(DC)電源から直接、給電され得る。電動機50は、スイッチドリラクタンスモータ、誘導電動機、電子整流永久磁石電動機、又は別の好適な電動機など、VSDによって、又は直接、AC若しくはDC電源から給電され得る任意のタイプの電気電動機を含み得る。
【0013】
圧縮機32は、冷媒蒸気を圧縮し、その蒸気を排出通路を通して凝縮器34に送達する。いくつかの実施形態では、圧縮機32は遠心圧縮機であり得る。圧縮機32によって凝縮器34に送達された冷媒蒸気は、凝縮器34内の冷却流体(例えば、水又は空気)に熱を伝達し得る。冷媒蒸気は、冷却流体との熱伝達の結果、凝縮器34で凝縮して冷媒液になり得る。凝縮器34からの冷媒液は、膨張装置36を通って蒸発器38に流れ得る。
図3に示す実施形態では、凝縮器34は水冷され、且つ冷却塔56に接続されたチューブ束54を含み、チューブ束54が冷却流体を凝縮器に供給する。
【0014】
蒸発器38に送達された冷媒液は別の冷却流体からの熱を吸収してもよく、この別の冷却流体は凝縮器34で使用される冷却流体と同じであっても、同じでなくてもよい。蒸発器38内の冷媒液は、冷媒液から冷媒蒸気への相変化を受ける場合がある。
図3に図示する実施形態に示すように、蒸発器38は、供給ライン60Sと、冷却負荷62に接続された戻りライン60Rとを有するチューブ束58を含み得る。蒸発器38の冷却流体(例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、又は任意の他の好適な流体)は、戻りライン60Rを介して蒸発器38に入り、供給ライン60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、冷媒との熱伝達を介してチューブ束58内の冷却流体の温度を低下させ得る。蒸発器38のチューブ束58は、複数のチューブ及び/又は複数のチューブ束を含み得る。いずれにせよ、冷媒蒸気は蒸発器38を出て、吸引ラインにより圧縮機32に戻って、サイクルが完了する。
【0015】
図4は、凝縮器34と膨張装置36との間に組み込まれた中間回路64を備える蒸気圧縮システム14の概略図である。中間回路64は、凝縮器34に直接的に流体接続される入口ライン68を有し得る。他の実施形態では、入口ライン68は、凝縮器34に間接的に流体的に結合され得る。
図4に図示する実施形態に示すように、入口ライン68は、中間容器70の上流に置かれた第1の膨張装置66を含む。いくつかの実施形態では、中間容器70はフラッシュタンク(例えば、フラッシュインタークーラー)であり得る。他の実施形態では、中間容器70は熱交換器又は「表面エコノマイザ」として構成され得る。
図4に示す実施形態では、中間容器70はフラッシュタンクとして使用され、第1の膨張装置66は、凝縮器34から受け取った冷媒液の圧力を下げる(例えば、膨張させる)ように構成されている。膨張プロセスの間、液体の一部が蒸発する場合があり、従って、中間容器70を使用して、第1の膨張装置66から受け取った液体から蒸気を分けることができる。加えて、中間容器70は、中間容器70に入るときに冷媒液が受ける圧力降下(例えば、中間容器70に入るときに受ける体積の急激な増加に起因する)ゆえに、冷媒液の更なる膨張をもたらす場合がある。中間容器70内の蒸気は、圧縮機32の吸引ライン74を通して圧縮機32に引き込まれ得る。他の実施形態では、中間容器内の蒸気は、圧縮機32の中間ステージ(例えば、吸引ステージではなく)に引き込まれ得る。中間容器70に集まる液体は、膨張装置66及び/又は中間容器70における膨張ゆえに、凝縮器34を出る冷媒液よりもエンタルピーが低い場合がある。次いで、中間容器70からの液体は、ライン72を流れて、第2の膨張装置36を通って蒸発器38に流れ得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、電動機50は高出力、例えば1300馬力を超える定格を有してもよい。それに応じて、VSD52は2つの電力ポッドを含んでもよく、それらのそれぞれが電動機50用の電力の半分を供給してもよい。このようにして、電力ポッドのうちの1つがその電力の供給を停止した場合、VSD52は、一定量の電力を電動機50に供給し続けることができる。更に、VSD52は、それぞれが電動機50用の電力の半分を供給する2つの電力ポッドを含むので、VSD52に関連するワイヤ及び他の構成要素(例えば、インダクタ)は、電動機50からの電力需要がより高いにもかかわらず、扱いやすいサイズのままであり得る。
【0017】
例えば、
図5に示すように、VSD52は、電力ポッド80を介して、より具体的には、第1の電力ポッド80a及び第2の電力ポッド80bを介して、電動機50に電力を供給することができる。各電力ポッド80は、三相ダイオード整流器ブリッジなどの整流器82、直流(DC)リンク84、及びインバータ86を含んでもよい。具体的には、第1の電力ポッド80aは、第1の整流器82a、第1のDCリンク84a、及び第1のインバータ86aを含んでもよく、第2の電力ポッド80bは、第2の整流器82b、第2のDCリンク84b、及び第2のインバータ86bを含んでもよい。
【0018】
図示した実施形態では、VSD52は、マイクロプロセッサ88から1つ以上の電気信号を受信してもよい。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ88は、1つ以上の処理ユニットを有する論理基板(例えば、プリント回路基板、集積回路など)であってもよい。ある種の実施形態では、マイクロプロセッサ88は、マイクロプロセッサ44(
図3及び
図4)の実施形態であり得る。マイクロプロセッサ88は、パルス幅変調(PWM)を利用して、AC電圧を表す1つ以上の電気信号を第1のインバータ86a及び第2のインバータ86bに供給してもよい。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ88は、単一経路91(例えば、ワイヤ、コネクタ、無線送信など)を介して電気信号のセットを生成し、電気信号は次いで分割され、第1のインバータ86a及び第2のインバータ86bのそれぞれに割り振られる。このようにして、それぞれ、第1の電力ポッド80aは第1のインバータ86aを介して、第2の電力ポッド80bが第2のインバータ86bを介して受信するのと同じ電気信号を受信することができる。
【0019】
更に、現在の実施形態では、VSD52は、電源89から電力を受け取ることができる。電源89は、発電機、送電網、太陽電池パネル、電池などの任意の好適な電源であってもよい。いくつかの実施形態では、VSD52は、2つの別個のマイクロプロセッサ88から電気信号を受信してもよい。実際、そのような実施形態では、別個のマイクロプロセッサ88が、実質的に同じである対応するインバータ82に電気信号を供給するように、別個のマイクロプロセッサ88は同期され得る。
【0020】
整流器82は、電源89からAC電圧を受け取ることができる。整流器82は、AC電圧をDC電圧に変換又は平滑化し得る全波ブリッジ整流器であり得る。特に、いくつかの実施形態では、整流器82は、AC電圧をDC電圧に変換するために全波ブリッジ構成で一緒に結合された構成要素、例えば、ダイオード、シリコン制御整流器(SCR)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、又はそれらの任意の組み合わせ、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、整流器82はまた、マイクロプロセッサ88から1つ以上のPWM信号を受信し得る。
【0021】
次いで、DCリンク84は、対応する整流器82からDC電圧を受け取り、DC電圧を対応するインバータ86に供給することができる。特に、DCリンク84は、1つ以上のインダクタ及び/又はコンデンサを含んでもよく、これらを利用して、整流器82から受け取った電流及び/又は電圧の変動を更に除去するか又は平滑化してもよい。DCリンク84はまた、過渡現象が、インバータ86から整流器82に戻ることを防止するために利用されてもよい。
【0022】
インバータ86は、対応するDCリンク84からDC電圧を受け取り、DC電圧を、適切な電圧及び周波数を有するAC電圧に変換してもよい。加えて、上述のように、インバータ86はまた、マイクロプロセッサ88からPWM信号を受信してもよい。次いで、インバータ86は、パルスDCバス電圧、又はパルス幅変調(PWM)を使用して正弦波電流を出力することができる。例えば、インバータ86は、DC電圧をAC電圧に変換するために、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの半導体デバイスから構成されてもよい。そのとき、各インバータ86は、三相電流を電動機50に供給し得る。特に、各インバータ86は、3つの別個のワイヤ90又は接続を含んでもよく、それぞれが互いに対して約120度オフセットされ得る電圧波形を、一緒に供給してもよい。
【0023】
図5に示すように、電力ポッド80はそれぞれ、デルタ構成の電動機50に三相電流を供給し得る。いくつかの実施形態では、電力ポッド80はそれぞれ、Y字構成の電動機50に三相電流を供給し得る。例えば、各ワイヤ90は、巻線の三角形結合の対応する頂点において、その個々の位相を供給し得る。具体的には、各電力ポッド80は、電動機50の固定子の周りに配置された電気的に絶縁された巻線に電力を供給し得る。このようにして、VSD52は、回転磁場を誘導し得る適切な電圧及び電流を電動機50の巻線に供給することができる。電動機50の回転子又はシャフトは、回転子内に配置された導体を介するなどして磁場と相互作用することができ、磁場は次に、回転子を回転させる力を生成することができる。
【0024】
例えば、電動機50は、デルタ構成の第1の巻線92と、やはりデルタ構成の第2の巻線94とを含み得る。実際、第1の巻線92及び第2の巻線94の両方は、電動機50の固定子内の同じスロット内に配置され得る。しかし、第1の巻線92及び第2の巻線94は互いに隣接して配置されていてもよいが、第1の巻線92及び第2の巻線94は互いにガルバニック絶縁されていてもよい。換言すれば、電流は第1の巻線92と第2の巻線94との間に流れない場合があり、第1の巻線92と第2の巻線94との間に直接的な導通経路がない場合がある。しかし、エネルギー及び/又は情報が、第1の巻線92と第2の巻線94との間で、例えば、静電容量、誘導、電磁波、光学、音響などを通じて交換されてもよい。すなわち、第1の巻線92と第2の巻線94とは一緒に短絡されていなくてもよい。
【0025】
実際、第1の巻線92に電力を供給する第1の電力ポッド80aは、第2の巻線94に電力を供給する第2の電力ポッド80bとは独立して動作/機能し得る。すなわち、各電力ポッド80は、電動機50が、その設計された総出力で動作するために使用される電力(例えば、電圧及び電流)の半分を供給し得る。特に、一方の電力ポッド80(例えば、第1の電力ポッド80a又は第2の電力ポッド80bのいずれか)は、他方の電力ポッド80が電動機50に電力を供給し続けている間は、電動機50に電力を供給しなくてもよい。従って、電力ポッド80の1つが対応する巻線(例えば、第1の巻線92又は第2の巻線94のいずれか)への電力の供給を停止した場合、電動機50は、その完全な標準出力の約半分など、ある程度は動作し続けてもよい。例示すると、電動機50のシャフト又は回転子は、第1の電力ポッド80a及び第2の電力ポッド80bから電力が供給されている間、第1の速度及びトルクで動作することができる。電力ポッド80のうちの1つが電動機50への電力の供給を停止した場合、電動機50のシャフト又は回転子は、第1の速度及びトルクに関連する電力のおよそ半分に対応し得る第2の速度及びトルクで動作し続けてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、単一の整流器が、入力AC電圧として、マイクロプロセッサ88からの信号のセット(例えば、AC電圧)、及び/又は電源89からのAC電圧を受け取ってもよい。次いで、単一の整流器82は、入力AC電圧をDC電圧に整流し、そしてDC電圧を単一のDCリンク84に供給してもよい。次いで、単一のDCリンク84は、DC電圧を、第1のインバータ86a及び第2のインバータ86bの両方に別々に送ってもよい。更に、少なくとも第1の電力ポッド80a及び第2の電力ポッド80bの二重性に起因して、第1のインバータ86a及び第2のインバータ86bのそれぞれの三相電力供給出力は実質的に互いに一致し得る。すなわち、第1の巻線92及び第2の巻線94はそれぞれ、実質的に同じ周波数、電圧、及び電流を有するAC電圧を受け取り得る。
【0027】
更に、本明細書に開示されるようなVSD52は、互いに絶縁された又はガルバニック絶縁された2組の巻線を有する、任意の適切なサイズの電動機50と共に利用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電動機50は、約800馬力、900馬力、1000馬力、1100馬力、1200馬力、1250馬力、1280馬力、1300馬力、1200~1300馬力、1300を超える馬力の出力、又は任意の他の適切な出力を有するように構成され得る。
【0028】
それに応じて、本開示は、2つの独立して動作する電力ポッドを有する可変速駆動装置(VSD)のシステム及び方法を提供することに関する。例えば、各電力ポッドは、マイクロプロセッサから電気信号のセットを受信し得る。具体的には、マイクロプロセッサは、各電力ポッド内のインバータに送られるパルス幅変調(PWM)制御信号であり得る電気信号のセットを出力し得る。更に、各電力ポッドは、整流器を介して電源からAC電圧を受け取ることができ、整流器はAC電圧をDC電圧に変換することができる。次いで、各電力ポッドは、対応するDCリンクを介して、その対応する整流器からDC電圧を受け取ることができる。次いで、対応するDCリンクは、DC電圧を対応するインバータに供給することができる。次いで、対応するインバータは、DC電圧を三相AC電圧源に変換することができる。次いで、インバータは、三相AC電圧源を、電動機のガルバニック絶縁された、又は電気的に絶縁された対応する巻線に送ることができる。実際、いくつかの実施形態では、三相AC電圧源は、マイクロプロセッサからの入力、及び/又は対応するDCリンクからの入力に基づいてもよい。このようにして、VSDは、扱いやすい構成要素を利用しながら、1200馬力の出力を超える定格を有する電動機などの大型電動機に電力を供給することができる。特に、ある種の場合では、単一の電力ポッドを有するVSDが、扱いにくいサイズのワイヤ及び他の構成要素を利用し、それにより過大な生産コストが発生する場合がある。更に、現在の実施形態における電力ポッドの二重性により、電力ポッドのうちの1つが動作を停止した場合に、電動機が動作を続けることができる。実際、各電力ポッドは、互いに独立して動作し得る。更に、各電力ポッドが電動機を動作させる電力出力が低下することにより、VSD内の構成要素の寿命が延びる場合がある。その上、2つの独立して動作する電力ポッドを利用する本明細書で論じる実施形態は、2組の電気的に分離された巻線を含むように製造された既存の電動機などの任意の好適な電動機と共に利用できることに留意されたい。
【0029】
ある種の特徴及び実施形態のみを図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正及び変更(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値(例えば、温度、圧力など)、取り付け構成、材料の使用、色、向きなどにおける変形形態)を想到し得る。任意のプロセス又は方法ステップの順番又は順序は、代替的な実施形態に従って変更又は再順序付けされ得る。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるものとして、そのような全ての修正及び変更を包含することが意図されていることを理解されたい。更に、例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実現形態の全ての特徴が説明されているわけではない場合がある(すなわち、現在企図される本発明の最良の実施形態に関係しないもの、又は特許請求の範囲に記載された発明を実現するのに関係しないものが説明されていない場合がある)。いかなるそのような実際の実現形態の開発においても、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、実現形態に固有の多数の決定が行われ得ることを理解されたい。そのような開発努力は、複雑で時間がかかる場合があるが、それにもかかわらず、本開示の便宜を受ける当業者にとっては、過度の実験を伴わない設計、製作、及び製造における日常業務であろう。