(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ターゲット上に材料を印刷することによる眼の屈折治療及び眼の屈折治療を行うためのシステムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20240117BHJP
A61F 9/01 20060101ALI20240117BHJP
A61F 2/14 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61F9/008 120A
A61F9/01
A61F9/01 100
A61F2/14
(21)【出願番号】P 2020536951
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 IB2019050441
(87)【国際公開番号】W WO2019150218
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-05
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ベルント バルム
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0325499(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264980(US,A1)
【文献】米国特許第09744029(US,B1)
【文献】特開2017-013288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0208300(US,A1)
【文献】国際公開第2016/207739(WO,A1)
【文献】米国特許第06436093(US,B1)
【文献】国際公開第2017/024090(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0069566(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0203554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61F 9/01
A61F 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の屈折治療を行うためのシステムであって、
レーザビームを放射して、前記眼を前記屈折治療に対して準備させるように構成されたレーザと、
材料をターゲットの印刷領域上に印刷するように構成されたプリンタであって、
前記材料を前記印刷領域上に導くように構成されたプリンタヘッドと、
前記プリンタヘッドを移動させて前記材料を前記印刷領域の特定の場所に導くように構成されたプリンタコントローラと、含む、プリンタと、
コンピュータであって、
前記ターゲットに対するパターン用の命令を記憶するように構成されたメモリであって、前記パターンが前記眼の前記屈折治療を提供するように設計されている、メモリと、
前記プリンタヘッドを移動させて前記パターンに従って前記材料を前記印刷領域上に印刷するように前記プリンタコントローラに命令するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含み、前記ターゲットは眼であり、前記印刷領域は前記眼の角膜に位置し、さらに前記材料は遠視を矯正する形状で前記角膜の基質上に印刷される、コンピュータと、を備え、
前記ターゲットの動きを追跡するように構成されたアイトラッカを更に備え、
前記1つ以上のプロセッサが、
前記ターゲットの動きを説明する情報を受信し、
前記プリンタコントローラへの前記命令を調整して前記ターゲットの前記動きを補償する、ように更に構成されて
おり、
前記印刷領域の画像を生成して前記材料の前記印刷を監視するように構成されたカメラを更に備える、システム。
【請求項2】
前記ターゲットを特定の場所及び位置に保持するように構成されたインターフェースを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ターゲットが前記眼を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レーザが、前記眼の角膜にフラップを作成することによって前記眼を準備させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザが、前記眼の角膜にポケットを作成することによって前記眼を準備させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記レーザが、前記眼の上皮を除去することによって前記眼を準備させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記材料を硬化させる光を用いて前記印刷領域を照明するように構成された硬化照明器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記眼の角膜の架橋を促進する角膜架橋溶液を前記眼の上に導くように構成されたディスペンサを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記印刷領域への前記材料上の接着を促進する接着剤を前記印刷領域上に導くように構成されたディスペンサを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記材料が、生物学的又は生体適合性材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記レーザが、前記屈折治療の後続ステップを実行するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
眼の屈折治療を行うためのシステムの作動方法であって、前記システムは1つ以上のコンピュータと、メモリとを備え、前記システムの作動方法は、
前記コンピュータが、材料をターゲットの印刷領域上に印刷するように構成されたプリンタと通信することであって、前記プリンタがプリンタヘッドとプリンタコントローラとを備え、前記プリンタヘッドが前記材料を前記印刷領域上に導くように構成されており、前記プリンタコントローラが、前記プリンタヘッドを移動させて前記材料を前記印刷領域の特定の場所に導くように構成されている、通信することと、
前記コンピュータが、前記ターゲットに対するパターン用の命令にアクセスすることであって、前記パターンが前記眼の前記屈折治療を提供するように設計されている、アクセスすることと、
前記コンピュータが、前記プリンタヘッドを移動させて前記パターンに従って材料を前記印刷領域上に印刷するように前記プリンタコントローラに命令することと、を含み、前記ターゲットは眼であり、前記印刷領域は前記眼の角膜に位置し、前記方法は、
前記コンピュータが、アイトラッカを使用して、前記ターゲットの動きを追跡することと、
前記コンピュータが、前記ターゲットの動きを説明する情報を受信することと、
前記コンピュータが、前記プリンタコントローラへの前記命令を調整して前記ターゲットの前記動きを補償することと、を更に含
み、
前記システムは、前記印刷領域の画像を生成して前記材料の前記印刷を監視するように構成されたカメラを更に備える、方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、前記ターゲットを特定の場所及び位置に保持するように構成されたインターフェースを提供すること、を更に含む、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、眼の屈折治療に関し、より詳細には、ターゲット上に材料を印刷することによる眼の屈折治療に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の屈折治療とは、視力を改善するように、眼の屈折特性を変化させて屈折異常を低減するために行われる手術を指す。屈折異常は、眼の形状が光を正しく屈曲させない場合に発生し、結果として画像をぼやけさせる。屈折異常の主なタイプは、近視(近眼)、遠視(遠眼)、老眼(年齢とともに近見視力喪失)、及び乱視である。典型的な屈折治療には、レーザ角膜切開術(LASIK)、光屈折角膜切除術(PRK)、放射状角膜切開術(RK)、乱視角膜切開術(AK)、自動層状角膜形成術(ALK)、レーザ熱角膜形成術(LTK)、導電性角膜形成術(CK)、及び角膜内リング(Intacs)が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態では、眼の屈折治療を行うためのシステムは、レーザ、プリンタ、及びコンピュータを備える。レーザは、レーザビームを放射して、眼を屈折治療に対して準備させる。プリンタは、材料をターゲットの印刷領域上に印刷する。プリンタは、プリンタヘッドとプリンタコントローラとを備える。プリンタヘッドは、材料を印刷領域上に導き、プリンタコントローラは、プリンタヘッドを移動させて材料を印刷領域の特定の場所に導く。コンピュータは、メモリとプロセッサとを備える。メモリは、ターゲットに対するパターン用の命令を記憶する。パターンは眼の屈折治療を提供するように設計されている。プロセッサは、プリンタヘッドを移動させてパターンに従って材料を印刷領域上に印刷するようにプリンタコントローラに命令する。
【0004】
特定の実施形態では、眼の屈折治療を行うための方法は、レーザからレーザビームを放射して、眼を屈折治療に対して準備させることを含む。コンピュータは、材料をターゲットの印刷領域上に印刷するように構成されたプリンタと通信し、プリンタは、材料を印刷領域上に導くプリンタヘッドと、プリンタヘッドを移動させて材料を印刷領域の特定の場所に導くプリンタコントローラとを備える。コンピュータは、ターゲットに対するパターン用の命令にアクセスし、パターンは、眼の屈折治療を提供するように設計されている。コンピュータは、プリンタヘッドを移動させてパターンに従って材料を印刷領域上に印刷するようにプリンタコントローラに命令する。
【0005】
本開示の実施形態は、添付された図面を参照して、例としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、眼の屈折治療のためのシステムの一例を示す。
【
図2】
図2は、眼の屈折治療のための方法の一例を示す。
【
図3】
図3は、遠視の矯正のために
図1のシステムによって作成されたインプラントの一例を示す。
【
図4】
図4は、遠視の矯正のために
図1のシステムによって堆積された材料の一例を示す。
【
図5】
図5は、乱視の矯正及び/又は生体力学的安定性の改善のために
図1のシステムによって堆積された材料の一例を示す。
【
図6】
図6は、近視の矯正のために
図1のシステムによって堆積された材料の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで説明及び図面を参照すると、開示されている装置、システム、及び方法の例示的な実施形態が詳細に示されている。当業者には明らかなように、開示された実施形態は例示であり、全ての可能な実施形態を網羅するものではない。
【0008】
図1は、眼12aの屈折治療のためのシステム10の一例を示す。システム10は、眼12aに屈折治療を提供するように設計されたパターン16に従って、材料(例えば、生物学的又は生体適合性材料)をターゲット12の印刷領域上に印刷するプリンタ14を含む。いくつかの場合では、ターゲット12は眼12aであってもよく、プリンタ14は、屈折治療を行うために材料を眼12a上に直接的に印刷する。他の場合では、ターゲット12は、インプラント基材12bであり得る。インプラント基材12bに材料が印刷されると、屈折治療用に眼12a内に埋め込むインプラントが得られる。
【0009】
図示される実施形態では、システム10は、コンピュータ20、プリンタ14、レーザ22、アイトラッカ24、固定ビームシステム26、機械的固定具27、カメラ28、硬化照明器30、及びディスペンサ32、を備える。コンピュータ20は、1つ以上のプロセッサ40と、パターン16を記憶する1つ以上のメモリ42とを含む。プリンタ14は、プリンタヘッド44とプリンタコントローラ46とを含む。
【0010】
概要として、特定の実施形態では、コンピュータ20はシステム10の構成要素を制御する。レーザ22は、例えば、印刷される眼12aの角膜の領域を露光することによって、又はインプラントを受容するために角膜内に切開を施すことによって、眼12aを屈折治療に対して準備させる。メモリ42は、眼12aの屈折治療を提供するように設計されたパターン16を記憶する。プリンタ14は、パターン16に従って材料をターゲット12上に印刷する。固定ビームシステム26及び/又は機械的固定具27は、ターゲット12を安定させてターゲット12の動きを低減する。アイトラッカ24は、ターゲット12の動きを追跡し、その動きを説明する情報をコンピュータ20に送信し、それに応じて、コンピュータ20はその動きを補償するようにプリンタ14に命令することができる。硬化照明器30は、印刷された材料を、材料の硬化を促進する光で照明する。ディスペンサ32は、ターゲット12への材料の接着を促進する接着剤、及び/又は角膜内の架橋を促進する架橋溶液を分配する。カメラ28は、治療の画像を生成して、治療の監視を支援する。
【0011】
システム10は、眼12aの屈折治療を提供する。屈折治療は、眼12aの屈折特性を変化させて視力を改善する処置を含む。パターン16は、視力を改善する結果(例えば、結果としての角膜形状)を得るために、材料がターゲット12の印刷領域上のどこに印刷されるべきかを示す。例えば、パターン16は、眼12aが処置から回復した後に、印刷された材料が眼12aの視力を改善する形状を眼12aにもたらすように、材料が眼12aの印刷領域上のどこに印刷されるべきかを示し得る。別の例として、パターン16は、眼12aがインプラント処置から回復した後に、インプラントが眼12aの視力を改善するように、材料をインプラント基材12bの印刷領域上のどこに印刷してインプラントを生成すべきかを示し得る。パターン16の例を、
図3~
図6に示す。
【0012】
いくつかの実施形態では、ターゲット12は、人間又は他の動物の眼などの眼12aである。他の実施形態では、ターゲット12は、眼用インプラントのためのインプラント基材12bである。眼用インプラントは、視力を改善するために眼12a内に外科的に埋め込まれる人工補助具である。インプラント基材12bは、その上に材料を印刷してインプラントを形成し得る基材である。インプラント基材12bは、任意の適切な透明生体適合性材料、例えば、ヒアルロナン(ヒアルロン酸とも呼ばれる)又はコラーゲンを含み得る。インプラント基材12bは、任意の適切なサイズ又は形状を有し得る。例えば、インプラント基材12bは、0.5~12ミリメートル(mm)のレンジ、又は0.5~5mm、5mm~8mm、及び/又は8~12mmなどのサブレンジの直径を有する円形又は環状であってもよい。ターゲット12の印刷領域は、材料が印刷される領域であり得る。
【0013】
説明を補助するために、この説明では、眼科手術で一般に使用される座標系を使用する。この座標系では、眼に作用するレーザビームがz軸を定義し、xy平面はz軸に垂直な平面である。一般に、xy平面は、瞳孔、頂点、又は眼の頂点によって定義される平面と一致する。
【0014】
固定ビームシステム26及び/又は機械的固定具27は、ターゲット12を安定させてターゲット12の動きを低減する。固定ビームシステム26は、患者が眼12aを動かすのを防止するように彼らの注視をその上に固定する固定ビームを提供する。機械的固定具27は、眼12aの動きを低減又は防止するために眼12aに取り付けられる。機械的固定具27の例には、角膜吸引リングなどの患者インターフェースが含まれる。
【0015】
レーザ22は、眼12aを屈折治療に対して準備させる。レーザ22は、眼12aの角膜と相互作用(例えば、光破壊又は光切除)するレーザビームを生成及び放射する任意の適切なレーザ外科デバイスであり得る。レーザ外科デバイスは、典型的には、レーザビームを生成するレーザ源(例えば、フェムト又はエキシマ)、及びレーザビームの焦点をターゲットの特定の点に導く走査構成要素(例えば、光学系)を備える。レーザ22は、任意の適切な方法で角膜と相互作用することにより、眼12aを治療に対して準備させる。例えば、レーザ22は、角膜にフラップを作成することにより、又は眼12aの上皮の全部若しくは一部を除去すること(例えば、光線角膜切除術(PTK))により、眼12aの角膜の印刷領域を露出させてもよい。別の例として、レーザ22は、角膜内に切開部(例えば、ポケット)を作成して、インプラントを受容することができる。別の例として、レーザ22は、治療の後続ステップを実行してもよい。例えば、レーザ22は、角膜又は印刷された材料を成形して、所定の屈折特性を生じさせるか、又は治療を完了するための他のアクションを実行してもよい。特定の実施形態では、レーザ22は、異なるレーザビームを生成する異なるレーザ源を組み込んでもよく、例えば、レーザ22は、角膜又は印刷された材料を光破壊するビーム、及び角膜又は印刷された材料を切除するビームを生成する供給源を有してもよい。
【0016】
プリンタ14は、ターゲット12の印刷領域上に材料を印刷し、デジタル命令に従って材料を印刷領域上に堆積させるように構成された任意の適切なプリンタを備えてもよい。例えば、プリンタ14は、特定の形状及びサイズで構成された材料を生成するために連続する材料の層を堆積させる3D又は付加的な製造用プリンタであり得る。プリンタ14は、プリンタヘッド44とプリンタコントローラ46とを含む。プリンタヘッド44は、材料を印刷領域上に導き、材料を表面上に堆積させる任意の適切なプリンタ押出機であり得る。プリンタコントローラ46は、プリンタヘッドをx、y、z方向に移動させて、材料を印刷領域の特定の場所に導き、コンピュータ20から命令を受信してパターン16に従ってプリンタヘッド44を移動させることができる。
【0017】
材料は、生物学的及び/又は生体適合性である任意の適切な透明又は半透明の材料を含む。そのような材料の例には、培養コラーゲン材料、ヒト又は動物の細胞材料、生体適合性プラスチック、又はヒアルロン酸が含まれる。特定の場合には、その上で上皮が成長できる材料が使用されてもよい。そのような材料は、角膜細胞及び細胞外材料の最適な栄養、生涯にわたる光透過性、及び上皮成長用の支持表面特性を提供し得る。
【0018】
アイトラッカ24は、ターゲット12の動きを追跡して、ターゲット12上に材料を正確に印刷するのを助ける。アイトラッカ24は、ターゲットの眼12aがターゲットインプラント基材12bよりも移動し、且つ追跡を必要とする可能性が高いときに、眼12aを追跡し得る。しかしながら、アイトラッカ24は、任意のタイプのターゲット12を追跡するために使用され得る。アイトラッカは、眼12aの並進運動及び/又は角運動(又は回転運動)を検出する。特定の実施形態では、画像処理を使用して、眼12aの中心点、例えば、瞳孔を位置特定し、並進運動を判定する。画像処理を使用して、眼12aの特徴(例えば、血管、虹彩の特徴、又は任意の他の適切な特徴)を特定して、角運動を判定する。
【0019】
アイトラッカ24がターゲット12の動きを検出すると、アイトラッカ24はコンピュータ20に通知し、コンピュータ20は、ターゲット12の動きを補償するようにプリンタコントローラ46への命令を調整する。例えば、ターゲット12が特定の量を並進及び/又は回転する場合、プリンタコントローラ46は、その特定の量のパターン16を並進及び/又は回転することによって動きを補償する。
【0020】
他の実施形態では、インターフェースは、アイトラッカ24が必要とされ得ないように、ターゲット12を所望の場所及び位置に固定又は保持してもよい。例えば、患者インターフェースが、例えば、吸引を使用して眼12aを適所に保持してもよい。
【0021】
硬化照明器30は、材料を硬化させる光を用いて、印刷領域を照明する。光は、材料及び任意選択的に眼の角膜の架橋を促進することによって、材料を硬化させ得る。硬化光の例には、400~500nmの紫外光又は光(LED光など)が含まれる。
【0022】
ディスペンサ32は、処置中にターゲット12上に液体を堆積させる。例えば、ディスペンサ32は、眼12aの角膜の架橋を促進する角膜架橋溶液を眼12a上に導く。角膜架橋溶液の例には、リボフラビン溶液又は他の適切な溶液が含まれる。別の例として、ディスペンサ32は、印刷領域上への材料の接着を促進する接着剤を印刷領域上に導く。接着剤は、フィブリンを含み得る。
【0023】
カメラ28は、印刷領域の画像を生成して材料の印刷を監視する。カメラ28は、オブジェクトの画像を生成できる任意の適切なシステムを備え得る。カメラ28の例には、印刷領域の画像を作成するために使用できるOCTスキャンを生成するOCTシステム(時間領域又は周波数領域OCTシステムなど)が含まれる。
【0024】
図2は、
図1のシステム10によって実行され得る、ターゲット12上に材料を印刷することによる眼12aの屈折治療のための方法の一例を示す。この方法はステップ110において開始し、ここでレーザ22は、眼12aを屈折治療に対して準備させる。処置に応じて、レーザ22は、眼12aの角膜にフラップを作成してLASIK処置に対して準備させ、角膜インプラントを受容するように設計されたポケットを角膜に作成し、又は眼12aの上皮を除去してPRK処置に準備させ得る。
【0025】
ステップ112において、ターゲット12の印刷領域を準備する。ターゲット12は、眼12a自体、又は眼12a内に埋め込まれるインプラント用のインプラント基材12bであり得る。印刷領域は、任意の適切な方法で準備され得る。例えば、ディスペンサ32は、印刷領域上への材料の接着を促進する接着剤を印刷領域上に導くことができる。カメラ28は、ステップ114において印刷領域の画像(OCTスキャン画像など)を生成して、材料の印刷を監視する。
【0026】
ステップ116において、プリンタ14は、眼12aに屈折治療を提供するように設計されたパターン16に従って、材料を印刷領域上に印刷する。材料は、生物学的及び/又は生体適合性である透明材料であり得る。ターゲット12がインプラント基材12bである場合、ステップ116がステップ110の前に起こるように、ステップ116は処置より前に実行され得ることに留意されたい。
【0027】
アイトラッカ24は、ステップ117においてターゲット12の動きを追跡する。動きは、ステップ118において検出され得る。動きが検出された場合、コンピュータ20は、ターゲット12の動きを説明する情報を受信し、その動きを補償するようにプリンタ14に命令する。次いで、方法は、ステップ122に進む。動きが検出されない場合、方法は、ステップ122に直接的に移動する。患者インターフェースを使用してターゲット12を所定の位置に固定する実施形態では、方法は通常、ステップ117、118、及び122を実行しない。
【0028】
硬化照明器は、ステップ122において、材料を硬化させる光を用いて印刷領域を照明する。ステップ124は、処置、及びターゲット12が眼12aであるか又はインプラント基材12bであるかに依存する。ターゲット12がインプラント基材12bである場合、方法はステップ126に移動し、ここでインプラントが眼12a内に挿入される。次いで、方法は、ステップ128に進む。ターゲット12が眼12aである場合、方法は、ステップ128に直接的に移動する。
【0029】
ステップ128において、ディスペンサ32は、角膜の架橋を促進する角膜架橋溶液を眼12a上に導く。処置は、処置に依存するステップ130において完了する。例えば、LASIK処置では、処置を完了するにはフラップを閉じることを伴い得る。そうして、方法は終了する。方法が終了すると、修復プロセスが開始する。例えば、方法が上皮を除去する場合、それを印刷されたインプラントの上に再成長させる。
【0030】
図3~
図6は、3D形状の作成をガイドするパターン16を使用して作成され得るインプラント及び堆積材料を示している。パターン16は、3Dシステムによって作成されたステレオリソグラフィCADソフトウェアに固有のSTLファイルフォーマットなどの、3D印刷可能ファイルとして記憶されてもよい。
【0031】
図3は、遠視の矯正のためにシステム10によって作成されたインプラント54の一例を示している。この例では、眼12aは、角膜50と上皮52とを有する。インプラント54は、コンタクトレンズの形状と同様の形状を有することができ、角膜50のポケット56内に挿入される。
【0032】
図4は、遠視の矯正のためにシステム10によって堆積された材料60の一例を示している。この例では、上皮52の一部が除去されている。システム10は、遠視を矯正する形状で、角膜50の露出した基質上に材料60を堆積させる。堆積した材料60は、基質上に配置された薄い層の形状を有し得る。上皮52は、材料60の上に成長する。
【0033】
図5は、乱視の矯正及び/又は生体力学的安定性(例えば、円錐角膜)の改善のために、システム10によって堆積された材料60の一例を示している。この例では、上皮52の一部が除去されている。システム10は、乱視を矯正し、及び/又は生体力学的安定性を改善する形状で、角膜50の露出した基質上に材料60を堆積させる。堆積した材料60は、基質上に配置されたドームの形状を有し得る。上皮52は、材料60の上に成長する。
【0034】
図6は、近視の矯正のためにシステム10によって堆積された材料60の一例を示している。この例では、上皮52の一部が除去されている。システム10は、近視を矯正する形状で、角膜50の露出した基質上に材料60を堆積させる。堆積した材料60は、基質上に配置された環状リングの形状を有し得る。上皮52は、材料60の上に成長する。
【0035】
本明細書で開示されるシステム及び装置の構成要素(例えば、コンピュータ)は、インターフェース、ロジック、及び/又はメモリを含むことができ、それらのいずれもがハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。インターフェースは、構成要素への入力を受信し、構成要素からの出力を提供し、並びに/又は入力及び/若しくは出力を処理することができる。ロジックは構成要素の動作を実行でき、例えば、入力から出力を生成する命令を実行できる。ロジックは、1つ以上のコンピュータ又は1つ以上のマイクロプロセッサなどのプロセッサであり得る。ロジックは、コンピュータプログラム又はソフトウェアなど、コンピュータによって実行できる、メモリにエンコードされたコンピュータ実行可能命令であり得る。メモリは、情報を記憶することができ、1つ以上の有形の非一時的なコンピュータ可読のコンピュータ実行可能記憶媒体を含み得る。メモリの例には、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み取り専用メモリ(ROM))、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、取り外し可能記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオディスク(DVD))、及びネットワークストレージ(例えば、サーバ又はデータベース)が挙げられる。
【0036】
この開示は特定の実施形態に関して説明されてきたが、実施形態の修正(置換、追加、変更、又は省略など)は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなしに、実施形態に修正を加え得る。例えば、本明細書に開示されているシステム及び装置に修正を加え得る。システム及び装置の構成要素は、統合又は分離されてもよく、システム及び装置の動作は、より多い、より少ない、又は他の構成要素によって実行されてもよい。別の例として、本明細書に開示されている方法に修正を加え得る。方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含むことができ、ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。