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特許74215063Dプリント物体から支持材料を除去するための組成物およびその調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】3Dプリント物体から支持材料を除去するための組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20240117BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240117BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240117BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240117BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y70/00
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020572483
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019039338
(87)【国際公開番号】W WO2020006141
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/690,285
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519127340
【氏名又は名称】ポストプロセス テクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンソン, ダニエル, ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ファーファグリア, マーク
(72)【発明者】
【氏名】グラント, キャシディ
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル, マシュー,ジェイ
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-095365(JP,A)
【文献】特開2012-052024(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009047237(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/106,64/35,64/40
B33Y 10/00,40/00,70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
完成物体を作り出すために3Dプリント物体から不要な材料を除去するための仕上げ溶液であって、
0.0002~20重量%の塩基、
0.35~49.5重量%のポリオール、
0.005~15重量%の第1の泡立ち防止剤、
0.0005~2.5重量%の第1の腐食剤、
0.0005~2.5重量%の第2の腐食剤、ここで前記第1の腐食剤および前記第2の腐食剤は共役酸塩基対、
0.0005~2.5重量%の第3の腐食剤、および
水を含み、
仕上げ溶液のpHが11以上である仕上げ溶液。
【請求項2】
0.0005~5.0重量%の乳化剤をさらに含む請求項1記載の仕上げ溶液。
【請求項3】
最大1重量%の添加剤をさらに含む請求項1または2記載の仕上げ溶液。
【請求項4】
0.005~15重量%の第2の泡立ち防止剤をさらに含む請求項1~3のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項5】
0.0002~6重量%の塩基、
最大1重量%の添加剤、
最大1重量%の第1の腐食剤、
0.001~2重量%の第1の泡立ち防止剤、
0.001~2重量%のポリオール、
0.0005~1重量%の乳化剤、および
水を含み、
仕上げ溶液のpHが11以上である請求項1~4のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項6】
前記塩基は、1~50重量%が塩基の水溶液である請求項1~5のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項7】
前記塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、およびその組み合わせから選ばれる請求項6記載の仕上げ溶液。
【請求項8】
前記添加剤は硫酸ナトリウムである請求項3~7のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項9】
前記第1の腐食剤および前記第2の腐食剤は、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、リン酸カリウムナトリウム、リン酸カリウムカルシウム、リン酸ナトリウムカルシウム、およびその組み合わせから選ばれる請求項2~8のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項10】
前記第3の腐食剤はケイ酸ナトリウムまたはメタケイ酸ナトリウムである請求項2~9のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項11】
前記第1の腐食剤は炭酸カリウム/炭酸ナトリウム、前記第2の腐食剤は炭酸水素カリウム/炭酸水素ナトリウムである請求項2~10のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項12】
前記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノール、およびその組み合わせから選ばれる請求項2~11のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項13】
前記乳化剤は、ポリソルベート、石鹸、脂肪酸スルホン酸塩、エトキシ化プロピレングリコールを含むエトキシ化物、レシチン、ポリグルコン酸塩、第4級アンモニウム脂肪酸付加物、リグニンスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシ化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール、胆汁塩(デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、ポリオキシルヒマシ油、シクロデキストリン、カプリル酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびその組み合わせから選ばれる請求項2~12のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項14】
前記塩基が水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液であり、
前記添加剤が硫酸ナトリウムであり、
前記第1の腐食剤が炭酸水素ナトリウムであり、
前記第2の腐食剤が炭酸カリウムであり
前記ポリオールがプロピレングリコールであり、
前記乳化剤がポリソルベート80である請求項4~13のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項15】
前記塩基が水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液であり、
前記第1の腐食剤が炭酸カリウムであり、
前記第2の腐食剤がリン酸三ナトリウムであり、
前記第3の腐食剤がメタケイ酸ナトリウムであり、
前記ポリオールがプロピレングリコールであり、
記乳化剤がポリソルベート80である請求項14記載の仕上げ溶液。
【請求項16】
仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を、前記成分Aと前記成分Bを組み合わせたものの合計体積百分率が20体積%を超えないように混合することで調製されており、
前記成分Aは、
前記塩基、
前記添加剤、
前記第1の腐食剤、
前記第2の腐食剤、
水を含み、かつ
前記成分AのpHが13以上であり、
前記成分Bは、
前記第1の泡立ち防止剤、
前記第2の泡立ち防止剤、
前記ポリオール、
前記乳化剤、および
水を含む請求項4~15のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項17】
0.1~19.9体積%が前記成分Aであり、ここで前記成分Aは、
前記塩基を20~60重量%、
前記添加剤を最大5重量%、
前記第1の腐食剤を最大5重量%、
前記第2の腐食剤を最大5重量%、および
水を含み、
0.1~19.9体積%が前記成分Bであり、ここで前記成分Bは、
前記第1の泡立ち防止剤を最大10重量%、
前記第2の泡立ち防止剤を最大10重量%、
前記ポリオールを1~10重量%、
前記乳化剤を0.5~5重量%、および
水を含む請求項16記載の仕上げ溶液。
【請求項18】
4±0.5体積%が前記成分Aであり、ここで前記成分Aは、
水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液を50重量%、
硫酸ナトリウムを1重量%、
炭酸水素ナトリウムを0.1重量%、
炭酸カリウムを0.1重量%、および
水を48.8重量%含み、
4±0.5体積%が前記成分Bであり、ここで前記成分Bは
プロピレングリコールを2.5重量%、
ポリソルベート80を1重量%、および
水を91.5重量%含む請求項16または17記載の仕上げ溶液。
【請求項19】
仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を、前記成分Aと前記成分Bを組み合わせたものの合計体積百分率が20体積%を超えないように混合することで調製されるものであり、ここで
前記成分Aは、
前記塩基、
前記添加剤、
前記第1の腐食剤、
前記第2の腐食剤、
前記第3の腐食剤、および
水を含み、
前記成分Bは、
前記ポリオール、
前記乳化剤、
前記第1の泡立ち防止剤、
前記第2の泡立ち防止剤、および
水を含む請求項4~15のいずれかに記載の仕上げ溶液。
【請求項20】
0.1~19.9体積%が前記成分Aであり、ここで前記成分Aは、
前記塩基を20~60重量%、
前記第1の腐食剤を0.05~10.0重量%、
前記第2の腐食剤を0.05~10.0重量%、
前記第3の腐食剤を0.05~10.0重量%、および
水を含み、
0.1~19.9体積%が前記成分Bであり、ここで前記成分Bは、
前記ポリオールを0.05~5.0重量%、
前記乳化剤を0.05~5.0重量%、
前記第1の泡立ち防止剤を0.05~5.0重量%、
前記第2の泡立ち防止剤を0.05~5.0重量%、および
水を含む請求項19記載の仕上げ溶液。
【請求項21】
4±0.5体積%が前記成分Aであり、ここで前記成分Aは、
45重量%KOH水溶液を50重量%、
メタケイ酸ナトリウムを8.0重量%、
リン酸三ナトリウムを4.0重量%、
炭酸カリウムを3.0重量%含み、
残りが水であり、
1±0.5体積%が前記成分Bであり、ここで前記成分Bは、
プロピレングリコールを2.50重量%、
前記第1の泡立ち防止剤、
前記第2の泡立ち防止剤、
ポリソルベート80を1.00重量%含み
残りが水である含む請求項19または20記載の仕上げ溶液。
【請求項22】
物体から支持材料を除去する方法であって、
i)前記物体またはその一部から前記支持材料を除去するために請求項1~15のいずれかに記載の仕上げ溶液を与えること、および、
ii)前記物体から前記仕上げ溶液を除去すること、を含む方法。
【請求項23】
前記支持材料は、ポリジェット方式プリント工程または熱溶解積層法(FDM)工程で生じたものである請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記仕上げ溶液の加熱をさらに含む請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
前記仕上げ溶液は、摂氏46.1~65.5度(華氏115~150度の温度まで加熱されるものであり、これは摂氏0.0056度(華氏0.01度の値および間の範囲のすべてを含む請求項22~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記仕上げ溶液を与えることには、1~40psiの圧力まで前記仕上げ溶液の圧力を上げることが含まれる請求項22~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記仕上げ溶液は、請求項16~18のいずれかに記載の成分A、請求項16~18のいずれかに記載の成分B、および水を混合することで調製されている請求項22~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記仕上げ溶液は、請求項19~21のいずれかに記載の成分A、請求項19~21のいずれかに記載の成分B、および水を混合することで調製されている請求項22~26のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(参照出願)
本特許出願は、2018年6月26日に出願された米国仮特許出願番号第62/690285号の優先権を主張するものであって、その開示が参照することにより組み込まれるものである。
【0002】
本願は概して、3Dプリントなどの積層造形技術によって形成された物体から不要な支持材料を除去するための流体溶液および方法に関する。このような流体溶液は物体へと噴霧可能である。
【背景技術】
【0003】
3Dプリントとは、材料を逐次供給することによってコンピュータ制御の装置(例えばプリンタ)が物体を形成する工程である。すなわち物体は、例えば、スターティングプラットフォーム(プリントトレーまたは形成トレー)から物体が形成(プリント)されるように材料を付加的に堆積させるインクジェットプリンタヘッドを用いて“プリント”される。しばしば、一般的に用いられる3Dプリントを含む積層造形工程は、プリント中に物体の局所を支持する目的で、追加的な材料(支持材料)のプリントを必要とする。この支持材料は物体を支え、垂れ下がり(sagging)などの問題を防ぐ。最終的には、例えばプリントの終了後に、支持材料の一部またはすべてを除去することが望ましいものとなり得る。さらに、3Dプリント物体は、粗い、未仕上げの表面を有するものとなり得る。こうした表面は、積層造形工程中にどう材料がプリントされたかが分かる形成線を示すものとなり得る。本明細書においては特に注記しない限り、“仕上げ”との用語は、完成物体を作り出すために3Dプリント物体から不要な材料を除去することを指す。仕上げは1つ以上の工程、すなわち、不要な金属粉の除去、不要なプリント材料の除去、不要な支持材料の除去、および/または、粗い表面の平滑化、を含み得るが、これに限定されるものではない。3Dプリント業界におけるように、仕上げが“洗浄”と呼ばれる場合もあり得る。
【0004】
支持材料は複雑な形状を有する場合があり、物体を複数個所で支持するために大きくなる場合もある。さらに積層造形は層状に物体を印刷するものなので、層のエッジが必ずしも揃うとは限らず、しばしば3Dプリント物体の表面仕上げが粗くなり、粗くて凸凹な外表面をもたらす。この外表面は、視覚的に魅力が乏しいだけでなく、応力集中を生じ得るもので、これは物体のテスト中または使用中に割れを生じ、早期破損へとつながり得るものである。
【0005】
粗い表面から支持材料を除去するために、および他の不要な材料を除去するために、物体に化学物質が与えられるものとできる。これらの化学物質は溶液の形を取るものとできる。仕上げ溶液には有機系でイソプロパノール(IPA)を含むものもあり、これは引火点が低く、取り扱いが危険となる。主に水性で、よって毒性および引火性の低い仕上げ溶液が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明に基づく仕上げ溶液は、積層造形物体から不要な材料を除去するために用いられるものとできる。仕上げ溶液は、塩基(例えば塩基水溶液)、必要に応じて第1の腐食剤、必要に応じて第2の腐食剤、必要に応じて第3の腐食剤、必要に応じて乳化剤、ポリオール、第1の泡立ち防止剤、必要に応じて第2の泡立ち防止剤、および水を含むものとできる。本発明の特定の例では、本発明に基づく仕上げ溶液は、塩基、必要に応じて添加剤、必要に応じて第1の腐食剤、必要に応じて第2の腐食剤、必要に応じて乳化剤、第1の泡立ち防止剤、必要に応じて第2の泡立ち防止剤、ポリオール、および水を含むものとできる。仕上げ溶液はアルカリ性のpHを有するものとできる。実施の形態においては、pHは7より大きい。本発明の他の実施の形態においては、pHは10以上である。
【0007】
本発明に基づく仕上げ溶液は、
塩基を0.0002~20重量%、
必要に応じて第1の腐食剤を0.0005~2.5重量%、
必要に応じて第2の腐食剤を0.0005~2.5重量%、
必要に応じて第3の腐食剤を0.0005~5.0重量%、
必要に応じて乳化剤を0.0005~5.0重量%、
必要に応じて添加剤を最大1重量%、
ポリオールを0.35~49.5重量%、
第1の泡立ち防止剤を0.005~15重量%、
必要に応じて第2の泡立ち防止剤を0.005~15重量%、および
水を含み、
仕上げ溶液のpHは11以上である。このような仕上げ溶液の特定の例は、
塩基を0.0002~6重量%、
添加剤を最大1重量%、
第1の腐食剤を最大1重量%、
第1の泡立ち防止剤を0.001~2重量%、
ポリオールを0.001~2重量%、
乳化剤を0.0005~1重量%、および
水を含むものとでき、
仕上げ溶液のpHは11以上である。
【0008】
塩基は水溶液をなすものとでき、この場合、水溶液は1~50重量%が塩基である。塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなど、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。
【0009】
本発明に基づく仕上げ溶液においては、硫酸ナトリウムを添加剤として用いることができる。
【0010】
第1の腐食剤および第2の腐食剤は、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム(sodium aluminum phosphate)、リン酸カリウムナトリウム(sodium potassium phosphate)、リン酸カリウムカルシウム(calcium potassium phosphate)、リン酸ナトリウムカルシウム(calcium sodium phosphate)など、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。第1の腐食剤および第2の腐食剤は共役酸塩基対とすることができ、例えば炭酸カリウム/炭酸ナトリウム(potassium/sodium carbonate)で、第2の腐食剤は、炭酸水素カリウム/炭酸水素ナトリウム(potassium/sodium bicarbonate)である。第3の腐食剤は、ケイ酸ナトリウムまたはメタケイ酸ナトリウムとできる。
【0011】
第1の泡立ち防止剤および第2の泡立ち防止剤は、Foam Ban(登録商標)136B、Foam Ban(登録商標)149、Foam Ban(登録商標)152、Foam Ban(登録商標)155、Foam Ban(登録商標)157、Foam Ban(登録商標)159、Foam Ban(登録商標)169、Foam Ban(登録商標)182、Foam Ban(登録商標)225D、Foam Ban(登録商標)260D、Foam Ban(登録商標)2642、Foam Ban(登録商標)2901、Foam Ban(登録商標)3505、Foam Ban(登録商標)3529B、Foam Ban(登録商標)3555、Foam Ban(登録商標)3588G、Foam Ban(登録商標)3633E、Foam Ban(登録商標)3744、Foam Ban(登録商標)3806、Foam Ban(登録商標)625、Foam Ban(登録商標)C277、Foam Ban(登録商標)CL-100E、Foam Ban(登録商標)CL-125E、Foam Ban(登録商標)CL-150D、Foam Ban(登録商標)HP705、Foam Ban(登録商標)HP710、Foam Ban(登録商標)HP720、Foam Ban(登録商標)HP730、Foam Ban(登録商標)HP732、Foam Ban(登録商標)HP738、Foam Ban(登録商標)HP740、Foam Ban(登録商標)HP753、Foam Ban(登録商標)HP777、Foam Ban(登録商標)HV-810G、Foam Ban(登録商標)HV-820G、Foam Ban(登録商標)HV-821、Foam Ban(登録商標)HV-825G、Foam Ban(登録商標)HV-860、Foam Ban(登録商標)MS-293、Foam Ban(登録商標)MS-30、Foam Ban(登録商標)MS-455N、Foam Ban(登録商標)MS-525、Foam Ban(登録商標)MS-550、Foam Ban(登録商標)MS-575、Foam Ban(登録商標)MS-5A、Foam Ban(登録商標)MS-909B、Foam Ban(登録商標)SB-1、Foam Ban(登録商標)SB-21、Foam Ban(登録商標)SB-73、Foam Ban(登録商標)SB-8、Foam Ban(登録商標)SB-81、Foam Ban(登録商標)SB-88、Foam Ban(登録商標)TK-100、Foam Ban(登録商標)TK-150、Foam Ban(登録商標)TK-200、Foam Ban(登録商標)TK-201、Foam Ban(登録商標)TK-75、Foam Ban(登録商標)TS-3618、Foam Ban(登録商標)TS-7250、Foam Ban(登録商標)XRM-3599B、Trans30など、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。
【0012】
ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、DOWANOL(登録商標)DPH255、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノールなど、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。
【0013】
乳化剤は、ポリソルベート、石鹸、脂肪酸スルホン酸塩(fatty acid sulfonates)、エトキシ化プロピレングリコールなどのエトキシ化物、レシチン、ポリグルコン酸塩、第4級アンモニウム脂肪酸付加物(quaternary ammonium fatty acid adducts)、リグニンスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシ化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール、胆汁塩(デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、ポリオキシルヒマシ油、シクロデキストリン、カプリル酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80など、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。
【0014】
本発明に基づく仕上げ溶液は、
水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液である塩基、
硫酸ナトリウムである添加剤、
炭酸水素ナトリウムである第1の腐食剤、
炭酸カリウムである第2の腐食剤、
Foam Ban(登録商標)753Nである第1の泡立ち防止剤、
Trans30である第2の泡立ち防止剤、
プロピレングリコールであるポリオール、および
ポリソルベート80である乳化剤を含むものとできる。
【0015】
本発明に基づく仕上げ溶液は、
塩基が水酸化カリウム45重量%の水溶液であり、
第1の腐食剤が炭酸カリウムであり、
第2の腐食剤がリン酸三ナトリウムであり、
第3の腐食剤がメタケイ酸ナトリウムであり、
ポリオールがプロピレングリコールであり、
乳化剤がポリソルベート80であり、
第1の泡立ち防止剤がTrans30であり、
第2の泡立ち防止剤がFoam Ban(登録商標)753Nであるものとできる。
【0016】
本発明に基づく仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を、成分Aと成分Bを組み合わせたものの合計体積百分率が20体積%を超えないように混合することで調製されるものとできる。成分Aは、塩基水溶液、添加剤、第1の腐食剤、第2の腐食剤、および水を含み、成分AのpHが13以上であるものとできる。成分Bは、第1の泡立ち防止剤、第2の泡立ち防止剤、ポリオール、乳化剤、および水を含むものとできる。一例において、このような仕上げ溶液は、
0.1~19.9体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
塩基水溶液を20~60重量%、
添加剤を最大5重量%、
第1の腐食剤を最大5重量%、
第2の腐食剤を最大5重量%、および
水を含み、
0.1~19.9体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
第1の泡立ち防止剤を最大10重量%、
第2の泡立ち防止剤を最大10重量%、
ポリオールを1~10重量%、乳化剤を0.5~5重量%、および水を含む。
【0017】
より具体的な例では、仕上げ溶液は、
4±0.5体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液を50重量%、
硫酸ナトリウムを1重量%、
炭酸水素ナトリウムを0.1重量%、
炭酸カリウムを0.1重量%、および
水を48.8重量%含み、
4±0.5体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.5重量%、
Trans30を2.5重量%、
プロピレングリコールを2.5重量%、
ポリソルベート80を1重量%、および
水を91.5重量%含む。
【0018】
本発明に基づく仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を、成分Aと成分Bを組み合わせたものの合計体積百分率が20体積%を超えないように混合することで調製されるものとでき、ここで
成分Aは、
塩基水溶液、
添加剤、
第1の腐食剤、
第2の腐食剤、
第3の腐食剤、および
水を含み、
成分Bは、
ポリオール、
乳化剤、
第1の泡立ち防止剤、
第2の泡立ち防止剤、および
水を含む。
【0019】
特定の例において、このような仕上げ溶液は、
0.1~19.9体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
塩基水溶液を20~60重量%、
第1の腐食剤を0.05~10.0重量%、
第2の腐食剤を0.05~10.0重量%、
第3の腐食剤を0.05~10.0重量%、および
水を含み、
0.1~19.9体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
ポリオールを0.05~5.0重量%、
乳化剤を0.05~5.0重量%、
第1の泡立ち防止剤を0.05~5.0重量%、
第2の泡立ち防止剤を0.05~5.0重量%、および
水を含むものとできる。
【0020】
より具体的な例では、仕上げ溶液は、
4±0.5体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
45重量%KOH水溶液を50重量%、
メタケイ酸ナトリウムを8.0重量%、
リン酸三ナトリウムを4.0重量%、
炭酸カリウムを3.0重量%含み、
残りが水であり、
1±0.5体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
プロピレングリコールを2.50%、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.50%、
Trans30を2.50%、
ポリソルベート80を1.00%含み
残りが水であるものとできる。
【0021】
支持材料の除去方法は、i)物体またはその一部から支持材料を除去するために(例えば物体に対して浸漬噴霧または物体を浸漬することで)本発明の仕上げ溶液を与えること、および、ii)物体から仕上げ溶液を除去すること、を含むものとできる。支持材料は、ポリジェット方式プリント工程または熱溶解積層法(FDM)工程で生じたものとできる。該方法はさらに仕上げ溶液の加熱を含むものとでき、ここで仕上げ溶液は、華氏115~150度の温度まで加熱されるものであり、これは華氏0.01度の値および間の範囲のすべてを含み、仕上げ溶液を与えることには、1~40psiの圧力まで仕上げ溶液の圧力を上げることが含まれる。
【0022】
本発明の方法は、本発明の成分A、本発明の成分B、および水を混合することで調製された仕上げ溶液を用いることを含むものとできる。
【0023】
本発明の方法は、SR20、SR30、SR35、SR100、SR110など、およびその組み合わせ、またはSUP705、SUP706、SUP708など、およびその組み合わせから選ばれる不要な材料を除去するために用いられるものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の本質および目的をより完璧に理解してもらうために、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照されたい。
図1A図1A~1Eは、熱溶解積層法(FDM)によって形成された物体(キューブ)の写真である。図1Aは、金属メッシュの上に載った仕上げ前の物体を示す。
図1B図1Bは、仕上げ前の物体を示す。
図1C図1Cは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた120分間の仕上げ後の物体を示す。
図1D図1Dは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた180分間の仕上げ後の物体を示す。
図1E図1Eは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた240分間の仕上げ後の物体を示す。
図1F図1Fは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた300分間の仕上げ後の物体を示す。
図2A図2A~2Eは、FDMによって形成された物体(チェーン)の写真である。図1Aは、仕上げ前の物体の上面を示す。
図2B図1Bは、仕上げ前の物体の底面を示す。
図2C図2Cは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた120分間の仕上げ後の物体の上面を示す。
図2D図2Dは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた120分間の仕上げ後の物体の底面を示す。
図2E図2Eは、本発明に基づく仕上げ溶液を用いた120分間の仕上げ後の、異なる姿勢に向けられた物体の上面を示す。
図3図3は、仕上げ溶液を調製し、3Dプリント物体に該仕上げ溶液を噴霧するために利用可能な装置の概略図である。図3の数字は、水インプットライン(1)、第1のボリュメトリック・ディスペンサ(2)、成分Aコンテナ(3)、第2のボリュメトリック・ディスペンサ(4)、成分Bコンテナ(5)、仕上げ溶液インプットライン(6)、ポンプ(7)、バルブ(8)、上方スプレーノズル(9)、下方スプレーノズル(10)、ヒータ(11)、タンク(12)、支持トレー(14)、装置ハウジング(15)を特定する。
図4図4は、本発明に基づく仕上げ溶液を用いる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体的な例に基づいて説明するが、他の例(明細書中で説明された利点および特徴のすべてを提供するものではない例も含む)もまた本発明の範囲内となる。仕上げ溶液の組成、および/または3Dプリント物体の仕上げ方法に対するさまざまな変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなし得るものである。
【0026】
以下には数値範囲が開示されている。当該範囲は下限値(LLV)と上限値(ULV)を提示する。特に明記されていない限り、LLV、ULV、およびLLVとULVの間のすべての値が当該範囲の一部となる。
【0027】
本開示は、FMDおよび/またはポリジェット方式3Dプリント物体から不要な材料を除去するための仕上げ溶液を説明するものである。未仕上げの物体の不要な材料は、本発明に基づく仕上げ溶液によって溶解され、こうすることで完成物体を提供する。
【0028】
本明細書においては特に注記しない限り、“支持材料”の用語は、積層造形工程中に物体の局所を支持するように効果的に配置された材料を指すが、これは製造工程終了後には不要なものとなる。支持材料は製造中の物体と同じ材料からなるものであってもよいし、異なる材料からできていてもよい。仕上げ中に除去可能な材料には、ポリジェット方式3Dプリントで用いられる材料(例えばSUP705、SUP706、SUP707、SUP708、およびその組み合わせ)、および/またはFDM3Dプリントで用いられる材料(例えばSR20、SR30、SR35、SR100、SR110、およびその組み合わせ)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0029】
仕上げ処理のあるものは機械的な性質を持ち(例えばサンディングなどの研磨技術)、他のものは機械的処理と化学的処理の組み合わせである。化学的仕上げ溶液は、腐食性のものとできる。不要な材料(例えば不要な支持材料)を除去するために化学的仕上げ溶液を用いる一般的な装置においては、未仕上げの3Dプリント物体が不要な材料を除去する処理を受け、これにより完成物体を提供する。このような処理の1つでは、未仕上げの物体が、液体仕上げ溶液の入った(例えば少なくとも一部が満たされた)タンク内に投入(例えば部分的にあるいは完全に浸漬)される。仕上げ溶液内にある間、物体は、物体から不要な材料を除去するために機械的アジテーション(agitation)、研磨、および/または加熱を受けるものとできる。機械的アジテーションは、液体仕上げ溶液を(例えばポンプを介して)動かすことによって、および/または超音波を用いることによって発生し得る。このような処理の他の例においては、物体が液体の噴霧を受ける。この処理では、物体はチャンバ内に置かれ、ポンプによって液体仕上げ溶液が1つ以上のノズルを強制的に通過させられ、これが仕上げ溶液を物体へ与えると共に物体を機械的にアジテート(agitates)する。このような処理においては、液体は支持材料を溶解するための化学溶剤を含み、これにより物体の形を仕上げる、またはほぼ仕上げるものとできる。仕上げ溶液を所望の温度に維持するために熱源からの熱が用いられてもよい。支持材料は、熱的に、化学的に、機械的に、あるいはこれらの一般的処理の2つ以上を組み合わせることで除去されるものとできる。
【0030】
本発明に基づく仕上げ溶液は、不要な材料を除去するために用いられるものとできる。仕上げ溶液は、塩基(例えば塩基水溶液)、必要に応じて第1の腐食剤、必要に応じて第2の腐食剤、必要に応じて第3の腐食剤、必要に応じて乳化剤、ポリオール、第1の泡立ち防止剤、必要に応じて第2の泡立ち防止剤、および水を含むものとできる。特定の例では、本発明に基づく仕上げ溶液は、塩基、必要に応じて添加剤、必要に応じて第1の腐食剤、必要に応じて第2の腐食剤、必要に応じて乳化剤、第1の泡立ち防止剤、必要に応じて第2の泡立ち防止剤、ポリオール、および水を含むものとできる。仕上げ溶液は塩基性pHを有するものとできる。多く例において、塩基性pHは7より大きい。他の多くの例においては、塩基性pHは10以上である。
【0031】
本発明に基づく仕上げ溶液は、不要な材料を除去するための仕上げ溶液とすることができる。仕上げ溶液は、
(a)塩基を0.0002~20重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)必要に応じて添加剤を最大1重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)必要に応じて第1の腐食剤を0.0005~2.5重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)必要に応じて第2の腐食剤を0.0005~2.5重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(e)必要に応じて第3の腐食剤を0.0005~2.5重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(f)第1の泡立ち防止剤を0.005~15重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(g)必要に応じて第2の泡立ち防止剤を0.005~15重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(h)ポリオールを0.35~49.5重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(i)乳化剤を0.0005~5重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(j)水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0032】
特定の例において、本発明に基づく仕上げ溶液は、不要な材料を除去するための仕上げ溶液とすることができる。仕上げ溶液は、
(a)塩基を0.0002~6重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)必要に応じて添加剤を最大1重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)必要に応じて第1の腐食剤を最大1重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)必要に応じて第2の腐食剤を最大1重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(e)第1の泡立ち防止剤を0.001~2重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(f)必要に応じて第2の泡立ち防止剤を最大2重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(g)ポリオールを0.001~2重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(f)乳化剤を0.0005~1重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(g)水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0033】
本発明に基づく仕上げ溶液は、単一の溶液(例えばあらかじめ混合された溶液)であってもよいし、あるいは、溶液(例えば水で薄められていてもいなくてもよい)を組み合わせることで調製されるものであってもよく、これらは混合されることで仕上げ溶液を生成する。
【0034】
本発明に基づく仕上げ溶液は、3Dプリント物体から不要な材料を除去するために用いられるものとできる。仕上げ溶液は、
成分Aを0.1~19.9体積%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
成分Bを0.1~19.9体積%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含むものとでき、ここで成分AおよびBを組み合わせたものは20体積%を超えないものである。
【0035】
成分Aは、
(a)塩基水溶液、
(b)添加剤、
(c)第1の腐食剤、
(d)第2の腐食剤、および
(e)水(例えば成分Aの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0036】
成分Bは、
(a)第1の泡立ち防止剤、
(b)第2の泡立ち防止剤、
(c)ポリオール、
(d)乳化剤、および
(e)水(例えば成分Bの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0037】
仕上げ溶液の残りは水とすることができる。
【0038】
本発明に基づく仕上げ溶液は、
(a)成分Aを0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)成分Bを0.1~19体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(c)水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含むものとでき、ここで成分Aと成分Bの合計体積百分率が20%を超えないものである。
【0039】
成分Aは、
(a)塩基水溶液、
(b)第1の腐食剤、
(c)第2の腐食剤、
(d)第3の腐食剤、および
(e)水(例えば成分Aの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0040】
成分Bは、
(a)第1の泡立ち防止剤、
(b)第2の泡立ち防止剤、
(c)ポリオール、
(d)乳化剤、および
(e)水(例えば成分Bの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0041】
仕上げ溶液の残りは水とすることができる。
【0042】
本発明に基づく仕上げ溶液は、3Dプリント物体から不要な材料を除去するために用いられるものとできる。仕上げ溶液は、
成分Aを0.1~19.9体積%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
成分Bを0.1~19.9体積%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含むものとでき、ここで成分AおよびBを組み合わせたものは20体積%を超えないものである。
【0043】
成分Aは、
(a)塩基水溶液を20~60重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、ここで塩基水溶液は、塩基(例えばKOH)が1~50重量%、
(b)必要に応じて添加剤を最大5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)必要に応じて第1の腐食剤を最大5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)必要に応じて第2の腐食剤を最大5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(e)水(例えば成分Aの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0044】
成分Bは、
(a)第1の泡立ち防止剤を1~10重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)必要に応じて第2の泡立ち防止剤を最大10重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)ポリオールを1~10重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)乳化剤を0.5~5重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(e)水(例えば成分Bの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0045】
仕上げ溶液の残りは水である。
【0046】
さもなくば、本発明に基づく仕上げ溶液は、
(a)成分Aを1~99体積%含むものとでき、
(b)残りは成分Bである。
【0047】
本発明に基づく仕上げ溶液は、例えばポリジェット技術、FDM技術、またはその組み合わせによって作成された3Dプリント物体を仕上げる(例えば支持材料を除去する)ことが可能なものとできる。特定の理論に縛られるつもりはないが、成分Aおよび成分Bの量が変わることで、さまざまなタイプの材料を仕上げる仕上げ溶液の能力が変わってくるものと予想される。例えば、4体積%の成分A、4体積%の成分B、および92体積%の水からなる混合物を用いることで、FDM技術によって作成された物体を効果的に仕上げることができる。
【0048】
塩基を用いて所望のpH(例えばpH10以上)の仕上げ溶液を作ることができる。本発明に基づく仕上げ溶液は、塩基または塩基水溶液を仕上げ溶液の他の成分および/または要素に加えることで調製可能である。塩基水溶液は、水と塩基からなる。好適な塩基(例えば塩基水溶液で用いられるもの)の非制限的な例には、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2など、およびその組み合わせなどの水酸化物塩基が含まれる。本発明に好適な塩基は、水に1~50重量%とできる。特定の例においては、塩基は、45重量%が塩基の水溶液(例えばシグマアルドリッチ社によって販売されている水酸化カリウム溶液(H2OにKOHが45重量%)など)として提供される。本発明に基づく仕上げ溶液を調製するための成分と混合される場合には、塩基は仕上げ溶液の総重量に対して、仕上げ溶液の0.0002~6重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を占めるものとできる。
【0049】
仕上げ溶液には添加剤が存在するものとできる。添加剤は、例えば3Dプリント物体を仕上げるために作られた装置内のタンクを満たすために十分なボリュームを与えることを除けば、仕上げ溶液の機能にはほとんどまたは全く影響を与えない安価な成分である。添加剤は、ナトリウム塩および硫酸塩とすることができるが、これに限定されるものではない。一例として、添加剤は硫酸ナトリウムであってもよい。例えば添加剤は、仕上げ溶液の総重量の最大1%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を占めるものとできる。
【0050】
本発明に基づく仕上げ溶液には第1の腐食剤が存在するものとできる。第1の腐食剤は、仕上げ溶液に所望のpH(例えばpH10以上)を与えるために用いられるものとできる。第1の腐食剤の例には、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが含まれるが、これに限定されるものではない。例えば第1の腐食剤は、仕上げ溶液の総重量の最大1%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を占めるものとできる。
【0051】
本発明に基づく仕上げ溶液には、必要に応じて第2の腐食剤が存在するものとできる。第2の腐食剤は、仕上げ溶液に所望のpH(例えばpH10以上)を与えるために用いられるものとできる。第2の腐食剤の例には、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、リン酸カリウムナトリウム、リン酸カリウムカルシウム、リン酸ナトリウムカルシウムなどが含まれるが、これに限定されるものではない。第1および第2の腐食剤が存在する場合には、第1および第2の腐食剤は必要に応じて、共役酸塩基対であってもよい(例えばHCO3 -とCO3 2-)。例えば第2の腐食剤は、仕上げ溶液の総重量の最大1%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を占めるものとできる。
【0052】
本発明に基づく仕上げ溶液には、必要に応じて第3の腐食剤が存在するものとできる。第3の腐食剤は、仕上げ溶液に所望のpH(例えばpH10以上)を与えるために用いられるものとできる。第3の腐食剤の例には、あらゆる比率および組成のケイ酸ナトリウムまたはメタケイ酸ナトリウム(例えば酸化ナトリウム、Na2O、SiO2などの組み合わせ)が含まれ、これは水ガラスの名でも知られ、SiO2:Na2O重量比の異なるさまざまなグレードのケイ酸ナトリウムが存在するものだが、これに限定されるものではない。
【0053】
本発明の仕上げ溶液には、ポリオールが存在するものとでき、このポリオールはポリジェット方式および/またはFDMプリント技術でよく使われる樹脂および支持材料に見い出される有機材料などを溶解するのに役立ち得る。ポリオールはグリコールまたはグリコールエーテルとすることができる。ポリオールの非制限的な例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、DOWANOL(登録商標)DPH255、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノールなど、およびその組み合わせが含まれる。例えばポリオールは、仕上げ溶液の総重量の0.001~2%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を占めるものとできる。
【0054】
本発明の仕上げ溶液は、少なくとも一種類の泡立ち防止剤(“消泡剤”または“泡止め剤”とも呼ばれる)を含むものとできる。このような泡立ち防止剤(例えば少なくとも一種類の泡立ち防止剤)は、仕上げ溶液の泡立ちを抑えるために用いられるものとできる。泡立ち防止剤は例えば、シリコーンおよび/または合成炭化水素を含む物質とすることができる。泡立ち防止剤の好適な例には、Foam Ban(登録商標)136B、Foam Ban(登録商標)149、Foam Ban(登録商標)152、Foam Ban(登録商標)155、Foam Ban(登録商標)157、Foam Ban(登録商標)159、Foam Ban(登録商標)169、Foam Ban(登録商標)182、Foam Ban(登録商標)225D、Foam Ban(登録商標)260D、Foam Ban(登録商標)2642、Foam Ban(登録商標)2901、Foam Ban(登録商標)3505、Foam Ban(登録商標)3529B、Foam Ban(登録商標)3555、Foam Ban(登録商標)3588G、Foam Ban(登録商標)3633E、Foam Ban(登録商標)3744、Foam Ban(登録商標)3806、Foam Ban(登録商標)625、Foam Ban(登録商標)C277、Foam Ban(登録商標)CL-100E、Foam Ban(登録商標)CL-125E、Foam Ban(登録商標)CL-150D、Foam Ban(登録商標)HP705、Foam Ban(登録商標)HP710、Foam Ban(登録商標)HP720、Foam Ban(登録商標)HP730、Foam Ban(登録商標)HP732、Foam Ban(登録商標)HP738、Foam Ban(登録商標)HP740、Foam Ban(登録商標)HP753、Foam Ban(登録商標)HP777、Foam Ban(登録商標)HV-810G、Foam Ban(登録商標)HV-820G、Foam Ban(登録商標)HV-821、Foam Ban(登録商標)HV-825G、Foam Ban(登録商標)HV-860、Foam Ban(登録商標)MS-293、Foam Ban(登録商標)MS-30、Foam Ban(登録商標)MS-455N、Foam Ban(登録商標)MS-525、Foam Ban(登録商標)MS-550、Foam Ban(登録商標)MS-575、Foam Ban(登録商標)MS-5A、Foam Ban(登録商標)MS-909B、Foam Ban(登録商標)SB-1、Foam Ban(登録商標)SB-21、Foam Ban(登録商標)SB-73、Foam Ban(登録商標)SB-8、Foam Ban(登録商標)SB-81、Foam Ban(登録商標)SB-88、Foam Ban(登録商標)TK-100、Foam Ban(登録商標)TK-150、Foam Ban(登録商標)TK-200、Foam Ban(登録商標)TK-201、Foam Ban(登録商標)TK-75、Foam Ban(登録商標)TS-3618、Foam Ban(登録商標)TS-7250、Foam Ban(登録商標)XRM-3599B、Trans30など、およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されるものではない。例えば本発明に基づく仕上げ溶液は、第1の泡立ち防止剤が、仕上げ溶液の総重量に対して0.001~2重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)、第2の泡立ち防止剤が、仕上げ溶液の総重量に対して最大2重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)とできる。一例として、本発明に基づく仕上げ溶液は、第1の泡立ち防止剤が、仕上げ溶液の総重量に対して0.01~2重量%(0.001%の値および間の範囲のすべてを含む)、第2の泡立ち防止剤が用いられないものとできる。
【0055】
仕上げ溶液は、この仕上げ溶液が有機層と水層に分離するまでにかかる時間を延ばすのに役立つように、乳化剤を含むものとできる。乳化剤は界面活性剤とも呼ばれる。界面活性剤/乳化剤の例には、ポリソルベート(例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)、カプリル酸ナトリウム、石鹸(遊離脂肪酸塩)、脂肪酸スルホン酸塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム(SLS))、エトキシ化物(例えばエトキシ化プロピレングリコール)、レシチン、ポリグルコン酸塩(例えば短鎖でんぷん)、第4級アンモニウム脂肪酸付加物(例えば柔軟剤としてよく用いられる第4級アンモニウム(ammonium quaternary))、リグニンスルホン酸塩、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシ化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール、胆汁塩(例えばデオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウムなど)、ポリオキシルヒマシ油、シクロデキストリンなど、およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されるものではない。乳化剤は、仕上げ溶液の総重量の0.0005~1%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を占めるものとできる。
【0056】
本発明に基づく仕上げ溶液の特定の例は、
(a)成分Aを0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)成分Bを0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(c)水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含み、ここで成分Aと成分Bの合計体積百分率は20%を超えないものである。
【0057】
成分Aは、
(a)塩基水溶液を20~60重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、この塩基水溶液は45重量%がKOH、
(b)必要に応じて硫酸ナトリウムを最大5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)必要に応じて炭酸水素ナトリウムを最大5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)必要に応じて炭酸カリウムを最大5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(e)水(例えば成分Aの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0058】
成分Bは、
(a)必要に応じてFoam Ban(登録商標)753Nを最大10重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)必要に応じてTrans30を最大10重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)プロピレングリコールを1~10重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)ポリソルベート80を0.5~5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(e)水(例えば成分Bの残りは水であってよい)を含むものとでき、
ここでFoam Ban(登録商標)753NとTrans30の少なくともいずれかが成分Bに含まれている。この例では、仕上げ溶液がポリジェット方式3Dプリント物体および/またはFDM3Dプリント物体の仕上げ(例えば支持材料の除去)に望ましいものであることが期待される。
【0059】
特定の例では、ポリジェット方式3Dプリント物体および/またはFDM3Dプリント物体へ用いられる(例えば不要な材料を除去するための)仕上げ溶液は、
(a)成分Aを4±0.5体積%、
(b)成分Bを4±0.5体積%含み、
(c)残りが水である。
【0060】
成分Aは、
(a)45重量%KOHの塩基水溶液を50重量%、
(b)硫酸ナトリウムを1重量%、
(c)炭酸水素ナトリウムを0.1重量%、
(d)炭酸カリウムを0.1重量%含み
(e)残りは水とすることができる。
【0061】
成分Bは、
(a)Foam Ban(登録商標)753Nを2.5重量%、
(b)Trans30を2.5重量%、
(c)プロピレングリコールを2.5重量%、
(d)ポリソルベート80を1重量%含み、
(e)残りは水とすることができる。
【0062】
本発明に基づく仕上げ溶液は、
(a)成分Aを0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)成分Bを0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(c)水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水である)を含むものとでき、ここで成分Aと成分Bの合計体積百分率は20%を超えないものである。
【0063】
成分Aは、
(a)塩基水溶液を20~60重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)第1の腐食剤を0.05~10%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)第2の腐食剤を0.05~10%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)第3の腐食剤を0.05~10%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(e)水(例えば成分Aの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0064】
成分Bは、
(a)第1の泡立ち防止剤を0.05~5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)第2の泡立ち防止剤を0.05~5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)ポリオールを0.05~5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(d)乳化剤を0.5~5重量%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、および
(e)水(例えば成分Bの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0065】
仕上げ溶液の残りは水とすることができる。
【0066】
特定の例において、本発明に基づく仕上げ溶液は、
(a)成分Aを4±0.5体積%、
(b)成分Bを1±0.5体積%、および
(c)水(例えばこの仕上げ溶液の残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0067】
成分Aは、
(a)45重量%KOH水溶液を50重量%、
(b)メタケイ酸ナトリウムを8.0重量%、
(c)リン酸三ナトリウムを4.0重量%、
(d)炭酸カリウムを3.0重量%、および
(e)水(例えば成分Aの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0068】
成分Bは、
(a)Foam Ban(登録商標)753Nを2.50重量%、
(b)Trans30を2.50重量%、
(c)プロピレングリコールを2.50重量%、
(d)ポリソルベート80を0.5~5重量%、および
(e)水(例えば成分Bの残りは水であってよい)を含むものとできる。
【0069】
本発明は仕上げ溶液を用いる方法として実施可能である。この方法の工程によって十分に3Dプリント物体から支持材料を除去できる。この方法は、
(a)本発明に基づく仕上げ溶液が調製されるように成分A、成分B、および水を混合すること、および
(b)3Dプリント物体へと仕上げ溶液を与えること、を含むものとできる。仕上げ溶液の付与は、物体に仕上げ溶液を噴霧すること、または仕上げ溶液に物体またはその一部を浸漬することによって達成し得る。
【0070】
例えば、まず最初に、成分A(既に水を含んでいる)、成分B(既に水を含んでいる)、および水がそれぞれ別々のコンテナに入っており、これらのコンテナから成分Aおよび成分Bが、成分Aの量が0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)、成分Bの量が0.1~19.9体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)となるように任意の体積百分率で水へと投与されるものとできる。この成分Aおよび成分Bの投与は、所望の量の仕上げ溶液が得られるまで続くものとできる。その後、不要な支持材料を除去すべく、仕上げ溶液が3Dプリント物体へと与えられる(例えば噴霧される)ものとできる。オペレータは、物体の視覚および/または触覚検査によって仕上げが完了したことを判定するものとできる。
【0071】
物体への仕上げ溶液の付与には、噴霧、浸漬、または3Dプリント物体への本発明に基づく仕上げ溶液の別方法での接触が含まれるものとできる。なお、本明細書における物体の浸漬とは、仕上げ溶液に物体を部分的にまたは完全に浸漬することを含む。
【0072】
このような付与プロセスは、まず仕上げ溶液を所望の温度(例えば華氏90~140度、これは華氏0.1度の値および間の範囲のすべてを含む)まで加熱し、加熱された仕上げ溶液を物体に噴霧すること、または加熱された仕上げ溶液に物体を浸漬すること、によって行い得る。仕上げ溶液の加熱はヒータを用いることで達成し得るが、これは例えば仕上げ溶液が供給されているチャンバやタンクを加熱することで、および/またはポンピング前の仕上げ溶液が蓄えられているタンクを加熱することで行われる。例えば、物体が噴霧を受ける場合、その内部で噴霧が行われるチャンバまたはタンクが加熱されてもよいし、仕上げ溶液を保持するタンクが加熱されてもよい。物体が仕上げ溶液に浸漬される場合、仕上げ溶液が物体を包み込むチャンバ内に加熱要素が配置されてもよい。
【0073】
本発明の実施の形態では、仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を含み、水は少なくとも50~75体積%または50~98体積%(0.1%の値および間の範囲のすべてを含む)であり、成分A:成分Bの比は、成分Aが1~10%:成分Bが1%であり、体積百分率は100%(例えば成分Aが10体積%:成分Bが1体積%、水が89体積%、または成分Aが5体積%:成分Bが1体積%、水が94体積%)である。このような本発明の実施の形態では、3Dプリント物体は仕上げ溶液に浸漬されるものとできる。
【0074】
図3は、本発明に基づく仕上げ溶液を調製し、次いで物体に該仕上げ溶液を噴霧するのに利用可能な装置の概略図である。噴霧前、仕上げ溶液はコンテナ(例えばタンク(12))に蓄えられるものとできる。このシステムでは、ポンプ(7)がタンク(12)と流体連結されており、ポンプ(7)が作動することで、タンク(12)から仕上げ溶液を移動させ、例えば1~40psi(0.1psiの値および間の範囲のすべてを含む)の所望の圧力となるように仕上げ溶液に圧力をかけることができる。特定の例では、圧力は30~40psi(例えば35psi)である。ポンピングされた仕上げ溶液は、ポンプ(7)を出ると少なくとも1つのバルブ(8)を通過するが、このバルブは少なくとも1つのスプレーノズル(9)へと向かう仕上げ溶液の流れを制御するために利用可能なもので、このノズルは仕上げ溶液が3Dプリント物体またはその一部へと与えられる(例えば噴霧される)ように向けられている。3Dプリント部品に接触しなかった仕上げ溶液、および/または、3Dプリント部品またはその一部に与えられた後に物体から流出した(例えば流れ落ちた)ものは回収されるものとできる。回収された仕上げ溶液は、ポンプ(7)を介して循環させられ、3Dプリント物体またはその一部に再噴霧されるものとできる。
【0075】
仕上げ溶液のpHが高い場合(例えば11~14)、仕上げ溶液は低圧(例えば10psi未満)で3Dプリント物体に噴霧されるものとできるが、これは仕上げ溶液が、より腐食性の低い溶液の場合よりも小さな機械的力(例えば物体に噴霧された溶液が衝突した結果として物体に与えられる力)で不要な支持材料を溶解可能であるためである。ただし当然ながら、必要とあらば腐食性の高い仕上げ溶液が高圧(例えば10~40psi、これは0.1psiの値および間の範囲のすべてを含む)で噴霧されてもよい。
【0076】
本発明に基づく仕上げ溶液を用いる特定の方法(図4)においては、
(i)成分Aと成分Bが別々のコンテナ(例えば図3のコンテナ(3)およびコンテナ(5))に配され、それぞれが専用のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)および(4)(例えばドサトロン(登録商標))を備えており、ここで各ボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサは水インプットライン(1)と直列に配置されている。例えば図3は、第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)に接続された水インプットライン(1)を示しており、この第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)はコンテナ(3)から成分Aを汲み出す。
【0077】
(ii)水が第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)に入り、所望の体積百分率で成分Aが配合(例えば混合)される。
【0078】
(iii)次に水/成分A溶液が第2のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(4)に入り、所望の体積百分率で成分Bが配合(例えば混合)され、これにより仕上げ溶液が調製される。
【0079】
(iv)仕上げ溶液は次に、タンク(12)が所望の量を保持するようになるまで保持タンク(12)へと入る。保持タンク(12)は、例えばポストプロセス社のBASE/DECIなどの装置に繋げられ、保持タンク(12)内に所望の量の仕上げ溶液があることを水準センサが検知するまでタンク(12)が満たされるものとできる。水準センサが所望の水準を検知するとタンク(12)への仕上げ溶液の流れがストップされるものとできる。
【0080】
(v)タンク(12)内にヒータ(11)が配され、仕上げ溶液を所望の温度まで加熱(例えば華氏90~140度の温度まで加熱)し、付与(例えば噴霧)の間中その温度を維持するものとできる。
【0081】
(vi)ポンプ(7)はタンク(12)と流体連結されるものとでき、ポンプ(7)は作動時に、タンク(12)から仕上げ溶液を移動させ、仕上げ溶液の圧力を上昇させ、加圧された仕上げ溶液を少なくとも1つのバルブ(8)へと送る。仕上げ溶液のポンプ吐出圧は1~35psi(その間の0.1psiの値のすべてを含む)の圧力とすることができる。
【0082】
(vii)仕上げ溶液は、少なくとも1つのノズル(9)への流れを制御する少なくとも1つのバルブ(8)(例えば一連のバルブ)を通過するものとできる。仕上げ溶液が与えられる速度は、40~75ガロン/分の間で変化可能である。
【0083】
(viii)不要な材料の除去を目的に3Dプリント物体に仕上げ溶液を与えるべく、ノズル(9)での圧力低下を受け、少なくとも1つのノズル(9)によって仕上げ溶液が噴霧される。
【0084】
(ix)3Dプリント物体の下にタンク(12)が配置され、噴霧後の仕上げ溶液がタンク(12)に回収されるものとできる。
【0085】
(x)仕上げ溶液は、不要な材料が所望の量だけ除去されるまで与えられるものとできる。
【0086】
(xi)仕上げ後の物体は必要に応じて水で洗浄され、物体上に残った仕上げ溶液を除去するものとできる。
【0087】
(viii)に関して、装置(例えばポストプロセス社のBASE/DECI)は複数のノズル(9)を有するものとできる。例えばDECI装置には、単一のバルブ(8)(例えば付与処理中に3Dプリント物体が置かれる支持トレー(14)の下に配置された単一のバルブ)によって制御される一組のノズルがある。支持トレー(14)は、仕上げ溶液が支持トレー(14)の下のスペースへと支持トレーの上面から通過できるように開孔が設けられるものとできる。支持トレー(14)の上方に他の組のノズル(9)が配置され、物体に向けて下向きに仕上げ溶液を噴霧するように向けられてもよい。ノズル(9)の各組は、そのノズル組(9)への仕上げ溶液の流れを制御できるようにすべく、専用の流量制御バルブ(8)に繋がれるものとできる。本発明の実施の形態では、物体への仕上げ溶液の付与をより均一にすべく、電動モータによってノズル(9)が水平方向(すなわち重力に対して実質的に垂直)に移動可能である。
【0088】
以下のステートメントは、本発明に基づいた非制限的な例を説明するものである。
<ステートメント1>
物体仕上げ用の仕上げ溶液は、
塩基を0.0002~20重量%、
必要に応じて第1の腐食剤を0.0005~2.5重量%、
必要に応じて第2の腐食剤を0.0005~2.5重量%、
必要に応じて第3の腐食剤を0.0005~5.0重量%、
必要に応じて乳化剤を0.0005~5.0重量%、
必要に応じて添加剤を最大1重量%、
ポリオールを0.35~49.5重量%、
第1の泡立ち防止剤を0.005~15重量%、
必要に応じて第2の泡立ち防止剤を0.005~15重量%、および
水を含み、仕上げ溶液のpHは11以上である。
【0089】
<ステートメント2>
ステートメント1記載の仕上げ溶液であり、
塩基を0.0002~6重量%、
添加剤を最大1重量%、
第1の腐食剤を最大1重量%、
第1の泡立ち防止剤を0.001~2重量%、
ポリオールを0.001~2重量%、
乳化剤を0.0005~1重量%、および
水を含み、仕上げ溶液のpHは11以上である。
【0090】
<ステートメント3>
ステートメント1またはステートメント2記載の仕上げ溶液であり、塩基は、1~50重量%が塩基の水溶液である。
【0091】
<ステートメント4>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなど、およびその組み合わせから選ばれる。
【0092】
<ステートメント5>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、添加剤は硫酸ナトリウムである。
【0093】
<ステートメント6>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、第1の腐食剤および第2の腐食剤は、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、リン酸カリウムナトリウム、リン酸カリウムカルシウム、リン酸ナトリウムカルシウムなど、およびその組み合わせから選ばれる。
【0094】
<ステートメント7>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、第1の腐食剤および第2の腐食剤は共役酸塩基対である。
【0095】
<ステートメント8>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、第3の腐食剤はケイ酸ナトリウムまたはメタケイ酸ナトリウムである。
【0096】
<ステートメント9>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、第1の腐食剤は炭酸カリウム/炭酸ナトリウム、第2の腐食剤は炭酸水素カリウム/炭酸水素ナトリウムである。
【0097】
<ステートメント10>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、第1の泡立ち防止剤および第2の泡立ち防止剤は、Foam Ban(登録商標)136B、Foam Ban(登録商標)149、Foam Ban(登録商標)152、Foam Ban(登録商標)155、Foam Ban(登録商標)157、Foam Ban(登録商標)159、Foam Ban(登録商標)169、Foam Ban(登録商標)182、Foam Ban(登録商標)225D、Foam Ban(登録商標)260D、Foam Ban(登録商標)2642、Foam Ban(登録商標)2901、Foam Ban(登録商標)3505、Foam Ban(登録商標)3529B、Foam Ban(登録商標)3555、Foam Ban(登録商標)3588G、Foam Ban(登録商標)3633E、Foam Ban(登録商標)3744、Foam Ban(登録商標)3806、Foam Ban(登録商標)625、Foam Ban(登録商標)C277、Foam Ban(登録商標)CL-100E、Foam Ban(登録商標)CL-125E、Foam Ban(登録商標)CL-150D、Foam Ban(登録商標)HP705、Foam Ban(登録商標)HP710、Foam Ban(登録商標)HP720、Foam Ban(登録商標)HP730、Foam Ban(登録商標)HP732、Foam Ban(登録商標)HP738、Foam Ban(登録商標)HP740、Foam Ban(登録商標)HP753、Foam Ban(登録商標)HP777、Foam Ban(登録商標)HV-810G、Foam Ban(登録商標)HV-820G、Foam Ban(登録商標)HV-821、Foam Ban(登録商標)HV-825G、Foam Ban(登録商標)HV-860、Foam Ban(登録商標)MS-293、Foam Ban(登録商標)MS-30、Foam Ban(登録商標)MS-455N、Foam Ban(登録商標)MS-525、Foam Ban(登録商標)MS-550、Foam Ban(登録商標)MS-575、Foam Ban(登録商標)MS-5A、Foam Ban(登録商標)MS-909B、Foam Ban(登録商標)SB-1、Foam Ban(登録商標)SB-21、Foam Ban(登録商標)SB-73、Foam Ban(登録商標)SB-8、Foam Ban(登録商標)SB-81、Foam Ban(登録商標)SB-88、Foam Ban(登録商標)TK-100、Foam Ban(登録商標)TK-150、Foam Ban(登録商標)TK-200、Foam Ban(登録商標)TK-201、Foam Ban(登録商標)TK-75、Foam Ban(登録商標)TS-3618、Foam Ban(登録商標)TS-7250、Foam Ban(登録商標)XRM-3599B、Trans30など、およびその組み合わせから選ばれる。
【0098】
<ステートメント11>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、DOWANOL(登録商標)DPH255、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノールなど、およびその組み合わせから選ばれる。
【0099】
<ステートメント12>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、乳化剤は、ポリソルベート、石鹸、脂肪酸スルホン酸塩、エトキシ化プロピレングリコールなどのエトキシ化物、レシチン、ポリグルコン酸塩、第4級アンモニウム脂肪酸付加物、リグニンスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシ化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール、胆汁塩(デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、ポリオキシルヒマシ油、シクロデキストリン、カプリル酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80など、およびその組み合わせから選ばれる。
【0100】
<ステートメント13>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
塩基が水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液であり、
添加剤が硫酸ナトリウムであり、
第1の腐食剤が炭酸水素ナトリウムであり、
第2の腐食剤が炭酸カリウムであり、
第1の泡立ち防止剤がFoam Ban(登録商標)753Nであり、
第2の泡立ち防止剤がTrans30であり、
ポリオールがプロピレングリコールであり、
乳化剤がポリソルベート80である。
【0101】
<ステートメント14>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
塩基が水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液であり、
第1の腐食剤が炭酸カリウムであり、
第2の腐食剤がリン酸三ナトリウムであり、
第3の腐食剤がメタケイ酸ナトリウムであり、
ポリオールがプロピレングリコールであり、
表面活性剤/乳化剤がポリソルベート80であり、
第1の泡立ち防止剤がTrans30であり、
第2の泡立ち防止剤がFoam Ban(登録商標)753Nである。
【0102】
<ステートメント15>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を、成分Aと成分Bを組み合わせたものの合計体積百分率が20体積%を超えないように混合することで調製されており、
成分Aは、
塩基水溶液、
添加剤、
第1の腐食剤、
第2の腐食剤、
水を含み、かつ
成分AのpHが13以上であり、
成分Bは、
第1の泡立ち防止剤、
第2の泡立ち防止剤、
ポリオール、
乳化剤、および
水を含む。
【0103】
<ステートメント16>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
0.1~19.9体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
塩基水溶液を20~60重量%、
添加剤を最大5重量%、
第1の腐食剤を最大5重量%、
第2の腐食剤を最大5重量%、および
水を含み、
0.1~19.9体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
第1の泡立ち防止剤を最大10重量%、
第2の泡立ち防止剤を最大10重量%、
ポリオールを1~10重量%、
乳化剤を0.5~5重量%、および
水を含む。
【0104】
<ステートメント17>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
4±0.5体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液を50重量%、
硫酸ナトリウムを1重量%、
炭酸水素ナトリウムを0.1重量%、
炭酸カリウムを0.1重量%、および
水を48.8重量%含み、
4±0.5体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.5重量%、
Trans30を2.5重量%、
プロピレングリコールを2.5重量%、
ポリソルベート80を1重量%、および
水を91.5重量%含む。
【0105】
<ステートメント18>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、この仕上げ溶液は、成分A、成分B、および水を、成分Aと成分Bを組み合わせたものの合計体積百分率が20体積%を超えないように混合することで調製されるものであり、ここで
成分Aは、
塩基水溶液、
添加剤、
第1の腐食剤、
第2の腐食剤、
第3の腐食剤、および
水を含み、
成分Bは、
ポリオール、
乳化剤、
第1の泡立ち防止剤、
第2の泡立ち防止剤、および
水を含む。
【0106】
<ステートメント19>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
0.1~19.9体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
塩基水溶液を20~60重量%、
第1の腐食剤を0.05~10.0重量%、
第2の腐食剤を0.05~10.0重量%、
第3の腐食剤を0.05~10.0重量%、および
水を含み、
0.1~19.9体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
ポリオールを0.05~5.0重量%、
乳化剤を0.05~5.0重量%、
第1の泡立ち防止剤を0.05~5.0重量%、
第2の泡立ち防止剤を0.05~5.0重量%、および
水を含む。
【0107】
<ステートメント20>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液であり、
4±0.5体積%が成分Aであり、ここで成分Aは、
45重量%KOH水溶液を50重量%、
メタケイ酸ナトリウムを8.0重量%、
リン酸三ナトリウムを4.0重量%、
炭酸カリウムを3.0重量%含み、
残りが水であり、
1±0.5体積%が成分Bであり、ここで成分Bは、
プロピレングリコールを2.50%、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.50%、
Trans30を2.50%、
ポリソルベート80を1.00%含み
残りが水である。
【0108】
<ステートメント21>
物体から支持材料を除去する方法であって、
i)物体またはその一部から支持材料を除去するために先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ溶液を与えること、および、
ii)物体から仕上げ溶液を除去すること、を含む。
【0109】
<ステートメント22>
ステートメント21に記載の方法であって、支持材料は、ポリジェット方式プリント工程または熱溶解積層法(FDM)工程で生じたものである。
【0110】
<ステートメント23>
ステートメント21またはステートメント22に記載の方法であって、さらに仕上げ溶液の加熱を含む。
【0111】
<ステートメント24>
ステートメント23に記載の方法であって、仕上げ溶液は、華氏115~150度の温度まで加熱されるものであり、これは華氏0.01度の値および間の範囲のすべてを含む。
【0112】
<ステートメント25>
ステートメント21~24のいずれかに記載の方法であって、仕上げ溶液を与えることには、1~40psiの圧力まで仕上げ溶液の圧力を上げることが含まれる。
【0113】
<ステートメント26>
ステートメント21~25のいずれかに記載の方法であって、仕上げ溶液は、ステートメント15~17のいずれかに記載の成分A、ステートメント15~17のいずれかに記載の成分B、および水を混合することで調製されている。
【0114】
<ステートメント27>
ステートメント26に記載の方法であって、不要な材料は、SR20、SR30、SR35、SR100、SR110、およびその組み合わせからなる群れから選ばれる。
【0115】
<ステートメント28>
ステートメント21~25のいずれかに記載の方法であって、仕上げ溶液は、ステートメント18~20のいずれかに記載の成分A、ステートメント18~20のいずれかに記載の成分B、および水を混合することで調製されている。
【0116】
<ステートメント29>
ステートメント28に記載の方法であって、不要な材料は、SUP705、SUP706、SUP708、およびその組み合わせからなる群れから選ばれる。
【0117】
本発明の特定の側面を説明するために以下の実施例を提示する。ただしこれらの例は、いかなる形であっても本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0118】
本実施例は、本発明に基づく仕上げ溶液を用いる方法を説明するものである。3Dプリント物体(キューブ)がFDM技術を用いてプリントされた(図1A~1F)。キューブはその全体がSR30からなる支持材料であった。仕上げ溶液がキューブへと与えられた(例えば噴霧された)。仕上げ溶液は、3.84体積%が成分A、4体積%が成分B、92.16体積%が水であった。
【0119】
成分Aは、
水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液を50重量%、
硫酸ナトリウムを1重量%、
炭酸水素ナトリウムを0.10重量%、
炭酸カリウムを0.10重量%、および
水を48.80重量%含み、
成分Bは、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.5重量%、
Trans30を2.5重量%、
プロピレングリコールを2.5重量%、
ポリソルベート80を1重量%、および
水を91.5重量%含んでいた。
【0120】
仕上げ溶液の調製に際し、成分Aと成分Bは別々のコンテナ(3および5)に配された(図3参照)。第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(例えばドサトロン(登録商標))のインプットは、水ラインと成分Aへ接続された。第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサは4%成分A(成分A:水が4:96)を調合し、この4%成分Aを第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサと直列に配置された第2のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサへ与えた。第2のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサは4%成分B(成分B:成分A/水が4:96)を調合し、タンク(12)へ与えた。
【0121】
ここで3Dプリントキューブは開孔支持トレー(14)上に置かれ、開口タンク(12)が開孔支持トレー(14)の真下にあり、仕上げ溶液が噴霧によってキューブに与えられた。仕上げ溶液は“ポストプロセスSR BASE”装置を用いてキューブへと与えられた。3Dプリントキューブは約300分間噴霧を受けたが、与えられている間ずっと、ポンプ吐出圧は18~24psi、速度は40~75ガロン/分であった。仕上げ溶液は華氏120度の温度で噴霧された。仕上げの進行度は、オペレータによって行われる視覚検査によって60分毎に判定された。キューブが噴霧を受けた後、キューブは水で約1分間洗浄された。この処置を受けたキューブが図1C~1Fに示されている。
【実施例2】
【0122】
本実施例は、本発明に基づく仕上げ溶液を用いる方法を説明するものである。3Dプリント物体(チェーン)がFDM技術を用いてプリントされた(図2A~2E)。チェーンはASAからなり、支持材料はSR30からなっていた。以下の仕上げ溶液がチェーンへと与えられた(例えば噴霧された)。仕上げ溶液は、3.84体積%が成分A、4体積%が成分B、92.16体積%が水であった。
【0123】
成分Aは、
水酸化カリウム45重量%の水酸化カリウム水溶液を50重量%、
硫酸ナトリウムを1重量%、
炭酸水素ナトリウムを0.10重量%、
炭酸カリウムを0.10重量%、および
水を48.80重量%含み、
成分Bは、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.5重量%、
Trans30を2.5重量%、
プロピレングリコールを2.5重量%、
ポリソルベート80を1重量%、および
水を91.5重量%含んでいた。
【0124】
仕上げ溶液の調製に際し、成分Aと成分Bは別々のコンテナ(3および5)に配された(図3参照)。第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(例えばドサトロン(登録商標))のインプットは、水ラインと成分Aへ接続された。第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサは4%成分A(成分A:水が4:96)を調合し、この4%成分Aを第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサと直列に配置された第2のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサへ与えた。第2のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサは4%成分B(成分B:成分A/水が4:96)を調合し、タンク(12)へ与えた。
【0125】
ここで3Dプリントチェーンは開孔支持トレー(14)上に置かれ、開口タンク(12)が開孔支持トレー(14)の真下にあり、仕上げ溶液が噴霧によってチェーンに与えられた。仕上げ溶液は“ポストプロセスSR BASE”装置を用いてチェーンと支持材料へと与えられた。3Dプリントチェーンは約120分間噴霧を受けたが、与えられている間ずっと、平均ポンプ吐出圧は25psi、平均速度は75ガロン/分であった。ポンプ吐出圧は18~30psiの間で変動した。仕上げ溶液は華氏130度の温度で噴霧された。仕上げの進行度は、オペレータによって行われる視覚検査によって60分毎に判定された。チェーンが噴霧を受けた後、チェーンは水で約1分間洗浄された。この処置を受けたチェーン(例えば支持材料は除去されている)が図2C~2Eに示されている。
【実施例3】
【0126】
本実施例は、本発明に基づく仕上げ溶液を用いる方法を説明するものである。
【0127】
3Dプリント物体(図2Aおよび2B)がFDM技術を用いてプリントされた。物体はABSポリカーボネートからなり、支持材料はSR30からなっていた。支持材料の除去に用いられた仕上げ溶液は、
4体積%の成分A、
1体積%の成分Bを含み
残りが水であった。
【0128】
成分Aは、
45重量%KOH水溶液を50重量%、
メタケイ酸ナトリウムを8.0重量%、
リン酸三ナトリウムを4.0重量%、
炭酸カリウムを3.0重量%含み、
残りが水であった。
【0129】
成分Bは、
プロピレングリコールを2.50%、
Foam Ban(登録商標)753Nを2.50%、
Trans30を2.50%、
ポリソルベート80を1.00%含み
残りが水であった。
【0130】
仕上げ溶液は“ポストプロセスSR DECI”装置を用いて物体へと与えられた。簡潔に説明すれば、成分Aと成分Bは別々のコンテナ(3、5)に配された(図3参照)。第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)(例えばドサトロン(登録商標))のインプットは、水ライン(1)と成分Aを保持する第1のタンク(3)へ接続された。ボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)は5%成分A混合物(成分A:水が5:95)を調合し、第1のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(2)と直列に配置された第2のボリュメトリック・ケミカル・ディスペンサ(4)へ与えた。第2のボリュメトリック・ディスペンサ(4)は5%成分B混合物(成分B:成分A/水が5:95)を調合し、タンク(12)へ与えた。ここで3Dプリント物体は開孔支持トレー(14)上に置かれ、開口タンク(12)が開孔支持トレー(14)の真下にあり、仕上げ溶液が噴霧によって物体に与えられた。3Dプリント物体は約40分間噴霧を受けたが、与えられている間ずっと、ポンプ吐出圧は35psi、速度は40ガロン/分であった。仕上げ溶液は華氏100~130度の温度で噴霧された。物体が噴霧を受けた後、物体は水で約1分間洗浄された。この処置を受けた物体(例えば支持材料は除去されている)が図2Cおよび2Dに示されている。
【0131】
当然ながら、上述してきた発明のさまざまな側面、および他の特徴および機能、またはその代案を望むがままに組み合わせて、他の多くの異なるシステムまたは用途とすることが可能である。さまざまな代案、変形、変異、または改良が今後当業者によってなされる可能性もあるが、それらもまた本発明によって包含されるものである。これまで本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。よって本発明は、添付のクレームおよびその合理的解釈によってのみ限定されるものと見なされる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4