(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】物品搬送装置及び物品検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B65G47/14 102B
(21)【出願番号】P 2021041243
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴志
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226497(JP,A)
【文献】特開昭61-106315(JP,A)
【文献】特開平08-231032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用の物品(W)を、物品供給位置(P2)から物品検査位置(P4)を経て物品排出位置(P5、P6)に搬送し、当該物品排出位置にて所定の排出エリア(17A、17B)に排出する物品搬送装置であって、
前記物品供給位置から前記物品排出位置に向けて前記物品を搬送するよう、回転自在に設けられた環状の外側搬送部(12)と、
前記外側搬送部の径方向内方に回転自在に設けられ、前記物品供給位置において前記物品を前記外側搬送部に供給する円形の内側搬送部(11)と、を備え、
前記内側搬送部は、直径が前記外側搬送部の内径より小さく、かつ、回転中心(O1)が前記外側搬送部の回転中心(O2)と異なる位置に設けられ、
前記内側搬送部の外周と前記外側搬送部の内周との間に設けられ、前記外側搬送部の内周との間で空間(S)に隣接するシュート部(13)をさらに備え、
前記所定の排出エリアが、前記内側搬送部の外周と前記外側搬送部の内周との間に形成された
前記空
間に設けられている物品搬送装置。
【請求項2】
前記外側搬送部には、前記内側搬送部から供給される前記物品を径方向内方側から受け入れるよう、径方向内方側に開口した切欠き部(12b)が複数形成されており、
前記切欠き部に収容された前記物品を前記物品排出位置にて径方向内方に向けて排出する排出部(16)をさらに備える請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記排出部は、前記物品に対し径方向外方からエアーを吹き付けるエアー吹き付け部からなる請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記物品検査位置は、前記シュート部
が存在する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれ1項に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品搬送装置と、
前記物品検査位置において前記物品を検査する物品検査部(3)と、を備える物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置及び物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直進フィーダと、該直進フィーダに固着され直進フィーダによって直進振動を行う振動部材と、該振動部材の直進振動を周方向の振動に変換させる振動方向変換機構と、該振動方向変換機構の回転軸に回転可能に固着された部品搬出容器とを有し、直進フィーダの直進振動を駆動源として部品搬出容器を周方向に振動させる円形振動フィーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の円形振動フィーダでは、部品搬出容器内に供給された部品が連続的に部品搬出容器の上部に案内される。このため、部品搬出容器の上部に案内された部品の次工程への搬出は、円形振動フィーダの上方、つまり部品搬出容器の上方から行うことになる。部品搬出容器の上方から部品を搬出するには、例えば、エアー吸引等によって部品搬出容器の上方側から部品を個別にピックアップする必要がある。
【0005】
しかしながら、部品搬出容器の上方側からの部品のピックアップは、非常に煩雑であり、失敗も発生しやすく、確実性に劣る。特に、高速で回転方向に移動中の部品を上方からピックアップするのは非常に困難である。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、搬送部により搬送中の物品を搬送部外に確実に排出することができる物品搬送装置及び物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品搬送装置は、検査用の物品(W)を、物品供給位置(P2)から物品検査位置(P4)を経て物品排出位置(P5、P6)に搬送し、当該物品排出位置にて所定の排出エリア(17A、17B)に排出する物品搬送装置であって、前記物品供給位置から前記物品排出位置に向けて前記物品を搬送するよう、回転自在に設けられた環状の外側搬送部(12)と、前記外側搬送部の径方向内方に回転自在に設けられ、前記物品供給位置において前記物品を前記外側搬送部に供給する円形の内側搬送部(11)と、を備え、前記内側搬送部は、直径が前記外側搬送部の内径より小さく、かつ、回転中心(O1)が前記外側搬送部の回転中心(O2)と異なる位置に設けられ、前記内側搬送部の外周と前記外側搬送部の内周との間に設けられ、前記外側搬送部の内周との間で空間(S)に隣接するシュート部(13)をさらに備え、前記所定の排出エリアが、前記内側搬送部の外周と前記外側搬送部の内周との間に形成された前記空間に設けられている構成を有する。
【0008】
この構成により、本発明に係る物品搬送装置は、外側搬送部により搬送中の物品を上方からピックアップする必要がなく、外側搬送部により搬送中の物品を外側搬送部外に確実に排出することができる。また、本発明に係る物品搬送装置は、内側搬送部の外周と外側搬送部の内周との間に設けられ、外側搬送部の内周との間で空間に隣接するシュート部をさらに備えるので、外側搬送部に搬送されている物品を例えば再検査等のために内側搬送部に戻すことができる。
【0009】
また、本発明に係る物品搬送装置は、外側搬送部の内側に形成された空間に所定の排出エリアを設けたので、所定の排出エリアを外側搬送部の外側に設けた場合と比較して、物品搬送装置の省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係る物品搬送装置において、前記外側搬送部には、前記内側搬送部から供給される前記物品を径方向内方側から受け入れるよう、径方向内方側に開口した切欠き部(12b)が複数形成されており、前記切欠き部に収容された前記物品を前記物品排出位置にて径方向内方に向けて排出する排出部(16)をさらに備える。
【0011】
この構成により、本発明に係る物品搬送装置は、物品排出位置において、排出部によって物品を切欠き部から所定の排出エリアに確実に排出することができる。
【0012】
また、本発明に係る物品搬送装置において、前記排出部は、前記物品に対し径方向外方からエアーを吹き付けるエアー吹き付け部からなる構成を有する。
【0013】
この構成により、本発明に係る物品搬送装置は、外側搬送部が高速で回転する場合であっても、切欠き部に収容された物品を高速かつ確実に排出することができる。
【0014】
また、本発明に係る物品搬送装置において、前記物品検査位置は、前記シュート部が存在する位置に設けられている構成を有する。
【0015】
この構成により、本発明に係る物品搬送装置は、再検査が必要と判断された物品を例えば再検査のために内側搬送部に戻すことができる。
【0016】
本発明に係る物品検査装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品搬送装置と、前記物品検査位置において前記物品を検査する物品検査部(3)と、を備える。
【0017】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、外側搬送部により搬送中の物品を外側搬送部外に確実に排出することができ、物品搬送装置の省スペース化により小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、搬送部により搬送中の物品を搬送部外に確実に排出することができる物品搬送装置及び物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品搬送装置を備える物品検査装置の概略平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る物品搬送装置を備える物品検査装置の側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る物品搬送装置を備える物品検査装置を
図1のIII-IIIから見た断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る物品搬送装置を備える物品検査装置について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る物品検査装置1は、検査対象の物品を整列して単品搬送させながら所定の物品検査位置で光を照射し、この光の照射に伴って物品を透過した光の分光特性に基づいて物品の品質を検査する。
【0022】
検査対象である物品は、光の照射領域が検査対象の物品に光を照射する照射口の径に比較的近い小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。
【0023】
該当する物品としては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品として、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい側面視が略円柱状の錠剤Wを例にとって説明する。本実施形態の錠剤Wは、物品を構成する。
【0024】
図1に示すように、物品検査装置1は、錠剤Wを円周状の搬送コースに沿って搬送する物品搬送装置2と、搬送コースの途中の物品検査位置P4で錠剤Wの検査を行なう物品検査部3と、を備えている。
【0025】
[物品搬送装置]
図1、
図2に示すように、物品搬送装置2は、内側搬送部11と、環状の外側搬送部12と、シュート部13と、物品供給部14と、物品調整部15と、排出部16と、を含んで構成されている。
【0026】
物品搬送装置2は、検査用の錠剤Wを、後述する物品供給位置P2から物品検査位置P4を経てNG品選別位置P5又はOK品選別位置P6に搬送し、NG品選別位置P5又はOK品選別位置P6にてNG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bに排出するものである。
【0027】
(内側搬送部)
内側搬送部11は、回転する深皿状の供給容器10の内部に設置されている。内側搬送部11は、供給容器10と別の駆動源で回転する円形の板状部材によって構成されている。内側搬送部11は、後述する物品供給位置P2において錠剤Wを外側搬送部12に供給するものである。
【0028】
図2に示すように、供給容器10は、開口部10aによって上面が開放された円筒形状に形成されている。供給容器10の上端は、後述する第1シュート13Aの下端に対向している。
【0029】
供給容器10は、外側搬送部12よりも直径が小さい円形の底壁10bと、筒状の側壁10cと、を備えている。底壁10bには、貫通孔10dが形成されている。
【0030】
内側搬送部11は、外側搬送部12の径方向内方に設けられている。換言すれば、外側搬送部12は、物品搬送装置2の上面視で内側搬送部11の周囲を取り囲むように内側搬送部11の径方向外方に設けられている。内側搬送部11は、直径が外側搬送部12の内径より小さく形成されている。
【0031】
供給容器10は、本体フレーム50(
図3参照)に回転自在に取付けられている。供給容器10の回転中心軸は、底壁10bの中心を通り、底壁10bに垂直な線に一致する。供給容器10の底壁10bの下面には、底壁10bに中心を一致させて環状の内歯ギヤ10eが固定されている。
【0032】
本体フレーム50には、第1のモータ21が取付けられており、第1のモータ21の駆動軸21aに設けられたピニオン22が内歯ギヤ10eに噛み合っている。第1のモータ21が駆動されると、供給容器10は、その回転中心軸の周りを回転方向A(
図1参照)に回転する。本実施形態においては、物品搬送装置2の平面視で供給容器10の回転方向Aは、反時計回転方向である。
【0033】
内側搬送部11は、供給容器10の内部において傾斜して配置されている。内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bは、外側搬送部12の内周12aに対峙しており、内側搬送部11の周方向について上端部11bとは180°反対側に位置する傾斜方向の下端部11cは、供給容器10の側壁10cの下縁に対峙している。
【0034】
すなわち、内側搬送部11の傾斜方向の下端部11cは、供給容器10の側壁10cの下縁に対峙している部分が最も低く、内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bは、外側搬送部12の内周12aに対峙している部分が最も高い。内側搬送部11の下面の中央には駆動軸11a(
図2参照)が内側搬送部11に対して垂直に固定されており、駆動軸11aは、傾斜した状態で供給容器10の底壁10bの貫通孔10dを挿通して第2のモータ23(
図2参照)に連結されている。
【0035】
第2のモータ23は、供給容器10を支持する本体フレーム50に支持されている。供給容器10の内部において内側搬送部11は、第2のモータ23が駆動されると、駆動軸11aの周りを回転方向B(
図1参照)に回転する。内側搬送部11の回転方向Bと供給容器10の回転方向Aは同一方向である。
図1に示すように、内側搬送部11の回転中心O1は、外側搬送部12の回転中心O2と異なる位置に設けられている。
【0036】
このように、本実施形態においては、内側搬送部11の直径が外側搬送部12の内径より小さく、かつ、内側搬送部11の回転中心O1と外側搬送部12の回転中心O2とが一致していないため、内側搬送部11の外周11dと外側搬送部12の内周12aとの間に空間Sが形成されている。
【0037】
(外側搬送部)
外側搬送部12は、物品供給位置P2(
図1参照)から物品検査位置P4を経て後述する物品排出位置としてのNG品選別位置P5及びOK品選別位置P6に向けて錠剤Wを搬送するよう、フレーム51に回転自在に設けられている。
【0038】
外側搬送部12の外周には、図示しない外歯ギヤが全周に亘って形成されている。フレーム51には、第3のモータ52が取り付けられており、第3のモータ52の回転軸52aに取り付けられたピニオン52bが外側搬送部12の外歯ギヤに噛み合っている。これにより、外側搬送部12は、第3のモータ52が駆動すると、その回転中心軸の周りを回転方向C(
図1参照)に回転する。回転方向Cは、回転方向A及び回転方向Bと同一方向である。
【0039】
図1、
図3に示すように、外側搬送部12の上面には、内側搬送部11から供給される錠剤Wを径方向内方側から受け入れるよう、径方向内方側に開口した切欠き部12bが形成されている。切欠き部12bは、外側搬送部12の周方向に所定の間隔で複数形成されている。
【0040】
切欠き部12bは、外側搬送部12の上面から下方に窪んでおり、外側搬送部12の内周12a側に開口している。切欠き部12bは、外側搬送部12の内周12a側から径方向外方側に向けて延在している。
【0041】
切欠き部12bは、外側搬送部12の内周12aから外周に向かうに従って周方向の幅が漸次狭くなるように形成されている。具体的には、切欠き部12bは、径方向内方側に開いた略V字形状に形成され、径方向外方側は錠剤Wが収まるU字形状に形成されている。物品供給位置P2において径方向内方側から切欠き部12bに進入した錠剤Wは、物品検査位置P4に到達するまでに遠心力によってU字形状の径方向外方側に収まるようになっている。切欠き部12bにおいて、外側搬送部12の回転に伴い錠剤Wを径方向外方へ案内するガイドを別途設けてもよい。
【0042】
切欠き部12bの内周12a側の周方向の幅(開口の周方向の幅)は、錠剤Wを周方向に2つに並べたときの幅、すなわち、錠剤Wの直径の2倍の幅よりも小さく形成されており、錠剤Wが同時に2つ侵入し難い形状に形成されている。
【0043】
切欠き部12bの径方向外方側には、検査用の光が通過する円形の開口部12cが形成されている。本実施形態において、開口部12cは、錠剤Wの直径よりも小さい直径の貫通穴によって構成されている。開口部12cは、錠剤Wが径方向外方側のU字形状に収まった際に錠剤Wによって閉塞される位置に形成されている。
【0044】
図2、
図3に示すように、切欠き部12bの下面、すなわち開口部12cが形成された面は、内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bと高さが一致、又は、当該上端部11bよりも下方となるように形成されている。これにより、内側搬送部11の上端部11b側から内側搬送部11に供給される錠剤Wをスムーズに切欠き部12bに進入させることができる。
【0045】
(シュート部)
シュート部13は、外側搬送部12に囲まれる領域のうち、内側搬送部11及び空間S以外の領域に設けられている。シュート部13は、内側搬送部11の外周11dと外側搬送部12の内周12aとの間に延在するように設けられている。シュート部13は、外側搬送部12に搬送されている錠剤Wを例えば再検査等のために内側搬送部11に戻したり、後述する物品調整部15により切欠き部12bから除去された錠剤Wを内側搬送部11に戻したりする際に、錠剤Wを内側搬送部11に案内するものである。
【0046】
シュート部13は、外側搬送部12の内周12aと供給容器10の上端との間に位置する第1シュート13Aと、第1シュート13Aの下端と内側搬送部11の外周11dとの間に位置する第2シュート13Bと、から構成されている。
【0047】
第1シュート13Aは、外周端として、外側搬送部12の内周12a側の外周端13aと、空間S側の外周端13bと、を有している。外周端13aは、外側搬送部12の内周12aの形状に沿うように円弧状に形成されている。外周端13bは、外周端13aの曲率半径よりも大きな曲率半径を有する弧状に形成されており、空間Sに隣接している。なお、外周端13bは、第1シュート13Aと外側搬送部12の内周12aとの間に空間Sを確保できる形状であればよく、例えば、直線状であってもよいし、異なる曲率半径の弧状であってもよい。
【0048】
第1シュート13Aは、外周端13a及び外周端13bから供給容器10の上端側の内周端13cに向かうに従い徐々に下方に下がるよう傾斜している。第1シュート13Aは、外周端13aがフレーム51に固定されている。したがって、第1シュート13Aは、回転不能である。
【0049】
なお、第1シュート13Aは、物品供給位置P2よりも外側搬送部12の回転方向の下流側の面積に比べて、物品供給位置P2よりも外側搬送部12の回転方向の上流側の面積を小さく構成してもよい。また、当該上流側には第1シュート13Aを設けない構成であってもよい。物品供給位置P2よりも外側搬送部12の回転方向の上流側においては、錠剤Wを内側搬送部11に戻すことがないからである。物品供給位置P2よりも外側搬送部12の回転方向の上流側とは、外側搬送部12の回転方向においてOK品選別位置P6と物品供給位置P2との間に位置する部分である。
【0050】
第2シュート13Bは、供給容器10の側壁10cの一部によって構成されている。具体的には、供給容器10の側壁10cのうち、内側搬送部11の上方に位置する部分が第2シュート13Bとして機能するようになっている。
【0051】
(物品供給部)
図1に示すように、物品供給部14は、物品搬送装置2の上方に設置されている。物品供給部14は、例えば、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された成形品の錠剤Wが投入される図示しないホッパ等の容器を有している。物品供給部14は、当該容器内に投入された錠剤Wを蓄積するとともに、蓄積された錠剤Wを投入通路14aを介して物品投入位置P1において排出口14bから内側搬送部11に供給する。物品供給部14は、ホッパ等の容器を有さず、検査工程の前工程から直接、投入通路14aに搬送された錠剤Wを排出口14bから内側搬送部11に供給する構成であってもよい。
【0052】
物品供給部14は、内側搬送部11と外側搬送部12が錠剤Wを搬送する能力に合わせて錠剤Wを供給する機能を有している。換言すれば、物品供給部14は、物品搬送装置2が錠剤Wを搬送する能力(例えば単位時間当たりの錠剤Wの搬送数など)に合わせて内側搬送部11に対する錠剤Wの供給量が設定される。
【0053】
(物品調整部)
物品調整部15は、物品供給位置P2に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の物品調整位置P3に設けられている。物品調整部15は、切欠き部12bに正規の姿勢で位置していない錠剤Wを切欠き部12bで正規の姿勢に戻したり、切欠き部12bからはみ出している錠剤Wを切欠き部12bから除去したりする。ここで、錠剤Wの正規の姿勢とは、錠剤Wが横向きとなる姿勢である。錠剤が横向きとは、例えば、平面度の高い面を上下方向に向けた姿勢、本実施形態の錠剤Wでいえば、厚み(高さ)が最も小さくなる姿勢である。
【0054】
物品調整部15は、ブラシやエアー、排除板などから構成されており、切欠き部12bに供給された錠剤Wが外側搬送部12の上面に乗り上げた場合に、錠剤を切欠き部12bにおいて正常な姿勢となるように調整し、または切欠き部12bから排除する。
【0055】
また、1つの錠剤Wが姿勢不良(縦向き)になったときに、当該錠剤Wを切欠き部12bから排除する。切欠き部12bから排除された錠剤Wは内側搬送部11に戻される。
【0056】
具体的には、物品調整部15は、切欠き部12bで正常な姿勢となる錠剤Wの上面よりも上方に錠剤Wが位置している場合には、錠剤Wの上面よりも上方にエアー供給することや、排除板を作用させることにより、姿勢不良となる錠剤Wを調整(姿勢矯正または排除)する。
【0057】
(排出部)
排出部16は、物品検査位置P4に対して外側搬送部12の回転方向の下流側に設けられている。排出部16は、切欠き部12bに収容された錠剤Wを、物品排出位置としてのNG品選別位置P5及びOK品選別位置P6のいずれかにて径方向内方に向けて排出するものである。
【0058】
排出部16は、NG品選別位置P5に設けられたNG品排出部16Aと、NG品選別位置P5よりも外側搬送部12の回転方向に所定の間隔をおいて設けられたOK品排出部16Bと、を有している。
【0059】
NG品選別位置P5には、NG品排出部16Aによって径方向内方に向けて排出された錠剤Wを回収するNG品回収エリア17Aが設けられている。OK品選別位置P6には、OK品排出部16Bによって径方向内方に向けて排出された錠剤Wを回収するOK品回収エリア17Bが設けられている。当該各回収エリア17A、17Bに、回収箱等が設けられている(不図示)。
【0060】
NG品排出部16A及びOK品排出部16Bは、錠剤Wに対し径方向外方からエアーを吹き付けるエアー吹き付け部からなる。エアー吹き付け部としては、例えばエアージェット装置やエアーブロー装置等を用いることができる。なお、NG品排出部16A及びOK品排出部16Bとしては、錠剤Wを径方向内方に向けて排出可能な構成であればいずれの構成でもよく、エアー吹き付け部に限らない。例えば、錠剤Wをシリンダーで押し出すような物理的接触による構成であってもよい。
【0061】
NG品排出部16Aは、物品検査部3によって不良品(NG品)と判定された錠剤Wが物品検査部3に対して外側搬送部12の回転方向の下流側のNG品選別位置P5まで搬送されてきたときに、外側搬送部12の径方向外方側から錠剤Wにエアーを吹き付けることで、当該錠剤Wを切欠き部12bからNG品回収エリア17Aに排出する。
【0062】
OK品排出部16Bは、物品検査部3によって正常品(OK品)と判定された錠剤WがOK品選別位置P6まで搬送されてきたときに、外側搬送部12の径方向外方側から錠剤Wにエアーを吹き付けることで、当該錠剤Wを切欠き部12bからOK品回収エリア17Bに排出する。
【0063】
なお、排出部16は、NG品排出部16A及びOK品排出部16Bに加えて全排出部を有していてもよい。この場合、全排出部は、例えばNG品選別位置P5とOK品選別位置P6との間に設けられるのが好ましく、全排出部により排出される錠剤Wを回収する全品回収エリアがNG品回収エリア17AとOK品回収エリア17Bとの間に設けられるのが好ましい。全排出部は、物品検査装置1の運転開始時や、非常停止後の復帰動作後など、正常な検査ができなかった錠剤Wを回収するものであり、例えば、外側搬送部12の径方向外方側から錠剤Wにエアーを吹き付けることで、錠剤Wを全品回収エリアに排出する。この場合、当該全品回収エリアには、回収箱等が設けられる。
【0064】
(排出エリア)
本実施形態において、NG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bは、所定の排出エリアを構成し、内側搬送部11の外周11dと外側搬送部12の内周12aとの間に形成された空間Sに配置されている。このため、NG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bは、外側搬送部12の径方向内方に位置することとなる。
【0065】
[物品検査部]
図1、
図3に示すように、物品検査部3は、外側搬送部12の回転方向で物品調整位置P3よりも下流側の物品検査位置P4に設けられている。物品検査部3は、フレーム51に支持されている。物品検査部3は、物品検査位置P4にて錠剤Wを検査するもので、具体的には錠剤Wの品質の良否判定を行う。
【0066】
物品検査部3は、外側搬送部12によって搬送されてきた錠剤Wの物性を、図示しない光照射部と光検出部とから構成された光学センサによって非接触な状態で測定可能に構成されている。物品検査部3としては、光学センサに限らず、検査対象の物品の種類や検査目的等に応じて任意の検査手段を用いることができる。
【0067】
[物品検査装置の動作]
上述のように構成された物品検査装置1においては、物品供給部14から内側搬送部11に錠剤Wが投入される。さらに、物品検査装置1は、内側搬送部11と供給容器10と外側搬送部12とが同期するように、第1のモータ21及び第2のモータ23と第3のモータ52とを同方向に駆動する。これにより、内側搬送部11と供給容器10と外側搬送部12とが同方向に回転する。
【0068】
内側搬送部11と供給容器10と外側搬送部12とが同方向に回転している際に、内側搬送部11の最も低い部分(傾斜方向の下端部11c側)に落下した錠剤Wは、内側搬送部11の回転に伴い、内側搬送部11の最も高い部分(傾斜方向の上端部11b側)まで移動し、物品供給位置P2において外側搬送部12に供給され、外側搬送部12の切欠き部12bに受け入れられる。
【0069】
外側搬送部12の切欠き部12bに受け入れられた錠剤Wは、外側搬送部12の回転に伴い作用する遠心力により切欠き部12bのU字形状の径方向外方側に収まる。その後、錠剤Wは、切欠き部12bのU字形状の径方向外方側に収まった状態で、物品検査位置P4に向かって搬送される。
【0070】
物品検査位置P4に錠剤Wが達すると、物品検査位置P4にて物品検査部3により錠剤Wの品質の良否判定が行われる。物品検査位置P4を通過した錠剤Wは、NG品選別位置P5又はOK品選別位置P6に向かって搬送される。
【0071】
このとき、再検査が必要と判断された錠剤Wがある場合には、当該錠剤Wを物品検査位置P4から外側搬送部12の回転方向の下流側であってNG品選別位置P5に達する前に、好ましくはシュート部13が存在する搬送位置において内側搬送部11に戻してもよい。再検査が必要と判断された錠剤Wを内側搬送部11に戻す構成としては、例えば、NG品排出部16A及びOK品排出部16Bと同様の構成を用いることができる。
【0072】
物品検査部3によって不良品(NG品)と判定された錠剤Wは、NG品選別位置P5まで搬送されてきたときにエアーを吹き付けられ、切欠き部12bからNG品回収エリア17Aに排出される。
【0073】
物品検査部3によって正常品(OK品)と判定された錠剤Wは、OK品選別位置P6まで搬送されてきたときにエアーを吹き付けられ、切欠き部12bからOK品回収エリア17Bに排出される。
【0074】
[作用効果]
以上のように、本実施形態に係る物品搬送装置は、内側搬送部11の直径が外側搬送部12の内径より小さく、かつ、内側搬送部11の回転中心O1が外側搬送部12の回転中心O2と異なる位置に設けられ、NG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bが内側搬送部11の外周11dと外側搬送部12の内周12aとの間に形成された空間Sに設けられている。
【0075】
この構成により、本実施形態に係る物品搬送装置は、外側搬送部12により搬送中の錠剤Wを上方からピックアップする必要がなく、外側搬送部12により搬送中の錠剤Wを外側搬送部12外に確実に排出することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る物品搬送装置は、外側搬送部12の内側に形成された空間SにNG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bを設けたので、これら回収エリアを外側搬送部の外側に設けた場合と比較して、物品搬送装置の省スペース化を図ることができる。
【0077】
また、本実施形態に係る物品搬送装置において、外側搬送部12には、内側搬送部11から供給される錠剤Wを径方向内方側から受け入れるよう、径方向内方側に開口した切欠き部12bが複数形成されており、切欠き部12bに収容された錠剤WをNG品選別位置P5又はOK品選別位置P6にて径方向内方に向けて排出する排出部16をさらに備える。
【0078】
この構成により、本実施形態に係る物品搬送装置は、NG品選別位置P5又はOK品選別位置P6において、排出部16によって錠剤Wを切欠き部12bからNG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bに確実に排出することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る物品搬送装置において、排出部16が錠剤Wに対し径方向外方からエアーを吹き付けるエアー吹き付け部からなるので、外側搬送部12が高速で回転する場合であっても、切欠き部12bに収容された錠剤Wを高速かつ確実に排出することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る物品搬送装置において、外側搬送部12に囲まれる領域のうち、内側搬送部11及び空間S以外の領域に設けられ、内側搬送部11の外周11dと外側搬送部12の内周12aとの間に延在するシュート部13をさらに備える。
【0081】
この構成により、本実施形態に係る物品搬送装置は、外側搬送部12に搬送されている錠剤Wを例えば再検査等のために内側搬送部11に戻したり、物品調整部15により切欠き部12bから除去された錠剤Wを内側搬送部11に戻したりすることができる。
【0082】
なお、本実施形態においては、所定の排出エリアとしてNG品回収エリア17A及びOK品回収エリア17Bを設けた例について説明したが、これに限らず、例えば所定の排出エリアとして1つの回収エリアを設け、当該1つの回収エリアをNG品回収エリア及びOK品回収エリアの共通の回収エリアとして用いてもよい。この場合、当該1つの回収エリアで回収された錠剤Wは、NG品かOK品かに応じてフラッパにより振り分けられてそれぞれ異なる回収通路を通じて回収されることも可能である。
【0083】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0084】
1 物品検査装置
2 物品搬送装置
3 物品検査部
10 供給容器
11 内側搬送部
11d 外周
12 外側搬送部
12a 内周
12b 切欠き部
12c 開口部
13 シュート部
13a、13b 外周端
13c 内周端
13A 第1シュート
13B 第2シュート
14 物品供給部
15 物品調整部
16 排出部
16A NG品排出部
16B OK品排出部
17A NG品回収エリア
17B OK品回収エリア
P1 物品投入位置
P2 物品供給位置
P3 物品調整位置
P4 物品検査位置
P5 NG品選別位置(物品排出位置)
P6 OK品選別位置(物品排出位置)
O1、O2 回転中心
S 空間
W 錠剤(物品)