(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】保護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20240117BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240117BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2021092895
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020104844
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】植田 友成
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231649(JP,A)
【文献】特開2009-238538(JP,A)
【文献】特開2014-060878(JP,A)
【文献】特開平08-084434(JP,A)
【文献】特開2018-060659(JP,A)
【文献】特開平04-075430(JP,A)
【文献】特開平10-208779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/18
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、
1以上のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧をモニタしその測定量に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ前記信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、
ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、前記ヒューズエレメントが前記放電回路と並列接続され、かつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子を備え、
前記信号制御部は、
充電時に前記放電回路をオフにするとともに前記充電回路をオンにし、
放電時に前記放電回路をオンにするとともに前記充電回路をオフにして、前記充電回路と前記放電回路とをオン/オフ制御し、
前記保護素子は、
前記切替制御素子を経由して流れる前記充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えると前記ヒューズエレメントが溶断して前記充電回路を遮断し、かつ前記信号制御部により前記セルまたは前記バッテリが所定の電圧値を越えると前記発熱抵抗体が発熱して前記ヒューズエレメントが溶断して前記充電回路を遮断し、
前記切替制御素子は、インバータ付きスイッチング素子または該インバータ付きスイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成された保護回路。
【請求項2】
前記
インバータ付きスイッチング素子は、セレクター、スイッチコントローラー、CMOSトランジスタ、FETの群から選択されたスイッチング素子
を備えるものである請求項
1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記保護回路は、さらに抵抗素子およびキャパシタ素子からなる遅延回路を設けた請求項
1または請求項
2に記載の保護回路。
【請求項4】
リチウムイオン電池のバッテリパックの充放電装置であって、
1以上のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ前記信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、
ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、前記ヒューズエレメントが前記放電回路と並列接続され、かつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、
前記切替制御素子は、充電時に前記信号制御部により前記放電回路をオフにするとともに前記充電回路をオンにし、
放電時に前記信号制御部により前記放電回路をオンにするとともに前記充電回路をオフにして、前記充電回路と前記放電回路とをオン/オフ制御することができ、
前記保護素子は、前記切替制御素子を経由して流れる前記充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えたときに溶断するか、
または、前記セルまたは前記バッテリの電圧が所定の電圧値を越えたときに、前記発熱抵抗体の通電発熱によって溶断する前記ヒューズエレメントを有し、
前記切替制御素子は、インバータ付きスイッチング素子または該インバータ付きスイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成された充放電装置。
【請求項5】
前記
インバータ付きスイッチング素子は、セレクター、スイッチコントローラー、CMOSトランジスタ、FETの群から選択されたスイッチング素子
を備えるものである請求項
4に記載の充放電装置。
【請求項6】
前記充放電装置は、さらに抵抗素子およびキャパシタ素子からなる遅延回路を設けた請求項
4または請求項
5に記載の充放電装置。
【請求項7】
リチウムイオン電池のバッテリパックであって、
1以上のリチウムイオン電池のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ前記信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、
ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、前記ヒューズエレメントが前記放電回路と並列接続され、かつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、
前記信号制御部は、
充電時に前記放電回路をオフにするとともに前記充電回路をオンにし、
放電時に前記放電回路をオンにするとともに前記充電回路をオフにして、前記充電回路と前記放電回路とをオン/オフ制御し、
前記保護素子は、
前記切替制御素子を経由して流れる前記充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えると前記ヒューズエレメントが溶断して前記充電回路を遮断し、かつ前記信号制御部により前記セルまたは前記バッテリが所定の電圧値を越えると前記発熱抵抗体が発熱して前記ヒューズエレメントが溶断して前記充電回路を遮断し、
前記切替制御素子は、インバータ付きスイッチング素子または該インバータ付きスイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成されたバッテリパック。
【請求項8】
前記
インバータ付きスイッチング素子は、セレクター、スイッチコントローラー、CMOSトランジスタ、FETの群から選択されたスイッチング素子
を備えるものである請求項
7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記バッテリパックは、さらに抵抗素子およびキャパシタ素子からなる遅延回路を設けた請求項
7または請求項
8に記載のバッテリパック。
【請求項10】
リチウムイオン電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、
1以上のリチウムイオン電池のセルが接続されたバッテリと、このバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、該バッテリパックを充電または該バッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、
前記バッテリパックは、
セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、前記バッテリと前記バッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ前記信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、前記ヒューズエレメントが前記放電回路と並列接続され、かつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、
前記信号制御部は、
充電時に前記放電回路をオフにするとともに前記充電回路をオンにし、
放電時に前記放電回路をオンにするとともに前記充電回路をオフにして、前記充電回路と前記放電回路とをオン/オフ制御し、
前記保護素子は、
前記切替制御素子を経由して流れる前記充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えると前記ヒューズエレメントが溶断して前記充電回路を遮断し、かつ前記信号制御部により前記セルまたは前記バッテリが所定の電圧値を越えると前記発熱抵抗体が発熱して前記ヒューズエレメントが溶断して前記充電回路を遮断し、
前記切替制御素子は、インバータ付きスイッチング素子または該インバータ付きスイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成された電気機器。
【請求項11】
前記
インバータ付きスイッチング素子は、セレクター、スイッチコントローラー、CMOSトランジスタ、FETの群から選択されたスイッチング素子
を備えるものである請求項
10に記載の電気機器。
【請求項12】
前記電気機器は、さらに抵抗素子およびキャパシタ素子からなる遅延回路を設けた請求項
10または請求項
11に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱抵抗体とヒューズエレメントを有する保護素子を備えたバッテリパックの保護装置、保護回路およびバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は携帯電話のように単電池使用でも必ず安全確保のための保護回路(Safety Unit)とセットでケース内に組み込んだバッテリパックの形態で製品化されている。リチウムイオン電池は単電池だけでは実用上の安全性確保が難しいからである。リチウムイオン電池の安全性の特徴は過充電と過熱に弱いことがあげられる。このため、バッテリパックは、電池と安全性確保のための保護回路、保護素子、ヒューズ等をセットにしてプラスチックケース等の外装缶に収納したものとなっており、電圧、電流、温度等を検知しながら充放電制御システム(バッテリマネージメントシステム,BMS)によって電池の充放電は制御されている。
【0003】
リチウムイオン電池の二次電池セルを複数搭載したバッテリパックは、電池が異常な状態で充放電されるのを防止するために、電池と直列に保護素子を接続している。この保護素子は、電池が異常な状態で充放電されるときに電流を遮断する。異常時に電池の電流を遮断するために、保護素子は過電流のジュール熱によって溶断する低融点金属のヒューズエレメントを内蔵する。さらに保護素子は発熱抵抗体が内蔵されており、電池が過充電された異常時には、発熱抵抗体に通電して低融点金属のヒューズエレメントを短時間で加熱溶断させることができる。(特許文献1参照)
上記保護素子はバッテリパックの保護回路に接続されており、各セルの電圧をモニタするプロテクションICとFETなどの制御素子によってヒューズエレメントの動作は制御されている。例えば、特許文献2に記載のバッテリパックの充放電制御回路に利用された保護素子は、バッテリパックの過電流および周囲温度の上昇に感応するか、または所定条件で発熱抵抗体に通電することによって強制的にヒューズを作動させ電気回路を遮断する。すなわち、該保護素子は、機器の安全を図るために、保護回路が機器に生ずる異常を検知すると信号電流により抵抗素子を発熱させ、その発熱で可溶合金からなるヒューズエレメント(ヒューズ素子とも言う)を溶断させて回路を遮断するか、あるいは過電流によってヒューズエレメントを溶断させて回路を遮断できる。
【0004】
従来のバッテリパックでは構成が複雑であった。すなわち、保護回路に保護素子を少なくとも放電系と充電系でそれぞれ別の保護素子が使用され、複数の保護素子が必要とされていた。また、保護回路は、開閉器を構成するFET(スイッチング素子)、ダイオード(整流素子)などを含む半導体素子を、少なくとも放電回路系に2個、充電回路系に2個、保護素子の動作制御に1個用いており、多数の半導体素子が必要であった。切換制御部から第1および第2の開閉器に出力される2つの信号は、互いに常に逆相でなければならない。万一、信号が同相だと2つの開閉器と2つの保護素子間にループが形成されてしまうため、システムダウンにつながるリスクがあるからである。従来の保護回路は信号制御に上述のリスクがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-228379号公報
【文献】特開2012-231649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、バッテリを過充電と過熱から保護する保護回路およびバッテリパックを、より簡素な構成で実現し、もって上述のシステムリスクを軽減するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、
1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリ(組電池)と、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリの外部端子との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第3のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備えた保護回路が提案される。
【0008】
本発明に係るスイッチング素子は、電界効果トランジスタ(FET)、MOSFET、IGBTなどのスイッチングトランジスタまたは該スイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成される。
【0009】
本発明に係る保護回路はバッテリパックの充放電装置に適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリの外部端子との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第3のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、信号制御部は、充電時に第1のスイッチング素子をオフにするとともに第2のスイッチング素子をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子をオンにするとともに第2のスイッチング素子をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御することができ、保護素子は、第2のスイッチング素子を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えたときに溶断するか、または、セルまたはバッテリの電圧が所定の電圧値を越えたときに、発熱抵抗体の通電発熱によって溶断するヒューズエレメントを有する充放電装置が提供される。
【0010】
本発明に係る保護回路または充放電装置はバッテリパックに適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリの外部端子との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第3のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、信号制御部は、充電時に第1のスイッチング素子をオフにするとともに第2のスイッチング素子をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子をオンにするとともに第2のスイッチング素子をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子は、第2のスイッチング素子を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部によりセルまたはバッテリが所定の電圧値を越えると発熱抵抗体が発熱してヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断するバッテリパックが提供される。
【0011】
本発明に係るバッテリパックはモバイル機器などコードレス電気機器に使用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、このバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、バッテリパックを充電またはバッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、バッテリパックは、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリの外部端子との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第3のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、信号制御部は、充電時に第1のスイッチング素子をオフにするとともに第2のスイッチング素子をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子をオンにするとともに第2のスイッチング素子をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子は、第2のスイッチング素子を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部によりセルまたはバッテリが所定の電圧値を越えると発熱抵抗体が発熱してヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断する電気機器が提供される。
【0012】
本発明の別の観点によると、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧をモニタしその測定量に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子を備えた保護回路が提案される。
【0013】
さらに上記の切替制御素子を備えた保護回路は充放電装置に適用される。すなわち、前記切替制御素子を備えたリチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子を備え、切替制御素子は、充電時に信号制御部により放電回路をオフにするとともに充電回路をオンにし、放電時に信号制御部により放電回路をオンにするとともに充電回路をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御することができ、保護素子は、切替制御素子を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えたときに溶断するか、または、セルまたはバッテリの電圧が所定の電圧値を越えたときに、発熱抵抗体の通電発熱によって溶断するヒューズエレメントを有する充放電装置が提供される。
【0014】
上述の切替制御素子を含む保護回路および充放電装置はバッテリパックに利用できる。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、信号制御部は、充電時に放電回路をオフにするとともに充電回路をオンにし、放電時に放電回路をオンにするとともに充電回路をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子は、切替制御素子を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部によりセルまたはバッテリが所定の電圧値を越えると発熱抵抗体が発熱してヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断するバッテリパックが提供される。
【0015】
本発明に係る切替制御素子を含むバッテリパックは、モバイル機器などコードレス電気機器に利用できる。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、このバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、バッテリパックを充電またはバッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、バッテリパックは、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、バッテリとバッテリパックの外部端子との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントが放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続されたスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、信号制御部は、充電時に放電回路をオフにするとともに充電回路をオンにし、放電時に放電回路をオンにするとともに充電回路をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子は、切替制御素子を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部によりセルまたはバッテリが所定の電圧値を越えると発熱抵抗体が発熱してヒューズエレメントが溶断して充電回路を遮断する電気機器が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、より簡便な構成のバッテリパックの保護装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る保護回路10を示した図である。
【
図2】本発明に係る保護回路20を示した図である。
【
図3】本発明に係る保護回路30を示した図である。
【
図4】本発明に係る保護回路40を示した図である。
【
図5】本発明に係る実施例1の保護回路50を示した図である。
【
図6】本発明に係る実施例2の保護回路60を示した図である。
【
図7】本発明に係る実施例3の保護回路70を示した図である。
【
図8】本発明に係る実施例4の保護回路80を示した図である。
【
図9】本発明に係る遅延回路による緩衝効果を示した図である。
【
図10】本発明に係る実施例4を変形した保護回路100を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る保護回路10は、
図1に示すように、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上の二次電池のセル11が直列接続されたバッテリ12と、セル11またはバッテリ12の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部13と、バッテリ12の外部端子14との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部13からの信号を受けてオン/オフ制御する1個の第1のスイッチング素子15-1および1個の第2のスイッチング素子15-2と、ヒューズエレメント16-1と発熱抵抗体16-2を内蔵し、ヒューズエレメント16-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体16-2が信号制御部13に接続された第3のスイッチング素子15-3によって動作制御された1個の保護素子16を備える。保護回路10は、
図1に示したように充放電回路の切り替えを、信号制御部13のみによりコントロールすることができ、回路構成を簡略化するとともに制御部の不具合(エラー)のリスクを低減することができる。保護回路10は、必要に応じて
図8に示すような抵抗素子89-1とキャパシタ素子89-2とからなる遅延回路89を設けることで、印加電圧を遅延させることができ、スイッチング時の突入電流等のオーバーシュート電流を緩衝させることができる。
【0019】
上述の保護回路10はバッテリパックの充放電装置に適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセル11が直列接続されたバッテリ12と、セル11またはバッテリ12の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部13と、バッテリ12の外部端子14との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部13からの信号を受けてオン/オフ制御する1個の第1のスイッチング素子15-1および1個の第2のスイッチング素子15-2と、ヒューズエレメント16-1と発熱抵抗体16-2を内蔵し、ヒューズエレメント16-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体16-2が信号制御部13に接続された第3のスイッチング素子15-3によって動作制御された保護素子16とを備え、信号制御部13は、充電時に第1のスイッチング素子15-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子15-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御することができ、保護素子16は、第2のスイッチング素子15-2を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えたときに溶断するか、または、セル11またはバッテリ12の電圧が所定の電圧値を越えたときに、発熱抵抗体16-2の通電発熱によって溶断するヒューズエレメント16-1を有する充放電装置が提供される。
【0020】
前記保護回路または充放電装置において、第2のスイッチング素子15-2は、セル11またはバッテリ12と保護素子16との間に配置される。または、本発明に係る保護回路または充放電装置の別の例では、保護素子16は、セル11またはバッテリ12と第2のスイッチング素子15-2との間に配置される。
【0021】
また、本発明に係る保護回路または充放電装置において、第1のスイッチング素子15-1は、バッテリ12とバッテリパックの外部端子14との間に接続され、セル11の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部13からの信号を受けてオン/オフ制御された1個のスイッチングトランジスタから構成され、第2のスイッチング素子15-2は、第1のスイッチング素子15-1と並列に接続され、信号制御部13からの信号を受けてオン/オフ制御された1個のスイッチングトランジスタから構成され、かつ第1のスイッチング素子15-1と第2のスイッチング素子15-2とはスイッチングトランジスタにおける内部ダイオードのバイアスの方向が互いに逆となるように構成され、信号制御部13は、充電時に第1のスイッチング素子15-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子15-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオフにするオン/オフ制御を実施する。例えば、第1のスイッチング素子15-1および第2のスイッチング素子15-2は、それぞれ1個の電界効果トランジスタから構成でき、第1のスイッチング素子15-1と第2のスイッチング素子15-2は電界効果トランジスタにおける内部ダイオードのバイアスの方向が互いに逆となるように構成すれば、信号制御部13によって、充電時に第1のスイッチング素子15-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子15-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオフにするオン/オフ制御を行うことができる。
【0022】
保護回路10は、
図2に示す保護回路20のように変形してもよい。すなわち、1以上の二次電池のセル21が直列接続されたバッテリ22と、セル21またはバッテリ22の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部23と、バッテリ22の外部端子24との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部23からの信号を受けてオン/オフ制御する1個の第1のスイッチング素子25-1および1個の第2のスイッチング素子25-2と、ヒューズエレメント26-1と発熱抵抗体26-2を内蔵し、ヒューズエレメント26-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体26-2が信号制御部23に接続された第3のスイッチング素子25-3によって動作制御された保護素子26とを備え、信号制御部23は、その信号回路を分岐させ何れか一方の信号回路にインバータ素子(反転増幅素子)27を設けて、この分岐した信号回路の片側に第1のスイッチング素子25-1のゲートを、もう一方の側に第2のスイッチング素子25-2のゲートをそれぞれ接続させてもよい。この場合、第1のスイッチング素子25-1および第2のスイッチング素子25-2は、一方にインバータ素子27を有するので1個の信号経路を共用することができる。この変形例は、
図2に示したように充放電回路の切り替えを、信号制御部23からの単一の信号によりコントロールすることができ、回路構成を簡略化するとともに制御部のエラーのリスクを低減することができる。
【0023】
また、本発明に係る保護回路10は
図3に示す保護回路30ように変形することもできる、すなわち、1以上の二次電池のセル31が直列接続されたバッテリ32と、セル31またはバッテリ32の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部33と、バッテリ32の外部端子34との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部33からの信号を受けてオン/オフ制御する1個の第1のスイッチング素子35-1および1個の第2のスイッチング素子35-2と、ヒューズエレメント36-1と発熱抵抗体36-2を内蔵し、ヒューズエレメント36-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体36-2が信号制御部33に接続された第3のスイッチング素子35-3によって動作制御された保護素子36とを備え、信号制御部33は、その信号回路を分岐させ何れか一方の信号回路にインバータ素子(反転増幅素子)37を設けて、この分岐した信号回路の片側に第1のスイッチング素子35-1のゲートを、もう一方の側に第2のスイッチング素子35-2のゲートをそれぞれ接続させる。この場合、第1のスイッチング素子35-1および第2のスイッチング素子35-2は、一方にインバータ素子37を有するので1個の信号回路を共用することができる。保護素子36は、バッテリ32と第1のスイッチング素子35-1との間に配置され、セル31またはバッテリ32の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部33によりセル31またはバッテリ32が所定の電圧値を越えたときに通電され発熱する発熱抵抗体36-2と、第1のスイッチング素子35―1に対して並列接続されたヒューズエレメント36-1が所定の溶断温度を越えたとき、または第2のスイッチング素子35-2を経由してヒューズエレメント36-1を流れる電流値が所定の溶断電流値を越えたときに、充電回路を遮断する。保護回路30は、
図3に示したように充放電回路の切り替えを、信号制御部33からの単一の信号によりコントロールすることができ、回路構成を簡略化するとともに制御部の不具合のリスクを少なくすることができる。
【0024】
本発明の保護回路または充放電装置の信号制御部13は、セル11またはバッテリ12が所定の電圧値を越えたときに、セル11またはバッテリ12の電圧に応じて出力する制御信号により、第1のスイッチング素子15-1を構成するスイッチングトランジスタをオフからオンにするとともに、第2のスイッチング素子15-2を構成するスイッチングトランジスタをオンからオフにし、セル11またはバッテリ12が所定の電圧値未満となっときに、信号制御部13の制御信号により、第1のスイッチング素子15-1を構成するスイッチングトランジスタをオンからオフにするとともに、第2のスイッチング素子15-2を構成するスイッチングトランジスタをオフからオンにする。
【0025】
本発明の保護回路または充放電装置の第1のスイッチング素子15-1は、放電の方向に対して内部ダイオードのバイアス方向が順方向となるようにして放電回路上に接続された1個のスイッチングトランジスタとから構成され、第2のスイッチング素子15-2は、充電の方向に対して内部ダイオードのバイアス方向が順方向となるようにして充電回路上に接続された1個のスイッチングトランジスタとから構成される。
【0026】
本発明の保護回路または充放電装置は、必要に応じて
図8に示すような抵抗素子89-1およびキャパシタ素子89-2からなる遅延回路89を設けることで、印加電圧を遅延させることができ、スイッチング時の突入電流等のオーバーシュート電流を緩衝させることができる。
【0027】
本発明に係る保護回路または充放電装置はバッテリパックに適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセル11が直列接続されたバッテリ12と、セル11またはバッテリ12の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部13と、バッテリ12の外部端子14との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部からの信号を受けてオン/オフ制御する1個の第1のスイッチング素子15-1および1個の第2のスイッチング素子15-2と、ヒューズエレメント16-1と発熱抵抗体16-2を内蔵し、ヒューズエレメント16-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体16-2が信号制御部13に接続された第3のスイッチング素子15-3によって動作制御された保護素子16とを備え、信号制御部13は、充電時に第1のスイッチング素子15-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子15-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子16は、第2のスイッチング素子15-2を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメント16-1が溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部13によりセル11またはバッテリ12が所定の電圧値を越えると発熱抵抗体16-2が発熱してヒューズエレメント16-1が溶断して充電回路を遮断するバッテリパックが提供される。
【0028】
本発明に係るバッテリパックはモバイル機器などコードレス電気機器に使用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセル11が直列接続されたバッテリ12と、バッテリ12の充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、該バッテリパックを充電または該バッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、前記バッテリパックは、セル11またはバッテリ12の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部13と、バッテリ12の外部端子14との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部13からの信号を受けてオン/オフ制御する1個の第1のスイッチング素子15-1および1個の第2のスイッチング素子15-2と、ヒューズエレメント16-1と発熱抵抗体16-2を内蔵し、ヒューズエレメント16-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体16-2が信号制御部13に接続された第3のスイッチング素子15-3によって動作制御された保護素子16とを備え、信号制御部13は、充電時に第1のスイッチング素子15-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子15-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子15-2をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子16は、第2のスイッチング素子15-2を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメント16-1が溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部13によりセル11またはバッテリ12が所定の電圧値を越えると発熱抵抗体16-2が発熱してヒューズエレメント16-1が溶断して充電回路を遮断する電気機器が提供される。
【0029】
本発明に係る保護回路40は、
図4に示すようにリチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上のセル41が直列に接続されたバッテリ42と、セル41またはバッテリ42の電圧をモニタしその測定量に応じて制御信号を出力する信号制御部43と、バッテリ42とバッテリパックの外部端子44との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部43からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子45と、ヒューズエレメント46-1と発熱抵抗体46-2を内蔵し、ヒューズエレメント46-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体46-2が信号制御部43に接続されたスイッチング素子48によって動作制御された1個の保護素子46を備える。保護回路40は、
図4に示したように充放電回路の切り替えを、信号制御部43からの単一信号によりコントロールすることができ、回路構成を簡略化するとともに切換制御部に起因するエラー発生のリスクをなくすことができる。保護回路40は、必要に応じて
図8に示すような抵抗素子89-1およびキャパシタ素子89-2からなる遅延回路89を設けることで、印加電圧を遅延させることができ、スイッチング時の突入電流等のオーバーシュート電流を緩衝させることができる。
【0030】
さらに上記の切替制御素子を備えた保護回路は充放電装置に適用される。すなわち、本発明の切替制御素子を備えた充放電装置は、1以上のセル41が直列に接続されたバッテリ42と、セル41またはバッテリ42の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部43と、バッテリ42とバッテリパックの外部端子44との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部43からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子45と、ヒューズエレメント46-1と発熱抵抗体46-2を内蔵し、ヒューズエレメント46-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体46-2が信号制御部43に接続されたスイッチング素子48によって動作制御された保護素子46を備え、切替制御素子45は、充電時に信号制御部43により放電回路をオフにするとともに充電回路をオンにし、
放電時に信号制御部43により放電回路をオンにするとともに充電回路をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御することができ、保護素子46は、切替制御素子45を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えたときに溶断するか、または、セル41またはバッテリ42の電圧が所定の電圧値を越えたときに、発熱抵抗体46-2の通電発熱によって溶断するヒューズエレメント46-1を有する。
【0031】
本発明に係る切替制御素子45は、セレクター、スイッチコントローラー、CMOSトランジスタ、MOSFET、IGBT、FETなどのスイッチングトランジスタまたは該スイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成される。スイッチング素子48は、MOSFET、IGBT、FETなどのスイッチング素子または該スイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成される。
【0032】
本発明の切替制御素子45を含む保護回路または充放電装置において、保護素子46は、セル41またはバッテリ42と切替制御素子45との間の充電回路上に配置される。また、図示しないがこの切替制御素子を含む保護回路または充放電装置の別の例では、保護素子46は、切替制御素子45とバッテリパックの外部端子44との間に配置してもよい。
【0033】
上述の切替制御素子を含む保護回路および充放電装置はバッテリパックに利用できる。すなわち、本発明の切替制御素子を備えたバッテリパックは、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセル41が直列接続されたバッテリ42と、セル41またはバッテリ42の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部43と、バッテリ42とバッテリパックの外部端子44との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部43からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子45と、ヒューズエレメント46-1と発熱抵抗体46-2を内蔵し、ヒューズエレメント46-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体46-2が信号制御部43に接続されたスイッチング素子48によって動作制御された保護素子46とを備え、信号制御部43は、
充電時に放電回路をオフにするとともに充電回路をオンにし、放電時に放電回路をオンにするとともに充電回路をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子46は、切替制御素子45を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメント46-1が溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部43によりセル41またはバッテリ42が所定の電圧値を越えると発熱抵抗体46-2が発熱してヒューズエレメント46-1が溶断して充電回路を遮断する。
【0034】
切替制御素子45を含むバッテリパックは、モバイル機器などコードレス電気機器に利用できる。すなわち、本発明の切替制御素子を備えた電気機器は、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセル41が直列接続されたバッテリ42と、バッテリ42の充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、該バッテリパックを充電または該バッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、前記バッテリパックは、セル41またはバッテリ42の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部43と、バッテリ42と該バッテリパックの外部端子44との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部43からの信号を受けてオン/オフ制御する切替制御素子45と、ヒューズエレメント46-1と発熱抵抗体46-2を内蔵し、ヒューズエレメント46-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体46-2が信号制御部43に接続されたスイッチング素子48によって動作制御された保護素子46とを備え、信号制御部43は、充電時に放電回路をオフにするとともに充電回路をオンにし、放電時に放電回路をオンにするとともに充電回路をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御し、保護素子46は、切替制御素子45を経由して流れる充電回路の電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメント46-1が溶断して充電回路を遮断し、かつ信号制御部43によりセル41またはバッテリ42が所定の電圧値を越えると発熱抵抗体46-2が発熱してヒューズエレメント46-1が溶断して充電回路を遮断する。
【実施例】
【0035】
実施例1の保護回路50は
図5に示すように、リチウムイオン電池の4個のセル51が直列接続されたバッテリ52と、セル51またはバッテリ52の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部53と、バッテリ52の外部端子54との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部53からの信号を受けてオン/オフ制御する1個のNチャンネル型MOSFETからなる第1のスイッチング素子55-1および1個のNチャンネル型MOSFETからなる第2のスイッチング素子55-2と、可融性金属材からなるヒューズエレメント56-1と膜抵抗体からなる発熱抵抗体56-2を内蔵し、ヒューズエレメント56-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体56-2が信号制御部53に接続された1個のNチャンネル型MOSFETからなる第3のスイッチング素子55-3によって動作制御された1個の保護素子56を備える。保護回路50はバッテリパックの充放電装置に適用され、信号制御部53は、充電時に第1のスイッチング素子55-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子55-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子55-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子55-2をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御する。
【0036】
実施例2の保護回路60は
図6に示すように、リチウムイオン電池の4個のセル61が直列接続されたバッテリ62と、セル61またはバッテリ62の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部63と、バッテリ62の外部端子64との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部63からの信号を受けてオン/オフ制御する1個のNチャンネル型MOSFETからなる第1のスイッチング素子65-1および1個のNチャンネル型MOSFETからなる第2のスイッチング素子65-2と、可融性金属材からなるヒューズエレメント66-1と膜抵抗体からなる発熱抵抗体66-2を内蔵し、ヒューズエレメント66-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体66-2が信号制御部63に接続された1個のNチャンネル型MOSFETからなる第3のスイッチング素子65-3によって動作制御された1個の保護素子66とを備える。保護回路60はバッテリパックの充放電装置に適用され、信号制御部63は、その信号回路を分岐させて、片側に第1のスイッチング素子65-1のゲートを、もう一方の側に第2のスイッチング素子65-2のゲートをそれぞれ接続させて、第2のスイッチング素子65-2のゲートは、信号制御部63の信号回路にインバータ素子67を介して接続されている。第1のスイッチング素子65-1のゲートは、信号制御部63との間にインバータ素子67を介することなく接続されている。第2のスイッチング素子65-2にインバータ素子67を有するので、第1のスイッチング素子65-1と信号回路を共用することができる。なお、実施例2では、インバータ素子67は第2のスイッチング素子65-2の側に接続されているが、インバータ素子67は、第1または第2のスイッチング素子の何れかに設けてあればよく、適宜第2のスイッチング素子65-2に替えて第1のスイッチング素子65-1の側に配置してもよい。
【0037】
実施例3の保護回路70は、
図7に示すように、リチウムイオン電池の4個のセル71が直列に接続されたバッテリ72と、セル71またはバッテリ72の電圧をモニタしその測定量に応じて制御信号を出力する信号制御部73と、バッテリ72とバッテリパックの外部端子74との間の放電回路と充電回路とに接続され、かつ信号制御部73からの信号を受けてオン/オフ制御する1個のインバータ(反転増幅器)付きCMOSトランジスタからなる切替制御素子75と、可融性金属材からなるヒューズエレメント76-1と膜抵抗体からなる発熱抵抗体76-2を内蔵し、ヒューズエレメント76-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体76-2が信号制御部73に接続された1個のNチャンネル型MOSFETからなるスイッチング素子78によって動作制御された1個の保護素子76を備える。保護回路70はバッテリパックの充放電装置に適用され、信号制御部73は、切替制御素子75のINに接続され、放電回路は、切替制御素子75のドレインに接続され、充電回路は、保護素子のヒューズエレメント76-1を介して切替制御素子75のソースに接続されている。
【0038】
実施例4の保護回路80は
図8に示すように、リチウムイオン電池の4個のセル81が直列接続されたバッテリ82と、セル81またはバッテリ82の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部83と、バッテリ82の外部端子84との間の電流回路に並列接続され、かつ信号制御部83からの信号を受けてオン/オフ制御する1個のNチャンネル型MOSFETからなる第1のスイッチング素子85-1および1個のNチャンネル型MOSFETからなる第2のスイッチング素子85-2と、可融性金属材からなるヒューズエレメント86-1と膜抵抗体からなる発熱抵抗体86-2を内蔵し、ヒューズエレメント86-1が放電回路と並列接続され、かつ発熱抵抗体86-2が信号制御部83に接続された1個のNチャンネル型MOSFETからなる第3のスイッチング素子85-3によって動作制御された1個の保護素子86と、バッテリ82に直列接続された抵抗素子89-1および抵抗素子89-1と接続され、かつバッテリ82に並列接続されたコンデンサ89-2からなる遅延回路89とを備える。保護回路80は、遅延回路89によって、印加電圧を遅延させることができ、数μ秒単位で発生するスイッチング時の突入電流等を緩衝すると共に、バッテリパックの充放電装置に適用され、信号制御部83は、充電時に第1のスイッチング素子85-1をオフにするとともに第2のスイッチング素子85-2をオンにし、放電時に第1のスイッチング素子85-1をオンにするとともに第2のスイッチング素子85-2をオフにして、充電回路と放電回路とをオン/オフ制御することができる。(
図9参照)
【0039】
さらに実施例4の保護回路80は、
図10に示す保護回路100のように変形してもよい。すなわち、1以上の二次電池のセル101が直列接続されたバッテリ102と、セル101またはバッテリ102の電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部103と、ヒューズエレメント106-1と発熱抵抗体106-2を内蔵し、ヒューズエレメント106-1が1経路からなる充放電回路と直列接続され、かつ発熱抵抗体106-2が信号制御部103に接続された1個のスイッチング素子105によって動作制御された保護素子106と、バッテリ102に直列接続された抵抗素子109-1および抵抗素子109-1と接続され、かつバッテリ102に並列接続されたキャパシタ素子109-2からなる遅延回路109とを備え、保護回路100は、遅延回路89によって、印加電圧を遅延させてスイッチング時の突入電流を緩衝すると共に、前記充放電回路を経由して流れる電流値が所定の溶断電流値を越えるとヒューズエレメント106-1が溶断して前記充放電回路を遮断し、かつ信号制御部103によりセル101またはバッテリ102が所定の電圧値を越えると発熱抵抗体106-2が発熱してヒューズエレメント106-1が溶断して前記充放電回路を遮断する。
【0040】
前記保護回路100のスイッチング素子は、スイッチングトランジスタまたは該スイッチングトランジスタを含む保護回路モジュールから構成してもよい。
【0041】
前記保護回路100のスイッチング素子は、FETまたは該FETを含む保護回路モジュールから構成してもよい。
【0042】
保護回路100はバッテリパックに適用できる。
すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、
1以上の二次電池のセルが直列接続されたバッテリと、前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体とを内蔵し、前記ヒューズエレメントが充放電回路と直列接続され、かつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続された1個のスイッチング素子によって動作制御された保護素子と、前記バッテリに接続された抵抗素子および前記抵抗素子と接続され、かつ前記バッテリに接続されたキャパシタ素子からなる遅延回路とを備え、
保護回路は、前記遅延回路によって、印加電圧を遅延させてスイッチング時の突入電流を緩衝すると共に、前記充放電回路を経由して流れる電流値が所定の溶断電流値を越えると前記ヒューズエレメントが溶断して前記充放電回路を遮断し、かつ前記信号制御部により前記セルまたは前記バッテリが所定の電圧値を越えると前記発熱抵抗体が発熱して前記ヒューズエレメントが溶断して前記充放電回路を遮断するバッテリパックとしてもよい。
【0043】
本発明の構成は、特に過充電保護に着目して保護装置の簡素化を図ることができ、もってバッテリパックおよび保護回路のコスト削減に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、発熱抵抗体とヒューズエレメントを設けた保護素子を使用した電気・電子機器の保護回路に利用でき、特にバッテリパックなど2次電池の保護装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
保護回路10、セル11、バッテリ12、信号制御部13、外部端子14、第1のスイッチング素子15-1、第2のスイッチング素子15-2、第3のスイッチング素子15-3、保護素子16、ヒューズエレメント16-1、発熱抵抗体16-2、保護回路20、セル21、バッテリ22、信号制御部23、外部端子24、第1のスイッチング素子25-1、第2のスイッチング素子25-2、第3のスイッチング素子25-3、保護素子26、ヒューズエレメント26-1、発熱抵抗体26-2、インバータ素子27、保護回路30、セル31、バッテリ32、信号制御部33、外部端子34、第1のスイッチング素子35-1、第2のスイッチング素子35-2、第3のスイッチング素子35-3、保護素子36、ヒューズエレメント36-1、発熱抵抗体36-2、インバータ素子37、保護回路40、セル41、バッテリ42、信号制御部43、外部端子44、切替制御素子45、保護素子46、ヒューズエレメント46-1、発熱抵抗体46-2、スイッチング素子48、保護回路50、セル51、バッテリ52、信号制御部53、外部端子54、第1のスイッチング素子55-1、第2のスイッチング素子55-2、第3のスイッチング素子55-3、保護素子56、ヒューズエレメント56-1、発熱抵抗体56-2、保護回路60、セル61、バッテリ62、信号制御部63、外部端子64、第1のスイッチング素子65-1、第2のスイッチング素子65-2、第3のスイッチング素子65-3、保護素子66、ヒューズエレメント66-1、発熱抵抗体66-2、インバータ素子67、
保護回路70、セル71、バッテリ72、信号制御部73、外部端子74、切替制御素子75、保護素子76、ヒューズエレメント76-1、発熱抵抗体76-2、スイッチング素子78、保護回路80、セル81、バッテリ82、信号制御部83、外部端子84、第1のスイッチング素子85-1、第2のスイッチング素子85-2、第3のスイッチング素子85-3、保護素子86、ヒューズエレメント86-1、発熱抵抗体86-2、遅延回路89、抵抗素子89-1、キャパシタ素子89-2、保護回路100、セル101、バッテリ102、信号制御部103、外部端子104、スイッチング素子105、保護素子106、ヒューズエレメント106-1、発熱抵抗体106-2、遅延回路109、抵抗素子109-1、キャパシタ素子109-2。