(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240117BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240117BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240117BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240117BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/02 H
(21)【出願番号】P 2021136238
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】大野 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】荘田 隆博
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-288109(JP,A)
【文献】特開2021-118636(JP,A)
【文献】特開2014-023361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記負荷の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、
放電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が第1の放電閾値以下である第1の放電期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、
前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記第1の放電閾値以下である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスする第1のバイパス処理と
を実行する蓄電池制御装置。
【請求項2】
放電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が前記第1の放電閾値より低い第2の放電閾値以下、前記第2の放電閾値より低い第3の放電閾値以上である第2の放電期間に、前記蓄電池から前記負荷への放電電流を0にする0電流処理と、
前記0電流処理の実行時に、電圧値又は充電率が前記第2の放電閾値以下、前記第3の放電閾値以上である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスする第2のバイパス処理と
を実行する請求項1に記載の蓄電池制御装置。
【請求項3】
前記0電流処理の実行は、前記第2の放電期間の始期から前記負荷が所定の運転状態である間は禁止され、前記負荷が前記所定の運転状態ではなくなった後、又は前記第2の放電期間の終期に許可される請求項2に記載の蓄電池制御装置。
【請求項4】
発電部に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記発電部の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、
充電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が第1の充電閾値以上である第1の充電期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、
前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記第1の充電閾値以上である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスする第1のバイパス処理と
を実行する蓄電池制御装置。
【請求項5】
充電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が前記第1の充電閾値より高い第2の充電閾値以上、前記第2の充電閾値より高い第3の充電閾値以下である第2の充電期間に、前記発電部から前記蓄電池への充電電流を0にする0電流処理と、
前記0電流処理の実行時に、電圧値又は充電率が前記第2の充電閾値以上、前記第3の充電閾値以下である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスする第2のバイパス処理と
を実行する請求項4に記載の蓄電池制御装置。
【請求項6】
前記0電流処理の実行は、前記第2の充電期間の始期から前記発電部が所定の運転状態である間は禁止され、前記発電部が前記所定の運転状態ではなくなった後、又は前記第2の充電期間の終期に許可される請求項5に記載の蓄電池制御装置。
【請求項7】
負荷及び発電部に直列接続される複数の蓄電池と、
各蓄電池をバイパスするバイパス部と、
前記負荷及び前記発電部の電流値を検知する電流センサと、
請求項1~6の何れか1項に記載の蓄電池制御装置と
を備える蓄電システム。
【請求項8】
負荷に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記負荷の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムをコンピュータを用いて制御する蓄電池制御方法であって、
放電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が所定の閾値以下である期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、
前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記所定の閾値以下である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスするバイパス処理と
を実行する蓄電池制御方法。
【請求項9】
発電部に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記発電部の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムをコンピュータを用いて制御する蓄電池制御方法であって、
充電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が所定の閾値以上である期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、
前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記所定の閾値以上である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスするバイパス処理と
を実行する蓄電池制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のバッテリが直列接続されたバッテリ装置の放電を制御するシステムとして、各バッテリの状態に基づいて放電を避けるバッテリを選定し、その放電を避けるバッテリをバイパスして他のバッテリから放電するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシステムでは、バッテリ同士を接続/遮断する遮断スイッチと、バイパス線を接続/遮断するバイパススイッチとが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムにおいて充放電を避けるバッテリを選定し、その充放電を避けるバッテリをバイパスする際には、短絡を防ぐ目的で、バイパス前の遮断スイッチがON、バイパススイッチがOFFの状態から、両スイッチがOFFの状態を経由して、バイパス後の遮断スイッチがOFF、バイパススイッチがONの状態に切り換えられる。そのため、蓄電池のバイパス切換のタイミングでバッテリから駆動用モーター等の負荷に放電する場合には負荷が瞬停する。また、蓄電池のバイパス切換のタイミングで駆動用モーターの回生電力によりバッテリを充電する場合には瞬間的に回生失効が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、蓄電池のバイパス切換のタイミングでの意図しない負荷の瞬停や回生失効を抑制できる蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電池制御装置は、負荷に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記負荷の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、放電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が第1の放電閾値以下である第1の放電期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記第1の放電閾値以下である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスする第1のバイパス処理とを実行する。
【0007】
本発明の蓄電池制御装置は、発電部に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記発電部の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、充電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が第1の充電閾値以上である第1の充電期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記第1の充電閾値以上である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスする第1のバイパス処理とを実行する。
【0008】
本発明の蓄電システムは、負荷及び発電部に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記負荷及び前記発電部の電流値を検知する電流センサと、上記の蓄電池制御装置とを備える。
【0009】
本発明の蓄電池制御方法は、負荷に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記負荷の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムをコンピュータを用いて制御する蓄電池制御方法であって、放電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が所定の閾値以下である期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記所定の閾値以下である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスするバイパス処理とを実行する。
【0010】
本発明の蓄電池制御方法は、発電部に直列接続される複数の蓄電池と、各蓄電池をバイパスするバイパス部と、前記発電部の電流値を検知する電流センサとを備える蓄電システムをコンピュータを用いて制御する蓄電池制御方法であって、充電時の各蓄電池の電圧値又は充電率が所定の閾値以上である期間に、前記電流センサにより検知される前記電流値が0となる0電流状態を検知する検知処理と、前記検知処理における前記0電流状態の検知時に、電圧値又は充電率が前記所定の閾値以上である蓄電池を前記バイパス部によりバイパスするバイパス処理とを実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓄電池のバイパス切換のタイミングでの意図しない負荷の瞬停や回生失効を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置を備える蓄電システムの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す制御装置の機能を示すブロック図である。
【
図3】
図3(A)~(D)は、
図2に示すバイパス制御部のバイパス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、
図2に示す制御装置による放電制御について説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図2に示す制御装置による充電制御について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において実施形態を適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置100を備える蓄電システム1の概略を示す図である。この図に示すように、蓄電システム1は、直列接続されたn個(nは2以上の整数)の蓄電池C1~Cnと、n個のバイパス回路B1~Bnと、n個の電圧センサ12と、電流センサ13と、充放電回路15と、制御装置100とを備える。この蓄電システム1は、車載用あるいは定置用の電源である。
【0015】
蓄電池C1~Cnは、蓄電池セル、又は複数の蓄電池セルが接続された蓄電池モジュールや蓄電池パックである。また、蓄電池C1~Cnは、リチウムイオンバッテリ、リチウムイオンキャパシタ等の二次電池である。特に限定するわけではないが、本実施形態の蓄電池C1~Cnは、車載利用等された中古電池を再生したものであり、各蓄電池C1~Cnの劣化度に差がある。これらの蓄電池C1~Cnを組み合わせて蓄電池系統10として構成する際には、各蓄電池C1~Cnの劣化状態を計測してそれらを電池容量に応じて選別した後、蓄電システム1の総容量が必要容量を満足するように、蓄電池C1~Cnを組み合わせている。なお、蓄電池系統10の蓄電池C1~Cnの劣化度を揃える必要はなく、蓄電池系統10の全容量が蓄電システム1の要件を満たしていればよい。
【0016】
これらの蓄電池C1~Cnは、充放電回路15を通じて外部系統16から電力を供給されて充電され、充電された電力を放電して外部系統16に電力を供給する。ここで、外部系統16は、負荷や発電機等を含む。蓄電システム1が車載用の場合には、駆動用モーター、エアコン、各種車載電装品等が負荷となる。なお、駆動用モーターは負荷になり発電機にもなる。また、蓄電システム1が定置用の場合には、家庭内の家電、商用電源系統、液晶表示器、通信モジュール等が負荷となり、太陽光発電システム等が発電機となる。
【0017】
各バイパス回路B1~Bnは、各蓄電池C1~Cnに対応して設けられている。各バイパス回路B1~Bnは、バイパス線BLと、バイパススイッチS_A1~S_Anと、遮断スイッチS_B1~S_Bnとを備える。バイパス線BLは、各蓄電池C1~Cnをバイパスする電力線である。バイパススイッチS_A1~S_Anは、バイパス線BLに設けられている。このバイパススイッチS_A1~S_Anは、例えば機械的スイッチである。遮断スイッチS_B1~S_Bnは、各蓄電池C1~Cnの正極とバイパス線BLの一端との間に設けられている。この遮断スイッチS_B1~S_Bnは、例えば半導体スイッチである。
【0018】
始端の蓄電池C1は充放電回路15を介して負荷等の外部系統16に接続され、終端の蓄電池Cnも負荷等の外部系統16に接続されている。蓄電池系統10の全てのバイパス回路B1~BnにおいてバイパススイッチS_A1~S_AnがOFFになり遮断スイッチS_B1~S_BnがONになった場合に、蓄電池系統10の全ての蓄電池C1~Cnが充放電回路15及び負荷等の外部系統16に直列接続される。他方で、蓄電池系統10の何れかのバイパス回路B1~Bnにおいて遮断スイッチS_B1~S_BnがOFFになり、バイパススイッチS_A1~S_AnがONになった場合に、当該バイパス回路B1~Bnに対応する蓄電池C1~Cnがバイパスされる。
【0019】
蓄電池系統10は、n個の電圧センサ12と、電流センサ13とを備える。電圧センサ12は、各蓄電池C1~Cnの正負極端子間に接続されており、各蓄電池C1~Cnの端子間電圧を測定する。また、電流センサ13は、蓄電池系統10の始端に設けられており、蓄電池系統10の充放電電流、即ち、蓄電池系統10と外部系統16との間で流れる電流を測定する。
【0020】
図2は、
図1に示す制御装置100の機能を示すブロック図である。この図に示すように、制御装置100は、バイパス制御部101と、0電流検知部102と、外部系統状態判定部103とを備える。
【0021】
バイパス制御部101は、各バイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_An及び遮断スイッチS_B1~S_BnのON/OFFの切り換えを制御する。バイパス制御部101は、バイパススイッチS_A1~S_AnがOFF、遮断スイッチS_B1~S_BnがONの接続状態から、両スイッチがOFFの状態を経由して、バイパススイッチS_A1~S_AnがON、遮断スイッチS_B1~S_BnがOFFのバイパス状態に切り換える。
【0022】
0電流検知部102は、後述の要バイパス期間に電流センサ13により測定される電流値が0となる0電流状態の有無を検知する。0電流状態としては、電動車において、外部系統16の力行と回生とが切り換わる際等、蓄電池系統10から外部系統16への放電電流が0、又は外部系統16から蓄電池系統10への充電電流が0となる状態を例示できる。
【0023】
外部系統状態判定部103は、電動車の運転制御装置等から出力される外部系統状態情報に基づいて、外部系統16の運転状態が所定の運転状態であるか否かを判定する。外部系統状態情報としては、電動車の負荷としての駆動用モーターの要求出力や要求トルク、電動車の負荷としてのブレーキ用電動ポンプの出力継続の要否等を例示できる。また、外部系統16の所定の運転状態としては、負荷としての電動車の駆動用モーターが、発進時や加速時、急な登坂等の過渡状態で大きなトルクが要求される運転状態等を例示できる。また、外部系統16の所定の運転状態としては、負荷としての電動車のブレーキ用電動ポンプが、ヒルアシストモードやブレーキオートホールドモードの作動時等のブレーキの維持のためにポンプ圧力の出力継続が要求される状態等を例示できる。
【0024】
バイパス制御部101は、電圧センサ12により測定された各蓄電池C1~Cnの電圧値と、0電流検知部102による0電流状態の検知の有無と、外部系統状態判定部103による外部系統16の状態の判定結果とに応じて、各蓄電池C1~Cnのバイパス制御を実行する。以下、バイパス制御部101によるバイパス制御について説明する。
【0025】
図3(A)~(D)は、
図2に示すバイパス制御部101のバイパス制御を説明するためのタイミングチャートである。
図3(A)~(D)において、横軸は時間であり、縦軸の電流Iは、電流センサ13により測定される電流値である。まず、蓄電池系統10の放電時のバイパス制御について説明する。
【0026】
図3(A)の時間t1は、要バイパス期間の始期である。この要バイパス期間は、各蓄電池C1~Cnのバイパス回路B1~Bnによるバイパス切換(接続状態からバイパス状態への切換)が必要となる期間である。放電時であれば、時間t1における要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値は、放電終止電圧V2(例えば2.8V)にマージン(例えば0.2V)を加えた所定の閾値V1(例えば3.0V)である。
【0027】
時間t1は、0電流監視期間の始期でもある。この0電流監視期間は、0電流検知部102による外部系統16の0電流状態の検知の有無を監視する期間となる。この0電流監視期間の終期は時間t2である。放電時であれば、時間t2における要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値は、放電終止電圧V2である。
【0028】
図3(B)~(D)の時間t2は、0電流生成期間の始期でもある。この0電流生成期間は、蓄電池系統10と外部系統16との間の充放電電流を強制的に0とする強制的0電流状態を生成する期間となる。この0電流生成期間の終期は時間t3である。放電時であれば、時間t3における要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値は、過放電閾値V3である。例えば、放電終止電圧V2が2.8Vであれば過放電閾値V3は2.5Vというように、過放電閾値V3は、放電終止電圧V2よりも僅かに低く設定される。
【0029】
バイパス制御部101は、放電中の各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1まで低下し、要バイパス期間及び0電流監視期間が開始されると、0電流検知部102による0電流状態の検知の有無を監視する。バイパス制御部101は、要バイパス期間及び0電流監視期間に0電流検知部102により0電流状態が検知されると、要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。この際、上述したように、バイパス制御部101は、バイパススイッチS_A1~S_AnがOFF、遮断スイッチS_B1~S_BnがONの接続状態から、両スイッチがOFFの状態を経由して、バイパススイッチS_A1~S_AnがON、遮断スイッチS_B1~S_BnがOFFのバイパス状態に切り換える。
【0030】
バイパス制御部101は、0電流監視期間の始期t1から終期t2までの間に0電流検知部102により0電流状態が検知されることなく0電流生成期間が開始されると、外部系統状態判定部103による外部系統16の運転状態の判定結果を監視する。バイパス制御部101は、0電流生成期間に外部系統状態判定部103により外部系統16の運転状態が所定の運転状態(駆動用モーターの高トルク要求がある状態や、ブレーキ用電動ポンプの出力要求がある状態等)と判定されている間、0電流状態の生成を行わない。他方で、バイパス制御部101は、0電流生成期間に外部系統状態判定部103により外部系統16の運転状態が上記所定の運転状態以外と判定された時、0電流状態を生成する。
【0031】
図3(B)に示すように、0電流生成期間の始期t2に、外部系統16の運転状態が所定の運転状態であった場合には、始期t2から、外部系統16の運転状態が所定の運転状態ではなくなる時まで、0電流状態の生成が禁止された状態になる。そして、外部系統16の運転状態が所定の運転状態ではなくなった時に、バイパス制御部101により0電流状態が生成される。ここで、バイパス制御部101が、何れか一つのバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_An及び遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにすることにより0電流状態が生成される。例えば、バイパス制御部101は、要バイパスの蓄電池C1~Cnに対応するバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_An及び遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにすることにより0電流状態を生成する。
【0032】
図3(C)に示すように、0電流生成期間の始期t2に、外部系統16の運転状態が所定の運転状態ではない場合には、始期t2に、0電流状態の生成が許可された状態になり、バイパス制御部101により0電流状態が生成される。他方で、
図3(D)に示すように、0電流生成期間の始期t2から終期t3までの間、外部系統16の運転状態が所定の運転状態に維持された場合には、始期t2から終期t3までの間、0電流状態の生成が禁止された状態が継続される。そして、外部系統16の運転状態にかかわらず、終期t3に、バイパス制御部101により0電流状態が生成される。
【0033】
バイパス制御部101は、要バイパスでありながら0電流監視期間にバイパス状態に切り換えられなかった放電中の蓄電池C1~Cnを、0電流生成期間に接続状態からバイパス状態に切り換える。ここで、要バイパスの蓄電池C1~Cnに対応するバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_An及び遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにして0電流状態を生成する場合、その後、当該バイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_AnをONにするだけで、当該要バイパスの蓄電池C1~Cnのバイパス状態への切換が完了する。
【0034】
なお、各蓄電池C1~Cnの電圧値に応じて要バイパス期間、0電流監視期間、及び0電流生成期間の始期及び終期を設定するのに代えて、各蓄電池C1~Cnの充電率(SOC:State Of Charge)に応じて要バイパス期間、0電流監視期間、及び0電流生成期間の始期及び終期を設定してもよい。即ち、所定の閾値V1に対応する充電率SOC1を、要バイパス期間及び0電流監視期間の始期t1における充電率に設定し、放電終止電圧V2に対応する充電率SOC2を、0電流監視期間の終期t2及び0電流生成期間の始期t2における充電率に設定し、過放電閾値V3に対応する充電率SOC3を、0電流生成期間及び要バイパス期間の終期t3における充電率に設定してもよい。さらに、要バイパス期間、0電流監視期間、及び0電流生成期間の始期及び終期を、各蓄電池C1~Cnの開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)に応じて設定してもよい。
【0035】
次に、蓄電池系統10の充電時のバイパス制御について説明する。充電時の要バイパス期間の始期t1における各蓄電池C1~Cnの電圧値は、充電終止電圧V2’(例えば4.0V)からマージン(例えば0.2V)を引いた所定の閾値V1’(例えば3.8V)である。また、0電流監視期間の終期t2における要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値は、充電終止電圧V2’である。さらに、0電流生成期間の終期t3における要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値は、過充電閾値V3’である。例えば、充電終止電圧V2’が4.0Vであれば過充電閾値V3’は4.2Vというように、過充電閾値V3’は、充電終止電圧V2’よりも僅かに高く設定される。
【0036】
バイパス制御部101は、充電中の各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1’まで上昇し、要バイパス期間及び0電流監視期間が開始されると、0電流検知部102による0電流状態の検知の有無を監視する。バイパス制御部101は、要バイパス期間及び0電流監視期間に0電流検知部102により0電流状態が検知されると、各蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。この際、上述したように、バイパス制御部101は、バイパススイッチS_A1~S_AnがOFF、遮断スイッチS_B1~S_BnがONの接続状態から、両スイッチがOFFの状態を経由して、バイパススイッチS_A1~S_AnがON、遮断スイッチS_B1~S_BnがOFFのバイパス状態に切り換える。
【0037】
バイパス制御部101は、0電流監視期間の始期t1から終期t2までの間に0電流検知部102により0電流状態が検知されることなく0電流生成期間が開始されると、外部系統状態判定部103による外部系統16の運転状態の判定結果を監視する。バイパス制御部101は、0電流生成期間に外部系統状態判定部103により外部系統16の運転状態が所定の運転状態(駆動用モーターが回生状態等)と判定されている間、0電流状態の生成を行わない。他方で、バイパス制御部101は、0電流生成期間に外部系統状態判定部103により外部系統16の運転状態が上記所定の運転状態以外と判定された時、0電流状態を生成する。
【0038】
図3(B)に示すように、0電流生成期間の始期t2に、外部系統16の運転状態が所定の運転状態であった場合には、始期t2から、外部系統16の運転状態が所定の運転状態ではなくなる時まで、0電流状態の生成が禁止された状態になる。そして、外部系統16の運転状態が所定の運転状態ではなくなった時に、バイパス制御部101により0電流状態が生成される。
【0039】
図3(C)に示すように、0電流生成期間の始期t2に、外部系統16の運転状態が所定の運転状態ではない場合には、始期t2に、0電流状態の生成が許可された状態になり、バイパス制御部101により0電流状態が生成される。他方で、
図3(D)に示すように、0電流生成期間の始期t2から終期t3までの間、外部系統16の運転状態が所定の運転状態に維持された場合には、始期t2から終期t3までの間、0電流状態の生成が禁止された状態が継続される。そして、外部系統16の運転状態にかかわらず、終期t3に、バイパス制御部101により0電流状態が生成される。
【0040】
バイパス制御部101は、要バイパスでありながら0電流監視期間にバイパス状態に切り換えられなかった充電中の蓄電池C1~Cnを、0電流生成期間に接続状態からバイパス状態に切り換える。
【0041】
なお、各蓄電池C1~Cnの電圧値に応じて要バイパス期間、0電流監視期間、及び0電流生成期間の始期及び終期を設定するのに代えて、各蓄電池C1~Cnの充電率(SOC)に応じて要バイパス期間、0電流監視期間、及び0電流生成期間の始期及び終期を設定してもよい。即ち、所定の閾値V1’に対応する充電率SOC1’を、要バイパス期間及び0電流監視期間の始期t1における充電率に設定し、充電終止電圧V2’に対応する充電率SOC2’を、0電流監視期間の終期t2及び0電流生成期間の始期t2における充電率に設定し、過充電閾値V3’に対応する充電率SOC3’を、0電流生成期間及び要バイパス期間の終期t3における充電率に設定してもよい。さらに、要バイパス期間、0電流監視期間、及び0電流生成期間の始期及び終期を、各蓄電池C1~Cnの開回路電圧に応じて設定してもよい。
【0042】
図4は、
図2に示す制御装置100による放電制御について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、蓄電システム1が放電モードに設定されると開始されてステップS1に移行する。
【0043】
ステップS1において、バイパス制御部101は、全てのバイパススイッチS_A1~S_An及び全ての遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにする。次に、ステップS2において、バイパス制御部101は、全ての遮断スイッチS_B1~S_BnをONにする。次に、ステップS3において、蓄電池系統10の放電が開始する。この際、蓄電池系統10の全ての蓄電池C1~Cnが直列接続されている。
【0044】
次に、ステップS4において、バイパス制御部101は、電圧センサ12により測定された各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1以下であるか否かを判定する。ステップS4において否定判定がされた場合にはステップS4が繰り返され、ステップS4において肯定判定がされた場合にはステップS5に移行する。
【0045】
ステップS5において、バイパス制御部101は、電圧センサ12により測定された要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値が放電終止電圧V2以下であるか否かを判定する。ステップS5において否定判定がされた場合にはステップS6に移行し、ステップS5において肯定判定がされた場合にはステップS7に移行する。
【0046】
ステップS6において、バイパス制御部101は、0電流検知部102により0電流状態が検知されたか否かを判定する。ステップS6において否定判定がされた場合にはステップS4に移行し、ステップS6において肯定判定がされた場合にはステップS10に移行する。
【0047】
ステップS7において、バイパス制御部101は、外部系統状態判定部103により外部系統16の運転状態が所定の運転状態と判定されたか否かを判定する。ステップS7において肯定判定がされた場合にはステップS8に移行し、ステップS7において否定判定がされた場合にはステップS9に移行する。
【0048】
ステップS8において、バイパス制御部101は、要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値が過放電閾値V3以下であるか否かを判定する。ステップS8において肯定判定がされた場合にはステップS9に移行し、ステップS8において否定判定がされた場合にはステップS7に移行する。
【0049】
ステップS9において、バイパス制御部101は、0電流状態を生成する。具体的には、バイパス制御部101は、何れか一つのバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_An及び遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにすることにより、0電流状態を生成する。そして、ステップS9からステップS10に移行する。
【0050】
ステップS10において、バイパス制御部101は、全ての蓄電池C1~Cnの放電が完了したか否かを判定する。即ち、ステップS10において、バイパス制御部101は、全ての蓄電池C1~Cnがバイパス回路B1~Bnによりバイパスされたか否かを判定する。ステップS10において否定判定がされた場合にはステップS11に移行し、ステップS10において肯定判定がされた場合にはステップS12に移行する。
【0051】
ステップS11において、バイパス制御部101は、要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。そして、ステップS11からステップS4に移行する。
【0052】
他方で、ステップS12において、蓄電池系統10の放電が停止する。次に、ステップS13において、バイパス制御部101は、蓄電池系統10の全ての蓄電池C1~Cnに対応するバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_AnをOFFにする。なお、この際、全ての遮断スイッチS_B1~S_Bnは既にOFFとなっている。以上で、放電制御を終了する。
【0053】
図5は、
図2に示す制御装置100による充電制御について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、蓄電システム1が充電モードに設定されると開始されてステップS101に移行する。
【0054】
ステップS101において、バイパス制御部101は、全てのバイパススイッチS_A1~S_An及び全ての遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにする。次に、ステップS102において、バイパス制御部101は、全ての遮断スイッチS_B1~S_BnをONにする。次に、ステップS103において、蓄電池系統10の充電が開始する。この際、蓄電池系統10の全ての蓄電池C1~Cnが直列接続されている。
【0055】
次に、ステップS104において、バイパス制御部101は、電圧センサ12により測定された各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1’以上であるか否かを判定する。ステップS104において否定判定がされた場合にはステップS104が繰り返され、ステップS104において肯定判定がされた場合にはステップS105に移行する。
【0056】
ステップS105において、バイパス制御部101は、電圧センサ12により測定された要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値が充電終止電圧V2’以上であるか否かを判定する。ステップS105において否定判定がされた場合にはステップS106に移行し、ステップS105において肯定判定がされた場合にはステップS107に移行する。
【0057】
ステップS106において、バイパス制御部101は、0電流検知部102により0電流状態が検知されたか否かを判定する。ステップS106において否定判定がされた場合にはステップS104に移行し、ステップS106において肯定判定がされた場合にはステップS110に移行する。
【0058】
ステップS107において、バイパス制御部101は、外部系統状態判定部103により外部系統16の運転状態が所定の運転状態と判定されたか否かを判定する。ステップS107において肯定判定がされた場合にはステップS108に移行し、ステップS107において否定判定がされた場合にはステップS109に移行する。
【0059】
ステップS108において、バイパス制御部101は、要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値が過充電閾値V3’以上であるか否かを判定する。ステップS108において肯定判定がされた場合にはステップS109に移行し、ステップS108において否定判定がされた場合にはステップS107に移行する。
【0060】
ステップS109において、バイパス制御部101は、0電流状態を生成する。具体的には、バイパス制御部101は、何れか一つのバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_An及び遮断スイッチS_B1~S_BnをOFFにすることにより、0電流状態を生成する。そして、ステップS109からステップS110に移行する。
【0061】
ステップS110において、バイパス制御部101は、全ての蓄電池C1~Cnの充電が完了したか否かを判定する。即ち、ステップS110において、バイパス制御部101は、全ての蓄電池C1~Cnがバイパス回路B1~Bnによりバイパスされたか否かを判定する。ステップS110において否定判定がされた場合にはステップS111に移行し、ステップS110において肯定判定がされた場合にはステップS112に移行する。
【0062】
ステップS111において、バイパス制御部101は、要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。そして、ステップS111からステップS104に移行する。
【0063】
他方で、ステップS112において、蓄電池系統10の充電が停止する。次に、ステップS113において、バイパス制御部101は、蓄電池系統10の全ての蓄電池C1~Cnに対応するバイパス回路B1~BnのバイパススイッチS_A1~S_AnをOFFにする。なお、この際、全ての遮断スイッチS_B1~S_Bnは既にOFFとなっている。以上で、充電制御を終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の制御装置100は、蓄電システム1の放電時に、検知処理、及び第1のバイパス処理を実行する。制御装置100は、検知処理において、放電時の各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1以下である要バイパス期間及び0電流監視期間に、電流センサ13により検知される電流値が0となる0電流状態を検知する。そして、制御装置100は、検知処理における0電流状態の検知時に、電圧値が所定の閾値V1以下である要バイパスの蓄電池C1~Cnをバイパス回路B1~Bnによりバイパスする。
【0065】
ここで、要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える際には、短絡を防止する観点から、バイパススイッチS_A1~S_AnがOFF、遮断スイッチS_B1~S_BnがONの接続状態から、両スイッチが共にOFFの状態を経由して、バイパススイッチS_A1~S_AnがON、遮断スイッチS_B1~S_BnがOFFのバイパス状態に切り換える。そのため、蓄電システム1の放電時に要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える際には、蓄電システム1から外部系統16への放電が瞬間的に停止する。この際、外部系統16の負荷が作動中であれば当該負荷は瞬停する。
【0066】
そこで、本実施形態の制御装置100は、外部系統16が力行から回生に切り換わる時等、外部系統16の運転状態に応じて蓄電システム1から外部系統16への放電電流が0となる時に、要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。これにより、蓄電システム1の放電時に要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える際に、外部系統16の負荷に意図しない瞬停が生じることを防止できる。
【0067】
また、本実施形態の制御装置100は、蓄電システム1の充電時に、検知処理、及び第1のバイパス処理を実行する。制御装置100は、検知処理において、充電時の各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1’以上である要バイパス期間及び0電流監視期間に、電流センサ13により検知される電流値が0となる0電流状態を検知する。そして、制御装置100は、検知処理における0電流状態の検知時に、電圧値が所定の閾値V1’以上である要バイパスの蓄電池C1~Cnをバイパス回路B1~Bnによりバイパスする。
【0068】
ここで、蓄電システム1の充電時に要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える際には、外部系統16の発電系統から蓄電システム1への充電が瞬間的に停止する。この際、電動車の駆動用モーター等の回生出力を行う外部系統16の発電系統が回生動作中であれば、外部系統16の発電系統に瞬間的に回生失効が生じる。
【0069】
そこで、本実施形態の制御装置100は、外部系統16が回生から力行に切り換わる時等、外部系統16の運転状態に応じて外部系統16の発電系統から蓄電システム1への充電電流が0となる時に、要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。これにより、蓄電システム1の充電時に要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える際に、外部系統16の発電系統に回生失効が生じることを防止できる。
【0070】
また、本実施形態の制御装置100は、蓄電システム1の放電時に、0電流処理、及び第2のバイパス処理を実行する。制御装置100は、0電流処理において、放電時の各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1より低い放電終止電圧V2以下、且つ放電終止電圧V2より低い過放電閾値V3以上である0電流生成期間に、蓄電システム1から外部系統16への放電電流を0にする。そして、制御装置100は、0電流処理の実行時に、電圧値が放電終止電圧V2以下、且つ過放電閾値V3以上である要バイパスの蓄電池C1~Cnをバイパス回路B1~Bnによりバイパスする。即ち、放電時の0電流監視期間に0電流状態が検知されなかった場合には、蓄電池C1~Cnが過放電に至る前に、制御装置100が、0電流状態を強制的に生成して要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。これによって、外部系統16の負荷の意図しない瞬停の発生を抑えたうえで、蓄電池C1~Cnの過放電を防止できる。
【0071】
また、本実施形態の制御装置100は、蓄電システム1の充電時に、0電流処理、及び第2のバイパス処理を実行する。制御装置100は、0電流処理において、充電時の各蓄電池C1~Cnの電圧値が所定の閾値V1’より高い充電終止電圧V2’以下、且つ充電終止電圧V2’より高い過充電閾値V3’以下である0電流生成期間に、外部系統16のから蓄電システム1への充電電流を0にする。そして、制御装置100は、0電流処理の実行時に、電圧値が充電終止電圧V2’以上、且つ過充電閾値V3’以下である要バイパスの蓄電池C1~Cnをバイパス回路B1~Bnによりバイパスする。即ち、充電時の0電流監視期間に0電流状態が検知されなかった場合には、蓄電池C1~Cnが過充電に至る前に、制御装置100が、0電流状態を強制的に生成して要バイパスの蓄電池C1~Cnを接続状態からバイパス状態に切り換える。これによって、外部系統16の発電系統の回生失効の発生を抑えたうえで、蓄電池C1~Cnの過充電を防止できる。
【0072】
また、本実施形態の制御装置100は、蓄電システム1の放電時に、0電流生成期間の始期t2から外部系統16が所定の運転状態(高トルク要求やトルク出力継続要求等)である間は、0電流状態の生成を実行しない。そして、制御装置100は、外部系統16が所定の運転状態ではなくなった後、又は0電流生成期間の終期t3に0電流状態の生成を実行する。即ち、外部系統16の負荷が登坂時やヒルアシストモード作動時等の瞬停を回避すべき運転状態である場合には、制御装置100は、当該運転状態の終了後に0電流状態を生成するか、あるいは、要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値が過放電閾値V3まで低下した時点で0電流状態を生成する。これによって、外部系統16の負荷が瞬停を回避すべき運転状態である間に要バイパスの蓄電池C1~Cnのバイパス切換が実行されることを可能な限り回避すると共に、蓄電池C1~Cnの過放電を防止することが可能となる。
【0073】
さらに、本実施形態の制御装置100は、蓄電システム1の充電時に、0電流生成期間の始期t2から外部系統16が所定の運転状態(回生制御実行中等)である間は、0電流状態の生成を実行しない。そして、制御装置100は、外部系統16が所定の運転状態ではなくなった後、又は0電流生成期間の終期t3に0電流状態の生成を実行する。即ち、外部系統16の回生制御実行時等、外部系統16の発電系統が回生失効を回避すべき運転状態である場合には、制御装置100は、当該運転状態の終了後に0電流状態を生成するか、あるいは、要バイパスの蓄電池C1~Cnの電圧値が過充電閾値V3’まで上昇した時点で0電流状態を生成する。これによって、外部系統16の発電系統が回生失効を避けるべき運転状態である間に要バイパスの蓄電池C1~Cnのバイパス切換が実行されることを可能な限り回避すると共に、蓄電池C1~Cnの過充電を防止することが可能となる。
【0074】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0075】
例えば、上記実施形態では、1系統の蓄電池系統10を備える蓄電システム1を例に挙げたが、2系統以上の蓄電池系統10を備える蓄電システムにも本発明を適用できる。また、0電流監視期間の終期t2(0電流生成期間の始期t2)における蓄電池C1~Cnの電圧値を放電終止電圧V2又は充電終止電圧V2’としたが、0電流生成期間の終期t3における蓄電池C1~Cnの電圧値を放電終止電圧又は充電終止電圧としてもよい。この場合、0電流監視期間の終期t2(0電流生成期間の始期t2)における蓄電池C1~Cnの電圧値を、放電終止電圧にマージンを加えた放電閾値又は充電終止電圧からマージンを引いた充電閾値に設定すればよい。また、要バイパス期間及び0電流監視期間の始期t1における蓄電池C1~Cnの電圧値を、0電流監視期間の終期t2における放電閾値にマージンを加えた放電閾値又は0電流監視期間の終期t2における充電閾値からマージンを引いた充電閾値に設定すればよい。
【0076】
また、上記実施形態では、各蓄電池C1~Cnの電圧値に応じて、要バイパス期間及び0電流監視期間の始期t1における放電閾値及び充電閾値、0電流監視期間の終期t2(0電流生成期間の始期t2)における放電閾値及び充電閾値、0電流生成期間及び要バイパス期間の終期t3における放電閾値及び充電閾値を設定した。しかし、これらの放電閾値及び充電閾値を、各蓄電池C1~Cnの充電率(SOC)に応じて設定してもよい。さらに、放電閾値及び充電閾値は、各蓄電池C1~Cnの開回路電圧に応じて設定してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、中古の蓄電池を利用した蓄電システム1を例に挙げたが、新品の蓄電池を使用する蓄電システムにも本発明を適用できる。使用する蓄電池が新品であっても、製造ばらつきや使用に伴う劣化のばらつきにより各蓄電池の容量に差が生じるので、本発明を適用することにより上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
さらに、上記実施形態では、0電流状態を強制的に生成する処理を実行したが、当該処理の実行は必須ではない。例えば、0電流監視期間中における0電流状態の発生の頻度が十分に高いのであれば、当該処理の実行は不要である。
【符号の説明】
【0079】
1 :蓄電システム
13 :電流センサ
16 :外部系統(負荷、発電部)
100 :制御装置(蓄電池制御装置)
B1~Bn :バイパス回路(バイパス部)
C1~Cn :蓄電池
V1 :所定の閾値(第1の放電閾値)
V2 :放電終止電圧(第2の放電閾値)
V3 :過放電閾値(第3の放電閾値)
V1’ :所定の閾値(第1の充電閾値)
V2’ :充電終止電圧(第2の充電閾値)
V3’ :過充電閾値(第3の充電閾値)
SOC1 :充電率(第1の放電閾値、所定の閾値)
SOC2 :充電率(第2の放電閾値)
SOC3 :充電率(第3の放電閾値)
SOC1’ :充電率(第1の充電閾値、所定の閾値)
SOC2’ :充電率(第2の充電閾値)
SOC3’ :充電率(第3の充電閾値)
t2 :始期(第2の放電期間の始期、第2の充電期間の始期)
t3 :終期(第2の放電期間の終期、第2の充電期間の終期)