(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】テープ材貼付け機およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20240117BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240117BHJP
B65C 9/30 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B29C63/02
B25J13/00 Z
B65C9/30
(21)【出願番号】P 2021162528
(22)【出願日】2021-10-01
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】519033845
【氏名又は名称】株式会社テクノオリンパス
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 稔
(72)【発明者】
【氏名】伊東 弘素
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237451(JP,A)
【文献】特開2013-027957(JP,A)
【文献】特開平09-058922(JP,A)
【文献】特開2021-014121(JP,A)
【文献】特開平06-115530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
B25J 1/00 - 21/02
B65C 1/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に接着層を有するテープ材を、ワークに設定されている貼付け経路に沿ってロボットにより貼付けるテープ材貼付け機であって、
前記テープ材は、当該テープ材を供給する供給部に剥離可能に接着されており、
前記ロボットの先端に取付けられており、前記テープ材を前記ワークに貼付けるための貼付け機構と、
制御部と、を備えており、
前記貼付け機構は、
前記テープ材の一端を挾持するための挾持部材と、
前記挾持部材を駆動する駆動装置と、を備えた挾持装置と、
前記テープ材の他端を保持可能な保持部材と、
前記テープ材を前記ワークに押圧しながら貼付けるローラと、
前記挾持部材が回動中心から半径方向に設けられた第1の回動部材と、
前記第1の回動部材を回動可能に軸支する第1の回動軸と、
前記挾持部材が前記テープ材を挾持した状態で前記第1の回動軸を回動中心として回動した前記第1の回動部材が回動前の姿勢に戻るように付勢する第1の付勢部材と、
前記保持部材および前記ローラが一端に設けられた第2の回動部材と、
前記第2の回動部材の他端を回動可能に軸支する第2の回動軸と、
前記ローラが前記テープ材を前記ワークに押圧したときに前記第2の回動軸を回動中心として回動した前記第2の回動部材が回動前の姿勢に戻るように付勢する第2の付勢部材と、を備えており、
前記制御部は、
前記ロボットおよび前記駆動装置を制御することにより、
前記
挾持部材が前記テープ材の一端を挾持しており、かつ、前記保持部材が前記テープ材の一端以外の部分を保持した状態で前記貼付け機構を変位させることにより、前記テープ材を保持している前記保持部材が、前記テープ材を保持した状態で前記挾持部材による前記テープ材の挾持位置に接近するように、前記第1の回動部材を前記第1の付勢部材による付勢力に抗しながら前記第1の回動軸を回動中心として回動させ、
さらに、前記第1の回動部材が前記第1の付勢部材の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、前記供給部に接着されている前記テープ材が、前記挾持部材により挾持されている前記一端から剥がされながら、前記保持部材による前記テープ材の保持位置が前記テープ材を保持した状態で前記テープ材の他端へ移動するように前記貼付け機構を変位させ、
さらに、
前記挾持部材が前記テープ材の一端を挾持しており、かつ、前記保持部材が前記テープ材の他端を保持した状態で、前記テープ材を前記ワークに貼付ける位置まで前記貼付け機構を移動させ、
さらに、前記保持部材により保持されている前記テープ材の他端を前記ローラによって前記ワークに押圧して貼付け、
さらに、前記テープ材のうち、前記ワークに貼付けられた部分以外の部分が前記ワークから浮いた状態を維持しながら、前記貼付け経路に沿って前記テープ材の他端から一端までを前記ローラによって押圧しながら貼付けることを特徴とするテープ材貼付け機。
【請求項2】
前記
第1の回動軸および前記第2の回動軸は、相互に平行であり、
前記挾持部材、前記保持部材および前記ローラは、それぞれ前記第1の回動部材の回動中心から半径方向に配置されており、かつ、前記保持部材は前記ローラと前記挾持部材の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のテープ材貼付け機。
【請求項3】
前記
テープ材は、
ウレタン樹脂により形成されたウレタン樹脂層と、
前記ウレタン樹脂層の裏面に形成された接着層と、を備えており、
前記接着層は前記ウレタン樹脂層よりも弾性率が大きいことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のテープ材貼付け機。
【請求項4】
ロボットの先端に取付けられており、裏面に接着層を有するテープ材をワークに設定されている貼付け経路に沿って貼付けるための貼付け機構と、
制御部と、を備えたテープ材貼付け機の前記制御部が実行するコンピュータプログラムであって、
前記テープ材は、当該テープ材を供給する供給部に剥離可能に接着されており、
前記貼付け機構は、
前記テープ材の一端を挾持するための挾持部材と、
前記挾持部材を駆動する駆動装置と、を備えた挾持装置と、
前記テープ材の他端を保持可能な保持部材と、
前記テープ材を前記ワークに押圧しながら貼付けるローラと、
前記挾持部材が回動中心から半径方向に設けられた第1の回動部材と、
前記第1の回動部材を回動可能に軸支する第1の回動軸と、
前記挾持部材が前記テープ材を挾持した状態で前記第1の回動軸を回動中心として回動した前記第1の回動部材が回動前の姿勢に戻るように付勢する第1の付勢部材と、
前記保持部材および前記ローラが一端に設けられた第2の回動部材と、
前記第2の回動部材の他端を回動可能に軸支する第2の回動軸と、
前記ローラが前記テープ材を前記ワークに押圧したときに前記第2の回動軸を回動中心として回動した前記第2の回動部材が回動前の姿勢に戻るように付勢する第2の付勢部材と、を備えており、
当該コンピュータプログラムは、
前記制御部に、
前記ロボットおよび前記駆動装置を制御することにより、
前記挾持部材が前記テープ材の一端を挾持しており、かつ、前記保持部材が前記テープ材の一端以外の部分を保持した状態で前記貼付け機構を変位させることにより、前記テープ材を保持している前記保持部材が、前記テープ材を保持した状態で前記挾持部材による前記テープ材の挾持位置に接近するように、前記第1の回動部材を前記第1の付勢部材による付勢力に抗しながら前記第1の回動軸を回動中心として回動させ、
さらに、前記第1の回動部材が前記第1の付勢部材の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、前記供給部に接着されている前記テープ材が、前記挾持部材により挾持されている前記一端から剥がされながら、前記保持部材による前記テープ材の保持位置が前記テープ材を保持した状態で前記テープ材の他端へ移動するように前記貼付け機構を変位させ、
さらに、前記挾持部材が前記テープ材の一端を挾持しており、かつ、前記保持部材が前記テープ材の他端を保持した状態で、前記テープ材を前記ワークに貼付ける位置まで前記貼付け機構を移動させ、
さらに、前記保持部材により保持されている前記テープ材の他端を前記ローラによって前記ワークに押圧して貼付け、さらに、前記テープ材のうち、前記ワークに貼付けられた部分以外の部分が前記ワークから浮いた状態を維持しながら、前記貼付け経路に沿って前記テープ材の他端から一端までを前記ローラによって押圧しながら貼付けさせることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを用いてテープ材をワークに貼り付けるテープ材貼付け機およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多関節ロボットに設けられたハンドに円形のバキュームチャックを取付け、そのバキュームチャックの外周面にテープ材を吸着して巻取り、バキュームチャックの外周面をワークに押し付けながら回転させることにより、テープ材をワークに貼付けるという技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来の技術におけるバキュームチャックは、テープ材を吸引するバキューム穴を円周方向に所定間隔で配置した構成であるため、テープ材の端部がバキューム穴に届かないような相対的に短いテープ材を使用することが困難である。
また、前述した従来の技術では、テープ材の貼付け経路に、バキュームチャックの径よりも小径の凹部が形成されている場合に、バキュームチャックの外周面が凹部の壁面から浮いてしまうため、テープ材を凹部に押圧して貼付けることができない。
さらに、前述した従来の技術では、テープ材の貼付け経路の横に凸部などの障害物が存在する場合に、バキュームチャックの外周縁が障害物と干渉し、テープ材を貼付けることが困難な場合がある。
つまり、前述した従来の技術は、相対的に短いテープ材を貼付けることが困難であり、かつ、テープ材を貼付けることが困難な場合が相対的に多いという問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、上述した諸問題を解決するために創出されたものであり、相対的に短いテープ材を貼付けることが可能であり、かつ、テープ材を貼付けることが困難な場合を相対的に減らすことができるテープ材貼付け機およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1に係る発明)
前述した目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明では、
裏面に接着層(302:
図7(B))を有するテープ材(300)を、ワーク(40:
図14)に設定されている貼付け経路(R:
図14(B))に沿ってロボット(10:
図9)により貼付けるテープ材貼付け機(1:
図1)であって、
テープ材(300)は、当該テープ材(300)を供給する供給部(34:
図1)に剥離可能に接着されており、
ロボットの先端に取付けられており、テープ材(300)をワーク(40)に貼付けるための貼付け機構(60:
図1)と、
制御部(500:
図9)と、を備えており、
貼付け機構(60)は、
テープ材(300)の一端(304:
図1)を挾持するための挾持部材(201:
図1)と、
挾持部材(201)を駆動する駆動装置(203:
図3)と、を備えた挾持装置(200:
図1)と、
テープ材(300)の他端を(305:
図1)保持可能な保持部材(100:
図1)と、
テープ材(300)をワーク(40)に押圧しながら貼付けるローラ(90:
図1)と、
挾持部材(201)が回動中心から半径方向に設けられた第1の回動部材(50:図1)と、
第1の回動部材(50)を回動可能に軸支する第1の回動軸(64:図3)と、
挾持部材(201)がテープ材(300)を挾持した状態で第1の回動軸(64)を回動中心として回動した第1の回動部材(50)が回動前の姿勢に戻るように付勢する第1の付勢部材(65:図1)と、
保持部材(100)およびローラ(90)が一端に設けられた第2の回動部材(88:図1)と、
第2の回動部材(88)の他端を回動可能に軸支する第2の回動軸(86:図1)と、
ローラ(90)がテープ材(300)をワーク(40)に押圧したときに第2の回動軸(86)を回動中心として回動した第2の回動部材(88)が回動前の姿勢に戻るように付勢する第2の付勢部材(66:図1)と、を備えており、
制御部(500)は、
ロボット(10)
および駆動装置(203)を制御することにより、
挾持部材(201)がテープ材(300)の一端(304)を挾持しており、かつ、保持部材(100)がテープ材(300)の一端(304)以外の部分を保持した状態で貼付け機構(60)を変位させることにより、テープ材(300)を保持している保持部材(100)が、テープ材(300)を保持した状態で挾持部材(201)によるテープ材(300)の挾持位置に接近するように、第1の回動部材(50)を第1の付勢部材(65)による付勢力に抗しながら第1の回動軸(64)を回動中心として回動させ(図11)、
第1の回動部材(50)が第1の付勢部材(65)の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、供給部(34)に接着されているテープ材(300)が、挾持部材(201)により挾持されている一端(304)から剥がされながら、保持部材(100)によるテープ材(300)の保持位置がテープ材(300)を保持した状態でテープ材(300)の他端(305)へ移動するように貼付け機構(60)を変位させ(図12,図13)、
さらに、
挾持部材(201)がテープ材(300)の一端(304)を挾持しており、かつ、保持部材(100)がテープ材(300)の他端(305)を保持した状態で、テープ材(300)をワーク(40)に貼付ける位置まで貼付け機構(60)を移動させ
(図14)、
さらに、保持部材(100)により保持されているテープ材(300)の他端(305)をローラ(90)によってワーク(40)に押圧して貼付け、
さらに、テープ材(300)のうち、ワーク(40)に貼付けられた部分以外の部分がワーク(40)から浮いた状態を維持しながら、貼付け経路(R)に沿ってテープ材(300)の他端(305)から一端(304)までをローラ(90)によって押圧しながら貼付けることを特徴とする。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、保持部材により保持されているテープ材の他端をローラによってワークに押圧して貼付け、テープ材のうち、ワークに貼付けられた部分以外の部分がワークから浮いた状態を維持しながら、ワークに対する貼付け機構の位置および姿勢を制御し、貼付け経路に沿ってテープ材の他端から一端までをローラによって押圧しながら貼付けることができる。
従って、請求項1に係る発明によれば、相対的に短いテープ材を貼付けることができる。
また、テープ材の一端を挾持する挾持部材は、テープ材の一端を挾持することができる大きさで良く、テープ材の他端を保持する保持部材は、テープ材の他端を保持することができる大きさで良く、さらに、テープ材をワークに押圧するローラは、テープ材をワークに押圧することができる大きさで良いため、テープ材の貼付け経路の横に凸部などの障害物が存在するような場合であっても、挾持部材、保持部材およびローラが障害物と干渉する可能性が相対的に少なくなる。
従って、請求項1に係る発明によれば、テープ材を貼付けることが困難な場合を相対的に減らすことができる
【0009】
請求項1に係る発明によれば、制御部は、ロボットおよび駆動装置を制御することにより、挾持部材がテープ材の一端を挾持しており、かつ、保持部材がテープ材の一端以外の部分を保持した状態で貼付け機構を変位させることにより、テープ材を保持している保持部材が、テープ材を保持した状態で挾持部材によるテープ材の挾持位置に接近するように、第1の回動部材を第1の付勢部材による付勢力に抗しながら第1の回動軸を回動中心として回動させることができる。
従って、請求項1に係る発明によれば、テープ材を、挾持部材が挾持している一端から剥がすときに、保持部材が挾持部材に近い位置を保持しているため、剥がしたテープ材が保持部材を離脱するおそれがない。
【0010】
また、請求項1に係る発明によれば、制御部は、第1の回動部材が第1の付勢部材の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、供給部に接着されているテープ材が、挾持部材により挾持されている一端から剥がされながら、保持部材によるテープ材の保持位置がテープ材を保持した状態でテープ材の他端へ移動するように貼付け機構を変位させることができる。
従って、請求項1に係る発明によれば、剥がされたテープ材の一端を挾持部材が挾持しており、テープ材の他端を保持部材が保持している状態を作ることができる。
【0011】
さらに、請求項1に係る発明によれば、制御部は、ロボットおよび駆動装置を制御することにより、挾持部材がテープ材の一端を挾持しており、かつ、保持部材がテープ材の他端を保持した状態で、テープ材をワークに貼付ける位置まで貼付け機構を移動させることができる。
【0012】
さらに、請求項1に係る発明によれば、制御部は、ロボットおよび駆動装置を制御することにより、保持部材により保持されているテープ材の他端をローラによってワークに押圧して貼付け、さらに、テープ材のうち、ワークに貼付けられた部分以外の部分がワークから浮いた状態を維持しながら、貼付け経路に沿ってテープ材の他端から一端までをローラによって押圧しながら貼付けることができる。
つまり、請求項1に係る発明によれば、テープ材をワークに貼り付けていない部分はワークから浮いた状態で、テープ材の他端から一端まで貼付け経路に沿ってローラによって押圧しながらワークに貼付けることができるため、テープ材の接着力による影響を少なくすることができるので、貼付け方向を容易に変えることができる。
従って、請求項1に係る発明によれば、テープ材を貼付け経路に沿って精度良く貼付けることができる。
【0013】
さらに、請求項1に係る発明によれば、テープ材をローラによってワークに押圧するときに、その押圧力が所定の大きさを超えると、第2の回動部材が第2の付勢部材の付勢力に抗して第2の回動軸を回動中心として回動し、押圧力が吸収されるため、ローラが一定の押圧力でテープ材を押圧するように調節することができる。
従って、請求項1に係る発明によれば、テープ材を貼付け経路に沿って常に均一の押圧力で貼付けることができるため、押圧力が過剰となってテープ材が潰れるおそれもないし、テープ材の接着不足が発生するおそれもない。
【0014】
さらに、請求項1に係る発明によれば、供給部に剥離可能に接着されているテープ材を剥がすときは、第1の回動部材が第1の付勢部材の付勢力によって回動前の姿勢に戻る力を利用するため、第1の回動部材を回動させるためのモータなどのアクチュエータが不要なので、その分、テープ材貼付け機の製造コストを低減することができ、かつ、故障率を低減することができる。
【0015】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明では、請求項1に記載のテープ材貼付け機(1)において、
第1の回動軸(64)および第2の回動軸(86)は、相互に平行であり、
挾持部材(201)、保持部材(100)およびローラ(90)は、それぞれ第1の回動部材(50)の回動中心から半径方向に配置されており、かつ、保持部材(100)はローラ(90)と挾持部材(201)の間に配置されていることを特徴とする。
【0016】
挾持部材、保持部材およびローラは、それぞれ第1の回動部材の回動中心から半径方向に配置されており、かつ、保持部材はローラと挾持部材の間に配置されているため、貼付け機構の位置および姿勢を制御することにより、保持部材によりテープ材を保持しながらローラによりテープ材を押圧することができる。また、貼付け機構の位置および姿勢を制御することにより、テープ材に対する保持部材の保持位置をテープ材に沿って移動させながら、ローラによりテープ材を押圧して行くことができる。さらに、貼付け機構の位置および姿勢を制御することにより、テープ材の一端を挾持している挾持部材の位置を制御することができるため、テープ材の一端がワークから浮いた状態を維持しながら、テープ材の貼付け方向が貼付け経路に沿うように制御することができる。
【0017】
(請求項
3に係る発明)
請求項
3に係る発明では、請求項1
または請求項2に記載のテープ材貼付け機(1)において、
テープ材(300)は、
ウレタン樹脂により形成されたウレタン樹脂層(301:
図7(B))と、
ウレタン樹脂層(301)の裏面に形成された接着層(302)と、を備えており、
接着層(302)はウレタン樹脂層(301)よりも弾性率が大きいことを特徴とする。
【0018】
テープ材がウレタン樹脂層と、ウレタン樹脂層の裏面に形成された接着層と、を備えており、接着層がウレタン樹脂層よりも弾性率が大きいような場合は、曲線の貼付け経路において、テープ材はローラの転動方向に追従して変形し易いが、接着層は変形し難いため、ワークに貼り付いた接着層がローラの転動方向に追従して方向を変え難いので、貼付け経路を逸脱したり、貼付けられたテープ材がワークに対して傾斜したりするという症状が出易い。
しかし、本願発明では、挾持部材によってテープ材の一端を挾持し、テープ材のうち、ワークに貼付けられた部分以外の部分がワークから浮いた状態を維持しながら、貼付け経路に沿ってテープ材の他端から一端までをローラによって押圧しながら貼付けることができる。
つまり、ローラによる押圧が行われていない部分がワークに接着していない状態にすることができるため、貼付け機構の位置および姿勢を制御することにより、未接着部分の方向転換を容易に行うことができるので、前述した症状が出ないようにしてテープ材を曲線の貼付け経路に沿って精度良く貼付けることができる。
【0019】
(請求項
4に係る発明)
前述した目的を達成するため、本願の請求項
4に係る発明では、
ロボット(10)の先端に取付けられており、裏面に接着層(302)を有するテープ材(300)をワーク(40)に設定されている貼付け経路(R)に沿って貼付けるための貼付け機構(60)と、
制御部(500)と、を備え
たテープ材貼付け機の制御部が実行するコンピュータプログラムであって、
テープ材(300)は、当該テープ材(300)を供給する供給部(34)に剥離可能に接着されており、
貼付け機構(60)
は、
テープ材(300)の一端(304)を挾持するための挾持部材(201)と、
挾持部材(201)を駆動する駆動装置(203)と、を備えた挾持装置(200)と、
テープ材(300)の他端(305)を保持可能な保持部材(100)と、
テープ材(300)をワーク(40)に押圧しながら貼付けるローラ(90)と、
挾持部材(201)が回動中心から半径方向に設けられた第1の回動部材(50)と、
第1の回動部材(50)を回動可能に軸支する第1の回動軸(64)と、
挾持部材(201)がテープ材(300)を挾持した状態で第1の回動軸(64)を回動中心として回動した第1の回動部材(50)が回動前の姿勢に戻るように付勢する第1の付勢部材(65)と、
保持部材(100)およびローラ(90)が一端に設けられた第2の回動部材(88)と、
第2の回動部材(88)の他端を回動可能に軸支する第2の回動軸(86)と、
ローラ(90)がテープ材(300)をワーク(40)に押圧したときに第2の回動軸(86)を回動中心として回動した第2の回動部材(88)が回動前の姿勢に戻るように付勢する第2の付勢部材(66)と、を備えており、
当該コンピュータプログラムは、
制御部(500)に、
ロボット(10)および駆動装置(203)を制御することにより、
挾持部材(201)がテープ材(300)の一端(304)を挾持しており、かつ、保持部材(100)がテープ材(300)の一端(304)以外の部分を保持した状態で貼付け機構(60)を変位させることにより、テープ材(300)を保持している保持部材(100)が、テープ材(300)を保持した状態で挾持部材(201)によるテープ材(300)の挾持位置に接近するように、第1の回動部材(50)を第1の付勢部材(65)による付勢力に抗しながら第1の回動軸(64)を回動中心として回動させ(図11)、
第1の回動部材(50)が第1の付勢部材(65)の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、供給部(34)に接着されているテープ材(300)が、挾持部材(201)により挾持されている一端(304)から剥がされながら、保持部材(100)によるテープ材(300)の保持位置がテープ材(300)を保持した状態でテープ材(300)の他端(305)へ移動するように貼付け機構(60)を変位させ(図12,図13)、
さらに、
挾持部材(201)がテープ材(300)の一端(304)を挾持しており、かつ、保持部材(100)がテープ材(300)の他端(305)を保持した状態で、テープ材(300)をワーク(40)に貼付ける位置まで貼付け機構(60)を移動させ
(図14)、
さらに、保持部材(100)により保持されているテープ材(300)の他端(305)をローラ(90)によってワーク(40)に押圧して貼付け、
さらに、テープ材(300)のうち、ワーク(40)に貼付けられた部分以外の部分がワーク(40)から浮いた状態を維持しながら、ワーク(40)に対する貼付け機構(60)の位置および姿勢を制御し、貼付け経路(R)に沿ってテープ材(300)の他端(305)から一端(304)までをローラ(90)によって押圧しながら貼付けさせる
ことを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、保持部材により保持されているテープ材の他端をローラによってワークに押圧して貼付け、テープ材のうち、ワークに貼付けられた部分以外の部分がワークから浮いた状態を維持しながら、ワークに対する貼付け機構の位置および姿勢を制御し、貼付け経路に沿ってテープ材の他端から一端までをローラによって押圧しながら貼付けることができる。
従って、請求項4に係る発明によれば、相対的に短いテープ材を貼付けることができる。
また、テープ材の一端を挾持する挾持部材は、テープ材の一端を挾持することができる大きさで良く、テープ材の他端を保持する保持部材は、テープ材の他端を保持することができる大きさで良く、さらに、テープ材をワークに押圧するローラは、テープ材をワークに押圧することができる大きさで良いため、テープ材の貼付け経路の横に凸部などの障害物が存在するような場合であっても、挾持部材、保持部材およびローラが障害物と干渉する可能性が相対的に少なくなる。
従って、請求項4に係る発明によれば、テープ材を貼付けることが困難な場合を相対的に減らすことができる
さらに、請求項4に係る発明によれば、挾持部材がテープ材の一端を挾持しており、かつ、保持部材がテープ材の一端以外の部分を保持した状態で貼付け機構を変位させることにより、テープ材を保持している保持部材が、テープ材を保持した状態で挾持部材によるテープ材の挾持位置に接近するように、第1の回動部材を第1の付勢部材による付勢力に抗しながら第1の回動軸を回動中心として回動させることができる。
従って、請求項4に係る発明によれば、テープ材を、挾持部材が挾持している一端から剥がすときに、保持部材が挾持部材に近い位置を保持しているため、剥がしたテープ材が保持部材を離脱するおそれがない。
さらに、請求項4に係る発明によれば、第1の回動部材が第1の付勢部材の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、供給部に接着されているテープ材が、挾持部材により挾持されている一端から剥がされながら、保持部材によるテープ材の保持位置がテープ材を保持した状態でテープ材の他端へ移動するように貼付け機構を変位させることができる。
従って、請求項4に係る発明によれば、剥がされたテープ材の一端を挾持部材が挾持しており、テープ材の他端を保持部材が保持している状態を作ることができる。
さらに、請求項4に係る発明によれば、挾持部材がテープ材の一端を挾持しており、かつ、保持部材がテープ材の他端を保持した状態で、テープ材をワークに貼付ける位置まで貼付け機構を移動させることができる。
さらに、請求項4に係る発明によれば、保持部材により保持されているテープ材の他端をローラによってワークに押圧して貼付け、さらに、テープ材のうち、ワークに貼付けられた部分以外の部分がワークから浮いた状態を維持しながら、貼付け経路に沿ってテープ材の他端から一端までをローラによって押圧しながら貼付けることができる。
つまり、請求項4に係る発明によれば、テープ材をワークに貼り付けていない部分はワークから浮いた状態で、テープ材の他端から一端まで貼付け経路に沿ってローラによって押圧しながらワークに貼付けることができるため、テープ材の接着力による影響を少なくすることができるので、貼付け方向を容易に変えることができる。
従って、請求項4に係る発明によれば、テープ材を貼付け経路に沿って精度良く貼付けることができる。
さらに、請求項4に係る発明によれば、テープ材をローラによってワークに押圧するときに、その押圧力が所定の大きさを超えると、第2の回動部材が第2の付勢部材の付勢力に抗して第2の回動軸を回動中心として回動し、押圧力が吸収されるため、ローラが一定の押圧力でテープ材を押圧するように調節することができる。
従って、請求項4に係る発明によれば、テープ材を貼付け経路に沿って常に均一の押圧力で貼付けることができるため、押圧力が過剰となってテープ材が潰れるおそれもないし、テープ材の接着不足が発生するおそれもない。
さらに、請求項4に係る発明によれば、供給部に剥離可能に接着されているテープ材を剥がすときは、第1の回動部材が第1の付勢部材の付勢力によって回動前の姿勢に戻る力を利用するため、第1の回動部材を回動させるためのモータなどのアクチュエータが不要なので、その分、テープ材貼付け機の製造コストを低減することができ、かつ、故障率を低減することができる。
【0021】
なお、上記各括弧内の符号および図番号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、相対的に短いテープ材を貼付けることが可能であり、かつ、テープ材を貼付けることが困難な場合を相対的に減らすことができるテープ材貼付け機およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係るテープ材貼付け機の正面図である。
【
図5】テープ材クランプ装置の動作状態の説明図であり、(A)はテープ材をクランプしていないときの動作状態(アンクランプ)を示し、(B)はテープ材をクランプしているときの動作状態(クランプ)を示す。
【
図6】テープ材クランプ装置に備えられたカムの斜視図である。
【
図7】(A)はテープ材貼付けユニットの左側面の一部を省略した説明図であり、(B)はテープ材の断面拡大図である。
【
図9】
図1に示すテープ材貼付け機の主な電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図10】
図9に示す制御ユニットに備えられたCPUが実行する主な処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】テープ材クランプ装置のクランプ金具がテープ材の一端を挾持し、ガイドがテープ材の一端の近傍を保持した状態を示す斜視図である。
【
図12】テープ材を一端から剥がす様子を示す斜視図である。
【
図13】テープ材を一端から剥がす様子を示す斜視図である。
【
図14】テープ材の他端をワークに貼付ける様子を示す斜視図である。
【
図15】テープ材を貼付け経路に沿って貼付ける様子を示す斜視図である。
【
図16】テープ材を貼付け経路に沿って貼付ける様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係るテープ材貼付け機について図を参照しつつ説明する。
[主要構成]
最初に、本実施形態のテープ材貼付け機の主要構成について図を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態のテープ材貼付け機1は、テープ材貼付けユニット60と、ロボット10(
図9)とを備えている。ロボット10は、垂直多関節6軸ロボットであり、テープ材貼付けユニット60は、ロボット10の第6軸に着脱可能に装着されている。つまり、通常の垂直多関節6軸ロボットでは、手首部には、ロボットハンド(図示せず)が装着されるが、本実施形態のテープ材貼付け機1では、ロボットハンドに代えてテープ材貼付けユニット60が装着されている。
【0025】
[テープ材貼付けユニットの構成]
次に、テープ材貼付けユニット60の構成について図を参照しつつ説明する。
図14ないし
図16に示すように、テープ材貼付けユニット60は、テープ材300をローラ90によってワーク40に押圧しながら、ワーク40に設定された貼付け経路R(
図14(B))に沿って貼付けるための装置である。
図1に示すように、テープ材貼付けユニット60は、テープ材貼付けユニット60をロボット10の第6軸に取り付けるためのロボット取付部61を備えている。ロボット取付部61は、左右方向に長い長方形の板状に形成されている。ロボット取付部61の背面(後ろ側)には、板状の背面部62が取り付けられており、背面部62の右側には板状の側部68が、左側には板状の側部69がそれぞれ取り付けられている。ロボット取付部61、背面部62、側部68および側部69は、テープ材貼付けユニット60の外枠を構成している。
【0026】
図3に示すように、背面部62には、第1の回動軸64が軸受(図示省略)を介して回動可能に軸支されている。第1の回動軸64の前端は、円板状部材50の回動中心51(
図2)に取り付けられている。
図3に示すように、円板状部材50の周面には、テープ材300をクランプ(挾持)するためのテープ材クランプ装置200が取り付けられている。また、円板状部材50の前面には、テープ材クランプ装置200を駆動するためのエアシリンダ203が取り付けられている。なお、
図3以外の
図1,
図2,
図11~
図16では、テープ材クランプ装置200を省略している。
【0027】
図3に示すように、円板状部材50の裏面のうち、円板状部材50の外周近傍には、バネ係止部53が取り付けられており、そのバネ係止部53には、第1のバネ65の一端が係止されている。
図2に示すように、ロボット取付部61の裏面の左端には、バネ係止部63が取り付けられており、そのバネ係止部63には、第1のバネ65の他端が係止されている。円板状部材50は、第1のバネ65の付勢力に抗して右回り(時計回り)に回動することが可能になっており、また、右回りに回動した円板状部材50は、第1のバネ65の付勢力により、左回り(反時計回り)に回動して回動前の姿勢に復帰することが可能になっている。本実施形態では、第1のバネ65は、コイルスプリングである。テープ材300をワーク40に貼付けるときの円板状部材50の役割については後述する。テープ材貼付けユニット60は、本発明の貼付け機構の一例であり、円板状部材50は、本発明の第1の回動部材の一例である。また、第1のバネ65は、本発明の第1の付勢部材の一例である。
【0028】
(テープ材クランプ装置の構成)
図3および
図4に示すように、テープ材クランプ装置200は、テープ材300をクランプ(挾持)するための相対向する一対のクランプ金具201,201と、各クランプ金具201をクランプ動作(挾持動作)およびアンクランプ動作(非挾持動作)させるための一対のカムフォロワ216,216と、各カムフォロワ216を動作させるためのカム215(
図5,
図6)と、カム215を回動させるためのエアシリンダ203と、相対向するフレーム211,212(
図3)とを備えている。
【0029】
フレーム211,212間の下端には、回動軸217が回動可能に軸支されており、その回動軸217には、一対のクランプ金具201が軸支されている。
図3に示すように、各クランプ金具201は相対向して設けられている。各クランプ金具201は、それぞれ縦断面が略「く」字形状を呈しており、その上端がそれぞれ回動軸217に回動可能に軸支されている。各クランプ金具201の下端は、それぞれ相対向する方向に屈曲しており、その屈曲した部分の先端は、それぞれ鋸歯形状に形成されている。相対向する各クランプ金具201の先端によってテープ材300をクランプする。
【0030】
図3および
図4に示すように、回動軸217の両端には、ねじりコイルバネ218がそれぞれ捲回されており、そのねじりコイルバネ218によって各クランプ金具201がアンクランプ方向に付勢されている。
図3に示すように、前方のクランプ金具201の上端に対向するフレーム211には、前方のクランプ金具201をクランプ動作またはアンクランプ動作させるためのカムフォロワ216が回転可能に軸支されている。後方のクランプ金具201の上端に対向するフレーム211には、後方のクランプ金具201をクランプ動作またはアンクランプ動作させるためのカムフォロワ216が回転可能に軸支されている。
【0031】
図3に示すように、フレーム211,212間には、カム215がカム回動軸214によって回動可能に軸支されている。
図6に示すように、カム215の前面の右下には、平坦な平坦部215aが形成されており、その平坦部215aの左側には、凹部215bが形成されている。凹部215bは、カムフォロワ216が入り込む(落ち込む)大きさに形成されている。また、図示しないが、カム215の後面には、平坦部215aおよび凹部215bがそれぞれ前面と同じ位置に形成されている。また、カム215には、カム回動軸214を挿通するための挿通孔214aと、連結軸213(
図4)を挿通するための挿通孔213aとがそれぞれ貫通形成されている。
【0032】
図4に示すように、フレーム211,212の各上端には、エアシリンダ203が設けられている。エアシリンダ203の後端(図面右側)は、フレーム211,212に挿通された回動軸205に回動可能に軸支されている。エアシリンダ203のピストンロッド204の先端に取り付けられた接続部材219には、カム215の基端が連結軸213によって回動可能に軸支されている。フレーム211,212の上端には、ピストンロッド204の可動範囲を調節するための可動範囲調節ネジ210が接続部材219に向けて設けられている。可動範囲調節ネジ210の先端は、接続部材219の先端と対向しており、可動範囲調節ネジ210の突出長さを調節することにより、ピストンロッド204の伸長可能な範囲を調節し、カム215の回動範囲を調節することができる。
【0033】
エアシリンダ203には、ピストンロッド204の後端(
図4では右端)がエアシリンダ203の前端(
図4では左端)に存在する、つまり、ピストンロッド204が伸長状態にあることを検出する前端検出センサ(図示せず)が設けられており、その前端検出センサには、その前端検出センサの検出信号を制御ユニット500(
図9)へ出力するための前端検出センサ出力ケーブル206が接続されている。また、エアシリンダ203には、ピストンロッド204の後端(
図4では右端)がエアシリンダ203の後端(
図4では右端)に存在する、つまり、ピストンロッド204が退避状態にあることを検出する後端検出センサ(図示せず)が設けられており、その後端検出センサには、その後端検出センサの検出信号を制御ユニット500(
図9)へ出力するための後端検出センサ出力ケーブル207が接続されている。また、エアシリンダ203には、ピストンロッド204を伸長動作または退避動作させるためのエアを吸排気するエアポート208,209が設けられている。エアポート208,209は、圧縮空気を供給するエアコンプレッサ(図示せず)と接続されている。
【0034】
図5(A)に示すように、ピストンロッド204が伸長しているときは、カム215は左回り(反時計回り)に回動しており、各カムフォロワ216がそれぞれカム215の凹部215bに入り込み、
図3に示すように、各カムフォロワ216はそれぞれ内側に傾いた姿勢になっている。この状態では、各クランプ金具201の各先端は、ねじりコイルバネ218の付勢力によって相互に離反した状態、つまり、テープ材300をクランプしないアンクランプ状態になっている。
また、
図5(B)に示すように、ピストンロッド204が伸長すると、カム215は、右回り(時計回り)に回動し、各カムフォロワ216がそれぞれ凹部215bから離脱し、回転しながら平坦部215aに転動するため、各カムフォロワ216が、それぞれ、ねじりコイルバネ218の付勢力に抗して回動し、起立姿勢に変化する。これにより、各クランプ金具201の各先端は、相互に接近し、テープ材300をクランプする状態になる(
図1)。テープ材クランプ装置200は、本発明の挾持装置の一例であり、一対のクランプ金具201,201は、本発明の挾持部材の一例である。また、エアシリンダ203は、本発明の駆動装置の一例である。
【0035】
(ローラスイング機構)
図1および
図2に示すように、テープ材貼付けユニット60は、ローラ90およびガイド100をスイングさせるためのローラスイング機構80を備えている。ローラスイング機構80は、腕部88と、第2の回動軸86と、軸受け83と、ローラ90と、ガイド100と、軸受け89(
図7(A))とを備えている。側部69の外面には、軸受け83が固定されている。軸受け83は、板状に形成されており、右側面が側部69に固定されている。軸受け83には、第2の回動軸86が挿通されており、その第2の回動軸86に腕部88が回動可能(スイング可能)に軸支されている。
図2に示すように、腕部88の上端には、バネ係止部82が挿通固定されており、バネ係止部82は、側部69に貫通形成された貫通孔69aに移動可能に挿通されている。腕部88は、本発明の第2の回動部材の一例である。
【0036】
バネ係止部82の基端には、第2のバネ66の一端が係止されており、第2のバネ66の他端は、右側の側部68の内側に固定されたバネ係止部67に係止されている。つまり、腕部88は、第2の回動軸86を回動中心にして、第2のバネ66の付勢力に抗して左回り(反時計回り)に回動可能になっている。また、左回り(反時計回り)に回動した腕部88は、第2のバネ66の付勢力により、右回り(時計回り)に回動し、回動前の姿勢に戻ることが可能になっている。また、本実施形態では、第2のバネ66は、コイルスプリングである。第2のバネ66は、本発明の第2の付勢部材の一例である。
【0037】
図7(A)および
図8に示すように、腕部88の下端からは、軸受け89が前方に突出形成されており、その軸受け89には、ローラ90が回動自在に軸支されている。腕部88および軸受け89は、左側面から見て略L字状を呈している。また、ローラ90の右側にはガイド100が揺動自在に設けられている。
また、円板状部材50を回動させるための第1の回動軸64と、腕部88を回動させるための第2の回動軸86とは、相互に平行であり、各クランプ金具201、ガイド100およびローラ90は、それぞれ円板状部材50の回動中心51から半径方向に配置されており、かつ、ガイド100はローラ90と各クランプ金具201の間に配置されている
【0038】
(ローラおよびテープ材の構造)
ローラ90は、テープ材300をワーク40に押圧しながら転動してテープ材300をワーク40に貼付けるための部材である。
図7(A)および
図8に示すように、ローラ90は、円柱形状の胴体91と、胴体91の両端の各周縁からそれぞれ外方に張り出した一対のフランジ92,92とを備えている。本実施形態では、JIS規格でA7075と称されるアルミニウム合金(超々ジュラルミン)により形成されており、高い強度を有する。また、各フランジ92は、それぞれJIS規格でSUS304と称されるステンレス鋼により形成されており、高い耐腐食性を有する。
【0039】
図7(B)に示すように、テープ材300は、テープ材本体であるウレタン樹脂層301と、ウレタン樹脂層301の裏面に形成された接着層302と、接着層302の裏面に接着された剥離紙303とを有する。図では、テープ材300の構造を分かり易くするために、接着層302および剥離紙303の各厚さを実際よりも厚く描いてある。剥離紙303は、テープ材300を供給部34(
図11)から剥がすときにテープ材300から剥離される。
本実施形態では、接着層302はアクリル系接着剤により形成されており、接着層302はウレタン樹脂層301よりも弾性率が大きい。また、テープ材300の全長は、例えば、50~300mmである。また、テープ材300の幅は、例えば、5~15mmであり、剥離紙303を除いた高さは、5~10mmである。つまり、本実施形態で扱うテープ材300は、相対的に短いテープ材である。
【0040】
また、ローラ90の胴体91の幅とテープ材300の幅は略同一であるため、
図7(A)に示すように、ローラ90の各フランジ92がテープ材300を隙間無く挾持することができ、テープ材300が各フランジ92間で移動しない(ガタが発生しない)ようになっている。また、テープ材300が各フランジ92間に挾持された状態では、テープ材300は、各フランジ92の周面から下方に突出した状態になるため、ローラ90がテープ材300をワーク40に押圧すると、テープ材300がローラ90の胴体91とワーク40との間で圧縮され、テープ材300をワーク40に押圧することができる。また、ウレタン樹脂層301が圧縮されたときに、ローラ90の各フランジ92がワークに接触しないようにすることができる。
【0041】
ローラ90は、テープ材300の表面が胴体91の周面に接触し、かつ、テープ材300の長手方向の両側面301aのうち、少なくとも両側面301a,301aの各上縁301b,301b(
図7(B))が一対のフランジ92,92間に収まるように構成すれば良い。このように構成することにより、ローラ90によってテープ材300をワーク40に押圧しながら貼付けるときに、テープ材300が一方のフランジ92から外方へ離脱しないようにすることができるため、テープ材300を貼付け経路Rに沿って正確に貼付けることができる。ローラ90の胴体91の幅、外径、各フランジ92の外径などの寸法は、押圧対象であるテープ材300の幅、高さおよび材質などに応じて変更することができる。
【0042】
(ガイドの構造)
ガイド100は、ローラ90が押圧する直前のテープ材300を保持することにより、ローラ90がテープ材300を貼付け経路Rに沿って精度良く押圧できるように案内するための部材である。
図8に示すように、ガイド100は、テープ材300の表面に接触する上部101と、この上部の両側縁からそれぞれ下方に形成された一対の側部102,102と、上部101の先端からテープ材300の一端304(
図1)の方向に突出形成された先端部103と、筒状の回動部107と、平板形状の接続部104とを有する。回動部107は、軸受け89に回動可能に装着されており、その回動部107は、接続部104によって上部101と接続されている。上部101の裏面は、テープ材300の表面の形状に対応した平面形状に形成されており、各側部102は、それぞれ平板形状に形成されている。
図7(A)に示すように、各側部102は相対向しており、テープ材300の両側面301a,301a(
図7(B))を挟むように設けられている。
【0043】
また、各側部102の下部は、それぞれやや外方に傾斜している。各下部の下端間は、テープ材300の幅よりもやや広くなっている。つまり、ガイド100は、テープ材300の幅にばらつきが存在する場合であっても、テープ材300を上から各側部102間に案内し、各側部102によってテープ材300を保持することができる構造になっている。
先端部103は、テープ材300を他端305からワークに貼付けるときに、テープ材300が安定した状態で保持されるように一対の側部102,102間に案内する役割をする。
図1に示すように、先端部103は、緩やかに上方に沿った形状、換言すると、下方にやや膨らんだ曲面に形成されており、先端部103の先端とテープ材300の表面との摩擦が大きくならないようになっている。つまり、テープ材300を一対の側部102,102間に滑らかに案内できるようになっている。
【0044】
図8に示すように、軸受け89の先端とローラ90との間には、ねじりコイルバネ105が装着されている。ねじりコイルバネ105の先端105aは、上部101の上面のうち、先端部103に近い部分に係止されており、ねじりコイルバネ105の基端105bは、回動部107に取り付けられたバネ係止部106に係止されている。ガイド100は、ねじりコイルバネ105により、下方に付勢されている。これにより、テープ材300をワーク40に貼付けるときに、テープ材クランプ装置200によって一端304が持ち上げられたテープ材300のテンションを一定に保つことができ、テープ材300を安定してローラ90へ案内することができる(
図14,
図15)。ガイド100は、ローラ90の胴体91またはフランジ92と同じ材料により形成することができる。ガイド100は、本発明の保持部材の一例である。
【0045】
[テープ材貼付け機の主な電気的構成]
次に、テープ材貼付け機1の主な電気的構成について、それをブロックで示す
図9を参照しつつ説明する。
テープ材貼付け機1は、制御ユニット500を備えており、その制御ユニット500には、ロボット10が電気的に接続されている。ロボット10にはテープ材貼付けユニット60が電気的に接続されており、テープ材貼付けユニット60は制御ユニット500と電気的に接続されている。制御ユニット500は、ロボット10の動作を制御し、かつ、ロボット10を介してテープ材貼付けユニット60の動作を制御する。ロボット10およびテープ材貼付けユニット60の制御状態は、制御ユニット500にフィードバックされる。
【0046】
制御ユニット500は、CPU501および記憶部502を備えている。記憶部502は、RAM、ROM、NVRAM、SDRAMなどのメモリを備えている。ROMには、CPU501がロボット10およびテープ材貼付けユニット60を制御するためのコンピュータプログラム503が記憶されている。
また、制御ユニット500には、エリアセンサ403、ドアスイッチ404、操作盤405、モニタ408、ティーチングペンダント409などが電気的に接続されている。エリアセンサ403は、テープ材貼付け機1の作業エリア内に人や物が存在するか否かを検知するセンサである。ドアスイッチ404は、テープ材貼付け機1が設置されている作業部屋に設けられたドアの開閉を検知するスイッチである。操作盤405には、テープ材貼付け機1を起動させるためのスタートボタン(起動スイッチ)、非常停止ボタン、自動制御から手動に切替えるための手動切替えボタンなどの操作スイッチ類が設けられている。モニタ408は、制御ユニット500の処理内容、制御プログラム名、テープ材貼付け機1の現在位置、速度、各センサからの情報など、テープ材貼付け機1の状態などを表示する。制御ユニット500は、本発明の制御部の一例である。
【0047】
ティーチングペンダント409は、テープ材貼付け機1にティーチング(教示)を行うための装置であり、テープ材貼付け機1の状態を液晶などで表示する表示部、第1軸~第6軸16(
図1)を動作させるための動作軸キー、教示プログラムや各種作業条件の設定などを行う数字キー、教示内容を記憶部502に記憶させるためのキーなどを備えている。ティーチングペンダント409を用いてテープ材貼付け機1にティーチングを行う作業者は、テープ材300がワーク40に設定された貼付け経路Rに沿って貼付けられるようにテープ材貼付け機1にティーチングを実行し、そのティーチング内容をティーチングデータとして記憶部502に記憶させる。例えば、ティーチングデータには、テープ材300を貼付け経路Rに貼付けるときのローラ90とワーク40との距離、テープ材300を貼付ける速度、テープ材300を貼付ける方向などのパラメータが含まれている。作業者は、ティーチングペンダント409を用いて貼付け経路Rの要所要所において上記の各パラメータを得るためのティーチングを行い、その得たパラメータをティーチングデータとして記憶部502に記憶させる。
【0048】
本実施形態におけるティーチングデータには、テープ材貼付けユニット60を供給部34まで移動させ、供給部34に供給されているテープ材300の一端304をテープ材クランプ装置200にクランプさせ、かつ、テープ材300の他端305をガイド100に保持させるように(
図1)ロボット10およびテープ材貼付けユニット60を制御するためのデータが含まれている。
さらに、ティーチングデータには、テープ材クランプ装置200がテープ材300の一端304をクランプし、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持したときに円板状部材50を右回りに回動させ、ガイド100がテープ材300を保持した状態で、テープ材クランプ装置200によるテープ材300のクランプ位置へ近づくように(
図11)ロボット10を制御するためのデータが含まれている。
【0049】
さらに、ティーチングデータには、円板状部材50が第1のバネ65の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、各クランプ金具201によって一端304がクランプされていたテープ材300が一端304から剥がされ始め、かつ、ガイド100によるテープ材300の保持位置がテープ材300を保持した状態でテープ材300の他端305へ移動するように(
図12,
図13)ロボット10を制御するためのデータが含まれている。
さらに、ティーチングデータには、各クランプ金具201がテープ材300の一端304を挾持し、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持した状態を維持しながら、テープ材300をワーク40に貼付ける位置までテープ材貼付けユニット60が移動するようにロボット10を制御するためのデータが含まれている。
【0050】
さらに、ティーチングデータには、各クランプ金具201がテープ材300の一端304をクランプしており、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持した状態を維持し、テープ材貼付けユニット60をワーク40に向けて下降させ、ガイド100により保持されているテープ材300の他端305をローラ90によってワーク40に押圧して貼付けるように(
図14(A))ロボット10を制御するためのデータが含まれている。
さらに、ティーチングデータには、テープ材300のうち、ワーク40に貼付けられた部分以外の部分がワーク40から浮いた状態(ワーク40に貼り付けられていない状態)を維持しながら、貼付け経路R(
図14(B))に沿ってテープ材300の他端305から一端304までをローラ90によって押圧しながら貼付けるように(
図15,
図16)ロボット10を制御するためのデータが含まれている。
【0051】
さらに、ティーチングデータには、貼付け経路Rの中に曲線の貼付け経路R1(
図14(B))が存在する場合は、テープ材貼付けユニット60の姿勢を曲線の貼付け経路R1に沿うように変化させ、テープ材300を曲線の貼付け経路R1に沿って捻り、その捻られたテープ材300をローラ90が押圧することにより、テープ材300を曲線の貼付け経路R1に沿って貼付けるように(
図15)ロボット10を制御するためのデータが含まれている。CPU501は、上述した各ティーチングデータおよびコンピュータプログラム503に基づいてロボット10およびエアシリンダ203を制御し、テープ材300をワーク40の貼付け経路Rに沿って貼付ける。
【0052】
[テープ材貼付け処理]
次に、制御ユニット500のCPU501(
図9)が実行するテープ材貼付け処理の流れについて
図10を参照しつつ説明する。以下の説明では、CPU501が実行する処理ステップをSと略す。
図1に示すように、テープ材300を供給するための供給部34の上面にテープ材300が配置されている。
【0053】
CPU501は、テープ材貼付け機1を起動するためのスタートボタン(起動スイッチ)がONしたか否かを判断し(S1)、ONしたと判断した場合は(S1:Yes)、ドアスイッチ404(
図9)がONしているか否かを判断する(S2)。ここで、CPU501は、ドアスイッチ404がONしていると判断した場合は(S2:Yes)、エリアセンサ403(
図9)がONしているか否かを判断し(S3)、ONしていないと判断した場合は(S3:No)、供給部34の上面にテープ材300があるか否かを判断する(S4)。この判断は、例えば、供給部34の上面に供給されているテープ材300を検知するためのテープ材検知センサを配置し、そのテープ材検知センサからの出力信号の変化に基づいて行うことができる。ここで、CPU501は、供給部34の上面にテープ材300があると判断した場合は(S4:Yes)、記憶部502(
図9)に記憶されているティーチングデータおよびコンピュータプログラム503に基づいてテープ材貼付け処理を開始する(S5)。
【0054】
ここで、テープ貼付け処理では、CPU501は、
図1に示すように、ロボット10(
図9)を制御することにより、テープ材貼付けユニット60を供給部34へ移動させ、テープ材クランプ装置200の各クランプ金具201がテープ材300の一端304を挾持し、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持することができる状態に制御する。続いて、CPU501は、エアシリンダ203を駆動し、各クランプ金具201によってテープ材300の一端304を挾持させる。続いて、CPU501は、
図11に示すように、ロボット10を制御することにより、テープ材貼付けユニット60を右方、つまり、テープ材300の他端305から一端304に向かう方向に移動させる。このとき、テープ材クランプ装置200の各クランプ金具201がテープ材300の一端304を挾持しているため、その挾持箇所が力点となり、円板状部材50が第1のバネ65の付勢力に抗して右回り(時計回り)に少し回動する。
【0055】
このとき、テープ材貼付けユニット60は右方に移動したため、
図11に示すように、テープ材300の他端305を保持していたガイド100は、テープ材300を保持した状態を維持しながら、テープ材300に沿って、各クランプ金具201によるテープ材300のクランプ位置、つまり、一端304に向けて移動する。この結果、図示のように、ガイド100は、テープ材300の一端304に近い位置を保持した状態になる。
つまり、CPU501は、ロボット10を制御することにより、各クランプ金具201がテープ材300の一端304を挾持しており、かつ、ガイド100がテープ材300の一端304以外の部分を保持した状態でテープ材貼付けユニット60を変位させることにより、テープ材300を保持しているガイド100が、テープ材300を保持した状態で各クランプ金具201によるテープ材300の挾持位置に接近するように、円板状部材50を第1のバネ65による付勢力に抗しながら第1の回動軸64(
図3)を回動中心として回動させる。
【0056】
続いて、CPU501は、
図12および
図13に示すように、ロボット10を制御することにより、テープ材貼付けユニット60をやや左斜め上方に移動させる。これにより、円板状部材50が第1のバネ65に付勢力によって回動前の姿勢に戻ろうとするため、各クランプ金具201によって一端304がクランプされていたテープ材300は、一端304から剥がされ始める。また、円板状部材50が回動前の姿勢に戻ろうとするため、各クランプ金具201によってクランプされているテープ材300にはテンションが掛かるので、テープ材300がたるまないようにすることができる。また、テープ材300の一端304の近くを保持していたガイド100は、テープ材300を保持した状態を維持しながら他端305に方に移動する。
つまり、CPU501は、ロボット10を制御することにより、円板状部材50が第1のバネ65の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、供給部34に接着されているテープ材300が、各クランプ金具201により挾持されている一端304から剥がされながら、ガイド100によるテープ材300の保持位置がテープ材300を保持した状態でテープ材300の他端305へ移動するようにテープ材貼付けユニット60を変位させる。
【0057】
続いて、CPU501は、ロボット10を制御することにより、
図14(A)に示すように、各クランプ金具201がテープ材300の一端304を挾持し、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持した状態を維持しながら、テープ材300をワーク40に貼付ける位置までテープ材貼付けユニット60を移動させる。
【0058】
続いて、CPU501は、ロボット10を制御することにより、各クランプ金具201がテープ材300の一端304をクランプしており、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持した状態を維持し、テープ材貼付けユニット60をワーク40に向けて下降させ、ガイド100により保持されているテープ材300の他端305をローラ90によってワーク40に押圧して貼付ける。つまり、ワーク40に設定されている貼付け経路Rの始点に、テープ材300の他端305を貼付ける。
続いて、CPU501は、ロボット10を制御することにより、
図15および
図16に示すように、テープ材300のうち、ワーク40に貼付けられた部分以外の部分がワーク40から浮いた状態(ワーク40に貼り付けられていない状態)を維持しながら、貼付け経路R(
図14(B))に沿ってテープ材300の他端305から一端304までをローラ90によって押圧しながら貼付ける。また、
図14(B)に示すように、貼付け経路Rの中に曲線の貼付け経路R1が存在する場合は、ロボット10を制御し、テープ材貼付けユニット60の姿勢を曲線の貼付け経路R1に沿うように変化させ、ワーク40から上方に離れた箇所で、テープ材300を曲線の貼付け経路R1に沿って捻り、その捻られたテープ材300をローラ90が押圧することにより、テープ材300を曲線の貼付け経路R1に沿って貼付ける(
図15)。
【0059】
また、腕部88が第2の回動軸86の回動中心にして回動可能になっており、かつ、腕部88は第2のバネ66によって付勢されているため、ローラ90によってテープ材300をワーク40に一定の力で押圧することができる。また、仮に、貼付け経路Rにおいて予測しないような凸部が存在していたり、テープ材300において規定よりも厚い部分が存在していたりしても、腕部88が、第2のバネ66の付勢力に抗して第2の回動軸86を回動中心にして回動するため、テープ材300およびワーク40に過剰な押圧力が掛からない。
そして、
図16に示すように、ローラ90の押圧位置がテープ材300の一端304に近くなり、貼り付けていない部分が残り少なくなったときに、CPU501は、テープ材貼付けユニット60のエアシリンダ203を駆動し、各クランプ金具201をアンクランプ状態に戻し、貼り付けていない残りの部分をローラ90によって押圧しながら貼付ける。そして、CPU501は、ロボット10を制御し、テープ材貼付けユニット60を供給部34へ移動させる。
【0060】
続いて、CPU501は、テープ材貼付け処理を終了する条件を満足したか否かを判断し(S6)、満足したと判断した場合は(S6:Yes)、テープ材貼付け処理を終了する(S7)。例えば、ワーク40にテープ材300を貼付けた処理数が、予め記憶部502(
図9)に設定されている目標数に達したときにテープ材貼付け処理を終了するようにプログラムすることができる。また、供給部34に供給されているテープ材300が、テープ材検知センサによって検知されないときにテープ材貼付け処理を終了するようにプログラムすることもできる。また、CPU501は、テープ材貼付け処理を終了する条件を満足していないと判断した場合は(S6:No)、S1以降を実行する。また、CPU501は、スタートボタンがONしていないと判断した場合(S1:No)、あるいは、ドアスイッチがONしていないと判断した場合(S2:No)、あるいは、エリアセンサがONしていると判断した場合は(S3:Yes)、テープ材貼付け処理を終了する(S7)。
【0061】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態に係るテープ材貼付け機1およびコンピュータプログラム503によれば、ガイド100により保持されているテープ材300の他端305をローラ90によってワーク40に押圧して貼付け、テープ材300のうち、ワーク40に貼付けられた部分以外の部分がワーク40から浮いた状態を維持しながら、ワーク40に対するテープ材貼付けユニット60の位置および姿勢を制御し、貼付け経路Rに沿ってテープ材300の他端305から一端304までをローラ90によって押圧しながら貼付けることができる。
従って、上述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、相対的に短いテープ材を貼付けることができる。
【0062】
(2)また、テープ材300の一端304を挾持する各クランプ金具201は、テープ材300の一端304をクランプすることができる大きさで良く、テープ材300の他端305を保持するガイド100は、テープ材300の他端305を保持することができる大きさで良く、さらに、テープ材300をワーク40に押圧するローラ90は、テープ材300をワーク40に押圧することができる大きさで良いため、テープ材300の貼付け経路Rの横に凸部などの障害物が存在するような場合であっても、各クランプ金具201、ガイド100およびローラ90が障害物と干渉する可能性が相対的に少なくなる。
従って、上述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、テープ材を貼付けることが困難な場合を相対的に減らすことができる。
【0063】
(3)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、制御ユニット500は、ロボット10を制御することにより、各クランプ金具201がテープ材300の一端304をクランプしており、かつ、ガイド100がテープ材300の一端304以外の部分を保持した状態でテープ材貼付けユニット60を変位させることにより、テープ材300を保持しているガイド100が、テープ材300を保持した状態で各クランプ金具201によるテープ材300のクランプ位置に接近するように、円板状部材50を第1のバネ65による付勢力に抗しながら第1の回動軸64を回動中心として回動させることができる。
従って、テープ材300を、各クランプ金具201が挾持している一端304から剥がすときに、ガイド100が各クランプ金具201に近い位置を保持しているため、剥がしたテープ材300がガイド100から離脱するおそれがない。
【0064】
(4)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、制御ユニット500は、円板状部材50が第1のバネ65の付勢力を利用して回動前の姿勢に回動することにより、供給部34に接着されているテープ材300が、各クランプ金具201によりクランプされている一端304から剥がされながら、ガイド100によるテープ材300の保持位置がテープ材300を保持した状態でテープ材300の他端305へ移動するようにテープ材貼付けユニット60を変位させることができる。
従って、剥がされたテープ材300の一端304を各クランプ金具201がクランプしており、テープ材300の他端305をガイド100が保持している状態を作ることができる。
【0065】
(5)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、制御ユニット500は、ロボット10を制御することにより、各クランプ金具201がテープ材300の一端304をクランプしており、かつ、ガイド100がテープ材300の他端305を保持した状態で、テープ材300をワーク40に貼付ける位置までテープ材貼付けユニット60を移動させることができる。
【0066】
(6)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、制御ユニット500は、ロボット10を制御することにより、ガイド100により保持されているテープ材300の他端305をローラ90によってワーク40に押圧して貼付け、さらに、テープ材300のうち、ワーク40に貼付けられた部分以外の部分がワーク40から浮いた状態(ワーク40に貼り付けられていない状態)を維持しながら、貼付け経路Rに沿ってテープ材300の他端305から一端304までをローラ90によって押圧しながら貼付けることができる。
つまり、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、テープ材300をワーク40に貼り付けていない部分はワーク40から浮いた状態で、テープ材300の他端305から一端304まで貼付け経路Rに沿ってローラ90によって押圧しながらワーク40に貼付けることができるため、テープ材300の接着力による影響を少なくすることができるので、貼付け方向を容易に変えることができる。
従って、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、テープ材300を貼付け経路Rに沿って精度良く貼付けることができる。
【0067】
(7)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、テープ材300をローラ90によってワーク40に押圧するときに、その押圧力が所定の大きさを超えると、腕部88が第2のバネ66の付勢力に抗して第2の回動軸86を回動中心として回動し、押圧力が吸収されるため、ローラ90が一定の押圧力でテープ材300を押圧するように調節することができる。
従って、テープ材300をワーク40の貼付け経路Rに沿って常に均一な押圧力で貼付けることができるため、押圧力が過剰となってテープ材300が潰れるおそれもないし、押圧力が不足してテープ材300の接着不足が発生するおそれもない。
【0068】
(8)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、供給部34に剥離可能に接着されているテープ材300を剥がすときは、円板状部材50が第1のバネ65の付勢力によって回動前の姿勢に戻る力を利用するため、円板状部材50を回動させるためのモータなどのアクチュエータが不要なので、その分、テープ材貼付け機1の製造コストを低減することができ、かつ、故障率を低減することができる。
【0069】
(9)さらに、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、各クランプ金具201、ガイド100およびローラ90は、それぞれ円板状部材50の回動中心51から半径方向に配置されており、かつ、ガイド100はローラ90と各クランプ金具201の間に配置されているため、テープ材貼付けユニット60の位置および姿勢を制御することにより、ガイド100によりテープ材300を保持しながらローラ90によりテープ材300を押圧することができる。また、テープ材貼付けユニット60の位置および姿勢を制御することにより、テープ材30に対するガイド100の保持位置をテープ材300に沿って移動させながら、ローラ90によりテープ材300を押圧して行くことができる。さらに、テープ材貼付けユニット60の位置および姿勢を制御することにより、テープ材300の一端304を挾持している各クランプ金具201の位置を制御することができるため、テープ材300の一端304がワーク40から浮いた状態を維持しながら、テープ材300の貼付け方向が貼付け経路Rに沿うように制御することができる。
【0070】
(10)さらに、テープ材300がウレタン樹脂層301と、ウレタン樹脂層301の裏面に形成された接着層302と、を備えており、接着層302がウレタン樹脂層301よりも弾性率が大きいような場合は、曲線の貼付け経路R1において、ウレタン樹脂層301はローラ90の転動方向に追従して変形し易いが、接着層302は変形し難いため、ワーク40に貼り付いた接着層302がローラ90の転動方向に追従して方向を変え難いため、貼付け経路R1を逸脱したり、貼付けられたテープ材300がワーク40に対して傾斜したりするという症状が出るおそれがある。
しかし、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、各クランプ金具201によってテープ材300の一端304をクランプし、テープ材300のうち、ワーク40に貼付けられた部分以外の部分がワーク40から浮いた状態を維持しながら、貼付け経路Rに沿ってテープ材の他端305から一端304までをローラ90によって押圧しながら貼付けることができる。
つまり、ローラ90による押圧が行われていない部分がワーク40に接着していない状態にすることができるため、テープ材貼付けユニット60の位置および姿勢を制御することにより、未接着部分の方向転換を容易に行うことができるので、前述した症状が出ないようにしてテープ材300を曲線の貼付け経路R1に沿って精度良く貼付けることができる。
【0071】
(11)上述したように、前述した実施形態に係るテープ材貼付け機1によれば、相対的に短いテープ材を貼付けることが可能であり、かつ、テープ材を貼付けることが困難な場合を相対的に減らすことができるテープ材貼付け機を提供することができる。
【0072】
[他の実施形態]
(1)ワーク40の種類によっては、ロボット10として、垂直多関節ロボットに代えて水平多関節ロボットを用いることもできる。
(2)エアシリンダに代えてソレノイドやピエゾアクチュエータを用いることもできる。
(3)貼付けたテープ材300が貼付け経路Rから逸脱していることを検出するセンサ(例えば、画像センサなど)をテープ材貼付け機1に設け、そのセンサの検出結果を報知する報知装置(例えば、ランプ、警報音出力装置など)を設けることもできる。
【符号の説明】
【0073】
1・・・テープ材貼付け機
10・・・ロボット
34・・・供給部
40・・・ワーク
50・・・円板状部材
60・・・テープ材貼付けユニット
64・・・第1の回動軸
65・・・第1のバネ
66・・・第2のバネ
80・・・ローラスイング機構
86・・・第2の回動軸
88・・・腕部
90・・・ローラ
100・・・ガイド
200・・・テープ材クランプ装置
201・・・クランプ金具
203・・・エアシリンダ
215・・・カム
216・・・カムフォロワ
300・・・テープ材
301・・・ウレタン樹脂層
302・・・接着層
303・・・剥離紙
304・・・一端
305・・・他端
500・・・制御ユニット
501・・・CPU
502・・・記憶部
503・・・コンピュータプログラム
R・・・貼付け経路
R1・・・曲線の貼付け経路