(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/24 20060101AFI20240117BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61B1/24
A61B1/00 711
(21)【出願番号】P 2021200784
(22)【出願日】2021-12-10
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 正則
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-274051(JP,A)
【文献】特開2017-192720(JP,A)
【文献】実開昭62-097616(JP,U)
【文献】特開2018-196071(JP,A)
【文献】特開平05-034605(JP,A)
【文献】特開2011-177322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0170497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像する手持ち式の撮像装置であって、
前記対象物からの光を取り込む前端部と、前記前端部の反対側に位置する後端部とを含む長尺状の筐体と、
前記筐体の外周面における特定の面に設けられ、ユーザによって操作可能な操作部と、
前記外周面に設けられ、前記筐体の外部からの空気を前記筐体の内部に供給する給気部と、
前記後端部に設けられ、前記筐体の内部からの空気を前記筐体の外部に排出する排気部とを備え、
前記排気部は、前記特定の面を上方向とした場合に、
前記排気部の前方部分が前記排気部の後方部分よりも上側に位置するように、前記特定の面に対して上下方向に所定角度傾斜している、撮像装置。
【請求項2】
前記排気部は、前記特定の面を前記上方向とした場合に、前記特定の面に対して前記上下方向に前記所定角度それぞれ傾斜した複数の板部を含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の板部は、前記特定の面を前記上方向とした場合に、前記前端部から前記後端部に向かって前記上下方向にそれぞれ傾斜して配置されている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記所定角度は、前記ユーザが前記撮像装置を把持して前記後端部の方向から前記排気部を見た場合に、前記筐体の内部からの空気が前記筐体の外部に排出されつつも、前記筐体の内部を視認できないようにした角度である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記所定角度は、30度または略30度である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記排気部は、第1のメッシュ部材をさらに備える、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1のメッシュ部材は、ハニカムメッシュ構造を有する、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記給気部は、前記筐体の外部と前記筐体の内部との間に壁を隔てながら前記筐体の外部から流入した空気を前記筐体の内部へと通過させる壁部を含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記給気部は、第2のメッシュ部材を含む、請求項8に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物を撮像する手持ち式の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を撮像する手持ち式の撮像装置が公知である。たとえば、特許文献1には、口腔内の歯牙の三次元データを取得する三次元スキャナが開示されている。特許文献1に開示された三次元スキャナは、対象物からの光を取り込む前端部と前端部の反対側に位置する後端部とを含む長尺状の筐体と、筐体に設けられた外気を取り込む取り込み口と、筐体の内部からの空気を排出する排気口とを備えている。これにより、三次元スキャナは、取り込み口から取り込んだ空気(外気)を用いて電子部品などの熱源を冷却し、熱源との間で熱交換された空気を排気口を介して筐体の外部に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された三次元スキャナは、ユーザが筐体を把持して操作するタイプ(所謂、ペングリップタイプ)の撮像装置である。ユーザは、撮像装置を使用する間、撮像装置の操作部をユーザの顔が位置する方向に向けながらペンを持つように筐体を把持して、前端部を口腔内に向けて対象物を撮像する。ここで、筐体の後端部に排気口が設けられている場合、何らの工夫も無ければ、撮像装置の使用中に排気口を介して三次元スキャナの内部をユーザに見られてしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、三次元スキャナの内部をユーザに見られることを防止することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例に従えば、対象物を撮像する手持ち式の撮像装置が提供される。撮像装置は、対象物からの光を取り込む前端部と、前端部の反対側に位置する後端部とを含む長尺状の筐体と、筐体の外周面における特定の面に設けられ、ユーザによって操作可能な操作部と、外周面に設けられ、筐体の外部からの空気を筐体の内部に供給する給気部と、後端部に設けられ、筐体の内部からの空気を筐体の外部に排出する排気部とを備える。排気部は、特定の面を上方向とした場合に、前記排気部の前方部分が前記排気部の後方部分よりも上側に位置するように、特定の面に対して上下方向に所定角度傾斜している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、三次元スキャナの内部をユーザに見られることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る三次元スキャナの適用例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る三次元スキャナの構成を説明するための図である。
【
図3】実施の形態に係る三次元スキャナの内部構成を説明するための図である。
【
図4】実施の形態に係る三次元スキャナの持ち方を説明するための図である。
【
図5】比較例に係る三次元スキャナの排気部の断面を示す図である。
【
図6】比較例に係る三次元スキャナを排気部側から見た場合の図である。
【
図7】実施の形態に係る三次元スキャナの排気部を説明するための図である。
【
図8】実施の形態に係る三次元スキャナの排気部の断面を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る三次元スキャナを排気部側から見た場合の図である。
【
図10】実施の形態に係る三次元スキャナの外観を示す図である。
【
図11】比較例に係る三次元スキャナを給気部側から見た場合の図である。
【
図12】実施の形態に係る三次元スキャナの給気部の断面を示す図である。
【
図13】実施の形態に係る三次元スキャナを給気部側から見た場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[適用例]
図1を参照しながら、実施の形態に係る三次元スキャナ1の適用例を説明する。
図1は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の適用例を示す図である。なお、実施の形態においては、「撮像装置」として、三次元スキャナ1のような口腔内の歯牙の三次元データを取得する口腔内スキャナを例示するが、「撮像装置」は、口腔内スキャナに限らず、対象物を撮像する手持ち式のスキャナであれば、いずれのスキャナであってもよい。たとえば、「撮像装置」は、歯科に限らず、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、および獣医科など、他の専門分野で用いられるスキャナであってもよい。
【0011】
図1に示すように、三次元スキャナ1は、三次元スキャナ1を載置するクレードル50を介して、制御装置61に接続されている。制御装置61は、たとえば、汎用コンピュータであり、ディスプレイ62、マウス63、およびキーボード64が接続されている。なお、制御装置61は、三次元スキャナ1専用のコンピュータであってもよい。
【0012】
三次元スキャナ1は、内蔵された三次元カメラによって対象物の三次元データを取得する。具体的には、三次元スキャナ1は、口腔内をスキャンすることによって、三次元データとして、歯牙などの対象物の表面を示す複数の点の各検出位置(縦方向,横方向,高さ方向の各軸の座標)を、光学センサなどを用いて取得する。より具体的には、口腔内に挿入された三次元スキャナ1は、対象物にパターンを有する光を投影し、対象物からの反射光を光学センサなどによって検出することで、対象物の三次元データを取得する。
【0013】
制御装置61は、三次元スキャナ1によって取得された三次元データに基づき三次元画像データを生成し、生成した三次元画像データに対応する三次元画像をディスプレイ62に表示させることで、対象物の表面を特定の方向から見た場合の二次元投影図をユーザに見せることができる。
【0014】
また、制御装置61は、生成した三次元画像データを歯科技工所に出力することもできる。歯科技工所においては、制御装置61から取得した三次元画像データに基づき、歯科技工士が補綴物などの歯牙モデルを作製する。なお、ミリングマシンおよび3Dプリンタなど、歯牙モデルを自動で製造可能な自動製造装置が歯科医院内に配置されている場合、制御装置61は、三次元画像データを自動製造装置に出力してもよい。
【0015】
[三次元スキャナの構成]
図2および
図3を参照しながら、三次元スキャナ1の構成を説明する。
図2は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の構成を説明するための図である。
図3は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の内部構成を説明するための図である。
【0016】
図2に示すように、三次元スキャナ1は、長尺状の筐体11と、筐体11に設けられた操作部12と、筐体11の前端部11Aに対して着脱可能なアタッチメント13と、筐体11に接続されたメインケーブル5とを備える。
【0017】
筐体11は、対象物からの反射光を取り込む前端部11Aと、前端部11Aの反対側に位置する後端部11Bとを含み、一部が直方体になっている。筐体11は、後端部11B付近の横断面(Y-Z断面)の形状が多角形または略多角形であり、外周面として複数の面を有する。たとえば、筐体11は、後端部11Bから前端部11Aに向かって横断面(Y-Z断面)を見たときに、操作部12が設けられた面に対応する上面110と、上面の反対側に位置する底面120と、横断面の右側に位置する右側面130と、横断面の左側に位置する左側面140とを有する。すなわち、実施の形態に係る筐体11は、横断面(Y-Z断面)の形状が四角形または略四角形であり、外周面として4つの面を有する。なお、筐体11の横断面(Y-Z断面)の形状は、四角形に限らず、五角形または六角形などの他の多角形であってもよいし、円または楕円であってもよい。ここで、略多角形とは、いずれかの角が丸い場合またはいずれかの辺が直線ではなく緩やかな曲線である場合であってもよく、全体として概ね多角形であるものをいう。また、略四角形とは、いずれかの角が丸い場合またはいずれかの辺が直線ではなく緩やかな曲線である場合であってもよく、全体として概ね四角形であるものをいう。
【0018】
なお、実施の形態においては、説明の便宜上、筐体11の前端部11Aから後端部11Bに向かう方向(筐体11の長さ方向)をX軸方向、筐体11の左側面140から右側面130に向かう方向(筐体11の幅方向)をY軸方向、筐体11の底面120から上面110に向かう方向(筐体11の高さ方向)をZ軸方向と称する。
【0019】
操作部12は、ユーザが三次元スキャナ1を操作するための複数種類のスイッチを含み、筐体11の外周面における特定の面(この例では上面110)に設けられている。複数種類のスイッチは、たとえば、三次元スキャナ1の電源をONまたはOFFするための電源スイッチ、スキャンタイプを切り替えるための切替スイッチ、およびスキャンをやり直す際に取得済みの三次元データを削除するためのファンクションスイッチなどを含む。
【0020】
三次元スキャナ1は、筐体11の後端部11Bに設けられた排気部2をさらに備える。排気部2は、図示しない排気口を介して筐体11の内部からの空気を筐体11の外部に排出する。
【0021】
排気部2は、エンドキャップ22と、排気口と筐体11の内部との間に設けられたメッシュ部材21を含む。メッシュ部材21には、筐体11の内部に異物が混入されない程度の開口長さを有する複数の開口部が形成されている。たとえば、メッシュ部材21は、ハニカムメッシュ構造を有しており、メッシュ部材21には、約0.4mmの長さを有する複数の六角形の開口部が形成されている。メッシュ部材21にハニカムメッシュ構造を適用することにより、メッシュ部材21において空気が通過する開口面積を確保するとともに、メッシュ部材21の強度を高めることができる。
【0022】
また、三次元スキャナ1は、筐体11の外周面に設けられた給気部3をさらに備える。具体的には、三次元スキャナ1は、筐体11の右側面130および左側面140のそれぞれに、左右対称に2つの給気部3を備える。給気部3は、図示しない給気口を介して筐体11の外部から空気(外気)を取り込み、取り込んだ空気を筐体11の内部に供給する。
【0023】
給気部3は、給気口と筐体11の内部との間に設けられたメッシュ部材31を含む。メッシュ部材31には、筐体11の内部に異物が混入されない程度の開口長さを有する複数の開口部が形成されている。たとえば、メッシュ部材31には、約0.4mmの直径を有する複数の穴が形成されている。
【0024】
図3に示すように、三次元スキャナ1は、筐体11の内部に、ファン15と、少なくとも1つの熱源となる電子部品を備える。たとえば、三次元スキャナ1は、熱源として、イメージセンサ17と、電源回路18と、FPGA(Field Programmable Gate Array)19とを備える。なお、三次元スキャナ1は、熱源として、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの他の部品または電子回路を備えていてもよい。
【0025】
筐体11の外部からの空気(外気)は、給気部3のメッシュ部材31を通過して筐体11の内部に進入する。筐体11の内部に進入した空気は、ファン15の駆動によって、熱源を冷却しながら排気部2の方へ流れ込み、メッシュ部材21を通過して筐体11の外部へと排出される。これにより、三次元スキャナ1は、筐体11の外部からの空気を用いて熱源を冷却することができる。
【0026】
[三次元スキャナの持ち方]
図4を参照しながら、三次元スキャナ1の持ち方を説明する。
図4は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の持ち方を説明するための図である。
【0027】
三次元スキャナ1は、ユーザが筐体11を把持して操作するタイプ(所謂、ペングリップタイプ)の撮像装置である。ユーザは、三次元スキャナ1を使用する間、操作部12が設けられた上面110をユーザの顔が位置する方向に向けながらペンを持つように筐体11の前端部11A付近を把持する。操作部12をユーザの顔が位置する方向に向けて筐体11を把持する理由は、三次元スキャナ1を用いて口腔内をスキャンする際に、ユーザが操作部12を操作する必要があるためである。
【0028】
たとえば、三次元スキャナ1の使用中に操作部12がユーザの顔が位置する方向に向いていないと、ユーザが操作部12を見ることができず、ユーザが操作部12を快適に操作することができない。このため、ユーザは、操作部12をユーザの顔が位置する方向に向けながら筐体11を把持するようになっている。さらに、
図1に示すように、ユーザがペングリップ方式で三次元スキャナ1を把持した場合、ユーザの顔の位置は筐体11の上方に位置する。このため、ユーザは、三次元スキャナ1を使用する間、操作部12が設けられた上面110をユーザの顔が位置する方向(すなわち、上方向)に向けながら筐体11を把持するようになっている。
【0029】
[排気部の構成]
上述したように、ユーザは、三次元スキャナ1の操作部12をユーザの顔が位置する方向に向けながら筐体11を把持し、前端部11Aを口腔内に向けて対象物を撮像するが、筐体11の後端部11Bに設けられた排気部2の排気口を介して筐体11の内部(たとえば、FPGA19などの熱源、電子基板、またはその他の雑品)をユーザに見られてしまうおそれがあり、製品としての三次元スキャナ1の美観を損ねてしまうおそれがある。
【0030】
たとえば、
図5は、比較例に係る三次元スキャナの排気部200の断面を示す図である。
図6は、比較例に係る三次元スキャナを排気部200側から見た場合の図である。なお、
図5においては、
図6に示すように排気部200をZ軸方向に切断した場合の排気部2のA-A’断面が示されている。
【0031】
図5に示すように、排気部200は、前端部11Aから後端部11Bに向かって順に、メッシュ部材21と、エンドキャップ22とを備える。
【0032】
エンドキャップ22は、X軸方向において筐体11の最も外側に位置し、筐体11の内部からの空気を通過させる複数のスリット22Aを含む。すなわち、エンドキャップ22は、複数のスリット22Aを形成する。メッシュ部材21は、上述したように、ハニカムメッシュ構造を有し、エンドキャップ22よりも筐体11の内部側に設けられている。
【0033】
図5の点線の矢印で示すように、給気部3を介して取り込まれた筐体11の外部からの空気(外気)は、ファン15の駆動によって、熱源を冷却しながら排気部2の方へ流れ込み、メッシュ部材21を通過して複数のスリット22Aから筐体11の外部に排出される。
【0034】
図6に示すように、三次元スキャナを排気部200側から見た場合、エンドキャップ22のスリット22Aからメッシュ部材21の奥側にある筐体11の内部(たとえば、FPGA19などの熱源、電子基板、またはその他の雑品)が見えるおそれがあり、製品としての三次元スキャナの美観を損ねてしまうおそれがある。
【0035】
そこで、実施の形態に係る三次元スキャナ1の排気部2は、排気口を介して筐体11の内部をユーザに見られることを防止するために、筐体11の上面110を上方向とした場合に、上面110に対して上下方向(Z軸方向)に所定角度傾斜するように構成されている。
【0036】
図7~
図9を参照しながら、実施の形態に係る排気部2について説明する。
図7は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の排気部2を説明するための図である。
図8は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の排気部2の断面を示す図である。
図9は、実施の形態に係る三次元スキャナを排気部2側から見た場合の図である。なお、
図8においては、
図9に示すように排気部2をZ軸方向に切断した場合の排気部2のB-B’断面が示されている。
【0037】
図7および
図8に示すように、排気部2は、メッシュ部材21およびエンドキャップ22に加えて、ルーバー23を備える。具体的には、排気部2は、前端部11Aから後端部11Bに向かって順に、ルーバー23と、メッシュ部材21と、エンドキャップ22とを備える。メッシュ部材21は、ルーバー23とエンドキャップ22とで挟み込むようにして設けられている。
【0038】
ルーバー23は、複数のスリット23Aと、複数のスリット23Aに筐体11の内部からの空気を通過させる複数の板部23Bとを含む。エンドキャップ22におけるスリット22Aのメッシュ部材21およびルーバー23側の開口部は、ルーバー23におけるスリット23Aのメッシュ部材およびエンドキャップ22側の開口部と一致し、筐体11の内部からの空気がそれぞれのスリットを通過するように設けられている。複数のスリット23Aは、複数の板部23Bによって形成されている。複数の板部23Bは、操作部12が設けられた筐体11の上面110を上方向(Z軸方向)にした場合に、上面110に対して上下方向(Z軸方向)に所定角度α傾斜している。具体的には、複数の板部23Bは、上面110を上方向とした場合に、前端部11Aから後端部11Bの方向(X軸方向)に向かって上下方向(Z軸方向)にそれぞれ傾斜して配置されている。なお、複数の板部23Bは、ルーバー23のその他の部分と一体形成されている。
【0039】
ここで、複数の板部23Bが傾斜する所定角度αは、ユーザが三次元スキャナ1を把持して後端部11Bの方向から排気部2を見た場合に、筐体11の内部からの空気が筐体11の外部に排出されつつも、筐体11の内部を視認できないようにした角度である。たとえば、所定角度αは、30度または略30度である。
【0040】
図8の点線の矢印で示すように、給気部3を介して取り込まれた筐体11の外部からの空気(外気)は、ファン15の駆動によって、熱源を冷却しながら排気部2の方へ流れ込み、複数のスリット23Aを通過する。このとき、筐体11の内部からの空気は、複数の板部23Bによって促されるようにして、上方から斜め下方に向かって複数のスリット23Aを通過し、さらにメッシュ部材21を通過して複数のスリット22Aから筐体11の外部に排出される。
【0041】
排気部2が上述したように構成されていることによって、
図9に示すように、三次元スキャナ1を排気部2側から見た場合でも、エンドキャップ22のスリット22Aからメッシュ部材21が見えるだけで、メッシュ部材21の奥側にある筐体11の内部(たとえば、FPGA19などの熱源、電子基板、またはその他の雑品)は見え難いようになっている。
【0042】
すなわち、ルーバー23の複数の板部23Bが前端部11Aから後端部11Bの方向(X軸方向)に向かって上下方向(Z軸方向)にそれぞれ傾斜して配置されていることによって、ユーザが上面110をユーザの顔が位置する方向(すなわち、上方向,Z軸方向)に向けながらペンを持つように筐体11を把持した状態で上から三次元スキャナ1の排気部2を見た場合でも、ユーザの目線が複数の板部23Bに当たるため、ユーザの目線が筐体11の内部にまで到達することがない。これにより、排気部2の排気口を介して三次元スキャナ1の内部をユーザに見られることを防止することができる。
【0043】
[給気部の構成]
図10は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の外観を示す図である。
図10に示すように、給気部3は、筐体11の外周面に設けられている。ここで、何らの対策もしなければ、給気部3の給気口を介して筐体11の内部(たとえば、FPGA19などの熱源、電子基板、またはその他の雑品)をユーザに見られてしまうおそれがあり、製品としての三次元スキャナ1の美観を損ねてしまうおそれがある。
【0044】
たとえば、
図11は、比較例に係る三次元スキャナを給気部300側から見た場合の図である。
図11に示すように、三次元スキャナを給気部300側から見た場合、メッシュ部材31の奥側にある筐体11の内部(たとえば、FPGA19などの熱源、電子基板、またはその他の雑品)が見えてしまう。
【0045】
そこで、実施の形態に係る三次元スキャナ1の給気部3は、給気口を介して筐体11の内部をユーザに見られることを防止するために、ラビリンス構造を有する。
【0046】
図12および
図13を参照しながら、実施の形態に係る給気部3について説明する。
図12は、実施の形態に係る三次元スキャナ1の給気部3の断面を示す図である。
図13は、実施の形態に係る三次元スキャナ1を給気部3側から見た場合の図である。なお、
図12においては、
図10に示すように給気部3をZ軸方向に切断した場合の給気部3のC-C’断面が示されている。また、
図12においては、筐体11の左側面140側に設けられた給気部3が示されているが、筐体11の右側面130側に設けられた給気部3は、筐体11の左側面140側に設けられた給気部3と左右対称に構成されている。
【0047】
図12に示すように、給気部3は、メッシュ部材31よりも筐体11の内部側に壁部32を備える。壁部32は、筐体11の左側面140から筐体11の内部に向かう方向(Y軸方向)に設けられた第1壁部32Aと、筐体11の底面120から上面110に向かう方向(Z軸方向)に設けられた第2壁部32Bとを含む。
【0048】
このような構成を備える壁部32は、矢印で示すように、筐体11の外部と筐体11の内部との間に第2壁部32Bを隔てながら筐体11の外部から流入した空気(外気)を筐体11の内部へと通過させ、FPGA19などの熱源に空気を流入させるようになっている。
【0049】
給気部3が上述したように構成されていることによって、
図13に示すように、三次元スキャナ1を給気部3側から見た場合でも、メッシュ部材31が見えるだけで、メッシュ部材31の奥側にある筐体11の内部(たとえば、FPGA19などの熱源、電子基板、またはその他の雑品)は見え難いようになっている。
【0050】
すなわち、筐体11の外部と筐体11の内部との間に設けられた第2壁部32Bによって、ユーザが筐体11の右側面130または左側面140から三次元スキャナ1の給気部3を見た場合でも、ユーザの目線が第2壁部32Bに当たるため、ユーザの目線が筐体11の内部にまで到達することがない。これにより、給気部3の給気口を介して三次元スキャナ1の内部をユーザに見られることを防止することができ、製品としての三次元スキャナ1の美観を保つことができる。
【0051】
[変形例]
本開示は、上記の実施例に限られず、さらに種々の変形、応用が可能である。以下、本開示に適用可能な変形例について説明する。
【0052】
実施の形態に係る排気部2は、複数の板部23Bを含むルーバー23を用いて、筐体11の内部をユーザが視認できないようにしていたが、ルーバー23を用いることなく、筐体11の内部をユーザが視認できないようにしてもよい。たとえば、変形例に係る排気部は、前端部11Aから後端部11Bの方向(X軸方向)に厚みのある板状部材に、前端部11Aから後端部11Bの方向(X軸方向)に向かって上下方向(Z軸方向)にそれぞれ傾斜する複数の細長い穴が形成されるような構成を備えていてもよい。このような複数の細長い穴によって、筐体11の内部からの空気を排出するとともに、三次元スキャナ1の内部をユーザに見られることを防止するようにしてもよい。
【0053】
変形例に係る給気部は、メッシュ部材21と同様に、メッシュ部材31がハニカムメッシュ構造によって形成されてもよい。
【0054】
実施の形態においては、「撮像装置」として三次元スキャナ1を例示したが、たとえば、「撮像装置」は、口腔内カメラ、光干渉断層診断装置(Optical Coherence Tomography :OCT)、紫外・赤外・テラヘルツイメージング装置、蛍光イメージング装置などの他の撮像装置であってもよい。
【0055】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。なお、本実施の形態で例示された構成および変形例で例示された構成は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 三次元スキャナ、2,200 排気部、3,300 給気部、5 メインケーブル、11 筐体、11A 前端部、11B 後端部、12 操作部、13 アタッチメント、15 ファン、17 イメージセンサ、18 電源回路、19 FPGA、21,31 メッシュ部材、22 エンドキャップ、22A,23A スリット、23 ルーバー、23B 板部、32 壁部、32A 第1壁部、32B 第2壁部、50 クレードル、61 制御装置、62 ディスプレイ、63 マウス、64 キーボード、110 上面、120 底面、130 右側面、140 左側面。