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特許7421537移動端末試験装置とそのパラメータ設定方法
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  • 特許-移動端末試験装置とそのパラメータ設定方法 図1
  • 特許-移動端末試験装置とそのパラメータ設定方法 図2
  • 特許-移動端末試験装置とそのパラメータ設定方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とそのパラメータ設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20240117BHJP
   H04M 1/24 20060101ALI20240117BHJP
   H04B 17/15 20150101ALI20240117BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240117BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240117BHJP
【FI】
H04W24/06
H04M1/24 B
H04B17/15
H04B17/29
H04W88/02 150
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021205771
(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公開番号】P2023091173
(43)【公開日】2023-06-30
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 大祐
(72)【発明者】
【氏名】狩野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓海
(72)【発明者】
【氏名】森田 淳樹
(72)【発明者】
【氏名】荒山 昌豊
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04M 1/24
H04B 17/15
H04B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信の基地局を擬似して移動端末(10)を試験する移動端末試験装置(1)であって、
前記移動端末試験装置は、5G NRに対応した前記移動端末の試験を可能に構成され、
5G NRの周波数レンジの異なる基地局を擬似して試験を行なう場合に、基地局を擬似するためのパラメータとして、前記周波数レンジの異なる基地局で共通の前記パラメータと、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータと、を保持し、ユーザーの指示により、前記周波数レンジで共通の前記パラメータはそのままに、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータを切り替えて設定する制御部(6)を備える移動端末試験装置。
【請求項2】
移動体通信の基地局を擬似して移動端末(10)を試験する移動端末試験装置(1)のパラメータ設定方法であって、5G NRの周波数レンジの異なる基地局を擬似して試験を行なう場合に、
基地局を擬似するためのパラメータとして、前記周波数レンジの異なる基地局で共通の前記パラメータと、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータと、を保持するステップと、
ユーザーの指示により、前記周波数レンジで共通の前記パラメータはそのままに、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータを切り替えて設定するステップと、を備えるパラメータ設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動しながら通信を行なう移動端末を開発した場合、この開発した移動端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動端末を接続し、試験装置と移動端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
また、移動通信システムにおいては、5G(5th Generation)無線方式である5G NR(New Radio)のサービスが開始されている。
【0004】
5G NRにおいて使用する周波数帯域は、FR1(Frequency Range 1):450~6,000MHzとFR2(Frequency Range 2):24,250~52,600MHzの大きく2つの周波数レンジに分類される。
【0005】
特許文献1には、5G NRの基地局を擬似する移動端末試験装置に、周波数レンジなどをパラメータとして設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-121085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような移動端末試験装置にあっては、周波数レンジが異なる測定条件を設定する場合、多くのパラメータを変更する必要があった。そのため、周波数レンジを切り替えて呼接続するような試験では時間がかかっていた。
【0008】
そこで、本発明は、擬似する基地局を切り替えるときのパラメータ設定の切替を容易にできるようにして、効率良く試験を行なうことができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の移動端末試験装置は、移動体通信の基地局を擬似して移動端末を試験する移動端末試験装置であって、前記移動端末試験装置は、5G NRに対応した前記移動端末の試験を可能に構成され、5G NRの周波数レンジの異なる基地局を擬似して試験を行なう場合に、基地局を擬似するためのパラメータとして、前記周波数レンジの異なる基地局で共通の前記パラメータと、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータと、を保持し、ユーザーの指示により、前記周波数レンジで共通の前記パラメータはそのままに、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータを切り替えて設定する制御部を備えるものである。
【0012】
この構成により、周波数レンジの異なる基地局で共通のパラメータと、周波数レンジ毎に個別のパラメータと、が保持され、ユーザーの指示により、周波数レンジで共通のパラメータはそのままに、周波数レンジ毎に個別のパラメータを切り替えて設定される。このため、周波数レンジを切り替えるたびに、全てのパラメータの設定を行なうより、容易かつ短時間でパラメータ設定の切替を行なうことができる。
【0013】
また、本発明の移動端末試験装置のパラメータ設定方法は、移動体通信の基地局を擬似して移動端末を試験する移動端末試験装置のパラメータ設定方法であって、5G NRの周波数レンジの異なる基地局を擬似して試験を行なう場合に、基地局を擬似するためのパラメータとして、前記周波数レンジの異なる基地局で共通の前記パラメータと、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータと、を保持するステップと、ユーザーの指示により、前記周波数レンジで共通の前記パラメータはそのままに、前記周波数レンジ毎に個別の前記パラメータを切り替えて設定するステップと、を備えるものである。
【0014】
この構成により、周波数レンジの異なる基地局で共通のパラメータと、周波数レンジ毎に個別のパラメータと、が保持され、ユーザーの指示により、周波数レンジで共通のパラメータはそのままに、周波数レンジ毎に個別のパラメータを切り替えて設定される。このため、周波数レンジを切り替えるたびに、全てのパラメータの設定を行なうより、容易かつ短時間でパラメータ設定の切替を行なうことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、擬似する基地局を切り替えるときのパラメータ設定の切替を容易にできるようにして、効率良く試験を行なうことができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の要部のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のパラメータの保持方法の例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の周波数レンジ切替試験処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置について詳細に説明する。
【0018】
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、擬似基地局として同軸ケーブル等を介して有線で移動端末10とRF(無線周波数)信号を送受信するようになっている。なお、移動端末試験装置1は、アンテナを介して無線で移動端末10とRF信号を送受信するようにしてもよい。
【0019】
移動端末試験装置1は、擬似基地局部2と、シナリオ処理部3と、操作部4と、表示部5と、制御部6とを含んで構成されている。
【0020】
擬似基地局部2は、シナリオ処理部3の制御により、移動端末10との間でRF信号を送受信する。擬似基地局部2は、移動端末10との通信の状態などを制御部6に出力する。
【0021】
擬似基地局部2は、5G NRの規格に従って5G NRの通信を移動端末10との間で行なえるようになっている。
【0022】
シナリオ処理部3は、制御部6からの指示により、記憶されているシナリオを読み出して、そのシナリオに基づいて擬似基地局部2に、報知情報を送信させたり、移動端末10との間で通信シーケンスを実行させたりする。
【0023】
操作部4は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器で構成され、操作入力されたシナリオの生成に必要な情報などを制御部6に出力する。表示部5は、液晶ディスプレイ等の画像表示機器で構成され、シナリオの生成に必要な情報を入力させる画像や試験中の状態を示す画像などを表示する。
【0024】
制御部6は、操作部4に入力された指示に従って、試験シナリオの作成画面を表示部5に表示させて試験シナリオの生成に必要な情報を入力させたり、試験シナリオの作成画面において操作部4に入力された情報に基づいて試験シナリオを生成したりする。また、制御部6は、操作部4に入力された指示に従って、シナリオ処理部3に指示を送信して、記憶装置に記憶された試験シナリオに基づいて試験を実行させたり、シナリオ処理部3から送信される各レイヤの状態や移動端末10との通信の状態などの情報に基づいて表示部5に試験中の状態などを表示させたりする。
【0025】
ここで、移動端末試験装置1は、移動端末10と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの記憶装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0026】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0027】
このように、本実施形態において、シナリオ処理部3、制御部6は、CPUによって構成され、擬似基地局部2は、通信モジュールによって構成される。
【0028】
このような構成の移動端末試験装置1において、5G NRに対応した移動端末10を試験する場合、制御部6は、5G NRの擬似基地局としてのパラメータや試験の信号シーケンスなどをユーザーに設定させ、試験シナリオを作成して記憶装置に記憶させる。
【0029】
実施形態の移動端末試験装置1は、FR1とFR2の周波数レンジの設定の切替を容易にできるようになっている。
【0030】
制御部6は、例えば、周波数レンジ切替パラメータがオンに設定されると、周波数レンジ毎のパラメータ設定を可能とする。
【0031】
制御部6は、例えば、周波数レンジで共通に使用するパラメータと、周波数レンジ毎に使用するパラメータを設定させる。
【0032】
制御部6は、周波数レンジで共通に使用するパラメータとして、例えば、Radio Access Networkの動作モードを設定する「Ran Operation」、呼制御の設定、送信測定の対象となる周波数レンジを指定する「FR1 + FR2 Measurement Mode」などを設定させる。
【0033】
制御部6は、周波数レンジ毎に使用するパラメータとして、例えば、TDDまたはFDDのDuplex Modeを設定する「Duplex Mode」、選択されたCellの周波数レンジを設定する「Frequency Range」、Uplinkのtransmission numerology(Subcarrier Spacing)を設定する「UL Subcarrier Spacing」、Downlinkのtransmission numerology(Subcarrier Spacing)を設定する「DL Subcarrier Spacing」、Uplinkのチャネル帯域幅を設定する「UL Channel Bandwidth」、Downlinkのチャネル帯域幅を設定する「DL Channel Bandwidth」、Uplinkのアンテナ構成を設定する「UL Antenna Configuration」、Downlinkのアンテナ構成を設定する「DL Antenna Configuration」、Uplink中心周波数を設定する「UL Center Frequency」、Downlink中心周波数を設定する「DL Center Frequency」、Uplinkの中心チャネルを設定する「UL Center Channel」、Downlinkの中心チャネルを設定する「DL Center Channel」、キャリアアグリゲーションのCC(Component Carrier)のUplinkの入力レベルを設定する「Input Level」、キャリアアグリゲーションのCCのDownlinkの出力レベルを設定する「Output Level」などを設定させる。
【0034】
制御部6は、例えば、図2に示すように、設定されたパラメータを記憶装置に記憶する。図2において、制御部6は、General部101、Routing/ARB部106、Call Processing部109、Tx Measurement部110、Rx Measurement部111、Fundamental Measurement部112には、周波数レンジで共通に使用するパラメータを設定し、Common部102、Level/Freq Cell部104、Physical部107、にFR1個別のパラメータを設定し、Common(FR2)部103、Level/Freq Cell(FR2)部105、Physical(FR2)部108、にFR2個別のパラメータを設定する。
【0035】
制御部6は、例えば、ユーザーの操作部4の操作により、周波数レンジの切替が指示されると、Common部102、Level/Freq Cell部104、Physical部107のパラメータとCommon(FR2)部103、Level/Freq Cell(FR2)部105、Physical(FR2)部108、のパラメータの参照を切り替える。
【0036】
以上のように構成された本実施形態に係る移動端末試験装置による周波数レンジ切替試験処理について、図3を参照して説明する。なお、以下に説明する周波数レンジ切替試験処理は、ユーザーの操作部4の操作により、試験の開始が指示されると開始される。
【0037】
ステップS1において、制御部6は、FR1及びFR2に関するパラメータの設定を行なう。ステップS1の処理を実行した後、制御部6は、ステップS2の処理を実行する。
【0038】
ステップS2において、制御部6は、移動端末10との間で呼接続を行なう。ステップS2の処理を実行した後、制御部6は、ステップS3の処理を実行する。
【0039】
ステップS3において、制御部6は、呼制御のシーケンスを実行するなどして移動端末10からのRF信号の測定を行なう。ステップS3の処理を実行した後、制御部6は、ステップS4の処理を実行する。
【0040】
ステップS4において、制御部6は、所定の測定が終了すると、移動端末10との間の呼の切断を行なう。ステップS4の処理を実行した後、制御部6は、ステップS5の処理を実行する。
【0041】
ステップS5において、制御部6は、ユーザーの操作部4の操作により、周波数レンジの切替が指示されFR2のパラメータが指定されると、Common(FR2)部103、Level/Freq Cell(FR2)部105、Physical(FR2)部108、のパラメータを切り替える。ステップS5の処理を実行した後、制御部6は、ステップS6の処理を実行する。
【0042】
ステップS6において、制御部6は、移動端末10との間で呼接続を行なう。ステップS6の処理を実行した後、制御部6は、ステップS7の処理を実行する。
【0043】
ステップS7において、制御部6は、呼制御のシーケンスを実行するなどして移動端末10からのRF信号の測定を行なう。ステップS7の処理を実行した後、制御部6は、ステップS8の処理を実行する。
【0044】
ステップS8において、制御部6は、所定の測定が終了すると、移動端末10との間の呼の切断を行なう。ステップS8の処理を実行した後、制御部6は、ステップS9の処理を実行する。
【0045】
ステップS9において、制御部6は、ユーザーの操作部4の操作により、周波数レンジの切替が指示されFR1のパラメータが指定されると、Common部102、Level/Freq Cell部104、Physical部107のパラメータに参照を切り替える。ステップS9の処理を実行した後、制御部6は、ステップS10の処理を実行する。
【0046】
ステップS10において、制御部6は、移動端末10との間で呼接続を行なう。ステップS10の処理を実行した後、制御部6は、ステップS11の処理を実行する。
【0047】
ステップS11において、制御部6は、呼制御のシーケンスを実行するなどして移動端末10からのRF信号の測定を行なう。ステップS11の処理を実行した後、制御部6は、ステップS12の処理を実行する。
【0048】
ステップS12において、制御部6は、所定の測定が終了すると、移動端末10との間の呼の切断を行なう。ステップS12の処理を実行した後、制御部6は、周波数レンジ切替試験処理を終了する。
【0049】
このように、上述の実施形態では、制御部6は、周波数レンジで共通のパラメータと、周波数レンジ毎に個別のパラメータと、を保持し、ユーザーの指示により、共通のパラメータはそのままに、周波数レンジ毎に個別のパラメータを切り替えて設定する。
【0050】
これにより、周波数レンジを変えるたびに、全てのパラメータの設定を行なうよりも、容易かつ短時間でパラメータ設定の切替を行なうことができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、周波数レンジを切り替える場合を示したが、複数の基地局を擬似する場合に、擬似する複数の基地局で共通するパラメータと、擬似する複数の基地局毎に個別のパラメータと、がある場合には、同様に実施することができる。
【0052】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0053】
1 移動端末試験装置
2 擬似基地局部
3 シナリオ処理部
4 操作部
5 表示部
6 制御部
10 移動端末
図1
図2
図3